【発明の詳細な説明】
密閉胴体を有する格納型注射器
発明の背景
今日、注射器を使用することによる医者や看護婦に及ぶ危険性が大きく認識され
るようになってきている。すなわち、連続して使用する者を除いて、エイズや肝
炎等の伝染性の病気が注射器の再使用により悲惨な状況をもたらしてきたからで
ある。しかしながら、このような危険性やその他の問題にもかかわらず、これま
で多年にわたり販売されてきた通常の注射器がいまだに大量に使用され、その状
態は依然として変化していない。このような注射器には取り外し可能なさやを使
用できるが、使用した皮下注射用の針をこのさやに戻そうとするような場合に、
しばしば、不用意に針にささるような事態が起こることを効果的に防止する対策
に欠けている。また、このようなさやは皮下注射用の針の危険かつ有害な再使用
を防止する上での対策にも欠けているといえる。
注射器の胴体に注射針もしくは注射針ホルダを格納し得る注射器の構成として、
注射針を胴体に格納できる米国特許第4838870号および4650468号
、あるいは、注射針ホルダを胴体に格納する米国特許第4747830号および
4790822号が挙げられる。なお、後者の米国特許第4747830号およ
び4790822号はプランジャシャフト端部の破断および注射針とホルダとの
胴体中における保持に?いて付加的に開示するものである。
注射針若しくは注射針のハウジングを注射器の胴体中に収納することは理論的に
有利である。しかしながら、実際には、上述の特許に開示された構成はその作用
面において実用的でなく、製造する上でコスト高であり、注射針や注射針ホルダ
の格納した後に注射器の胴体中に必要量の流体を収容する余地を残すという点で
問題がある。
さらに、これらの新しい構成は従来の通常の注射器に比してその動作が大きくこ
となるために、その使用の妥当性を訴えるには安全性の確保の点でまだ不十分で
あった。
すなわち、これら特許に開示される注射針を胴体に引き込む構成は非常に複雑な
機構を有しているために、製造コストがかさみ、操作面で実用性に欠ける。加え
て、注射針をつかんで胴体中に格納するための機構はかなりかさばるために、注
射器により十分量の流体を注射することが困難である。すなわち、このような格
納により、胴体中の必要量の液体が後に漏れ出すことになる。たとえ、この液体
が胴体中に保持されるとしても、処分等の望ましからぬ状況下において胴体から
流出することもある。要するに、注射器は極めて単純な装置であり、その構成及
び動作が簡単で安価に製造できることが必要とされる。さもなければ、毎年大量
に使用される注射器の広範な需要に適さないからである。
上述した胴体中に注射針若しくは注射針ホルダ全体を格納する方法を開示した特
許は、格納を行う機構が複雑であるとともに、製造コストがかさみ、操作面での
失敗を引き起こし易い。これらの機構においては、胴体の前端部が壊れ易い構成
であることを要するものがある。しかしながら、このような構成の胴体は必ずし
も妥当なコストで製造できるとは言えず、また、容易に破壊できるとは限らない
。さらに、このような壊れ易い部分によって、胴体の極めて重要な部分の構造が
弱くなり、破壊後には胴体の封止ができなくなるという問題があった。また、上
述の機構においては、プランジャシャフトを壊して胴体を作動不能とし、注射針
やホルダが胴体の前端部から外部に押し戻されないようにすることを要するもの
がある。しかしながら、このような機構においてプランジャシャフトを破壊する
ことは実用的に困難である。たとえ前記シャフトを破壊することが可能でも、こ
のような行為をすることは注射器の使用者にとって気のすすまないことである。
つまり、使用者は固定されていない注射針や注射針ホルダが胴体から飛び出した
り、このような皮下注射針が偶然にささるという事態を当然に予想するからであ
る。さらに、このような胴体中に注射針やホルダを格納する機構においては、格
納の後に、胴体がその一端において開放状態となる。したがって、内部の液体が
外気にふれて汚染されるおそれがある。このことからも、胴体中に注射針やホル
ダを格納するこれら二つの機構は注射器の構成を複雑かつコスト高にしており、
その価格および複雑さは将来における使用の実現をおよそ予想させない程度であ
る。
それゆえ、注射針や注射針ホルダを容易かつ迅速に積極的に注射器の胴体中に封
止状態で格納できる新規の改良された注射器の実現が要求されており、このよう
な注射器は、ピストンからシャフトを容易に破壊して除いて注射器をその後にお
いて使用不可とし、前記注射器の開放した前端部を封止して注射針やホルダが不
用意に前記前端部から飛び出さないようにする単純かつ容易な手段を供与する手
段を有しており、比較的安価に製造でき、操作が単純で分かり易く、すなわち、
使用において安全かつ容易であり、胴体からの最大量の液体の注射が可能であり
、前記注射ホルダが胴体中に不用意に引き込まれることを防止し、格納された注
射針を前記胴体中に保持し、前記胴体中の注射針および液体を封止し、さらに、
封止状態で処分できる。
発明の概要
本発明は格納型注射器を提供するものであり、この注射器においては、注射針ホ
ルダが移動可能に配置されかつその前端部において固定され、ピストンおよびシ
ャフトが前記注射器におけるプランジャとして作用して通常の方法により液体を
引き込みかつ投与する。このような注射器を使用して液体を投与する場合は、ピ
