JPH0743083A - 冷却塔における白煙防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 いかなる条件でも白煙を未然に防止して、年
間を通じて安定した稼働を行う。 【構成】 充填物２内で上部水槽７から散水された冷却
水と、送風機によって吸引された外気とが、直交して熱
交換し、冷却された水は下部水槽９に集められ、熱交換
された空気は送風機により塔外へ放出される直交流式冷
却塔において、上部水槽７の下方に配設される充填材４
を空気のみが通過する空気専用通路と水のみが通過する
水専用通路とを交互に配列配置して水と空気を間接的に
熱交換する専用通路群と水と空気が直接接触する冷却通
路群とを隣接して配置する。さらにこの専用通路群と冷
却通路群と境界線上の上部水槽７内に堰６を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】空調設備、工業設備等幅広くしか
も年間を通じて使用される冷却塔に於て、冬季等にて外
気温度が低下しても冷却塔から排出される過飽和空気に
よる白煙発生を未然に防止する冷却塔における白煙防止
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】空調設備、工業設備等幅広くしかも年間
を通じて使用される冷却塔に於ては、冷却塔内で熱交換
された空気が、冷却塔から排出される時、高温多湿な過
飽和状態となっており、しかも冬季など外気温度が低下
すると、この排出される高温多湿の過飽和空気は白煙状
態となって排出されることになる。この白煙の発生は交
通の障害となったり、また夜間においてはこの白煙に光
が当たると火炎と見間違う恐れがある。この白煙の発生
を防止するには、冷却塔からの排出空気湿度を低くする
ことにより防止できる。このため従来の技術としては、
充填物と併設して乾式熱交換器（プレートフィンコイ
ル）を配した冷却塔または充填物部分に樹脂製熱交換器
を組み込んだ冷却塔がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の乾式熱交換器を
配した冷却塔においては、乾式熱交換器を冷却塔に組み
込むためのスペースを必要とし、また乾式熱交換器の接
続配管等が必要で、特別な構造としなければならず特別
な塔本体を必要とする。一方、充填物に樹脂製熱交換器
を組み込んだ冷却塔においては、構造上複雑となるとと
もに、夏期において著しく冷却能力が低下するため、大
きな塔体を必要とし、また冬期においては外気温により
水温が低下し過冷却となるため、乾き空気の割合に対し
湿り空気の割合が多くなり外気へ放出時、湿り空気部分
において白煙を生ずる等の問題がある。

【０００４】本発明はいかなる条件でも白煙を未然に防
止して、年間を通じて安定した稼働を行うことを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになしたもので、充填物内で上部水槽から散水
された冷却水と、送風機によって吸引された外気とが、
直交して熱交換し、冷却された水は下部水槽に集めら
れ、熱交換された空気は送風機により塔外へ放出される
直交流式冷却塔において、上部水槽の下方に配設される
充填材を空気のみが通過する空気専用通路と水のみが通
過する水専用通路とを交互に配列配置して水と空気を間
接的に熱交換する専用通路群と水と空気が直接接触する
冷却通路群とを隣接して配置し、かつ、この専用通路群
と冷却通路群と境界線上の上部水槽内に堰を設け、更に
上部水槽の主室と下部水槽間に二方弁を備えたバイパス
配管を設け、上部水槽の水温または外気温が設定値以下
に低下すると、二方弁を開いて、上部水槽の水の一部が
直接下部水槽にバイパスするようになし、上部充填材の
冷却通路群への散水を制御して、外気温が低下しても過
飽和空気を防ぎ、これにより白煙の発生を防止すること
を要旨とする。

【０００６】

【作用】本発明における直交流式冷却等において、負荷
からの冷却水は上部水槽に供給されるとこの冷却水は上
部水槽の散水孔より上部充填材の上端面に一様に散水さ
れ、各充填材板の表面を伝わって流れる。この上部水槽
の下方に配設される充填材を空気のみが通過する空気専
用通路と水のみが通過する水専用通路とを交互に配列配
置した専用通路群と、水と空気が直接接触する冷却通路
群とを隣接して配置しているので、塔内に導入される空
気は水と空気を間接的に熱交換する専用通路群を経て導
入される乾燥した絶対湿度の低い乾いた空気と、冷却通
路を経て水と空気が直接接触して湿度の高い空気とが導
入され、これが塔内で混合して排気されるので、白煙が
発生しにくい。更に上部水槽の主室と下部水槽間に二方
弁を備えたバイパス配管を設けているので、上部水槽の
水温または外気温が設定値以下に低下しても、二方弁を
開くことにより、上部水槽の水の一部が直接下部水槽に
バイパスされ、上部充填材の冷却通路群への散水が制御
されて専用通路のみで冷却水を水と空気を間接的に熱交
換するので、乾燥した絶対湿度の低い乾いた空気を排気
する事になり、白煙の発生を防止することができる。

