JPH0742555B2 - 磁性焼鈍後の鉄損特性の優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents

磁性焼鈍後の鉄損特性の優れた無方向性電磁鋼板

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JPH0742555B2
JPH0742555B2 JP62310375A JP31037587A JPH0742555B2 JP H0742555 B2 JPH0742555 B2 JP H0742555B2 JP 62310375 A JP62310375 A JP 62310375A JP 31037587 A JP31037587 A JP 31037587A JP H0742555 B2 JPH0742555 B2 JP H0742555B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、優れた磁気特性を有する無方向性電磁鋼板に
関するものである。無方向性電磁鋼板は、鋼板が製鉄所
から出荷される際に既に最終的な磁気特性を具備してい
るように製造されたフルプロセス製品と、鋼板の納入先
にて行われる打抜き加工や剪断加工後の磁性焼鈍によ
り、初めて所定の磁気特性が現出されるようにされたセ
ミプロセス製品とに区別され、本発明は後者に属するも
のである。
(従来の技術) 無方向性電磁鋼板は、例えば発電機、電動機、小型変圧
器等の電気機器に広範囲にわたって使用される。しか
し、最近省エネルギーの見地から更に鉄損の少ない材料
が供給されることが求められている。
無方向性電磁鋼板の鉄損を決定する主な要因は、Si+Al
の含有量と結晶粒径であり、同一成分の場合は結晶粒径
は約120μmの時に最も鉄損が少なくなることが知られ
ている。このクラスの無方向性電磁鋼板は、製造メーカ
ーの出荷時点での平均結晶粒径は約5〜20μm程度であ
るので、需要家での打抜きなどの加工後の磁性焼鈍によ
り結晶粒径を大きくすることが鉄損を少なくすることに
なる。
ところで鋼板中の介在物には、硫化物、窒化物、酸化物
等があるが、これらの介在物、特に微細な介在物は需要
家での磁性焼鈍時の結晶粒成長を妨げるので極力減らさ
なければならない。まず硫化物を減らす方法としては脱
硫が必須であり、この方法としては、溶銑予備処理や、
出鋼時、或いは溶鋼の真空脱ガス時に各種脱硫剤を添加
する方法が一般的に知られている。次に窒化物を減らす
方法としてNの含有量を少なくすることが必須であり、
低窒素吹錬法などが一般的に知られている。更に酸化物
を減らす方法としては、出発溶鋼を真空脱ガスし、Al,S
i等で脱酸する方法が一般的に知られている。更に、こ
れらの一般的な方法に加え、微細AlNを無害化する方法
としては、従来よりsol.Alを0.15%以上とし、微細なAl
Nを析出させない方法が知られている。一方、特公昭48
−3055号公報では、Siを0.3〜2.0%含有する珪素鋼にお
いて酸可溶性Al量を0.001%以上{0.014−0.4×〔S
i〕}%以下とする方法が提案されている。これは、so
l.Alの含有量が{0.014−0.4×〔Si〕}%を越え、0.15
%未満では、微細なAlNの悪影響により磁性焼鈍時の結
晶粒の粗大化が難しく、磁気特性が不安定で劣ることに
よる。また、特開昭61−119652号公報では、Alを0.15〜