ストンを注射針ホルダに通常の方法で係合させるに要するカよりも僅かに大きな
力で前記プランジャが押し込まれる。前記プランジャはその後ピストンとこれに
連結した注射針ホルダを引っ張ることにより引き戻され、胴体の前端で移動可能
に結合した開放端部から離れる。その後、前記ピストンと注射針の係合体は胴体
の後方開放部の近傍に格納され、同所において上記シャフトの脆弱化部分がピス
トンの近傍において迅速容易に破壊される。而して、ピストンはその位置を保持
しながら前記胴体の後方開放部を封止し、かつ、前記注射針ホルダが前記胴体の
後方端部から外方に移動することを規制する。なお、シャフトの自由端部はその
後胴体の前端開放部に挿入され、前記シャフトに取り付けた封止手段が胴体の前
端開放部に位置して、胴体を封止するとともに、シャフトを注射針ホルダの胴体
中における移動を抑止する位置に係止する。
これらすべての操作は単純かつ分かり易い機構を用いて簡単容易に行うことがで
き、しかも、この種の注射器の構造における被破壊構成要素について本質的に困
難であった主たる破壊機構を必要としていない。すなわち、本発明の注射器にお
ける主眼点は胴体部の一端におけるピストンによる係止および封止機構、同胴体
部の他端部におけるシャフトによる係止および封止機構、ならびに、胴体中にお
けるシャフトの注射針若しくは注射針ホルダへの突接機構および注射針の保持機
構である。なお、全体のパッケージは安全かつ容易な方法により処分すことがで
きる。
さらに、前記注射器は使用後においてその注射針の端部を被覆するさやを使用す
る必要がなく、同注射器や注射針の再使用を防止し、さらに、同注射器内に既に
存していた注射器針や液体が使用済みの注射器の処分地において放出され拡散す
ることを規制する。
したがって、本発明の目的は従来の他の格納型注射器の欠点を解消する新規の改
良された格納型注射器を提供することである。
本発明の他の目的および利点は以下の詳細な説明および図面を参照することによ
り一層明らかとなる。なお、図面における同一図形は同一部分を示す。
図面の簡単な説明
第1図は部分的に破断した本発明の格納型注射器の側面図である。
第2図は第1図の2−2線における拡大断面図である。
第3図は第1図の3−3線における拡大断面図である。
第4図は第1図の4−4線における拡大断面図である。
第5図は第1図の5−5線における拡大断面図である。
第6図はプランジャのピストン端部の斜視図である。
第7図は注射針キャリヤの斜視図である。
第8図は注射器本体の長手方向の断面図であり、注射器針キャリヤの初期挿入状
態を示している。
第9図は第5図の類似図であり、ピストンが注射器針キャリヤと係合している。
第10図も類似図であり、ピストンとシャフトが引き戻され、注射器針キャリヤ
と注射器針が本体内部に格納された状態になっている。
第11図も類似図であり、ピストンシャフトが破断され、ピストンおよび注射器
針キャリヤが格納状態で係止されている。
第12図も類似図であり、シャフト部分が本体の反対側の端部から挿入され係止
されて、注射針が封入される。
第13図は第12図の13−13線における断面図である。
第14図は第5図の類似図であり、ピストンと注射針ホルダの間の変形した係合
手段と液体の射出状況を示している。
第15図は第14図の類似図であり、ピストンと注射針ホルダがインターロック
された状態を示している。
第16図は第14図の類似図であり、変形したピストンリングと注射器内への液
体の引き込みを示している。
第17図は第16図の一部の拡大図であり、ピストンリングの細部を示している
。
第18図は第16図の構造の側面図であり、ピストンリングの容量インジケータ
としての使用を示している。
第19図はピストンの変形例の側面図である。
第20図は第11図の類似図であり、ピストンがこれに連結した注射針ホルダと
ともに注射器内で保持された状態を示している。
第21図は注射器の端面図であり、本体に沿ったプランジャの方向を示している
。
第22図は使用前の注射針をさやにより保護した状態を部分的に断面で現した側
面図である。
第23図は注射針のさやの変形例を示す類似図である。
第24図は第23図の24−24線における断面図である。
第25図は第17図と類似する断面図であり、異なる「0」リングを示している
。
第26図は第6図と類似する斜視図であり、異なる脆弱化部分を示している。
第27図は第19図と類似する側面図であり、異なる脆弱化部分を示している。
第28図は第27図の28−28線における断面図である。
第29図は第16図の29−29線における断面図である。
第30図は第1図と類似する側面図であり、胴体およびシャフトの安定化構造の
変形例を示している。
第31図は第11図および31図と類似しており、新規の実施例における変形さ
れたピストンおよび注射針ホルダの内部接続構造を示している。
第32図は第5図と類似する側断面図であり、第31図の変形例を示している。
好ましい実施態様の説明
第1図は中空の注射器胴体部12を有する格納型注射器10を示す。この胴体部
および注射器における他の適当な部分はポリプロピレン等のプラスチック材料に
より形成されている。前記注射器胴体部12は前端部15と後端開口部17とを
有する。また、注射針ホルダ18がこの前端部に移動可能に配置されている。一
方、移動可能のプランジャがシャフト14と連結しているO−リングシールを備
