JPH0735643Y2

JPH0735643Y2 - 低圧鋳造装置のストーク

Info

Publication number: JPH0735643Y2
Application number: JP1989022046U
Authority: JP
Inventors: 実吉田; 昇大石
Original assignee: Mazda Motor Corp
Current assignee: Mazda Motor Corp
Priority date: 1989-02-28
Filing date: 1989-02-28
Publication date: 1995-08-16
Anticipated expiration: 2004-02-28
Also published as: JPH02114161U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、低圧鋳造装置のストークの改良に関する。

（従来の技術）従来より、例えば自動車等車両のエンジン部品であるシ
リンダヘッド等を鋳造する場合、低圧鋳造装置が一般に
よく用いられており、この低圧鋳造装置には、鋳型のキ
ャビティ内に溶湯を押し上げるためのストークが備えら
れ、該ストークにより、湯面に加えられる圧力によって
押し上げられるるつぼ内の溶湯を鋳型のキャビティ内に
充填すべく導入するようになされている。そして、この
ようなストークとして、断熱性に優れたセラミック製の
ものが最近製作されている。

しかし、このセラミック製のストークは、焼結体である
ため多数のポアが形成されて透気性を有していることか
ら、溶湯を鋳型のキャビティ内に充填すべくその湯面を
加圧した際、加圧エアがストーク壁を半径方向内側に通
過してストーク内にリークするおそれがあり、このよう
に加圧エアがリークすると該加圧エアが溶湯に混入した
り、あるいは加圧不足となって該溶湯を鋳型のキャビテ
ィ内に十分に充填することができず、鋳造欠陥が生ずる
という問題があった。また、溶湯を鋳型のキャビティ内
に充填する際には、上記溶湯を終始同じ圧力で加圧する
のではなく、最初は圧力を高くして溶湯充填速度を速
く、途中は圧力を低くして溶湯充填速度を緩やかに、最
後は押湯の効果をきかすために圧力を再度高くして溶湯
充填速度を速くする加圧パターンがあることから、上述
の如く加圧エアがストーク内にリークすると上記加圧パ
ターンを適正にコントロールすることができず、鋳造欠
陥を招くおそれがある。

そこで、例えば実開昭61-9175号公報に開示されている
ように、筒状の非透気性部材の内周面および外周面にセ
ラミック製断熱層を被覆形成することにより、該セラミ
ック製断熱層の内層と外層とを上記非透気性部材で遮断
し、注湯時における加圧エアのリークを防止するように
したストークが提案されている。

（考案が解決しようとする課題）ところが、上記の提案例のものでは、加圧エアのストー
ク半径方向内側への通過を阻止し得るものの、非透気性
部材全体が切れ目なくセラミック製断熱層でもって覆わ
れて、ストークの内部と外部とが上記セラミック製断熱
層の多数のポアにより連通されていることから、溶湯を
鋳型のキャビティ内に充填すべくその湯面を加圧した
際、加圧エアが上記セラミック製断熱層の外側断熱層部
をストーク下端側に向かって移動して内側断熱層部に達
し、ストーク内にリークする結果、このリークにより鋳
造欠陥が発生することが判った。

本考案はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目
的とするところは、非透気性部材に対する断熱層の被覆
構造を改良することにより、加圧エアが断熱層を経てス
トーク内にリークするのを確実に規制し、よって加圧エ
アのリークによる鋳造欠陥の発生を未然に防止せんとす
ることにある。

（課題を解決するための手段）上記の目的を達成するため、本考案は、溶湯をその湯面
に加えられる圧力によって押し上げて鋳型のキャビティ
内に充填することにより、鋳物製品を鋳造する低圧鋳造
装置の上記押し上げられる溶湯を上記キャビティ内に導
入するストークを対象とし、次のような解決手段を講じ
た。

