JPH0742642Y2 - 切断角度可変丸鋸装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、いわゆるマイターソーまたはコンパウンドマ
イターソーと称する切断角度可変丸鋸装置に関するもの
である。

［従来の技術］ 第３図は、従来のコンパウンドマイターソーの左側面図
を示す。該コンパウンドマイターソーは、ベース１の中
央部に回転テーブル２が設けられ、該回転テーブル２の
後部にヒンジ３が設けられ、該ヒンジ３にブラケット４
が取付けられ、該ブラケット４にモーター５、減速機
６、丸鋸７、外カバー８及びセーフティーカバー９が取
付けられ、また、ベース１の後側左右位置にフェンス10
が取付けられるとともに、前側左右位置にクランプ11が
取付けられ木材等の被削材ｗを挟持でき、該丸鋸７が回
転テーブル２に設けられたスリットに入るように７′の
位置まで下降して被削材ｗを切断するようになってい
る。

そして、該コンパウンドマイターソーは、丸鋸７のマイ
ター角とベベル角を可変とするために回転テーブル２が
回動できるとともに、ヒンジ３がピン軸を回転中心とし
て装置の左右方向に沿った垂直面内に回動できるように
なっている。

マイターソーにあっては、丸鋸７のマイター角を可変と
するために回転テーブル２が回動でき、ヒンジ３は回動
できない。

従って、コンパウンドマイターソーにあっては、丸鋸７
を二つの自由度をもって傾斜させることができるので、
被削材ｗをいかようにも斜目に切断でき、またマイター
ソーにあっては、丸鋸７を一つの自由度をもって傾斜さ
せることができるので、被削材ｗを平面より見て装置の
前後方向に対して適宜のマイター角で切断できる。

なお、マイターソーに相当する切断角度可変丸鋸装置と
して、実開昭62−162001号がある。

上記のコンパウンドマイターソーやマイターソーさらに
は実開昭62−162001号に係る丸鋸装置によれば、切断時
における丸鋸７の露出部分の弦の長さａは該露出部分の
半径方向の長さ（刃先からフランジまでの丈）ｂよりも
大きいので、被削材ｗは、至極当然にして断面横長にな
るようにベース上に載置固定されていた。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上記のコンパウンドマイターソーにおい
て、回転テーブル２は回転させずヒンジ３を傾けること
により丸鋸７を垂直面内に回転するように傾けて、ベッ
ド１の上に断面横長に載置固定した被削材ｗを斜目に切
断するのと、ヒンジ３は傾けずに回転テーブル２を所要
角度回転させることにより丸鋸７を平面内に回転するよ
うに傾けて、ベッド１の上に断面縦長に載置固定した被
削材ｗを同じ角度に斜目に切断するのとでは、後者の方
が精度良く切断できるが、被削材ｗをベッド１の上に断
面横長に載置固定したときに最大寸法が切断できるよう
になっている不都合があった。また、マイターソーにお
いても、被削材ｗの幅広な側面に対して斜目に切断する
場合に限らず、被削材ｗの幅が狭い方の側面に対して斜
目に切断する必要もあり、被削材ｗをベッド１の上に断
面横長に載置固定したときに最大寸法が切断できるよう
になっている不都合があった。

本考案は、上述した点に鑑み案出したもので、従来と同
様に最大寸法の被削材を断面横長になるようにベース上
に載置固定して切断できるだけでなく、最大寸法の被削
材を断面縦長になるようにベース上に載置固定して切断
することができるコンパウンドマイターソーまたはマイ
ターソーとしての切断角度可変丸鋸装置を提供すること
を目的としている。

