JPH074037B2 - マイクロホンヘッドの風防網組立治具および方法ならびに溶着装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、マイクロホンヘッドを構成する風防網の上下
部網体の組立治具および方法ならびに溶着装置に関す
る。

［従来の技術］ 一般に、マイクロホンヘッドにおける風防網について
は、通常の場合、断面半球状をした上部および下部の各
網体を用い、下部網体の中心部にあって、内部へのマイ
クロホン本体の導入のための口金を装着させると共に、
中間接合リングを介しこれらの上部および下部の各網体
をそれぞれの開口縁で接合させて組み立てゝいる。

しかして、従来例によるこの種の風防網の組立て方法と
しては、中間接合リングを縦断面Ｈ形に形成させてお
き、それぞれの上部および下部の装着溝内に、これらの
上部および下部各網体の開口縁を嵌入させた後、これを
抜け出ないように接着剤などで加圧して接着させ、また
は、加圧カシメ付けして接合させ、ないしは、外側から
スポット半田付けされるようにしており、また、中間接
合リングを縦断面横向きＴ形に形成させておき、それぞ
れの上部および下部の内側装着段部に、これらの上部お
よび下部各網体の開口縁を嵌入させて、同様に加圧接
着、加圧カシメ付け、外側からスポット半田付けなどを
なすようにしている。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、前記した従来例による風防網の組立て方
法では、上部および下部各網体の中間接合リングを介し
た結合が比較的煩雑で手間がかゝり、かつ嵌合度合も緩
くて外部からの衝撃に弱いばかりか、組立てられた風防
網の内部接合面に中間接合リングが突出しているため
に、内部に導入されるマイクロホン本体との間のスポン
ジが変形して所期通りの効果が得られないと云う不都合
があり、また、接着剤の種類によっては、外部からの刺
激に影響され易く、加圧カシメ付けの場合には、外面に
傷がつく惧れがあり、外側からのスポット半田付けの場
合も強度的に難があり、これはまた、上部および下部の
各網体を、外側から内側へ順次にメッシュを細かくして
多層にした構造の場合にも全く同様で、各網体の開口縁
の内側からの接着、溶着が不可能であるために、層間が
剥離したりすることがあって、マイクロホン特性が劣化
し、再生音に歪み、割れを生ずるなどの欠点を有するも
のであった。

本発明者は、従来のこのような問題点を解消するため特
殊かつ新規な構造を有するマイクロホンヘッドを創作し
た。

即ち第７図はマイクロホンヘッド全体の概要構成を示す
断面図、第８図（ａ）（ｂ）は同上上部および下部各網
体と中間接合リングとの溶着前、溶着後の接合部をそれ
ぞれに拡大して示す断面図であり、また、第９図（ａ）
（ｂ）は同上他の実施例による上部および下部各網体と
中間接合リングとの溶着前、溶着後の接合部をそれぞれ
に拡大して示す断面図である。

これらの第７図、第８図において、マイクロホンヘッド
における風防網Ａは、断面半球状をした上部網体１およ
び下部網体２を有し、これらの上部、下部の各網体1,2
は、例えば、それぞれに10メッシュ、孔径1mmφの外網1
a,2aと、30メッシュ、孔径0.28mmφの中網1b,2bと、40
メッシュ、孔径0.06mmφの内網1c,2cとの３層からなっ
ており、下部網体２の中心部には、内部へのマイクロホ
ン本体Ｂの導入を、例えば、螺合などによってなすため
の、開口内周面に螺条3aを有する環状をした口金部材３
を装着させてある。

しかして、前記上部、下部の各網体1,2は、第８図
（ａ）（ｂ）に示されているように、縦断面平板形の中
間接合リング６の内周面に対して、相互間の中間部に少
なくともリング状をなす溶着用の糸半田７ないしは、溶
着用の銀蝋（以下糸半田等）を介した状態で、それぞれ
の各開口縁4,5を少許圧縮径にして密着嵌入させた後
（第８図（ａ））、外周囲から高周波誘電手段によって
加熱作用８を与えると共に、前記介入された糸半田等７
が完全に溶融された時点で、同接合部間に適宜、加圧力
９を加えて溶着（溶着部10）させ、かつ自然放冷させて
所期通りに固定するのである（第８図（ｂ））。

