JPH0750742Y2 - 遮光布帛構造物およびこれを用いたフィルム容器 - Google Patents

遮光布帛構造物およびこれを用いたフィルム容器

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JPH0750742Y2
JPH0750742Y2 JP6959490U JP6959490U JPH0750742Y2 JP H0750742 Y2 JPH0750742 Y2 JP H0750742Y2 JP 6959490 U JP6959490 U JP 6959490U JP 6959490 U JP6959490 U JP 6959490U JP H0750742 Y2 JPH0750742 Y2 JP H0750742Y2
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和則 水野
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、感光性フィルム等の遮光に用いられる遮光布
帛構造物およびこれを用いたフィルム容器に関するもの
である。
〔従来の技術〕
写真フィルム容器には、シートフィルム用のカセット
や、ロールフィルム用のパトローネ等があるが、その何
れも写真フィルムを引き出す部分には、光が容器内部に
侵入して容器内部の写真フィルムが感光するのを防止す
る目的で、遮光部材が設けられている。
この遮光部材は、フィルムの感光を防止できることは勿
論、フィルムの引出し及び巻戻し操作が円滑にできるこ
とを必要とするため、基布表面にパイルを有し、かつ柔
軟な材料からなる遮光布帛構造物が用いられている。
従来、この種の遮光布帛構造物を構成する繊維材料とし
ては、レーヨン、ナイロン等の極性基を持った繊維材料
が使用されており、また、これらの繊維材料を着色する
には、直接染料、酸性染料、金属錯塩染料等による染色
で行われており、その染着機構は繊維と染料がイオン結
合により強固に結びつけられている状態である。
最近、遮光布帛構造物を構成する繊維材料に、材料コス
ト、遮光性、フィルム引出し抵抗等の向上を目的とし
て、繊維特性が様々に改良されたポリエステル系繊維が
用いられるようになってきた。
このようなポリエステル系繊維で構成された遮光布帛構
造物は、分散染料で着色されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
このポリエステル繊維−分散染料の着色系においては、
前述した繊維−染料系の結合形態とは異なり、その染着
機構がいわゆるファンデアワルス結合を主体とする物理
的結合にのみ依存している。したがって、熱エネルギー
等により簡単に結合が解かれ染料分子が繊維表面に浮遊
する現象、いわゆるサーモブリーディング現象が発生す
る。
このサーモブリーディング現象は染料分子の分子量に相
関するもので、すなわち、分子量が大きくなるほどサー
モブリーディングが大きくなることが知られている。
ところで、分散染料は、分子構造的にキノン型染料とア
ゾ型染料に大別され、キノン型染料は、比較的に分子量
小、吸光係数小、染色堅牢度弱、均染性大なる性質を持
つため、一般的に淡〜中色用を主体として用いられ、ま
た、アゾ型染料は、比較的分子量大、吸光係数大、染色
堅牢度強、均染性小の性質を持つため、一般的に高濃度
の染色用として用いられている。
したがって黒色とすべき遮光布帛構造物の着色に用いら
れる分散染料としては、着色濃度の大きいアゾ型染料が
主体として用いられており、このアゾ型染料は分子量が
大きいのでサーモブリーディングも大きいものとなって
いた。
そして、サーモブリーディング現象による遊離した染料
が、特定の環境条件下で、写真フィルムのベース基体と
なっているアセテートフィルムに転移して汚染し、写真
性能に著しい悪影響を及ぼすものであった。
例えば、真夏の炎天下に置かれた自動車の室内に、カメ
ラに装填した状態またはフィルムケースに収納した状態
でパトローネフィルムを放置すると、フィルムは高温に
曝露され、感光乳剤層のゼラチン内に溶け込んでいた水
分が蒸発凝集を起こす。したがって、遮光部材の繊維表
面に遊離した染料がこの凝集水分を介在として写真フィ
ルムに転移し汚染する。
以上のように、従来、黒色分散染料をそのまま遮光布帛
構造物の着色用に使用すると、特殊条件下では写真フィ
ルム面に汚染が発生するのを避けられない状況となって
いた。
以上の問題点を解決すべく従来から種々の検討が行われ
