JPH0742244Y2 - コンニヤクの種いも植付床の消毒装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、コンニャクの種いも植付床の消毒装置に係
り、詳しくは、前作した麦の生育条列に沿って、その根
際両側にコンニャクの種いもを植付ける左右一対の植付
床を作溝すると同時に、作溝した植付床を消毒すること
ができるコンニャクの種いも植付床の消毒装置に関する
ものである。

〔従来の技術〕

適地適作は農作業の基本であって、特に土壌水分と空気
を多量に含んでいると同時に排水性に優れ、そのうえ適
度の保水力を有する土壌条件に適合した地域では、コン
ニャク栽培が盛んに行われている。

コンニャク栽培法は各地域によって種々異なるが、近時
では空閑地に燕麦を前作し、その生育条列の根際両側に
コンニャクの種いもを植付ける栽培法が提唱されてい
る。しかしながら、この栽培技術を営農的に効率よく利
用するためには、植付床の作溝と同時に作溝した植付床
を消毒することが、植付け中の発病を防ぐうえから好ま
しい。

そこで、植付床の消毒作業を効率化すべく、機体の下方
に位置する走行車輪の車軸と該車軸より上方に位置し、
かつ機体後端部に配設した消毒剤投入タンクの繰出軸と
をチェーン伝動機構を介して連結したものが提案され、
かつ実用化されているが、このものは、チェーンの張設
距離が長くなるうえ、走行車輪軸と繰出軸との位置関係
から上下方向に傾斜状に張設しなければならず、しか
も、張設距離間には外側面相互に凹凸変化のあるミッシ
ョンケース、伝動ケース、ロータリーケース等があるた
め、中間部でテンションアームを突設して、これらの部
材の邪魔にならないように迂回して張設されているの
で、走行車輪の車軸に設けたスプロケットと、消毒剤投
入タンクの繰出軸に設けたスプロケットとの芯合わせが
困難で、作業中必要に応じてチェーンの回転と停止を繰
返したり、消毒剤投入タンクが位置ずれしたりすると、
チェーンがスプロケットから外れて連続的に消毒作業が
できなくなる不具合があった。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は上記のような実状に鑑み、従来の欠点を一掃す
べく創案されたものであって、その目的とするところ
は、特に走行車輪の車軸と消毒剤投入タンクの繰出軸と
をワイヤー伝動機構を介して連動連結したことにより、
上記両軸を連結するにあたっては、軸間の距離や上下の
位置関係には全く影響がなく、更にミッションケース、
伝動ケース、ロータリーケース等の相互の凹凸外側面に
も妨げられることなく、極めて簡単かつ容易に連結する
ことができ、常に走行車輪の回転に連動して繰出軸を回
転させ、作溝された植付床に適量の消毒剤を流下して消
毒作業を連続的に、しかも植付床の作溝と、その消毒を
一工程で行うことができるコンニャクの種いも植付床の
消毒装置を提供しようとするにある。

〔課題を解決するための技術手段〕

上記課題を解決するため、本考案が採用した第１の技術
手段は、機体の進行方向に延設した操縦ハンドルの基部
下方に左右一対の走行車輪を設け、該走行車輪の後方に
下縁部を前作した麦の生育条列を挟んでその根際近傍に
位置させた垂直状隔板と、該垂直状隔板の上縁部外側方
に突設した水平状履板とからなる排土誘導板を設け、該
排土誘導板の水平状履板の下方に走行車輪とは反対方向
に回転する植付床作溝ローターを設け、該植付床作溝ロ
ーターの上方後方に消毒剤投入タンクを設けると共に、
上記消毒剤投入タンクの底部に開口した消毒剤操出口に
繰出軸を回転自在に軸架し、該繰出軸と走行車輪の車軸
とをワイヤー伝動機構を介して連動連結したことを特徴
とするものである。

本考案の第２の技術手段は、上記消毒剤投入タンクの消
毒剤繰出口に消毒剤の管状流下路を連通して設け、該管
状流下路の下端部を作溝された植付床に臨ませると共
に、該管状流下路をその後方に配設したレーキによって
支持させたことを特徴とするものである。