0.60%とし、Nを0.0020%以下、Sを0.0025%以下、O
を0.0020%以下とする方法が提案されている。これは、
Nを0.0020%以下、Sを0.0025%以下とすることによる
高純化とAl添加による微細窒化物の析出防止の効果であ
ると推定している。特開昭54−163720号公報では、Alは
0.1%以下としB/N(硼素含有量/窒素含有量)を0.5〜
2.5、Nは0.0100%以下にコントロールする方法が提案
されている。これは、BはAlよりもNとの親和力が強い
ためBNを生成し、BNは微細に析出せず結晶粒成長を阻害
しないことによる。
一方、特公昭56−43294号公報では、溶鋼を真空脱ガス
処理して鋼中の炭素を0.015%以下及び酸素を0.02%以
下に下げた後、脱酸にアルミニウムを使用せず珪素のみ
を使用し、鋼中の珪素量を0.1〜1.0%、全アルミニウム
量を0.007%以下に調整し、鉄損が優れ、かつ鋼板のた
て目、よこ目平均の透磁率μ15/50が2500以上である珪
素鋼板を得る方法を提案している。これは、鋼中に残存
するアルミニウムが、様々な析出物、介在物の形態で存
在し、それらが焼鈍による結晶粒成長の際に透磁率を下
げるような好ましくない結晶方位を発達せしめたものと
想像している。
(発明が解決しようとする問題点) 前記の従来の技術によって得られる鉄損は、満足できる
ものではなく、本発明者らは、Bを添加しない安価な前
述成分系において、磁性焼鈍後の鉄損特性の一層優れた
セミプロセス無方向性電磁鋼板を開発すべく鋭意検討を
重ねた結果、従来技術で得られた以上の低鉄損値が得ら
れ、尚且つ、重大な問題である溶鋼ノズル詰まりのない
無方向性電磁鋼板を発明したのである。
(問題点を解決するための手段) 本発明の要旨とするところは下記のとおりである。
(1) 〔C〕0.015%以下、〔Si〕0.1〜1.0%、〔so
l.Al〕0.001〜0.005%、〔Mn〕1.5%以下、〔S〕0.008
%以下、〔N〕0.01%以下、〔T.O〕0.02%以下、残部
鉄及び不可避的成分よりなる無方向性電磁鋼板におい
て、成品中のSiO2,MnO,Al2O3,の3種の介在物の総重量
に対するMnOの重量の割合が、15%以下であると共に、S
iO2の重量の割合が75%以上であることを特徴とする磁
性焼鈍後の鉄損特性の優れた無方向性電磁鋼板。
(2) 鋳造前の溶鋼中のSiO2の絶対量が0.0460%以下
である前記第(1)項記載の磁性焼鈍後の鉄損特性の優
れた無方向性電磁鋼板。
(3) 〔P〕を0.15%を上限として加える前記第
(1)項または第(2)項記載の磁性焼鈍後の鉄損特性
の優れた無方向性電磁鋼板。
本発明者は、sol.Alの含有量が0.1%以下で、Bを添加
しない、安価に製造し得る磁性焼鈍後の鉄損の少ないセ
ミプロセス無方向性電磁鋼板を発明すべく、750℃×2
時間の磁性焼鈍後の製品の鉄損と平均結晶粒径、介在物
について調査を行なった。磁性焼鈍は、750℃×2時間
が一応の目安であるが、連続的に焼鈍したり、±50℃程
度温度条件が変わる場合がある。特に、低温側に磁性焼
鈍条件がずれた場合でも、優れた磁気特性が得られるこ
とが肝要である。その結果新たに得られた知見を0.1%S
i鋼を例に以下に説明する。
金相組織 第1図の(1)には磁性焼鈍後の鉄損の悪い製品(W
15/50≧6.0W/kg)、(2)には鉄損が中程度の製品(4.
