JPH0743587B2 - 琴における弦の調律装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、琴の弦の締め替えに使用する弦の調律装置に
関する。

［従来に技術］ 琴の音を調整する場合には、琴に組み込まれる調律装置
を使って、弦の張り具合を調節することにより行なう。
この弦の調律装置としては、従来、第４図のようなもの
がある（実開昭63−120297号）。すなわち、第４図にお
いて、20はねじ軸、21はねじ軸に一体に連設される鼓形
胴、22は鼓形胴21に連設される四角形頭部、23は四角形
頭部22から鼓形胴21にわたって形成する割溝である。

この調律装置では、ねじ軸を琴胴内の堰板にねじ込んで
固定し、筝板にあけた穴を経て琴胴内に引き込まれる弦
の端部をボビン11の鼓形胴12に巻き付けるとともに割り
溝に挿通して係止することにより筝板上に弦を調節する
ものであり、琴の底部にあけてある丸形音穴よりボック
ススパナを琴胴内部に挿入して四角形頭部22に係止し、
ボックススパナを操作し鼓形胴21及びねじ軸20を回転し
て鼓形胴21における弦の巻回量を調整することで、弦の
張り具合を調整し、もって調律を行なうものである。

すなわち、前記実開昭63−120297号公報にあっては、ね
じ軸が琴の堰板にねじ込まれて固定され、このねじ軸と
共に鼓形胴が回転するためにねじ軸は堰板に対してねじ
軸が軸方向に移動すると共に、ねじ軸に戻り回転方向に
回転力が作用し、琴を演奏する時その振動が一の弦に伝
導するために、ねじ軸に緩みを生じ一の弦の張力が変わ
ってくる。一の弦の張力が演奏中に変われば、一の弦に
予期しない振動音が伝わり、雑音となって伝達される。
又ねじ軸と糸締棒とは一体に形成されているために、ね
じ軸の回転角にムラを生じて所定の回転角にて回転を停
止することができない。

又、従来の装置にあっては、琴胴の中で弦を割溝23に通
し鼓形胴21に巻き付ける作業をしなければならないた
め、組立や調律作業が面倒になるという問題があり、ま
た四角形頭部22が使用中に変形し弦を挿通する割溝23の
幅が狭くなって弦を通しにくくなる等の不都合を生じる
ことがある。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、弦の
調節が容易にできて組立が容易であるとともに、弦の調
律作業が容易にでき、また装置の使用中にねじ軸が遊び
回転したり弦が通りにくい等の不都合が生じない琴にお
ける弦の調律装置を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために、本発明の琴における弦の
調律装置は、琴胴本体１の堰板４にねじ付けられるねじ
部９と該ねじ部９と先端部にボビン11の角穴13に嵌合す
る第一角形頭部10を一体に設けたねじ軸８と、鼓形胴12
の一端部に、ねじ軸８の角形頭部10に嵌合する角穴13を
設け、鼓形胴12の他端部にボックススパナ15が係合可能
な第二角形頭部14を設け、鼓形胴12に弦19を挿通係止す
る小穴12aを設けたボビン11とよりなり、ねじ軸８を琴
胴本体１の堰板４にねじ込んで固定し、琴胴本体１内に
引き込まれる弦19の端部をボビン11の鼓形胴12の小穴12
aに挿通係止しねじ軸を調整回転して固定し、ボビン11
の角穴13をねじ軸８の第一角形頭部10より外してボビン
11のみを回転して弦19の長さを微細に調節するようにし
たことを特徴とする琴における弦の調律装置である。

［作用］ 本発明は、ねじ軸のねじ部を琴胴本体の内部に配設され
る堰板にねじ付け固定し、一方、弦をボビンの透孔に挿
通するとともに鼓形胴部に巻回し、鼓形胴部をねじ軸よ
り外して、独立して回転し、又は鼓形胴部をねじ軸と共
に回転してボビンの角穴をねじ軸の角形頭部に嵌め合わ
せる。そして、ねじ軸の角形頭部にボックススパナを係
合し、ねじ軸及びボビンをそれぞれ各個に正逆回転して
弦の張り具合を微細に調節し弦の音階の高低調節を行な
うものである。

