JPH0748641Y2 - シャツ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、袖の付いているワイ
シャツなどのシャツに係り、特に、袖片の袖ぐり縁の形
状と、前身頃および後ろ身頃の袖付け縁の形状とに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】図３は従来のワイシャツを構成する袖
片、前身頃、ヨーク、後ろ身頃の片側半分を示す平面図
である。図３において、１は袖片、１ａは袖片１の袖付
け縁、１ｂ，１ｂは袖片１の両袖側縁、１ｃは袖片１の
カフス付け縁を示し、袖付け縁１ａは正規分布曲線状と
されている。ここで、袖付け縁１ａの正規分布曲線状と
は、中央部分が反袖口側に高い山で突出し、両端部にゆ
くにつれて袖口側に突出する円弧状で低くなる形状であ
って、前袖側に少し窪んだ前谷があり、後ろ袖側に少し
突出した後ろ山がある形状を言う。

【０００３】２は前身頃、２ａは前身頃２の袖ぐり縁、
２ｂは前身頃２のヨーク付け縁、２ｃは前身頃２の脇縁
を示し、袖ぐり縁２ａは袖付け縁１ａの対応する部分に
合致した形状とされている。３はヨーク、３ａはヨーク
３の袖ぐり縁、３ｂはヨーク３の前身頃付け縁、３ｃは
ヨーク３の後ろ身頃付け縁を示し、袖ぐり縁３ａは袖付
け縁１ａの対応する部分に合致した形状とされている。

【０００４】４は後ろ身頃、４ａは後ろ身頃４の袖ぐり
縁、４ｂは後ろ身頃４のヨーク付け縁、４ｃは後ろ身頃
４の脇縁を示し、袖ぐり縁４ａは袖付け縁１ａの対応す
る部分に合致した形状とされている。

【０００５】次に、袖片１の前身頃２などへの縫い付け
について説明する。まず、ヨーク３の後ろ身頃付け縁３
ｃと後ろ身頃４のヨーク付け縁４ｂとを合わせ、ヨーク
３と後ろ身頃４とを縫い付ける。そして、前身頃２のヨ
ーク付け縁２ｂとヨーク３の前身頃付け縁３ｂとを合わ
せ、前身頃２とヨーク３とを縫い付ける。次に、袖片１
の袖付け縁１ａと各袖ぐり縁２ａ，３ａ，４ａとを合わ
せ、袖片１と前身頃２、ヨーク３、後ろ身頃４とを縫い
付ける。さらに、両袖側縁１ｂ，１ｂを合わせて縫い付
けた後、続いて両脇縁２ｃ，４ｃを合わせて縫い付け
る。

【０００６】このようにヨーク３、後ろ身頃４、前身頃
２、袖片１などを縫い付けることにより、ワイシャツと
することができる。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】従来のワイシャツは、
図４に示すように、腕を上げると、脇が引っ張られるの
で、腕の上げ下げがスムーズに行えず、腕を高く上げる
と、裾がずり上がってしまうという不都合があった。ま
た、袖付け縁１ａの両端部分と、両袖ぐり縁２ａ，４ａ
の下側部分との曲率が異なるので、すなわち袖付け縁１
ａの曲率がゆるく（大きく）、両袖ぐり縁２ａ，４ａの
曲率がきつい（小さい）ので、袖付けおよび袖下の脇縫
いが困難である。

【０００８】この考案は、上記したような不都合を解消
するためになされたもので、腕の上げ下げが容易にでき
るとともに、腕を上げても裾がずり上がらず、袖付けお
よび袖下の脇縫いが容易にでき、袖下部分の見栄えを損
なうことのないシャツを提供するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この考案にかかるシャツ
は、袖付け縁の両端部分を円弧状に上昇させて袖片の両
側縁を延長し、袖片の両側縁の延長部分を内側に曲がる
円弧状とするとともに、前身頃および後ろ身頃の袖ぐり
縁の下側部分を袖付け縁に合致するように曲率のゆるい
円弧状とし、前身頃および後ろ身頃の袖ぐり縁の下端位
置を、袖片の延長部分の長さよりも短い長さ分だけ下方
に設定したものである。

【００１０】

【作用】この考案におけるシャツは、脇下部分の長さが
長くなり、袖付け縁の両端部分と、前身頃および後ろ身
頃の袖ぐり縁の下側部分との曲率の差が小さくなる。

【００１１】

【実施例】以下、この考案の実施例を図に基づいて説明
する。図１はこの考案の一実施例であるワイシャツを構
成する袖片、前身頃、ヨーク、後ろ身頃の片側半分を示
す平面図であり、図３および図４と同一または相当部分
に同一符号を付して説明を省略する。なお、点線で示し
た部分が従来の形状である。

