JPH0735629A - 歪測定装置,歪制御装置および把握力測定装置,加工制御装置 - Google Patents

歪測定装置,歪制御装置および把握力測定装置,加工制御装置

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JPH0735629A
JPH0735629A JP23835293A JP23835293A JPH0735629A JP H0735629 A JPH0735629 A JP H0735629A JP 23835293 A JP23835293 A JP 23835293A JP 23835293 A JP23835293 A JP 23835293A JP H0735629 A JPH0735629 A JP H0735629A
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JP
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grasping
grasping force
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Application number
JP23835293A
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English (en)
Inventor
Masahiko Hasegawa
正彦 長谷川
Hiromasa Katou
大昌 加藤
Taisuke Matsumoto
泰典 松本
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 感度の線形化,測定感度の向上,測定精度の
向上,信頼性の向上,装置製造コストの低減および測定
対象の拡大を可能とする。 【構成】 光源3と、この光源3からの出射光4を直線
偏光6に変換する偏光ビームスプリッタ5と、歪が発生
する部材1の表面に形成された透明固体2と、この透明
固体2を通過し偏光ビームスプリッタ5を経由した信号
光10を検出する光強度検出器8と、この光強度検出器
8の出力を歪に変換する変換器11と、光路中に設置さ
れた波長板13とから構成され、波長板13が透明固体
2に入射する直線偏光6または反射光9の位相を変換す
るために歪と信号光強度との関係が非線形から疑似線形
になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、圧縮力やトルクなど
の外力または温度差等による内部応力などによる歪を測
定する歪測定装置,この歪測定装置を利用した歪制御装
置および把握力測定装置,この把握力測定装置を利用し
た加工制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、透明固体内部に歪が発生する
と、固体の物性の一つである屈折率楕円体が変形する。
したがって、この固体に光を通すことにより、内部歪を
屈折率楕円体の変形として検出できる。
【0003】図86は、例えば特開平4−118537
号公報に示された従来の歪測定装置を利用したトルク測
定装置の構成図である。図において、1はトルクを受け
歪を発生する棒状部材、2は部材1に帯状に固着形成さ
れた透明固体、3は透明固体2に出射光4を照射する光
源、5は出射光4を直線偏光6に変換する偏光ビームス
プリッタ、7は透明固体2を通過する光を反射する部材
1の表面に形成された反射面、8は反射面7の反射光9
のうち偏光ビームスプリッタ5を経由した光すなわち信
号光10を検出する信号光強度検出器、11は検出器8
の出力12つまり信号光強度によって透明固体2の歪つ
まり部材1の表面歪を算出する変換器である。なお、直
線偏光6と反射光9とは同一光路を通る。
【0004】次に動作について説明する。部材1に外部
からトルクが加わると、部材1の表面にせん断歪が発生
する。透明固体2は部材1の表面に固着されているた
め、部材1と全く同様に歪む。この歪のために透明固体
2の屈折率楕円体は変形する。例えば透明固体2が等方
性の場合、歪が発生すると、屈折率楕円体は球から楕円
球に変形し、変形の度合いは歪に比例する。
【0005】一方、直線偏光6が透明固体2を透過する
と、その屈折率楕円体形状によって偏光状態が変化する
ため、反射光9は一般に楕円偏光となる。この反射光9
のうち、直線偏光6に直交する成分が偏光ビームスプリ
ッタ5を経て信号光10として検出される。この信号光
10の強度Iつまり検出器出力12は、計算により、 I=I0{1+sin(k・τ+ψ)} (式1) となる。
【0006】ここで、I0 は反射光9の強度、τはせん
断歪、定数kはせん断歪τの単位をラジアンに変換する
係数、ψは歪ゼロ時の残光強度に対応する定数で屈折率
楕円体が球の時ゼロである。なお、kは透明固体2の厚
さ等によって決まる。したがってこの式1を用いれば、
検出器出力12の値より直ちに透明固体2のせん断歪が
得られる。
【0007】図87は、上式のせん断歪τと信号光強度
Iとの関係を表すグラフである。同図において、曲線イ
が上式1から算出される信号光強度、曲線アは曲線イと
の近似関係を示すためのせん断歪τの2次曲線である。
曲線イと曲線アとは極めて近似している。演算器11で
は、煩雑な三角関数を用いるのではなく、近似的に2次
関数を用いて透明固体2の歪を算出できる。したがっ
て、この歪と比例関係にある部材1に加わったトルクの
算出も可能である。
【0008】また、用いる光は、正反射つまり透明固体
入射光と反射光とが同一光路を通るため、レンズや鏡な
どの光学部品(図示せず)の共用ができる。したがっ
て、部材1と偏光ビームスプリッタ5との間隔が変化し
ても位置ズレを補正する自動焦点機構などは不要である
ため、安価でコンパクトな歪測定装置が実現できる。
【0009】また、図88は、例えば特開昭64−40
259号公報に示された従来の歪測定装置を利用した把
握力測定装置の構成を示す断面図であり、特に旋盤の3
爪チャックの把握力を測定する場合を示すものであり、
Z方向から見たものが図89である。図88において、
101はボタンであり、工作機のチャック把握部Bはこ
のボタン101を把握する。102はボタン101に取
り付けられたストレインシャフト、104はシャフト1
02に接着された歪ゲージ、107は歪ゲージ104と
コネクタ110とを結ぶリード線、112はコネクタ1
10とスリップリング113とを結ぶリード線であり、
これらがチャックとともに回転する部分である。
【0010】次に非回転部分を説明する。図88におい
て、115は回転自在にケーシングDを固定する軸受
け、118はケーシングDに固定されたブラシであり、
回転するスリップリング113の信号を摺動しながら受
け取る。120はブラシ118とコネクタ121とを結
ぶリード線である。コネクタ121は図示しない把握力
表示器に接続されている。また、124はケーシングD
にZ方向自在に固定された心支え軸であり、センタ穴1
29が削設してある。
【0011】次に動作について説明する。この把握力測
定装置は、ボタン101およびボタン103によってチ
ャック把握部に把握される。このとき、把握力によって
ストレインシャフト102が圧縮歪を受ける。この歪は
シャフトに接着された歪ゲージ104によって電気信号
に変換され、リード線107,コネクタ110,リード
線112,スリップリング113,ブラシ118,リー
ド線120,コネクタ121,表示器という順に伝達さ
れ、表示器によって把握力として表示される。
【0012】この把握力測定装置の回転中は、ボタン1
01,ストレンシャフト102,ボタン103,歪ゲー
ジ104,リード線107,コネクタ110,リード線
112,スリップリング113および軸受け115まで
の部分がチャックとともに回転する。したがって信号伝
達のためには、リード線のみきは対応できない。そこで
スリップリング113とブラシ118とによって回転摺
動しつつ信号を伝達する。また、回転数が上昇すると、
片持ちであるため、回転ぶれなどが大きくなる。そこで
テールストックのセンタを心支え軸124のセンタ穴1
29に押し当てることによって両持ちとし、回転ぶれな
どを著しく低下させている。したがって高速回転域にお
いてもこの把握力測定装置が使用可能である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の歪測定
装置を用いたトルク測定装置では、式1または図87に
示すように信号光強度Iが歪τのsin 関数(非線形)と
なる。したがって信号光強度Iから歪τへの変換演算
が、線形系の場合に比して難しくなり、変換器11が高
価になる。また、ゼロ歪近傍では歪変化に対する信号光
強度変化つまり感度が著しく低下し、歪測定精度は低歪
測定時ほど悪い。さらにゼロ歪に対して左右対称な特性
であるため、歪の正負つまり歪方向が判らないといった