ここで、前記した中間接合リング６の内周面への上部、
下部各網体1,2の開口縁4,5の縮径嵌入については手作業
で平均して圧縮することは困難であり押圧指先部分に集
中して圧縮歪が生じ歪変形を生じてしまうのと中間接合
リング６の内周面定位置に内嵌することは至難である一
方、開口縁4,5に挟在された糸半田等７を中間接合リン
グ６の外側から加熱溶融するにも上部網体１上側から弾
圧しながら糸半田等７全体を同時均等に行うのが加熱斑
を生ぜず表面張力や毛細管現象を均一化して最良であ
り、手作業では到底不可能である。また接着強度が一
層、要求される場合には、第９図（ａ）（ｂ）に示させ
ているように、前記中間接合リング６の内周面中間部分
に内周面溝6cを形成させておくことで、この内周面溝6c
内に溶融された糸半田等７が流れ込んで固化するため
に、接着力を充分に強化し得るのである。

こゝにおいて本発明は当該風防網の上下部網体の組立溶
着作業に使用するマイクロホンヘッドの風防網組立治具
および方法ならびに溶着装置を提供せんとするものであ
る。

［課題を解決するための手段］ 前記課題の解決は、本発明のマイクロホンヘッドの風防
網組立治具が、上下部の各網体の開口縁外径より少許小
径の内径を有する縦断面平板形の中間接合リングの外径
と同内径に内周面をかつ当該中間接合リングが幾分嵌合
する深さに下向段面をそれぞれ形成した拡径段部を前記
中間接合リングの内径よりも少許小径のリング孔内周面
下部に設けた、以上の構成手段を、および本発明のマイ
クロホンの風防網組立方法が、まず口金部材を取付けて
伏せた下部網体に上側から組立治具のリング孔を被挿下
降し、当該下部網体の開口縁を前記リング孔の下部に設
けた拡径段部の下向段面に没入するまで当該リング孔に
より弾圧縮径して内嵌し、次いで前記拡径段部に幾分嵌
合した中間接合リングに前記下部網体を上から押込んで
前記下部網体の開口縁を前記中間接合リングの内周面に
移降し弾発復元力に抗して縮径内嵌後に前記組立治具を
外し、当該組立治具の前記リング孔を伏せた上部網体の
上側から被挿下降し、当該上部網体の開口縁を前記下向
断面に没入するまで前記リング孔により弾圧縮径して内
嵌し、引続き前記下部網体を逆転して糸半田等を一巡上
載せした前記上向開口縁を内嵌する前記中間接合リング
を幾分前記組立治具の拡径段部に嵌合し、さらに前記上
部網体を上から押込んで前記上部網体の前記下向開口縁
を前記中間接合リング内周面の前記糸半田等上に移降し
弾発復元力に抗して縮径内嵌後に前記組立治具を外し、
前記上部網体と前記下部網体とを前記中間接合リングで
組立てる、以上の構成手段を、ならびに、本発明のマイ
クロホンヘッドの風防網溶着装置が、上部網体と口金を
取付けた下部網体の糸半田等を挟在する対抗開口縁を縮
径内嵌した中間接合リングで組立てられたマイクロホン
ヘッドを収容設置した時、開口上縁部が前記中間接合リ
ングの下側を受支する収容凹部を形成した固定器体と、
前記上部網体上側を加圧する加圧部と、前記中間接合リ
ングを囲繞する加熱コイルリングとからなる、以上の構
成手段を、それぞれ採用することにより達成される。

［作 用］ 本発明は前記手段をそれぞれ講ずるので、本発明の組立
治具と方法を使用すれば上下部網体は中間接合リングに
糸半田等を介在して中間定位置に簡易迅速確実に縮径内
嵌して上下部網体を中間接合リングにて球形状に組立て
得るのであるが、その組立構造も従来のような縦断面Ｈ
形や縦断面横向きＴ形の中間接合リングに単に上下部網
体の開口縁を何等弾性応力を加えることなく単に緩く嵌
入するだけのものであるので、相互の接合力は維持出来
ず他の接合手段例えば接着剤、加圧カシメ、スポット半
田付けによらなければ小さな外力を加えるだけでただち
に分解してしまう。その結果従来の場合縦断面平板形の
中間接合リングは使用不能であった。しかしながら本発
明による場合には上下部網体の開口縁の中間接合リング
への内嵌は開口縁の拡径弾性復元力により確固とした機
械的接合力が作用し、ある程度以上の強制的外力を加え
ない限り分解しない接合力を自有しているので開口縁外
周面と中間接合リング内周面の密着性は高い。

