JPH0747738Y2 - 輸血及び血液検査用の被検血液採取器具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、輸血の実施に際して行われる交差適合試験、
ウィルス検査等の確認試験に使用される被検血液採取器
具である。

［従来技術及び考案が解決しようとする課題］ 例えば、現在実施されている交差適合試験は、下記のよ
うに行なわれている。

（１）すなわち供血者より採血した血液を収納した血液
バッグに連結している可とう性チューブ（内部には血液
が充填されている）からなるセグメントチューブの先端
をハサミ等で切断して該セグメントチューブの端部を開
口し、セグメントチューブ内の血液を試験管に移す。

（２）血液の入った試験管を3,000rpm、５分間遠心し、
血球沈渣と血漿に遠心分離する。血漿は別の試験管に分
離採取し下記の交差適合試験またはウィルス検査に備え
られる。試験管に残った血球沈渣は、生理食塩液で１〜
３回遠心洗浄し、最後の血球沈渣を0.2mlとり、生理食
塩液9.8ml加えて２％血球浮遊液とする。

（３）つぎに、輸血患者の血清２滴を他の試験管に採取
し、該血清中に前記２％血球浮遊液を１滴加える。

（４）即座に1,000〜1,500rpmで一分間遠心し凝血又は
溶血の有無を判断する。

（５）更に前述の各試験管に、0.5％ブロメリン溶液を
１滴加え15分間室温に放置して（４）と同様の操作を行
う。

（６）凝集、溶血がなければ適合と判断する。しかしな
がらこれらの試験を行うには、前述したようにセグメン
トチューブ内の血液は試験管内に移してから遠心して血
漿と血球沈渣の分離を行う。

その際にセグメントチューブの端部をハサミ等で切断し
て該セグメントチューブの端部を開口するため、血液が
作業者の手に触れてウウィルス感染の危険があったり又
ハサミ等に血液が付着するので毎回アルコール等で消毒
しなければならず操作が面倒であった。

［課題を解決するための手段］ 輸血及び血液検査に使用される被検血液採取器具１であ
って被検血液を収納したセグメントチューブ15を装着で
きる程度の空間を有する円形または楕円形の筒体２から
なり、該筒体２の中腹部に前記セグメントチューブ15を
破断可能な破断部材10を形成し、該筒体２の底部に前記
被検血液の漏洩を防止する閉塞部５を形成し、該閉塞部
５に、破断可能な連通部19を形成してなる被検血液採取
器具を提供するものである。

［作用］ セグメントチューブ15端部を破断部材10で破断するのみ
で、被検血液を排出することができる程度の開口を形成
でき、破断する際、例え血液がセグメントチューブ15の
開口より飛散しても閉塞部５に受け止められ、筒体２か
ら外部へ血液が漏洩することなく衛生的である。

さらに、破断部材10は、筒体２の中腹部に形成されてい
るので、セグメントチューブ15の開口面積を大きくする
ことができ、セグメントチューブ15から被検血液を、よ
りスムーズに排出させることができる。

また、筒体２を楕円形に形成した場合筒体２の長径方向
と端部が楕円状になったセグメントチューブ15の位置合
せが容易となり、セグメントチューブ15を筒体２内に入
れて、破断する作業が行いやすくなる。

［実施例］ 第１図は、本考案の被検血液採取器具の一実施例を示
す。

（ａ）と（Ｃ）は、それぞれ（ｂ）と（ｄ）のＡ−Ａ断
面図で、（ｂ）と（ｄ）は、平面図である。

被検血液採取器具１は、例えば、硬質又は半硬質のプラ
スチックからなる筒体２からなり、筒体２の内部には被
検血液を封入したセグメントチューブを収納できる程度
の空間３が形成されている。

筒体２は、円形又は楕円形に形成されている。

筒体２の上部には開口部４が形成され、底部には、閉塞
部５が形成され、該閉塞部５は、筒体２に一体に形成し
ても良いしあるいは閉塞部５のみを別に成形し、これを
筒体２に装着しても良い。