［課題を解決するための手段］ 本願考案によれば、上記課題を解決するための手段とし
て、 回転テーブル２の後部より設けられたヒンジ３にブラケ
ット４が取付けられ、該ブラケット４に、モーター５と
減速機６からなる動力手段、該動力手段によって回転さ
れる丸鋸７、該丸鋸７の上側部分を隠蔽する外カバー
８、及びセーフティーカバー９が前記回転テーブル２の
上方位置するように取付けられ、該丸鋸７を適宜の姿勢
にして下降させ前記回転テーブル２を設けているベース
１上に横方向に載置され該ベース１に設けられたフェン
ス10とクランプ11とで固定される木材等の被削材ｗを切
断するように構成された切断角度可変丸鋸装置におい
て、 前記ブラケット４と前記外カバー８とが、 前記丸鋸７の下端が前記回転テーブル２の上面付近にあ
るときにおいて、前記丸鋸７を支持するフランジ13の後
方であってフェンス10の前側上方のエリアＥを避けて形
成されているとともに、 前記モーター５が、前記丸鋸７の回転中心に対して前側
上方に位置して設けられていることを特徴とする切断角
度可変丸鋸装置を提供するものである。

このような切断角度可変丸鋸装置は、前記セーフティー
カバー９を、前記丸鋸７を下降するに連れてリンクの作
用により該外カバー８の前端より上方へ回動して前記外
カバー８内に入っていき該丸鋸７の下側部分を露出して
該丸鋸７の切断を保障するようになっている構成とした
ときは、前記丸鋸７の下端が前記回転テーブル２の上面
付近にあるときにおいて、前記丸鋸７を支持するフラン
ジ13の後方であってフェンス10の前側上方のエリアＥを
避けて形成するのが好ましい。

［作用］ 木材等の被削材ｗをベース１上に載置してフェンス10と
クランプ11でしっかり固定する。コンパウンドマイター
ソーにあっては、回転テーブル２の回転、及び／また
は、ヒンジ３の傾斜を行うことにより、またマイターソ
ーにあっては、回転テーブル２の回転を行うことによ
り、丸鋸７を所望の姿勢にする。

そうして、丸鋸７を回転駆動してから下降すると、セー
フティーカバー９が丸鋸７と相対的に上昇し、該丸鋸７
にて被削材ｗを切断できる。この場合、セーフティーカ
バー９が丸鋸７の下降に連れてリンクの作用により外カ
バー８内に入っていき丸鋸７の下側部分を露出させる
か、または、セーフティーカバーが被削材ｗの上に載
り、下降する丸鋸７の下側部分を相対的に露出させるの
で、丸鋸７が下降して被削材ｗを切断できる。

丸鋸７を支持するフランジ13の後方であってフェンス10
の前側上方のエリアＥが空いているので、ベース１上に
載置固定する被削材ｗは、従来と同様に断面横長になる
ように載置して切断できるだけでなく、断面縦長になる
ように載置して丸鋸７の下側部分から後側部分で切断す
るとができる。

［実施例］ 第１図及び第２図は本考案の切断角度可変丸鋸装置をコ
ンパウンドマイターソーに適用した実施例を示す。

符合１は鋳物製の横長なベースであり、木材等の被削材
を横長に載置し得る。該ベース１の上面略中央部には回
転テーブル２が設けられている。該回転テーブル２は、
前部側面に設けた位置決め固定ハンドル14を把持し回し
てハンドル基端のネジ部をベース１の円筒面部との固定
を解除し、しかる後、該ハンドル14を左右方向に移動す
ることにより、回動可能であり、所望位置で該ハンドル
14を回してハンドル基端のネジ部をベース１の円筒面部
に締付け固定すれば、位置決め可能となっている。さら
に、該回転テーブル２は、０度、15度、45度、及び22.5
度の位置で、各割出し位置が安定するように設けられて
いるものとする。該回転テーブル２の上面にはテーブル
直径を通ってテーブル前端から後端まで延びているスリ
ット15が設けられている。ベース１の上面には一対のフ
ェンス10、10が立設されている。該フェンス10、10は、
回転テーブル２を挟むように前記ベース１の上面の後側
左右配置に左右方向に直線上に延びていて、ベース１上
に載置される被削材ｗの後面を当接停止する。回転テー
ブル２のスリット15の後端の対応する外方位置にヒンジ
３がピン12に枢着されている。そして、該ヒンジ３は、
締付レバー25でボルト締めすることによって任意の傾斜
位置に停止されるようになっている。該ヒンジ３の上端
にはブラケット４が取付けられており、該ブラケット４
の前側には起動スイッチ17を有する把手部16が設けられ
ている。しかして、該ブラケット４は、把手部16を持っ
て矢印Ａ方向に揺動可能であり、かつ、把手部16から手
を離すと、ヒンジ３との枢着部に設けられたばね18によ
って上方へ揺動復帰し得るようになっている。

