JPH0745440B2 - 4−アミノメチル−1,8−ジアミノオクタンの製造方法 - Google Patents

4−アミノメチル−1,8−ジアミノオクタンの製造方法

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JPH0745440B2
JPH0745440B2 JP61113592A JP11359286A JPH0745440B2 JP H0745440 B2 JPH0745440 B2 JP H0745440B2 JP 61113592 A JP61113592 A JP 61113592A JP 11359286 A JP11359286 A JP 11359286A JP H0745440 B2 JPH0745440 B2 JP H0745440B2
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  • Catalysts (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、アクリロニトリルの電解還元によつてアジポ
ニトリルとともに得られる1,3,6−トリシアノヘキサン
(以下、T.C.H.と略す)を電解液から精製して取り出
し、次いで、接触水添して4−アミノメチル1,8−ジア
ミノオクタン(以下、A.D.O.と略す)を製造する方法に
関するものである。
A.D.O.は一分子中に3種類の一級アミンを有する特殊な
化合物であり、エポキシ硬化剤、防錆剤、農業、ウレタ
ン、高分子凝集剤等広範囲の分野に利用できるものであ
る。
(従来の技術) 従来から提案されている方法としては、米国特許第3246
000号明細書中およびジヤーナル・オブ・オーガニツク
・ケミカル(J.Org.Chem.),30(5),1351(1965)に
記載されている。すなわち、アクリロニトリルを4級ア
ンモニウム塩の存在下に電解還元してアクリロニトリル
オリゴマーを得、高沸オイルを蒸留してT.C.H.を得、次
に、水素添加用金属触媒、例えば、ラネー型触媒、担持
ニツケル触媒、白金触媒、パラジウム・カーボン触媒等
やLiAlH4の如く還元試薬を用いて水素添加することによ
つて、A.D.O.に転化し得るとしている。
(発明が解決しようとする問題点) 従来の方法では、いわゆる高沸オイルからのT.C.H.の精
製は、一般的な蒸留方法で行なわれていると思われる。
もちろん一般的蒸留によつて精製は可能であるが、本発
明の比較例にも示したとおり、T.C.H.の品質に問題のあ
ることが推測される。したがつて、T.C.H.の水添に当つ
ては、ラネーコバルト触媒を用い、液体アンモニウムを
溶媒として用い、水素圧力として数100気圧という高い
圧力を用いるという方法で行なつているが、A.D.O.への
収率は概して低く60%程度にどどまつている。
(問題点を解決するための手段および作用) 本発明者らは、アクリロニトリルの電解還元によつて得
られる高沸オイルから商品値のT.C.H.を得ることを目的
として鋭意研究した結果、まず、高沸オイル中のアジポ
ニトリルを2重量%以下にし、次いで、高沸オイルから
のT.C.H.の単離を、いわゆる一般的な蒸留法ではなく、
分子蒸留法で行なうことにより、高沸オイル中に含まれ
る化合物の分解を極力抑えることができ、かつ高沸不純
物および分解物の混入のない高品質のT.C.H.を得ること
ができることを見出した。その結果、T.C.H.の水添にお
いて、触媒の劣化を大幅に防止でき、かつA.D.O.への収
率の向上も可能にできた。
本発明は、以上の知見に基づくものであり、第4級アン
モニウム塩の存在下アクリロニトリルの電解還元によ
り、アジポニトリルと1,3,6−トリシアノヘキサンを含
む電解液を得た後に、アジポニトリルを2重量%以下に
まで除去して1,3,6−トリシアノヘキサンを含む高沸物
残渣を得、次いで、該高沸物残渣から分子蒸留によつて
1,3,6−トリシアノヘキサンを蒸発単離し、このように
して得た1,3,6−トリシアノヘキサンをラネー型触媒を
用いて液相水添して4−アミノメチル−1,8−ジアミノ
オクタンを得ることを特徴とするものである。
本発明のアジポニトリルおよびT.C.H.を含む電解液は、
1対の陰極と陽極とが陽イオン交換膜で仕切られた陰極
室と陽極室とから成るいわゆる隔膜電解槽を用いても得
られる他、イオン交換膜のない単一電解槽を用いても得
ることができる。これらの電解は、例えば、特公昭45−
24128号公報、特公昭40−4733号公報、特開昭59−59888
号公報、特開昭59−185788号公報等において知られてい
る。例えば、隔膜電解槽を用いた電解は、次にようにし
て行なわれる。陰極は、一般に水素過電圧の高いものが
使用可能であり、例えば、鉛、亜鉛、カドミウム、タリ
ウム、グラフアイトなど、およびそれらを主成分とする
合金が挙げられる。特に、鉛、カドミウム、およびそれ
らを主成分とする合金が最適である。
陰極は鉛、鉛合金、白金等、耐食性の高いものであれば
よいが、鉛あるいは鉛合金が好ましい。
隔膜としては一般に、陽イオン交換膜が用いられ、硫酸
水溶液が陽極液として用いられる。
陰極液は、アクリロニトリル、アジポニトリル、T.C.