問題がある。
【0014】また、偏光ビームスプリッタ5の消光比は
一般に約0.02であり、これは反射光9の強度の約2
%分がノイズ光(楕円偏光)として信号光(直線偏光)
10に重なって検出されることを意味する。このノイズ
光は、測定中その偏光状態および強度が変化するため、
その変化分が測定ノイズとなる。したがって光強度検出
器8の分解能を向上しても、このノイズのために低歪測
定時の高精度化が困難である。
【0015】また、反射面7は一般にその反射率が場所
によって変化する。したがって直線偏光6の強度が一定
でも、歪による変形のために測定点(光照射位置)が変
化すると反射率が異なるため、反射光強度が変動する。
さらに部材1が回転している場合、反射光の強度変動は
著しいものになる。一方、検出器8は反射光に含まれる
信号光の強度を検出するため、このような反射光9の強
度変動がそのまま信号光強度の変動つまりノイズにな
る。また、部材1の歪や振動または移動などによる入射
角の変化も信号光強度変動(ノイズ)を引き起こす。し
たがって部材1が可動する場合、反射率分布や表面の凹
凸が著しい場合、歪が大きい場合などはS/Nが低下す
るため、測定精度が著しく低下する。
【0016】また、測定装置が1個では、テンソルであ
る歪の一成分しか得られない。他の成分を得るには、装
置に回転機構などが必要になる。さらに歪が所定量を超
えると感度の正負が入替わるため、歪の増減判断が不能
に陥り、測定範囲が制限されている。
【0017】また、表面の歪しか得られないため、部材
全体として伸縮しているのか湾曲しているのか判断でき
ない。
【0018】また、測定点が一点の歪情報しか得られな
いため、より有用な情報である応力または歪力分布が得
られない。
【0019】また、反射光を用いるため、光学部品の配
置位置が限られるため、測定できない形状の部材があ
る。
【0020】また、歪測定を必要とする部材は、電動機
によって力を受ける場合がほとんどである。このとき、
電動機やそれに付随した電気装置から発生した電磁波ノ
イズが光源3,光強度検出器8,変換器11などの電気
電子機器に悪影響を与え、最終的に測定誤差の増大また
は測定分解能の低下となる。
【0021】また、光学部品によって反射・散乱された
光が迷光として信号光に混入するため、信号光強度以外
の信号、つまり迷光強度の信号が信号光検出器の出力に
混入してしまい、測定精度が低下する。
【0022】また、透明固体2の形状および部材との固
着状態を測定に適した状態にするためには、接着,切削
加工,コンタリングなどの熟練を必要とする作業が必要
なため、製作コストがかかる。
【0023】また、透明固体2の製作においては、大気
雰囲気中で製作型を用いて製作する場合が多い。この場
合、固化する前の液体状透明固体は、その流入路中、特
に段階部で路壁の気体を巻き込み、気泡を形成する。こ
の気泡を含んだまま透明固体は硬化すると、その気泡に
よって、光が散乱されたり、歪を変形したり、固着力が
低下したりして正確な測定が妨げられる問題がある。
【0024】また、使用するレンズ,プリズム,窓,フ
ィルタは、残留応力や取付力などによる歪によって複屈
折を起こす。この複屈折のため、入射光および反射光の
位相が変化し、その分が測定誤差となる。
【0025】また、透明固体2の歪に対する感度は、固
体材質,厚さ,使用温度などによって異なるため、測定
対象つまり部材を変えた場合、感度補正が必要であっ
た。また、部材1等に加わった歪の原因となる外力を求
めるときは、部材1のヤング率や形状などの値が必要で
ある。
【0026】また、透明固体2を固着した部材1の近傍
に光学部品等を設置できない場合、鏡等を用いて光路を
形成するが、ゴミ,水,切り粉,埃等によって信号光が
減少したり、遮断されたりして測定に不具合が発生し
た。さらに部材1が移動する場合、光路の移動が必要に
なり、測定装置が複雑となり製造コストが増加する。
【0027】また、ゴミ,水,切り粉,埃等が透明固体
2やレンズ等の光出射窓に付着したり、光路上に存在し
て信号光が減少したり、遮断されたりして測定に不具合
が発生する。
【0028】また、透明固体2の固着は接着によるた
め、接着層厚さや残留応力の不均一が測定誤差になる。
【0029】また、歪が大きい場合や歪の変化が大きい
場合は、透明固体2が部材1より剥がれるため、測定が
不可能になる。
【0030】また、光学式歪測定装置を利用した歪等の
制御装置が市販されていないため、既存の制御装置で
は、応答時間が遅く、部品等の干渉のため測定装置が配
置できない等のため、十分な制御ができない。
【0031】以上のような問題点が従来の歪測定装置に
はあった。
【0032】また、前述した従来の歪測定装置を用いた
把握力測定装置は、把握力測定においては測定装置その
ものを把握しなくてはならず、被工作部材自身を把握し
たときの把握力の測定はできなかった。したがって、実
際の工作時での把握力は、推測の域を出ず、測定の確実
性に欠けていた。このことを以下に詳細に説明する。
【0033】図90は、測定器135をチャック本体1
36の把握部である爪Bで把持した状態を示している。
このとき、測定器135は把握力Fを受け、爪Bは反作
用として反力F1 を受ける。この状態で回転すると、爪
Bは遠心力F2 を受け、チャック136も遠心力F3
受ける。さらに測定器135も遠心力F4 を受ける。こ
の各遠心力によって爪Bと測定器135との接点は、遠
心力F2 によって変位G1 だけ膨らみ、遠心力F3 によ
って変位G2 だけ膨らむ。この遠心力による膨らみ変位
分がチャック把握力の減少分に相当する。しかし、測定
器135自体の前述したように遠心力F4 によって変位
3 だけ膨らむため、結局、差引変位Sに相当する分が
真の把握力減少分となる。
【0034】したがって各遠心力が実際の工作状態と異
なると、得られた把握力の測定値は不確実なものとな
る。つまり、チャック爪Bの形状や中心からの距離,測
定器135の形状や材質が実際と異なると、測定値の信
頼性がない。これは、つまり測定器135を用いた測定
では、測定器の性能がいくら良くても、その測定値の低
いことがわかる。したがって信頼性のある測定を行うた
めには測定器を把握するのではなく、被工作部材を把握
する必要がある。
【0035】また、信号伝達にスリップリングなどの回
転継電器部を、さらに回転ぶれ低減のために心支え軸を
要するため、装置の小型化が困難であった。
【0036】また、回転継電器部は、歪ゲージ104の
微小信号を摺動しつつ伝達するため、信頼性を上げるた
めには、または使用可能回転数を上げるためには、形状
精度の高い、つまり製造コストの高い回転継電器部が必
要であった。
【0037】また、測定装置そのものを把握するため、
被工作部材自身を把握したときの把握力の測定はできな
かったために工作の制御には利用できなかった。
【0038】したがってこの発明は、前述した課題を解
決するためになされたものであり、その目的は、感度の
線形化,測定感度の向上,測定精度の向上,信頼性の向
上,装置製造コストの低減および測定対象の拡大を可能
とする歪測定装置,この歪測定装置を利用した歪制御装
置を提供することにある。
【0039】また、この発明の他の目的は、被工作部材
自身を把握するときの把握力測定,装置の小型化、製造
コストの低減を可能とする把握力測定装置,この把握力
測定装置を利用した加工制御装置を提供することにあ
る。
【0040】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために第1の発明に係わる歪測定装置は、光源と、こ
の光源からの光を直線偏光に変換する偏光ビームスプリ
ッタと、この偏光ビームスプリッタの光路上に配置され
かつ歪が発生する部材の表面に形成された透明固体と、
光路中に配置された波長板と、透明固体を通過し偏光ビ
ームスプリッタを経由した信号光を検出する光強度検出
器と、この検出器出力を歪に変換する変換器とを有して
構成されている。
【0041】また、第2の発明に係わる歪測定装置は、
光源と、この光源からの光を直線偏光に変換する第1の
偏光子と、直線偏光を2分するビームスプリッタと、こ
のビームスプリッタの光路上に配置されかつ歪が発生す
る部材の表面に形成された透明固体と、光路中に配置さ
れた波長板と、透明固体を通過しビームスプリッタを経
由した光を直線偏光に変換する第2の偏光子と、この第
2の偏光子の透過光を検出する光強度検出器と、この検
出器出力を歪に変換する変換器とを有して構成されてい
る。
【0042】また、第3の発明に係わる歪測定装置は、
光源と、この光源からの光を直線偏光に変換する第1の
偏光子と、直線偏光を楕円偏光に変換する第1の波長板
と、この第1の波長板の光路上に配置されかつ歪が発生
する部材の表面に形成された透明固体と、この透明固体
の通過光の位相を変換する第2の波長板と、この第2の
波長板の通過光を直線偏光に変換する第2の偏光子と、
この第2の偏光子の透過光を検出する光強度検出器と、