〔考案の作用〕

したがって、本考案によれば、作業者が操縦ハンドルを
把持して、機体を前作した麦の生育条列に沿って、単に
その上方を進行するのみで、麦の生育条列近傍の土壌に
溝状の植付床を作溝することができる許りでなく、植付
床の作溝に追従して、消毒剤投入タンクの繰出口に連通
した管状流下路から適量の消毒剤を植付床に落下して消
毒を行うことができ、更に消毒の直後にレーキを植付床
に擦過させることによって、消毒の際に土中でガス化し
て滲み込んだガスを外部に放散させることができ、この
ため、植付床の作溝と、その消毒を連続的に、しかも一
工程で行うことができる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を添付図面を参照して詳細に説
明する。第１図および第２図A,Bにおいて、１は機体の
主フレーム、２は主フレーム１の前部に搭載されたエン
ジン、３は主フレーム１の前部に上下に亘って固装され
たミッションケースであって、その下部に軸架された車
軸４には左右の走行車輪5,5が軸支されている。６は上
記ミッションケース３の上部に軸架された主軸７に装着
したプーリであって、該プーリ６とエンジン２の回転軸
2aに装着したプーリ８間には伝動ベルト９が懸回されて
いる。10は上記ミッションケース３の頂部に前後回動固
定自在に装着された操縦ハンドルであって、該操縦ハン
ドル10はミッションケース３の頂部から機体の進行方向
に延設されている。11は主フレーム１の後部に上下に亘
って固装されたロータリーケースであって、その上部に
はロータリー駆動軸12が軸架され、その下部にはロータ
リー耕耘軸13が軸架されている。そして、上記ロータリ
ー駆動軸12とロータリー耕耘軸13とはロータリーケース
11に内装した伝動機構を介して連動連結されているが、
その回転方向は前記走行車輪5,5を軸装した車軸４の回
転方向と反対方向に回転するように設定されている（図
示省略）。14,14は上記ロータリー耕耘軸13の左右両側
に取付位置可能に装着された植付床作溝ローターであっ
て、該ローター14,14は円形取付板15,15と該円形取付板
15,15の周縁部に放射状に配列固定した複数個の耕耘刃1
6,16…からなるものであって、上記ロータリーケース1
1、ロータリー駆動軸12、ロータリー耕耘軸13およびロ
ーター14,14によってセンタードライブ型の耕耘装置が
構成されている。なお、上記左右夫々の円形取付板15,1
5に固定された耕耘刃16,16…は種いもの植付所要溝幅が
耕起できる耕幅になるように配設されている。17はロー
タリー駆動軸に装着されたスプロケット18と主軸７に装
着されたプーリ６に併架されたスプロケット19間に懸回
された伝動チェンである。

20,20はロータリーフレーム11aの両側方で、かつロータ
ー14,14の内側に位置して装着された左右一対の排土誘
導板であって、該排土誘導板20,20はその下縁部20aが前
作した麦の生育条例を挟んでその根際両側に位置し、ロ
ーター14,14により耕起跳上げられる土が麦の生育条列
に覆いかぶさらないように防護する垂直状隔板21a,21a
とその上縁部を覆うように外側方に突設されて、跳上げ
られた耕土を作溝された植付床側方に誘導しながら排土
する水平状覆板21b,21bとから構成されている。

22はロータリーフレーム11aの後端部に配設された消毒
剤投入タンクであって、その底部にはロータリーフレー
ム11aと直交する方向に長溝状の消毒剤繰出口（図示省
略）が開口されており、該繰出口には攪拌翼を備えた繰
出軸23が長溝に沿って回転自在に軸架されている。そし
て、上記繰出軸と走行車輪５の車軸４との間は、ワイヤ
ー伝動機構24を介して連動連結されている。すなわち、
ワイヤー伝動機構24は撓曲性を有するゴム等の部材で形
成されたアウターと軸状のインナーとからなり、インナ
ーが車軸４の回転に連動して回転し、この回転力によっ
て繰出軸23が回転するように連結構成されている。25,2
5は繰出口に連通して設けられた消毒剤の管状流下路で
あって、該管状流下路25,25は透明性の合成樹脂パイプ
で形成され、その流下端部は作溝された植付床に臨むよ
うに、ロータリーフレーム11aに固設されたレーキ装着
用フレーム26によって支持されている。27,27は管状流
下路25,25の流下端部の後方に位置して装着されたレー
キ、28,28は管状流下路25,25の流下端部の前方に位置し
て、レーキ装着用フレーム26の下端部に設けられた尾
輪、29は排土誘導板20,20の垂直状隔板21a,21aの後端間
に垂設された飛散土規制カバーである。

叙上の構成において、いま、植付床の作溝とその消毒を
行うにあたっては、前作した麦ａ（第３図Ａ参照）の生
育条列に跨いでロータリー耕耘軸13左右両側に装着した
ローター14,14を位置させ、かつ排土誘導板20,20の垂直
状隔板21a,21aの下縁部20aが麦ａの生育条列の根際近傍
の土壌に位置するようにしたのち、作業者が操縦ハンド
ル10を把持して機体を麦ａの生育条列に沿って、その上
方を矢印Ａ方向（第１図参照）に進行させる（作業者は
後進となる）と、麦ａの生育条列近傍の土壌は走行車輪
5,5の回転と反対方向に回転するローター14,14によって
アップカット状に耕起され、耕耘刃16,16の回転により
跳上げられた耕土は排土誘導板20,20の水平状覆板21b,2
1bの下面に沿って誘導され、麦ａの生育条列の反対側に
落下し、耕起された跡には溝状の植付床ｂができると共
に、跳上げられた耕土の一部は中途より植付床ｂに落下
し、溝底には柔軟な飛散土による薄い植付層ｃが形成さ
れる（第３図Ｂ参照）。

