JPH0745704Y2 - 仮設足場用支柱の連結具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、仮設足場の組み立て
に際し、足場用支柱を上下方向に連結固定する為の仮設
足場用支柱の連結具及びその組み立て方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、建築現場で使用される仮設足場
は、建物の高さに応じて組み立てられるが、その際、仮
設足場用支柱には鋼管パイプが使用され、また、この仮
設足場用支柱は上下方向に順次連結・固定しながら組み
立てられる。そのための連結具として、例えば支柱外で
係合されるアームロック式のもの、支柱内に挿入固定さ
れる内装式のもの等があり、これらの連結具によって上
下足場用支柱は連結される。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、前者のアーム
ロック式のものでは、連結具とアームロックの２つの部
材を必要とし、作業上手間がかかり、また、落下する等
の危険があった。

【０００４】一方、後者の内装式のものでも、係合状態
が外から確認出来ない方式もあり、安全上問題があっ
た。また、内装式では、パイプ状本体の上下両端部に上
下足場用支柱の端部に挿入される挿入部、中央部に足場
用支柱の側面部に設けられた係合孔に係合される連結係
合ピンをそれぞれ備えて構成され、前記連結係合ピンは
側面ほぼＬ字状に形成され、かつ、パイプ状本体の中央
部に設けられたピン孔に、パイプ状本体に内蔵されたス
プリングによってピン孔の内方へ弾発付勢された状態に
挿着されている。

【０００５】また、永年の使用による錆の発生その他を
防止するために、溶融亜鉛メッキ処理が施されるが、連
結係合ピンとこの連結係合ピンを挿入するピン孔との間
隙がきわめて小さいために、連結係合ピンは溶融亜鉛メ
ッキ処理しにくく、このため、連結係合ピンはパイプ状
本体とは別にユニクロールメッキ処理するしかなかっ
た。ところが、連結係合ピンは足場用支柱の組み立て、
解体に際し、ピン孔の周縁部に頻繁に強く接触する為、
その間の摩擦等による損傷が激しく、この為、錆び易
く、通常の使用でも１年程度しか使用できず、また、錆
びたものをそのまま使用するには、作業の安全上、大き
な問題があった。

【０００６】この考案は、以上の課題を解決するために
なされたもので、摩耗、損傷に強く、充分な耐力性を有
する様な溶融亜鉛メッキによる防錆処理が可能で、永年
使用によっても錆びることが少なく、長期間にわたって
安全に使用でき、また、取り扱い及び組み立ても容易な
仮設足場用支柱の連結具及びその組み立て方法を提供す
ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この考案に係る請求項第
１項記載の仮設足場用支柱の連結具は、上下に配置され
る上下仮設足場用支柱の端部に挿入される挿入部を上下
部に、前記仮設足場用支柱の端部を支持するカラーを中
央部にそれぞれ有する連結具本体と、前記足場用支柱の
一方に係合しこれを連結固定するストッパー手段とを備
えて構成され、前記ストッパー手段は、前記連結具本体
及びカラーに形成されたピン孔にスライド自在に挿入さ
れた側面ほぼＬ字状の連結係合ピンと、前記連結係合ピ
ンにこれを前記連結具本体の内方に弾発付勢するように
取り付けられた復帰スプリングと、この復帰スプリング
の一端を前記連結係合ピンより抜けないように支持する
座金とを備えて構成されている。

【０００８】この考案に係る請求項第１項記載の仮設足
場用支柱の連結具は、連結具本体の中に復帰スプリング
と座金とを取り付け治具によって挿入するとともに、こ
の復帰スプリング及び座金を前記連結具本体及びカラー
のピン孔に一致させ、次に前記ピン孔に連結係合ピンを
前記復帰スプリング及び座金を貫通した状態に打ち込
み、しかる後前記取り付け治具を引き抜いで、組み立て
を完了する。