H.、その他の副生物、水、伝導性支持塩から成り、油、
水に分離したエマルジヨンになるか、アクリロニトリル
が過剰になることによつて均一溶液になつているか、い
ずれかの状態である。伝導性支持塩は、一般式 〔NR1R2R3R4+X- (式中、R1,R2,R3は炭素数1〜5のアルキル基、R4
炭素数1〜16のアルキル基、X-は硫酸、アルキル硫酸、
リン酸などのアニオンを表わす。)で示される第4級ア
ンモニウム塩が挙げられる。
電解液のpHは5以上が望ましく、好ましくは5.5以上、
さらに好ましくは6以上であり、pH11以上になるとアク
リロニトリル等の加水分解などの副反応が生じ好ましく
ない。
また、陰極液の一部または全部を連続的または断続的に
抜き出し、該抜き出し液をイオン交換樹脂により精製
し、循環、再使用しながら電解することが場合によつて
は好ましい。電解時における電槽内の電解液温度は、通
常40〜60℃の範囲であり、電流密度は陰極表面1dm2
り、通常5〜40アンペアの範囲である。
陰極と陽極の距離は、隔膜を介して通常1〜10mmであ
り、陰極液、陽極液がそれぞれ、通常0.5〜0.4m/secの
線速度で通過する。
本発明において、アジポニトリルおよびT.C.H.を含む電
解液からのT.C.H.の単離は、次のように行なう。
電解液が油水のエマルジヨンになつている場合、未反応
アクリロニトリルおよび副生物プロピオニトリルを蒸留
除去後、エマルジョン破壊を行ない、油水の2層に分離
する。水層には4級アンモニウム塩が分配し、油層には
若干の水、低沸物、アジポニトリル、T.C.H.、その他高
沸物等が分配する。一方、電解液が過剰のアクリロニト
リルで均一溶液になつている場合、例えば、水およびメ
チレンクロライドを加え、水層に4級アンモニウム塩を
抽出し、油層にアジポニトリル、T.C.H.、アクリロニト
リル等を抽出する。それぞれの場合とも、油層から低沸
物、アジポニトリルを一般的な蒸留法により除去する
と、T.C.H.を含む高沸物残渣が得られる。この高沸物残
渣には、T.C.H.が主成分として含まれているが、アジポ
ニトリルも5〜15重量%が含まれている他、アクリロニ
トリルの4量体、5量体といつた高沸物も10〜15重量%
も含まれており、その他少量の4級アンモニウム塩、金
属化合物等も含まれている。このようにして得た高沸物
残渣をそのまま分子蒸留にかけてもT.C.H.は得られる
が、アジポニトリルを多量に含んだ状態でT.C.H.を大量
に蒸発させることになるため、真空度の調節が難しく、
かつ突沸現象が起こつてくるため、T.C.H.への飛沫同伴
が多量に発生する。そのため、得られたT.C.H.の品質が
悪くなることは避け得ない。したがつて、高品質のT.C.
H.を分子蒸留で得るためには、高沸物残渣中に含まれる
アジポニトリルを2重量%以下に抑えておくことが必要
になる。もちろん少なければ少ないほどよいが、1重量
%以下に抑えておくことがより好ましい。
電解液油層からのアジポニトリルの除去は、前述のよう
に一般的な蒸留塔による蒸留でも、アジポニトリルを5
重量%以下に下げることは可能であるが、蒸留塔ボトム
温度が上つてくるため、ボトムでの分解も多く発生する
等かなり難しくなる。したがつて、蒸留塔による蒸留で
一挙にアジポニトリル濃度を2重量%以下にまで下げる
のではなく、まず、前述のように5〜15重量%の濃度に
まで下げ、次に、その高沸物残渣を分子蒸留器にかけ
て、アジポニトリル濃度を2重量%以下に下げるという
2段階操作を行なうことが好ましい。
分子蒸留を行なう装置としては、種々の型式のもの、例
えば、流下膜式、遠心式、ポツトスチル型、ブラシ式等
が工業的に用いられており、これらのいずれの方式のも
のを用いても可能であるが、一般的には流下膜式分子蒸
留器が用いられている。
アジポニトリルを低濃度に下げる場合、少々突沸が生じ
て留出物中に高沸成分が混入してきても問題ない。した
がつて、分子蒸留条件も厳密に設定する必要もない。例
えば、設定条件としては、真空度0.05〜7mmHgで、加熱
温度が130〜240℃の範囲でよく、高沸物残渣の供給速度
を調節することにより、アジポニトリル濃度を2重量%
以下にすることが可能である。
低濃度アジポニトリル含有高沸物残渣からのT.C.H.の分
子蒸留について説明する。
この分子蒸留は厳密に行なう必要がある。突沸を起こし
たり、高沸物残渣からのT.C.H.の蒸発割合をあまりに多
くすると、飛沫同伴、残留液の熱分解等が生じ、留出T.
C.H.の品質が低下してくる。留出T.C.H.の品質評価は、
T.C.H.の水添がいかにうまく進むかの水添評価が一番確
実であるが、一次評価としては、色度(ハーゼン番号)
および酸価(T.C.H.100g当りのN/10NaOHのml数)が一つ
の目安となる。すなわち、ハーゼン番号が1000以下、好
ましくは500以下、酸価が1.5以下、好ましくは1.0以下
になるようなT.C.H.を分子蒸留で得ることができるよう
な操作条件を設定することが必要である。すなわち、真
空度0.02〜0.5mmHgで、加熱濃度150〜240℃の範囲内
で、高沸物残渣の供給速度を調節し、T.C.H.の留出率を
80重量%以下、好ましくは70重量%以下にするように分
子蒸留操作を行なうことが好ましい。
次に、分子蒸留によつて得たT.C.H.の水洗浄処理である
が、この処理によつて、理由は明確ではないが、明らか
に水添反応が好ましく行なえるようになる。水洗操作は
単にT.C.H.と水とを加え、十分に振とうした後に静置し
2層分離するというバツチ操作でもよいし、洗浄塔形式
の連続操作でももちろんかまわない。水の量は、T.C.H.
水添に与える効果の点では多い方が好ましいが、T.C.H.
