JPH0736200Y2 - トランスアクスル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両等に搭載されるトランスアクスルに関す
る。

（従来技術） トランスミッションの一形式として「新編自動車工学便
覧第５編第１−７、第１−８頁（自動車技術会発光）」
に示されているように、インプットシャフトに回転可能
に連結したアウトプットシャフトと同シャフトに平行に
位置するカウンタシャフト間に複数の変速段用ギヤ列を
配設してなるトランスミッションがある。かかるトラン
スミッションは縦置式のトランスミッションであり、車
両に対しては前後方向に搭載されてリヤプロペラシャフ
トを介してリヤディファレンシャルに動力伝達可能に連
結される。

（考案が解決しようとする課題） ところで、かかるトランスミッションを車両の中央部ま
たは後部に搭載する場合には、トランスミッションのア
ウトプットシャフトとリヤディファレンシャルのドライ
ブピニオンとをトルク伝達可能に連結してこれら両者を
一体的に備えたトランスアクスルを採用することが考え
られる。本考案の目的はかかるトランスアクスルにおい
て、軸方向の長さをできるかぎり短くして小型化かつ軽
量化を図ることにあり、さらには変速段を増加しても軸
方向の長さの増大を抑制することにある。

（課題を解決するための手段） 本考案は、インプットシャフトに回転可能に連結したア
ウトプットシャフトと同シャフトに平行に位置するカウ
ンタシャフト間に複数の変速段用ギヤ列を配設してなる
トランスミッションと、前記アウトプットシャフトにト
ルク伝達可能に連結したドライブピニオンにより動力伝
達されるリヤディフアレンシャルを一体的に備えたトラ
ンスアクスルであり、前記ドライブピニオンを前記アウ
トプットシャフトの外周にスプライン嵌合させて連結し
て、これらドライブピニオンとアウトプットシャフトの
連結部の外周にて、同ドライブピニオンと前記カウンタ
シャフト間に前記各ギヤ列の１組を配設するとともに、
前記ドライブピニオンの連結部の外周に同ドライブピニ
オンを回転可能に支持するテーパローラベアリングに対
する予圧荷重を調整するナットを配設したことを特徴と
するものである。

（考案の作用・効果） かかる構成のトランスアクスルにおいては、トランスミ
ッションのアウトプットシャフトとリヤディファレンシ
ャルのドライブピニオンとの連結部の外周を１組のギヤ
列と、テーパローラベアリングに対する予圧荷重を調整
するナットの配設部位として利用しているため、当該連
結部の有効利用が図られてトランスアクスルの軸方向の
長さを短くすることができ、トランスアクスルの小型化
かつ軽量化が可能である。また、変速段を増加する場合
にはトランスミッションの既存のギヤ列の配設を変更す
ることなく、増加すべきギヤ列の１組を当該連結部の外
周に配設することによりトランスアクスルの軸方向の長
さの増大を抑制することができる。

（実施例） 以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明するに、第
１図には本考案に係るトランスアクスルが示されてい
る。当該トランスアクスルは平行２軸方式のトランスミ
ッション10と、ファイナルギヤと一体のリヤディファレ
ンシャル20からなるもので、これら両者10、20はアクス
ルケース30内に収容されている。

トランスミッション10はインプットシャフト11、アウト
プットシャフト12およびカウンタシャフト13を備え、イ
ンプットシャフト11はアクスルケース30を構成するフロ
ントケース31の前部とインタミディエイトケース32の前
部にて回転可能に軸支され、かつアウトプットシャフト
12はインプットシャフト11の後端部とインタミディエイ
トプレート33にて回転可能に軸支されている。これら両
シャフト11、12は互いに同軸的かつ回転可能に位置して
おり、アウトプットシャフト12はリヤケース34内に臨ん
でいる。シンプットシャフト11の外周にはインプットギ
ヤ11aが一体的に設けられ、かつアウトプットシャフト1
2の外周には１速、２速、３速アウトプットギヤ12a、12
b、12cが回転可能に組付けられているとともに、６速ア
ウトプットギヤ12dが一体的に組付けられている。ま
た、アウトプットシャフト12の外周には１速および２速
アウトプットギヤ12a、12b間、３速アウトプットギヤ12
cおよびインプットギヤ11a間にシンクロメッシュ12e、1
2fが組付けられている。カウンタシャフト13の外周には
インプットギヤ11aに噛合するカウンタギヤ13a、１速ア
ウトプットギヤ12aに噛合する１速カウンタギヤ13b、２
速アウトプットギヤ12bに噛合する２速カウンタギヤ13
c、３速アウトプットギヤ12cに噛合する３速カウンタギ
ヤ13dおよびリバースカウンタギヤ13eが一体的に設けら
れているとともに、６速アウトプットギヤ12dに噛合す
る６速カウンタギヤ13gおよび５速カウンタギヤ13fが回
転可能に組付けられている。また、カウンタシャフト13
の外周にはこれら両カウンタギヤ13f、13g間にシンクロ
メッシュ13hが組付けられている。

