JPH0744980Y2 - 赤外線検出器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は，赤外線を検出して信号を発生する素子を搭
載する赤外線検出器に関するものである。

［従来の技術］ 第２図は，従来の赤外線検出器を示す断面図であり，図
において（１）は赤外線を検知して信号を発生する素子
（以下赤外線検出素子という），（２）は上記赤外線検
出素子（１）を内部に搭載する二重円筒構造をした内部
を真空にすることができる容器の外筒，（３）は二重円
筒構造をした内部を真空にすることができる容器の内筒
（以下内筒という）である。

赤外線検出器は，上記赤外線検出素子（１）が上記内筒
（３）の先端部に例えば半田付もしくは接着により固定
されており，上記内筒（３）の内側に，図示されていな
い冷却装置を挿入し冷却能力を発生させ，このとき上記
外筒（２）と上記内筒（３）で構成される内部空間が真
空に保たれている場合，断熱されるため上記赤外線検出
素子（１）は極低温に冷却され，図示されていない光学
系を透過し入光する赤外線を検知した素子が発生する信
号を図示されていない配線を通して図示されていない外
部の信号処理回路に送ることにより赤外線を検出するこ
とができる。

［考案が解決しようとする課題］ 上記のような従来の赤外線検出器においては，次のよう
な問題点があった。すなわち赤外線検出器は，内筒
（３）の先端部に搭載された赤外線検出素子（１）が極
低温に冷却されると，赤外線検出素子（１）は，内筒
（３）の先端部に，例えば半田付もしくは接着により強
固に固定されているので，例えば赤外線検出素子（１）
を構成する材料と，内筒（３）を構成する材料の熱膨張
係数の差により，赤外線検出素子（１）に，赤外線検出
素子（１）の許容応力よりも大きい，熱応力が発生し，
赤外線検出素子（１）が，機械的に破壊するという問題
点があった。

この考案は，このような問題点を解決するためになされ
たもので，赤外線検出素子を極低温に冷却したときに，
赤外線検出素子に発生する熱応力を低減することがで
き，赤外線検出素子の機械的破壊を引き起こさず，性能
を発揮できる赤外線検出器を得ることを目的としてい
る。

［課題を解決するための手段］ この考案に係わる赤外線検出器は，赤外線検出素子を，
赤外線検出器内筒の先端部に半田付や接着による固定は
せずに，ネジによる締め付け力を利用して赤外線検出素
子を保持する構造を備えたものである。

［作用］ この考案においては，赤外線検出器内部に搭載された赤
外線検出素子が，極低温に冷却されたときに，赤外線検
出素子に発生する熱応力を十分小さくすることができ
る。

［実施例］ 第１図はこの考案の一実施例を示す断面図であり，図に
おいて（１）は赤外線検出素子，（２）は外筒，（３）
は内筒であり，上記（１）〜（３）は従来装置と同じで
ある。（４）は例えば，上記内筒（３）の先端部と同じ
材質ででき，上記赤外線検出素子（１）を位置決めでき
るように，上記内筒（３）の先端部に設けた凹部に合う
ような凸部を有し，上記赤外線検出素子（１）に入射す
る赤外線を妨げないように開口部を設けた押さえ板，
（５）は上記押え板（４）を上記内筒（３）の先端部に
数か所でおさえこむためのネジ，（６）は上記ネジ
（５）のゆるみ防止のサラバネ，（７）は上記赤外線検
出素子（１）と上記内筒（３）の先端部の間に設置し，
上記赤外線検出素子（１）が上記ネジ（５）の締付け力
により押さえつけられることにより変形し，かつ上記赤
外線検出素子（１）及び上記内筒（３）の先端部に密着
し，熱を伝えることに効果を有する，例えば金属の薄い
シート（以下シートという）である。

上記のように構成された赤外線検出器において，上記内
筒（３）の内側に，図示されていない冷却装置を挿入
し，冷却能力を発生させ，このとき上記外筒（２）と上
記内筒（３）で構成される内部空間が真空に保たれてい
る場合，断熱されるため，上記赤外線検出素子（１）
は，極低温に冷却され，図示されていない光学系を通過
し入光する赤外線を検知した素子が発生する信号を，図
示されていない配線を通して図示されていない外部の信
号処理回路に送ることにより赤外線を検出することがで
きることは従来の装置と全く同じである。しかし，この
考案による赤外線検出器では，上記赤外線検出素子
（１）は，半田付や接着のように強固に上記内筒（３）
の先端部に固定されておらず，上記ネジ（５）でトルク
レンチ等により管理された締付け力により押えつけられ
ているので，上記赤外線検出素子（１）が極低温に冷却
された場合でも，赤外線検出素子（１）は，ある範囲で
ある程度自由に変形することができるので，上記赤外線
検出素子（１）に各部材の熱膨張係数の差が原因で発生
する熱応力は小さくすることができ，上記赤外線検出素
子（１）の許容応力よりも小さい熱応力にすることがで
き，上記赤外線検出素子（１）の機械的破壊は防止でき
る。上記ネジ（５）はサラバネ（６）によりゆるみを防
止されているため，常に締付け力は一定となる。また，
上記ネジ（５）の締付け力により，上記赤外線検出素子
（１）は，上記シート（７）を介して上記内筒（３）の
先端部に常に押しつけられているので，上記赤外線検出
素子（１）と上記内筒（３）の先端部は，常に熱的に十
分結合されている状態を保つことができる。

［考案の効果］ この考案は以上説明したとおり，赤外線検出器の内部に
搭載された赤外線検出素子が，極低温に冷却されたとき
に，赤外線検出素子に発生する熱応力を赤外線検出素子
の許容応力よりも小さくすることができ，赤外線検出素
子の機械的破壊を引き起さず，性能を発揮できるという
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す赤外線検出器の断面
図，第２図は従来の赤外線検出器を示す断面図である。 図において，（１）は赤外線検出素子，（２）は外筒，
（３）は内筒，（４）は押え板，（５）はネジ，（６）
はサラバネ，（７）はシートである。 なお，図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】赤外線を検出する素子と，上記素子を内部
   に搭載し，内部を真空にできる二重円筒構造をした容器
   と，上記素子と上記二重円筒の内筒の先端部の間に熱を
   伝えるシートを挿入し，上記素子を押さえ板を介してネ
   ジで上記二重円筒の内筒の先端部に固定する構造とを備
   えたことを特徴とする赤外線検出器。