JPH0737959B2 - 電解質溶液センサ - Google Patents

電解質溶液センサ

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JPH0737959B2
JPH0737959B2 JP1164287A JP16428789A JPH0737959B2 JP H0737959 B2 JPH0737959 B2 JP H0737959B2 JP 1164287 A JP1164287 A JP 1164287A JP 16428789 A JP16428789 A JP 16428789A JP H0737959 B2 JPH0737959 B2 JP H0737959B2
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信一 小野
照義 朴木
昭英 加藤
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電解質溶液特に塩水又は塩の水溶液(以下塩
水という)が床面等に漏れた場合、非電解質溶液である
普通の水漏れと区分し、且つその漏れた場所を迅速に発
見することのできる電解質溶液センサに関する。
〔従来の技術〕
近年、魚介類等を生きたまま輸送することが多く行われ
るようになり、そのため多くの塩水を貯溜する塩水タン
クが輸送の場で使用されるようになった。通常の貨物車
両であれば、この塩水タンクから塩水が多少床面等に漏
れても、気が付いた時点で漏れを止め、漏れた塩水は洗
い流せばよいようになっている。しかし、航空機による
輸送の場合は、航空機を構成する材料とその構造の制限
から、塩水の漏れを即刻検出して対応する必要がある。
すなわち、航空機等のように機体構成材料の腐食等によ
る劣化が重大事故につながるおそれのある場合は、それ
を未然に防止するため、漏れを早期に発見して完全に洗
い流す必要がある。
このような、液体の洩れを検出する漏液センサとして
は、水、油等の液体の漏れを検出する漏液センサを転用
することができる。例えば、二本の導線間に漏洩したこ
れらの液体が浸入した場合、その電気抵抗や静電容量の
変化を電気的に検知することにより漏れを検出するもの
がある(例えば、実公昭56−43940号公報参照)。そし
て、その場所を特定するためには、二本の導線間に更に
位置検出線を添設して、区間検知法等でその場所を特定
するものがある。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の技術で説明した電気的な漏液センサは、通電等の
電気的手段を用いるためその解析と表示のためには複雑
な電気制御機器を必要する。そのため、常に良好な作動
状態を保つためには、熟練した操作員による保守点検が
必要であるという問題点がある。また、防爆その他の安
全上電気的手段の使用が禁じられている場合には使えな
い。さらに、塩水だけを検知し、普通の水は検知しない
ようにするためには、ますます複雑な電気的装置が必要
となる。上述した航空機による輸送のような場合、複雑
な操作を要する漏液センサは不向きであり、素人が一目
で発見可能か又は簡単な確認動作で塩水の漏れとその場
所を特定する例えば使い捨てのような漏液センサが望ま
れており、また、電気的手段の使用自体が好ましくな
い。
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑み
てなされたものであり、目視で塩水等の電解質溶液の漏
れ箇所を迅速に発見できる電解質溶液センサを提供しよ
うとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明の電解質溶液センサ
は、検知すべき電解質溶液に対する電極電位が異なる線
状金属を並設し少なくとも一箇所で短絡させた電極の一
以上を平面配置し、この一以上の電極を面状体で挟持
し、この面状体の少なくとも一方を酸塩基指示薬を含浸
させた吸液性の布としたものである。そして、面状体で
の電極挟持に代わり、電極を布に織り込んだものとする
ことができる。また、線状金属を並設し少なくとも一箇
所で短絡させた電極に代わり、線状金属を格子状に交差
短絡させた電極を面状体で挟持させることもできる。
そして、これらの電解質溶液センサに、酸塩基指示薬の
