JPS6247038Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は乾・湿式冷水塔のエアーダンパに係
り、特に混合室に流入する乾燥空気（または湿り
空気）の流入を変えても混合室への乾燥空気（ま
たは湿り空気）の流入角を一定に保持でき、混合
室における乾燥空気と湿り空気との良好な混合を
維持し得る乾・湿式冷水塔のエアーダンパに関す
る。

一般に、乾・湿式冷水塔は、化学工場、製鉄所
等のプラント系や発電所などで発生する温水を冷
却処理する装置であり、温水と冷気（外気）との
間接熱交換するための多数の温水移送用の伝熱管
が配設された乾式冷却部と、温水と冷気とを直接
熱交換すべく冷気と接触させつつ温水を流下させ
る充填層からなる湿式冷却部とを有している。こ
のように、乾式冷却部と湿式冷却部とを組み合わ
せたのは、排気の白煙化を防止するためである。
即ち、湿式冷却部で温水を冷却した後の空気は多
量の湿気を含み、これをそのまま排気すると冬期
などにおいて白煙を生じ公害問題となるため、湿
式冷却部からの湿り空気に乾式冷却部からの乾燥
空気を混入してから排気するようにしている。

湿り空気と乾燥空気との混合は塔上部の混合室
でなされ、塔下部の湿式冷却部から上昇する湿り
空気は混合室底部より流入し、一方塔上部の乾式
冷却部からの乾燥空気は混合室側部より流入す
る。混合室への乾燥空気の流量は、湿り空気の流
量や外気温度などに応じて調整している。この乾
燥空気の流量調整は、混合室側壁に設けられたエ
アーダンパによつて行われるが、従来にあつて
は、第１図ないし第３図に示すような回転ブレー
ド式のエアーダンパが用いられている。エアーダ
ンパは、図示する如く水平方向に枢軸ａを有する
回転ブレードｂを上下に多段に設けたもので、回
転ブレードｂを回動させることにより、全閉状態
（第１図）、中開状態（第２図）、全開状態（第３
図）と任意に絞りを変えることができる。ところ
が、回転ブレードｂを回動して絞りを変え乾燥空
気の流入量を調整すると、同時に乾燥空気の流入
方向が大きく変わつてしまう。即ち、第３図の全
開状態では、乾燥空気は水平方向に流入するが、
エアーダンパを第２図の如く絞つていくと、次第
に上方向に流入するようになる。このように、乾
燥空気の流入方向が変わると、湿り空気との混合
効率が変動し、特にエアーダンパを相当に絞つた
場合、乾燥空気はほぼ上方向に流入し、湿り空気
との混合効果が著しく損なわれ、白煙化を免れな
い。また、上記問題は、混合室底部に設けられる
湿り空気の流量調整用のエアーダンパについても
言えることである。

本考案は以上の従来の問題点を有効に解決すべ
く創案されたものであり、本考案の目的は、混合
室への乾燥空気（または湿り空気）の流入量を調
整しても、湿り空気（または乾燥空気）との良好
な混合を維持し得る乾・湿式冷水塔のエアーダン
パを提供することにある。

上記目的を達成するために、本考案は、底部よ
り上昇してくる湿り空気と側部から流入する乾燥
空気とを混合する混合室の区画壁に、これに沿つ
て適宜間隔を隔てて且つその幅方向を水平面より
所定の角度で傾斜させて固定ブレードを設け、こ
れらの各固定ブレードに対して平行を保ちつつ移
動自在に移動ブレードを設けると共に、移動ブレ
ードと固定ブーレードとの間にこれらの間をシー
ルすべく折り畳み可能なシール部材を設けて、移
動ブレードを上下移動してエアーダンパの絞りを
調整しても、所定傾斜角を保持する固定ブレード
と移動ブレードとに案内され混合室への流入空気
の流入方向が一定に維持されるように構成したこ
とを特徴とする。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に従つ
て詳述する。

第４図において、１は冷水塔であり、冷水塔１
内の上部には、所定間隔を隔てて互いに対向させ
て乾式冷却部２，２が設けられている。乾式冷却
部２には温水を流す多数のフイン付きチユーブが
配設されている。乾式冷却部２，２の下方には、
乾式冷却部２で冷された温水を更に冷却するため
に湿式冷却部３，３がそれぞれ設けられている。
湿式冷却部３には木材等が充填され、温水を流下
する充填層が形成されている。また、乾式冷却部
２の上方には各チユーブに温水を分配供給するた
めの温水槽４が設けられ、更に、冷水塔１底部に
は湿式冷却部３で冷却処理された冷却水を貯留す
る冷水槽５が設けられている。