8W/kg≦W15/50<6.0W/kg)、(3)には鉄損の少ない
製品(W15/50<4.8W/kg)の金相組織の例を示す。磁性
焼鈍後の鉄損は、公知のように結晶粒径と良い相関を示
し、鉄損の悪い製品の平均結晶粒径は約10〜20μm、鉄
損が中程度の製品の平均結晶粒径は約20〜50μm、鉄損
の少ない製品の平均結晶粒径は50μm以上であることが
分かった。
介在物 第2図(a),(d)には磁性焼鈍後の鉄損の悪い製
品、同図(b),(e)には鉄損が中程度の製品、同図
(c),(f)には鉄損の少ない製品の介在物を走査電
子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用
い観察、分析した結果を示す。鉄損の悪い製品には、圧
延方向に沿って延びた介在物が多数観察され、これが結
晶粒成長を抑制していた。鉄損が中程度の製品にも、こ
の介在物は観察されたが、その量は鉄損の悪い製品と比
べ少なかった。鉄損の少ない製品には圧延方向に延びた
介在物はほとんど観察されず、球状のものがほとんどで
あり、結晶粒成長を抑制していなかった。これらの介在
物をEDXで分析した結果、SiO2−MnO−Al2O3系の介在物
であることが判明した。そして、Al,Si,Mnを定量し、こ
れからSiO2,MnO,Al2O3の組成を求め、これをSiO2−MnO
−Al2O3三元系状態図にプロットした結果を第3図に示
す。これより、鉄損の悪い製品の介在物は、融点が1140
〜1200℃と低融点のものが多く、鉄損の中程度の製品の
介在物の組成は、鉄損の悪い製品の介在物よりもMnOが
少ないものが多く、鉄損の少ない製品の介在物は、MnO
の非常に少ない組成のものであることが判明した。第4
図には、SiO2−MnO状態図を示す。これより、鉄損の中
程度の製品の介在物の方が、鉄損の少ない製品の介在物
よりも融点の低い物質をより多く含有していることが分
かる。
従って、鉄損の悪い製品と鉄損の中程度の製品に観察さ
れたSiO2−MnO−Al2O3系の介在物は、スラブ加熱中に溶
融或いは半溶融状態となり、熱延中に圧延方向に延ばさ
れ、これが磁性焼鈍時の結晶粒成長を抑制するというこ
とが新たに判明した。
第5図は、製品中のSiO2,MnO,Al2O3の含有量を化学分析
し、SiO2,MnO,Al2O3の3種の介在物の総重量に対するMn
Oの比率、平均結晶粒径と磁性焼鈍後の鉄損W15/50の関
係を示すものである。SiO2,MnO,Al2O3の総重量に対する
MnOの比率を15%以下にすれば、磁性焼鈍後の平均結晶
粒径を50μm以上になし得、例えばSi0.1%鋼では鉄損
をW15/50<4.8W/kgというような低鉄損を得られること
が分かる。
以上述べた通り、本発明者は、鋼中のSiO2,MnO,Al2O3
3種の介在物の総重量に対するMnOの重量の割合を15%
以下に調整することにより、磁性焼鈍後の平均結晶粒径
を50μm以上になし得る、鉄損の少ない安価な無方向性
電磁鋼板を見出したものである。(特願昭62−29364号
参照) 次に上記に加えて、SiO2の重量の割合を75%以上とした
ことによる鉄損改善効果について述べる。
第6図にMnO,SiO2,Al2O3の3種の介在物の総重量に対す
るMnOの重量の比率が15%以下のものだけを選別した中
での、MnO,SiO2,Al2O3の3種の介在物の総重量に対する
SiO2の重量の比率と磁性焼鈍後の磁気特性との関係につ
いて示す。
この図から明らかなとおり、MnOの重量比率が15%以下
においても鉄損値が、4.3〜5.0W/kg近くまでばらついて
いる。発明者らはこの違いを種々の角度から観察した結
果、製品での複合介在物のMnOの比率は15%以下であり
ながら、MnSの分散状態に差があることを見出した。
即ち、第7図の金属組織写真にみられるとおり良品は、
MnSの小な粒径のものが少なく、大きなものが多い。し
かし、不良品は小さな粒径のものが多く、大きなものは
少ないという相反した特徴を示している。
公知の如く、この微細なMnSは焼鈍時の1次再結晶を大
きく阻害し、とくに磁性焼鈍後の磁気特性を悪化させ
る。この差がなぜ起こるのかを調べた結果、MnSはSiO2
