JPH074050Y2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案はゴルフクラブのヘッドに関し、更に詳しくはヘ
ッド形状が大きく、かつ強靱なゴルフクラブのヘッドに
関するものである。

（従来技術とその問題点） 従来から、ゴルフクラブヘッドを中空状にしたり軽金属
製などにしたりして、極力ヘッド形状を大きくして使用
しやすいものにする工夫が種々なされている。しかしな
がら、以下に示すように従来技術には一長一短があり、
使いやすさの面から大きな形状であり、かつ安全性の面
から強靱であるという性能をもつゴルフクラブヘッドが
開発されていないのが現状である。

（イ）実公昭53-40200号 フェース部，ソール部，ネック部を軽金属で一体成形
し、その内部にウッドブロックである木質材を嵌着した
構造のゴルフクラブヘッドが開示されている。これはフ
ェース部（トウ側頭部とヒール側トウ部も含まれる），
ソール部，ネック部が一体化した金属体であるためフェ
ース面が強化されるものの木質材を嵌着しているため、
従来のパーシモンヘッドと同形状あるいはそれ以下のヘ
ッド形状のものしか製作することができない。

（ロ）特開昭63-264085号 中空ヘッドにおいて、ソール面とヘッド上面間のヘッド
内部に壁部を設け、該壁部により複数の中空室を形成し
た構造のヘッドが開示されている。これはヘッド内部が
中空状であるため軽くて大きなヘッドとすることができ
るが、ヘッドの周部全域が金属、FRMあるいはFRPである
ため最適なヘッド重量という観点からみてヘッドの大き
さを大きくするには限界がある。

（ハ）特開昭52-110136号 フェースプレート，トウ部分，ヒール部分，底部プレー
トをアルミニウムなどにより一体成形された本体成形部
材、及び前記四つの内側面の間に形成される凹部上面に
取付けられるキップ部材からなる中空状のヘッドが開示
されている。これはフェース，トウ，ネック，プレート
が一体であり、ヘッド周辺部に重量が配分されるためヘ
ッドの大きさを大きくするには自ずと限度がある。

（ニ）実開昭51-142457号 アルミニウム等の軽金属、軽金属合金からなるヘッドコ
アの外周面に硬質の合成樹脂からなる外周材を一体的に
被覆した構造のヘッドが開示されている。これは軽金属
製であるものの、フェース部，トウ部，ヒール部及び背
面部（ヘッド後端部）に重量が配分されるため、最適な
ヘッド重量という観点からみてヘッドの大きさを大きく
するには限度がある。

（ホ）実開昭52-92857号 規格外形よりやや小さい軽合金等からなる中空状の内殻
ヘッドに対し、フェース部，バック部，核心部を取付け
た後、外面の全域にFRPの外装材を一体に固着成形した
構造のヘッドが開示されている。前記内殻ヘッドは上部
が開口しているものの、トウ部，ヒール部にも金属の重
量が分布するためより大きなヘッドを製造することがで
きない。

（ヘ）実開昭54-96360号 軽合金から形成され上面をほぼ全面的に開口させた中空
本体、前記中空本体の開口部を覆うトッププレート、及
びフェース面背後から延びる縦リブからなるヘッドが開
示されている。これも前記と同様、トウ部，ヒール部に
金属の重量が配分されるためより大きなヘッドを製造す
ることができない。

（ト）実開昭59-124561号 フェース部，ネック部をセラミック材で一体成形し、あ
るいは更にフェース部裏面からクラブヘッドの後端部に
延びる複数のリブを形成し、その他の部分を他材で構成
したヘッドが開示されている。ここに設けられた複数の
リブは、クラブヘッドの後端部においてリブ同士が離れ
ているため充分な補強効果を得ることができない。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は、前記した従来技術の欠点を解消したゴルフク
ラブのヘッドを提供することを目的とするものであり、
本考案により大きな形状でかつ強靱なゴルフクラブヘッ
ドが提供される。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本考案を概説すれば、本考案は、ゴルフクラブヘッドに
おいて、フェース部とネック部との一体成形体、前記フ
ェース部の裏面からクラブヘッドの後端部にかけて設け
られる複数のリブ、前記複数のリブをクラブヘッドの後
端部で固着するための固着部材、からクラブヘッドの骨
組となる重量体を構成し、更に前記重量体の空間部に発
泡体を充填してクラブヘッド形状としたことを特徴とす
るゴルフクラブヘッドに関するものである。