一方、乾式冷却部２，２間には、混合室６が形
成されており、混合室６の底壁には湿式冷却部３
を経て上昇してくる湿り空気Ｗの流量を調整する
底部エアーダンパ７が、また、混合室６の側壁に
は乾式冷却部２を経て側方より流入してくる乾燥
空気Ｄの流量を調整する側部エアーダンパ８がそ
れぞれ設けられている。

側部エアーダンパ８は、固定枠９と、スライド
枠１０と、これらの間に設けられた固定ブレード
１１と、移動ブレード１２と、シール部材１３と
から主に構成されている。固定枠９は乾式冷却部
２側に、従つて混合室６側壁の外側部に設けられ
ており、固定枠９には、上下に等間隔にてその長
手方向を水平にして固定ブレード１１が設けられ
ている。また、固定ブレード１１はその幅方向を
水平面より所定角度傾けて設けられている。この
角度は、側部エアーダンパ８から流入する乾燥空
気Ｄと、底部エアーダンパ７から流入する上昇湿
り空気Ｗとの混合効率が最適となるような値に決
められる。移動ブレード１２は、混合室６側壁の
内側部のスライド枠１０に上下に等間隔にて一体
的に取り付けられている。また、移動ブレード１
２は、上下に隣接する各固定ブレード１１，１１
間に固定ブレード１１に平行にそれぞれ設けられ
ている。そして、各固定ブレード１１とその下方
の移動ブレード１２との間には、これらの間をシ
ールし乾燥空気の混合室６への流入を阻止するシ
ール部材１３が介設されている。シール部材１３
は、布などから成りその両端部は固定ブレード１
１と移動ブレード１２の下端部にそれぞれ固定さ
れ且つ固定ブレード１１の移動ブレード１２との
間に折り畳み可能に設けられている。スライド枠
１０上端部には、ワイヤ１４の一端が連結され、
ワイヤ１４の他端にはスライド枠１０を上部壁１
５側面に沿つて上下にスライド移動させる駆動手
段（図示せず）が連結されている。なお、第４図
の冷水塔１の上壁には、混合室６の空気を塔外に
排出するための排気筒１６が設けられ、排気筒１
６内には強制排気のためのフアン１７が設けられ
ている。

次に、上記構成の本実施例の作用について述べ
る。

プラント系などから冷水塔１上部の温水槽４に
送られてきた温水は、乾式冷却部２のフイン付き
チユーブ内を流下する際にチユーブ群を通過して
流れる外気と間接熱交換し、冷却され湿式冷却部
３へと送られる。湿式冷却部３に送られた温水
は、更に湿式冷却部３の充填層を伝つて流下する
間に充填層を通過する外気と直接熱交換し冷却さ
れる。冷却処理された冷却水は冷水槽５に貯留さ
れ、再びプラント系などに戻される。

湿式冷却部３を通過した外気は湿り空気Ｗとな
り塔内を上昇し、混合室６の底壁に設けられた底
部エアーダンパ７より混合室６内に流入し、一方
乾式冷却部２を通過した乾燥空気Ｄは、側部エア
ーダンパ８から混合室６内に流入する。

側部エアーダンパ８の絞り調整は、スライド枠
１０にワイヤ１４を介して連結された駆動手段に
より、スライド枠１０とともにこれに一体的に取
り付けられた移動ブレード１２を昇降移動させる
ことによつてなされる。第６図では、各移動ブレ
ード１２はその下方に位置する固定ブレード１１
上にあり、固定ブレード１１，１１間に形成され
る乾燥空気の流入通路１８は、各移動ブレード１
２とその上方の固定ブレード１１との間に介設さ
れたシール部材１３により閉塞されており、側部
エアーダンパ８は全閉状態にある。

第６図の側部エアーダンパ８の全閉状態から、
駆動手段によりスライド枠１０を持ち上げていく
と、これに伴つて各移動ブレード１２は上昇し、
各移動ブレード１２とその下方の固定ブレード１
１との間の流入通路１８は漸次開かれる。各移動
ブレード１２とその上方の固定ブレード１１との
間の流入通路１８はシール部材１３に覆われて閉
成されている。移動ブレード１２の昇降移動は、
固定ブレード１１と平行を保ちつつなされる。従
つて、移動ブレード１２とその下方の固定ブレー
ド１１との間に開成された流入通路１８を通つて
混合室６内に流入する乾燥空気Ｄは、この流入通
路１８に沿つて案内され、常に一定の傾斜角にて
混合室６内に流入する。第７図は、移動ブレード
１２が固定ブレード１１，１１間の中程まで持ち
上げらせたときを示し、側部エアーダンパ８は中
開状態にある。

