JPH0750994A - アイスクリーム類の製造法 - Google Patents
アイスクリーム類の製造法Info
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Abstract
イスクリーム類の製造に際し、30重量%水溶液の粘度
が約8〜35cpで且つ6糖類までの糖類含量が約30
重量%以下である澱粉分解物をアイスクリーム類中に約
15重量%を越えない割合、より好ましくは約2〜10
重量%の範囲で添加することを特徴とするアイスクリー
ム類の製造法を提供する。 【効果】本発明方法により製造されるアイスクリーム類
は、比較的乳脂肪が少ないか非常に少ないアイスミルク
やラクトアイスのようなものでも、乳脂肪に由来するコ
ク味や風味が強く感じられ、比較的乳脂肪の多いアイス
クリームでは高級感のあるコク味や風味を有する。
Description
含有するアイスクリーム類の製造法、更に詳しくはコク
味や風味を改善された上記アイスクリーム類の製造法に
関する。
リーム類のおいしさは、まろやかな乳的風味、きめ細か
い気泡の感触、咀嚼感のあるボデーそして適度な冷めた
さや口溶けの良さなどから成り立つものであり、乳脂肪
含量を多くすれば、高級アイスクリームの例に見られる
ように、コク味や風味が増し、一層おいしく感じられる
ものになるが、価格も高いものとなることは勿論のこ
と、近年健康志向から動物性脂肪である乳脂肪が敬遠さ
れる傾向にあり、この健康志向に合致しない。一方、上
記乳脂肪含量を低くすると、組織やボデー感が悪くな
り、同時に乳脂肪に由来する特有のコク味や芳醸な風味
に乏しくなる問題を生じる。
豆蛋白等の蛋白質や水飴等の糖類を用いて固形分をアッ
プしてボデー感を出す方法や、植物性脂肪を添加して組
織を滑らかにし、口当たりや口溶けが良く、冷感を緩和
する方法等が種々研究されており、之等によって上記乳
脂肪含量を低くすることによる問題はある程度解消され
ているが、之等の方法では尚コク味や芳醸な風味の点で
満足できる製品は得られていない現状にある。
アイスミルクやラクトアイス等のように乳成分が比較的
低い冷菓に、塩化カリウムを添加して乳成分のコク味を
増して冷菓の風味を改善する方法(特開昭59−265
8号公報)や乳製品、例えば乳脂肪の少ないアイスクリ
ーム類に、動物蛋白分解物を添加して呈味を改善する方
法(特開昭60−55093号公報)等が知られてお
り、塩化カリウムや動物蛋白分解物の添加量が少ないと
ころで、ある程度の効果は認められるにしても、より効
果を出そうとしてそれらの添加量を増やそうとすると苦
味等の好ましくない呈味が強くなり、必ずしも満足のい
くものでなかった。
に由来する特有のコク味や芳醇な風味を感じさせるため
には、該乳脂肪をかなり多く存在させることが必須と考
えられていたが、この乳脂肪が少ない場合でも、上記乳
脂肪に由来するそれ等と同等のコク味や芳醇な風味を有
するアイスクリーム類の開発が、当業界で強く望まれて
いる現状にある。
した例として、好ましくは約65を越えないデキストロ
ース等量を有する加水分解した澱粉を冷凍脂肪系菓子類
に使用する技術(公表平5−501056号公報)が知
られているが、これは例えば冷凍脂肪系菓子類としての
アイスクリームと脂肪系被覆物としてのチョコレートの
層の間に澱粉分解物の層を設けて密着性を改善するもの
であり、アイスクリーム自体に均一に上記澱粉分解物を
添加するものではない。
ム類の製造において、乳脂肪の含有量を減少させても、
乳脂肪のコク味や風味が強く感じられるアイスクリーム
類の製造法で実用的な方法は今までになかった。
とする課題は、乳脂肪の含有量を減少させたアイスクリ
ーム類でも、乳脂肪に由来するコク味や芳醇な風味が強
く感じられる、改良された品質を有するアイスクリーム
類を提供する技術を開発する点にある。
の結果、30重量%水溶液の粘度が約8〜35cpで且
つ6糖類までの糖類含量が約30重量%以下である澱粉
分解物をアイスクリーム類中に約15重量%を越えない
割合で添加する時には、乳脂肪含量の低いアイスクリー
ム類でも、乳脂肪が与えるコク味や風味が強く感じられ
るものとなるという知見を得、ここに本発明を完成する
に至った。
%以上含有するアイスクリーム類の製造に際し、30重
量%水溶液の粘度が約8〜35cpで且つ6糖類までの
糖類含量が約30重量%以下である澱粉分解物をアイス
クリーム類中に約15重量%を越えない割合で添加する
ことを特徴とするアイスクリーム類の製造法、特に澱粉
分解物の添加量がアイスクリーム類中約2〜10重量%