えるピストン24を有しており、前記シャフトは胴体部12の開口端部17から
外方に延出している。前記ピストン24は、シャフト14の端部において親指に
より駆動される作動面16と胴体部の開口端部17に存するフィンガーグリップ
26との共同作用により、注射器の作動において、押し出されたり引き戻された
りする。前記ピストン24は後に詳述する注射針ホルダ18の端部32を把持す
る手段を備えており、前記注射針ホルダを後方に引いて、注射針ホルダ18、注
射針ハウジング20および注射針22のすべてを第11図に示すごとく胴体部内
に格納された状態にする。注射針ホルダがこの位置にあるとき、注射針22は完
全に胴体部12の内部に封入されている。その後、シャフト14がピストン24
から破断され、前記シャフト14の破壊された自由端部が胴体部12の前端開口
部15より挿入される。
このようにして、胴体部の前端開口部が前記シャフトにより封止られ、胴体部の
後端開口部がピストンにより封止られて、注射針の胴体部内に封入して格納され
た状態が確保される。すなわち、胴体部の各端部がピストンとシャフトによりそ
れぞれ封止されるので、注射針や残存する液体が前記胴体部中に封じ込められる
。これにより、胴体部の廃棄処分の準備が整う。
なお、他の実施態様においては、ピストンおよびこれに連結した注射針ホルダを
胴体部中に係止可能にしてもよく、あるいは、胴体部の後端開口部から引き出せ
ないようにすることも可能である。また、分離型「C」クリップ係止手段が注射
針を、注射器の使用者が移動するまで、移動可能な連結部から移動しないように
している。
さらに、胴体部と注射針ホルダとの間の間隙は「0」リングシールにより封じら
れている。
また、さらに他の実施態様においては、第31図および32図に示すごとく、注
射針ホルダ152の後端部が上記の把持手段、すなわち指部148および150
、を備えている。この場合、ピストン142の前端部近傍には外周スロット14
4を備える突出部が設けられている。
而して、前記指部はピストン142の端部を把持し、前記ピストンと注射針ホル
ダとを一体に係止する。その後、プランジャがピストン142とこれに固定され
た注射針ホルダ152とを注射器の開口端部から前述のごとき格納位置まで後方
に引く。
次に、第1図、5図、6図および9図において、ピストン24はO−リング48
を保持する外周溝49を備えている。前記O−リング48は適当な材料であれば
何でもよく、前記ピストンと胴体部】、2の内面との間における移動可能なシー
ル材として機能する。ただし、前記O−リングは好ましくはゴムから成る。つま
り、ゴム材はプラスチック製胴体部に対して、プラスチック対プラスチックの場
合よりも良好なシール材として機能することが知られているからである。なお、
前記溝49は十分な幅と深さを備えており、O−リング48が前記溝からはずれ
ないようになっている。また、O−リング48は胴体部の内面を拭くワイパーと
して機能し、これに伴って、液体がピストンの動作により当中空の注射器胴体部
12の中にあるいは外に移動する。さらに、ピストン24は軸中心の四部56を
備えており、この凹部は、この注射器の一実施例において、後に詳述する第14
図、15図および16図に示すようにナツトタイプ整合部94を受け入れてこれ
と共同作用する。前記ピストン24の前端には一対の弓形部材30および31が
備えられており、その各々が内側ショルダ一部33を備える指部を形成している
。さらに、前記ショルダ一部は互いに共同して注射針ホルダ18の後端部上の後
端カム面27を摺動する。
第3図に示すごとく、これらの指部30および31は十分な弾性力を有しており
、カム面27に沿って変形して外側から注射針ホルダ18の溝32に嵌合するよ
うになっている。しかしながら、これらの指部30および31は弓形の部分のみ
であり、後に詳細に述べる理由によって、溝32の全外周を覆うことはない。
また、ピストンは一対のリム57および59の間に外周スロット65を備えてお
り、その外径は胴体部の内径よりも若干小さく設定されている。また、これらの
リム57および59はピストン動作に対して長手方向における安定性を与え、後
述する他の機能をも供与する。さらに、ピストン24は、第4図および第5図に
示すごとく、ピストンシャフト14に一対の半径方向に離間する脆弱化部位37
および38を介して連結されている。一方、これらの脆弱化部位は複数の内部接
続した薄型部材に接続しており、前記部材は胴体部の内面に対応した長方形状に
形成されている。また、このような組合せ式の内部接続薄型部材は第2図に示す
ごとく周面におよぶ断面領域を形成し、各部材はその長手方向の端部に沿って互
いに連結している。すなわち、薄型部材90は薄型部材86の側縁に連結してお
り、この部材86は薄型部材88に連結しており、この部材88は薄型部材87
に連結しており、さらに、この部材87は側方に突出する薄型部材89を有して
いる。すなわち、このような組合せシャフトの構造40により、ピストン24の
移動の際の折り曲げ力に対して横方向の剛性が与えられることが理解できる。ま
た、このような形状にすることにより、第12図に示すごとく胴体部の開口端部
に前記シャフト24が挿入された時に、胴体部12の内部に注射針の端部や注射
針ハウジング20を収容し得る空間が与えられる。さらに、カラーまたはディス
ク34および42がシャフト14にモールド形成されており、外方に延出して第