【００１２】図１において、１ａａは袖片１の袖付け縁
を示し、従来の袖付け縁１ａの両端部分を円弧状で上昇
させた形状とされている。１ｂａ，１ｂａは袖片１の両
袖側縁を示し、従来の袖側縁（１ｂ，１ｂ）よりも延長
した部分が、内側に曲がる円弧状とされている。２ａａ
は前身頃２の袖ぐり縁を示し、下側部分が袖付け縁１ａ
ａに合致するように曲率のゆるい円弧状とされている。

【００１３】４ａａは後ろ身頃４の袖ぐり縁を示し、下
側部分が袖付け縁１ａａに合致するように曲率のゆるい
円弧状とされている。そして、袖付け縁１ａａの両端を
従来の袖付け縁１ａに比べて上昇させることによって生
ずる袖片１の袖側縁１ｂａ，１ｂａの延長分の長さＬｕ
よりも、袖ぐり縁２ａ，４ａの下端を従来に比べて下方
に位置設定することによって生ずる分の長さＬｄの方が
短くなっている。

【００１４】次に、袖片１の前身頃２などへの縫い付け
について説明する。まず、ヨーク３の後ろ身頃付け縁３
ｃと後ろ身頃４のヨーク付け縁４ｂとを合わせ、ヨーク
３と後ろ身頃４とを縫い付ける。そして、前身頃２のヨ
ーク付け縁２ｂとヨーク３の前身頃付け縁３ｂとを合わ
せ、前身頃２とヨーク３とを縫い付ける。次に、袖片１
の袖付け縁１ａａと各袖ぐり縁２ａａ，３ａ，４ａａと
を合わせ、袖片１と前身頃２、ヨーク３、後ろ身頃４と
を縫い付ける。さらに、両袖側縁１ｂａ，１ｂａを合わ
せて縫い付けた後、続いて両脇縁２ｃ，４ｃを合わせて
縫い付ける。

【００１５】このように袖片１を、ヨーク３、後ろ身頃
４、前身頃２に縫い付けることにより、ワイシャツとす
ることができる。

【００１６】上述したように、この考案の一実施例によ
れば、袖付け縁１ａａの両端の上昇長さＬｕよりも両袖
ぐり縁２ａａ，４ａａの下端の下降長さＬｄが短いの
で、脇下部分の長さが長くなり、図２に示すように、腕
を上げても脇が引っ張られなくなるため、腕の上げ下げ
がスムーズに行え、腕を高く上げても裾がずり上がらな
くなる。また、袖付け縁１ａａの両端部分と、両袖ぐり
縁２ａａ，４ａａの下側部分との曲率の差が従来に比べ
て小さくなるので、袖付けおよび袖下の脇縫いが容易に
できる。

【００１７】さらに、脇下部分の長さを長くしたにもか
かわらず、従来に比べて長くなった両袖側縁１ｂａ，１
ｂａの部分を内側に曲がる円弧状としたので、腕を上げ
た状態でも、図２に示すように、脇下部分が突きでなく
なるため、袖下部分は縫い易く、かつ、見栄えは損なわ
れなくなる。

【００１８】なお、上記した実施例は、ワイシャツを例
として説明したが、袖のある他のシャツにも適用できる
ことは言うまでもない。

【００１９】

【考案の効果】以上のように、この考案によれば、腕の
上げ下げが容易にできるとともに、腕を上げても裾が持
ち上がらず、袖付けおよび袖下の脇縫いが容易にでき、
袖下部分の見栄えは損なわれなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例であるワイシャツを構成す
る袖片、前身頃、ヨーク、後ろ身頃の片側半分を示す平
面図である。

【図２】この考案の一実施例であるワイシャツで腕を上
げた状態の脇下を示す説明図である。

【図３】従来のワイシャツを構成する袖片、前身頃、ヨ
ーク、後ろ身頃の片側半分を示す平面図である。

【図４】従来のワイシャツで腕を上げた状態の脇下を示
す説明図である。

【符号の説明】

１ 袖片 １ａ，１ａａ 袖付け縁 １ｂ，１ｂａ 袖側縁 ２ 前身頃 ２ａ，２ａａ 袖ぐり縁 ３ 前身頃 ３ａ 袖ぐり縁 ４ 後ろ身頃 ４ａ，４ａａ 袖ぐり縁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 袖片の袖付け縁を正規分布曲線状に裁断
   し、前身頃、ヨークおよび後ろ身頃の袖ぐり縁を前記袖
   付け縁に合致するように裁断して前記袖付け縁に前記各
   袖ぐり縁を縫い付けたシャツにおいて、 前記袖付け縁の両端部分を円弧状に上昇させて前記袖片
   の両側縁を延長し、前記袖片の両側縁の延長部分を内側
   に曲がる円弧状とするとともに、前記前身頃および前記
   後ろ身頃の袖ぐり縁の下側部分を前記袖付け縁に合致す
   るように曲率のゆるい円弧状とし、前記前身頃および前
   記後ろ身頃の袖ぐり縁の下端位置を、前記袖片の延長部
   分の長さよりも短い長さ分だけ下方に設定した、 ことを特徴とするシャツ。