すなわち、本考案の解決手段は、ストークを、下端側が
上記溶湯に浸漬される筒状の非透気性部材と、該非透気
性部材の内周面に被覆形成された内側多孔質断熱層と、
上記非透気性部材の外周面に被覆形成された外側多孔質
断熱層とでもって構成する。さらに、上記内側および外
側多孔質断熱層を、上記溶湯に常時浸漬される外周下端
部において上記非透気性部材によって距離を隔てて分断
する。また、該分断部において上記内側多孔質断熱層と
外多孔質断熱層との間から露出する非透気性部材を薄膜
の耐熱性保護層によって覆ったことを特徴とする。

（作用）上記の構成により、本考案では、溶湯は、その湯面に加
えられる圧力によって押し上げられ、鋳型のキャビティ
内にストークにより導入されて充填される。

この際、上記湯面に圧力を加える加圧エアは、筒状非透
気性部材の外周面に被覆形成された外側多孔質断熱層を
経てストーク下端側に移動するが、該外側多孔質断熱層
が、上記筒状非透気性部材の内周面に被覆形成された内
側多孔質断熱層と上記非透気性部材の上記溶湯に常時浸
漬される外周下端部において非透気性部材によって距離
を隔てて分断されていることから、この分断部において
上記加圧エアの内側多孔質断熱層への移動が阻止され、
よってストーク内にリークするのが確実に規制され、こ
れにより加圧エアのリークによる鋳造欠陥の発生が未然
に防止されることとなる。また、上記分断部において内
側多孔質断熱層と外多孔質断熱層との間から露出する非
透気性部材が薄膜の耐熱性保護層によって覆われ、分断
部の耐熱性が補われる。

（実施例）以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本考案の一実施例に係るストーク１を備えた低
圧鋳造装置Ａを示し、２は炉壁に加熱ヒータ３が埋設さ
れた保温炉、４は、該保温炉２内に配置され、溶湯Ｂが
収容されたるつぼであって、上記保温炉２はその内部が
蓋体５により密閉されるようになされている。

また、上記保温炉２の上方には、下型プラテン６に支持
された固定型としての下型７と、上型プラテン８に支持
された可動型としての上型９と、上記下型７にスライド
移動可能に配置された４つ（第１図左右に２つ表われ
る）のスライド型10,10,…とからなる鋳型11が配置さ
れ、該鋳型11の上記上型９は、昇降シリンダ（図示せ
ず）のピストンロッド12先端に連結されていて、該昇降
シリンダの伸縮作動により上記上型９を複数本（第１図
に２本表われる）のガイドロッド13,13,…にガイドせし
めて昇降移動させるようになされている。そして、上記
鋳型11は、上記昇降シリンダの伸張作動により下降移動
せしめられる上型９と、下型７および各スライド型10と
でもって型締めされ、複数の中子14,14,…との間に上記
溶湯Ｂが充填されるキャビティ15を構成し、上記るつぼ
４内の溶湯Ｂをその湯面に加えられる圧力によって上記
ストーク１内を押し上げて上記キャビティ15内に導入し
て充填することにより、例えば自動車等車両のエンジン
部品であるシリンダヘッド等の鋳物製品を鋳造するよう
になされている。

さらに、上記ストーク１は、下端側が上記るつぼ４内の
溶湯Ｂに浸漬される例えば鉄等の金属からなる筒状の非
透気性部材16を備えてなり、該非透気性部材16の上端お
よび下端には、外鍔16a,16bが形成され、上記非透気性
部材16は、その上端側の外鍔16aを上記下型プラテン６
と蓋体５とに挟持せしめている。また、該非透気性部材
16の内周面には、例えばガラスウールをバインダで固め
たセラミックウールからなる内側多孔質断熱層17が一体
的に被覆形成されている。さらに、上記非透気性部材16
の外周面にも、上記内側多孔質断熱熱層17と同一の材質
である例えばガラスウールをバインダで固めたセラミッ
クウールからなる外側多孔質断熱層18が一体的に被覆形
成されている。

