JPH073803B2 - Ｍｒｉ用磁界発生装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 利用産業分野 この発明は、医療用核磁気共鳴断層撮影装置（以下MRI
という）等に用いられる永久磁石を使用した磁界発生装
置の改良に係り、永久磁石に着設した磁極片、特に周縁
部に設けた環状突起の形状を特定して、空隙の磁界均一
度を低下させることなく磁極片外径の縮小を図ったMRI
用磁界発生装置に関する。

背景技術 医療用核磁気共鳴断層撮影装置（以下MRIという）は、
強力な磁界を形成する磁界発生装置の空隙内に、被検者
の一部または全部を挿入して、対象物の断層イメージを
得てその組成の性質まで描き出すことができる装置であ
る。

上記MRI用の磁界発生装置において、空隙は被検者の一
部または全部が挿入できるだけの広さが必要であり、か
つ鮮明な断層イメージを得るために、通常、空隙内の撮
像視野内には、0.05〜2.0Tでかつ１×10^-4以下の精度を
有する安定した強力な均一磁界を形成することが要求さ
れる。

MRIに用いる磁界発生装置として、第５図に示す如く、F
e−Ｂ−Ｒ系磁石を用いた一対の永久磁石構成体（１）
（１）の各々の一方端に磁極片（２）（２）を固着して
対向させ、他方端を継鉄（３）にて連結し、磁極片に
（２）（２）間の空隙（４）内に、静磁界を発生させる
構成が知られている。

磁極片（２）（２）には、空隙（４）内における磁界分
布の均一度を向上させるために、周辺部に環状突起
（５）を設けてあり、通常、電磁軟鉄、純鉄等の磁性材
料を削り出した板状のバルク（一体物）から構成される
（特開昭60−88407号公報）。

各磁極片（２）（２）の近傍に配置される傾斜磁界コイ
ル（６）は、空隙（４）内の位置情報を得るために、通
常Ｘ、Ｙ、Ｚの３方向に対応する３組のコイル群からな
るが、図示においては簡略して記載している。

この傾斜磁界コイル（６）に、パルス電流を印加するこ
とによって短時間で所望方向に傾斜した磁界を発生する
ことができる。

ところで、永久磁石構成体（１）（１）を磁気的に結合
している継鉄（３）は、例えば、被検者への圧迫感の軽
減と既設の病院への搬入を容易にする構成として、一対
の長方形板状の継鉄板を所要空隙を形成して４本の柱状
継鉄で結合した構成のものが提案されている。

このようにMRI用磁界発生装置の小型化の要請が強く、F
e−Ｂ−Ｒ系磁石を用いたことにより著しく各構成部の
小型化が可能となったが、第５図に示す如く、従来傾斜
磁界コイル（６）は、被検体が入る空隙（４）の高さを
高く確保するため、通常、磁極片（２）（２）の極近傍
に配置され、かつ所要寸法を有するため、磁極片（２）
（２）の小型化が困難な問題があった。

発明の目的 この発明は、上記現状に鑑み提案するもので、空隙内の
磁界均一度を低下させることなく、磁極片を小径化した
磁界発生装置の提供を目的としている。

発明の概要 この発明は、磁界発生装置において、空隙に対向する磁
極片周辺部の環状突起の内周面形状を一部垂直面化する
ことにより、磁界および均一度を低下させることなく、
傾斜磁界コイルを内蔵したまま磁極片を小径化できるこ
とを知見し、この発明を完成したものである。

すなわち、この発明は、 空隙を形成して対向する一対の永久磁石構成体を継鉄で
磁気的結合し、各永久磁石構成体の空隙対向面に周辺部
に環状突起を有する磁極片を固着し、該空隙に磁界を発
生させるMRI用磁界発生装置において、 環状突起の少なくとも傾斜磁界コイルに相対する位置の
内周側面が、永久磁石構成体に対して直交面を形成した
ことを特徴とするMRI用磁界発生装置である。