が水に一部溶解するため、使用する水の量があまり多い
と、T.C.H.の水への溶解損失が多くなる。したがつて、
T.C.H.単位重量当りの水の使用量は、0.2〜20倍量用い
ることが好ましく、より好ましくは0.5〜10倍量であ
る。
次に、T.C.H.の液相水添であるが、一般的な水素添加用
金属触媒、例えば、ラネー型触媒、担持ニツケル触媒、
白金触媒、パラジウム・カーボン触媒等やLiAlH4の如き
還元試薬を用いて水素添加することによつて、A.D.O.に
転化することは可能であるが、ラネー型触媒、いわゆる
ラネーコバルト、ラネーニツケルを用いて水添すること
が工業的意味からは必要である。
ラネーコバルトを用いた水添は、次のように行なわれ
る。溶媒として液体アンモニアを用いて、数100気圧の
高圧で水添することももちろん可能であるが、少量の水
を反応系内に共存させることにより、液体アンモニアを
溶媒として用いることなしに、実質的に無溶媒の系で水
添させることも可能であり好ましい。後者の反応につい
て詳述する。この反応系においては、反応系に共存させ
る少量の水以外には、他の有機溶媒や、助触媒を必要と
しないが、敢えてこれらの使用を除外するものではない
ことは勿論である。また、本発明において反応系に共存
させる水とは、化学的な意味での水であつて、それを反
応系へ加える時の状態が水単独であることに限るもので
はなく、それ以外の状態としては、例えば、展開したラ
ネーコバルトの水スラリーに含まれる水、あるいは原料
のT.C.H.に含まれている水、溶媒や助触媒等を併用する
場合には、それらに含まれている水など、いかなる状態
で加えられた水であつてもかまわない。必要な水の量
は、反応器に仕込まれるT.C.H.1重量部に対して、有意
な量であれば非常に少くても、水添条件の緩和には効果
が認められるが、実用的な量としては、T.C.H.1重量部
に対して、0.03重量部以上である。それ以上の水分の量
の増大は0.05〜0.10重量部の添加が、その効果を極大と
なし、さらに水分を増大させると、徐々に水添速度の低
下、およびA.D.O.収率の低下を招来する。
次に、ラネーコバルトの使用量については、本質的には
制限がないものゝ、実施に当つては実用的な反応条件下
で数時間以内で水添が終点に達することが望ましいし、
また、経済的な面より触媒の使用量はなるべく少くなけ
ればならないから、自ずと制限される。すなわち、その
使用量の下限は、反応温度100〜160℃、反応圧力20〜60
kg/cm2G程度の反応条件下で、実用的な反応時間として
2〜7時間程度で反応を完結させるには、前述の量の水
分の存在下で、T.C.H.1重量部に対して、展開ラネーコ
バルトとして0.005重量部以上、好ましくは0.01重量部
以上である。また、触媒使用量の上限は、反応液スラリ
ーを機械的に攪拌して水素ガスと反応液スラリーの接触
効率を高める際に、攪拌可能かつ反応熱除去が可能とい
う化学工学的見地から、および触媒の劣化による損失を
なるべく少く抑えると云う経済的見地から決められる。
すなわち、T.C.H.1重量部に対して、展開ラネーコバル
トとして0.20重量部以下、好ましくは0.10重量部以下で
ある。
次に、反応温度および反応圧力についてであるが、工業
的に実施する場合には、実用上妥当な反応速度が必要で
あることは自明であり、それは、2〜6時間で反応が完
結するのが適当であるが、そのためには、反応温度が80
〜200℃において、反応圧力が10〜100kg/cm2Gであるこ
とが必要である。さらに、より好ましくは、反応温度が
100〜170℃、かつ反応圧力が20〜80kg/cm2Gであり、こ
の条件は、触媒の使用量がより少くても、DAOの収率が
高いという点で好ましいものである。
ラネーニツケルを用いた水添は、次のように行なわれ
る。ラネーニツケルを触媒として用いた場合、全ての試
薬(すなわち、T.C.H.、溶媒、触媒、助触媒、水酸化ア
ルカリ、水素)を反応器に仕込んでから反応を行なう
と、反応は進行し、水添を行なうことが可能であるが、
場合によつては反応が完結しないことがあり、収率も十
分ではない。全ての試薬を反応開始前に仕込んでしまう
のではなしに、例えば、あらかじめ反応器中に溶媒、触
媒、助触媒、水素を入れ、反応条件下に保持されたラネ
ーニツケルスラリーの入つた反応器の中へ、原料のニト
リル化合物を逐次添加してゆくと云う方法を採ることに
よつて、反応を円滑に進行させ、完結させることができ
るため、この方法で行なうことが好ましい。この方法の
詳細について述べる。
用いられるラネーニツケル触媒は特に限定されない。通
常市販されているものであればよい。一般的には、ラネ
ーニツケル触媒はアルミニウム合金として市販されてお
り、アルカリを用いてアルミニウムを溶かし出す、いわ
ゆる展開操作により、水添反応触媒として用いられる展