以下、本考案の技術的構成及び実施の態様を図面に基づ
いて詳しく説明するが、本考案は図示のものに限定され
ない。

（１）第１図〜第３図に本考案の第１実施例を示す。第
１図は本考案のヘッド（１）の骨組をなす重量体の斜視
図で、第２図は前記した重量体に発泡体を充填し、ヘッ
ド形状にしたものの斜視図である。第３図は本考案のヘ
ッド（１）を有するゴルフクラブの斜視図である。

図示されるように本考案のヘッド（１）において、フェ
ース部（２）とネック部（３）は一体成形される。一体
成形に際してアルミニウム，アルミニウム合金，マグネ
シュウム合金、チタニウム、チタニウム合金など、ボー
ルの打球時の衝撃力を運動エネルギーに高い割合で置換
させることができる剛性が大きく、かつ軽量化効果の大
きい軽金属，軽合金を使用することが好ましい。この他
の材料としてはステンレス材などの金属材料，炭化ケイ
素，炭化ホウ素，グラファイトなどのウィスカーを用い
た繊維強化金属複合材料（FRM）、セラミックス材など
が使用できる。

より具体的には、Al-Si-Mg系アルミニウム合金を用い
て、ロストワックス法あるいは低圧鋳造法によりフェー
ス部（２）とネック部（３）が一体成形される。

そして、本考案のヘッド（１）においては、フェース部
（２）の裏面より、ヘッド（１）のトウ側とヒール側の
間にヘッドの後端部に延びる複数のリブ（5,51,52）が
形成され、これらリブはヘッドの後端部に設けられたリ
ブ固着部材（４）で一体に結合される。これらリブの材
質は前記した軽金属と同種のもの、あるいはステンレス
材など別のものを用いてもよい。なお、フェース部
（２）とリブ（5,51,52）は溶接などにより固着しても
よいし、フェース部（２）とネック部（３）の一体成形
時に一体的に形成してもよい。また前記したリブ固着部
材（４）は金属製のもので構成され、重量体の一部をな
すものである。

本考案において、ソール板は必要に応じて設けられるが
第１図で示される第１実施例では、フェース部（２）と
ネック部（３）の底部にソール部（７）が設けられる。
ソール部（７）もリブ（５）と同様にフェース部（２）
とネック部（３）の一体成形時に同時に成形してもよい
し、事後的に取付けてもよい。この場合、ソール部
（７）は重量体の一部をなすものである。

次に、本考案においては、前記した骨格からなる重量体
の空間部に第２図に示されるように軽量の発泡体（６）
を充填することを第二の特徴としている。前記発泡体
（６）として、硬質ウレタンフォーム、軟質ウレタンフ
ォーム、フォームラバーなど各種の軽量な発泡体が充填
される。そして、本考案においては、前記発泡体を充填
後、ヘッド形状に成形しヘッド表面全体を仕上げ塗装し
てゴルフクラブ用ヘッドとされる。

（２）第４図に本考案の第２実施例を示す。第２実施例
の場合、リブはフェース部（２）のフェースの曲面に対
して垂直な位置になるように設けられる。この場合、ゴ
ルフプレーヤーがクラブヘッドのトウ側あるいはヒール
側でボールを打撃したとき、ヘッド（１）に加わる衝撃
力がリブの鉛直方向に加わるため、フェース部（２）の
フェース面の補強性に優れ、かつボールの反発力も大き
くなるため飛距離性に優れた大きなヘッドとすることが
できる。

（３）第５図に本考案の第３実施例を示す。第３実施例
において、リブ（５）には小突起（54）が形成される。
この小突起（54）の形成によりヘッド（１）の骨組とな
る重量体と発泡体（６）は強固に固定される。