また、磁極片の少なくとも環状突起を構成する部分が、
所要の磁性粉の圧縮成形体からなる場合は、前記構成が
極めて有効である。

発明の構成 この発明において、磁気回路は、空隙を形成して対向す
る一対の永久磁石構成体を継鉄で磁気的結合し、各永久
磁石構成体の空隙対向面に磁極片を固着した構成であれ
ば、いかなる構成であってもよく、永久磁石の磁気特
性、形状寸法、継鉄の形状寸法及び所要空隙の大きさ等
に応じて、例えば、磁極片の構造等を適宜選定すること
が望ましい。

かかる磁気回路に用いる磁石構成体の永久磁石は、フェ
ライト磁石、アルニコ系磁石、希土類コバルト系磁石が
使用できるが、特に、ＲとしてNdやPrを中心とする資源
的に豊富な軽希土類を用い、Ｂ、Feを主成分として30MG
Oe以上の極めて高いエネルギー積を示す。Fe−Ｂ−Ｒ系
永久磁石を使用することにより、著しく小型化すること
ができる。

この発明において、磁極片の材質は、種々の磁性材のバ
ルクからなるもの、磁性粉を固めたもの、同心円状にラ
ミネートしたもの、異材質等を複合したもの等、適宜選
定でき、さらに、磁界の均一度向上を目的に、中央部に
円形凸状部や断面台形状の突起部を設けたり、実施例に
示す如く、永久磁石側に配置される板状のバルク部上に
磁性粉を圧縮成形した磁極片を載置した構成など適宜選
定できる。また、磁極片の所要位置に、磁界の均一度調
整を目的に、磁性材または磁石からなる磁界調整片を着
設しても良い。

この発明において、磁極片の空隙側周辺部に設けた環状
突起は、環状突起の少なくとも傾斜磁界コイルに相対す
る位置の内周側面が、永久磁石構成体に対して直交面を
形成できれば、いかなる構成であってもよく、永久磁石
の磁気特性、形状寸法、継鉄の形状寸法及び所要空隙の
大きさ等に応じて、断面形状等を適宜選定することが望
まし。

また、この発明において、磁性粉は、Mn−Znフェライト
粉、Ni−Znフェライト粉、センダスト粉、ダストコア用
純鉄粉など、高透磁率で飽和磁化が大きくかつ固有抵抗
の大きな軟磁性粉が好ましい。

さらに、これら磁性粉は、エポキシ樹脂などの電気絶縁
性材料と複合し、公知のホットプレス、CIP法等にて成
型して所要形状の磁極片を構成する。

図面に基づく発明の開示 第１図、第２図、第３図はこの発明の一実施例を示す磁
界発生装置の永久磁石構成体と磁極片の縦断面図であ
る。

この発明による磁界発生装置は、第５図に示す如きFe−
Ｂ−Ｒ系磁石を用いた一対の永久磁石構成体（１）
（１）の各々の一方端に、第１図〜第３図に示す如き磁
極片（10）を固着して対向させ、他方端を継鉄（３）に
て連結し、磁極片（10）（10）間の空隙（４）内に、静
磁界を発生させる構成である。

なお、上下の継鉄をつなぐための側面に継鉄部を、４本
の円柱とすることにより側面からも内部に接近できる構
成とすることができる。また、上下の継鉄の形状につい
ては、奥行きＬと幅Ｗとの比率W/Lを、1.5〜2.5程度と
奥行きを浅くした長方形板とすることにより、被検者へ
の圧迫感の軽減と既設の病院への搬入の容易化を計るこ
とができる。

構成１ 第１図に示す磁極片（10）、は、円板状磁性体からなる
バルク部（11）と、そのバルク（11）上に載置した磁性
粉を所要形状に圧縮成形して構成した円板状の粉体部
（12）とからなる。

また、円板状の粉体部（12）の周辺部には、外周部側の
高さを他より高くして、磁束を所要空隙に集中させかつ
均一度を向上させるための環状突起（13）を形成してい
るが、その断面形状は、上端面が水平面、外周面が永久
磁石構成体（１）に対して直交する垂直曲面、内周側面
（14）は傾斜磁界コイル（６）に相対する位置が永久磁
石構成体（１）に対して直交する垂直曲面を形成し、他
の内周側面は中心側へ低くなる傾斜面を構成している。