がある場合、両者間でのぬれ性が良く、SiO2のまわりに
集められ大きなSiO2を核として、MnSの凝集物をつくっ
ていることがわかった。そしてこの現象は、Al2O3,MnO,
Cr2O3等では認められず、SiO2といった介在物の特徴で
あることがわかった。
この様に、SiO2を核として大きく凝集したMnSは次工程
のスラブ加熱中に一部は溶体化するものの、スラブ内に
分散して存在しているものに比べて著しく溶体化しにく
く、鋼中に同一量のMnSが存在しても、その形態によっ
てスラブ加熱中の溶体化の程度が変化してくるわけであ
る。このことは熱延段階で析出する微細な磁性焼鈍後の
粒の成長を阻害するMnSの析出量を、減少させることが
可能であることをしめしている。
つまり、鋼中SiO2比率を増やすことによって、鋼中MnS
をSiO2のまわりに凝集して大きくすることができ、スラ
ブ加熱中でのMnSの溶体化を抑制し熱延板でみられる磁
性焼鈍後の粒の成長を阻害する微細なMnSの析出を減少
させることが可能となり、平均結晶粒径を55μm以上と
大きくすることができ磁性焼鈍後鉄損を高位に安定せし
めるものである。そしてこの効果を引き出すためには、
鋼中のMnO,SiO2,Al2O3の3種の介在物の総重量に対する
SiO2の重量の比率を75%以上にすることが必要であるこ
とを実験的に見つけ出したのである。
このMnSを減少させる一般的な方法には、鋼中〔S〕を
減少させることであることが知られている。しかしこの
方法においてはコストが高く、又、1次精錬、2次精錬
では溶鋼中Free〔O〕が高いため、仮令Ca吹き込みを行
っても脱硫反応は進みにくい。
そこでひとつは溶銑予備処理段階で一度還元雰囲気と
し、Ca吹き込みを行って脱硫反応をおこなわせる方法が
ある。しかし、この方法はコストアップとなり収益を圧
迫するが一般的な方法として使用されている。
今回、発明した方法は前記方法で低〔S〕とした溶鋼に
おいて、さらに溶鋼中SiO2を利用してMnSの絶対量をそ
のままに、その悪影響をなくそうというものである。
次に、Alトレース材をベースに製造しているこれら無方
向性電磁鋼板の慢性的な問題として、鋼板SiO2増加によ
って激増するノズル詰まりの防止についてのべる。第8
図は鋳造直前の溶鋼中のSiO2量と溶鋼ノズル詰まり程度
を示したものであるが、数々の実験の結果SiO20.0460%
を境に詰まりは急激に増加し、これ以下では極めて少な
いことがわかる。この現象は次のように考えている。
真空脱ガス処理中の脱酸法を色々変えることによって溶
鋼中に含有されるSiO2量を変えることが可能であるが、
溶鋼鋳造過程のこの値を0.025%から0.070%と水準を振
っても、製品段階で検出されるSiO2量は平均で0.020%
程度で、高くてもせいぜい0.025%程度である。すなわ
ち溶鋼中には多く存在出来ても、凝固時には0.020%程
度しか存在出来ず、この差分は凝固中に溶鋼外へ排出さ
れてしまうわけである。この排出されたものの一部が溶
鋼ノズル詰まりの原因としてと考えられる。ゆえにこの
鋳造中の排出分を減少させることによって溶鋼ノズル詰
まりが解決出来るというわけである。
つまり本発明は例えば1次精錬後の真空脱ガス処理中の
脱炭中にカーボネットによる1回又は数回の添加を行
い、脱炭状況をみながら最終脱酸前のFree〔O〕レベル
を0.024%以下に下げることによって、Fe−Si脱酸によ
って生成する鋼中SiO2を絶対量をおさえ、鋳造直前の溶
鋼中SiO2量を0.046%以下とすることで、このノズル詰
まりがなくなることをみいだしたのである。
尚、第8図中、「ノズル溶損」とは、全くノズル詰まり
を起こさず、ノズルが溶損していることを意味するもの
である。
本試験で予備脱酸にカーボネットを使用した理由は、カ
ーボネットはFree〔O〕と反応してCO,CO2ガスとなって
抜け、溶鋼内に残らないからであり、Fe−Si,Al,Fe−Mn
等を使っても、SiO2の量を溶鋼鋳造過程で0.046%以下
にできればノズル詰まりはない。しかし、磁性的には溶
鋼内に介在物が残らないといった点でカーボネットが有
利である。付け加えておくが、ここでいう予備脱酸と