さらに、該ブラケット４には、丸鋸７と、該丸鋸７の上
側部分を隠蔽する外カバー８と、該外カバー８と丸鋸７
の間に設けられたセーフティーカバー９とが取付けられ
ている。前記減速機６は、モーター出力軸5aの端部に形
成された小歯車6aと、該小歯車6aに噛合する大歯車6bと
を、ブラケット４の箱形部に収容されてなる一段減速機
として構成され、モーター出力軸と減速機出力軸がずれ
ている。該大歯車6bと一体の回転軸19は、ブラケット４
に竪固に軸支され、外カバー８の内部に対応する張出端
で丸鋸７を交換可能に固定支持している。該丸鋸７は、
フランジ13でサンドイッチされるように回転軸19に被嵌
されかつ回転軸19に螺設されたねじ孔にボルト20で締付
固定されている。前記セーフティーカバー９は、外カバ
ー８と丸鋸７の間に設けられ、丸鋸７を上昇させている
ときは該外カバー８の前端より下方へ回動して該丸鋸７
の下側部分を隠蔽して位置し、丸鋸７を下降するときは
リンクの作用により該丸鋸７を下降するに連れて該外カ
バー８の前端より上方へ回動して前記外カバー８内に入
っていき該丸鋸７の下側部分を露出して該丸鋸７の切断
を保障する。そうして、ヒンジ３を任意の傾斜角度に停
止した状態で、ブラケット４を矢印Ａに示す下方向へ揺
動して丸鋸７を第１図中の７′の位置まで下降しても、
該丸鋸７がスリット15に入るようになっている。左側の
フェンス10の右端は、左上りの傾斜面10aとなるように
カットされ、丸鋸７が第２図中の７″の傾斜になること
を保障しているとともに、スリット15が下にいくに連れ
て右方向へ広がっていて丸鋸７が第２図中の７″の傾斜
状態で下降することを保障している。外カバー８の後側
上部側面には鋸屑吹出し口21が開設されていて、該鋸屑
吹出し口21がブラケット４に一体に形成された鋸屑吹出
し筒22と連通接続され、従って、切断時には丸鋸７の回
転によって生起する風で、鋸屑が鋸屑吹出し筒22より外
部で吹き出すようになっている。そこで、該鋸屑吹出し
筒22に通気性を有する紙または布製の集塵袋Ｈを取付け
れば鋸屑を回収できる。

そうして、特に本考案では、第１図に示すように、 前記ブラケット４と前記外カバー８と前記セーフティー
カバー９とが、 前記丸鋸７の下端が前記回転テーブル２の上面付近にあ
るときにおいて、前記丸鋸７を支持するフランジの後方
であって前記フェンスの前側上方のエリアＥを避けて形
成されている。また、前記モーター５が、エリアＥを避
けるように前記丸鋸７の回転中心に対して前側上方に位
置して設けられている。そして、フェンス10、10は、従
来よりもベース後方寄りに設けられ、動力手段との距離
ｆが確保されている。なお、符合23は、丸鋸７を取外し
ときに、谷折り線23aより開くカバーであり、ビスねじ2
4により固定され、内面側に凸設された掛止突起23bが外
カバー８に設けられた掛止凹部に嵌着されることにより
丸鋸７の中心部分を閉じている。