開ラネーニツケルとすることができる。この展開操作に
も種々の方法があり、一般的には、W−1〜W−8の代
表的な方法があるが、これらのいずれの方法を用いて得
たラネーニツケル触媒を使用してもかまわない。触媒濃
度も特に限定されないが、反応器中に仕込んだ溶媒、助
触媒に対して1〜50重量%が好ましい。1重量%より少
ないと、反応効率が悪く、50重量%より多いと、反応液
全体の攪拌混合の点で問題が出てくる。
用いられるアルコール溶媒は、メタノール、エタノー
ル、プロパノール等の一般的なアルコールでよいが、触
媒活性の維持、生成物および原料の溶解性という観点か
らはエタノールが好ましく、特には1〜20重量%の水を
含有した含水エタノールが好ましい。エタノール中の水
濃度が20重量%を越えるようになると、反応収率の低下
が起つてくる。また、1重量%より少ない量の水濃度に
することは、反応全体の水バランスを考えると実質的に
難しい。用いられる水酸化アルカリは、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等であり、10〜50重量%の水溶液と
して反応器に仕込まれ、副生物生成を防止する助触媒と
して作用する。添加量は、100%水酸化アルカリとし
て、溶媒に対して0.1〜10重量%である。量が少なすぎ
ると助触媒としての効果が少なすぎ、多すぎるとニトリ
ルの加水分解等が起つてくるため好ましくない。
次に、反応温度および水素圧力であるが、それぞれ50〜
120℃および3〜100atmで反応を行なうことが好まし
い。一般的には、反応温度、圧力が高いほど反応速度は
速くなるが、高いほど有利というわけではない。反応温
度が120℃を越えるようになると、圧力も高まつてくる
だけでなく、副反応生成物であるN−アルキル化物の生
成も増大してくる。50℃より低い温度では、反応速度が
かなり低くなる。より好ましい温度は70〜100℃の範囲
である。水素圧力はプロセスの経済性に与える影響が大
きいばかりでなく、反応によつては、水素圧力の増大は
反応の選択性を低下させることがあると言われている
〔アール・エル・オーガスチン,フアインケミカルにお
ける水素化反応、1974年刊,日刊工業新聞社,P−48〕。
また、あまり低い実質的に反応が進行しなくなる。より
好ましい水素圧力は5〜50atmである。
次に、T.C.H.の反応器への添加についてであるが、これ
はT.C.H.の水添反応に大きく影響することは前述のとお
りである。反応系内のT.C.H.濃度が増加してくると、触
媒活性が低下する現象が起つてくる。その結果、水添反
応速度が低下し、さらに、それによつてますます触媒活
性が低下するという悪循環に陥り、ついには反応が停止
してしまうことがある。その結果、反応収率も低くな
る。このような現象が起こる理由はよくはわからない
が、T.C.H.の3種類のニトリル基のうち、側鎖ニトリル
基が最も水添されにくく、この側鎖ニトリル基の反応系
中での濃度が増加してくると、触媒表面上に付着し触媒
活性を低下させる原因になつているのではないかと推定
される。
したがつて、特定の反応条件下で、T.C.H.、特には側鎖
ニトリル基の反応系内での濃度を一定濃度以下にし、反
応系内に未反応分の蓄積が起こらないようにすること
が、触媒の劣化防止とその結果としての反応収率の向上
には好ましい。この要件を達成するためには、T.C.H.の
水添速度を十分考慮しながら反応系内にT.C.H.を添加し
ていくことが必要である。T.C.H.水添の反応速度には、
反応温度、水素圧力、触媒濃度等が密接に関係するが、
最も大きく影響する因子は触媒濃度である。すなわち、
単位触媒当り、単位時間当り、T.C.H.の負荷をどの程度
にするかが最大のポイントである。反応器中に添加する
T.C.H.の添加速度は平均で0.005〜0.5g/mm・g−ラネー
ニツケル触媒、より好ましくは0.008〜0.2g/mm・g−ラ
ネーニツケル触媒、さらに好ましくは0.008〜0.045g/mm
・g−ラネーニツケル触媒である。T.C.H.の添加速度は
あくまでも平均速度であり、連続的に添加してもよく、
また、間歇的に添加してもよいが、連続に近い条件下で
添加する方が好ましい。T.C.H.の反応器内への添加速度
は、もちろん反応温度、水素圧力に関係してくる。反応
温度が高く、かつ水素圧力も高ければ相対的にT.C.H.の
添加速度を速くすることが可能になり、両因子が低けれ
ば相対的に添加速度を低くする必要がある。いずれにし
ても、単位触媒当り、単位時間当りのT.C.H.の添加速度
が遅ければ遅いほど触媒劣化の防止の点からは好まし
く、反応収率も向上するが、生産効率という点から下限
が設定される。さらに、反応系内での未反応ニトリル基
の蓄積および触媒活性との関連という観点からは、T.C.