は、真空脱ガス処理中の最終脱酸以外の脱酸を全て意味
しており、出鋼中の脱酸も意味している。
さて、このような無方向性電磁鋼板の製造方法の一例
を、100t転炉、真空脱ガス装置を用いて、製造する場合
についてのべる。
従来法では、一般的な転炉での1次精錬の後、真空脱ガ
ス装置での2次精錬においては、始めに10〜十数分かけ
て脱炭を行い、脱炭状況を確認後、溶鋼成分の調整用と
してFe−SiやFe−Mn,Fe−P,Al等を適量投入し、目標と
する溶鋼成分を狙って、2次精錬の処理を終わってい
た。
本発明では、1次精錬までは同様とするものの、この2
次精錬時に、次のような処理を付加している。
真空脱ガス処理装置での脱炭中に、溶鋼中のFree〔O〕
を測定しながら、カーボネットでの脱酸を行い、脱炭終
了時のFree〔O〕値を0.024%以下に制御する。その
後、Fe−Siを添加し、3分攪拌後、溶鋼目標成分を狙っ
てMn源、P源等を添加して次の鋼板鋳造過程に進んで行
くわけである。
特に〔Mn〕については、溶鋼中に存在するMnOの比率を
下げるために、通常よりも0.07%以上下げたところに溶
鋼成分の目標値を設定した。
このように、第1に最終脱酸前に、十分Free〔O〕を下
げておき、Fe−Siでの脱酸時に生成するSiO2の絶対量を
減らし、このSiO2が0.046%以上発生しないようにする
こと、第2に、このSiO2比率のみを上昇させ、MnOの生
成を抑えるために、Mn源の投入を極力抑えることによ
り、成品段階でのMnO,SiO2,Al2O3の3種の介在物の総重
量に対するMnOの重量の割合が15%以下にすることと共
に、SiO2の重量の割合が75%以上を満足させること、の
以上の2点の実施によって溶鋼ノズル詰まりのない、し
かも低融点介在物を生成せず、磁性焼鈍後の磁気特性の
極めて良好な無方向性電磁鋼板を製造することが可能と
なった。
以下に本発明の諸条件及び限定理由を説明する。
〔C〕: Cは0.015%を越えると磁気特性に有害となるばかりか
Cの析出による磁気時効が著しくなり、磁気特性が劣化
するので0.015%以下、望ましくは0.010%以下とする。
〔Si〕: Siは、添加量が増加すればするほど鉄損の減少度合いを
増す元素であるが、本発明は、700〜800℃程度の磁性焼
鈍で粗粒化させ、低鉄損化を狙うため、Siは0.1〜1.0%
とした。
〔sol.Al〕: sol.Alが0.001%未満であると鋼中の酸素量が多くなり
すぎ、0.005%を越えると、磁性焼鈍時の結晶粒成長を
抑制するに十分な量のAlNが生成するためsol.Alは0.001
〜0.005%とした。
〔Mn〕: Mnは鋼板の硬度を増加させ、打抜き性を改善するため添
加するが、上限の1.5%は経済的理由によるものであ
る。
〔S〕: SはMnやトランプエレメントのCuなどと結合しMnSやCu2
Sとなり、磁性焼鈍時の結晶粒成長を妨げるので少ない
方が好ましく、0.008%以下とした。
〔N〕: 一般的には、Nが0.0050%を越えると磁性焼鈍後の結晶
粒成長を制御するに十分なAlNが生成するため、この値
が上限と考えられているが、本発明の対象であるAlトレ
ース材であれば、Alが極微量のため上限を0.010%とし
た。好ましくは、0.0030%以下である。
〔P〕: Pは必要により添加するものであり、成品の硬さを増
し、打抜き性改良のため添加するが、0.15%を越えると
脆化が著しい。一般には、0.10%以下におさえる。
〔MnO〕: MnO,SiO2,Al2O3の3種の介在物の総重量に対するMnOの
重量の比率からみれば、この割合が15%を越えると低融
点の複合介在物を生成し、磁気特性を劣化させる。15%
以下でも低ければ低い程良い。
〔SiO2〕: MnO,SiO2,Al2O3の3種の介在物の総重量に対するSiO2
重量の比率からみれば、この割合が75%以上になると、
鋼板内に含まれる磁気特性を劣化させるMnSをSiO2の析
出物の回りに凝集させ、焼鈍時に粒成長を阻害する微細
なMnSの析出を抑え、その結果焼鈍後の磁気特性を向上
させる働きがある。
一方、絶対量として溶鋼鋳造過程において、溶鋼内に0.