（４）第６図に本考案の第４実施例を示す。第４実施例
において、リブは三本形成されるが、ヘッド（１）のト
ウ側とヒール側のリブは中央のリブの方に湾曲するよう
に設けられる。第４実施例の場合、インパクト時にリブ
が撓むことによりフェース面のバネ性が向上し、反発性
に優れたヘッドとすることができる。

（５）第７図に本考案の第５実施例を示す。第５実施例
において、三本のリブがフェース部（２）の裏面中央部
からリブ固着部材（４）に向かって放射状に設けられ
る。この場合、インパクト時にフェース中央部に作用す
る大きな衝撃力は三本のリブに分散されるため、フェー
ス面の強度を高め、かつ反発性に優れたヘッドとするこ
とができる。

（６）第８図に本考案の第６実施例を示す。第６実施例
においてリブは、フェース部（２）の裏面の上部と下部
間に所望の間隔をおいて三本のリブの一端が固着され、
かつ他端がリブ固着部材（４）で固着されるようにして
設けられる。この場合、リブの位置を上下方向に任意に
設定することにより重心位置を任意に変化させたクラブ
とすることができる。

（７）第９図に本考案の第７実施例を示す。第７実施例
においてヘッドのヒール側リブがネック部（３）と縦リ
ブ（55）により接合される。これによりヒール側リブが
固定されるため、インパクト時のネック部（３）近傍の
撓みを防止することができるため、丈夫なヘッドを得る
ことができる。

（８）第10図に本考案の第８実施例を示す。第８実施例
において金属製のリブ固着部材（４）は、半ひょうたん
形状になっており、質量がヘッド（１）後端部のトウ側
とヒール側により多く分布するようになっている。本実
施例の場合、ヘッド（１）のフェース面においてトウ側
あるいはヒール側でボールを打撃したとき、打撃衝撃力
をそれぞれリブ固着部材（４）のトウ寄りあるいはヒー
ル寄りで受けとめることができるため、強度や反発性に
優れる。

（９）第11図に本考案の第９実施例を示す。第９実施例
において、ヘッド（１）の骨組となる重量体の構造は第
１図に示されるものと同様のものであるが、ヘッド
（１）本体に発泡体（６）を充填したあと、ヘッド上面
にプラスチック等の材料からなる軽量で硬いフタ体
（８）を取着している。本実施例の場合、フタ体（８）
の重量により多少ヘッドの形状は小さめになるが、ヘッ
ド上面が丈夫なヘッドとすることができる。

（10）第12図に本考案の第10実施例を示す。第10実施例
においてリブは、フェース部（２）の裏面のトウ側とヒ
ール側に二本形成され、これらは他の実施例のものより
肉厚の厚いものである。本実施例の場合、トウ側とヒー
ル側で打撃したときの打撃衝撃力をそれぞれのリブで効
果的に受けとめることができる。また、トウ側とヒール
側の重量分布が大きいため、慣性モーメントが大きくな
り方向性に優れたものとなる。

（11）第13図に本考案の第11実施例を示す。第11実施例
は第１図のものと比較してソール部（７）を除去したも
のであり、その分だけより大きな使いやすいヘッドとす
ることができる。

〔考案の効果〕

本考案のゴルフクラブヘッドは、従来のようにヘッド本
体の外周側面全体を軽合金などの重量のある部材で製作
するのでなくヘッドのトウ側と後端部に至る領域及びヘ
ッドのヒール側と後端部に至る領域を開口させるととも
に、フェース部とヘッド後端部間に複数のリブを配設し
てクラブヘッドの骨組をなす重量体を構成し、更に該骨
組をなす重量体の空間部に軽量の発泡体を充填してクラ
ブヘッドとしているため、次のような優れた効果を奏す
る。

（ｉ）クラブヘッドの骨組をなす重量体自体にも軽量化
が工夫され、かつ該重量体の空間部に比重の軽い発泡体
が充填されるため、従来よりヘッド形状の大きい、即ち
フェース面の広いヘッドが得られる。