ディファレンシャル20はトーセンディファレンシャル
で、ディファレンシャルケース21（以下デフケースとい
う）の両端外周部にてリヤケース34に回転可能に支持さ
れている。デフケース21内に収容された各サイズギヤ22
a、22bには各サイドギヤシャフト23a、23bがトルク伝達
可能に連結されており、かつデフケース21に回転可能に
支持した図示しない複数のエレメントギヤが噛合してい
る。デフケース21に伝達された動力は各エレメントギヤ
を介して各サイドギヤ22a、22bおよび各サイドギヤシャ
フト23a、23bに伝達されて出力され、各後輪が駆動され
るとともに各後輪間の差動回転が許容される。デフケー
ス21の外周にはリングギヤ24が一体的に組付けられてお
り、かかるリングギヤ24にドライブピニオン25が噛合し
ている。

しかして、ドライブピニオン25は第１図および第２図に
示すように、その前端側の内スプライン部25aにてアウ
トプットシャフト12の後端側の外スプラインにスプライ
ン嵌合されて連結し、リヤケース34の内周の２箇所にて
一対のテーパローラベアリング35a、35bにより回転可能
に軸支されてアウトプットシャフト12に対して同軸的に
延びている。ドライブピニオン25におけるアウトプット
シャフト12の後端側に嵌合する前端側の外周には５速ア
ウトプットギヤ12gがスプライン結合され、両テーパロ
ーベアリング35a、35bの予圧荷重を調整するナット36に
て締付固定されている。５速アウトプットギヤ12gはそ
の外周に位置するカウンタシャフト13上の５速カウンタ
13fに噛合している。

かかる構成のトランスアクスルにおいては、トランスミ
ッション10のアウトプットシャフト12とドライブピニオ
ン25との連結部の外周である同ピニオン25の前端部外周
部に、５速アウトプットギヤ12gと各テーパローラベア
リング35a,35bに対する予圧荷重を調整するナット36を
配設しているとともに、カウンタシャフト13上の５速ア
ウトプットギヤ12gに対応する部位に５速カウンタギヤ1
3fを配設している。このため、５速ギヤ列12g,13f、お
よび予圧荷重調整用のナット36の配設部位に対応する長
さだけ、トランスアクスルの軸方向の長さの増大を抑制
し、または短縮することができる。

なお、上記実施例においてはトランスミッション10を適
宜数の変速段のトランスミッションに変更することがで
き、またディファレンシャル20を傘歯車式のディファレ
ンシャル等適宜の形式のディファレンシャルに変更する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るトランスアクスルの断
面図、第２図は同トランスアクスルの要部拡大断面図で
ある。 符号の説明 10……トランスミッション、11……インプットシャフ
ト、12……アウトプットシャフト、13……カウンタシャ
フト、12a〜12d、12g……アウトプットギヤ、13a〜13g
……カウンタギヤ、20……ディファレンシャル、21……
デフケース、23a、23b……サイドギヤシャフト、24……
リングギヤ、25……ドライブピニオン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】インプットシャフトに回転可能に連結した
   アウトプットシャフトと同シャフトに平行に位置するカ
   ウンタシャフト間に複数の変速段用ギヤ列を配設してな
   るトランスミッションと、前記アウトプットシャフトに
   トルク伝達可能に連結したドライブピニオンにより動力
   伝達されるリヤディフアレンシャルを一体的に備えたト
   ランスアクスルであり、前記ドライブピニオンを前記ア
   ウトプットシャフトの外周にスプライン嵌合させて連結
   して、これらドライブピニオンとアウトプットシャフト
   の連結部の外周にて、同ドライブピニオンと前記カウン
   タシャフト間に前記各ギヤ列の１組を配設するととも
   に、前記ドライブピニオンの連結部の外周に同ドライブ
   ピニオンを回転可能に支持するテーパローラベアリング
   に対する予圧荷重を調整するナットを配設したことを特
   徴とするトランスアクスル。