JPH0747556A - 液晶樹脂複合体のプレス成形方法 - Google Patents

液晶樹脂複合体のプレス成形方法

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JPH0747556A
JPH0747556A JP5192605A JP19260593A JPH0747556A JP H0747556 A JPH0747556 A JP H0747556A JP 5192605 A JP5192605 A JP 5192605A JP 19260593 A JP19260593 A JP 19260593A JP H0747556 A JPH0747556 A JP H0747556A
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JP
Japan
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liquid crystal
molding
crystal resin
press
thermoplastic
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Application number
JP5192605A
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English (en)
Inventor
Kenji Moriwaki
健二 森脇
Sukeyuki Matsuda
祐之 松田
Kazuhisa Fuji
和久 藤
Masatoshi Shinomori
正利 篠森
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プレス成形に伴う材料流動時における剪断の
作用に起因する成形品の部分的な強度低下を抑制するこ
とができる液晶樹脂複合体のプレス成形方法を提供す
る。 【構成】 熱可塑性マトリックス樹脂を含有する板状母
材に繊維状の熱可塑性液晶樹脂が複合化されてなる成形
用素材B1を成形型に装填し、上記マトリックス樹脂の
最低成形可能温度以上でかつ上記液晶樹脂の液晶転移温
度未満の温度範囲においてプレス成形を行うようにした
液晶樹脂複合体のプレス成形方法であって、上記成形用
素材B1のプレス成形に伴う材料流動時に材料に作用す
る剪断程度が大きい部位、例えばフランジ部,リブある
いはボス部等に対応する部位に、紡糸成形されてなる熱
可塑性液晶樹脂繊維LFを複合化せしめるようにしたこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、液晶樹脂複合体のプ
レス成形方法、特に、熱可塑性マトリックス樹脂を含有
する板状母材に繊維状の熱可塑性液晶樹脂が複合化され
てなる成形用素材を成形型に装填し、上記マトリックス
樹脂の最低成形可能温度以上でかつ上記液晶樹脂の液晶
転移温度未満の温度範囲(所謂モールドウインドウ)にお
いてプレス成形を行うようにした液晶樹脂複合体のプレ
ス成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶樹脂複合体のプレス成形用素
材を得る方法として、熱可塑性マトリックス樹脂中に熱
可塑性液晶樹脂が繊維状となるように両者を押し出して
成形する、所謂インシチュー成形法は一般に良く知られ
ている(例えば、特開昭62−116666号公報参
照)。このインシチュー成形法では、マトリックス樹脂
中に液晶樹脂が良好に繊維化された状態の複合体を得る
ために、押出時の剪断速度を一定以上に保つ必要があ
り、更に、押出後の素材には、通常、延伸が加えられ
る。このため、この複合体素材中の液晶繊維はかなり細
くなり、破断もしくは破損し易いものとなる。
【0003】上記のような液晶樹脂複合体素材を用いて
例えばプレス成形等の成形を行う場合、素材をマトリッ
クス樹脂の最低成形可能温度以上に加熱する必要があ
る。例えば、特開平1−259062号公報では、イン
シチュー成形されてなる液晶樹脂複合体素材を、液晶転
移温度以上に加熱して調製した後、これをモールドウイ
ンドウ内の所定温度で押出成形する成形法が開示されて
いる。また、特開平1−259062号公報では、熱可
塑性液晶樹脂と熱可塑性のナイロン樹脂とでなる複合体
をプレス処理等して繊維強化樹脂(FRP)の基材として
用いることが開示されているが、この場合にも、プレス
処理時に複合体素材の予熱が行なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記イ
ンシチュー成形法で成形された液晶樹脂複合体素材で
は、上述のように素材中の液晶繊維はかなり細くて破断