1図および2図に示すごとく胴体部12内のシャフトの中心位置を決めている。
第1図、4図、5図および6図に戻って、上述の薄型部材37および38から成
る脆弱化部位は半径方向に配され、比較的小さな断面形状を有する。これらの薄
型部材は任意の方向に横方向の折り曲げ力が加えられた時に破壊することができ
る。ただし、シャフト14における第2図により前述した他の断面形状はこのよ
うな横方向の折り曲げ力に耐えることができる。これらの薄型部材37および3
8はさらにその片面または両面に各々刻みが入れられて、これらの脆弱化部位を
さらに破壊しやすくしている。また、この脆弱化部位はシャフトの残部をピスト
ン24の後端面に内部接続しているため、シャフトはピストンの近傍位置で破壊
することができる。
なお、他の実施態様においては、第26図、27図および28図に示すごとく、
主に横方向の安定性を付加するために、変形した脆弱化部位が当落型部材37お
よび38の代わりに使用されている。この実施態様においては、薄型部材37お
よび38にそれぞれ対応する薄型部材138および140が断面rLJ形状に形
成されている。各部位に対応するrLJ形状の底部は隣接する薄型部材86およ
び87と一体になっている。さらに、各rLJ字形部材は139および141に
おりる外端部151を除くすべての面に刻みが入れられて前述したようなシャフ
トの破壊を容易にしている。
また、胴体部12の後端開口部17はV字形内面37を有しており、この内面は
前記開口部の内径を狭めている。さらに、それぞれのカラー34および42はリ
ング表面36の内径よりも小さい外径を有しており、それゆえ自由にこれを通過
することができる。しかしながら、ピストン24がより大きな直径のリム57お
よび59を有しているので、これらがピストンをV−字形リング面36を通って
開口端部17から外出することを規制している。一実施態様においては、第9図
および10図に示すごとく、リム57の直径がリング面36の内径よりもやや大
きく、また、リム57が斜めの外端面を備えているので、リム57はV−字形リ
ング36に対してカム状に接触することができる。而して、前記内側V−字形突
出部36はスロット65に嵌合する。一方、ピストンリム59の形状は比較的方
形状であり、■−字形突出部36の側面に接し、開口部17における通過を防止
する。
このことはピストンを胴体部12の後端開口部17に対して有効に係止する。
したがって、端部16を介する引っ張り力がプランジャを引くと、シャフト14
が開口端部17を通過して、ピストンが引き戻される。その後、末端リム57が
V−字形突出部36の側面に接触する。そして、さらに力をわずかに加えると、
リム57はその斜めの面をV−字形リング36の内面にカム状に接しながら開口
部17を通過して引き戻される。このことによって、■−字形リングは前述した
ように固定され、ピストン24が開口部36において係止され保持される。なお
、スロット65の外端部が備えるリング面36の側面に対する弾性力は液体が開
口端部17から流出しない程度のシール性を有する。さらに、0−リング48も
液体が開口端部17を通過して胴体部12から流出することを防ぐ機能を有する
。
すなわち、ピストン24は胴体部の開口端部17における規制ネック部36を介
してピストンを押し込むことにより胴体部12中に初期的に挿入される。この操
作はシャフト24を介してピストンに相当な力を長手方向に沿って加えることに
より実行できる。つまり、この力はピストンとその外部リム57および59とを
ネック部36に通過させるに十分なものである。ただし、ネック部36は、スロ
ット65に嵌合すると、ピストンを基本的に係止して固定しかつ封止された状態
にするため、ピストンは注射器の通常の操作においてピストンに加えられる通常
の力では保持されたままの状態となる。また、このような係止状態からピストン
を移動するに要する力、例えば、その初期的挿入時においてネック部39を通過
してピストンを挿入するに要する力は、注射器の通常の操作では発生しえないも
のである。
なお、第19図および20図に示すごとき他の実施態様においては、ピストンは
異なる形状のリム部材92を備えており、前記部材は斜めの端面を有しておらず
、また、リム59の外径に概ね相当する外径を備えている。
したがって、ピストンの後方移動においては、リム92の外端面がリング36の
面に接して、ピストンのリング92がリング状突出部36を抜けて開口端部17
から出るのを防いでいる。したがって、この実施態様においては、リング状突出
部36はスロット65に嵌合することはなく、ピストンは胴体部の後端開口部に
係止されない。
むしろ、ピストンは胴体部の開口端部に引き込まれて、その位置で保持される。
なお、シャフト14が破断されると、0−リング88は胴体部12の内面に対し
て十分な外向きの圧力を生じるので、ピストン24が胴体部内の長手方向の移動
に対して保持され、液体の流出が防止される。
注射針22は注射針ハウジング20に従来知られる方法により保持されている。
また、注射針ホルダ18は内部ねじ部をその前端に有しており、ハウジング20
の標準端部64を受容する。すなわち、注射針ハウジング20はねじ部60内に
係合して保持される。ねじ部60は異なる標準の注射針ハウジングの各種構成を
保持し内部接続するべく構成されている。なお、注射針ホルダ18は第1外周溝
