JPH0744951U - トランクス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 【構成】トランクスの少なくとも後身頃が、１重量％以
上のポリウレタン弾性糸を含む伸長率10％以上の伸縮性
織物からなり、伸縮方向が縦方向であるトランクスであ
る。これらの中、トランクスが前身頃、後身頃及び股下
部分からなり、更に後身頃が左右及び中央部分からなる
構成において、股下部分及び後身頃の中央部分が前記の
伸縮性織物からなり、伸縮方向が股下部分は横方向に、
後身頃の中央部分は縦方向に構成されているトランクス
が好ましい。 【効果】本考案のトランクスは縫製パーツの一部または
全部に運動時の身体の伸縮方向に合わせた伸縮性織物を
使用しているため、従来品に較べて運動時の身体へのフ
ィット性がよくまたしわやたるみの発生が少なく、運動
機能性及び着用感が著しく改善された。更に、使用時も
トランクスにしわやたるみが発生しないため外観も良好
である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、トランクスに関するもので更に詳しく述べると、トランクスを構成 するパーツの１部または全部に弾性糸を含む伸縮性織物を使用することにより、 運動機能性と快適な着用感を持たせたものである。

【０００２】

【従来の技術】

トランクスは使用時身体の伸縮に伴いかなり大きな力を受けるが、従来トラン クスの素材に使用されていた織物は伸縮性が乏しいため、運動機能性をもたせる ためには、使用する布の面積に過度のゆとりを持たせる必要があった。これが不 快な着用感を与える大きな原因になっていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前述の問題点を解決するため伸縮性を有する織物を使用し、且つ運動量に適応 した形状の縫製パーツを使用することにより、過度のゆとりを排除しながら容易 に運動に追随し、シルエットにも悪影響のないトランクスを提供しようとするも のである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案者等は前述の課題を解決するため、トランクスの縫製パーツに伸縮性織 物を利用し、且つ織物の伸縮方向を運動時の身体の伸縮方向と一致させることに よってトランクスの運動機能性と着用感を高めることについて研究した結果、本 考案に到達した。

【０００５】 すなわち、トランクスの少なくとも後身頃が、１重量％以上のポリウレタン弾 性糸を含む伸長率10％以上の伸縮性織物からなり、伸縮方向が縦方向であるトラ ンクスである。これらの中、トランクスが前身頃、後身頃及び股下部分からなり 、更に後身頃が左右及び中央部分からなる構成において、股下部分及び後身頃の 中央部分が前記の伸縮性織物からなり、伸縮方向が股下部分は横方向に、後身頃 の中央部分は縦方向に構成されているトランクスが好ましく、更にトランクスの 後身頃の左右の部分が伸縮性織物からなり、伸縮方向が横方向であるトランクス がより好ましく、またトランクスの前身頃も伸縮性織物からなり、伸縮方向が横 方向であるトランクスが最も好ましい。

【０００６】 ここで「伸長率」とは、JIS L-1096 6.14.1のＡ法により定義されるものであ り、また「縦方向」或いは「横方向」とは、トランクスを着用した場合の縦方向 或いは横方向を指している。以下本考案について詳しく説明する。

【０００７】 トランクスは一般にスポーツをするとき例えばボーリング等で着用されるパン ツやこれと同じ形状の男子用下着を意味するが、本考案ではこれら両者を言う。 トランクスはスポーツ等の際の身体の伸縮に伴い強い力を受けることが多いが、 本考案のトランクスは、中でも比較的薄地の生地が使用される男子用下着におい て有効である。

【０００８】 トランクスは一般に前身頃、後身頃及び股下部分等の数枚の縫製パーツから構 成されているが、本考案のトランクスは少なくとも後身頃が、１重量％以上のポ リウレタン弾性糸を含む伸長率10％以上の伸縮性織物からなり、伸縮方向が縦方 向である必要がある。

【０００９】 １重量％以上のポリウレタン弾性糸を含み、伸長率10％以上の伸縮性織物とは 、例えば経糸あるいは緯糸の一部あるいは全部にポリウレタン弾性糸からなる、 コアヤーン、カバリングヤーン或いは合撚糸等の複合糸を使用し、これらの複合 糸の収縮を考慮した織り密度にて製織し、染色整理工程で適度に縮め、最終工程 で外観を損なう様な皺が出ない程度に延伸することにより製造される織物である 。伸縮方向は織物の長さ方向でも幅方向でも或いは、長さ及び幅の両方向でもよ い。

