JPH0739428Y2 - 業務用アイスクリーム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は喫茶店、飲食店、アイスクリームの専門店等の
業務用に使用されるアイスクリームの構造の改良に関
し、さらに詳しくはアイスクリームの使用に際しての軟
化促進をはかることにより容器体からの取り出し性を良
好にすることを目的とする。

（従来の技術） 業務用のアイスクリームは通常少なくとも1800cc以上の
容量をもつ円筒状等の缶あるいは紙などの容器内に冷凍
固結化された状態にて収容されている。

したがってこれを使用する場合には、冷凍庫よりとり出
した後、その蓋体を除去してアイスクリームの上面を露
出させ、デッシャーにより順次掬い取るのが普通であ
る。

ところが冷凍固決化された状態のアイスクリームは堅
く、ある程度の時間放置しても軟化するのは上面のきわ
めて表層部および容器体の側壁に接する外周層部のみで
あり、内層部は依然として軟化しない。そのために取り
出しに際してデッシャーが内層部になかなか食い込ま
ず、とくに女子従業員にとっては重労働となり、その繰
り返し作業には耐え難い苦痛を伴うばかりでなく、デッ
シャー自体の折り曲がりによる損傷も少なくないところ
から、最近では容器体内の固化されたアイスクリームの
層内のＶ字状の空洞部を形成するとともに、該空洞部の
上端をアイスクリームの上面に開口させるようにしたも
のが本発明者により開発され、既に実開昭61−146186号
として公開されている。

（考案の解決すべき課題） このような構造とすることにより使用に際しての労苦は
著しく改善されることになった。

しかし製造工程中においてＶ字状の空洞部を形成するた
めに挿入されたコーンがアイスクリームと凍結している
ために、これを除去することも容易ではない。

一般的にはコーンを取り除くために、容器の蓋体をとり
はずしたまま一定時間放置してコーン周辺の解凍を待つ
か、あるいはコーンが紙である場合には包丁先やドライ
バー等により部分的に削り取る作業がおこなわれ、また
プラスチック等の合成樹脂材である場合にはペンチなど
により部分的に順次壊したりすることがおこなわれる。

しかしいずれの場合にも非衛生的でしかも非能率的であ
り、ときにはコーンの破片がアイスクリーム中に混入し
たりして好ましくはない。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記した業務用アイスクリームにおける種々の
欠陥を改善したものであり、蓋をしたままの状態におい
て衛生的に、しかも短時間にコーンを取り除くと同時に
アイスクリームの軟化を促進でき作業性を良好にしたも
のであって、具体的には容器体内に凍結されたアイスク
リームの層内に、上端を表面上に開口させるとともに内
部に液体を注入可能とした空洞部を有するコーンを差し
込み、さらに該コーンの開口部を容器体の蓋体裏面に接
着させ、さらに蓋体には上記開口部を接着させたコーン
の開口部位に対応する位置に注液口を設けてなることを
特徴とする業務用アイスクリームに関する。

（作用） 容器体に施蓋したままの状態にて注液口よりコーンの空
洞部内に水または湯等の液体を注入して一定時間放置
し、コーン周辺部のアイスクリーム層を解凍軟化させた
後、蓋体を取ることによりコーンを除去する。

これによりコーン周辺のアイスクリーム層が解凍され、
軟化してデッシャー等による掬い取り作業が容易にな
る。

（実施例） 以下において本考案の具体的な内容を図示の実施例をも
とに説明すると、１は上部を開口させた円筒状の容器
体、２は該容器体１の上部開口に被嵌するための蓋体を
示す。

容器体１および蓋体２は金属、プラスチック、その他の
合成樹脂材、厚紙等により構成され、容器体１の上面開
口部には同質又は異質材の蓋体２が被嵌される。

さらに蓋体２の中心部には注液口が形成される。この注
液口は押圧により容易に除去可能であるように周囲をミ
シン線2aにより縁どりされた注液用の押し抜き部2bとす
るのが好ましく、また裏面の中心部にはコーン３が一体
的に接着されている。