68を備える円錐状の前部外端面を有している。前記溝68は前方に傾斜したカ
ム面82と後方に隣接する部位28とを備えており、この部位はO−リング50
を保持するための0−リング受容部の一側面を形成している。前記胴体部の開口
部15は縮小径端部51を備えており、この端部51はリップ部58を備えるネ
ック部を末端にしている。さらに、リップ部58は注射針ホルダの溝82に嵌合
するフック部78を備えている。
さらに、リップ部58の内部端面は外側に傾斜したリム面を備えており、このリ
ム面はカム面82と共同して注射針ホルダ18を着脱可能に保持する。この場合
、ホルダ18を胴体部12の開口端部15に挿入する際に、ホルダ18の前端部
の傾斜面がリップ部58の内面に接触し、開口部とカム接触して保持される。胴
体部を構成する材料はたわんだリップ部58を元の状態に戻せる程度に柔軟性を
有するものである。このことにより、リップ部58がスロット82に嵌合し、リ
ングスロット28の表面が係止され、さらに、注射針ホルダが胴体部12の開口
端部15において長手方向に移動しないように保持される。注射ホルダ18が上
述のごとく胴体部12内に後方に引き込まれると、リップ58のカム面が凹部8
2の傾斜面にカム状に接触して、ホルダ18は開口部15を抜けて胴体部12内
に入る。このとき、O−リング50は開口端部15における液体シールを形成す
る。この場合も、0−リングはゴムであることが好ましい。さらに、O−リング
は注射針ホルダの後方の移動中においてホルダのまわりの液体シールを維持する
。
また、注射針ホルダ18は注射針ハウジング20および注射針22に連通ずる液
体流路72をその中心軸に備えている。さらに、流路72は液体を胴体部12の
内部に送り込みかつそこから送り出す放射状の流通路52に連通している。ピス
トン24が矢印118の方向に引かれると、内部46が減圧される。この結果、
液体が注射針22、流通路72および52を介して内部46に送り込まれ、胴体
部が液体で満たされる。さらに、液体の送出若しくは注射の場合は、シャフト1
4の端部16がフィンガーホールド26に向けて押し込まれ、ピストンヘッド2
4が第4図に示すごとく矢印96に沿って移動する。この結果、液体は放射状流
通路52および流路72さらに注射針22を介して流出する。この送出操作の終
点においては、シャフトにかける長手方向の押圧力を増加して、指部31が注射
針ホルダ18の後端部表面32にカム接触しながらこれを越えるようにし、かつ
、その外周スロット32に係合することができる。このように注射針ホルダ18
が指部30によって把持されている間、ホルダはピストン24に固定される。そ
れゆえ、ピストン24が後方に引かれると、ピストンは注射針ホルダとともに移
動し、ホルダが胴体部の開口端部15のリップ部58にカム接触しながら圧し広
げる。この結果、注射針ホルダ20および注射針22が第11図に示すごとく封
入状態になる。
この場合、ピストンの指部に注射針ホルダを把持させるに要する力は注射器の使
用者が意図的にかつ調節しながら加えられる程度の大きさである。それゆえ、ピ
ストンが誤って注射針ホルダに連結することは通常ありえない。
注射器の操作においては、胴体部内の液体が見えることが望ましく、特に胴体部
の内部46における前端部においてそのことが言える。この点、本発明の胴体部
は透明であり、それゆえ、胴体部の内部の観察がその側面を通して行うことがで
き、特に、流通路52において可能である。このため、空気若しくは液体が胴体
部の前端に存在しているかどうか、あるいは、空気が胴体部から流出しているか
どうかがわかる。なお、空気の泡を胴体部10から除去する場合は、注射針を上
向きにし、ピストン24を移動して液体が注射針22から流れ出るようにして空
気を追い出す。この操作においては、流通路52のまわりの内部が観察可能であ
ることが必要であり、これによって、胴体部の端部に空気が全く存在しないこと
が確かめられる。また、上記指部30および31が第1図に示すごとく配列され
ていることも必要であり、これによって、内部48および流通路52が妨害物な
く観察できる。したがって、注射器の初期構成においては、プランジャすなわち
ピストンが親指押圧部16の回転によって配置され、さらに、このことにより指
部30および31が溝内に配置されるため、流通路52が遮蔽されることがない
。なお、図面においては、単一の流通路52が液体を内部48から流路72に移
送するべく示されている。もちろん、注射針ホルダの端部を介して複数の流通路
が存在してもよいと考えられるが、この好ましい実施態様では、単一の流通路の
方が内部48から流路72に液体や空気を移送するのに好適であり、注射器の操
作の際に空気の泡を内部に残さないと知られていることから、単一流通路が設け
られている。
本発明の他の実施態様においては、第31図および32図に示すごとく、胴体部
12がまっすぐな円筒状の内部表面を有しており、第1図の内側V型突出部36
が無い。この実施例においては、胴体部がくぼみ47と内側突出部45とを備え
ている。この場合、胴体部12を形成する材料は丈夫で、耐久性に優れ、若干の
圧延性と弾性とを有する材料である。したがって、一般に知られるディンプル装
置により胴体部12の側面を打ち込むことができ、くぼみ47と内側突出部45
とを形成することが可能となる。それゆえ、第31図に示すごとく、ピストン2