この検出器出力を歪に変換する変換器とを有して構成さ
れている。
【0043】また、第4の発明に係わる歪測定装置は、
光源とこの光源からの光を直線偏光に変換する第1の偏
光ビームスプリッタとこの第1の偏光ビームスプリッタ
を経由した信号光を検出する第1の光強度検出器とから
なる投受光部と、この投受光部の光路上に配置されかつ
歪が発生する部材の表面に形成された透明固体と、この
透明固体の反射光の一部を参照光として取り出す第2の
ビームスプリッタと、参照光を検出する光強度検出器
と、参照光の強度に対する投受光部からの信号光強度の
比の値を求める演算器と、この比の値を歪に変換する変
換器とを有して構成されている。
【0044】また、第5の発明に係わる歪測定装置は、
歪が発生する部材の表面に形成された透明固体と、この
透明固体に周波数の異なる2光波を出射するとともにこ
の2光波の周波数差を出力する投光部と、2光波の透明
固体反射光の周波数差を求める周波数検出器と、両周波
数差の変化により歪を求める演算変換器とを有して構成
されている。
【0045】また、第6の発明に係わる歪制御装置は、
動力発生機と、この動力発生機に連結されかつ回転駆動
する部材と、この部材の表面に形成された透明固体と、
この透明固体の反射光から部材の歪を測定する歪測定装
置と、この歪測定装置の測定結果と既に行った加工結果
とから部材の歪状態を判断する判断装置と、この判断装
置の判断結果に基づいて動力発生機の回転駆動を制御す
る駆動装置とを有して構成されている。
【0046】また、第7の発明に係わる把握力測定装置
は、把握部材または被工作部材に固着されかつ把握力に
よる歪を検知する透明固体と、この透明固体に光を照射
する光源と、透明固体を反射した光を受光する受光手段
と、この受光手段の出力信号に基づいて透明固体が検知
した歪を用いて把握力を算出する把握力算出手段とを有
して構成されている。
【0047】また、第8の発明に係わる把握力測定装置
は、把握部材または把握部材と被工作部材との間に挿入
されかつ把握力による応力を検知する透明固体と、この
透明固体に光を照射する光源と、透明固体を反射した光
を受光する受光手段と、この受光手段の出力信号に基づ
いて透明固体が検知した応力を用いて把握力を算出する
把握力算出手段とを有して構成されている。
【0048】また、第9の発明に係わる把握力測定装置
は、把握部材または把握部材と被工作部材との間に挿入
されかつ把握力による応力を検知する圧電素子と前記圧
電素子が発生する電圧によって偏光特性が変化する光学
素子とを有する光学式応力検知素子と、この光学式応力
検知素子に光を照射する光源と、光学式応力検知素子を
反射した光を受光する受光手段と、この受光手段の出力
信号に基づいて光学式応力検知素子が検知した応力を用
いて把握力を算出する把握力算出手段とを有して構成さ
れている。
【0049】また、第10の発明に係わる把握力測定装
置は、把握部材の把握力を検知する把握力検知素子と、
この把握力検知素子の出力信号を記憶保持する記憶素子
と、この記憶素子を起動させるスイッチと、記憶素子の
出力信号を取り出す出力端子とを有し、これらの把握力
検知素子,記憶素子,スイッチおよび出力端子が把握部
材の回転部に設けられて構成されている。
【0050】また、第11の発明に係わる把握力測定装
置は、把握部材の把握力を検知する把握力検知素子と、
この把握力検知素子の出力信号を音波,電波または光波
に変換し、強度,周波数またはパルス幅に変調する変調
器と、この変調器の出力信号を把握力に変換する復調器
とを有して構成されている。
【0051】また、第12の発明に係わる加工制御装置
は、把握部材に把握された被工作部材の把握力を測定す
る把握力測定装置と、被工作部材に動力を付与させなが
らこの被工作部材の加工を行う可動部を有する動力発生
装置と、把握力測定装置の出力信号に基づいて被工作部
材の工作状態を判別する判断装置と、この判断装置の判
別結果に基づいて動力発生装置の作動を制御する制御装
置とを有して構成されている。
【0052】
【作用】第1の発明に係わる歪測定装置においては、波
長板が透明固体に入射する直線偏光または反射光の位相
を変換するために歪と信号光強度との関係が非線形から
疑似線形になる。
【0053】また、第2の発明および第3の発明に係わ
る歪測定装置においては、偏光子によって消光比が改善
されるため、信号光に重なるノイズ光が減少する。
【0054】また、第4の発明に係わる歪測定装置にお
いては、参照光に対する信号光の強度比は部材の変形や
運動などの状態に影響されない。
【0055】また、第5の発明に係わる歪測定装置にお
いては、光の周波数は透明固体以外のものに影響されな
い。
【0056】また、第6の発明に係わる歪制御装置にお
いては、非接触制御,高速制御が可能にし、制御対象装
置への制御装置組み込みスペースを小さくできる。
【0057】また、第7の発明に係わる把握力測定装置
においては、把握部材または被工作部材に固着された透
明固体は把握力による歪を受け、その屈折率楕円体が変
形し、透明固体を透過する光の偏光状態は把握力によっ
て変化する。
【0058】また、第8の発明に係わる把握力測定装置
においては、把握部材にまたは把握部材と被工作部材と
の間に挿入された透明固体は把握力そのものを直接受け
て変形し、その屈折率楕円体が変形して透明固体を透過
する光の偏光状態は把握力によって変化する。
【0059】また、第9の発明に係わる把握力測定装置
においては、圧電素子によって発生する電圧は把握力と
相関があり、ポッケルスセルや液晶などのような電圧に
よって偏光特性が変化する光学素子を通過する光の偏光
状態は把握力によって変化する。
【0060】また、第10の発明に係わる把握力測定装
置においては、回転部に把握力検知素子の出力信号を記
憶保持する記憶素子を有するため、必要な時刻の信号を
必要なときに検出できる。
【0061】また、第11の発明に係わる把握力測定装
置においては、把握力検出素子の出力信号の伝達を音
波,電波または光波の強度,周波数またはパルス幅によ
る非接触で行われる。
【0062】また、第12の発明に係わる加工制御装置
においては、把握力測定装置の出力信号、つまり把握力
によって被工作部材の把握部材からの脱離危険性などの
工作状態が判断可能となる。
【0063】
【実施例】
(実施例1)図1は、この発明による歪測定装置の一実
施例による構成を示すブロック図であり、符号1から1
1は前述した従来例(図50の構成)と全く同一のもの
である。図1において、13は偏光ビームスプリッタ5
と歪が発生する部材1上の透明固体2との間の光路中に
配置されかつ直線偏光6の位相を変換し楕円偏光14に
する波長板であり、この波長板13はさらに反射光9の
位相も変換する。
【0064】このように構成された歪測定装置において
は、計算の結果、信号光10の強度I、つまり信号光強
度検出器8の検出器出力12は、 I=I0[sin 2θ・cos(k・τ)−(cos 2θ)2・sin(k・τ)]2 (式2) となる。
【0065】ここで、θは直線偏光6の振動方向と波長
板13の主軸方向とのなす角度であり、他の信号は従来
例と同じである。この式2を歪τに関してグラフ化した
ものが図2であり、グラフ中の数値は角度θの値であ
る。式2または図2により、歪τに対する信号光強度I
の変化が波長板13の角度θに依存することがわかる。
また、歪測定範囲を±5deg (=k・τ)程度の範囲に
限れば、角度θが20°の近傍では1%以下の精度で線
形である。
【0066】したがって図1の光学系の構成では、θ=
20°の場合、従来例と比較して以下に説明するような
効果が得られる。 (1)歪に対する信号光強度の特性がほぼ線形である。
したがって変換による誤差が安定し、歪測定精度が安定
する。また、歪への変換演算が三角関数の場合に比較し
て簡単であるので、変換器11は安価のものでよい。 (2)歪の正負の判断が可能である。 (3)低歪測定では、感度が5〜10倍高い。したがっ
て測定精度も同程度向上する。このように従来例より極
めて高感度,高精度に非接触歪測定が可能となる。
【0067】(実施例2)なお、反射光9を、波長板1
3によって位相変換する必要はなく、図3のように偏向
プリズム15を用いて入射光と光路を別にしてもよい。
この場合、部材1の位置により反射光9の光路が変化す
ることを防ぐためにプリズム移動装置16により光路固
定サーボを施してもよい。
【0068】(実施例3)また、図4に示すように波長
板13に穴をあけるなどして反射光9の一部のみを波長
板13を通さずに信号光に変換してもよい。
【0069】(実施例4)さらに透明固体2に直線偏光
を入射して反射光9を位相変換してもよい。つまり図
3,図4の透明固体入射光14と反射光9とを入れ換え
る光学系を用いても前述した効果が損なわれることはな
い。
【0070】これらの実施例2から実施例4のように透
明固体入射光14または反射光9の一方のみを位相変換