【０００７】

【実施例】以下本発明冷却塔における白煙防止装置を図
示の実施例に基づいて説明する。図において１は所要能
力と形状をした直交流式の冷却塔本体で、この冷却塔本
体１内には上下二段にして充填材２を収納されると共
に、対向する両側面に空気吸込口３が設けられ、この空
気吸込口３より塔内に吸引される空気を、前記充填材２
内を通過させ、所望の熱交換を行うようにする。

【０００８】この充填材２のうち、上部充填材４は図２
に詳示する如く空気専用通路４１と水専用通路４２とを
交互に所要数隣接配列した専用通路群４Ａと、水と空気
とが同時に流通する通常の冷却通路４３を所要数隣接配
列してなる冷却通路群４Ｂとよりなり、かつこの上部充
填材４の上方位置に上部水槽７が配設される。

【０００９】この上部水槽７は少なくとも上部充填材４
の全平面上方を覆う底面積を有し、かつこの底面に多数
の散水孔が先行されると共に、上部充填材４の空気・水
の専用通路群４Ａと、冷却通路群４Ｂとの境界線上方位
置に可動堰６を配設し、負荷からの戻り冷却水は戻り配
管８を介して上部水槽の可動堰６にて仕切られた専用通
路群上方の主室７Ａ内へ供給するようにし、冷却通路群
上方の副室７Ｂ内へは可動堰６を越流した水を供給す
る。

【００１０】また下部充填材５の下方位置には冷却され
た水を集める下部水槽９が配設され、この下部水槽９よ
り冷却水供給管１０を経て負荷側へ給水する。

【００１１】また上部水槽７の主室７Ａには上部水槽の
主室７Ａより直接下部水槽へ冷却水をバイパスして供給
するバイパス配管１１を配設すると共に、このバイパス
配管１１に二方弁（温調弁）１２を備える。

【００１２】冷却塔本体１の上部には送風機１３が配設
され、この送風機の駆動にて空気吸込口３より外気を冷
却塔本体内に吸い込むとき、前記充填材２内を通過して
冷却水と熱交換した後、送風機に吸引され、塔外へ排気
されるようになす。

【００１３】上部充填材４のうち、空気専用通路４１は
相隣る充填材板間の上部のみを充填材板間同志で密着し
て空気吸込口３よりの外気空気は、この通路４１を経て
冷却塔内に直接導入されるように形成し、また水専用通
路４２は相隣る充填材板間の空気吸込端側を充填材板同
志で密着するか、または覆板で密閉して形成し、この通
路４２内には空気吸込口３より塔内に吸い込まれる空気
は流通しないように、上部水槽から滴下される冷却水の
みが流下するようになし、この両専用通路４１と４２が
交互に配設される。そしてこの上部充填材４の専用通路
群４Ａには、前記上部水槽から滴下される冷却水と空気
吸込口３より吸い込まれる空気の双方が直交式に同じ通
路を流通する冷却通路群４Ｂが隣接されるが、これは充
填材板を所要間隔で配列した従来の充填材と同様に構成
され、この冷却通路では冷却水と空気とが直接接触する
ものである。

【００１４】下部充填材５は図２，図５に示すように上
部充填材４の冷却通路群４Ｂと同様に、平板もしくは突
起を有する平板状の充填材板を所要間隔毎に並列配設し
て各通路に冷却水と空気が同時に、しかも直交方向に流
通するようになしたものとするか、あるいは図３，図４
に示すように空気専用通路５１と冷却通路５２とを交互
に配列配置して構成したものを適当に用いるものとし、
またこの空気専用通路５１は空気専用通路４１と同様に
相隣る充填材板間の上部を閉鎖し、上方から滴下する冷
却水が流通しないようにするものである。