指示色と異なる色を発色する液溶性の表示材を、面状体
間に介在させるか又は布に織り込んだものとすることも
できる。
また、これらの電解質溶液センサに、面状体の少なくと
も一方を吸液時に透明化する糸により形成するとすると
共に酸塩基指示薬の指示色と異なる色を発色する非液溶
性の表示材を、面状体間に介在させるか又は布に織り込
んだものとすることもできる。
〔作用〕
電解質溶液が漏れると吸液性の布にしみ込んでいく。こ
の吸液性の布には、少なくとも表面が検知すべき電解質
溶液に対する電極電位が異なる線状金属が一箇所以上で
短絡された状態に配置されているので、これらの線状金
属間に電極電位の差が生じ電流が流れる。そして、電解
質溶液が電気分解され、塩水であれば電極電位の高い側
に強アルカリのNaOHが形成される。また、布には酸塩基
指示薬(アルカリの場合は塩基指示薬)が含浸されてい
るので、このNaOHと塩基指示薬が反応して指示色を呈す
る。一方、非電解質溶液の水は漏れてもしみ込んでいく
だけで発色しない。
そして、酸塩基指示薬の指示色と異なる色を発色する液
溶性の表示材は、電解質溶液又は水を問わず液体が漏れ
た箇所を耐久的に表示する。電解質溶液が漏れた後発見
されずに乾いてしまうと、酸塩基指示薬の表示色は消え
るが、この表示材の表示が残るので、漏れの場所が特定
できる。再び水をしみ込ませると、塩水が漏れていたの
であれば、NaOHと塩基指示薬が再び反応して指示色を呈
する。水が漏れたのであれば、発色しない。
面状体の少なくとも一方を吸液時に透明化するものとす
ると共に酸塩基指示薬の指示色と異なる色を発色する非
液溶性の表示材を、面状体間に介在させるか又は布い織
り込んだものとすると、電解質溶液又は水を問わず漏れ
が乾くまでは液体の漏れた場所を目に付きやすいように
して表示する。そこで、その場に行って酸塩基指示薬が
反応した指示色があるかを詳細に確認できるように、漏
れの位置を指し示す。
〔実施例〕
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
第1図は電解質溶液センサの斜視図、第2図は線状金属
の配置と短絡状態を示す図、第3図乃至第6図はその他
の電解質溶液センサの斜視図、第7図は電解質溶液セン
サの使用状態を示す図である。
第1図において、電解質溶液センサ1は、線状電極2を
上下の面状体3,4で挟持して覆ったものである。
線状電極2は、検知すべき電解質溶液である塩水に対す
る電極電位が異なる二種の線状金属、例えば銅線2aとア
ルミ線2bを平行状に並設してその一端2cで短絡させたも
のである。このような線状電極2の多数を平行に配置し
て多数の線状電極2から成る平面を構成し、何処に塩水
が漏れても線状電極2による電気分解が起こるように配
置している。なお、線状電極2は、断面丸のものに限ら
ず、断面楕円の偏平状、断面長方形の箱状のもの等種々
のもので線状に長く延びるものが使用される。また、線
状電極2を構成する線状金属は、銅覆銅線とアルミ覆銅
線のように表面だけが電極電位の異なるものであっても
よい。
上下の面状体3,4のうち、少なくとも上面3は酸塩基指
示薬を含浸させた吸液性の布が用いられる。下面4は同
様の布でもよいが、保水性や強度特性向上のために通常
のプラスチック製の難燃性床材を用いることもできる。
吸液性の布としては、ポリメタフェニレンイソフタルア
ミドを主成分とする有機合成繊維〔例えば、帝人株式会
社のコーネックス(登録商標)〕が好ましい。すなわ
ち、このコーネックスは耐熱性、難燃性に優れており、
航空機等のように厳しい耐熱性、難燃性が要求される場
所に使用することができる。また、布に含浸される酸塩
基指示薬としては、PH指示薬、水素イオン濃度指示薬、
中和指示薬と呼ばれるフタレイン系、スルホンフタレイ
ン系、アゾ系、トリフェルメタン系、エンゼイン系、ニ
トロ系の有機色素類が用いられる。なかでも、フェノー
ルフタレインは通常は無色の結晶でなり、アルカリに溶
けると濃紅色を呈するので、塩水のように電気分解によ
ってアルカリを生ずる場合の酸塩基指示薬に最適であ
る。また、布を構成する糸についてはコーネックスに限
らずテトロンなどの吸液性に優れ酸塩基指示薬を含浸で
きるマルチフィラメント糸やスパン糸等のものが選定さ
れる。
