JPH07500A - 生体埋入材料及びその製造方法 - Google Patents

生体埋入材料及びその製造方法

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JPH07500A
JPH07500A JP5148994A JP14899493A JPH07500A JP H07500 A JPH07500 A JP H07500A JP 5148994 A JP5148994 A JP 5148994A JP 14899493 A JP14899493 A JP 14899493A JP H07500 A JPH07500 A JP H07500A
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Shinichi Kanazawa
進一 金澤
Katsuyuki Ogo
克幸 小郷
Shinichi Miyake
伸一 三宅
Fumihiro Hayashi
文弘 林
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体適合性に優れた生体内埋入材料を提供す
ること。 【構成】 四弗化エチレン樹脂多孔質体の表面に金属を
蒸着させ、しかる後、電荷粒子を照射して製造される、
金属を含む層を設けた生体埋入材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体組織適合性に優れ
た生体内埋入材料に関する。
【0002】
【従来の技術】四弗化エチレン樹脂(以下、PTFEと
記す)多孔質体(以下、EPTFEと記す)、特に延伸
法で製造された多孔質体は、非常に細い繊維とその繊維
により互いに連結された結節からなる気孔率が高い微細
構造状組織を有することから、柔軟性、可撓性、通過性
に富み、しかもこの孔径や気孔率を自由に変化し得る上
に、PTFEの特徴である耐熱性、耐薬品性により滅菌
が容易なこと、無毒で生体内劣化を起こさず炎症性が低
い、抗血栓性をもつなどの生体適合性を有していること
等の理由から、医療用材料、例えば、血管や腹膜、心膜
の補綴用パッチあるいは人工血管や人工靱帯等の生体内
埋入材料や、カテーテル、内視鏡チューブ、縫合糸など
の生体内挿入材料として好適に使用されている。
【0003】このような生体適合性がある程度認められ
た医療用材料において、その副作用として最も問題とな
るのは、細菌感染の問題である。特に多孔質体の孔のよ
うな生体埋入材料の中の空隙部分は、生体本来の防御シ
ステムである免疫系システムが十分働きにくい環境とな
るため感染に弱い。これは、まず移植手術によって損傷
・破壊を受けた組織細胞及びその細胞内物質が埋入材料
周に存在しこれらが細菌にとって格好の繁殖の場を与え
ること、次に血液凝固などこれら損傷部の修復作用によ
って生体における対細菌の役割を担うリンパ系細胞が埋
入材料内への侵入を妨害されることなどによるもので、
EPTFEもその例外ではない。
【0004】医療用材料の感染を改善する方法として
は、メーカーによる使用前の滅菌や医療現場での埋入手
術前・中の周囲環境を含めた滅菌消毒など、無菌状態を
徹底する地道な努力はもちろん行われている。しかし生
体埋入材料、特に多孔質材料においては、先に述べたよ
うに一度感染すると免疫系システムが十分働きにくい環
境であるため、たとえ生体埋入材料や手術中に細菌の生
体内侵入が無かったとしても、細菌の生体内侵入が他の
原因で起こり、その細菌が生体内を経由して生体埋入材
料内に侵入すれば、通常は全く問題のないような少量の
侵入であっても、感染症を引き起こす危険性がある。
【0005】上に述べたような滅菌・消毒方法は、もち
ろん移植後生体内に存在する状態では適用できない。現
在、感染症を起こした場合に唯一取れる方法は、抗生物
質等の抗菌剤の投与である。しかし、生体埋入材料には
この薬剤さえも先に述べたように到達しにくい環境にあ
るため、通常は早急に埋入材料を取り出すしかない。
【0006】この問題に対して発明者は、生体埋入材料