0460%以上存在すると溶鋼ノズル詰まりを起こし鋳造の
安定性を阻害する。
比率が確保されれば、出来るだけ低くしたほうが良い。
〔Al2O3〕: MnO,SiO2,Al2O3の3種の介在物の総重量に対するAl2O3
の重量の比率からみて限定するものではないが、本発明
材料はAlトレース材を前提としており、過去の実験結果
から、30%以下である。
Al2O3の比率、絶対量がどうこうよりも、この値が高く
なるにつれて焼鈍時に粒成長を阻害するAlNの生成量が
比例して増加することにより、この介在物においても出
来るだけ低いほうが良い。
〔T.O〕: T.Oが0.02%を越えると酸化物が増え、磁性焼鈍時に結
晶粒成長を妨げるので、T.Oは0.02%以下とした。sol.A
lの上限を越えない範囲でT.O量を極力少なくすることが
望ましく、特に0.015%以下にすると効果が著しい。
磁性焼鈍後の平均結晶粒径: 同一成分の場合には、結晶粒径が約120μmの時に最も
鉄損が少なくなることが知られており、製造メーカーの
出荷時点での平均結晶粒径は5〜20μmであるので、磁
性焼鈍により結晶粒径を大きくすることが鉄損を少なく
する。本発明では、磁性焼鈍後の平均結晶粒径を55μm
以上と大きくすることが可能であり、これにより例え
ば、Si0.1%鋼の場合W15/50<4.6W/kgという低鉄損が
得られるものである。
(実施例) 〔実施例1〕 0.1%Siを含有する種々の成分組成の無方向性電磁鋼板
用スラブを製造した。次いで、これを1180℃に連続加熱
炉で加熱し、厚さ2.0mmに熱間圧延した。この熱延板を
酸洗し、0.5mm厚に冷間圧延し、次いで775℃、60秒の条
件で連続炉で仕上焼鈍を行ない、更に750℃、2時間の
磁性焼鈍を行なった。こうして得られた製品の成分組
成、介在物の含有割合、磁性焼鈍後の平均結晶粒径及び
磁気特性を第1表に示す。これより、本発明の製品C,D,
Eは磁性焼鈍後の平均結晶粒径を55μm以上になし得、
鉄損の少ない製品であることが分かる。
尚、本発明C,D,Eでは、2次精錬の真空脱ガス処理工程
の脱炭処理中に溶鋼のFree〔O〕濃度を測定しながら、
カーボネット添加で脱酸することを数回繰り返しつつ、
Fe−Si添加直前のFree〔O〕を0.02%以下とすることを
行い、又RHでMnの添加量の減少を行なった。
一方、P添加を行っていないD,P添加と、SiO2量のコン
トロールを行っていないC,MnO比率を15%以下に制御し
ただけのB、そして、通常の製鋼法で行ったAの各々の
結果を記載した。
〔実施例2〕 0.7%Siを含有する種々の成分組成の無方向性電磁鋼板
用スラブを製造した。ついで、これを1150℃に連続加熱
炉で加熱し、厚さ2.0mmに熱間圧延した。この熱延板を
酸洗し、0.5mm厚に冷間圧延し、次いで780℃、60秒の条
件で連続炉で仕上焼鈍を行ない、更に750℃、2時間の
磁性焼鈍を行なった。こうして得られた製品の成分組
成、介在物の含有割合、磁性焼鈍後の平均結晶粒径及び
磁気特性を第2表に示す。これより、本発明の製品C,D,
Eは磁性焼鈍後の平均結晶粒径を55μm以上になし得、
鉄損の少ない製品であることが分かる。
尚、本発明C,D,Eでは、2次精錬の真空脱ガス処理工程
の脱炭処理中に溶鋼のFree〔O〕濃度を測定しながら、
カーボネット添加で脱酸することを数回繰り返しつつ、
Fe−Si添加直前のFree〔O〕を0.02%以下とすることを
行い、又RHでのMnの添加量の減少を行った。
一方、P添加を行っていないD,P添加と、SiO2量のコン
トロールを行っていないC,MnO比率を15%以下に制御し
ただけのB、そして、通常の製鋼法で行ったAの各々の
結果を記載した。
(発明の効果) 以上の如く本発明によれば、Alトレース無方向性電磁鋼
板において鋼中に含有されている介在物量の適正なコン