である上記アイスクリーム類の製造法が提供される。
脂肪や植物性脂肪等の脂肪、脱脂粉乳等の無脂乳固形
分、砂糖等の甘味剤、乳化剤、安定剤等で構成されるフ
ローズンデザートで、構成分中の乳固形分含量が3重量
%以上のものを総称し、この中にはより具体的には、構
成脂肪が乳脂肪のみよりなり、その含量が8重量%以上
のもの(アイスクリーム)、必要に応じて植物性脂肪を
併用するが、構成分中の乳脂肪含量が3重量%以上のも
の(アイスミルク)及び同乳脂肪含量が1重量%以上の
もの(ラクトアイス)が包含される。
物とは、澱粉及び/又は澱粉に酸化、エーテル化、エス
テル化等の処理をした加工澱粉を酸又は酵素により或い
はその両者により、30重量%水溶液の濃度が約8〜3
5cpで且つ6糖類までの糖類含量が約30重量%以下
になるように分解したものを指称する。
としては、例えば以下の方法を例示できる。即ち、まず
20〜40%の澱粉懸濁液を調整し、これに適量の蓚酸
もしくはαーアミラーゼを加え加熱して1次液化し、次
いで蓚酸を用いた場合は炭酸カルシウム等の中和剤でp
H5〜7に中和する。また、αーアミラーゼを用いた場
合は加圧蒸煮して溶解困難な澱粉部分を完全に溶解させ
ると同時に酵素を失活させて加水分解を一旦停止した
後、この液に新たにαーアミラーゼを添加して所望の程
度にまで第2段の液化を行ない、液化終了後、再度液を
加圧煮沸若しくは酸を添加して酵素を失活させて反応を
停止させる。次いで、上記何れの場合も処理液に活性炭
を加えて脱色濾過し、イオン交換樹脂で処理することに
より、精製した液状形態の所望の澱粉分解物を得ること
ができる。またこの液をスプレー乾燥又はドラム乾燥す
ることにより粉末形態の所望の澱粉分解物を得ることが
できる。
味や風味を強くする目的で用いられる澱粉分解物は、上
記の通り特に30重量%水溶液の粘度が約8〜35cp
で且つ6糖類までの糖類含量が約30重量%以下のもの
であることが重要である。しかるに、かかる澱粉分解物
中に高分子の分解物が含まれると一般に粘度は高くな
り、粘度を下げようとすると6糖類までの糖類含量が多
くなる傾向があり、従ってこの特定の粘度及び糖類含量
を有する澱粉分解物は、高分子区分も低分子区分も少な
く且つ適度に分解された澱粉分解物であることを意味す
る。
製造法の中でもその製造条件に特別な配慮が必要であ
る。その好ましい態様の一例としては、1次液化を10
0℃以上、例えばバチルス・リケニホルミス由来の耐熱
性αーアミラーゼを用いて100〜110℃で1次液化
する方法を例示できる。またこの方法では、次いで12
0〜140℃に加熱して酵素を失活させて得られる一時
液化液の分解度が約DE3以下であるように分解するの
が好ましく、その後は新たにαーアミラーゼを添加して
所望の粘度になるまで分解する。上記の通り、1次液化
の温度を100℃以上にすることにより、低分子分解物
が少ない割に粘度の低い分解物が得られ易く、また1次
液化終了液の分解度を約DE3を越えて余りに進めすぎ
ると粘度が高い割に低分子含量が多くなる傾向になる。
本発明で用いる澱粉分解物を製造する上での好ましい態
様の一例であり、必ずしもこの条件に拘るものでなく、
要は粘度と6糖類までの糖類含量が前記所定の範囲にあ
るように分解された澱粉分解物が得られる限り特に限定
される訳ではない。
類までの糖類含量について、粘度は20℃における固形
物濃度30重量%水溶液をB型回転粘度計を用いて、6
糖類までの糖類含量は高速液体クロマトグラフィを用い
て測定した値である。
の粘度が前記範囲を余りに上回るものでは、これを乳脂
肪を含有するアイスクリーム類に使用するとコク味より
も異質感がでたり、乳脂肪に由来する風味の発現を阻害
し、逆に前記範囲を余りに下回るものを用いたり或いは
6糖類以下の糖類含量が約30重量%を越えるものの使
用では、コク味を増す効果が弱すぎ、風味を強める効果
も不十分となる。
までの低分子分解物が上記特定範囲の内でも少ないもの
であるのが好ましい。但し、この低分子分解物の含有量
範囲は、単に本発明に利用する澱粉分解物の分解のされ
方を表す指標であって、この低分子分解物自体が必ずし
も本発明の目的を阻害するものではなく、本発明方法に
おいては、要すれば、水飴、グルコース、マルトース等
の低分子分解物を、別に添加することも可能である。
製造原料としての澱粉としては、各種澱粉の何れでよく
特に制限はない。その具体例としては、例えばコーンス
ターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、サゴ