4の後部リング部材157は、第20図に示すリング57として示される外形を
備え、移動して内側突出部45に係合する。その結果、使用者に明らかに思われ
る程度に大きく意図的な力を要することなく、ピストンが胴体部12から引き抜
かれることを防止できる。つまり、ディンプル機能が、通常の動作においてピス
トンが胴体部12から抜き出されることを防止する。また、この実施態様におい
ては、ディスク34および42がくぼみに当接する距離よりもわずかに小さな直
径を有しているため、ディスク34および42は内側突出部45の間の開口部を
通過する。このことはリング状またはディスク状部材45にも適用される。リン
グ状またはディスク状部材45はシャフトの端部に近い位置においてシャフトに
固定される第2カラーまたはディスク部材であり、リング45は胴体部42の内
部46におけるシャフトの長手方向の移動においてシャフトの横方向の移動に対
する安定性を付加するべく機能する。
本発明の他の特徴においては、上記注射針ホルダ18は外周溝68内にスロット
67を備えており、溝は胴体部12のリップ部58にモールド形成したキー54
を受容する(第1図、11図および20図参照)。組合せ状態においては、キー
54は位置決め手段92または94によってキースロット67内に嵌合され、位
置決め手段は注射針ホルダを胴体部に対して回転する。このことによって、注射
針ハウジングの端部が内部ねじ付き凹部64にねじ込まれると、注射針ホルダが
係止され、注射針ホルダ18の回転が止められる。このことはまた上記流通路5
2の胴体部12への配置を可能にし、フィンガーグリップ26が親指押圧部16
上のバー62に対して位置合わせされ、指部30および31が注射針ホルダ18
および流通路52に対して正確に方向付けられる。
ホルダ18を胴体部12の前端開口部15に挿入する際には、雄型キードライバ
ー等の器具がホルダ18の後端部における凹部92の形状に嵌合し、かつ、これ
と共同して作用する。このことは、注射針ホルダの前端部がリップ部58を抜i
Jて移動する補助となり、ホルダがキー54がホルダのスロット67内に嵌合す
る位置まで回転することを可能にする。
他の実施態様においては、第1.4図および15図に示すごとく、ナツト型端部
94が注射針ホルダ18の後端部から外側に突出している。適当なレンチでナツ
ト94を回転することにより注射針ホルダ18を押し込んで位置決めするととも
に、スロット67を回転してキー54に位置合わせする。さらに、端部54はピ
ストン24の端部の内部56をほぼ完全に充填するので、液体が注射針22から
送出された後に、あるいは、ピストンが注射針ホルダと係合してホルダと注射針
とが胴体部12内に引き込まれた後に、胴体部12の内部46に残存する液体の
量を低減する。なお、注射針ホルダと注射針を胴体部12内に引き込む際には、
注射器内部から液体をできるだけ排出しておくことが望ましい。
さらに他の実施態様においては、ピストン24内のO−リング48が第16図お
よび17図に示すごとき分割されたO−リングから成る。この0−リングスロッ
ト121は、好ましくはO−リングゴムから形成されており、第14図の半径方
向のスロット49よりも大きく、また、0−リング120はより幅広の長方形状
の断面を有している。さらに、0−リング126の外周面には溝122が設けら
れている。この溝は一対の外部接触面124および126を与え、さらに、ピス
トン24により移動する液体を拭きかつ封じるための分離した拭き取り組合せ面
を与える。さらに、端部における傾斜面128は内部46における引き抜き処理
によるO−リング120の後端部のめくれを規制する。さらに、外周溝122は
胴体部上の計量線130に従い内部の液体の量を計測するための端部123を備
えている。なお、変形された実施態様においては、ピストン24上のO−リング
120に代わってO−リング136が用いられている。O−リング136は0−
リング126と同一の作用上の利点を与え、対称で簡単に配備することができる
。
また、0−リング120並びにO−リング48の側端部はピストン24の動作に
よるO−リングの回転移動を規制するように構成されている。さらに、第16図
および第17図に示す分割O−リング120の利点はこのような回転移動をさら
に規制するとともに、ピストン24の位置と液量線との関係を示す二重シール構
造を実現している。また、分割O−リング126のより幅広の接触面が胴体部と
のより幅広の接触面を提供する。このことにより、ピストンが格納されシャフト
が破断された後にピストンが胴体部の開口端部17内に係止されていない状態に
おいて、ピストン上の保持力が増加される。加えて、このより幅広の面接触はピ
ストンの側方への移動に対してこれを保持するので、ピストンおよび注射針が胴
体部内に格納されシャフトが破断された状態において、落下環に対する注射針の
保持力が増加する。
次いで第1図および第12図に基づいて説明する。シャフトが破断され、その自
由端部が胴体部12の前端開口部15に挿入された状態において、二つのカラー
若しくはディスク部材34および42は開口端部のネック部若しくはリップ部5
8にシャフトを係止するように作用する。ディスク34は第2図に示すごとく固
体の構成を有しており、傾斜面を備えている。この傾斜面はリップ部58と接触
してディスク34を開口部に通過させることを可能にする。このことにより、リ
ップ部58が空間部44に係止され、ディスク面34および42の側面により封