する場合は、上式は当てはまらないが、定性的には上式
や図2と何等変わりはなく、波長板13の配置角度θに
よって疑似線形化が可能である。
【0071】(実施例5)なお、図1では、光源3から
の出射光4は、偏光ビームスプリッタ5を直行し直線偏
光とする光学系であるが、図5に示すように光源3から
の出射光4が偏光ビームスプリッタ5を反射する光学系
を用いても全く同様の効果が得られる。
【0072】(実施例6)図6は、この発明の他の実施
例による構成を示すブロック図であり、偏光ビームスプ
リッタ5を、偏光子17とビームスプリッタ18と検光
子として作用する偏光子19とに置き換えたものであ
り、他の構成部品は図1と同一である。
【0073】さて、前述した式1または式2は、偏光ビ
ームスプリッタによって理想的な直線偏光が得られる基
として導いたものである。しかし、実際の偏光ビームス
プリッタで得られる直線偏光には、それと直交する偏光
成分も含まれる。この偏光成分は反射光9の一部であっ
たり、出射光4の散乱光であったり、蛍光灯光などの外
部光であったりし、その偏光状態や強度などの性状は安
定していない。この性状不安定部分が信号光のノイズ光
となる。したがって直線偏光に直交する偏光成分の強度
が大きいほど、つまり消光比(直線偏光強度に対する直
交偏光成分の強度に相当する)が大きいほど、ノイズ光
が増加する。したがって検出器8の分解能を上げても、
このノイズ光のために高精度化は困難である。また、消
光比が極端に悪いと、式1または式2が適用できなくな
る。
【0074】一般に偏光ビームスプリッタの消光比は、
約0.02程度であり、あまりよくない。そこで偏光ビ
ームスプリッタ5を、偏光子17とビームスプリッタ1
8と偏光子19とに置き換えることにより、消光比は約
0.0001程度以下に向上する。したがって部品構成
数は増えるが、ノイズ光の影響は約1/200に低下で
きる。一般に安価な偏光子を用いる場合は、偏光ビーム
スプリッタを用いる場合と比較して光強度損失が約30
%程度ある。この強度損失はS/Nの低下につながる。
しかし、ノイズ光の低減が大きいため、偏光子を使用す
ることによって最終的にS/Nは2桁程度向上すること
になる。そこで、検出器8の分解能を上げれば、高精度
測定が実現できる。また、現在の市場では、偏光ビーム
スプリッタに比べて偏光子とビームスプリッタとの組み
合わせは、コストが約1/3程度抑えられる。
【0075】(実施例7)なお、図6は、図1に対応し
た光学系を用いて構成したものであるが、図3,図4,
図5や以降の実施例に述べる光学系構成に適応できるこ
とはもとより、図50などの従来例にも適応できる。
【0076】(実施例8)図7は、この発明の他の実施
例による構成を示すブロック図であり、符号1から19
は前述した実施例6と全く同一である。
【0077】実施例6または実施例7では、ビームスプ
リッタを用いるために出射光4および反射光9のそれぞ
れ1/2づつが全く無駄になるばかりではなく、装置壁
面および光学部品表面で反射や散乱を起こし、検出器8
で迷光として検出される。この迷光強度が強いほどその
変動がノイズとなり、測定精度を低下させる。
【0078】そこで、図7に示すようにビームスプリッ
タを廃し、斜入射光学系の構成を採用すれば、無駄にな
る光が大幅に減少するだけではなく、その減少分に比例
して迷光も減少する。さらに2つの波長板13の角度θ
を別々に調整できるため、微調整が容易になり、光学部
品の複屈折による位相差の補正が可能である。これは調
整や複屈折による誤差を低減できるため、僅かな信号変
化も検出できることを意味する。つまり測定分解能の高
い、高精度,高感度の歪測定が可能である。
【0079】(実施例9)図8は、図7における各2つ
の偏光子17,19または波長板13を一体にしたもの
である。これらは光路(光軸)に対して直角に配置する
ほうが、その変換性能が高い。しかし、入反射光の角度
βを小さく設定すれば、変換性能の大きな悪化は避けら
れる。このような光学系の構成では、実施例8の効果を
損ねることなく、構成部品数の低減、つまり低コスト化
が実現できる。
【0080】(実施例10)図9は、この発明の他の実
施例による構成を示すブロック図であり、この図におい
て、20は光学式歪測定装置の投受光部であり、この投
受光部20は例えば光源,偏光ビームスプリッタおよび
光強度検出器などで構成されている。21は反射光9の
一部を取り出すビームスプリッタであり、ここではキュ
ーブハーフミラーを用いている。22はビームスプリッ
タ21の反射光である参照光23の光強度を検出する参
照光強度検出器、24は参照光強度に対する検出器出力
(信号光強度)12の出力(比の値)25を求めるわり
算演算器、26は演算器25の出力(比の値)25をト
ルクに変換する変換器であり、図1の変換器11に相当
する。27は反射光や参照光がゴミなどのために遮光さ
れた場合に警告を発生する警報器である。
【0081】信号光の強度は、反射光強度とその反射方
向に影響される。歪が一定にも関わらずこの2つが変化
すれば、歪が変化したと測定される。反射光の強度は反
射面7の反射率によって変化する。一般に反射率は反射
面7に位置によって異なるため、回転や変形が発生すれ
ば、反射光強度が変化する。一方、反射方向は反射面7
の角度によって変化する。この角度も、回転や変形が発
生すれば変化する。この反射率や角度の変化は、歪の発
生する部材においては避けられない。安定するように制
御することは不可能である。しかし、式1または2を見
れば判るように応力が一定ならば、反射光に含まれる信
号光の割合、つまり反射光に対する信号光の比の値は一
定である。
【0082】そこで反射光9の一部をビームスプリッタ
21で参照光23として取り出し検出し、わり算演算器
24によって(信号光強度)/(参照光強度)(=比)
を求め、この値25を基に歪を求めれば、反射率などに
影響されることなく、正しい歪測定ができる。つまり部
材1の移動,回転,振動等の運動や歪、つまり変形に影
響されることなく、安定した測定精度を持つ信頼性の高
い測定が可能となる。
【0083】なお、この光学系では、反射率や角度の変
化だけではなく、透明固体2の透明度の変化にも影響さ
れない。この光学系は従来例に比較してそのS/Nが大
きく向上すること、つまり測定精度が向上することが実
験によって確認されている。
【0084】さて、反射光路などをゴミなどが遮る場合
がある。このとき、わり算処理を施すと、各光の強度測
定値に含まれる誤差が相対的に増大するために比の値2
5に含まれる誤差が著しく増大する。全く遮光された場
合は、わり算の分母が「0」になるため、計算不能に陥
る。このような不具合を事前に回避するために参照光の
強度がある程度低下した場合、測定またはわり算処理を
停止する警報器27を備えれば、測定の信頼性はさらに
向上する。
【0085】(実施例11)実施例10では、各検出器
出力をそのまま信号光強度または参照光強度として比の
値を算出した。しかし、消光比に起因する光,散乱光や
蛍光灯光等の迷光,検出器の暗電流成分などが検出器出
力にはオフセット成分として含まれる。このオフセット
成分が大きい場合は、正しい強度比が求められない。一
方、このオフセット成分は歪によって変化することな
く、一般に測定中は一定である。そこで各検出器のオフ
セット成分を予め記憶し、演算器において、(信号光強
度検出器出力−オフセット成分)/(参照光強度検出器
出力−オフセット成分)を求めれば、正しい強度比の値
が得られる。つまり高精度な歪測定が可能となる。
【0086】(実施例12)歪の高感度測定を行う場
合、その信号光強度の変化は極めて小さい。また、わり
算処理の精度は、増幅回路などによってアナログ演算処
理する場合でも、検出器出力をA/D変換してコンピュ
ータ内でデジタル演算処理する場合でも、光検出精度に
比較して桁違いに悪い。特に信号光強度の変化分が小さ
い場合は、演算誤差がこの変化分を上回ることがある。
したがってこの場合は測定演算分解能が悪いため、測定
不可能ということになる。
【0087】そこで、信号光強度の変化分のみを検出し
た後にわり算処理を行えば、信号光強度の変化しない分
の演算誤差はなくなる。図10がその測定装置の構成図
の一例である。28は信号光強度Iから参照光強度I0
をa倍して差し引く引き算器である。
【0088】引き算処理や定数倍のかけ算処理の精度
は、一般に光検出精度と同等である。したがって引き算
器28の出力(I−a・I0 )には僅かな精度低下しか
ない。そこで演算器28の出力と参照光とに比の値をわ
り算演算器24で求めると、 (I−a・I0 )/I0 となる。一方、引き算処理をしない場合は、 (I/I0 ) となる。
【0089】わり算器出力には一定割合nの誤差が含ま
れるから、各場合の誤差は n(I−a・I0 )/I0 =n(I/I0 )−n・a (引き算あり) n(I/I0 ) (引き算なし) となり、引き算した場合、n・aだけ誤差が低減するこ