澱粉、米澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉等を例示できる。更
にこの原料澱粉は、澱粉を加工したヒドロキシプロピル
化澱粉や酢酸澱粉等の加工澱粉であってもよい。
約8〜35cpで且つ6糖類までの糖類含量が約30重
量%以下である澱粉分解物を添加利用することを除い
て、他は一般的な乳脂肪を含有するアイスクリーム類の
製造と同様にして実施できる。より詳しくは、従来の製
造工程に従って、例えば、水に牛乳、生クリーム、脱脂
粉乳等の乳製品、必要に応じて添加される植物性脂肪、
砂糖、水飴等の甘味料、乳化剤、安定剤と、本発明の特
定の澱粉分解物とを混合させ、加熱を行なって溶解後冷
却し、バニラ等のフレーバーを添加してホモジナイザー
(均質機)にかけて均質化してアイスクリームミックス
を調整し、熟成、フリージング、硬化工程を経て所望の
アイスクーム類を製造できる。尚、乳製品としては上述
のもの以外に全粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳、無
塩バター等、植物性脂肪としてはヤシ油、パーム油やパ
ーム核油等、乳化剤としては卵黄、モノグリセライドや
シュガーエステル等、安定剤としてはゼラチンやローカ
ストビーンガム等が通常使用され、着色料は好みによっ
て随時添加される。
添加量は、乳脂肪の含量、乳脂肪以外の植物性油脂の有
無やそれらの脂肪の使用比率等によって一概にいえない
が、一般的には澱粉分解物をアイスクリーム類の構成分
中約15重量%以下、より好ましくは約2〜10重量%
の範囲であるのが好適である。これが約15重量%を越
えると口溶けが悪くなったり、コク味や風味もかえって
悪くなって好ましくない。上記範囲内で使用すると、乳
脂肪からくる好ましいコク味や風味が強く感じられるよ
うになる。また、本発明方法の適用できるアイスクリー
ム類の乳脂肪量は少なくとも約1重量%であるのがよ
く、これが余りに少ないと本発明所期の効果は乏しくな
る。
ーム類でも滑らかな組織を有し、口当たりや口溶け感を
損なわないで、乳脂肪に由来するコク味や風味が強く感
じられるアイスクリーム類を製造できる。
は、比較的乳脂肪が少ない或いは非常に少ないアイスミ
ルクやラクトアイスのようなアイスクリーム類に属する
ものであっても、乳脂肪に由来するコク味や風味が強く
感じられ、比較的乳脂肪の多いアイスクリームではより
高級感のあるコク味や風味を有するものになる。
げて示す。これらの例において部とあるは重量部を示
す。
分散させ、塩酸でpH6.0に調整後、2gのターマミ
ル60L(ノボ社の細菌アミラーゼ:バチルス・リケニ
ホルミス)を添加して105℃に加熱して糊化、液化を
行ない,130℃で20分間加熱して酵素を失活させ、
DE3以下にした液を85℃まで冷却し、1gのクライ
スターゼKD(大和化成の細菌アミラーゼ:バチルス・
スブチルス)を添加してこの温度で20分間加水分解を
行ない、温度を115℃に昇温して酵素を失活させてか
ら活性炭を加えて濾別し、濾液をイオン交換樹脂で処理
し、得られた脱イオン液を噴霧乾燥して試料No.1の
澱粉分解物を得た。
間のみを変更した試料No.2〜No.4の澱粉分解物
と、1次液化終了液のDEを約5にした後、2次液化時
間を100分にした試料No.5の澱粉分解物を得た。
糖類含量)を、上記2次液化時間と共に表1に示す。
尚、粘度は固形分濃度30%の水溶液を20℃で測定し
たものであり、糖類含量は6糖類までの糖類の合計量を
示す。
部、乳化安定剤0.5部(太陽化学製のサンソフトスー
パー700)と試料No.1〜No.5の澱粉分解物の
それぞれ4部とを予め混合後、ステンレス製のビーカに
入れてよく混合し、これに無塩バター9.9部(乳脂肪
を81%含有し、乳脂肪8部に相当)と水を加えて全量
を99.9部にし、攪拌しながら加熱して品温を80℃
まで昇温し,この温度で10分間保持後30℃まで冷却
した。蒸発水分を補正後、フレーバー0.1部を添加し
TKホモミキサー(特殊機械工業製)を用いて8000
rpmで予備乳化を行ない、続いてホモジェナイザー
(MANTON−GRAIN LABORATORY
HOMOGENIZER)にて圧力500kg/cm2
で本乳化を行なって、アイスクリームミックスを調整し
た。
ージング後、バッチ式のフリーザーでフリージングしミ
ックスの状態が泥状になれば蓋付きのカップに充填し、
−50℃に調整した急速冷凍機で急速に冷凍した。30