第2図は第1図と異なる電極の配置と短絡状態を示す図
である。第2図(a)のように、直線状の電極ではなく
ジグザグ状の電極5とすることもでき、短絡箇所を確保
すればその平面形状に制約はない。また、第2図(b)
のように、電極6の短絡は一端のみに限らず、交互に多
数短絡させたものでもよい。図示の二点鎖線で示すよう
に何処に塩水が落ちても一番近いループで電流が流れて
電気分解が起こる。このような網目配置とすると、シー
ト状電解質溶液センサを小さく切断しても短絡箇所が確
保されるので、そのまま使用することができる。
第3図は織り込んだ電解質溶液センサを示し、コーネッ
クスから成る糸9と電極2を混じえて縦糸とし、コーネ
ックスから成る糸7を横糸にして絡み織りし全体として
布状としたものである。そして、横糸のフィラメント糸
7と縦糸のフィラメント糸9は吸水性をよくし、酸塩基
指示薬も含浸している。なお、織り方は周知の種々の織
編成法を適用できる。
第4図も箔状交差電極の電解質溶液センサを示し、電極
8は銅箔8aとアルミ箔8bを上下に重ねて交差短絡させ
て、全体として格子状にしたものである。なお、上と下
の面状体3,4は第1図で説明したものと同様のものが使
用される。そして、塩水がしみ込むと引き出し線で示さ
れた一つの格子内で矢印の電流が流れて電気分解が起こ
る。この電解質溶液センサは厚みも薄くでき必要な大き
さに切断して使い捨て使用し易い形状となっている。
第5図は液溶性の表示材を付加した電解質溶液センサを
示す。すなわち、第1図のもの比較すると、電極2間に
液溶性の表示材9が設けられ、電極2と同様に上と下の
面状体3,4で挟持され一体化されている。表示材9は例
えば糸,紐,紙テープ等の線状材に着色剤、発光剤等の
表示剤を含浸させたものであり、表示剤が水に溶けて、
少なくとも上の面状体4の布の色と明瞭に区別できる色
を溶出するようになっている。したがって、塩水又は水
を問わず水漏れがあると、漏れた部分が乾いたとして
も、その部分の面状体3表面には表示剤の色が溶け出し
たままであり、漏れた場所を後で探すことができる。そ
して、酸塩基指示薬の指示色が消えたとしても、その漏
れた部分に水を含ませ再び酸塩基指示薬の指示色を呈す
るかどうかの検査ができる。指示薬の指示色を呈さない
と単なる水漏れであり、指示薬の指示色を呈すると塩水
であるので付近一体を洗浄する必要があるという判断が
できる。なお、第3図の場合のように、電極間に表示剤
をしみ込ませた縦糸を表示材9として織り込むこともで
きる。また、この液溶性の表示剤を付加したものは原則
として使い捨てで使用される。
第6図は非液溶性の表示材を付加した漏液センサを示
す。すなわち、第1図のものと比較すると、電極2間に
非液溶性の表示材10が設けられ、電極2と同様に上と下
の面状体3,4で挟持され一体化されている。さらに、上
面の面状体11は毛細管現象によって漏液を伝導しやすい
吸液性を有するだけでなく、この吸液によって透明化す
る透明性のマルチフィラメント糸やスパン糸が用いられ
る。したがって、面状体11は乾燥状態では乱反射によっ
て不透明であるが、吸液によって透明化し内部の非液溶
性の表示化10が透き通るように見える。この表示材10は
面状体11を構成する布の色と明瞭に区分できる色を有す
るものが選定されている。したがって、塩水又は水を問
わず水漏れがあると、漏れた部分が明瞭に分かる。そし
て、酸塩基指示薬の色を呈しているかどうかその水漏れ
箇所を詳細に検査できる。面状体11の布の色が指示薬の
指示色と紛らわしい床面等に使用される電解質溶液セン
サに適している。例えば度々こぼれる可能性のある場所
で使用する場合、水であればそのまま放置すれば乾いて
元に復帰する。なお、第3図の場合のように、電極間に
着色したプラスチック紐から成る表示材7を使って、織
り込むこともできる。
第7図は以上説明した電解質溶液センサの使用状態を示
し、第7図(a)は貨物12全体の下方の床面16に敷き詰
めた使用例である。このように漏れの発生が予想される
部分の下方にこの電解質溶液センサ13を所定の大きさに
切断して敷いておけばよい。例えば、第5図の電解質溶
液センサ等が使用される。第7図(b)は塩水タンク14
のある貨物室全面に電解質溶液センサ15を敷き詰めた使
用例である。例えば、第5図の電解質溶液センサ等が使
