JPH073904Y2 - 煮熟小魚の水切り冷却装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、珍味や佃煮の原料であ
るシラス、小女子等を煮熟した後、水を切り冷却する小
魚水切り冷却装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、煮熟後のシラス等の小魚の水切
り、冷却は、図４に例示する如く煮釜から煮熟小魚を掬
い上げた掬いざる１０を、多段多列状に構成されたざる
架け枠体９に間隔をあけて懸架し、水切りと空冷による
冷却乾燥を行なっていた。

【０００３】近年、図５及び図６に示す如く底部に蒸気
加熱器を備え、中心部の注入口１２に水と共に注入され
たシラス等の小魚４を送出口１３まで流動する間に煮熟
する渦巻状に形成された流動煮釜１１が使用され、流動
煮釜１１で煮熟され多量の熱湯を含有する小魚４を、熱
湯と共に送出口１３から送出しコンベア１に送り、次に
傾斜させて配置された樹脂繊維製の網目状コンベア２に
より構成された水切り冷却装置に連続的に送りこんでい
る。

【０００４】傾斜する網目状コンベア２は、小魚４が連
続的に送りこまれ、小魚４は斜めに上昇移動する過程
で、上側に設けられた送風機３により送られる風と下側
に設けた排風機５による含水空気の排除とにより、水切
り、冷却を行ない、次の搬送コンベア７に移送してい
た。しかし小魚４が網目状コンベア２に付着しやすく、
付着して搬送コンベア７に自然落下しない小魚４は網目
状コンベア２の最終端下部で剥離具８により強制的に掻
き落していた。網目状コンベア２から滴下する水は下部
で集水し排水口６から排出させていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ざる架け枠体に掬いざ
るを懸架する従来の水切り冷却装置は、煮釜から掬いざ
るによる掬上げや、ざる架け枠体への多段多列架けがす
べて人力によるので、極めて非能率であり、量産には不
適応であった。

【０００６】流動煮釜から直接的に網目状コンベアに送
り出す従来の水切り冷却装置は、多量の熱湯を含有した
煮熟直後の小魚が連続的に送りこまれ、網目状コンベア
上では分散し送風、排風により強制空冷となるので冷却
効果は向上するが、分散により拡げられ小魚の自重が軽
くなるため風だけに頼る水切りであるから、小魚自体が
含有水分を絞り出す作用がなく水切れが極めて悪く網目
状コンベア面に付着したままとなり、次の搬送コンベア
に落下しない現象が多発する欠点があった。このため最
終端位置に設けた剥離具により強制的に剥離するので、
魚体が損傷し製品の品質を著しく低下させていた。従っ
て、この問題を解決するためには網目状コンベアを延長
したり、移動時間を遅延させなければならないので、量
産上、設置面積の拡大や生産量の低下が大きな問題とな
っていた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】従来の課題を解決するた
めに、上側から送風し下側から排風される水切り、冷却
装置を構成する網目状コンベアを間欠的に作動させ、送
出しコンベアから送り出されるシラス等の小魚を、自重
により含有水分を絞り出して水切りするように、間欠的
に山盛り状に盛り上げる。また、網目状コンベアが移動
方向を軸としてその直角方向に適宜傾斜できるように構
成して、網目状コンベア９に間欠的に盛り上げを小魚か
ら排出される水の流下を助成し、水切りを促進させる。

【０００８】更に、小魚の魚体の大きさ、含水状態等に
応じて、網目状コンベアの移動速度及び傾斜角度を調節
できるように構成すると共に、間欠作動の停止時間及び
移動方向を軸とした直角方向の傾斜角度を調節できるよ
うに構成することにより、水切り、冷却効果を向上させ
る。

【０００９】

【作用】水切り冷却する網目状コンベアが間欠的に作動
することにより、送出しコンベアから連続的に送り出さ
れる多量の熱湯を含有した小魚は間欠的に山盛り状に盛
り上げられ、含水状態の自重による押圧力で水分を絞り
出す。同時に網目状コンベアが移動方向を軸とした直角
方向、すなわち左または右方向、あるいは左右交互に傾
斜することにより、網目状コンベア面に排出された小魚
からの排水を流下させることにより効率よく水切りと冷
却を行なう。