その上で溶着装置の固定器体の収容凹部に下部網体を収
容設置して収容凹部の開口上縁部で中間接合リングの下
面を受支して固定後、中間接合リングを囲繞する加熱コ
イルリングを動作して高周波誘電加熱による加熱作用８
を加えて、加圧部により上部網体上側を弾圧しながら向
合い開口縁により挟圧された糸半田等を同時均一に加熱
溶融して、表面張力や毛細管現象を助長して万偏なく均
等に溶融半田等を行き渡らせ密着性を高めその後自然放
冷して固化接合する。

［実施例］ 本発明治具の実施例を第１図について説明する。

本発明のマイクロホンヘッドの風防網組立治具Ｃは、中
央部にリング孔11を貫設したリング形体をなし、リング
孔11の下部には拡径段部12を設けてなる。

こゝでリング孔11の内周面11a径:D1, 拡径段部12の内周面12a径:D2 中間接合リング６の外周面6a径:D3, 中間接合リング６の内周面6b径:D4 とした時次の関係が成り立つように設計される。

D1〈D4〈D2＝D3 また拡径段部12の下向段面12bは中間接合リング６の高
さｈの半分の深さ1/2hに設計するのが好ましいがそれに
限定されない。

しかして、本発明の組立治具Ｃを用いて本発明の風防網
Ａ組立方法の作業手順を第２図乃至第５図について説明
する。

まず口金部材３を予め取付けて伏せた下部網体２に上側
から組立治具Ｃのリング孔11を下部網体２の外周面に滑
らせて被挿下降し、当該下部網体２の開口縁５を前記リ
ング孔11の下部に設けた拡径段部12の下向段面12bに没
入するまで当該リング孔11により弾圧縮径して内周面11
aに内嵌する第１段作業と、次いで第２図に示すよう拡
径段部12に半分嵌合した中間接合リング６に矢印に示す
よう下部網体２を上から押込んで下部網体２の開口縁５
を中間接合リング６の内周面6b上部に移降し拡径弾性復
元力に抗して縮径内嵌後に組立治具Ｃを外す第２段作業
〈第３図参照〉と、外した組立治具Ｃのリング孔11を別
に伏せた上部網体１の上側から外周面に滑らせて被挿下
降し，上部網体１の開口縁４を下向段面12bに没入する
までリング孔11により弾圧縮径して内周面11aに内嵌す
る第３段作業〈第４図参照〉と、引続き下部網体２を逆
転して糸半田等７を一巡上載せした上向開口縁５を内嵌
する中間接合リング６の半分を組立治具Ｃの拡径段部12
に嵌合する第４段作業〈第５図参照〉と、さらに上部網
体１を上側から押込んで下向開口縁４を中間接合リング
６内周面6aの糸半田等７上に移降し拡径弾性復元力に抗
して縮径内嵌後に組立治具Ｃを外す第５段作業と、を一
貫経由して上部網体１と下部網体２とを中間接合リング
６で組立てゝなる。

他方、本発明装置の実施例を第６図について説明する。

本発明のマイクロホンヘッドの風防網溶着装置Ｄは、前
記組立治具Ｃと前記方法で組立てられた風防網Ａを収容
設置した時、開口上縁部13aが中間接合リング６の下側
を受支する収容凹部13bを陥設した固定器体13と、溶着
時、上部網体１上端に被載密接して撥条14弾性の加圧力
９により加圧する加圧部15と、中間接合リング６を同心
状に囲繞し高周波誘電加熱を行う加熱コイルリング16と
からなる。

そこで本発明方法により組立られた風防網Ａを当該本発
明の溶着装置Ｄを用いて糸半田等７を溶融し上部網体１
と下部網体２とを中間接合リング６に溶着するには、固
定器体13の収容凹部13bに下部網体２を収容設置して収
容凹部13bの開口上縁部13aで中間接合リング６の下面を
受支して固定後、中間接合リング６を囲繞する加熱コイ
ルリング16を動作して高周波誘電加熱を加え、加圧部15
により上部網体１上端を撥条14弾圧しながら向合い開口
縁4,5により挟圧された糸半田等７を同時均等に加熱溶
融して、表面張力や毛細管現象を促進して万遍なく均一
に溶融半田等７を行き渡らせ密着性を高めその後溶着部
10を自然放冷して固化接合する。