【０００９】

【実施例】図１〜図３は、この考案に係る仮設足場用支
柱の連結具の一実施例を示し、図において、符号１は連
結具本体、2a,2b は上下に連結固定される仮設用足場支
柱Ａの端部にそれぞれ挿入される挿入部、３はこの上下
仮設足場用支柱Ａの端部に当たって上下仮設足場用支柱
Ａの端部をこれより先に行かないように支持するカラ
ー、４は挿入部2a,2b が挿入された上下仮設足場用支柱
Ａの一方の端部を連結具本体１に連結固定する連結係合
ピン、５はこの連結結合ピン４を仮設用足場支柱Ａの内
方に弾発付勢する復帰スプリング、そして、符号６はこ
の復帰スプリング５の一端を支持する座金である。

【００１０】連結具本体１は、仮設足場用支柱Ａの端部
に挿入可能な径の鋼管より形成され、そのほぼ中央部よ
り上下両端部分が挿入部2aと2bになっている。

【００１１】この上下挿入部2a及び2bのうち、一方の挿
入部2aの先端部には、この挿入部2aが挿入された仮設用
足場支柱Ａの端部を連結固定するための連結ピン７を挿
入可能なピン孔８が形成されている。また、他方の挿入
部2bのカラー３の近くには、この挿入部２b が挿入され
た仮設用足場支柱Ａの端部を連結固定するための連結係
合ピン４を挿入可能なピン孔９が形成されている。

【００１２】カラー３は連結具本体１を挿入可能な内径
のリング状に形成され、かつ、連結具本体１のほぼ中央
部に、このカラー３に連結具本体１を挿入するととも
に、連結具本体１のほぼ中央部に溶接することにより、
一体的に取り付けられている。

【００１３】また、カラー３及び連結具本体１には、連
結係合ピン４を挿入するためのピン孔10が形成されてい
る。

【００１４】連結係合ピン４は、カラー３及び連結具本
体１のピン孔10に、これらを半径方向に完全に貫通した
状態に挿入された基部4aと、この基部4aの先端部に連結
具本体１の側部に沿って突設された中間部4bと、この中
間部4bの先端部に突設され、挿入部2bが挿入された仮設
足場用支柱Ａ端部のピン孔11及び挿入部2bのピン孔９に
挿入するように突設されたフック部4cとから側面ほぼＬ
字状に形成されている。

【００１５】なお、連結係合ピン４の基部4a, 中間部4b
及びフック部4cは、所定径の一本の丸鋼材を折り曲げる
等することにより一体的に形成され、かつ、溶融亜鉛メ
ッキによる入念な防錆処理が施されている。

【００１６】復帰スプリング５は連結具本体１の中に、
連結係合ピン４の基部4aに貫通され、かつ、上下からピ
ン孔10の周縁部と座金６とで圧縮された状態で取り付け
られている。

【００１７】座金６は円形板状に形成され、その中央部
に連結係合ピン４の基部4aを強く打ち込んで挿入できる
ように連結係合ピン４の外径より小径の小孔6aが形成さ
れ、また、小孔6aの周縁部には、この小孔6aに打ち込み
挿入された連結係合ピン４の基部4aが抜けないように複
数本の爪6bが放射状に突設されている。

【００１８】復帰スプリング５及び座金６がこのように
形成されていることにより、カラー３及び連結具本体１
のピン孔10に挿入された連結係合ピン４は連結具本体１
の内方に常に付勢された状態にあるため、連結係合ピン
４のフック部4cは仮設用足場支柱Ａのピン孔11及び挿入
部２b のピン孔９に挿入され、復帰スプリング５の復帰
力に勝る力で連結係合ピン４を引き抜かない限り、仮設
用足場支柱Ａのピン孔11及び挿入部2bのピン孔９から抜
けることはない。

【００１９】なお、復帰スプリング５をその中央部を上
下両端部よりやや細くして鼓状に形成すれば、復帰スプ
リング５の上下両端部がこの上下両端部を支持するピン
孔10及び孔6aの周縁部に安定的に支持され、これらのピ
ン孔10及び孔6aに食い込むことはない。