とがわかる。したがって引き算処理の後、わり算処理を
した場合、わり算処理の誤差を相対的に低減できるた
め、信号光の僅かな変化の検出が可能になる。つまり高
感度測定が可能である。
【0090】なお、aの値は、測定範囲,検出器や引き
算器などの性能によって適正な値を設定すればよい。ま
た、aは定数であり、 (I−a・I0 )/I0 =(I/I0 )−a であるから、引き算処理をしても測定結果、つまり比の
値に定数aを加えれば、基の正しい比の値が得られる。
【0091】(実施例13)図11は、実施例8または
実施例9のような斜入射光学系において、参照光を引き
出す場合の実施態様を示すものである。反射光9を、ビ
ームスプリッタ21によって2分し、一方を参照光23
として半導体位置検出素子などの位置と強度を検出する
検出器29に入射する。一般に位置検出器29では出力
が2つあり、各出力の和が光強度に、差が光位置にそれ
ぞれ相当する。そこで和算器30で参照光強度を検出
し、差算器31で位置を検出する。
【0092】和算器30の出力は、実施例10等と同様
に参照光としてわり算演算器24に入力すればよい。ま
た、差算器31の出力は、部材1と検出器8の間隔の変
化または検出器8に正しく信号光が入射したかの良否を
示すものであるから、検出器8の位置調整または歪測定
値の補正に役立つ。つまり斜入射の場合に問題になる部
材1の位置ズレの影響を補正でき、信頼性の高い歪測定
が可能となる。
【0093】なお、わり算や引き算などの演算処理は個
々に電子回路上で行ってもよいが、パソコンやマイコン
などのコンピュータ上でプログラムによって行っても良
い。また、ビームスプリッタ21を反射した光ではなく
て直進した光を参照光としてもよい。
【0094】(実施例14)図12は、この発明の他の
実施例による構成を示す斜視図であり、32はその座標
系を示す。33は光学式歪測定装置の投光部であり、こ
の投光部33は周波数f1 のY方向直線偏光6aと周波
数f2 のX方向直線偏光6bとを透明固体2へ向けてそ
れぞれ出射し、また、周波数差(f1 −f2 )を出力す
る。34は反射光9aと反射光9bとの周波数差を求め
る検出器、35は入射光周波数差と反射光周波数差との
差つまり周波数差変化を求める演算器、36は周波数差
変化にその変化の発生した時間であるサンプリング時間
を積和する演算器であり、この演算器36は測定開始か
ら最終的にどの程度の積和変化があったかを求める。3
7は積和の結果を基に歪を求める変換器である。この演
算器35,演算器36および変換器37によって周波数
差の変化から歪を求める演算変換器38を構成する。
【0095】前述したように透明固体2が歪むと、その
屈折率楕円体が変形する。つまり透明固体2中を進む光
の速度が変化することを意味する。透明固体2の透過光
の周波数fに関しては、速度が変化しているときはその
周波数fは(f+Δf)に変化し、速度の変化がなくな
る。つまり一定速度では透明固体2を透過するようにな
ると、前の周波数fに戻ることになる。結局、透明固体
2の歪が変化すると、周波数はΔfだけ変化する。この
周波数の変化分Δfは透明固体2の歪変化のみによって
決まり、光の周波数fや強度iには依存しない。
【0096】ところで、光の周波数は極めて高いので、
現在の技術では直接測定できない。そこで、周波数の僅
かに異なる光と混合を行い、ビート信号を得ることによ
って間接的に周波数変化を測定するヘテロダイン法が用
いられる。
【0097】さて、投光部33を出射した光6は透明固
体2の歪が変化するとき、反射光9の周波数がそれぞれ
(f1 +Δf1 )と(f2 +Δf2 )とに変化する。そ
こでこの2光波のビート信号を取ることによって周波数
の変化の差 (f1 +Δf1 )−(f2 +Δf2 ) が得られる。一方、光の周波数の安定化は極めて難しい
ので、周波数f1 と周波数f2 とは時間とともに変化す
るとみなしてよい。したがってこの変化分が測定誤差に
なる。
【0098】そこで投光部33からのビート信号、つま
り入射光の周波数差(f1 −f2 )を用いて周波数差変
化演算器35によって周波数差の変化のみを求めればそ
の値は (Δf1 −Δf2 ) となり、透明固体2の歪変化のみの関数となる。
【0099】さて、この周波数差の変化(Δf1 −Δf
2 )は、言うなれば、歪変化の時間微分値である。例え
ば図13(a)に示すように歪が変化するとき、周波数
差の変化(Δf1 −Δf2 )は図13(b)に示すよう
に歪変化がないときはゼロであり、歪変化が大きいとき
に大きくなり、歪変化の増減が反転すれば正負が反転す
る。
【0100】そこで、この周波数差の変化(Δf1 −Δ
f2 )にサンプリング時間、つまり周波数差の変化を測
定した時間間隔Δtを掛け、測定開始時よりの和、つま
り Σ(Δf1 −Δf2 )・Δt を積和演算器36によって求めると、図13(c)にな
る。これは歪を表す図13(a)と同形である。したが
って換算係数mを求め、変換器37によって m・Σ(Δf1 −Δf2 )・Δt として透明固体2の歪、つまり部材1の歪が得られる。
【0101】このようにして歪測定値は全く強度に依存
しないため、信頼性の高い歪測定が可能になる。また、
周波数や周波数の位相および時間の測定は、強度の測定
に比較して極めて高精度(通常3桁ほど高い)に測定で
きるため、高精度な歪測定が可能となる。
【0102】(実施例15)直線偏光6aおよび直線偏
光6bの両方ともに透明固体2に入射する必要はなく、
例えば直線偏光6aを鏡などで透明固体2に入射するこ
となく、反射光9aとしてもよい。この場合、周波数Δ
f1 は常にゼロである。また、入射光6は直線偏光であ
る必要もなく、偏光方向も特定する必要はない。測定す
る歪によって適した偏光状態を選択すればよい。さらに
図12では、斜入射光学系の構成となっているが、正反
射光学系を採用してもよい。
【0103】また、周波数安定化レーザなどを用いれ
ば、投光部33からのビート信号、つまり入射光の周波
数差(f1 −f2 )は不必要になる。さらに演算変換器
38は図12の構成に限る必要はなく、演算器35を周
波数差の変化(Δf1 −Δf2)を電流に変換する変換
器とし、積和演算器36をその電流を時間積分する積分
回路としてもよい。
【0104】(実施例16)図14は、この発明の他の
実施例による構成を示すブロック図であり、光学式歪測
定装置の投受光部20a,20bを備え、この場合、ビ
ームスプリッタである光混合分離器39によって透明固
体2への入反射光路を同一にして測定点40を同一にし
たものである。41は2個の投受光部20a,20bの
出力を基に総合的に歪状態を判断する変換器であり、こ
こでは歪テンソルを求める。
【0105】光学式歪測定装置は、入射光の偏光状態を
変えることにより、ある特定の方向の歪についてのみ感
度を有するように調整が可能である。また、一般に歪
は、テンソルであり、表面歪の場合は、2成分を測定し
てはじめて歪テンソルが得られる。したがって歪テンソ
ル測定では、同一点について少なくとも2個の測定装置
が必要である。光学式歪測定では、同一点に複数個の光
が入射しても、各反射光の偏光などの状態は単独の場合
と何等変わりがない。そこで、方向感度の異なる光学式
歪測定装置によって同一点の測定を行えば、歪の2成分
が求まり、歪テンソルが得られる。
【0106】図14では、光混合分離器39であるビー
ムスプリッタによって正反射光路を共用して同一点の測
定を実現したものである。同一点の測定には斜入射光学
系を用いることもできる。しかし、斜入射の場合、光源
と検出器とが離れてしまい、複数個の測定装置を設置す
ることが困難な場合がある。しかも、部材が移動,回転
した場合、同一点に入射しなくなったり、入射方向がず
れる危険性が大きい。しかし、同一光路によって正反射
を用いれば、複数個の設置や部材の移動,回転の影響は
抑えられる。つまり安定した測定が可能である。
【0107】また、同一光路を用いる場合、光源は1個
でもよく、受光側の偏光子,波長板,偏光ビームスプリ
ッタの設置角度によって歪方向感度の設定が可能とな
る。これは、歪方向の感度が入射光の偏光状態のみなら
ず、反射光のうち、いずれの成分を信号光とするかを決
定する受光側の偏光子などの設置状態にも依存するから
である。もちろん、光源が1つであるから、光強度損失
などによる測定性能の低下はあり得るが、部品点数が減
少し、全体の装置製造コストが抑えられる。
【0108】光混合分離器39としてビームスプリッタ
を用いる場合、各投受光器に他の投受光器の光をいっさ
い入れないようにして迷光等の誤差を無くし、高精度の
測定をしたい場合は、各投受光器の光を高速にオン,オ
フ制御すればよい。つまり一方の投受光器が光を出して
測定しているとき、他方の投受光器が光を止めていれ
ば、お互いに影響を及ぼすことはない。この場合、オ
ン,オフの周期は測定に必要な応答時間により決定すれ
ばよい。
【0109】また、オン,オフ制御によっては、特定時