このコーン３は、保型性のある紙質あるいは合成樹脂等
の材質からなるところの内部を中空とした逆円錐状をな
し、断面がＶ字状をなすべく先端部（下端部）を比較的
鋭突とするとともに上端部にはフランジ部3aを有し、こ
れを蓋体２の裏面中央部に、その開口部を前記蓋体２の
注液用押し抜き部2bに中心を一致させて接着されてい
る。

この場合においてコーンの上端開口部の径は、保型すべ
き固形アイスクリーム1Cの上面にデッシャー（図示省
略）の開口部と略同径の開口を施すことができる程度と
するのが好ましい。

尚上記したコーンの形状については必ずしも上記したよ
うな逆円錐形状のものに限られるものではなく、逆三
角、逆四角あるいはそれ以上の逆多角錐形状となし、ま
たは円柱、角柱等種々の形状に任意に設計変更が可能で
ある。

尚前記蓋体２の注液口の形成に関しては、必ずしも上記
した構成のものに限られるものではなく蓋体上面に貼着
した接着テープの剥離に伴って前記した押し抜き部2bが
除去される構造とし、あるいは蓋体中央にあらかじめ注
液用の窓孔を開設しておき、その上面に容易に剥離で
き、あるいは押し破ることの可能な薄紙を貼着しておく
などの手段であってもよい。

したがって容器体内に原料を混合したアイスクリームミ
ックスを充填し、かつ撹拌しながら空気を送り込んで細
かい気泡を多く含ませて容積を増量（オーバーラン）さ
せ、あるいはオーバーランさせたアイスクリームミック
スを容器体内に充填した後、凍結前に容器体開口部に中
央部にコーンを一体的に突出させた蓋体を被嵌して上記
コーンをアイスクリームミックス層内の中心に直立さ
せ、正確に位置決めさせた状態のまま保持させ、フリー
ザー室にて凍結させて製品化する。またこの場合凍結し
たアイスクリーム層内にドリルなどの切削手段によりコ
ーン挿入用の孔を形成した後、コーンを挿入するように
してもよい。

さらに使用に際しては、蓋体２を施蓋したままの状態に
おいて、押し抜き部2bを除去した注液口を開口させ、該
注液口からコーン３の空洞部内に水または湯等の液体４
を注入して一定時間放置してその周辺部を解凍軟化させ
た後、上記蓋体２を取り去ることによりコーン３を液体
４とともに除去して使用に供する。

（考案の効果） 本考案は上記した通り、容器体内に凍結されたアイスク
リームの層内に、上端を表面上に開口させるとともに内
部に液体を注入可能とした空洞部を有するコーンを差し
込み、さらに該コーンの開口部を容器体の蓋体裏面部に
接着させ、さらに蓋体には上記開口部を接着させたコー
ンの開口部位に対応する位置に注液口を形成してなるも
のであるために、使用に際して上記したコーンの空洞部
内に水または湯等の液体を注入して一定時間放置するこ
とにより、蓋体と共にコーンの除去が容易になるばかり
でなく、アイスクリームの裏面積が増大してコーン周辺
部のアイスクリームを容易に解凍軟化させることがで
き、デッシャー等による掬い取り作業がきわめて容易と
なり、またデッシャー自体の損傷も激減する。そして、
とくにこの場合には、容器体に蓋体を施蓋したままの状
態にて注液口からコーンの空洞部内に水または湯等を注
入することができるので作業性が良好であるばかりでな
くきわめて衛生的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例である業務用アイスクリーム
の斜視図、 第２図および第３図は第１図におけるＡ−Ａ線矢視方向
縦断面図を示す。 １……容器体、２……蓋体 2a……ミシン線 2b……注液口用の押し抜き部 ３……コーン、3a……フランジ ４……液体、1C……アイスクリーム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】容器体内に凍結されたアイスクリームの層
   内に、上端を表面上に開口させるとともに、内部に液体
   を注入可能とした空洞部を有するコーンをさし込み、さ
   らに該コーンの開口部を容器体の蓋体裏面部に接着さ
   せ、さらに蓋体には上記開口部を接着させたコーンの部
   位に対応する位置に注液口を設けてなることを特徴とす
   る業務用アイスクリーム。