【００２０】図４は、この考案に係る仮設足場用支柱の
連結具によって連結固定された上下仮設足場用支柱を示
したものである。図において、連結具は上下仮設足場用
支柱A,A 間に設置され、連結具本体１の上下挿入部2a,2
b が仮設足場用足場支柱A,Aの端部にそれぞれ挿入され
ている。

【００２１】また、連結係合ピン４のフック部4cが上側
に設置された仮設用足場支柱Ａのピン孔11及び挿入部2b
のピン孔９に挿入されている（図２参照）。なお、連結
係合ピン４のフック部4cを仮設用足場支柱Ａのピン孔11
及び挿入部2bのピン孔９に挿入するには、連結係合ピン
４を復帰スプリング５の復帰力に勝る力で強く引っ張っ
てフック部4cを挿入部2bのピン孔９より引き抜いた状態
で挿入部2bを仮設用足場支柱Ａの端部に挿入した後、連
結係合ピン４を離してフック部4cを仮設用足場支柱Ａの
ピン孔11及び挿入部2bのピン孔９に挿入する。

【００２２】また、下側に設置された仮設用足場支柱Ａ
のピン孔11及び挿入部2aのピン孔８に連結ピン７が挿入
されている（図２参照）。

【００２３】実施例２． 図５〜図７は、この考案に係る仮設足場用支柱の連結具
の組み立て方法の一実施例を示し、図において、実施例
１と同一部分及び相当する部分には同一符号を付し、そ
の説明を省略する。

【００２４】符号12は復帰スプリング５と座金６を連結
係合ピン４の基部4aに取り付けるための取り付け治具で
ある。取り付け治具12の先端部には、フランジ13,13 が
この上下フランジ13,13 間に復帰スプリング５と座金６
を一緒に押し込んで仮セットできるように上下に平行に
突設されている。また、この上下フランジ13,13 のほぼ
中央部に連結係合ピン４の基部4aが貫通可能なＵ字状の
凹部13a,13a が形成され、また、上下フランジ13,13 の
左右縁端部には上下フランジ13,13 間に挿入された復帰
スプリング５及び座金６が横ずれしないようにリブ13b,
13b が形成されている。

【００２５】このように形成された取付治具12を使って
復帰スプリング５及び座金６を取り付けて連結具を組み
立てるには、取り付け治具12の上下フランジ13,13 間に
復帰スプリング５と座金６を一緒に挿入して仮セット
し、次に、この取り付け治具12を連結具本体１の中に挿
入し、上下フランジ13,13 間に仮セットされた復帰スプ
リング５と座金６を連結具本体１及びカラー３のピン孔
10と一致させる。

【００２６】次に、カラー３及び連結具本体１のピン孔
10に結係合ピン４の基部4aを挿入するともに、連結係合
ピン４をさらに強く打ち込んで連結係合ピン４の基部4a
を復帰スプリング５と座金６に貫通させ、その先端部を
カラー３及び連結具本体１の反対側のピン孔10より突出
させる。連結係合ピン４の基部4aを、一旦復帰スプリン
グ５と座金６に貫通させてしまうと、座金６の小孔6a周
縁部の爪6bが基部4aの表面に突き当たるため、連結係合
ピン４は抜けることはない。

【００２７】復帰スプリング５及び座金６の取り付けが
完了したら、取り付け治具12は引き抜き、繰り返し使用
する。

【００２８】

【考案の効果】以上説明したように、この考案に係る請
求項第１項記載の仮設足場用支柱の連結具を使って仮設
足場用支柱を連結すれば、連結具本体の上下部に仮設用
足場支柱の端部に挿入される挿入部を、中央部に前記上
下仮設足場用支柱の端部を支持するカラーをそれぞれ備
えて構成されているので、上下足場用支柱間に確実に取
り付けられて、上下足場用支柱を同一材軸上に確実にセ
ットし、確実に連結することができる。