H.の反応器への添加終了後に水素吸収が実質的になくな
るまでどの程度反応を継続するかという、いわゆる後反
応時間が重要なフアクターである。水素吸収が実質的に
なくなるという意味は、実施例にも示したとおり、圧力
ゲージ変化が毎分0.1kg/cm2以下の水素吸収速度になつ
た時点を言い、いわゆる完全になくなつた時点ではな
い。後反応時間があまりに長いということは、反応系内
へのT.C.H.の添加速度が速やすぎるため、反応系内に未
反応ニトリル基が蓄積していることを意味しており、結
果として触媒にダメージを与えることになり、かつ収率
も悪くなる。T.C.H.の反応速度に応じて(すなわち、触
媒活性、反応温度、水素圧力)、T.C.H.の添加速度を決
めることが必要であり、後反応時間はそれを決定する基
準となる。すなわち、後反応時間が3時間以下になるよ
うに、より好ましくは60分未満になるようにT.C.H.の添
加速度を設定することが好ましい。
次に、T.C.H.の反応器への添加の終了をどう判断するか
であるが、反応系内のA.D.O.濃度があまりに濃くなる
と、反応に悪影響が出てくるため、反応系内のA.D.O.濃
度という観点からは、反応液中のA.D.O.濃度を80重量%
以下に抑えることが好ましい。
(実施例) 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 電解槽は1cm×90cmの通電面を有す鉛合金を陰極、同じ
通電面を有す鉛−アンチモン合金を陽極として用い、陽
イオン交換膜で陰極室と陽極室に仕切られており、各極
板とイオン交換膜の間に、極板の通電面と同じ形で切り
抜いた2mm厚みのポリエチレンシートをはさみ、各極板
を固定した。
陽極室には陽極液が陽極液タンクから、陽極室には陰極
液タンクから陽極液が循環して供給され、陽極液として
10重量%の硫酸水溶液を用い、陽極室での線速度が2m/s
ecになるように循環した。
陰極液として、アクリロニトリル約25重量%、アジポニ
トリル約60重量%、プロピオニトリルおよびT.C.H.と水
である有機相と、該有機相と平衡組成にあり、テトラエ
チルアンモニウム硫酸約10重量%を含有する水相を容積
比2対8で混合したエマルジヨンを用い、硫酸でpH7.5
に調整し、線速度2m/secで陰極室に循環して、電流密度
30A/dm2をかけ、50℃で電解した。
イオン交換樹脂として、テトラエチルアンモニウム型に
したイミノジ酢酸タイプの樹脂(LewatitTP207)50CCを
用いた。イオン交換樹脂に供給する液は陰極液水相から
アクリロニトリルを除去した液を用い、処理速度は5CC/
AHとし、キレート樹脂塔から出てきた液は陰極液タンク
に循環した。上記電解条件で2000時間、連続運転した結
果、アジポニトリルの収率が89%であり、T.C.H.の収率
が7.0%であつた。
上記電解で得られた油層を集め、アクリロニトリル、プ
ロピオニトリル、水を蒸留除去し、次いで、減圧蒸留塔
で減圧蒸留してアジポニトリルを除去した。この残渣中
のアジポニトリル濃度は7.1重量%、T.C.H.濃度は81.0
重量%であつた。この高沸物残渣からのアジポニトリル
の除去を、スミス式実験室用分子蒸留装置(神鋼フアウ
ドラー社製、2型、伝熱面積0.032m2、ガラス製)を用
いて行なつた。真空度5.0mmHg、外壁面加熱温度230℃、
高沸物残渣供給速度7.0g/mmで操作した。アジポニトリ
ル7.1重量%含有高沸物残渣供給量5860g、留出量424g、
蒸留残渣量5436gであつた。留出液組成はアジポニトリ
ル81.0重量%、T.C.H.19.0重量%であり、アジポニトリ
ル除去率は82%であつた。蒸留残渣中のアジポニトリル
濃度は1.38重量%であつた。
次に、アジポニトリル1.38重量%含有高沸物残渣からの
T.C.H.の単離を、上記と同じ分子蒸留装置を用いて行な
つた。真空度0.1mmHg、外壁面加熱温度180℃、高沸物供
給速度2.2g/mmで操作した。高沸物供給量2000g、留出量
1100g、蒸留残渣900gであつた。留出液組成は、T.C.H.
が96.0重量%、アジポニトリルが2.5重量%であつた。
留出液の色度はHAZEN450であり、酸価は0.7であつた。
蒸留残渣の25℃における粘度は784cpであつた。
次に、内容積2.0lの誘導攪拌機および加熱冷却兼用ジヤ
ケツト付ステンレス製オートクレーブ(以下、単にオー
トクレーブと略す)に、市販のラネーコバルト合金(川
研フアインケミカル製、Al:Co:Mn重量比=66.5:30.0:3.
5)82gを25%NaOH水溶液350g中で55℃で約20分間にわた
つて投入して展開した後、熟成、水洗して得られたラネ
ーコバルトの水スラリー75g(ラネーコバルト25g、水分
50g)とT.C.H.留出液1000g、さらに水を10g仕込んだ
後、オートクレーブ内の空気を。最初にN2、次いでH2
置換し、H2を室温(25℃)で35kg/cm2Gまで導入した
(なお、H2ガスは、150kg/cm2Gに充填されたボンベよ
り、体積既知の蓄圧器および定圧弁を経由して、一定圧
力で反応器に供給される。)。次いで、オートクレーブ
のジヤケツトをスチームで加熱して昇温し、同時に誘導
攪拌機によつて反応器内を攪拌した。昇温開始後、2分
で約110℃に達し、反応器内圧は35kg/cm2Gより44kg/cm
2Gまで上昇した後、昇温がさらに続いているのも拘ら
ず、圧力の低下が始つたので、水添反応によるH2の消費
が始まつたことが確認された。そこで、定圧弁の2次圧
力を50kg/cm2Gに設定し、蓄圧器より連続的にH2を供給
し、蓄圧器の圧力降下を経時的に測ることによつて、反
応速度およびH2消費量を追跡した。昇温開始後、約4分
で所定の150℃に達したので、その温度、圧力を保持す
るように装置を調整しながら水添を行なつた。反応速度
の追跡から、反応は極めて安定して速く、昇温開始より
90分後には、H2の合計消費量は理論消費量(仕込んだT.
C.H.が全てA.D.O.に転化するのに必要な水素の量)の93
%に達した。その後反応速度は急激に下がり、昇温開始
後、180分経過した時点で、H2の消費は完全に止まり、
その合計消費量は、理論量の99.5%であつた。そこで、
H2の供給路を断ち反応器を急冷して、約1.5分で反応液
を室温に戻し、反応器を開封して反応液をラネーコバル
ト共に回収したところ、1132gであつた。触媒を別し
た後の反応液をガスクロマトグラフイーにより分析した
ところ、A.D.O.の生成収率は69%であつた。なお、A.D.