ているが、現在までのところ満足のいくものは未だ開発
されていなかった。
本考案は、以上の問題点を解決し、染料により感光性フ
ィルムを汚染しない遮光布帛構造物およびこれを用いた
フィルム容器を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本考案者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した
結果、ブルー成分の後述するサーモブリード率が特定の
値より小さい場合、写真フィルムへの汚染がないことを
見出し、本考案を完成させた。
すなわち、本考案の遮光布帛構造物は、全部または一部
がポリエステル系繊維で構成され、かつ、ブルー成分の
サーモブリード率が2.0%以下の分散染料を主成分とす
る配合染料により黒色に染色されたことを特徴として構
成されている。
また、本考案のフィルム容器は、上記遮光布帛構造物
が、遮光部材として引出口に設けられたことを特徴とし
て構成されている。
サーモ・ブリード率は、まず、同一ポリエステル繊維で
織られた布帛を130℃で60分間染色した後完全に還元洗
浄し、これを基準布帛とし、この基準布帛から溶剤抽出
により染着染料量を測定する。次に、基準布帛を160℃
で3分間熱処理し、アセトン溶剤洗浄により溶解染料量
を測定し、これをサーモ・ブリーディング染料量とす
る。そして、このサーモ・ブリーディング染料量を染着
染料量で徐した値をサーモ・ブリード率とする。
一般的に、黒色に染色するための黒色分散染料は、青色
分散染料、赤色分散染料、黄色分散染料の3成分の配合
からなり、その成分比は、おおむね8:1:1の割合からな
る。このことから、サーモ・ブリーディング現象により
汚染現象を引き起こす主なる染料成分は、ブルー成分の
分散染料である事が判る。したがって、赤色および黄色
分散染料を改良するもでもなく、ブルー成分のみのサー
モブリード率を2.0%以下とすることにより、遮光布帛
構造物全体のサーモブリードを防止できる。
ブルー成分のサーモブリード率が2.0%以下の分散染料
としては、例えば、C.I Disperse Blue120(サーモブリ
ード率1.6%)、C.I Disperse Blue60(サーモブリード
率1.8%)等がある。
ブルー成分のサーモブリード率が2.0%以下の分散染料
以外の配合される染料としては、規定するブルー成分に
比し、その絶対使用量が小なるためサーモブリードする
絶対染料量が非常に小さい。これより、その染料使用に
ついては一般に使用される染料が利用可能である。
また、ブルー成分のサーモブリード率が2.0%以下の分
散染料と、これ以外の分散染料の配合比は、Blue成分:6
0〜100%、Yellou成分:20〜0%、Red成分:20〜0%が
好ましく、Blue成分:90〜98%、Yellou成分:0.1〜5
%、Red成分:0.1〜5%が特に好ましい。
遮光布帛構造物を構成するポリエステル系繊維として
は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテ
レフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維と
ポリブチレンテレフタレート繊維とのコンジュゲート繊
維が挙げられる。
また、ポリエステル系繊維以外の遮光布帛構造物を構成
する繊維としては、絹、綿、ビスコース、レーヨン、キ
ュープラレーヨン、ナイロン、アセテートがある。
遮光布帛構造物は黒色に染色されているが、この色濃度
値(L値)は、遮光性をより完全に確保するために、20
以下であることが好ましい。
また、遮光布帛構造物は、パイルを有する各種織編物に
適用できる。例えば、ベルベット織物、トリコット起毛
編物、シンカーパイル編物、ダブルラッセル編物等があ
る。
遮光布帛構造物を構成する繊維に形態としては特に限定
は無く、例えば、各種のデニール・フィラメント数のも
の、異形断面糸、コンジュゲート糸、分割糸、異種成分
を含む芯鞘繊維や海島繊維がある。
糸の太さとして50〜200デニール、単糸の太さとして0.1
〜5デニール、フィラメント数として10〜500本があ
る。
遮光布帛構造物の着色および仕上げにともなう加工方法
は、通常行われる公知の方法が適用できる。
本考案の遮光布帛構造物は、各種フィルム容器の引出口
に設けられる遮光部材、感光物質を対象とした機器類の
遮光を目的とした内張り等に用いられる。
本考案のフィルム容器は、各種フィルムを遮光的に収納