［実 施 例］ 以下、本発明を図面に基づき実施例をもって説明する。

図面において、１は断面 形に形成された琴胴本体、２
は底板、３は底板２にあけた丸型音穴である。そして堰
板４が琴胴本体１の内部で筝板５と側板６と側板と側板
７とに嵌合固定されている。

堰板４にはそのねじ穴4aに琴胴本体１の長手方向に向け
てその内側よりねじ軸８をねじ付け固定してある。ねじ
軸８はねじ軸部９を備え、その頭部に第一角形頭部10を
備えている。11はねじ軸８と組み合わせるボビンであ
り、鼓形胴12を備え、該鼓形胴12の一端部にねじ軸８の
第一角形頭部10に嵌合する角穴13を備えるとともに、他
端部にボックススパナ15が係合可能な角形頭部14を備え
る。12aは鼓形胴に軸直角に開けた透孔である。

16は琴胴本体１の筝板５に設けたガイド、17はそこの設
けた弦挿通用の小穴、18は下龍角である。

本発明装置においては、琴の組立製造時にねじ軸８のね
じ軸部９を堰板４に固定しておく。一方、予め琴の外部
で弦19の端部をボビン11の鼓形胴12に2,3回巻き付け、
さらに透孔12aに挿通して係止しておく。そして、丸型
音穴３より弦19の端部を巻回したボビン11を琴胴本体１
内部へ入れ、角穴13とねじ軸８の第一角形頭部10とを嵌
合してこれを装着するものである。これにより弦19を筝
板５の弦ガイド16の小穴17、下龍角18を経て琴胴本体筝
板に調節するものである。

しかして、丸型音穴３よりボックススパナ15を琴胴本体
１内に入れボビン11の第二角形頭部14に係合してボビン
11を回転して弦に張度を与えてねじ軸の第二角形頭部14
にボビンの角穴13を嵌合する。

なお、本発明装置は並べて立設した複数本の弦の全部に
対応して設ける。又、特に調律が必要な弦に対して設け
てもよい。

［発明の効果］ 以上述べたように、本発明は琴胴体本体の内部に配設さ
れる堰板に固定するねじ軸と、弦の端部を巻回し係止す
るボビンを個別に製作し、ボビンの角穴とねじ軸の角形
頭部を脱着可能に組み合わせ得るものであるため、弦の
端部のボビンへの巻回係止を琴胴内で行うことなく外部
で行なって弦の張度を予め設定することができるから、
組立が簡単となり、微細な調律をきわめて容易に行なう
ことができる。

また弦のボビンへの係止はその鼓形胴にあけた透孔を使
用するものであるため、従来の割溝に比べて弦が通りに
くくなる等の不都合も生じることがない。

そして、本発明装置は琴胴本体の内部に配設するもので
あり、外部に配設するものと異なってその外観を損ねる
ことがない。

【図面の簡単な説明】

第１図の琴胴を一部を切欠して示す正面図、第２図は蓋
を外して裏側から見た状態の図、第３図は本発明装置の
拡大斜視図、第４図は従来装置の斜視図である。 １〜琴胴本体、４〜堰板、８〜ねじ軸 ９〜ねじ軸部、10〜第一角形頭部、11〜ボビン 12〜鼓形胴、12a〜透孔、13〜角穴 14〜第二角形頭部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】琴胴本体１の堰板４にねじ付けられるねじ
   部９と該ねじ部９の先端部にボビン11の角穴13に嵌合す
   る第一角形頭部10を一体に設けたねじ軸８と、鼓形胴12
   の一端部に、ねじ軸８の第一角形頭部10に嵌合する角穴
   13を設け、鼓形胴12の他端部にボックススパナ15が係合
   可能な第二角形頭部14を設け、鼓形胴12に弦19を挿通係
   止する小穴12aを設けたボビン11とよりなり、ねじ軸８
   を琴胴本体１の堰板４にねじ込んで固定し、琴胴本体１
   内に引き込まれる弦19の端部をボビン11の鼓形胴12の小
   穴12aに挿通係止しねじ軸を調整回転して固定し、ボビ
   ン11の角穴13をねじ軸８の第一角形頭部10より外してボ
   ビン11のみを回転して弦19の長さを微細に調節するよう
   にしたことを特徴とする琴における弦の調律装置。