止面が形成される。なお、これらの両ディスクは固体であるので、二重シール構
造がディスク34および42により構成できる。
本発明はまた注射針カバーまたは注射器カバー100を含む。カバーは閉塞端部
102と注射針ホルダ18の円錐状外面に嵌合する内部形状を有する開口端部1
03とを備え、さらに、胴体部12のリップ部58の前面に接するリングショル
ダー106を備えている。この場合、注射針カバー若しくはさや100の端部に
衝撃が加えられても、胴体部の前部に衝撃力が直接に伝わるだけで、注射針ホル
ダ18には後ろ向きの力は何ら加わらない。
このため、この状態においては、注射針ホルダはリップ部58から離脱すること
がない。
他の実施態様においては、第23図および第24図に示すごとく、第3の溝部1
10が注射針ホルダの端部に備えられている。溝110はスナップハーフリング
若しくはC−クリップ108を受容する。一方、C−クリップは溝部110に嵌
合して保持される形状を備え、溝の外周の172よりも僅かに大きな外周を有し
ている。さらに、スナップリングは開口部を備えており、溝110に横方向から
装着することが可能である。この状態において、注射針ハウジング118は胴体
部12の端部17におけるリップ状係合部58をカム状に通過するような後方の
動きを規制される。さらに、このことにより、標準的な注射針のさや114が注
射針ホルダ120上に装着できる。また、保持クリップ112は外方に突出する
ノブ116を備えており、ノブはスナップリング112を溝110に嵌合する際
に使用者により押圧される。なお、このリングは注射針ハウジングをピストンに
より注射器の胴体部内に引き込む際に離脱できる。
C−クリップを備える注射器を使用する場合は、使用者はピストンを胴体部中に
前方に押し出すことにより空気を追い出す。この処理において、使用者がピスト
ンを急速に動かしたり、極めて大きな力で押したりすると、ピストンと注射針ホ
ルダが係合してしまうおそれがある。
しかしながら、このC−クリップが備えられていれば、使用者はピストンを後方
に多少強くではあるが引くことにより、注射針ホルダをC−クリップで保持した
状態のまま上記指部がカム状に外れて、ピストンが注射針ホルダから離脱し、注
射器が元の状態に戻り使用できる状態になる。
さらに、注射器の通常の使用において、使用者は普通に注射器を刺して投薬する
ことができる。投薬後、使用者は通常その左手で胴体部の側部をつがんで右手の
親指でプランジャを押したまま、液薬を投与された人がら注射器を引き抜く。こ
のようにして注射器と注射針を抜き取った後、使用者はプランジャと注射針ホル
ダとが係合するに足る力でプランジャをさらに前方に押し出す。その後、使用者
は左手を胴体部に添えたまま、上記ノブを親指で端に押すだけでC−クリップを
上記溝部がら取り外すことができる。このようにして、注射針ホルダがC−クリ
ップから解放され、ピストンの後方への引っ張り力により胴体部中に格納するこ
とが可能になる。
発明の作用
組み込み処理時においては、胴体部12および注射器10は注射針ハウジング1
8を胴体部12の後端開口部17を通して収容する。この場合、リップ部58を
ハウジング18の外周溝に弾性的に押し込む適当な部材が使用されているため、
ハウジング18は移動可能な状態になっている。この場合、適当なレンチがハウ
ジング18を胴体部内に挿入するために使用することができ、また、ハウジング
18をキー54およびスロット68により設定される適正な方向に回転するべく
使用できる。次いで、シャフト14とピストン24が指圧端部16により回転さ
れてフィンガーフランジ26と適正に整合され、流通路52と指部30および3
1とが位置合わせされる。
その後、シャフト14がピストン48を胴体部12内においてハウジング18の
後端部27の近接位置まで押し出す。次に、ピストン24により液体を注射針2
2を通して胴体部12の内部46に引き込む。液体を胴体内部46に引き込んだ
後、液体を注射針22から出しながら空気を内部46から除くために、プランジ
ャを親指押圧部16およびシャフト14により前方に押し出す。この場合、液体
は流通路52および72を抜けて注射針22から流出する。その後、液体は第1
8図に示すごとき計量単位により決定される量でピストン24を移動することに
より注射器の通常の操作によって注射される。所望量の液体を注射針22を介し
て押し出した後、残存する液体を注射針ハウジング18の端部32にピストン2
4をさらに押し出すことにより排出し、これと同時に、指部30および31をハ
ウジング18の端部に係合する。
このように連結したのち、シャフト14を後方に引くことによりプランジャ24
を後退させる。この際に要する力はリップ部58をスロット68からカム状に離
脱させるに足るものであればよく、これにより、注射針ハウジング18が開口端
部15を通過して後退し、注射針が胴体部12内の格納位置に完全に収容される
。
一実施態様においては、ピストンは第11図に示すごとく胴体部12後端の縮小
した直径部に当接する。また、第10図に示す実施態様においては、シャフト1
4およびピストン24にさらに大きな力が加えられて同図示のごとき係止状態と
なる。いずれの状態においても、シャフト部14の脆弱化部分37および38は
胴体部12の開口端部に位置する。その後、シャフト14をピストン24に対し