【００１０】網目状コンベアは非吸水性の樹脂繊維織布
で構成され、小魚の損傷を防止するため網目が微細に形
成されている。従って、小魚から排出された水が網目に
付着して貯溜するので、分散された状態では小魚から水
を分離するのは難かしく、上側から送風と下側からの排
風の効果も著しく低下する。こうした現象下において、
小魚の魚体及び含水状態に応じて網目状コンベアの停止
時間を調節することにより小魚を山盛り状に最適量盛り
上げ、自重を作用させて水を排出させ、同時に網目状コ
ンベアを移動方向に対し左右方向に適宜調節して傾斜さ
せることは、水切り効率を向上する上では極めて有効で
ある。

【００１１】

【実施例】図１及び図２に示す実施例について説明す
る。１は小魚煮熟装置に連設され、多量の熱湯を含有す
る煮熟した小魚４を送り出す送出しコンベアであり、こ
の送出しコンベア１に、上り方向に小魚を搬送する樹脂
繊維織の網目状コンベア２を連設する。この網目状コン
ベア２は小魚の魚体や含水状態等に応じて、傾斜角度及
び停止時間を適宜調節できるように傾斜させて設置し間
欠的に作動させる。従って、送出しコンベア１から送り
こまれる小魚４は停止時間中は同じ位置に送り出される
ので、図２にも示す如く間欠的に山盛り状に盛り上げら
れる。また、網目状コンベア２は、移動方向を軸とした
直角方向に適宜傾斜角度及び傾斜方向を調節することが
できる。すなわち、図３に点線図示する如く移動方向に
対し左、右方向、あるいは左右交互に傾斜させ、傾斜状
態で載せた小魚４を移動させることができる。従って、
多量の熱湯を含有した状態で盛り上げられた小魚４は、
自重により水を絞り出し、かつ排水しながら移動するこ
とにより、水分が除去され水切りが行なわれる。

【００１２】網目状コンベア２の上側には移動する山盛
り状の小魚４に風を送る複数の送風機３を装設し、網目
状コンベア２の下側には含湿空気を吸引して水分を排除
する排風機５を装設して、従来の冷却装置と同様に強制
空冷を行ない、最下部に小魚４から排出されて落下した
水の排水口６を設ける。

【００１３】網目状コンベア２により送られる山盛り状
の小魚４は次の搬送コンベア７に送られるが、よく水切
りが行なわれているので、最終端部において剥離具によ
り掻き落さなくても搬送コンベア７上に分散して拡がり
落ちる。従って、小魚４は魚体が損傷されずに水切りさ
れ、同時に冷却される。

【００１４】

【考案の効果】本考案は、広い土地や大容積を要する干
し場が不用となり、季節変動や天候に左右されずに、傾
斜角度及び停止時間が調節でき、間欠的に作動する網目
状コンベアで搬送しながら山盛り状の小魚の自重により
水分を排出させて効率よく短時間で水切り、冷却を行な
い、魚体の原姿を保持した良質の製品を量産することが
できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の１実施例の正面図である。

【図２】図１のＡ〜Ａ´部断面図である。

【図３】本考案における網目状コンベアの角度変化を説
明するための図１のＡ〜Ａ´部断面図である。

【図４】掬いざるを使用するざる架け枠体による従来の
水切り冷却装置の正面図である。

【図５】網目状コンベアを使用した従来の自動水切り冷
却装置の平面図である。

【図６】図５に示す従来の自動水切り冷却装置の正面図
である。

【符号の説明】

１ 送出しコンベア ２ 網目状コンベア ３ 送風機 ４ シラス等の小魚 ５ 排風機 ６ 排水口 ７ 搬送コンベア ８ 剥離具 ９ ざる架け枠体 １０ 掬いざる １１ 流動煮釜 １２ 注入口 １３ 送出口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 小魚煮熟装置から煮熟した小魚（４）を
   送り出す送出しコンベ７（１）に、上側に送風機
   （３）、下側に排風機（５）を備え、かつ移動速度及び
   傾斜角度を調節できる網目状コンベア（２）を傾斜させ
   て連設し、この網目状コンベア（２）は、間欠停止時間
   の調節により、送りこまれる小魚（４）が山盛り状に盛
   り上がるように間欠的に移動すると共に、移動方向を軸
   とした直角方向の傾斜角度を適宜調節できるように構成
   したことを特徴とする煮熟小魚の水切り冷却装置。