O.の生成収率は含有されているT.C.H.基準で計算したも
のである。以降の実施例、比較例ともに同様の計算であ
る。
実施例2 実施例1と同様にして電解および電解液から減圧蒸留に
よりアジポニトリルの除去を行ない、アジポニトリル8.
2重量%、T.C.H.80.0重量%を含む高沸物残渣液を得
た。
この高沸物残渣液からのアジポニトリルの除去、および
T.C.H.留出液の単離の分子蒸留条件を変える以外は、実
施例1と同様に行なつた。アジポニトリル除去条件を、
真空度1.0mmHg、外壁面加熱温度180℃、高沸物供給速度
4.0g/minに設定して行なつた。留出率は8%であり、留
出液中のアジポニトリル濃度83重量%、T.C.H.濃度17重
量%であり、アジポニトリル除去率は91%であつた。蒸
留残渣中のアジポニトリルの濃度は0.8重量%であつ
た。次に、T.C.H.留出条件を0.3mmHgの真空度で200℃の
外壁面加熱温度で、残渣液供給速度2.1g/minに設定して
行なつた。留出液は45%であり、留出液組成はT.C.H.が
98.0重量%、アジポニトリルが1.7重量%であつた。留
出液の色度はHAZENで400、酸価は0.5であつた。
次に、内容積4.0lの誘導攪拌機および加熱冷却用ジヤケ
ツト付ステンレス製オートクレーブ(以下、単にオート
クレーブと略す)を用いた。ラネーニツケルは、市販の
ラネーニツケル合金(川研フアインケミカル製、Al:Ni
重量比=50:50)30gを25%NaOH水溶液130g中へ、550℃
で1時間にわたつて攪拌下に投入して展開した後、熟
成、水洗して得た。このようにして得たラネーニツケル
の水スラリーを95g(V/V)含水エタノールで置換して、
エタノールスラリーとしてオートクレーブに入れ(展開
ラネーニツケル15g、エタノール分20g)、さらに、95%
(V/V)含水エタノール1000gおよび30重量%水酸化ナト
リウム水溶液20gをオートクレーブに入れた。次に、オ
ートクレーブを水素置換した後、水素で加圧し、系を80
℃、30kg/cm2Gに設定した。この反応系は反応終了時ま
で維持した。
次に、T.C.H.を速度1.5g/minで加圧ポンプを用いて、オ
ートクレーブ中に5.5時間にわたり逐次添加し、合計で5
00g添加した(0.1g/min・g−Niに相当)。添加終了
後、後反応を80分間行なつた。反応終了後、冷却、N2
換し、静置して触媒を沈降させた後に反応液を抜き出し
た。その後、さらに95%(V/V)含水エタノールで触媒
を洗浄して、触媒に付着した反応液を抜き出した。反応
液および洗浄液を合わせてPC分析してA.D.O.の生成収率
を求めたところ、72%の収率であつた。
実施例3 実施例2と同様にしてT.C.H.留出液を得、T.C.H.留出液
500gに対して水500gを添加し、3lの分液ロートで200回
十分に振とうし、静置後2層分離して油層を単離した。
油層中に水が4.0重量%含まれていた。
次に、実施例2と同様にして、オートクレーブ中にラネ
ーニツケル、エタノール、水酸化ナトリウムを入れ、反
応系を90℃、30kg/cm2Gに設定した。次に、実施例2と
同様の条件で油層をオートクレーブ中に添加し、添加終
了後、後反応を55分間行なつた。実施例2と同様にして
後処理し、A.D.O.の収率を求めたところ、78%であつ
た。
実施例4 実施例3において、T.C.H.留出液を水洗を留出液に対し
て水を4重量倍加えて水洗したほかは、実施例2と全く
同様の操作を行なつた。オートクレーブ中への油層添加
後の後反応時間は40分であり、A.D.O.の収率は81%であ
つた。
実施例5 単一室電解槽は1cm×90cmの電解面を有する鉛合金を陰
極とし、同じ電解面を有する炭素鋼を陽極としてなり、
陰極と陽極を2mmの間隔で保つた。電解液は10重量部の
油相および90重量部の水相でエマルジヨンをなしてお
り、水相の組成はAN約2.0重量%K2HPO4約10重量%K2B4O
7約3重量%(EtBu3N)EtSO40.3重量%および若干のア
ジポニトリル、プロピオニトリル、1,3,6−トリ・シア
ノヘキサンを含んだ水溶液であり、リン酸でpH約8に調
整した。油相は該水相と溶解平衡をなしており、その組
成はアクリロニトリル約28重量%アジポニトリル約62重
量%である。
このエマルジヨンを電解面で線速1m/secになるように単
一室電解槽に循環供給し、電流密度20A/dm2、50℃で電
解を行つた。電解を始めると同時に、電解液タンクから
油水分離器に送られたエマルジヨンの水相を、約50℃に
保温したイミノジ酢酸タイプのキレート樹脂(LewatitT
P207)〔K+〕型200CCで6CC/AHの割合で処理を始め、電
解液タンクに循環した。
また、同時に油相を連続的に抜き出し、前記電解液組成
を保つようアクリロニトリルおよび水を連続的に添加
し、油相に溶解して抜き出された(EtBu3N)EtSO4を随
時添加した。
このようにして2000時間電解を行つた結果、初期電解電
圧は3.9Vで安定に推移し、発生ガスに含まれる水素は電
解終了時で0.16vol%であり、陰極の消耗速度は0.21mg/
AH、陽極の消耗速度は0.23mg/AHであり、不均一の陽極
腐食物はまつたくなかつた。また、消費アクリロニトリ
ルに対するアジポニトリル収率は90%、T.C.H.の収率は
7.5%であつた。
次に、上記電解で得られた油層を集め、水抽出処理を行
ない、アクリロニトリル、プロピオニトリル、水を蒸留