もしくは破損し易いものとなり、特に、マトリックス樹
脂の最低成形可能温度以上に加熱された熱間時には素材
強度が低くなる。このため、特に、成形品のリブ,ボス
部,コーナ部,周縁部あるいは凹凸部など、プレス成形に
伴う材料流動時に材料に対して作用する剪断程度(つま
り剪断速度もしくは剪断力)が大きい部位では、この剪
断によって液晶繊維の破断が生じ、成形品の強度を十分
に確保することが難しくなる場合があった。
【0005】ところで、熱可塑性液晶樹脂を合成繊維の
紡糸成形方法で成形した場合、マトリックス樹脂との同
時押出成形によりマトリックス樹脂内で液晶樹脂を繊維
化する上記インシチュー成形で形成される液晶繊維に比
べて、直径がかなり大きい液晶繊維を得ることができ、
成形時に剪断が作用しても破損しにくく、また、熱間時
においても比較的高い引張強度等の物性を有するので、
補強効果が大幅に向上した液晶樹脂の補強繊維として用
いることができる。
【0006】そこで、この発明は、紡糸成形されてなる
液晶樹脂繊維を補強材として用いることにより、プレス
成形に伴う材料流動時における剪断の作用に起因する成
形品の部分的な強度低下を抑制することができる液晶樹
脂複合体のプレス成形方法を提供することを目的として
なされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、本願の第1の
発明は、熱可塑性マトリックス樹脂を含有する板状母材
に繊維状の熱可塑性液晶樹脂が複合化されてなる成形用
素材を成形型に装填し、上記マトリックス樹脂の最低成
形可能温度以上でかつ上記液晶樹脂の液晶転移温度未満
の温度範囲においてプレス成形を行うようにした液晶樹
脂複合体のプレス成形方法であって、上記成形用素材の
プレス成形に伴う材料流動時に材料に作用する剪断程度
が大きい部位に、紡糸成形されてなる熱可塑性液晶樹脂
繊維を複合化せしめるようにしたものである。
【0008】本発明で使用される熱可塑性マトリックス
樹脂としては、各種用途に使用されている熱可塑性樹脂
を使用することができ、代表的なものとしてABS(ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹
脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリカーボネイト(PC)
樹脂、ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂、ポリオレ
フィン(PO)樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート
(PAR)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂およびそれらの
混合物を挙げることができ、具体的にはPC/ABS樹
脂(最低成形可能温度220℃)、PC/PBT(ポリブ
チレンテレフタレート)樹脂(最低成形可能温度230
℃)、m−PPE(変性ポリフェニレンエーテル)樹脂(最
低成形可能温度220℃または260℃)、PA6樹脂
(最低成形可能温度215℃)、PBT樹脂(最低成形可
能温度230℃)、PC樹脂(最低成形可能温度270
℃)、ABS樹脂(最低成形可能温度180℃)、PP(ポ
リプロピレン)樹脂(最低成形可能温度176℃)、PS
樹脂(最低成形可能温度170℃または190℃)の各種
市販されているものを使用することができる。
【0009】他方、液晶樹脂は、溶融状態において液晶
性を示す樹脂と定義することができ、ここで使用するも
のは上記マトリックス樹脂の最低成形可能温度より20
℃以上高い液晶転移温度を有するものが好ましく、商品
名ベクトラA950(化1で示される)(液晶転移温度2
80℃:ポリプラスチック(株)製)、エコノール6000
(液晶転移温度350℃:住友化学工業(株)製)、ザイダ
ー(日本石油化学(株)製)など市販されている熱可塑
性液晶ポリエステル、熱可塑性液晶ポリエステルアミド
を用いることができる。
【0010】
【化1】
【0011】また、本願の第2の発明は、上記第1の発
明において、上記板状母材に熱可塑性液晶樹脂を複合化
させる際、熱可塑性マトリックス樹脂と熱可塑性液晶樹
脂とをインシチュー成形して複合化した液晶樹脂複合体
も同時に複合化せしめるようにしたことを特徴としたも
のである。
【0012】更に、本願の第3の発明は、上記第1の発
明または第2の発明において、熱可塑性マトリックス樹
脂を含有する板状もしくはシート状母材に紡糸成形され
てなる熱可塑性液晶樹脂繊維を複合化させた板状の予備
成形体を予め成形し、該予備成形体を複数枚重ねて積層
したものを成形型に装填するようにしたことを特徴とし
たものである。