の具備すべき必要条件として、従来の生体適合性だけで
はなく、抗菌性の付与を検討すべきであると考えた。但
し、この必要な抗菌性は、単に抗菌剤を埋入材料に担持
させれば達成できるものではない。まず、この抗菌性
は、生体埋入材料を含めた周囲組織が治癒されるまで効
果が持続しなければならない。そのため抗菌剤では大量
担持が必要となる。次にその抗菌性で生体の治癒を阻害
しては何もならない。当然、抗菌剤の大量担持では治癒
を阻害するどころか、患者への多大な副作用を誘起す
る。つまり、従来の抗菌剤の担持では、副作用のない持
続的な抗菌性は達成し得ない。
【0007】近年、このような持続的な抗菌作用を持つ
材料として、キチン、キトサンが注目されている。この
キチン、キトサンの抗菌性は、これらの生体内での分解
産物が抗生物質の一種とほぼ同じ分子構造をもち、細菌
に対しても同様の効果をもつことによる。
【0008】しかし、多くの生体埋入用の人工材料は、
生体由来材料では達成し得ないような恒久的な力学的強
度の維持をその目的の一つとしている。例えば、人工血
管やパッチは、血管と血管をつなぐ血流路の形成を目的
とするが、移植後分解して組織治癒によって完全に生体
血管が再生されることはない。移植部分の強度は専ら移
植された人工材料に依存しており、仮に生体血管様に治
癒するにしても、少なくとも治癒するまでの間は人工材
料で形状・強度を維持しなければならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の生体埋入材料の欠点であった易感染性を大幅に改善し
た生体埋入材料を提供することにある。生体埋入材料移
植による感染を防ぐためには、上記で述べたように、移
植後に力学的強度が劣化しない方法で、生体埋入材料自
身に持続的で副作用が少ない抗菌作用を付与させる必要
がある。
【0010】本発明者は、前記従来技術の有する問題点
を克服するために鋭意研究した結果、生体埋入材料を基
材とし、その表面に金属を含む層を強固に接着被覆する
ことによって、材料自身に持続的な抗菌作用があり、副
作用が少ない生体埋入材料となることを見いだした。ま
た、この操作によって基材である生体埋入材料は分解劣
化を起こさず、移植後も形状・強度を維持することが可
能であることを見いだし、本発明を完成するに至ったも
のである。以下にその詳細について述べる。
【0011】
【課題を解決するための手段】金属、特に重金属に殺菌
作用があることは古くから知られており、火傷、創傷の
治療薬としての銀サルファダイアジンが広く普及してい
る。この銀の殺菌作用機序は、少量の銀が活性金属イオ
ンとして溶解し、細菌の細胞膜に接着することでDN
A、RNA、蛋白などの合成を阻害するとされている。
【0012】この金属イオンによる抗菌作用は、(1)
きわめて低濃度で作用する点と、(2)金属を選べば自
然にごく少量ずつ溶解してゆく点で本発明の目的に適し
ている。つまり、適当な溶解度の金属塩とすることで、
一般の抗菌剤と違って容量は多量でも作用するのが少量
で持続的に行うことができる。
【0013】但し、例えば生体埋入材料の多孔質内に金
属塩を含浸させただけでは、結局全身に拡散して濃度が
薄くなってしまうために効果が持続しない。従って、金
属塩を低溶解度の状態で生体埋入材料に固定しておくこ
とが重要になる。
【0014】本発明者は、鋭意研究の結果、スパッタリ
ングあるいは電子ビーム等での加熱蒸散による金属蒸着
層がこの目的に非常に適していることを見いだした。一
般にスパッタリングによる金属蒸着層は、以下のように
して形成させることができる。まず、一方の電極に蒸着
する金属からなる金属板を、他方の電極に基材となる生
体埋入材料を配置し、全体雰囲気を低真空状態とする。
この電極間に空気や窒素、あるいは適当な物質の希ガス
を流入させ、高周波高電圧を印加すると希ガスがプラズ
マ状態となる。このプラズマ状態の希ガスは金属板に高
エネルギー状態で衝突し、金属原子をはじき出す。この
金属原子は他方電極にある生体埋入材料に高エネルギー