（ii）フェース部の裏面からヘッド後端部に延びる複数
のリブにより、インパクト時の衝撃力を支えるため衝撃
力に対して強いヘッドが得られる。

（iii）ヘッド（１）の骨組となる重量体において、ヘ
ッドのトウ側から後端部に至る間、ヒール側から後端部
に至る間、及び上部が開口しているため、重量体の重量
分布が下方に偏し重心位置の低いヘッドが得られる。

（iv）クラブヘッドの後端部に設けられるリブ固着部材
を金属製とすると、ヘッドの重心回りの慣性モーメント
が大きくなるため打球の方向性が良いヘッドが得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の第１実施例を説明する図であ
り、第１図は本考案のヘッドの骨組をなす重量体の斜視
図、第２図は第１図に示される重量体に発泡体を充填し
てヘッド形状としたヘッドの斜視図、第３図は第２図に
示されるヘッドを有するゴルフクラブの斜視図である。 第４図は第２実施例のヘッドの斜視図、第５図は第３実
施例のヘッドの斜視図、第６図は第４実施例のヘッドの
斜視図、第７図は第５実施例のヘッドの斜視図、第８図
は第６実施例のヘッドのフェース部からヘッド後端部へ
の方向のヘッド断面図、第９図は第７実施例のヘッドの
斜視図、第10図は第８実施例のヘッドの斜視図、第11図
は第９実施例のヘッドの斜視図、第12図は第10実施例の
ヘッドの斜視図、第13図は第11実施例の斜視図である。 １……ヘッド ２……フェース部 ３……ネック部 ４……リブ固着部材 5,51,52……リブ ６……発泡体 ７……ソール部 ８……フタ体

Claims (12)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ゴルフクラブヘッドにおいて、フェース部
   とネック部との一体成形体、前記フェース部の裏面から
   クラブヘッドの後端部にかけて設けられる複数のリブ、
   前記複数のリブをクラブヘッドの後端部で固着するため
   の固着部材、からクラブヘッドの骨組となる重量体を構
   成し、更に前記重量体の空間部に発泡体を充填してクラ
   ブヘッド形状としたことを特徴とするゴルフクラブヘッ
   ド。
2. 【請求項２】ソール部がフェース部とネック部との一体
   成形体の底部に設けられたものである請求項第１項に記
   載のゴルフクラブヘッド。
3. 【請求項３】リブをフェース部曲面に対して垂直に配置
   したものである請求項第１項に記載のゴルフクラブヘッ
   ド。
4. 【請求項４】リブが表面に小突起を形成したものである
   請求項第１項に記載のゴルフクラブヘッド。
5. 【請求項５】トウ側リブとヒール側リブが中央のリブの
   方に湾曲したものである請求項第１項に記載のゴルフク
   ラブヘッド。
6. 【請求項６】リブをフェース部裏面中央からクラブヘッ
   ドの後端部に放射状に形成したものである請求項第１項
   に記載のゴルフクラブヘッド。
7. 【請求項７】フェース部裏面の上部と下部間に所望の間
   隔をおいて複数のリブが設けられ、かつそれぞれの端部
   がクラブヘッドの後端部で固着されたものである請求項
   第１項に記載のゴルフクラブヘッド。
8. 【請求項８】ヒール側リブが縦リブによりネック部に接
   合されたものである請求項第１項に記載のゴルフクラブ
   ヘッド。
9. 【請求項９】クラブヘッドの後端部の固着部材が金属塊
   で構成されたものである請求項第１項に記載のゴルフク
   ラブヘッド。
10. 【請求項１０】金属塊がトウ側とヒール側に重量を分布
    させたものである請求項第９項に記載のゴルフクラブヘ
    ッド。
11. 【請求項１１】クラブヘッドの上部に蓋体を設けたもの
    である請求項第１項に記載のゴルフクラブヘッド。
12. 【請求項１２】蓋体が合成樹脂製のものである請求項第
    11項に記載のゴルフクラブヘッド。