し、引出口からフィルムを出すことのできる構造の容器
に適用でき、特にシート状及びロール状の各種写真感光
材料(カラー印画紙、電算写植フィルム及び印画紙、JI
S135型写真フィルム、感熱紙、感光樹脂フィルム、マイ
クロフィルム等)を収納する容器に好適である。
遮光布帛構造物をフィルム容器に設ける方法としては、
遮光布帛構造物を目止め処理後、ホットメルト接着剤や
溶剤活性型、熱活性型の接着剤を塗布し、さらに所定寸
法に切断した後、フィルム容器の貼り付け箇所に置き、
熱や超音波や高周波によって溶融再活性させて貼る方法
がある。その他、目止め剤と接着剤を兼ねる目止め接着
剤を用いる方法、両面接着テープを用いる方法等があ
る。
〔作用〕
本考案の遮光布帛構造物は、配合染料の主成分であるブ
ルー成分のサーモブリード率が2.0%以下の分散染料を
使用するので、ほとんどサーモブリードすることなく、
接触する感光材料等を汚染しない。
また、本考案のフィルム容器は、遮光布帛構造物が写真
フィルムを汚染することなく遮光性を確保する。
〔実施例〕
本考案が実施される遮光布帛構造物の実施例を第1図に
基づいて説明する。
第1図は、遮光布帛構造物の断面図である。この図に示
す遮光布帛構造物1において、2は基布組織層で、この
基布組織層2にパイル層3が編み込まれており、基布組
織層2は基布用フィラメント糸4で構成され、パイル層
3はパイル用フィラメント糸5で構成されている。
第2図は、遮光布帛構造物を用いたフィルム容器の断面
図である。この図に示すフィルム容器6において、7は
容器本体で、この容器本体7にフィルム8を引き出すた
めの引出口9が形成されている。そして、この引出口9
の上下の上舌10aおよび下舌10bには、遮光布帛構造物か
らなる遮光部材11が貼付されている。
実施例1 予め通常の精錬、熱処理等の前処理を施したポリエステ
ル繊維よりなるダブルラッシェル編布帛を、分散染料と
して、C.I Disperse Orange 30-0.3%、C.I Disperse R
ed 167-0.1%及びC.I Disperse Blue 120(ブリード率
1.6%)−8.0%owfを、分散剤としてSunsoft RM-340
(日華化学製)0.4g/lを使用し、浴比1:30、染色温度13
0℃で60分間染色を行った後、水洗−乾燥処理を行っ
た。次に通常該編物に使用されるブラッシング、シャー
リング等の処理を行なうことにより、色濃度値(L値)
18.3の黒色に着色された表面のパイル密度が高い遮光布
帛構造物を得た。
このように得られた遮光布帛構造物を通常の方法に従っ
てJIS135型写真フィルムパトローネのフィルム引出口に
組み込み、このパトローネ内にASA感度400の写真フィル
ムを装填し、フィルムケース内に収容した。
このケースを80℃で20時間の高温暴露試験を行なった
後、一部のサンプルは現像処理前に、他のサンプルは通
常の方法でフィルムを現像した後、遮光布帛構造物が接
触していたフィルムの部分における汚染を目視判定し
た。
また、上記と同様の写真フィルムを収容したパトローネ
を照度10万ルックスで10分間露光した時の遮光性(光か
ぶり度合)を現像処理により判定した。
実施例2 実施例1と同様に、分散染料として、C.I Disperse Ora
nge 30-0.3%、C.I Disperse Red 167-0.1%及びC.I Di
sperse Blue 60(ブリード率1.8%)10.0%owfを使用
し、同様の方法にて色濃度値(L値)19.0の黒色に着色
された表面のパイル密度が高い遮光布帛構造物を得た。
このようにして得られた遮光布帛構造物に関し、実施例
1と同様の方法にてフィルム汚染性および遮光性を評価
した。
比較例1 実施例1と同様に、分散染料として、C.I Disperse Ora
nge 30-0.3%、C.I Disperse Red 167-0.1%及びC.I Di
sperse Blue 139(ブリード率3.8%)6.0%owfを使用
し、同様の方法にて色濃度値(L値)16.0の黒色に着色
された表面のパイル密度が高い遮光布帛構造物を得た。
このようにして得られた遮光布帛構造物に関し、実施例
1と同様の方法にてフィルム汚染性および遮光性を評価
した。
比較例2 実施例1と同様に、分散染料として、C.I Disperse Ora
nge 30-0.3%、C.I Disperse Red 167-0.1%、C.I Disp