なお、電磁軟鉄などのバルク部（11）は、磁気回路組立
時、永久磁石から受ける磁気吸着力により、粉体部（1
2）の破壊を防止する強度部材の機能を有し、組立作業
の効率が向上し、また、永久磁石の特性のばらつきを緩
和して磁束密度の均等化を計ることができる。

構成２ 第２図に示す磁極片（10）は、第１図に示す磁極片（1
0）と同様構成で環状突起（13）の内周側面（15）の形
状のみが異なる。詳述すると、環状突起部（13）は断面
形状が階段状となり内周側面（15）の傾斜磁界コイル
（６）に相対する位置が永久磁石構成体（１）に対して
直交する垂直曲面を構成している。

構成３ 第３図に示す磁極片は、第１図に示す磁極片（10）と同
様構成で環状突起（13）の内周側面（16）の形状のみが
異なる。詳述すると、環状突起部（13）は断面形状が矩
形であり、内周側面（16）の全てが永久磁石構成体
（１）に対して直交する垂直曲面を構成している。

作用・効果 いずれの構成においても、環状突起（13）の内周側面
（14）（15）（16）のうち、少なくとも傾斜磁界コイル
（６）に相対する位置の内周側面（14）（15）（16）が
永久磁石構成体（１）に対して直交する垂直曲面を構成
しているため、第４図に示す如く内周側面が中心側へ低
くなる傾斜面を有する従来の環状突起（５）と比較し
て、環状突起（13）のボリュームを増やすことができ、
バルク材に比べて透磁率が低い粉体部（12）の環状突起
（13）における必要な磁界発生量を確保できる。

なお、単にボリュームを増やす目的で環状突起（13）の
高さを高くすると、磁極片（10）外周からの漏洩磁界を
大きくするため好ましくない。

従って、この発生の構成とすることにより、磁極片（1
0）内に傾斜磁界コイル（６）を装入できる空間を確保
し、かつ必要とされる磁界および磁界均一度を得るとと
もに、磁極片（10）の小径化を達成できる。

実施例 第５図と同様構成の磁界発生装置に、（BH）max35MGOe
を有するFe−Ｂ−Ｒ系永久磁石を用い、第１図の環状突
起を設けた一対の磁極片間距離500mmに設定し、空隙内
の磁界および渦電流低減効果を測定した。

その結果、空隙中心から半径175mm内の計測空間での測
定値で、磁界均一度;30ppm、磁界強度;2.0kGを得た。

また、磁極片全体を電磁軟鉄で構成し第１図に示す環状
突起を設け、磁界均一度;30ppm、磁界強度;2.0kGを得た
この発明による磁界発生装置は、第４図に示す従来の環
状突起を有し前記測定値を得た従来の磁界発生装置と比
較して、磁極片の直径を７％小さくすることができた。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図はこの発明の一実施例を示す磁
界発生装置の永久磁石構成体と磁極片の縦断面図であ
る。 第４図は第５図の磁界発生装置の永久磁石構成体と磁極
片の縦断面図である。 第５図は従来の磁界発生装置の縦断面図である。 １…永久磁石構成体、2,10…磁極片、３…継鉄、４…空
隙、5,13…環状突起、６…傾斜磁界コイル、11,…バル
ク部、12…粉体部、14,15,16…内周側面。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 仁志 千葉県柏市新十余二２番１号 株式会社日 立メディコ技術研究所内 (72)発明者 竹島 弘隆 千葉県柏市新十余二２番１号 株式会社日 立メディコ技術研究所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】空隙を形成して対向する一対の永久磁石構
   成体を継鉄で磁気的結合し、各永久磁石構成体の空隙対
   向面に周辺部に環状突起を有する磁極片を固着し、該空
   隙に磁界を発生させるMRI用磁界発生装置において、 環状突起の少なくとも傾斜磁界コイルに相対する位置の
   内周側面が、永久磁石構成体に対して直交面を形成した
   ことを特徴とするMRI用磁界発生装置。
2. 【請求項２】磁極片の少なくとも環状突起を構成する部
   分の材質が磁性粉であることを特徴とする請求項１記載
   のMRI用磁界発生装置。