トロールにより、磁性焼鈍後の鉄損を大幅に改善するこ
とができるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(1)は磁性焼鈍後の鉄損の悪い製品、同図
(2)は鉄損が中程度の製品、同図(3)は鉄損の少な
い製品の金相組織を夫々示す金属顕微鏡写真図、第2図
(a)は磁性焼鈍後の鉄損の悪い製品の断面の介在物の
走査型電子金属顕微鏡組織写真図、同図(d)は同図
(a)中の矢印で示す介在物をエネルギー分散型X線分
析装置(EDX)で分析した結果とSiO2−MnO−Al2O3の組
成を求めた結果示す図、同図(b)は磁性焼鈍後の鉄損
が中程度の製品の断面の介在物の走査型電子金属顕微鏡
組織写真図、同図(e)は同図(b)中の矢印で示す介
在物をEDXで分析した結果とSiO2−MnO−Al2O3の組成を
求めた結果示す図、同図(c)は磁性焼鈍後の鉄損の少
ない製品の断面の介在物の走査型電子金属顕微鏡組織写
真図、同図(f)は同図(c)中の矢印で示す介在物を
EDXで分析した結果とSiO2−MnO−Al2O3の組成を求めた
結果示す図、第3図はSiO2−MnO−Al2O3系介在物のSi
O2,MnO,Al2O3の組成を求め、これをSiO2−MnO−Al2O3
元系状態図にプロットした結果を示す図、第4図はSiO2
−MnOの状態図、第5図は製品中のSiO2,MnO,Al2O3の含
有量を化学分析し、SiO2,MnO,Al2O3の3種の介在物の総
重量に対するMnOの比率、平均結晶粒径と磁性焼鈍後の
鉄損W15/50の関係を示す図、第6図は製品中のSiO2,Mn
O,Al2O3の含有量を化学分析し、SiO2,MnO,Al2O3の3種
の介在物の総重量に対するMnOの比率が15%以下のもの
の中で、同様に計算したSiO2比率と、平均結晶粒径と、
磁性焼鈍後の鉄損W15/50の関係を示す図、第7図は成
品のC断面における3000倍の透過電子顕微鏡によるMnS
分布状況観察結果を示す金属組織写真図で、(a)は磁
性焼鈍後の磁気特性の良いもの、(b)は磁性焼鈍後の
磁気特性の悪いものを夫々示す写真図、第8図は鋳造直
前の溶鋼中SiO2量と、鋳造時の溶鋼ノズルのつまり程度
と溶損状態を10段階の評点に分けて評価した図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】〔C〕0.015%以下、〔Si〕0.1〜1.0%、
    〔sol.Al〕0.001〜0.005%、〔Mn〕1.5%以下、〔S〕
    0.008%以下、〔N〕0.01%以下、〔T.O〕0.02%以下、
    残部鉄及び不可避的成分よりなる無方向性電磁鋼板にお
    いて、成品中のSiO2,MnO,Al2O3,の3種の介在物の総重
    量に対するMnOの重量の割合が、15%以下であると共
    に、SiO2の重量の割合が75%以上であることを特徴とす
    る磁性焼鈍後の鉄損特性の優れた無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】鋳造前の溶鋼中のSiO2の絶対量が0.0460%
    以下である特許請求の範囲第(1)項記載の磁性焼鈍後
    の鉄損特性の優れた無方向性電磁鋼板。
  3. 【請求項3】〔P〕を0.15%を上限として加える特許請
    求の範囲第(1)項または第(2)項記載の磁性焼鈍後
    の鉄損特性の優れた無方向性電磁鋼板。
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JPS61119652A (ja) * 1984-11-15 1986-06-06 Kawasaki Steel Corp 鉄損の低い無方向性電磁鋼板

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