間の正確な歪テンソル測定ができない場合は、光混合分
離器39として三角錐プリズム等の光分散の大きいプリ
ズム等を用い、投受光器20の光周波数を変えればよ
い。例えば図14において、光混合分離器39によって
青色光を直進させ、赤色光を直角に曲げるプリズムとす
る。投受光部20aの光源は青色光を、投受光部20b
は赤色光をそれぞれ出射すれば、各投受光部にもう一方
の投受光部の光は侵入しない。つまり互いに影響するこ
と無く、全く同一時間に歪測定が可能であるため、正確
に歪みテンソルが得られる。この場合、検出器に干渉フ
ィルタのような特定波長のみを通すフィルタを用いれば
迷光等がなくなり、さらに正確の測定が可能である。
【0110】(実施例17)また、広範囲な歪測定にお
いて、実施例1等の場合でも1個の測定装置では図2に
示したように感度が変化し、不感帯も存在する。さらに
歪が大きく変動する場合、感度が正負入れ替わるために
歪の増減が判断できないので、実質的に90deg を越す
場合は測定は不可能である。しかし、波長板の回転角度
を調整して2個の測定装置の感度を違えれば、測定範囲
の制限はなくなる。例えば投受光部20aおよび投受光
部20bの歪に対する信号光強度を図15に示すように
とる。
【0111】歪が45deg 近傍での変化は投受光部20
aの光強度からでは歪の増減が判断できない。しかし、
投受光部20bの信号からは判断が可能である。歪が9
0deg 近傍の場合はその逆になる。結局、いずれか一方
の感度の正負の入れ替わるとき、他方の感度の正負は入
れ替わらないので、歪の増減が判断できない歪測定帯が
ない。そこで、この2個の投受光器の信号光強度を用い
て総合的に歪を測定する変換器41を用いれば、広範囲
な歪測定範囲を持つ歪測定装置が得られる。
【0112】なお、前述した実施例では、2個の測定装
置の場合について説明したが、さらに装置数を増やし、
平均化などの演算を施せば、歪テンソル測定または広範
囲測定の精度が向上する。
【0113】(実施例18)図16は、棒状である部材
1の表面に透明固体2を固着形成し、同一円周上の18
0度反対の位置、つまり同一断面内に歪測定装置の測定
点40を配置した様子を示すものである。棒状部材1が
受ける歪は軸方向の伸縮,曲げおよび捻れである。伸縮
の場合は、投受光部20aと投受光部20bとの出力は
等しい。しかし、曲げの場合は、投受光部20aと投受
光部20bとの出力の絶対値は等しいが、正負つまり歪
の方向が逆である。捻れの場合は、投受光部20aおよ
び投受光部20bとも等しい大きさのせん断歪が得られ
る。
【0114】つまり部材1が受ける歪は、1個の歪測定
装置による表面歪のみではわからない。少なくとも2個
の測定装置が必要である。そして測定装置の配置は、部
材中心軸の垂面断面などの特定の一平面でその部材1を
切断したとき、部材断面周上に測定点40a,40bが
位置するようにすればよい。逆に部材特定断面の周面上
の表面歪が2個以上得られれば、部材1の歪が得られ
る。
【0115】(実施例19)図17は、棒状である部材
1の表面に透明固体2を固着し、同一円周上の120度
づつずらした位置、つまり同一垂直断面内に歪測定装置
の測定点40a,40b,40cを配置したものであ
る。このように特に3個以上の測定装置を配置すれば、
3元連立方程式が得られるから、棒状部材1が伸縮,曲
げおよび捻れを複合的に受ける場合でも、この3個の歪
を分離検出可能である。
【0116】(実施例20)実施例17または実施例1
8では、棒状部材について説明したが、図18に示すよ
うに板状部材1の両面に透明固体2を固着した場合でも
適応できる。また、ここでは棒状または板状の部材の場
合について例を挙げたが、部材形状を特定するものでは
ない。なお、測定点40は、同一平面内に存在しなくて
も、部材の歪を求めることは可能であるが、測定精度が
低下する。
【0117】また、実施例17,18,19では、その
構成によって部材の歪測定について説明したが、実施例
16のように投受光部20a,20bの感度特性を変え
ることによって高範囲測定を行うことも可能である。
【0118】(実施例21)図19は、回転鏡や多重プ
リズム偏向器などのような光走査器42と、fθレンズ
などのような走査光を透明固体2に垂直に入射させる変
向器43とによって光学式歪測定装置の測定点(光照射
位置)を1次元または2次元に走査する本発明の斜視図
である。投受光部20の光14は、光走査器42によっ
て方向を変えられ、変向器43によって透明固体2に垂
直に入射する。光は極めて高速であるため、光走査器4
2の走査方向が時間とともに変化しても、反射光は入射
光14と全く同一の光路を通って投受光部20に戻り、
測定点40の歪測定ができる。その測定時の光走査器4
2の走査方向の情報をもとに測定点40の位置を求めれ
ば、部材表面各位置の歪、つまり歪分布が得られる。
【0119】(実施例22)また、透明固体2への入射
光や反射光を両方とも走査する必要はなく、入射光を透
明固体2の全体を照射するように広げておいて、検出す
る反射光のみを走査選択して歪分布を求めてもよい。逆
に入射光を走査して透明固体2のいずれからの反射光も
検出するようにしても、歪分布は得られる。
【0120】なお、偏向装置44は、図19の構成によ
るものでなくても、多束光ファイバなどによってもよ
い。
【0121】(実施例23)図20は、この発明の他の
実施例を示す構成図である。光学式歪測定装置の投光部
33からの光14は散乱面45で散乱し、受光部46
a,46b,46cによってその散乱光47の偏光状態
を検出し、変換器11によって測定点40の歪が得られ
る。
【0122】散乱面45が使用光の波長以下の良い面粗
度を有する場合、散乱面45で光はほぼ一定方向に反射
する。しかし、面粗度が悪い場合、光はあらゆる方向に
反射する。つまり散乱する。この散乱光47は反射光よ
りはその強度が低下するものの、反射光と同じく透明固
体2の屈折率楕円体の影響を受ける。つまり散乱光47
の偏光状態を検出すれば、部材1の歪が測定できる。
【0123】この場合、散乱光47はあらゆる方向に進
むため、受光部46a,46b,46cの配置場所の制
限は大幅に減少する。また、1個の投光部33に対して
図20のように複数個の受光部46a,46b,46c
の設置が可能なため、強度低下による測定精度を少しで
もおぎなう精度向上が期待できる。または、実施例16
のように受光部の感度特性を異にして歪テンソルの測定
または測定範囲の拡大が可能となる。この場合は、実施
例15に用いたような複数個の信号から総合的に歪を求
める変換器41が必要となる。
【0124】(実施例24)図21は、この発明の他の
実施例を示す斜視図であり、光学式歪測定装置の検出器
を導体の箱内に納めたものである。光学式歪測定装置の
信号光10は、導体の箱48に開けられた穴49より侵
入し、光強度検出器の受光素子(フォトダイオード)5
0で光電流に変換され、電流電圧変換回路素子51によ
って電圧に変換され、検出器出力となる。
【0125】部材1は、多くの場合、電動機の力によっ
て歪を発生する。この電動機やこれを制御する電気装置
は、力を与えている間、電流が流れ、電磁波ノイズを発
生する。つまり、部材1に歪が発生し、測定が必要な
間、ノイズを出力する。一方、図22に示すように電磁
波ノイズ52は、導体でない不導体の箱53の内部を透
過する。しかし、図23に示すように導体の箱48で
は、その箱48の表面の通り、箱48の内部には侵入し
ない。つまり箱48の内部に収められたもの、この場
合、フォトダイオード50と電流電圧変換回路素子51
とによって構成された検出器には、電磁波ノイズ52の
影響は及ばない。したがって歪が必要なときに発生して
しまう電磁波ノイズ52の影響が抑えられるため、電磁
波ノイズ52に起因する測定誤差や分解能の低下が抑え
られ、測定精度が向上する。
【0126】図21では、検出器を導体の箱48内に収
めたが、光源などの歪測定装置の他の部分を同一の箱4
8内または別々の箱内に設置してもよい。
【0127】(実施例25)図24は、この発明の他の
実施例を示す構成図であり、光学式歪測定装置の光源
3,偏光ビームスプリッタ5および検出器8を反射防止
処理を施した箱54内に収めたものである。光源3の出
射光4の一部は、偏光ビームスプリッタ5の表面や接合
面で反射され、さらに箱54の内壁面で反射,散乱し、
迷光55aとなる。あるいは偏光ビームスプリッタ5の
表面や接合面で散乱され、さらに箱54の内壁面で反
射,散乱し、迷光55bとなる。これらの迷光55の強
度が信号光10の強度に加算され、検出器8の出力とな
る。したがって迷光55の分が測定誤差になり、迷光5
5の変動が分解能の低下になる。
【0128】多くの光学素子の表面は、このような迷光
が発生しないように反射防止膜が施されている。しか
し、この防止膜の効果も絶対的なものではなく、迷光は
検出器にある程度侵入する。そこで、測定装置を収めた