【0013】また、更に、本願の第4の発明は、上記第
1〜第3のいずれか一の発明において、上記紡糸成形さ
れてなる熱可塑性液晶樹脂繊維は、上記成形用素材の少
なくとも外周部において複合化されていることを特徴と
したものである。
【0014】また、更に、本願の第5の発明は、上記第
1〜第4のいずれか一の発明において、上記紡糸成形さ
れてなる熱可塑性液晶樹脂繊維は、上記成形用素材の少
なくとも製品凹凸成形部に対応する部位において複合化
されていることを特徴としたものである。
【0015】
【発明の効果】本願の第1の発明によれば、プレス成形
に伴う材料流動時に材料に作用する剪断程度が大きい部
位に、熱間時においても比較的高い引張強度等の物性を
有する紡糸成形されてなる熱可塑性液晶樹脂繊維を複合
化せしめるようにしので、プレス成形時における上記部
位での液晶繊維の破断を有効に防止することができる。
すなわち、プレス成形に伴う材料流動時における剪断の
作用に起因する成形品の部分的な強度低下を抑制するこ
とができる。上記液晶樹脂を紡糸成形してなる補強繊維
は合成繊維の紡糸成形方法で形成されてよく、通常直径
10〜20μで、インシチュー成形で形成される補強繊
維の約10倍の直径を有するため、成形時に剪断が作用
しても破損しにくく、また、熱間時における成形用素材
の強度を大幅に高めることができる。
【0016】また、本願の第2の発明によれば、基本的
には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができ
る。しかも、その上、所謂インシチュー成形されてなる
液晶樹脂複合体も同時に複合化せしめるようにしたの
で、マトリックス樹脂の少なくとも一部をかかる液晶樹
脂複合体とすることにより、全体としての液晶樹脂の含
有率を高め、成形品の物性をより高めることができる。
【0017】更に、本願の第3の発明によれば、基本的
には、上記第1の発明または第2の発明と同様の効果を
奏することができる。しかも、その上、予め上記予備成
形体を成形しこれを積層するようにしたので、成形用素
材の複合化および成形型への装填を容易に行うことがで
きる。
【0018】また、更に、本願の第4の発明によれば、
基本的には、上記第1〜第3のいずれか一の発明と同様
の効果を奏することができる。特に、上記紡糸成形され
てなる液晶繊維を成形用素材の少なくとも外周部におい
て複合化するようにしたので、プレス成形時ににおける
剪断程度が大きい成形品の周縁部分について、液晶繊維
の破断を防止し、該部分での強度低下を抑制することが
できる。
【0019】また、更に、本願の第5の発明によれば、
基本的には、上記第1〜第4のいずれか一の発明と同様
の効果を奏することができる。特に、上記紡糸成形され
てなる液晶繊維を成形用素材の少なくとも製品凹凸成形
部に対応する部位において複合化するようにしたので、
プレス成形時ににおける剪断程度が大きい成形品の凹凸
部分について、液晶繊維の破断を防止し、該部分での強
度低下を抑制することができる。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例を、添付図面に基づ
いて詳細に説明する。図1は、本実施例に係るプレス成
形方法によって成形される液晶樹脂複合体のプレス成形
品の斜視図である。この図に示すように、このプレス成
形品W1は、平面視で矩形状に形成され、その1組の対
向する例えば長辺側の縁部にフランジ部F1が設けられ
ている。このフランジ部F1,F1は、プレス成形にて
形成される。本実施例では、プレス成形に伴う材料流動
時に材料に対して作用する剪断程度(つまり剪断速度も
しくは剪断力)が大きい部位、つまり上記フランジ部F
1,F1において、この剪断によって液晶繊維の破断が
生じ、成形品の強度低下を来すことを防止するために、
図2において斜線部G1,G1で表示されるように、プ
レス成形用素材B1の上記フランジ部F1,F1に対応
する部分を、以下に述べるような紡糸成形されてなる液
晶樹脂繊維で複合化して該部分を補強するようにしてい
る。
【0021】以下、上記プレス成形用素材B1の成形方
法について、一連の工程図を参照しながら説明する。ま
ず、図4に示すように、マトリックス樹脂として熱可塑
性樹脂を含有する板状もしくはシート状母材Soを上下
2枚配置し、その間において、成形品W1のフランジ部
F1,F1に対応する部位に、紡糸成形されてなる熱可
塑性液晶樹脂繊維LFを例えば同一方向(本実施例では
長辺方向)に多数並べて配設する。この熱可塑性液晶樹
脂繊維LFは、合成樹脂の紡糸成形法により、直径が1
0〜20μmに成形されたもので、本実施例では、上記
シート状母材Soの一辺の長さに略相当する直線状の連
続長繊維として成形されている。上記紡糸成形されてな