【００１０】 人体の動きにより身体の表面の皮膚は伸び縮みするが、衣服を着た状態におい ては皮膚の伸びに応じて衣服の布には伸びとすべりが生じる。布の伸びとすべり 量との和が皮膚の伸びよりも小さい時は、布に過大な張力がかかり人体の動きを 妨げようとする束縛力が働く。この束縛力が着心地の悪さの原因となり、従来の 伸長率が乏しい織物を使用したトランクスにはこのような欠点があった。

【００１１】 この欠陥を改善するために、従来布に相当大きなゆとりを持たせる手段がとら れている。これによって過大な張力の発生は軽減できるが、余ったゆとりの部分 がダブつきとなり、シルエットに悪影響を与えたりまたは不快な着用感の原因に もなっていた。

【００１２】 本考案は、トランクスの一部分または全部に伸長率10％以上の伸縮性織物を使 用し、更に織物の伸縮方向と運動時の身体の伸縮方向と一致させることにより、 これらの問題点を解決している。伸長率10％未満では激しい運動時に着用するト ランクスの場合、パーツにある程度のゆとりを取った裁断をしても、人体の動き によって織物に最大伸長率を越えた伸長率を要求する張力がかかるため、束縛力 が発生してつっぱりを惹起し、着用感が損なわれる。また伸長率が10％以上にな れば、布の適度のゆとり量と相まって着用感を損なわない範囲で束縛力の発生を 防ぐことが出来、且つ着用時のダブつきも発生しない。

【００１３】 10％以上の伸長率を有する伸縮性織物は前述のポリウレタン弾性糸織物以外に もPBT(ポリブチレンテレフタレート) 繊維、PBT とポリエーテルのブロック共重 合体繊維等を使用した織物によっても得られる。しかし、ポリウレタン弾性糸を 含む伸縮性織物以外は次のような理由でトランクスには不適当である。

【００１４】 すなわち、(1) ポリウレタン弾性糸以外は、弾性パワーが劣るため、比較的太 い糸を使用せざるをえず、そのため布の厚みが増しトランクスとしては不適当な 硬くて重い布となる。(2) トランクスに使用される織物に含まれる主な繊維は綿 などのセルロース系繊維であり、弾性糸を使用した布であってもセルロース系繊 維のみを染色して弾性繊維は染めないことが、コスト的にも染色堅牢度の上から も好ましい。しかし、比較的太い弾性糸を使用した場合は、染色されていない弾 性糸が白く見えて布の外観を著しく損なう欠点がある。このような欠陥もポリウ レタン弾性糸を使用すれば、布の厚みも弾性糸を使用しない場合と殆ど変わるこ となく、弾性糸を染めなくても糸が細いので外観を損なうおそれがない。

【００１５】 ポリウレタン弾性糸にはクリヤータイプと言われる透明性の高い糸があり、こ れはダルタイプと言われる酸化チタンを含有したものよりも未染色糸が目立ち難 くより好ましい。

【００１６】 更にトランクス用織物の特殊性として、洗濯回数が多い事を考慮する必要があ る。このためポリウレタン繊維の中でも耐光性（天日干しに耐えること）、耐塩 素性（水道水中に含有される塩素に耐えること）に優れたものを使用することが 望ましい。更にトランクスに使用される織物に含まれる主な繊維は綿等のセルロ ース系繊維であるため、綿織物等セルロース系繊維の標準的加工工程であるシル ケット（200 〜300g/ リットルのNaOH溶液による処理) や、毛焼き（ガスバーナ ーで織物表面を焼いて毛羽をとる）、漂白（塩素水の濃厚液で処理する）等の処 理をしても材質が劣化しない性質、すなわち耐熱性、耐アルカリ性、耐薬品性が 要求される。

【００１７】 従来トランクスにストレッチ性を具備させることが非常に困難であった理由は 、このような品質要求を満足する弾性糸が存在しなかったことによる。しかし、 本考案者等はこれらの要求性能を満たすポリウレタン弾性繊維を見出した。例え ば、特開昭59-150142 号公報に開示されているエステル系ポリウレタン弾性糸で ある。