箱の内面に反射防止処理を施せば、迷光はさらに低下す
る。したがって測定誤差が小さくなり、測定精度が向上
することになる。
【0129】なお、反射防止処理は、面粗度を低下させ
る,反射防止膜を付着するおよび黒色にするなど、特に
限定するものではない。
【0130】(実施例26)図25は、この発明の他の
実施例を示す斜視図であり、56は棒状部材の表面に透
明固体を固着するシリコンゴムなどのゴム状材料からな
る透明固体製作用型である。この型56には前述した部
材1に透明固体2を固着した状態に相当する形状の空洞
(キャビティ)57がある。一般に型56のキャビティ
57中に入れられた硬化する前の透明固体(透明液体)
と部材とは、透明液体硬化後、型56を図26に示すよ
うに切断面58によって型56aと型56bとに分断す
ることによって透明固体が部材に固着した状態で取り出
される。
【0131】この場合、透明固体と部材との接着作業ま
たは透明固体を必要な形状にする切削加工などは不要で
あり、キャビティ形状どうりの形状が精度よく得られ
る。しかし、一度切断した型では、もとどうりのキャビ
ティ形状を得ることは困難であり、したがって同一形状
の透明固体を部材に固着することはまず無理である。
【0132】そこで、切断面をなくし、材質をゴムとす
る。ゴム材は、エポキシ樹脂などの透明固体との離型性
がよく、ゴム弾性のため、透明固体が固着した状態の部
材を強引に引き抜く場合でも、よく伸び引き抜きやす
く、引き抜いた後はほぼ完全にもとの形状に戻る。つま
りこのゴム型があれば、接着や切削加工などの熟練を要
する作業なしに、精度よく、しかも簡単に透明固体を部
材に固着できる。さらにこの型は繰り返し使用可能であ
る。したがって製作コストは大幅に縮小できる。
【0133】ここでは、棒状部材の型について説明した
が、板状部材など他の部材にもこの型が使用できること
は明かである。
【0134】なお、ゴム型ではなく、高精度金型を用い
れば、切断面の有無に関係なく、高精度な透明固体形状
が得られる。しかし、この場合、製造コストが莫大なも
のになる。
【0135】(実施例27)図27は、この発明の他の
実施例を示す透明固体製作用型56の流入路59付近の
断面図であり、60は固化する前の透明固体2である液
体状材料、61は液体状材料60の型空洞内への流入路
のランナ、62は流入路のゲート、63はランナ61と
ゲート62とを結ぶ狭化部の勾配角度、64は液体状材
料60と型65との濡れ角である。
【0136】さて、一般のゲート形状は、図28に示す
ように勾配角度63が約90度である。ここに液体状材
料60が流入してくると、液体状材料60がゲート62
にさしかかったとき、気泡65が形成されてしまう。こ
の気泡65は、その浮力のためにしばらくしてゲート6
2に流れ込み、結局型空洞57内に入る。したがって液
体状材料60が硬化物である透明固体内に気泡が含まれ
てしまう。気泡が存在すると、部材の表面歪は正確に透
明固体に伝わらない,入射光が散乱されてしまうおよび
実質的に透明固体の厚さが薄くなるため、信号光強度が
減少するなどの不具合が発生する。
【0137】しかし、図27に示すように濡れ角64よ
りも勾配角度63を小さくすれば、気泡が形成されるこ
とはない。したがって、気泡による上記の不具合の発生
もない。
【0138】(実施例28)図29は、この発明の他の
実施例を示す光学部品であるレンズ付近の断面図であ
り、66は光学部品としてのレンズ、67はレンズ66
を設定固定する架体、68はレンズ66に応力を与える
応力付与治具としての止めネジである。レンズ66を接
着剤で固定する場合、接着剤は固化すると、多少縮小す
るため、レンズ66には引っ張り応力が発生する。この
応力のためにレンズ66に複屈折が発生し、レンズ66
の透過光は位相変化を受ける。しかし、止めネジ68に
よってレンズ66に適度な圧縮応力を与えれば、接着剤
の引っ張り応力と打ち消し合ってレンズ66の透過光は
位相変化を受けない。したがってレンズに発生する応力
による測定誤差が抑えられる。
【0139】ここでは、レンズ66に発生する接着剤に
よる応力を例としたが、レンズの製造過程で発生する残
留応力も同様に解消可能である。また、レンズ以外のフ
ィルタ,窓ガラス,鏡,プリズムなどに発生する応力も
同様に解消可能である。
【0140】また、応力付与治具は、止めネジ68でな
くてもよく、例えば圧電素子などによって電気的に与え
てもよい。
【0141】さらに、応力による光学部品の複屈折を積
極的に利用してもよい。例えば実施例1などに使用した
波長板は、光の成分に位相差を与えるものである。波長
板の代わりに他の光学部品に応力を与え、光に位相変化
を与えれば、実施例1と同様の効果が高価な波長板の使
用なしに実現できる。この場合、電気的に感度調整が可
能となり、波長板の回転器など可動部が不要になる。こ
れはコスト低減,軽量小型化に有効である。
【0142】(実施例29)図30は、この発明の他の
実施例での歪に対する信号光強度の相対値を示すグラフ
である。部材に透明固体を固着した状態では、図51に
示したのと同様に透明固体には何等歪がないため、図3
0に示す無残留応力時の感度曲線となる。しかし、測定
する歪と反対方向の応力が残るように透明固体に部材を
固着すると、感度曲線は矢印アのように右にシフトし、
残留応力付与時の感度曲線aになる。さらに大きな応力
が残るようにすれば、感度曲線は矢印イのようにシフト
し、残留応力付与時の感度曲線bになる。また、測定す
る歪と同一方向の応力が残るように透明固体に部材を固
着すると、感度曲線は左にシフトする。したがって感度
特性は残留応力によって調整可能ということがわかる。
【0143】つまり、固体材質,厚さ,使用温度によっ
て異なる感度、すなわち歪に対する信号光強度は、透明
固体に残留応力を付与すれば、どの部材に固着した透明
固体においても、歪に対する信号光強度変化を一定に設
定できる。または、部材にかかった外力が同一ならば信
号光強度も同一という状態にも設定可能である。
【0144】さらに、実施例1などと同様な効果、つま
り感度の線形化および高感度化などによる高精度測定の
実現も可能である。
【0145】なお、残留応力の付与は、 (1)透明固体に応力を与えたまま部材に接着する (2)透明固体のガラス転移点以上の温度で透明固体を
固着した部材に歪を与え、そのままの状態で冷却する など、測定に適した方法を選択すればよく、この発明に
おいて制限するものではない。
【0146】また、一般に透明固体のヤング率は、金属
などに代表される部材材料のそれの20分の1以下であ
る。さらに本発明では、部材の表面に透明固体を固着形
成するため、歪方向に垂直な断面の部材に対する透明固
体の面積比はわずかである。したがって部材表面に固着
された透明固体の残留応力は、そのヤング率と断面積比
とから考えて部材に極めて微少な歪しか与えない。
【0147】(実施例30)図31は、この発明の他の
実施例を示す斜視図であり、69は偏波面保存ファイバ
であり、この偏波面保存ファイバ69はコネクタ70に
よって投受光部20に接続されている。投受光部20で
発生した直線偏光は、コネクタ70を介して偏波面保存
ファイバ69に入射する。直線偏光は偏波面保存ファイ
バ69内ではその偏光状態が変化すること無く進み、出
射して部材1に固着された透明固体2に入射する。歪に
よる信号光を含んだ反射光は、偏波面保存ファイバ69
に入射し、コネクタ70を介して投受光部20で検出さ
れる。
【0148】したがって偏波面保存ファイバ69を用い
れば、その性質によって偏光状態を変えること無く、光
路を形成できる。この偏波面保存ファイバ69による光
路はゴミ,水,切り粉および埃などによって信号光の遮
断はもとより信号光の減少による測定不具合がない。さ
らに部材の移動にともなってファイバ端が移動しても測
定に影響がないため、移動のために何等特別な装置を要
しない。
【0149】なお、偏波面保存ファイバ69は、図31
ではパンダファイバを用いたが他のものでもよい。
【0150】(実施例31)図32は、この発明の他の
実施例を示す構成図であり、71a,71bは直線偏光
6の光路上にそれぞれ気体72a,72bを出射する気
体路である。この気体72a,72bの流れ、つまり気
流のために光路上に飛来したゴミ,水,切り粉および埃
などは光路の外に排除される。光路は常に気体路71
a,71bからの気体72a,72bによって満たされ
るため、直線偏光6や反射光の減少または遮断による測
定不具合の発生が抑えられる。また、光路上のゴミなど
が少なくなるため、光学部品にそれらが付着することに
よって発生する不具合が抑えられる。
【0151】(実施例32)図33は、この発明の偏波
面保存ファイバについて行ったさらに他の実施例を示す
斜視図であり、図34はその断面図である。これは、気
体路71の内部に偏波面保存ファイバ69を設置したも
のである。この場合、図34に示すように気体72は流
れのパイプともいうべき状態を形成するように出射され