る熱可塑性液晶樹脂繊維LFは、その直径(通常、10
〜20μm)が所謂インシチュー成形で得られる液晶繊
維の約10倍の直径を有するため、これを補強繊維とす
ることにより、成形時に剪断が作用しても破損しにく
く、また、熱間時における成形用素材の強度・剛性を高
めることができる。尚、上記紡糸成形されてなる熱可塑
性液晶樹脂繊維LFは、紡糸成形されたままの状態で
は、上記したように直径が10〜20μmのものである
ので、より好ましくは、これを複数本集めて束ね合わせ
るか又はより合わせるなどして結束させ、例えば直径が
1〜5mmの太さのものにして用いられる。このとき、よ
り好ましくは、複合化される熱可塑性マトリックス樹脂
または該マトリックス樹脂と相溶する熱可塑性樹脂がバ
インダとして用いられる。
【0022】尚、本実施例では、上記板状母材を構成す
る熱可塑性マトリックス樹脂および紡糸成形される熱可
塑性液晶樹脂として、それぞれ以下のものを用いた。 ・熱可塑性液晶樹脂 −材質名:芳香族ポリエステル樹脂 −商品名:ベクトラA950(ポリプラスチックス株式
会社製) −液晶転移温度:280℃ ・熱可塑性マトリックス樹脂 −材質名:ポリプロピレン樹脂 −商品名:ノーブレンD501(住友化学工業株式会社
製) −融点:176℃(通常成形温度:約200℃)
【0023】また、上記紡糸成形されてなる液晶樹脂繊
維は、直線状の連続長繊維のものに限らず、所謂チョッ
プドストランド,例えば渦巻き状のコンティニュアスス
トランドあるいは織布として、又はこれらを適宜組み合
わせて用い、複合化されても良い。
【0024】次に、上記のセット(上下2枚の板状もし
くはシート状母材Soとその間に配設された液晶樹脂繊
維LF)を上下からプレス成形することにより、図5に
示すように、熱可塑性マトリックス樹脂を含有する板状
もしくはシート状母材So間に、紡糸成形されてなる熱
可塑性液晶樹脂繊維LFが、成形品W1のフランジ部F
1,F1に対応する部位に複合化された板状の予備成形
体S1が得られる。このような液晶樹脂複合体でなる予
備成形体S1を予め多数成形しておく。
【0025】そして、図6に示すように、複数枚の予備
成形体S1を、紡糸成形されてなる熱可塑性液晶樹脂繊
維LFが例えば同一方向を向くようにセットした上で、
上下に重ねて並べ、これを上下方向からプレス成形する
ことにより、図7に示すように、全体として一体の板状
成形用素材B1が得られる。この成形用素材B1は、上
記予備成形体S1を積層したものであるので、図2およ
び図3からも良く分かるように、熱可塑性マトリックス
樹脂を含有する母材樹脂中に、紡糸成形されてなる熱可
塑性液晶樹脂繊維LFが、成形品W1のフランジ部F
1,F1に対応する部位に複合化された構造を有してい
る。
【0026】この液晶樹脂複合体でなる成形用素材B1
を、素材のモールドウインドウ内の所定温度に加熱して
プレス成形が行なわれる。図8は、本実施例に係る板状
の液晶樹脂複合体素材を用いてプレス成形を行う際に、
板状素材を成形型に移送・装填(チャージ)するためのチ
ャージマシンの概略を示す斜視図である。この図に示す
ように、本実施例に係るチャージマシン1は、円柱状の
本体2と、本体2に形成された上下方向のスロット2a
に沿って上下スライド可能に設けられた素材ホルダ3
と、該素材ホルダ3に取り付けられて水平面内で左右方
向へ開閉可能に設けられた一対の爪4とを備えて構成さ
れている。また、上記チャージマシン1は、プレス成形
されるべき板状素材をストックする素材ストッカーと、
成形前に予熱する予熱装置と、成形型との間を自在に移
動できるようになっている。尚、このチャージマシン1
の上記素材ストッカー,予熱装置および成形型に対する
位置および動作については種々の設計変更が可能であ
る。
【0027】図9に示すように、板状の成形用素材B1
は、チャージマシン1の爪4上に載置された状態で、上
下一対の加熱ヒータ9で構成された予熱装置によって予
熱される。上記成形用素材B1は、後で詳しく説明する
ように、熱可塑性マトリックス樹脂を含有する板状母材
に繊維状の熱可塑性液晶樹脂を複合化させて得られたも
ので、上記加熱ヒータ9,9により、マトリックス樹脂
の最低成形可能温度以上でかつ上記液晶樹脂の液晶転移
温度未満の温度範囲(所謂モールドウインドウ)内の所定
温度で予熱される。そして、その後、成形型10上に移
送され、図10に示すように、ここで爪4,4を左右に
開いて成形型10上へチャージされ、プレス成形が行な
われるようになっている。
【0028】このように、本実施例では、プレス成形用
素材B1の成形に伴う材料流動時に材料に作用する剪断
程度が大きい部位に、つまり成形品W1のフランジ部F
1,F1に対応する部位に、熱間時においても比較的高