状態で付着し、蒸着層を形成する。電子ビーム加熱によ
る金属蒸着は、電子ビームによる加熱で金属を蒸発させ
これを基材に蒸着させる方法で、基本的には同じ様な蒸
着態度を示す。
【0015】この金属蒸着層、特にスパッタリングによ
って形成された蒸着層は、高エネルギー状態のプラズマ
状態の金属あるいは希ガスによるいわゆるプラズマ処理
にされた生体埋入材料の活性化された表面に、高エネル
ギー状態の金属の積層によって形成されるために、蒸着
層と基材の接着及び蒸着層自身が強固なものとなる。特
にアルゴン等不活性ガスによるスパッタリングよりも窒
素ガス、空気等による蒸着層は窒化金属や酸化金属層等
の金属塩を形成しやすく、金属単体では空気中や水中の
放置で酸化して劣化しやすい金属でも強固な層を形成す
ることが可能である。
【0016】さらに、一般のスパッタリングによる蒸着
層では、希ガスとして導入した気体原子よりも金属原子
がかなり過剰に含まれる状態となる。特に希ガス導入を
行わない加熱蒸散金属の蒸着層では、金属塩はほとんど
含まれない。金属は塩状態である方が安定であり、本目
的に適しているため、基材に蒸着した金属原子に希ガス
を反応させ塩状態としてより安定な蒸着層を形成させる
ことが望ましい。具体的には、金属蒸着の際に、スパッ
タリングに関与しないように希ガスの荷電粒子をビーム
状に基材表面に照射することでこれは実現される。この
方法は高エネルギーの荷電粒子により、蒸着した金属を
さらに基材内部にたたき込む効果、一般にミキシング効
果といわれる効果があり、剥がれにくい強固な金属含有
層の形成に効果が高い。
【0017】これらの金属蒸着及び荷電粒子による金属
塩形成は、金属を含む蒸着層の形成には非常に適してい
るもの、本発明品の基材材質であるPTFEは、スパッ
タリングを含めこのような荷電粒子のように高エネルギ
ーの粒子に極端に弱い材料である。特にEPTFEの場
合、微細繊維状構造であるため、強度劣化及び構造変化
が激しく、荷電粒子あるいはプラズマ粒子は可能な限
り、低エネルギー状態にするかまたは直接基材に照射さ
れる量を制限する必要がある。
【0018】検討の結果、直接基材に照射される量を制
限する方法としては、本発明品の場合は、一般に同時に
行う方が強固に基材と接着するとされる金属蒸着と荷電
粒子の照射を別工程とし、ごく薄膜の金属蒸着層を設け
てEPTFEを保護したのちに荷電粒子を照射する方法
が基材であるEPTFEを劣化させずに金属含有層を形
成させることに有効であることがわかった。
【0019】さらに、このPTFEの電子線、紫外線を
含め高エネルギーの粒子の衝突にPTFEが劣化しやす
いというメカニズムは、PTFE自身がC−Fの強い結
合力によって周囲と反応性に乏しく、高エネルギーの粒
子の衝突で切断された主鎖C−C結合の端末が、どこと
も架橋できないで切断されたままになることによると考
えられている。逆にいうと他の材料では、官能基の結合
がPTFEほど強くないので、C−C主鎖が切れても、
周囲の側鎖官能基と結合するため、切断と架橋が両方と
も進み、主鎖切断量ほど劣化が起こらない。
【0020】このことから、PTFEの劣化を防ぐ方法
として、PTFE側鎖C−Fの反応性を高める方法が考
えられる。本発明においては、金属蒸着の際にEPTF
E基材をPTFEの融点である327℃以上に加熱した
状態で、金属蒸着あるいは荷電粒子照射を行うことで劣
化をある程度防止することが可能となる。
【0021】本発明者の検討によれば、このような方法
で形成させる金属を含む層に使用される金属は、金、白
金、銀、水銀、銅、真鍮、錫、コバルト、ニッケル等が
考えられるが、銀が特に優れている。金、白金は、生体
に対する影響が少ない分、イオンとして融解する濃度が
非常に低濃度で殺菌効果が小さく、特殊な場合を除き使
用しにくい。逆に銀を除くそれ以外の金属は融解量が大
きく、安定性・毒性に問題がある。つまり、イオンとし
て融解する速度が早いと、反応性が高く安定性を欠き大
量に析出して毒性もでてくるし、あまり融解速度が遅い
と安定すぎて効果がでにくくなり、最も適当な融解速度