【００１８】 前述の様な本考案のトランクスに使用する伸縮性織物として、１重量％以上の ポリウレタン弾性糸を含む織物を使用する必要がある。また、ポリウレタン弾性 糸の含有率は重量10％以下の範囲で充分である。

【００１９】 本考案はトランクスの特定の部分に縦方向または横方向に10％以上の伸長率を 有する前述の様な伸縮性織物を、トランクスの機能に合わせた伸縮方向で使用す ることによって必要な着用快適感が得られ、更にトランクスの縫製パーツの形状 との組み合わせと相まって、より高度な快適感を有する製品を提供するすること が可能となる。

【００２０】 更に本考案に含まれる態様として、トランクスが前身頃、後身頃及び股下部分 からなり、更に後身頃が左右及び中央部分からなる構成において、股下部分及び 後身頃の中央部分が１重量％以上のポリウレタン弾性糸を含み、伸長率10％以上 の伸縮性織物からなり、伸縮方向が股下部分は横方向に、後身頃の中央部分は縦 方向に構成されているトランクスである。

【００２１】 尚、ここに述べた縦方向或いは横方向はトランクスを着用した場合の縦方向或 いは横方向を指しているが、厳密な縦方向或いは横方向に限定されず、おおよそ の縦或いは横の方向であればよい。本態様は運動に伴って最も大きな力がかかる 部分のパーツに、伸縮性織物を使用したものである。

【００２２】 或いは他の態様として、前記のパーツの他トランクスの後身頃の左右の部分が 前記と同様な伸縮性織物からなり、伸縮方向が横方向であるトランクスである。 伸縮性織物を使用したパーツが前記の態様より更に増加した形態であり、従って 運動機能性及び着用感が一層向上する。

【００２３】 更に、前述の２つの態様の他トランクスの前身頃が前記と同様な伸縮性織物か らなり、伸縮方向が横方向であるトランクスである。これはトランクスの総ての 縫製パーツが伸縮性織物となっているもので、運動機能性及び着用感が最も優れ ている。尚、図１〜３に示す様に前身頃は２つのパーツからなっているが、本考 案のトランクスにおいては前述の名称を付した各パーツは、必ずしも１枚のみか らなっている必要がなく、複数枚から構成されていてもよく、または相互に結合 した形状のパーツになっていてもよい。

【００２４】 本考案のトランクスは高い伸長率を有する伸縮性織物を、伸縮方向をトランク スの各部分の機能に適合する様に配置したもので、これにより高い運動機能性と 快適な着用感を持たせたものである。また本考案のトランクスは適宜な色に染色 したりまたは模様を染めだして使用することも可能である。本考案では細いポリ ウレタン弾性糸を使用しているため、ポリウレタンが未染色であっても殆どトラ ンクスの外観が損なわれることがない。

【００２５】 以下に実施例を挙げて本考案を更に具体的に説明する。

【００２６】

【実施例】

伸縮性織物として、綿糸40番手シングル (以下40/1という) を、密度 102本/ インチの経糸として使用し、これに綿糸40/1とポリウレタン繊維40デニール〔 （株）クラレ製「スパンテル」] を 500回/mで合撚した複合糸と、綿糸40/1とを 交互に緯糸として密度60本/ インチで打ち込み、生機巾が140cm になるように経 糸本数を使用して平織の布を織った。

【００２７】 一方、伸縮性織物以外のトランクスのパーツに使用する織物として、綿糸40/1 を経糸と緯糸に用い、経密度 126本/ インチ、緯密度60本/ インチで平織の綿布 を織った。

【００２８】 これらの生機を順次、毛焼き、リラックス、乾燥、漂白、シルケット、染色、 セットの一連の工程で処理して共に経密度 130本/ インチ、緯密度60本/ インチ のシワのない生地に仕上げた。ポリウレタン繊維を使用した生地は、横方向に25 ％の伸長率を有し、ポリウレタン繊維を使用しない生地は横方向の伸長率が２％ であった。