い引張強度等の物性を有する紡糸成形されてなる熱可塑
性液晶樹脂繊維LFを複合化せしめるようにしので、プ
レス成形時における上記部位での液晶繊維の破断を有効
に防止することができる。すなわち、プレス成形に伴う
材料流動時における剪断の作用に起因する成形品W1の
部分的な強度低下を抑制することができるのである。
【0029】また、本実施例によれば、予め上記予備成
形体S1を多数成形し、複数枚重ねて積層することによ
り、全体として一体の成形用素材B1を形成するように
したので、成形用素材B1の複合化および成形型10へ
の装填を容易に行うことができる。
【0030】尚、上記実施例では、予備成形体S1を成
形するに際して、板状もしくはシート状母材Soは、熱
可塑性マトリックス樹脂を含有する樹脂材料で形成され
ていたが、例えば、この母材の少なくとも一部を所謂イ
ンシチュー成形で複合化された液晶樹脂複合体で形成
し、これと紡糸成形されてなる熱可塑性液晶樹脂繊維L
Fとを複合化するようにしても良い。かかる構成とする
ことにより、全体としての液晶樹脂の含有率が高くなる
ので、成形用素材の物性をより高めることができる。
【0031】この場合、上記インシチュー成形されてな
る液晶樹脂複合体は、例えば、前述のベクトラA950
(ポリプラスチックス株式会社製)とノーブレンD50
1(住友化学工業株式会社製)の樹脂材料を複合化した
ものを用いることができる。
【0032】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。上述の実施例(第1実施例)では、フランジ部F1,
F1は成形品W1の長辺側のみに設けられていたが、本
第2実施例では、図11に示すように、平面視で矩形状
に形成された成形品W2には、長辺に沿ったフランジ部
F2と短辺に沿ったフランジ部E2(いずれも、図11
においては片側のみ図示)とが設けられている。従っ
て、成形用素材B2は、図12において斜線部G2,G
2および斜線部H2,H2で表示されるように、プレス
成形用素材B2の上記フランジ部F2,F2およびフラ
ンジ部E2,E2に対応する部分、つまり周縁部分全て
が、紡糸成形されてなる液晶樹脂繊維LFで複合化して
補強されている。尚、図13から分かるように、この場
合についても、紡糸成形されてなる液晶繊維LFは、成
形用素材B2の各辺に沿って配向されている。
【0033】このように、上記紡糸成形されてなる液晶
繊維LFを成形用素材B2の少なくとも外周部において
複合化するようにしたので、プレス成形時ににおける剪
断程度が大きい成形品の周縁部分(この場合、フランジ
部F2,F2及びE2,E2)について、液晶繊維の破断
を防止し、該部分での強度低下を抑制することができる
のである。
【0034】図14は、本発明の第3実施例に係る成形
品W3を示している。この図に示すように、上記成形品
W3は、長辺に沿ったフランジ部F3,F3以外に、こ
れらフランジ部F3,F3の間において長手方向に延び
るリブE3と、このリブE3と反対方向(上方)に突出し
たボス部D3とが設けられている。従って、成形用素材
B3は、図15において斜線部G3,G3,斜線部H3お
よび斜線部J3で表示されるように、プレス成形用素材
B3の上記フランジ部F3,F3だけでなく、リブE3
およびボス部D3に対応する部分が、紡糸成形されてな
る液晶樹脂繊維LFで複合化して補強されている。尚、
図16から分かるように、この場合についても、紡糸成
形されてなる液晶繊維LFは、成形用素材B3の周縁部
では素材B3の各辺に沿って配向されている。
【0035】このように、上記紡糸成形されてなる液晶
繊維LFを、成形用素材B3の製品フランジ部F3,F
3に対応する部位だけでなく、成形品W3の凹凸成形
部、つまり、リブE3およびボス部D3に対応する部位
においても複合化するようにしたので、プレス成形時に
おける剪断程度が大きい成形品W3の凹凸部分につい
て、液晶繊維LFの破断を防止し、該部分での強度低下
を抑制することができる。
【0036】尚、上記各実施例では、一部の場合(第3
実施例におけるボス部D3)を除いて、上記紡糸成形さ
れてなる熱可塑性液晶樹脂繊維LFは、プレス成形用素
材B1,B2,B3の成形に伴う材料流動時に材料に作
用する剪断程度が大きい部位F1,F2,F3,E2,
E3において、材料流動の方向に略直交する方向に配向
されていたが、成形品のサイズ・形状等に応じて、プレ
ス成形時の材料流動の方向に略沿うように配向させて複
合化するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係るプレス成形品の斜
視図である。
【図2】 上記プレス成形品を成形するための液晶樹脂