【００１５】図４の実施例は、空気専用通路５１と冷却
通路５２を交互に配列した混合通路群５Ａに隣接して冷
却通路５２のみにて構成される冷却通路群５Ｂを配設し
たもので、この混合通路群５Ａと冷却通路群５Ｂとの比
率、及び上部充填材４の専用通路群４Ａと冷却通路群４
Ｂとの比率は使用される条件・設置場所における条件等
に応じて適宜定められ、冬期においても過飽和空気を大
気中に放出し、白煙が発生されるのを防止するようにし
て、その比率はそれぞれ決定されるものである。

【００１６】上述の如く構成される直交流式冷却塔にお
いて、送風機１３を駆動して負荷から戻ってきた熱エネ
ルギーをもつ冷却水（温水）が、冷却水戻管１４を経
て、上部水槽７の主室７Ａ内に供給されると、この上部
水槽底面の散水孔より上部充填材４の上部に一様にして
散水滴下される。これにより夏期等、冷却塔を能力いっ
ぱいで使用するとき、上部水槽の主室７Ａに導かれた冷
却水は可動堰６を越流して副室７Ｂ側へも流入し、これ
によって上部水槽７の底面全体にわたって散水される。

【００１７】この時、専用通路群４Ａ上に落下した冷却
水は、水専用通路４２内を充填材板表面をつたって流下
するが、空気専用通路側へは流入しない。そして空気専
用通路４１内は空気吸込口３より吸い込まれた外気空気
が塔内へ導かれる。勿論この空気専用通路４１の上部は
閉鎖されているので、冷却水は落下流入せず、空気のみ
流通するものとなる。しかし両専用通路４１，４２は互
いに充填材板を挟んで隣接されているので、この充填材
板を介して互いに直交流する両流体の熱交換が行われ、
冷却水の冷却が行われる。

【００１８】この時、空気専用通路を経て導入される空
気は、空気専用通路を流通するのみで冷却水と直接接触
しないため、冷却塔内に導入される空気は絶対湿度の変
化はなく、温度の高い乾燥した状態である。そして隣接
の冷却通路群４Ｂの各通路４２では空気吸込口３より吸
い込まれた空気と、上部水槽から滴下する冷却水とが直
交流として直接接触して効率的に熱交換が行われるが、
この通路群４Ｂを経て、塔内に導入された空気は湿度の
高いものとなっている。

【００１９】またこのようにして上部充填材４を通過し
た冷却水は、下部充填材５内を滴下する。この下部充填
材５の流通時も、空気専用通路５１の上部は閉鎖されて
いるので、冷却通路５２のみを、その充填材板表面をつ
たって流下し、この充填材板を介して熱交換され、絶対
湿度の低い空気が空気吸込口、空気専用通路５１を経て
塔内へ導入されると共に、冷却通路５２及び冷却通路群
５Ｂを経た空気は、冷却水と直接接触しているので、湿
度の高い空気となる。

【００２０】このようにして熱交換された湿度の高い空
気と湿度の低い乾燥した空気とが塔内で混合された後、
塔外へ排出されるものである。熱交換された冷却水は、
下部充填材５を経た後、下部水槽９内に集水され、再び
配管１０を経て負荷側へ送水されるものである。

【００２１】しかし外気温が低下し、水温も低下してく
ると、予め設定された温度にて二方弁１２が開かれる。
これにより主室７Ａ内に戻り管１４を経て供給される冷
却水の一部は充填材状面に散水されることなく、直接バ
イパス配管１２を経て下部水槽へ導かれる。このため等
量の冷却水が主室７Ａ内へ給水されても、バイパス通路
を経て下部水槽へ直接供給される水量分のみ主室７Ａ内
の水位が低下する。これにより副室７Ｂ側へ可動堰６を
越流して冷却水が流入しなくなる。この時の副室への流
入水位を可動堰を上下動して外気温に応じて調整できる
ものとする。

【００２２】副室への冷却水が流入しなくなると、主室
側の底面より上部充填材４上へ、すなわち専用通路群４
Ａ上面のみに散水されるものとなる。したがってこの専
用通路群では冷却水と空気とが直接接触しないので、塔
内へ導入される空気の絶対温度の変化はなく、温度は高
くなるが湿度の低いものとなる。このため塔外へ排出さ
れる空気も過飽和とならず、外気温が低い場合でも白煙
発生が防止されるものとなる。