【００２９】また、カラー及び連結具本体のピン孔に挿
入された連結係合ピンは、復帰スプリングによって連結
具本体の内方に常に弾発付勢された状態にあるので、連
結係合ピンのフック部は仮設用足場支柱のピン孔及び挿
入部のピン孔に挿入され、復帰スプリングの復帰力に勝
る力で連結係合ピンを引き抜かない限り、フック部は仮
設用足場支柱のピン孔及び挿入部のピン孔から抜けるこ
とはなく、作業の安全面でもきわめて優れている。

【００３０】また、連結具本体のピン孔に挿入された連
結係合ピンを、前記ピン孔内をきわめて円滑にスライド
操作できるので、この連結係合ピンに対して、摩耗、損
傷に十分耐性を有する溶融亜鉛メッキによる防錆処理を
行うことができる。また、溶融亜鉛メッキによる防錆処
理が可能なことにより、永年の使用によっても連結係合
ピンが錆び付くことがきわめて少なく、したがって、長
期間にわたって安全に使用することができ、さらに、ス
ライド操作がきわめて円滑に行えることで、取り扱いも
きわめて容易に行うことができる。

【００３１】また、この考案に係る請求項第２項記載の
仮設足場用支柱の連結具の組み立て方法によれば、取り
付け治具を使って復帰スプリングと座金を連結具本体の
中に一緒に挿入するとともに、この復帰スプリングと座
金を連結具本体及びカラーのピン孔と一致させた状態
で、カラー及び連結具本体のピン孔に連結係合ピンを復
帰スプリングと座金を貫通するように打ち込むだけで簡
単に組み立てることができる。また、取付治具は繰り返
し使用できるのできわめて経済的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る仮設足場用支柱の連結具の一実
施例の分解斜視図である。

【図２】図１に示す仮設足場用支柱の連結具の縦断面図
である。

【図３】図１に示す仮設足場用支柱の連結具の使用状態
を示す仮設足場の一部側面図である。

【図４】図１に示す仮設足場用支柱の連結具の組立方法
を示す縦断面図である。

【図５】図４におけるａ−ａ線断面図である。

【図６】図１に示す仮設足場用支柱の連結具の組み立て
治具の斜視図である。

【符号の説明】

１…連結具本体、２a,2b…挿入部、３…カラー、４…連
結係合ピン、５…復帰スプリング、６…座金、７…連結
ピン、8,9,10,11 …ピン孔、12…取り付け治具、13…上
下フランジ。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下に配置される上下仮設足場用支柱の
   端部に挿入される挿入部を上下部に、前記仮設足場用支
   柱の端部を支持するカラーを中央部にそれぞれ有する連
   結具本体と、前記足場用支柱の一方に係合しこれを連結
   固定するストッパー手段とを備えて構成され、前記スト
   ッパー手段は、前記連結具本体及びカラーに形成された
   ピン孔にスライド自在に挿入された側面ほぼＬ字状の連
   結係合ピンと、前記連結係合ピンにこれを前記連結具本
   体の内方に弾発付勢するように取り付けられた復帰スプ
   リングと、この復帰スプリングの一端を前記連結係合ピ
   ンより抜けないように支持する座金とを備えて構成され
   ていることを特徴とする仮設足場用支柱の連結具。
2. 【請求項２】 請求項第１項記載の仮設足場用支柱の連
   結具の組み立て方法において、連結具本体の中に復帰ス
   プリングと座金とを取り付け治具によって挿入するとと
   もに、この復帰スプリング及び座金を前記連結具本体及
   びカラーのピン孔に一致させ、次に前記ピン孔に連結係
   合ピンを前記復帰スプリング及び座金を貫通した状態に
   打ち込み、しかる後前記取り付け治具を引き抜くことを
   特徴とする仮設足場用支柱の連結具の組み立て方法。