第７図の中開状態より更にスライド枠１０とと
もに移動ブレード１２を持ち上げると、流入通路
１８の開度は更に増加し、移動ブレード１２がシ
ール部材１３を介してその上方の固定ブレード１
１に密接すると第８図の如く側部エアーダンパ８
は全開状態となる。側部エアーダンバ８の中間か
ら全開までの間においても、移動ブレード１２と
固定ブレード１１との間の平行は一定に保たれ、
混合室６に流入する乾燥空気Ｄの水平面からの流
入傾斜角は保持される。

このように、側部エアーダンパ８の絞りを変化
させて混合室６への乾燥空気Ｄの流入量を調整し
ても、常に乾燥空気Ｄが所定の傾斜角でもつて混
合室６内に流入されるので、混合室６での乾燥空
気Ｄと湿り空気Ｗとの良好な混合が維持される。
このため、混合室６内の湿り空気Ｗと乾燥空気Ｄ
とはそれら湿度が均一化されて排気筒１６から大
気開放されることになる。従つて、少量の乾燥空
気Ｄで排気空気の白煙化を確実に防止できると共
に、白煙を発生させない範囲内において冷却効率
のよい湿式冷却部３を最大限に使用でき冷却塔１
の冷却能力を増大できる。

なお、上記実施例では、混合室６の側壁エアー
ダンパ８に本考案を適用した例を示したが、同様
にして底部エアーダンパ７にも適用することがで
きる。また上記実施例にあつては、シール部材１
３は布等の可撓性部材であつたが、ヒンジを使用
した折り畳み可能な２枚のプレートで構成しても
よい。また上記実施例では、湿式冷却部３におい
ては温水と外気とが交差する交差流式の冷水塔１
であつたが、温水と外気とが向流する向流型の冷
却塔にも勿論適用できる。

以上要するに、本考案によれば、混合室への流
入空気の流入量を変えても、混合室における乾燥
空気と湿り空気との良好な混合が維持され、冬期
においても確実に冷水塔の排気空気の白煙化を防
止できると共に、湿式冷却部の有効利用が図れ冷
水塔の冷却能力を増大させることができ、しかも
構造簡単で実用性に富む等の優れた効果を発揮す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図から第３図までは従来の冷水塔のエアー
ダンパであつて、第１図はエアーダンパが全閉状
態、第２図は中開状態、第３図は全閉状態をそれ
ぞれ示す側面図、第４図は本考案に係るエアーダ
ンパが設けられる乾・湿式冷水塔の一実施例を示
す側断面図、第５図は本考案に係るエアーダンパ
の一実施例を示す斜視図、第６図から第８図まで
は同エアーダンパの作動状況を説明するためのも
のであつて、第６図は全閉状態、第７図は中開状
態、第８図は全開状態をそれぞれ示す概略側面図
である。 図中、１は冷水塔、２は乾式冷却部、３は湿式
冷却部、６は混合室、７は底部エアーダンパ、８
は側部エアーダンパ、９は固定枠、１０はスライ
ド枠、１１は固定ブレード、１２は移動ブレー
ド、１３はシール部材、１４はワイヤ、１８は流
入通路、Ｄは乾燥空気、Ｗは湿り空気である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 塔下部に湿式冷却部を、塔上部に乾式冷却部と
   該乾式冷却部を経て流入する乾燥空気および上記
   湿式冷却部を経て上昇してくる湿り空気を混合す
   る混合室とを有する乾・湿式冷水塔において、上
   記混合室の区画壁に、これに沿つて適宜間隔を隔
   てつつその幅方向を水平面より所定の角度で傾斜
   させて配設された固定ブレードと、これらの各固
   定ブレードに対して平行を保ちつつ移動自在に設
   けられた移動ブレードと、該移動ブレードと上記
   固定ブレードとの間に折り畳み可能に介設されこ
   れらの間をシールすべく設けられたシール部材と
   を備えたことを特徴とする乾・湿式冷水塔のエア
   ーダンパ。