【００２３】なお外気温、あるいは負荷から戻る冷却水
温度が予め定めた一定温度以下になると、二方弁１２を
開放してバイパス配管へ冷却水を流水させるが、この
時、外気温度に応じて可動堰６を上下動すれば副室７Ｂ
へ流入される冷却水量も調整されるので、冷却塔の冷却
能力を所定値以上を保って、しかも排気空気の過飽和化
を防ぎ、白煙が防止されるもので、この可動堰６の上下
調整は手動または外気温に応じて自動的に制御されるよ
うにすることもできる。

【００２４】

【発明の効果】本発明冷却塔における白煙防止装置によ
るときは、冷却塔内の上部充填材を空気専用通路と水専
用通路とを交互に配列配置しているので、水と空気は充
填材板を介して間接的に熱交換され、空気は絶対湿度一
定のままで、加熱された乾燥空気となって塔内に導入さ
れ、また冷却水は間接的に冷却されて落下すると共に、
下部充填材は空気専用通路または空気専用通路と従来と
同様の冷却通路とを交互に配列したもの、さらには冷却
通路のみのいずれかに構成されているので、水と空気は
下部充填材を通過する際、空気専用通路では間接的に、
冷却通路では直接接触による熱交換が行われて、乾燥空
気または乾燥空気と湿り空気の混合体として塔内に導入
され、さらに上部および下部の冷却通路群を経た空気は
冷却水と直接接触により熱交換され、湿度の高い空気と
なっている。しかし塔内ではこれら乾燥空気と湿り空気
が混合された後、塔内へ排気されるため、外気温が低下
しても白煙の発生が防止される。さらに冬期等において
外気温がさらに低下すると二方弁が開放され、主室に導
入された冷却水の一部がバイパス配管を経て直接下部水
槽へ導かれ、上部水槽の副室外へ流入しないようになす
か、もしくは副室への流入量を制限することにより空気
・水の直接接触量が制限され、導入空気は熱交換にて加
熱されても加湿されないので、過飽和空気とならず白煙
発生が防止されるものとなる。さらに本発明は従来のよ
うに乾式熱交換器を用いないないので、据付面積も少な
くてすみ、構造も簡単となり、また目的に応じた充填材
を配することにより冷却性能の確保と白煙防止の双方の
機能を充足することができ、冷却水の過冷却の防止をも
図れる等、数々の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明冷却塔における白煙防止装置の一実施例
を示す縦断面図である。

【図２】上部水槽と充填材部分の断面図である。

【図３】充填材の異なる実施例の断面図である。

【図４】同じく充填材の異なる実施例の断面図である。

【図５】同じく充填材の異なる実施例の断面図である。

【符号の説明】

１ 直交流式の冷却塔本体 ２ 充填材 ３ 空気吸込口 ４ 上部充填材 ４Ａ 専用通路群 ４Ｂ 冷却通路群 ５ 下部充填材 ６ 可動堰 ７ 上部水槽 ７Ａ 主室 ８ 戻り配管 ９ 下部水槽 １０ 冷却水供給管 １１ バイパス配管 １２ 二方弁 １３ 送風機 ４１ 空気専用通路 ４２ 水専用通路 ４３ 冷却通路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 充填物内で上部水槽から散水された冷却
   水と、送風機によって吸引された外気とが、直交して熱
   交換し、冷却された水は下部水槽に集められ、熱交換さ
   れた空気は送風機により塔外へ放出される直交流式冷却
   塔において、上部水槽の下方に配設される充填材を空気
   のみが通過する空気専用通路と水のみが通過する水専用
   通路とを交互に配列配置して水と空気を間接的に熱交換
   する専用通路群と水と空気が直接接触する冷却通路群と
   を隣接して配置し、かつ、この専用通路群と冷却通路群
   と境界線上の上部水槽内に堰を設けて成ることを特徴と
   する冷却塔における白煙防止装置。
2. 【請求項２】 堰により主副二室に分けられたすること
   を特徴とする請求項１記載の冷却塔における白煙防止装
   置。