て横方向に折り曲げて脆弱化部分37および38をその刻み線39に沿って破断
する。このようにしてシャフト14をピストン24から取り外した後、第12図
に示すごとく胴体部12の開口された端部17に挿入する。この際、シャフトは
第13図に示すごとく注射針22を中央に位置させたままこれと複合的に胴体部
内に直接挿入できる。次いで、カラー54の傾斜した端部をリップ部58を通し
て滑り入れる。この場合、カラー42の外径がカラー34の外径よりも大きいの
で、リップ部58はスロット44内に固定される。このようにして、シャフト1
4は胴体部12の開口端部に係止される。
さらに、カラー34および42が固体であるので、カラー34および42とリッ
プ部58との間の接触により液体シール構造が形成される。なお、注射針22は
その中央部において支持されていないが、その状態にかかわらず、シャフト14
の中央の空間84がその一側面に設けられているので、この中に注射針は嵌入す
る。また、O−リング48が第11図に示すごとく胴体部12の他端部をシール
するので、注射針22は液体シールされた胴体部12内に保持され、胴体部12
の両端部により長手方向の動きを規制されている。この状態において、注射器は
もはや使用不能となり、また、注射針の外部との接触が防止されるので、ユニッ
ト全体を投棄することが可能となる。したがって、注射器を取り扱う人間は注射
器による不意の事故から保護され、注射器は液体を流出することなく投棄するこ
とができ、注射器の再使用が不能となる。
また、注射針や注射針ホルダさらにはそのハウジングを被覆できるさやを備える
ことによって、注射器の端部に加わるいかなる力も吸収でき、その結果、注射針
ホルダが外れたり注射器の中に移動することがなくなる。同様に、他の実施態様
においては、付加的な係止クリップが使用されてホルダが注射器内に不意に移動
させるような力が注射器に加わらないようにしている。さらに、一実施態様にお
いては、係止部が注射器から除去された直後に、注射器が前述したように使用さ
れる。さらに、他の実施態様においては、標準仕様の注射器のさやが除去された
後に、注射器が通常の態様で使用される。次いで、格納処理の前に、係止クリッ
プが注射器の前端から外されて、注射器が前述したように格納される。
また、他の実施態様においては、第31図および32図に示すごとく、第1図お
よび5図に示すようなピストン24および注射針ホルダ18が新規なピストン1
42および注射針ホルダ152に変形されている。すなわち、新規なピストン1
42は指部を備えていない代わりに、外周スロット144を有する円錐台形状の
端部146を備える突出端部を具備している。突出端部は第1図の指部30およ
び31に相当する注射針ホルダ152の後端部上の指部148および150と共
同作用する。これらの指部148および150は第3図に示すものと同一の形状
を有しており、円錐台端部146の外側面をカム状に接してスプリング状に開き
ながらスロット144に嵌入して、ピストン142を注射針ホルダ152に固定
する。その後、ピストン142は後方に引かれ、注射針ホルダ152が格納位置
まで前述したように引き込まれる。
注射針ホルダ152の内部後面162は開口部166を通して注射針22に流れ
る液体を収集するためのキャビティを形成している。なお、胴体部12の内面に
おける内側に傾斜した面164は注射針ホルダ152をその保持位置に保持する
とともに、液体を後面162を介して中央流通路166に送り込むべく機能する
。
C−クリップ108が配備されている状態においては、意図の有無にかかわらず
、注射針ホルダは胴体部中を後方に移動できない。例えば、使用者は注射器の操
作中に上記指部30および31をスロット53に係合してピストンと注射針ホル
ダとを結合するに足る力でピストンの端部116を押圧してもかまわない。ただ
し、この状態は、前述したように、注射針ホルダを胴体部の端部から引き抜いて
注射器全体を固定する以外にもはや操作不能である。しかしながら、このC−ク
リップを使用することにより、使用者は単に端部16に引っ張り力を加えて指部
30および31と溝部52との係合を解除するようにプランジャを後退すれば、
ピストンと注射針ホルダとを分離することができる。すなわち、このようにする
ことにより、注射器をその開始状態に復帰することができる。なお、ピストンを
注射針ホルダに係合するに要する力は使用者が通常の使用においてピストンを注
射針ホルダに係止したと認識できる程度のものでよい。そして、この状態になっ
ても、ピストンと注射針ホルダは上記指部を溝部52から離脱するに足る力を加
えることによって分離することができる。つまり、ピストン24の指部30およ
び31は丈夫でカム状に変形して注射針ホルダを解除し得るような柔軟性を有す
るプラスチック材料から構成される。ただし、プランジャを注射針ホルダから離
脱するに足る力を加えても、C−クリップにより依然として係止状態が保たれる
。これと同様の作用が第31図および32図に示す実施態様において実行され、
実施例においては、指部148および150が突出部144のスロット160か
ら引き抜かれる構成になっている。
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トページの続き
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