を持つのが銀であるということになる。
【0022】金属層の担持量は、その使用部位や適用方
法に大きく左右されるが、金属含有層の厚みで概ね10
0オングストロームで効果が認められ、数1000オン
グストロームではほぼ効果が確実となる。ここで問題と
なるのは、PTFE以外の通常の人工材料による基材、
例えばポリエチレンテレフタレート、シリコン、ポリウ
レタン等では、むしろ生体内での分解は基材自身及びそ
れと蒸着層との界面で進行してゆき、それによって効果
が減少してゆくことである。この場合、通常は力学的強
度に影響しない人工材料のごく表面の分解でも大きく影
響を受けることになるため、本発明の目的に供される基
材は、生体内でほとんど分解劣化しないものが必要であ
る。
【0023】本発明においては、基材はEPTFEを使
用する。本発明者の検討によれば、EPTFEに蒸着さ
れた金属含有層は、ポリエチレンテレフタレート、シリ
コン等の基材に蒸着された層に比べて生体内での耐性に
優れている。逆にEPTFEは非付着性が高く、塗布等
の一般的な操作で金属含有層をこのように強固で被覆接
着することは困難である。しかし、スパッタリング及び
蒸散金属による金属蒸着、これに荷電粒子照射を組み合
わせることで、より安定でしかも均一な層を形成させる
ことが可能となる。
【0024】EPTFE基材の場合、効果を確実とする
ためには、蒸着層厚みは1000オングストローム以上
とすることが望ましい。但し、透析シャントにおける人
工血管移植のように移植後も常に感染の危険にされされ
る場合を除いて、一般に生体埋入材料の感染がはほとん
ど、移植後数ケ月以内の早期の治癒過程中に起こるもの
であるため、ほとんどの場合、100オングストローム
の蒸着で十分である。
【0025】このように作製された金属を含む層を表面
に蒸着させた生体埋入材料は、移植後抗菌性を持続的に
発揮し、しかも治癒阻害などの副作用もほとんど認めら
れず、EPTFE自身の強度も保持している。従って生
体埋入材料、例えば、心膜、腹膜、血管壁修復用のパッ
チ材、縫合糸、人工血管、人工食道、人工気管などにシ
ート状やチューブ状として好適に使用できる。しかし、
人工血管等血液と直接接触する場合には、抗血栓性につ
いて吟味する必要がある。
【0026】本発明の金属含有層表面は、血栓性が著し
く高いわけではないものの、基材であるEPTFEほど
の抗血栓性はない。しかも血液中に常に金属イオンを放
出することになる。したがって金属含有層が血液に直接
接触しない部分、つまり管状構造の外面及び多孔質内部
に被覆層を設け、内面には基材のEPTFEをそのまま
残す構造とすることで、EPTFE製人工血管と同様の
抗血栓性を保持し、しかも感染に強い人工血管とする事
が可能となる。
【0027】プラズマ蒸着やスパッタリング蒸着の場
合、蒸着ビームが回り込んで裏側や管状構造の内面にま
で蒸着されることは少ないため、このような構造の人工
血管や血管壁修復用パッチを作製することが比較的容易
である。
【0028】
【実施例】以下、本発明について、実施例および比較例
を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施
例のみに限定されるものではない。
【0029】[実施例1]市販EPTFEシート(住友
電気工業製WP−020−080)を基材とし、スパッ
タリング蒸着金属として銀、希ガスイオン源として窒素
を使用し、イオンスパッタリング装置(日立那珂精機製
E−101)にて、基材両表面に1000オングストロ
ームの銀及び窒化銀層を形成させた。
【0025】[実施例2]実施例1と同様のシートを基
材とし、スパッタリング蒸着金属として銀、希ガスイオ
ン源として空気を使用し、イオンスパッタリング装置
(日立那珂精機製E−101)にて、基材両表面に10
00オングストロームの銀及び酸化銀、窒化銀層を形成
させた。
【0026】[実施例3]実施例1と同様のシートを基
材とし、蒸着金属として銀、荷電粒子として窒素を使用
し、イオン蒸着薄膜形成装置(日新電気製IVD)に