【００２９】 （実施例１） 図１に本考案の一態様のトランクスを構成する縫製パーツの展開図を示す。

【００３０】 図において１および１′は前身頃の二つのパーツを示し、２および２′は後身 頃の左右のパーツを、３は後身頃の中央部分のパーツを示し、４は股下部分のパ ーツを示す。また前述の様にして生産した伸縮性織物を使用した部分は図におい て霜ふり模様で示し、織物の伸縮方向はその破線の方向で示した。

【００３１】 本態様は図に示す様に、後身頃の中央部分の３及び股下部分４に織物の幅方向 の伸長率25％の伸縮性織物を使用し、パーツの伸縮方向は中央部分３は縦方向に 、股下部分４は横方向になる様に伸縮性織物を使用した。その他のパーツは幅方 向の伸長率２％の綿布を使用したトランクスである。従来のトランクスと比較し て運動時の人体の動きによくフィットし、着用感も著しく改善された。

【００３２】 （実施例２） 図２に、本考案の他の一態様のトランクスを構成する縫製パーツの展開図を示 す。

【００３３】 本態様は図に示す様に、実施例１に示した伸縮性織物を使用した縫製パーツの 他更に、後身頃の左右の部分２と２′に伸縮性織物を使用し、このパーツの伸縮 方向は横方向になる様に伸縮性織物を使用した。その他のパーツは幅方向の伸長 率２％の綿布を使用したトランクスである。伸縮性織物を使用したパーツの増加 に伴い、実施例１のトランクスより下半身の広範囲の運動に対してより履き心地 が良好になった。

【００３４】 （実施例３） 図３に、本考案の他の一態様のトランクスを構成する縫製パーツの展開図を示 す。

【００３５】 本態様は図に示す様に、前身頃１及び１′にも伸縮性織物を使用し、このパー ツの伸縮方向は横方向になる様に伸縮性織物を使用した。このため本トランクス は総て伸縮性織物の縫製パーツにより作られている。従って、着用感も実施例２ より更に改善された。

【００３６】 （比較例１） 本考案のトランクスと運動機能性及び着用感を比較するため、パーツの形状は 総て実施例１〜３と同様であるが、生地は総て前述の伸縮性がない綿布を使用し たトランクスをつくった。

【００３７】 激しい運動をした時つっぱり感が強く運動機能性及び着用感は本考案のトラン クスに較べて著しく不良であった。

【００３８】

【考案の効果】

本考案のトランクスは縫製パーツの一部または全部に運動時の身体の伸縮方向 に合わせた伸縮性織物を使用しているため、従来品に較べて運動時の身体へのフ ィット性がよくまたしわやたるみの発生が少なく、運動機能性及び着用感が著し く改善された。更に、使用時もトランクスにしわやたるみが発生しないため外観 も良好である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のトランクスの一態様の縫製パーツの展
開図である。

【図２】本考案のトランクスの他の一態様の縫製パーツ
の展開図である。

【図３】本考案のトランクスの他の一態様の縫製パーツ
の展開図である。

【符号の説明】

１、１′ 前身頃のパーツ ２、２′ 後身頃の左右のパーツ ３ 後身頃の中央部分のパーツ ４ 股下部分のパーツ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 山崎 和男 大阪府大阪市北区梅田１丁目12番39号 株 式会社クラレ内

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 トランクスの少なくとも後身頃が、１重
   量％以上のポリウレタン弾性糸を含む伸長率10％以上の
   伸縮性織物からなり、伸縮方向が縦方向であるトランク
   ス。
2. 【請求項２】 トランクスが前身頃、後身頃及び股下部
   分からなり、更に後身頃が左右及び中央部分からなる構
   成において、股下部分及び後身頃の中央部分が１重量％
   以上のポリウレタン弾性糸を含み、伸長率10％以上の伸
   縮性織物からなり、伸縮方向が股下部分は横方向に、後
   身頃の中央部分は縦方向に構成されているトランクス。
3. 【請求項３】 トランクスの後身頃の左右の部分が１重
   量％以上のポリウレタン弾性糸を含み、伸長率10％以上
   の伸縮性織物からなり、伸縮方向が横方向である請求項
   ２に記載のトランクス。
4. 【請求項４】 トランクスの前身頃が１重量％以上のポ
   リウレタン弾性糸を含み、伸長率10％以上の伸縮性織物
   からなり、伸縮方向が横方向である請求項２または３記
   載のトランクス。