しかして、被削材ｗを断面縦長になるようにしてベース
１上に載置し、被削材後面をフェンス10、10に付けて上
面をクランプ11、11によって押圧固定し、把手部16を持
って起動スイッチ17をオンにして丸鋸７を下降させる
と、ブラケット４と外カバー８とセーフティーカバー９
は、エリアＥを避けて形成されているので、該被削材ｗ
に干渉することがなく、丸鋸７の下側部分から上側部分
で、ベース１上に断面縦長に載置固定された被削材ｗを
有効に切断できる。勿論、被削材ｗを断面横長になるよ
うにしてベース１上に載置する場合も、従来と同様に切
断できる。

なお、セーフティーカバー９は、図示の構成のものに限
定されない。例えば、上下方向に開放した偏平な角筒形
でかつ一側面に回転軸19を逃げるスリットがあるセーフ
ティーカバーとされ、外カバーの内側に丸鋸７を隠蔽す
るように取囲み、かつ、下方から外力を受けると外カバ
ーの内側に引退するように取付けられるものでも良い。
この場合には、丸鋸７を切断位置まで下降してくると、
該セーフティーカバーが被削材ｗの上に載り、引続き丸
鋸７を下降して切断を行うと、該セーフティーカバーは
被削材ｗの上に載ったままとなり、下降せず、丸鋸７が
下降して被削材ｗを切断できる。

［効果］ 以上説明してきたように、本願考案に係る切断角度可変
丸鋸装置によれば、 従来と同様に最大寸法の被削材を断面横長になるように
ベース上に載置固定して切断できるだけでなく、最大寸
法の被削材を断面縦長になるようにベース上に載置固定
して切断することができるコンパウンドマイターソーま
たはマイターソーとしての切断角度可変丸鋸装置を提供
することができ、初期の目的を達成できる。

従って、［考案が解決しようとする課題］の項において
述べた従来のコンパウンドマイターソー及びマイターソ
ーが最大寸法の被削材を断面縦長になるように載置固定
して切断することができなかったことに伴う不都合が解
消される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の切断角度可変丸鋸装置をコンパウンド
マイターソーに適用した実施例に係る左側面図であり、
第２図は、同上の正面図である。 第３図は従来のマイターソーを示す実施例に係る左側面
図である。 ２……回転テーブル、３……ヒンジ、４……ブラケッ
ト、５……モーター、６……減速機、７……丸鋸、８…
…外カバー、９……セーフティーカバー、10……フェン
ス、11……クランプ、13……フランジ、

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転テーブルの後部より設けられたヒンジ
   にブラケットが取付けられ、該ブラケットに、モーター
   と歯車減速機からなる動力手段、該動力手段によって回
   転される丸鋸、該丸鋸の上側部分を隠蔽する外カバー、
   及びセーフティーカバーが前記回転テーブルの上方位置
   するように取付けられ、該丸鋸を適宜の姿勢にして下降
   させ前記回転テーブルを設けているベース上に横方向に
   載置され該ベースに設けられたフェンスとクランプとで
   固定される木材等の被削材を切断するように構成された
   切断角度可変丸鋸装置において、 前記ブラケットと前記外カバーとが、 前記丸鋸の下端が前記回転テーブルの上面付近にあると
   きにおいて、前記丸鋸を支持するフランジの後方であっ
   てフェンスの前側上方のエリアを避けて形成されている
   とともに、 前記モーターが、前記丸鋸の回転中心に対して前側上方
   に位置して設けられていることを特徴とする切断角度可
   変丸鋸装置。
2. 【請求項２】前記セーフティーカバーは、前記丸鋸を下
   降するに連れてリンクの作用により該外カバーの前端よ
   り上方へ回動して前記外カバー内に入っていき該丸鋸の
   下側部分を露出して該丸鋸の切断を保障するようになっ
   ている構成であって、前記丸鋸の下端が前記回転テーブ
   ルの上面付近にあるときにおいて、前記丸鋸を支持する
   フランジの後方であってフェンスの前側上方のエリアを
   避けて形成されていることを特徴とする請求項１に記載
   の切断角度可変丸鋸装置。