て、金属蒸着及び荷電粒子照射を同時に行って、基材両
表面に1000オングストロームの窒化銀層を形成させ
た。
【0027】[実施例4]金属蒸着及び荷電粒子照射を
独立工程とし、順に5回繰り返すこと以外は実施例3と
同様にして、基材両表面に1000オングストロームの
窒化銀層を形成させた。
【0028】[実施例5]基材シートを340℃に加温
したこと以外はとし、実施例3と同様にして、基材両表
面に1000オングストロームの窒化銀層を形成させ
た。
【0029】[実施例6]内径4mmの市販人工血管(住
友電気工業製テクノグラフト)を基材として、スパッタ
リング蒸着金属として銀、イオン源として空気を使用
し、イオンスパッタリング装置(日立那珂精機製E−1
01)にて、基材外表面に200オングストロームの銀
及び酸化銀、窒化銀層を形成させた。
【0030】[比較例1]実施例1で使用した市販EP
TFEシートを比較例とした。
【0031】[比較例2]実施例1と同様のシートに、
サルファダイアジン銀1%クリーム(ゲーベン社製東京
田辺販売スルファジアジン銀)を多孔質内に含浸させた
のちに24時間真空乾燥させることを3回繰り返したも
のを比較例2とした。
【0032】[比較例3]実施例1と同様のシートを、
ポビドンヨード内に浸漬し、真空引きすることで多孔質
内に含浸させたものを比較例3とした。
【0033】[比較例4]基材の内外面を予め反転させ
て内面を外面としたこと以外は実施例4と同様にして、
基材内表面に200オングストロームの銀及び酸化銀、
窒化銀層を形成させた。そののち、再び内外面反転させ
て元の状態に戻した基材を、再び実施例4と同様にして
外表面にスパッタリング蒸着して、基材内表面及び外表
面に200オングストロームの銀及び酸化銀、窒化銀層
を形成させたものを比較例4とした。
【0034】引張試験機にて実施例1〜3、比較例1〜
3のシートを破断強度を引張速度1000%/分の条件
で測定した。比較例及び実施例4、5は、いずれも2.
3〜2.6kg/cmであり、基材そのままである比較例1
と変化がなかった。実施例1及び2は2.0kg/cm、実
施例3は1.8kg/cmと、強度は微減していた。このこ
とから、金属蒸着及び荷電粒子照射の独立化及び基材の
加熱は、いずれも基材強度保持に効果があった。従っ
て、同時照射及びスパッタリング蒸着の場合、強度減少
は微量であるが、適用に応じて元の基材強度を予め強く
する等の対策が必要と考えられた。
【0035】実施例1〜5、比較例1〜3の黄色ブドウ
球菌、緑膿菌、カンジタ菌に対する抗菌性を評価した。
寒天培地平板に浮遊培養にて限界密度に培養された細菌
の培養液を2ml散布し、37℃15分静置したのち
に、1cm角の各シートを培地に置いて16〜18時間3
7℃で培養した。そののち、増殖した細菌のコロニーで
覆われた培地上で、各シートの置いた部分で細菌が増殖
できなかった部分の面積を測定した。
【0036】各シートを培地から除去してリン酸緩衝生
理食塩水で洗浄し、リン酸緩衝生理食塩水中で37℃で
保存した。リン酸緩衝生理食塩水は毎日交換し、1日
後、3日後、7日後、1ケ月後、4ケ月後に同様の操作
で抗菌性を測定した。その結果、実施例1〜5では、多
少の減少傾向は見られるもの、抗菌性を持続的に維持し
ていた。特に実施例3〜5は、効果の持続性が高かっ
た。それに比較して、比較例2では最初は大きな効果が
得られるものの、3日後にはすでに効果の大半が失わ
れ、7日後にはほとんど効果が無かった。比較例3は効
果がさらに小さく、当然であるが抗菌剤のない比較例1
には抗菌性は全くなかった。結果を次頁の表1にまとめ
た。
【0037】実施例6、比較例4について、血栓性を評
価した。体重13〜17kgの家兎の腹部大動脈長さ3cm
を各チューブにて置換し、5分後に取り出し、ホルマリ
ン固定後、内面の付着血栓を目視観察したのちに、臨界
点乾燥して走査型電子顕微鏡にて内面観察を行った。
【0038】比較例4では、ところどころに赤色血栓が
散見され、全体の血栓付着量も比較的多かった。電顕観