また、本考案の特徴として、第２図に拡大詳示るよう
に、上記外側多孔質断熱層18の形成領域は、上記非透気
性部材16の下端側の外鍔16b上面までであり、一方、上
記内側多孔質断熱層17の形成領域は、非透気性部材16の
下端側の外鍔16b下面までであり、したがって、上記内
側および外側多孔質断熱層17,18は、上記下端側の外鍔1
6bを境に該外鍔16bの厚みだけ距離を隔てて外周下端部
において分断されている。なお、上記下端側の外鍔16b
の内側多孔質断熱層17と外側多孔質断熱層18との間から
露出する非透気性部材16端面は、例えばSiO₂系のコーテ
ィング層からなる薄膜の耐熱性保護層（図示せず）によ
って覆われ、溶湯Ｂの熱に十分に耐え得るように耐熱性
を付与している。

このように、本実施例では、非透気性部材16の内外周面
にそれぞれ被覆形成された内側および外側多孔質断熱層
17,18を上記非透気性部材16の下端側の外鍔16bを境とし
て距離を隔てて分断したことから、るつぼ４内の溶湯Ｂ
を鋳型11のキャビティ15内にストーク１により導入して
充填する際、上記溶湯Ｂの湯面に圧力を加える加圧エア
は、上記外側多孔質断熱層18を経てストーク１下端側に
移動しても、上記下端側の外鍔16bの断熱層分断部でそ
れ以降の移動が阻止されて上記内側多孔質断熱層17へ移
動することがなく、これにより上記加圧エアのストーク
１内へのリークを確実に規制し得て鋳造欠陥の発生を未
然に防止することができる。

なお、上記実施例では、非透気性部材16の下端に外鍔16
bを形成し、上記非透気性部材16の内外周面にそれぞれ
被覆形成された内側および外側多孔質断熱層17,8を上記
外鍔16bを境として距離を隔てて分断したが、これに限
らず、例えば第３図に拡大詳示するように、上記内側お
よび外側多孔質断熱層17,18の形成領域を上記非透気性
部材16の下端上方までとして下端部を内外周側において
共に露出させることにより、両者を距離を隔てて分断す
るようにしてもよい。なお、この場合において、上記露
出部を、上記実施例の場合と同様に例えばSiO₂系のコー
ティング層からなる薄膜の耐熱性保護層19によって覆
い、耐熱性を付与するようにする。さらに、上記内側お
よび外側多孔質断熱層17,18を分断する手段は、上述の
如き手段に限るものではなく、要は両者を、上記非透気
性部材16の溶湯Ｂに常時浸漬される外周下端部において
分断するやり方であればその手段は問わない。

（考案の効果）以上説明したように、本考案によれば、溶湯を鋳型のキ
ャビティ内に導入するストークを、筒状の非透気性部材
と、その内外周面に被覆形成された内側および外側多孔
質断熱層とでもって構成し、かつ上記内側および外側多
孔質断熱層を、上記溶湯に常時浸漬される外周下端部に
おいて上記非透気性部材によって距離を隔てて分断した
ので、上記溶湯の湯面を加圧する加圧エアが上記外側多
孔質断熱層を経てストーク内にリークするのを確実に規
制し得て、鋳造欠陥の発生を未然に防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るストークを備えた低圧
鋳造装置の縦断面図、第２図はストークの要部拡大縦断
面図である。第３図はストークの変形例を示す第２図相
当図である。１……ストーク 11……鋳型 15……キャビティ 16……非透気性部材 17……内側多孔質断熱層 18……外側多孔質断熱層 19……耐熱性保護層Ａ……低圧鋳造装置Ｂ……溶湯

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】溶湯をその湯面に加えられる圧力によって
押し上げて鋳型のキャビティ内に充填することにより、
鋳物製品を鋳造する低圧鋳造装置の上記押し上げられる
溶湯を上記キャビティ内に導入するストークであって、下端側が上記溶湯に浸漬される筒状の非透気性部材と、該非透気性部材の内周面に被覆形成された内側多孔質断
熱層と、上記非透気性部材の外周面に被覆形成された外側多孔質
断熱層とでもって構成され、かつ上記内側および外側多孔質断熱層は、上記溶湯に常
時浸漬される外周下端部において上記非透気性部材によ
って距離を隔てて分断され、該分断部において上記内側多孔質断熱層と外多孔質断熱
層との間から露出する非透気性部材は、薄膜の耐熱性保
護層によって覆われていることを特徴とする低圧鋳造装
置のストーク。