erse Blue 120(ブリード率1.6%)3.0%owfを使用し、
同様の方法にて色濃度値(L値)31.0の灰色に着色され
た表面にパイル密度が高い遮光布帛構造物を得た。
このようにして得られた遮光布帛構造物に関し、実施例
1と同様の方法にてフィルム汚染性および遮光性を評価
した。
実施例および比較例で得られた評価結果を第1表に示
す。
実施例1、2は、分散染料のブルー成分のサーモブリー
ド率が2.0以下で、色濃度値(L値)が20以下に着色さ
れたものであり、汚染性はもちろん遮光性も極めて良い
ものであった。
比較例1は、ブルー成分のサーモブリード率が2.0を越
えており、現像処理の前後のサンプルとも汚染の痕跡が
認められ、汚染性を満足する事ができなかった。
比較例2は、色濃度値(L値)が20を越えており、遮光
性を満足する事ができなかった。
〔発明の効果〕
本考案による遮光布帛構造物は、ブルー成分のサーモブ
リード率が2.0%以下の分散染料を主成分とする配合染
料で黒色に着色することにより、たとえ高温下に置かれ
たとしても、染料が繊維表面へ遊離することがないの
で、接触する感光材料を汚染することがない。
また、本考案によるフィルム容器は、遮光布帛構造物を
遮光部材として設けることにより、写真フィルムに悪影
響を及ぼすことなく遮光性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の遮光布帛構造物の一実施例の断面図、
第2図は遮光布帛構造物を用いたフィルム容器の断面図
である。 1……遮光布帛構造物 6……フィルム容器 8……フィルム 9……引出口 11……遮光部材(遮光布帛構造物)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 水野 和則 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)考案者 鈴木 時英 福井県福井市毛矢1丁目10番1号 セーレ ン株式会社内 (72)考案者 友田 政純 福井県福井市毛矢1丁目10番1号 セーレ ン株式会社内 (56)参考文献 実開 昭62−51341(JP,U)

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】全部または一部がポリエステル系繊維で構
    成され、かつ、ブルー成分のサーモブリード率が2.0%
    以下の分散染料を主成分とする配合染料により黒色に染
    色されたことを特徴とする遮光布帛構造物
  2. 【請求項2】色濃度値(L値)が20以下である請求項
    (1)に記載の遮光布帛構造物
  3. 【請求項3】請求項(1)または(2)に記載の遮光布
    帛構造物が、遮光部材として引出口に設けられたことを
    特徴とするフィルム容器
JP6959490U 1990-04-19 1990-07-02 遮光布帛構造物およびこれを用いたフィルム容器 Expired - Lifetime JPH0750742Y2 (ja)

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JP6959490U JPH0750742Y2 (ja) 1990-07-02 1990-07-02 遮光布帛構造物およびこれを用いたフィルム容器
EP19910106130 EP0452900B1 (en) 1990-04-19 1991-04-17 Structure of light-shielding cloth and film container using the same
DE69121278T DE69121278T2 (de) 1990-04-19 1991-04-17 Struktur eines lichtabschirmenden Stoffes und mit diesem Stoff versehener Behälter
US07/686,998 US5271983A (en) 1990-04-19 1991-04-18 Structure of light-shielding cloth and film container using the same

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JPH0428643U JPH0428643U (ja) 1992-03-06
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