筒体２の底部に形成された閉塞部５には、破断可能な連
通部19が形成されている。

該連通部19は、薄肉部20を介して閉塞部５と一体に形成
されている。

21は、検体血液の流出口である。

連通部19の外周には、翼片22が複数形成され、被検血液
採取器具１を、遠心分離機にかける際に、連通部19が破
断するのを防ぐために設けられたものである。

前記、連通部19と翼片22は、筒体２に一体に成形しても
良いし、筒体２と別に成形して、お互いに装着するよう
にしても良い。

筒体２の中腹部には、破断部材10が装着され、破断部材
10を筒体２に装着する一手段として、筒体２の上端から
中腹部にかけて、溝部18を形成し、この溝部18に沿って
破断部材10を筒体２の中腹部に装着したものである。

このように形成することにより、第１図（ｃ）のよう
に、セグメントチューブ15の開口面積を大きくすること
ができ、セグメントチューブ15中の血液を、よりスムー
ズに筒体２底部へ移すことができ、また同時に遠心分離
処理する際には、血液成分を全く損傷させることなく速
やかに、血漿と血球沈渣に分離することができる。

さらに第１図（ｄ）に示すように、筒体２の断面形状
は、長径と短径をもつ楕円形状に形成され、かつカミソ
リ刃状の破断片10を、筒体２の長径と垂直となるように
装着されているので、セグメントチューブ15（両端部は
シールされ、その断面は楕円形になっている）を、筒体
２の中に入れる際、セグメントチューブ15の楕円状の端
面を、筒体２の長径方向に一致させることができる。

このためセグメントチューブ15の端面は、破断部材10と
垂直に接触するため、操作ミスがなく、破断が容易に行
える。

次に本考案の使用方法について説明する。

最初に、被検血液を封入したセグメントチューブ15を破
断部材10により破断して、血液を筒体２の底部に貯留す
る。

破断する際、例え血液がセグメントチューブ15の開口か
ら飛散しても、閉塞部５に受け止められ、筒体２から外
部に漏洩することなく衛生的である。

その後、遠心分離処理して血漿と血球沈渣に分離する。

また、セグメントチューブ15を、破断しなくても筒体２
の中に挿入して、遠心分離処理すれば、セグメントチュ
ーブ15は、下に押され破断部材10に接触して破断され、
同時に、被検血液は筒体２の底部に貯留され、血漿と血
球沈渣に分離することができる。

しかる後、第２図に示すように、筒体２の開口部４を、
例えば親指等により封をした状態で連通部19にピンセッ
ト等で外圧を加えて、薄肉部20より破断して流出口21を
開放する。

次に、筒体２の開口部４を封をすこしづつ開放して、下
層の血球沈渣を流出口21より患者血の貯留された試験管
等内に滴下して、血液交差適合試験を行うことができ
る。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案では、 被検血液を封入したセグメントチューブ15の底部を
筒体２の底部に形成された破断部材10により破断する事
ができるので従来のようにハサミ等を使用せずとも良く
作業が容易になると共に、被検血液が作業者の手に触れ
ることもないのでウィルス等の感染の危険がなくなる。

また、セグメントチューブ15のナンバーと被検血液
の照合が同時にできて被検血液の取り違いがなくなる。

また連通部19を形成することにより被検血液採取器
具を、試験管に装着することなく、そのまま遠心分離処
理し、下層に分離された血球沈渣を直接、流出口21から
患者血の貯留された試験管内に滴下して、血液交差適合
試験を行うことができるので操作上、非常に便利であ
る。

等の効果を有する優れた考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の被検血液採取器具の実施例で、
（ａ）と（Ｃ）はそれぞれ（ｂ）と（ｄ）のＡ−Ａ断面
図、（ｂ）と（ｄ）は平面図である。 第２図は、本考案の被検血液採取器具の使用状態を示す
概略図である。 図中、１は被検血液採取器具、２は筒体、３は空間、４
は開口部、５は閉塞部、10は破断部材、19は連通部、20
は薄肉部、21は流出口、22は翼片である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】輸血及び血液検査に使用される被検血液採
   取器具であって被検血液を収納したセグメントチューブ
   を装着できる程度の空間を有する円形または楕円形の筒
   体からなり、該筒体の中腹部に前記セグメントチューブ
   を破断可能な破断部材を形成し、該筒体の底部に前記被
   検血液の漏洩を防止する閉塞部を形成し、該閉塞部に、
   破断可能な連通部を形成したことを特徴とする被検血液
   採取器具。