除去し、次いで、減圧蒸留によりアジポニトリルを除去
した。この残渣中のアジポニトリルは11.0重量%であつ
た。
この残渣液からのアジポニトリルの除去は、径32mmφ、
実段数5段の真空外套付蒸留等を用いて、アジポニトリ
ルを主成分として含む留分をバツチ蒸留し、真空度2.0m
mHgで塔頂温度120〜210℃までの留分を初留カツトして
行なつた。この蒸留残渣を遠心式分子蒸留器(大阪真空
製、CMS−5A形)にかけ、T.C.H.の単離を行なつた。蒸
留条件は、真空度0.02mmHg、加熱面温度150℃、処理速
度1.0g/minに設定した。留出率は60%であり、留出液の
色度はHAZEN500、酸価は1.1であつた。
この留出液を実施例2と全く同様にして水添した。後反
応時間は150分であり、A.D.O.の生成収率は65%であつ
た。
実施例6 実施例1において、電解槽を1m×1mの通電面を有する大
きさの陰、陽極を有し、かつ、1対ではなく3対から成
る電解槽に変え、イオン交換樹脂としてスルホン酸型の
強酸性イオン交換樹脂に変える以外は、実施例1と同様
にして電解を行なつた。アジポニトリルの収率は88.5%
であり、T.C.H.の収率は7.5%であつた。
次に、上記電解で得られた油層を集め、実施例1と同様
にしてアジポニトリルを除去し、7.8重量%のアジポニ
トリル80.0重量%のT.C.H.を含有した高沸物残渣液を得
た。
次に、スミス式大型分子蒸留器(神鋼フアウドラー製、
12−4型、伝熱面積0.4m3,SS製)を用いて、アジポニト
リル除去およびT.C.H.単離を行なつた。アジポニトリル
除去の分子蒸留条件は、真空度0.15mmHg、外壁面加熱温
度165℃、高沸物残渣供給速度200l/Hrで操作した。留出
液は20l/Hrであり、残渣液は180l/Hrであつた。残渣液
中のアジポニトリル濃度は0.33重量%であつた。T.C.H.
単離の分子蒸留条件は、真空度0.05mmHg、外壁面加熱温
度165℃、残渣供給速度160l/Hrで操作した。留出液は86
l/Hrであり、残渣液は74l/Hrであつた。留出液組成は、
アジポニトリルが0.67重量%であり、T.C.H.が99重量%
であつた。
次に、このT.C.H.留出液を用いて水添反応を行なつた。
反応条件は、展開ラネーコバルトの量を40g、水の量を8
5g、反応温度を135g、圧力を40kg/cm2Gに変える以外
は、実施例1と同様にした。反応時間は150分であり、
A.D.O.の生成収率は74%であつた。
実施例7 T.C.H.の単離までを大型分子蒸留器の運転条件を変える
以外は、実施例1と同様にして行なつた。アジポニトリ
ル除去の分子蒸留条件は、真空度0.07mmHg、外壁面加熱
温度146℃、高沸物残渣供給速度140l/Hrで操作した。留
出液は40l/Hrであり、残渣液は100l/Hrであつた。残渣
液中のアジポニトリル濃度は0.11重量%であつた。T.C.
H.単離の分子蒸留条件は、真空度0.1mmHg、外壁面加熱
温度170℃、残渣液供給速度200l/Hrで操作した。留出液
は100l/Hrであり、残渣液は100l/Hrであり、残渣液は10
0l/Hrであつた。留出液組成は、アジポニトリルが0.5重
量%であり、T.C.H.が99重量%であつた。
次に、T.C.H.留出液を実施例4と同様にして水洗処理を
行なつた。水洗油層には水が4.5重量%含まれていた。
次に、この水洗油層を用いて水添反応を行なつた。反応
条件は、実施例2と同じ装置を用い、ラネーニツケルの
合金を10倍の300g用いて、10倍のスケールで添加ラネー
ニツケルを作り、オートクレーブに展開ラネーニツケル
150g、95%(V/V)含水エタノール200gを入れた。さら
に、95%(V/V)含水エタノール1050gおよび30重量%水
酸化ナトリウム18gをオートクレーブに入れた。次に、
オートクレーブを水素置換した後、水素で加圧し、系を
90℃、30kg/cm2Gに設定した。この反応系は反応終了時
まで維持した。次に水洗油層を4g/minの速度で加圧ポン
プで5.50時間にわたり逐次的にオートクレーブ中に合計
1320g(T.C.H.含有留出液として1260g)添加した(0.02
7g/min・g−Niに相当する)。添加後、後反応を10分間
行なつた。反応終了後、実施例1と同様にして後処理
し、GC分析してA.D.O.の生成収率を求めたところ、92%
の収率であつた。
実施例8〜12 実施例7と全く同様に反応を行ない、反応終了後、触媒
を沈降させて反応液を抜き出し、次いで、触媒を洗浄し
て洗浄液を抜き出した。次に、反応を1回行なつた触媒
の存在しているオートクレーブ中に、実施例7と全く同
様にして、含水エタノール1050gおよび水酸化カリウム
水溶液18gを入れ、次いで、系を90℃、30kg/cm2Gに設
定した。次に、実施例7と同様にして水洗T.C.H.留出液
をオートクレーブ中に逐次添加し、1320g添加した。添
加終了後、後反応を行ない、反応終了後、実施例7と同
様にして反応液、洗浄液を抜き出した。以上の反応操作
を5回行なつた。結果は以下のとおりである。
実施例7〜12までの反応は同一触媒を用いて行なつてお
り、A.D.O.単位重量当りに必要な触媒量は21.8g−ラネ
ーニツケル/kg−A.D.O.である。
実施例13 T.C.H.のオートクレーブ中への添加速度を0.015g/min・
g−Niに変える以外は、実施例12と全く同様にして反応
を行なつた。結果は、後反応時間が45分であり、A.D.O.