ところで、上記のように植付床ｂが作溝されていくと、
走行車輪5,5の回転に連動して消毒剤投入タンク22の繰
出軸23が回転するので、消毒剤は植付床ｂの作溝に追従
して繰出口から管状流下路25,25に適量ずつ繰出され、
植付床ｂに落下して土中でガス化され、土に滲み込んで
消毒が行われるが、その直後にレーキが植付床を擦過し
てガスを外部に放散するため、フハイ病、シラキヌ病、
フザリウム病、ネコブセンチュウなどの防除作用と相俟
って、ガスの残留に起因する葉害をも防止することがで
きる。

〔考案の効果〕

これを要するに本考案は、機体の進行方向に延設した操
縦ハンドルの基部下方に左右一対の走行車輪を設け、該
走行車輪の後方に下縁部を前作した麦の生育条列を挟ん
でその根際近傍に位置させた垂直状隔板と、該垂直状隔
板の上縁部外側方に突設した水平状履板とからなる排土
誘導板を設け、該排土誘導板の水平状履板の下方に走行
車輪とは反対方向に回転する植付床作溝ローターを設
け、該植付床作溝ローターの上方後方に消毒剤投入タン
クを設けると共に、上記消毒剤投入タンクの底部に開口
した消毒剤操出口に繰出軸を回転自在に軸架し、該繰出
軸と走行車輪の車軸とをワイヤー伝動機構を介して連動
連結し、 更に上記消毒剤投入タンクの消毒剤繰出口に消毒剤の管
状流下路を連通して設け、該管状流下路の下端部を作溝
された植付床に臨ませると共に、該管状流下路をその後
方に配設したレーキによって支持させてなるものである
から、次のような格別顕著な実用的効果を奏する。

機体を単に前作した麦の生育条列の上方を進行させ
るのみで、麦の生育条列の根際両側にコンニャクの種い
もを植付ける左右一対の植付床を、根付けに最適な床状
態で容易かつ迅速に作溝できる許りでなく、植付床の作
溝に追従して、作溝された植付床の消毒を行うことがで
き、更に消毒の直後に植付床にレーキを擦過させること
によって、消毒した際に土中でガス化したガスを外部に
放散して残留ガスによる葉害をも防止することができ、
したがって、植付床の作溝、植付床の消毒、土中の残留
ガスの放散を連続的に、しかも一工程で行うことができ
る。

機体の進行前方で操向を行いながら、作溝すること
によって、作業者は前作した麦の生育条列を目標線に未
作溝地を安定よく直進できるうえ、ローターは走行車輪
と反対方向に回転するので、機体の前後のバランスが調
整でき、このため、作業者は後進しながら植付床を作溝
しても、常に機体の直進性を保持したまま的確に植付床
を作溝することができ、しかも、消毒剤を流下させる管
状流下路の流下端部は常に植付床に臨むようにレーキに
よって支持されているので、作溝された植付床の消毒も
的確に行うことができる。

消毒剤投入タンクの繰出軸を走行車輪の車軸にワイ
ヤー伝動機構を介して連動連結したので、連結作業がミ
ッションケースやロータリーケース等の相互の凹凸外側
面に妨げられることなく容易にできると共に、作業中消
毒剤投入タンクに位置ずれが生じても、繰出軸の回転に
支障を来たす惧れがなく、作溝作業に追従して消毒作業
ができ、消毒作業の中断を招くことはない。

【図面の簡単な説明】 図面は本考案に係るコンニャクの種いも植付床の消毒装
置の一実施例を示すものであって、第１図は伝動系統を
示す全体側面図、第２図A,Bは要部の一部を切欠して示
す斜視図、第３図A,Bは作用説明図である。 ５……走行車輪、10……操縦ハンドル、14……植付床作
溝ローター、20……排土誘導板、22……消毒剤投入タン
ク、23……繰出軸、24……ワイヤー伝動機構、25……管
状流下路、27……レーキ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機体に進行方向に延設した操縦ハンドルの
   基部下方に左右一対の走行車輪を設け、該走行車輪の後
   方に下縁部を前作した麦の生育条列を挟んでその根際近
   傍に位置させた垂直状隔板と、該垂直状隔板の上縁部外
   側方に突設した水平状履板とからなる排土誘導板を設
   け、該排土誘導板の水平状履板の下方に走行車輪とは反
   対方向に回転する植付床作溝ローターを設け、該植付床
   作溝ローターの上方後方に消毒剤投入タンクを設けると
   共に、上記消毒剤投入タンクの底部に開口した消毒剤操
   出口に繰出軸を回転自在に軸架し、該繰出軸と走行車輪
   の車軸とをワイヤー伝動機構を介して連動連結したこと
   を特徴とするコンニャクの種いも植付床の消毒装置。
2. 【請求項２】上記消毒剤投入タンクの消毒剤繰出口に消
   毒剤の管状流下路を連通して設け、該管状流下路の下端
   部を作溝された植付床に臨ませると共に、該管状流下路
   をその後方に配設したレーキによって支持させたことを
   特徴とする請求項１記載のコンニャクの種いも植付床の
   消毒装置。