分間経過後、−20℃に調整した冷凍庫に入れ、24時
間熟成してアイスクリーム製品を製造した。
なった。即ち、対照試料として澱粉分解物を使用するこ
となく同様の処理を行なって得られたアイスクリームを
作成しこれを基準として、上記各製品試料のコク味及び
風味を、下記評価に従って対照試料と比較した。
試料は、いずれも対照試料に比してコク味が増し風味も
良くなっていた。
粉分解物として参考例1で得た試料No.3を1〜17
部の範囲の所定量(表3に示す)を用いる以外は、実施
例1の方法に準じて、アイスクリーム製品を製造した。
く製造したアイスクリームを対照試料として、実施例1
と同様の官能試験を行なった結果を、下記評価にて、表
3に示す。
試料は、いずれも対照試料より好ましいコク味と風味を
もつものであったのに対して、澱粉分解物の添加量が余
りに増えすぎるとかえって悪くなる(比較例参照)こと
が判った。
を0.5部、参考例1で得た試料No.3の澱粉分解物
7部、加糖練乳24.1部(乳脂肪8.3%と砂糖4
4.2%を含有し乳脂肪2部と砂糖10.7部に相当)
とフレーバー0.1部に水を添加して100部としたラ
クトアイスを実施例1の方法に準じて調整した。
トアイスを調整し、コク味と風味を比較した。
肪含量が低くてコク味や風味が弱く感じられる程度であ
ったのに、実施例のラクトアイスはコク味や風味がかな
り強く感じられるようになった。
表4の処方で実施例1に準じてアイスクリームを調整し
た。同様にして、澱粉分解物を用いることなく対照アイ
スクリームを調整した。
クリームと同じように滑らかな組織を有しているに加え
て、コク味や風味に優れ、おいしく食することができ
た。
を使用し、下記表5の処方で、実施例1に準じてアイス
ミルクを調整した。同様に澱粉分解物無添加の対照アイ
スミルクを調整した。
ように滑らかな組織を有し、コク味や風味がより強く感
じられてよりおいしいものとなった。
Claims (2)
- 【請求項1】乳脂肪を約1重量%以上含有するアイスク
リーム類の製造に際し、30重量%水溶液の粘度が約8
〜35cpで且つ6糖類までの糖類含量が約30重量%
以下である澱粉分解物をアイスクリーム類中に約15重
量%を越えない割合で添加することを特徴とするアイス
クリーム類の製造法。 - 【請求項2】澱粉分解物の添加量がアイスクリーム類中
に約2〜10重量%となる割合である請求項1に記載の
アイスクリーム類の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19954693A JP3401577B2 (ja) | 1993-08-11 | 1993-08-11 | アイスクリーム類の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19954693A JP3401577B2 (ja) | 1993-08-11 | 1993-08-11 | アイスクリーム類の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0750994A true JPH0750994A (ja) | 1995-02-28 |
JP3401577B2 JP3401577B2 (ja) | 2003-04-28 |
Family
ID=16409628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19954693A Expired - Lifetime JP3401577B2 (ja) | 1993-08-11 | 1993-08-11 | アイスクリーム類の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3401577B2 (ja) |
Cited By (6)
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JP2007166922A (ja) * | 2005-12-19 | 2007-07-05 | Matsutani Chem Ind Ltd | 冷菓及びその製造方法 |
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-
1993
- 1993-08-11 JP JP19954693A patent/JP3401577B2/ja not_active Expired - Lifetime
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