収率が79%であつた。
実施例14 実施例7のなかで、展開ラネーニツケル150gを50gを変
え、反応系を80℃、50kg/cm2に変える以外は、実施例7
と同様にしてオートクレーブに仕込み、反応準備をし
た。次に、水洗T.C.H.留出液を2.2g/minの速度で5時間
にわたつて逐次的にオートクレーブ中に添加し、次い
で、添加を停止し15分間加熱攪拌し、次いで、同速度で
3時間再添加し、合計で1056g添加した(添加終了まで
の平均速度は0.0427g/min・g−Niに相当)。添加後終
了後、後反応を25分行なつた。反応液は処理は、実施例
7と同様に行ない、A.D.O.を分析すると、A.D.O.の生成
収率は85%であつた。
実施例15 実施例7のなかで、オートクレーブへの30重量%KOH水
溶液の添加量18gを30重量%NaOH水溶液30g添加すること
に変え、反応系の設定を90℃、30kg/cm2Gから90℃、9k
g/cm2Gに変える以外は、実施例7と同様にして反応準
備を行なつた。次いで、水洗T.C.H.留出液を1.5g/minの
速度で12時間オートクレーブ中に逐次添加し、合計で10
80g添加した(0.01g/min・g−Niの速度に相当)。反応
終了後、後反応時間を50分行なつた。反応液の処理は、
実施例7と同様に行ない、A.D.O.を分析すると、A.D.O.
の生成収率は83%であつた。
比較例1 実施例1と同様にして、電解および電解液から減圧蒸留
によりアジポニトリルの除去を行ない、アジポニトリル
7.1重量%、T.C.H.81.0重量%を含む高沸物残渣液を得
た。
次に、径32mmφ、実段数5段を有する真空外套は蒸留塔
を用いて高沸物残渣液をバツチ蒸留した。初留を除き、
真空度2.0mmHg、塔頂温度230℃の留分を単離した。留出
液中のアジポニトリル濃度1.5重量%、T.C.H.濃度98重
量%、色度はHAZENで1100、酸価は1.5であつた。
次に、実施例2と同様にして水添操作を行なつた。後反
応時間は220分であり、A.D.O.生成収率は53%であつ
た。
比較例2 実施例1で得たアジポニトリル7.1重量%含有した高沸
物残渣液を用い、アジポニトリル濃度を減らすことなし
に、実施例1で用いた分子蒸留器を用い一挙にT.C.H.を
単離することを試みた。分子蒸留条件は、真空度0.1mmH
g、外壁面加熱温度230℃、高沸物残渣液供給速度4.8g/m
inに設定した。留出率は20%、留出液中のアジポニトリ
ル濃度は36重量%、T.C.H.濃度は62重量%であつた。こ
のT.C.H.含有留出液を実施例2と同様にして水添した。
A.D.O.の生成収率は57%であつた。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第4級アンモニウム塩の存在下アクリロニ
    トリルの電解還元により、アジポニトリルおよび1,3,6
    −トリシアノヘキサンを含む電解液を得、該電解液から
    アジポニトリルを2重量%以下になるまで除去して1,3,
    6−トリシアノヘキサンを含む高沸物残渣を得、次い
    で、該高沸物残渣から1,3,6−トリシアノヘキサンを分
    子蒸留によつて蒸発留出させ、該1,3,6−トリシアノヘ
    キサンをラネー型触媒を用いて液相水添することを特徴
    とする4−アミノメチル−1,8−ジアミノオクタンの製
    造方法。
  2. 【請求項2】高沸物残渣中に含まれるアジポニトリル濃
    度が1重量%以下である特許請求の範囲第1項記載の方
    法。
  3. 【請求項3】アジポニトリルの除去が蒸留塔による蒸留
    によつて行なわれ、次いで分子蒸留によつて行なわれる
    特許請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】分子蒸留によつて得た1,3,6−トリシアノ
    ヘキサンを水洗浄処理した後に水添に供する特許請求の
    範囲第1項記載の方法。
  5. 【請求項5】1,3,6−トリシアノヘキサンの水添が、ラ
    ネーコバルトを触媒として用い、かつ水を助触媒として
    用いて行なわれる特許請求の範囲第1項記載の方法。
  6. 【請求項6】1,3,6−トリシアノヘキサンの水添が、ラ
    ネーニツケルを触媒として用い、あらかじめ反応器中に
    触媒、助触媒、溶媒、水素を入れ、触媒濃度1〜50重量
    %で反応器中に1,3,6−トリシアノヘキサンを0.005〜0.
    5g/mm・g−触媒の平均速度で逐次的に添加しながら行
    なわれる特許請求の範囲第1項記載の方法。
  7. 【請求項7】1,3,6−トリシアノヘキサンの反応器への
    添加終了後、水素吸収が実質的になくなるまでの時間、
    すなわち、後反応時間が3時間以内である特許請求の範
    囲第1項記載の方法。
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