複合体素材の補強箇所を示すための斜視図である。
【図3】 上記液晶樹脂複合体素材の補強箇所を示すた
めの平面説明図である。
【図4】 上記液晶樹脂複合体素材の成形工程の一部を
示す斜視図である。
【図5】 上記液晶樹脂複合体素材の成形工程の一部を
示す斜視図である。
【図6】 上記液晶樹脂複合体素材の成形工程の一部を
示す斜視図である。
【図7】 上記液晶樹脂複合体素材の斜視図である。
【図8】 上記液晶樹脂複合体素材を成形型に装填する
ためのチャージマシンの概略を示す斜視図である。
【図9】 プレス成形前の上記液晶樹脂複合体素材の予
熱工程を示す斜視図である。
【図10】 プレス成形型への上記液晶樹脂複合体素材
の装填工程を示す斜視図である。
【図11】 本発明の第2実施例に係るプレス成形品の
斜視図である。
【図12】 上記第2実施例に係るプレス成形品を成形
するための液晶樹脂複合体素材の補強箇所を示すための
斜視図である。
【図13】 上記第2実施例に係る液晶樹脂複合体素材
の補強箇所を示すための平面説明図である。
【図14】 本発明の第3実施例に係るプレス成形品の
斜視図である。
【図15】 上記第3実施例に係るプレス成形品を成形
するための液晶樹脂複合体素材の補強箇所を示すための
斜視図である。
【図16】 上記第3実施例に係る液晶樹脂複合体素材
の補強箇所を示すための平面説明図である。
【符号の説明】
10…成形型 B1,B2,B3…液晶樹脂複合体素材(成形用素材) D3…ボス部 E2,F1,F2,F3…フランジ部 E3…リブ LF…紡糸成形されてなる熱可塑性液晶樹脂繊維 S1…予備成形体 W1,W2,W3…製品(プレス成形品)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00 (72)発明者 篠森 正利 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性マトリックス樹脂を含有する板
    状母材に繊維状の熱可塑性液晶樹脂が複合化されてなる
    成形用素材を成形型に装填し、上記マトリックス樹脂の
    最低成形可能温度以上でかつ上記液晶樹脂の液晶転移温
    度未満の温度範囲においてプレス成形を行うようにした
    液晶樹脂複合体のプレス成形方法であって、 上記成形用素材のプレス成形に伴う材料流動時に材料に
    作用する剪断程度が大きい部位に、紡糸成形されてなる
    熱可塑性液晶樹脂繊維を複合化せしめるようにしたこと
    を特徴とする液晶樹脂複合体のプレス成形方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された液晶樹脂複合体の
    プレス成形方法において、上記板状母材に熱可塑性液晶
    樹脂を複合化させる際、熱可塑性マトリックス樹脂中に
    熱可塑性液晶樹脂が繊維状となるように両者が押し出さ
    れてなる液晶樹脂複合体も同時に複合化せしめるように
    したことを特徴とする液晶樹脂複合体のプレス成形方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載された液
    晶樹脂複合体のプレス成形方法において、熱可塑性マト
    リックス樹脂を含有する板状母材に紡糸成形されてなる
    熱可塑性液晶樹脂繊維を複合化させた予備成形体を予め
    成形し、該予備成形体を複数枚重ねて積層したものを成
    形型に装填するようにしたことを特徴とする液晶樹脂複
    合体のプレス成形方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれか一に記載
    された液晶樹脂複合体のプレス成形方法において、上記
    紡糸成形されてなる熱可塑性液晶樹脂繊維は、上記成形
    用素材の少なくとも外周部において複合化されているこ
    とを特徴とする液晶樹脂複合体のプレス成形方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれか一に記載
    された液晶樹脂複合体のプレス成形方法において、上記
    紡糸成形されてなる熱可塑性液晶樹脂繊維は、上記成形
    用素材の少なくとも製品凹凸成形部に対応する部位にお
    いて複合化されていることを特徴とする液晶樹脂複合体
    のプレス成形方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023182258A1 (ja) * 2022-03-25 2023-09-28 倉敷紡績株式会社 リブ補強成形体及びその製造方法

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