［発明の効果］ かくして本発明を用いて風防網を製作すれば、外観良好
にして耐久性に富んだ頑丈で均質かつ安価なものが得ら
れ、従来不可能な組立を容易とし製作作業の単純簡易
化、迅速化、確実化、均質化を大幅に達成し得る等優れ
た効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明治具の実施例を示す中央縦断面図、第２
図乃至第５図は本発明方法の作業手順段階説明図、第６
図は本発明装置の実施例における使用状態の中央縦断面
図、第７図は本発明により製作された風防網の中央縦断
面図、第８図（ａ）（ｂ）は同上上部および下部各網体
の中間接合リングとの溶着前、溶着後の接合部をそれぞ
れ拡大して示す断面図、第９図（ａ）（ｂ）は同上他の
例による上部および下部各網体と中間接合リングとの溶
着前、溶着後の接合部をそれぞれ拡大して示す断面図で
ある。 Ａ……風防網、Ｂ……マイクロホン本体 Ｃ……組立治具、Ｄ……溶着装置 D1……リング孔の内周面径 D2……拡径段部の内周面径 D3……中間接合リングの外周面径 D4……中間接合リングの内周面径 ｈ……中間接合リングの高さ １……上部網体、２……下部網体 ３……口金部材、4,5……開口縁 ６……中間接合リング 6a……外周面、6b,11a,12a……内周面 ７……糸半田等、８……加熱作用 ９……加圧力、10……溶着部 11……リング孔、12……拡径段部 12b……下向段面、13……固定器体 13a……開口上縁部、13b……収容凹部 14……撥条、15……加圧部 16……加熱コイルリング

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上下部の各網体の開口縁外径よりも少許小
   径の内径を有する縦断面平板形の中間接合リングの外径
   と同内径に内周面をかつ当該中間接合リングが幾分嵌合
   する深さに下向断面をそれぞれ形成した拡径段部を前記
   中間接合リングの内径よりも少許小径のリング孔内周面
   下部に設けてなるマイクロホンヘッドの風防網組立治具
2. 【請求項２】まず口金部材を取付けて伏せた下部網体に
   上側から組立治具のリング孔を被挿下降し、当該下部網
   体の開口縁を前記リング孔内周面の下部に設けた拡径段
   部の下向段面に没入するまで当該リング孔により弾圧縮
   径して内嵌し、次いで前記拡径段部に幾分嵌合した中間
   接合リングに前記下部網体を上から押込んで前記下部網
   体の開口縁を前記中間接合リングの内周面上部に移降し
   弾発復元力に抗して縮径内嵌後に前記組立治具を外し、
   当該組立治具の前記リング孔を伏せた上部網体の上側か
   ら被挿下降し、当該上部網体の開口縁を前記下向断面に
   没入するまで前記リング孔により弾圧縮径して内嵌し、
   引続き前記下部網体を逆転して糸半田又は銀蝋を一巡上
   載せした前記上向開口縁を内嵌する前記中間接合リング
   を幾分前記組立治具の拡径段部に嵌合し、さらに前記上
   部網体を上から押込んで前記上部網体の前記下向開口縁
   を前記中間接合リング内周面の前記糸半田又は銀蝋上に
   移降し弾発復元力に抗して縮径内嵌後に前記組立治具を
   外し、前記上部網体と前記下部網体とを前記中間接合リ
   ングで組立てゝなるマイクロホンヘッドの風防網組立方
   法
3. 【請求項３】上部網体と口金を取付けた下部網体の糸半
   田又は銀蝋を挟在する対向開口縁を縮径内嵌した中間接
   合リングで組立られた風防網を収容設置した時、開口上
   縁部が前記中間接合リングの下側を受支する収容凹部を
   形成した固定器体と、前記上部網体上側を加圧する加圧
   部と、前記中間接合リングを囲繞する加熱コイルリング
   とからなるマイクロホンヘッドの風防網溶着装置