用される。
なお、以上の説明は電解質溶液として塩水の場合を説明
したが、漏液は塩水のみに限られない。すなわち、電解
質の液体であれば、電極材料と酸塩基指示薬を適切に選
定することによって本発明を適用できる。
〔発明の効果〕
本発明は、以上説明したように構成されているので、次
に記載されるような効果を奏する。
まず、電気的手段を有しないので安全である。そして、
検知すべき電解質溶液に対する電極電位が異なる線状金
属を短絡状に平面配置し、酸塩基指示薬で含浸された吸
液性の布で覆い、電解質溶液、例えば塩水等が漏れると
電気分解によりNaOH等が発生し指示色を呈するので、塩
水等の漏れた箇所を一目で確認することができ、電気機
器等の調整もなく誰でも迅速且つ容易に検出することが
できる。
そして、酸塩基指示薬の指示色と異なる色を発色する液
溶性の表示材を電解質溶液センサ内に設けて、電解質溶
液又は水を問わず漏れた場所を恒久的に表示できるよう
にしたので、例えば、航空機貨物室のように常に人が居
ない場所であっても、後に漏れの場所を特定して、単に
水を垂らすだけでその漏れが電解質溶液かどうかを再確
認でき、洗浄等の適切な対応をすることができる。
また、面状体の上面又は布を吸液時に透明化すると共に
酸塩基指示薬の指示色と異なる色を発色する非液溶性の
表示材を電解質溶液センサ内に設けて、電解質溶液又は
水を問わず漏れた場所を目立つようにしたので、例えば
常に人がいる場所に用いた場合は漏れの早期発見が可能
となり、しかも単なる水漏れであれば元に復帰するので
度々電解質溶液センサを交換する必要がない。
【図面の簡単な説明】
第1図は電解質溶液センサの斜視図、第2図は電極の配
置と短絡状態を示す図、第3図乃至第6図は電解質溶液
センサの斜視図、第7図は電解質溶液センサの使用状態
を示す図である。なお、図面中の主な符号の説明は下記
の通りである。 1,13,15……電解質溶液センサ、 2,5,6,8……電極、 3,4……面状体、 7……フィラメント糸、 9……液溶性表示材、 10……非液溶性表示材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朴木 照義 大阪府東大阪市岩田町2丁目3番1号 タ ツタ電線株式会社内 (72)発明者 加藤 昭英 東京都大田区羽田空港1丁目6番3号 日 本航空株式会社技術研究所内 (72)発明者 杉山 ▲きち▼夫 東京都大田区羽田空港1丁目6番3号 日 本航空株式会社技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも表面が検出すべき電解質溶液に
    対する電極電位を異にする線状金属を並設し少なくとも
    一箇所で短絡させた電極の一以上を平面配置し、この一
    以上の電極を面状体で挟持し、この面状体の少なくとも
    一方を、酸塩基指示薬を含浸させた吸液性の布としたこ
    とを特徴とする電解質溶液センサ。
  2. 【請求項2】少なくとも表面が検知すべき電解質溶液に
    対する電極電位を異にする線状金属を並設し少なくとも
    一箇所で短絡させた電極の一以上を布に織り込み、この
    布を塩酸基指示薬を含浸させた吸液性の布としたことを
    特徴とする電解質溶液センサ。
  3. 【請求項3】少なくとも表面が検知すべき電解質溶液に
    対する電極電位を異にする線状金属を格子状に交差短絡
    させた電極を面状体で挟持し、この面状体の少なくとも
    一方を、酸塩基指示薬を含浸させた吸液性の布とたこと
    を特徴とする電解質溶液センサ。
  4. 【請求項4】請求項1、2又は3記載の電解質溶液セン
    サであって、酸塩基指示薬の指示色と異なる色を発色す
    る液溶性の表示材を、面状体間に介在させるか又は布に
    織り込んだ電解質溶液センサ。
  5. 【請求項5】請求項1、2又は3記載の電解質溶液セン
    サであって、面状体の上面又は布を吸液性で吸液時に透
    明化する糸により形成すると共に酸塩基指示薬の指示色
    と異なる色を発色する非液溶性の表示材を、面状体間に
    介在させるか又は布に織り込んだ電解質溶液センサ。
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