察でも、フィブリンネットワークの形成、赤色血栓の無
い部分にも多数の血小板が付着して偽足を伸ばした活性
化状態であった。それに対して実施例4では、内面に赤
色血栓はほとんど無く、電顕観察でも不活性状態の血小
板の付着が散見される程度であり、明らかに比較例より
も血栓性が低いと考えられた。
【0039】
【表1】 実施例と比較例の抗菌性(増殖抑制面積、単
位:cm2
【0040】
【発明の効果】本発明の生体埋入材料は、無毒性、非炎
症性、生体内劣化耐性など従来の生体適合性に加え、持
続的な抗菌性をもち、従来にない極めて副作用の少ない
ものである。この効果により、例えば、心膜、腹膜、血
管壁修復用のパッチ材、縫合糸、人工血管、人工食道、
人工気管、人工靱帯などにシート状やチューブ状とし
て、高い安全性で好適に使用することが可能である。
【0041】特に金属蒸着及びこれに荷電粒子照射を組
み合わせることで持続性を向上させた場合、非常に感染
の危険にさらされやすいシャント用人工血管でも長期に
わたる透析期間中の感染症によるグラフト損失という危
険が少なくなり、シャントグラフトの長寿命化が期待で
きる。
【0042】また、本発明品は、特に生体埋入材料で有
効であるが、生体内に挿入されるあらゆる医療器具、例
えば、内視鏡やその導入チューブ、カテーテル等の安全
性向上にも広く応用可能である。
【図面の簡単な説明】
図面なし
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】削除
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 文弘 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維と該繊維が連結する結節からなる微
    細繊維状構造を有する四弗化エチレン樹脂多孔質体の表
    面に、金属あるいは金属塩を含む層を設けたことを特徴
    とする生体内埋入材料。
  2. 【請求項2】 金属を含む層が、金属蒸着層であること
    を特徴とする特許請求第1項記載の生体埋入材料。
  3. 【請求項3】 金属を含む層が、金属の蒸着と荷電粒子
    の照射によって形成された金属及び金属塩を含む層であ
    ることを特徴とする特許請求第1項記載の生体埋入材
    料。
  4. 【請求項4】 繊維と該繊維が連結する結節からなる微
    細繊維状構造を有する四弗化エチレン樹脂多孔質体の表
    面に金属を蒸着させ、しかる後、荷電粒子の照射を行う
    ことによって金属あるいは金属塩を含む層を形成するこ
    とを特徴とする生体埋入材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属の蒸着及び荷電粒子の照射を行う際
    に四弗化エチレン樹脂多孔質体をその融点以上に加熱し
    て金属及び金属塩を含む層を形成することを特徴とする
    特許請求第4項記載の生体埋入材料の製造方法。
JP5148994A 1993-06-21 1993-06-21 生体埋入材料及びその製造方法 Pending JPH07500A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7722934B2 (en) 2002-08-30 2010-05-25 Riken Biological repair material compatible with biological tissue adhesive

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7722934B2 (en) 2002-08-30 2010-05-25 Riken Biological repair material compatible with biological tissue adhesive

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