る。つまり光路上の気体72の流れは少ないが、その周
りの流れは速いため、光路上にゴミなどが飛来すること
は少ない。
【0152】(実施例33)図35は、この発明のさら
に他の実施例を示す断面図であり、図34とは異なり、
偏波面保存ファイバ69の端面を気体路71の内部に設
定したものである。この場合、気体72は、光路上にも
確実に流れるため、ゴミなどの排除効果が大きい。
【0153】(実施例34)図36は、この発明のさら
に他の実施例を示す断面図であり、図35の気体路71
の端部を絞ったものである。この場合、気体72は光路
上のみに存在し、その速い流れを形成するため、さらに
ゴミなどの排除効果が大きい。
【0154】なお、気体72の流れは、図32のように
光路の一部でもよいし、図36のように光路全てにわた
ってもよいが、後者の方がゴミなどの排除効果が大きい
ことは確かである。また、流速も特に規定するものでは
ないが、早いほど排除効果が大きい。しかし不必要に高
い効果は装置コストを増加させるため、装置に適したも
のを選択すればよい。また、気体の流れの方向はゴミな
どの飛来して来る方向に向いている方がよいことは言う
までもない。
【0155】(実施例35)図37は、この発明の他の
実施例を示す斜視図であり、外径80の棒状部材81
と、この外径80よりも小さい内径83の透明固体パイ
プ82とを加熱して熱膨張させ、内径83を外径80よ
り大きくして棒状部材81に挿入し、その後、冷却した
ときの側面図が図38である。冷却時、パイプ82は収
縮して部材81に固着する。収縮は均一に起こるため、
固着後のパイプ82の弾力性も均一になり、残留応力残
留歪も均一になる。この均一な歪は測定に誤差を与えな
い。つまり測定誤差の原因の一つとなる接着層なしに透
明固体パイプ82を棒状部材81に固着できる。
【0156】(実施例36)図39は、この発明の他の
実施例を示す側面図であり、透明固体パイプ82の両端
部の内径が外径80より小さい場合である。図38の場
合は、パイプ内面全てが部材81に接触する。したがっ
て部材81表面のわずかな凸凹が面圧分布、つまり応力
の不均一を起こす危険性がある。しかし、図39に示す
ように光が当たるパイプ中央部が部材81に接触しなけ
れば、この危険性はない。そして歪はパイプの両端部か
らパイプ中央部に伝わるため、表面の凸凹に影響されな
いで測定できる。
【0157】なお、部材81へのパイプの挿入は、熱膨
張による必要はなく、部材81を冷却し収縮させてもよ
く、また単に圧入してもよく、この発明において制限す
るものではない。
【0158】(実施例37)図40は、この発明の他の
実施例を示す斜視図であり、棒状の部材1の中央部が光
が当たる部分である。その両側に中央部よりも外径の小
さい部分84aを設けた。一般に透明固体を部材に固着
した場合、剥がれは透明固体の周辺部より起こる。そこ
でこの両側の部分84aにまたがって透明固体を接着な
どにより固着すれば、光が当たる周辺部、つまり両側の
部分84aはその固着層が厚いため、固着強度が高くな
る。
【0159】したがって透明固体は部材から剥がれ難く
なる。例えば中央部の透明固体が剥がれても、両側の部
分84aに強固に透明固体が固着しているため、光が当
たる中央部に歪は正確に伝わる。このように光の当たる
部分の周辺に固着が強固な部分を設ければ、測定中、透
明固体が剥がれて測定不能になる危険性は大幅に減少す
る。
【0160】(実施例38)図41は、この発明のさら
に他の実施例を示す斜視図であり、棒状の部材1の中央
部が光が当たる部分であり、その両側に中央部よりも面
粗度の悪い部分84bをサンドブラストまたは液体ホー
ニングなどによって設けた。一般に面粗度が悪い、つま
り固着表面積が大きい場合、接着などの固着強度は強く
なる。そこでこの両側の部分84bにまたがって透明固
体を接着などにより固着すれば、両側の部分84bはそ
の固着強度が高くなる。したがって透明固体は部材から
剥がれ難くなり、実施例36と同様の効果が得られる。
【0161】(実施例39)図42は、この発明のさら
に他の実施例を示す斜視図であり、棒状の部材1の中央
部が光が当たる部分であり、その両側にこの場合中心軸
に平行に溝を設けた部分84cを持つ。そして図43が
溝の部分84cの断面図である。この場合もこの両側の
部分84cにまたがって透明固体を接着などにより固着
すれば、両側の部分84cはその固着強度が高くなる。
したがって透明固体は部材から剥がれ難くなり、実施例
36などと同様の効果が得られる。なお、溝は円周方
向、つまり図42に示す方向と直交する方向に設けても
よい。
【0162】(実施例40)図44は、この発明のさら
に他の実施例を示す斜視図であり、棒状の部材1の中央
部が光が当たる部分であり、その両側に穴84dまたは
突起84eを設けたものである。この場合も、この両側
の穴84dまたは突起84eにまたがって透明固体を接
着などにより固着すれば、両側の穴84dまたは突起8
4eはその固着強度が高くなる。したがって透明固体は
部材から剥がれ難くなり、実施例36などと同様の効果
を得る。この場合、上記の実施例に比較して両側の部分
84の加工は簡単であるが、光が当たる部分の周辺部の
一部のみしか固着強度が増強されず、比較的透明固体は
剥がれやすい。
【0163】なお、部分84の変形様態をここではいく
つかを示したが、これらを複合的に使用してもよい。ま
た、ここで示した様態以外でも、光が当たる部分と面形
状を異にすれば固着強度の増強が図れる。さらに実施例
では、部材として棒状材を用いたが、これに限るもので
はなく、板状材や球面状材などあらゆるものにこの発明
は適応可能である。
【0164】(実施例41)図45は、この発明の他の
実施例を示す斜視図であり、棒状の部材1に端部を面と
り部85とした部材86を固着したものである。そして
その側面図が図46である。
【0165】さて、一般に棒状部材1に透明固体2を固
着した場合の側面図は、図47のようになる。例えば部
材1に軸方向の圧縮力が加わると、部材表面の歪は均一
であり、これにともなって透明固体の部材接触面の歪も
均一になる。しかし、透明固体の外周側端部87付近で
は歪はほぼゼロになる。このように透明固体2では歪に
分布があるため、接触面端88に最も応力が集中する。
この応力のために部材1の歪が大きい場合や歪変化が大
きい場合、接触面端88が部材から剥がれる。この剥が
れは、歪の繰り返しによって進行し、透明固体の光が当
たる中央部に至り、測定不能状態を引き起こす。
【0166】ここで、外周側端部87に面とりを施し、
面とり部85とすると、急激にゼロ歪になる部分、つま
り外周側端部87がなくなり、接触面端88の応力が緩
和する。したがって測定不能となる危険性が減少する。
【0167】なお、図48に示すように部材1の透明固
体2を固着する部分の内径を小さくし、外周側端部87
をも部材に固着するようにしても、歪の不均一は緩和さ
れ、透明固体が剥がれる危険性は低下する。しかし、加
工コストの増加および部材の剛性の低下につながり、総
合的な効果は減少する。
【0168】さらに、実施例では部材として棒状材を用
いたが、これに限るものではなく、板状材や球面状材な
どあらゆるものにこの発明は適応可能である。
【0169】(実施例42)図49は、この発明の他の
実施例を示すエンドミル切削加工制御装置の斜視構成図
であり、89はこの図において部材1であるエンドミル
を駆動する例えばモータからなる動力発生機、90は透
明固体2の反射光によって歪が発生する部材1として例
えばエンドミルの歪またはその捻れ応力を測定する光学
式歪測定装置である。91は測定装置90の信号と、こ
れまでに行った加工の測定装置90の出力および面粗
度,寸法精度,形状精度などの加工結果のデータを収め
たデータベース92のデータとを比較して現在の加工状
態および加工結果を計算推測する判断装置である。93
は判断装置91の判断結果に基づいて動力発生機89の
回転力や回転数を制御するドライバである。
【0170】このように本発明の光学式歪測定装置を利
用した歪または応力制御装置は、光学式歪測定装置の特
徴である非接触,高速応答および小スペースといった特
徴に加えて高精度,高信頼性という本発明の特徴をも合
わせ持つため、その制御装置としての性能は従来のもの
に比較して格段の向上がある。以下具体的に説明を行
う。
【0171】光を用いるため、完全に非接触である。例
えば歪ゲージによって非接触測定を行う場合、部材1上
に送信器などが必要になる。この場合、電池交換などの
メンテナンスも必要になる。しかし光を用いているた
め、簡単に非接触測定が実現できる。
【0172】また、光を用いるため、歪信号(信号光)
の伝達が高速(光速)である。したがって制御において
も、より高速になり、制御精度も増すことになる。ま
た、線形化された感度特性を利用すれば、高速な線形制
御法が利用できる。
【0173】光照射部分である測定点40は、1〜2mm
の直径が有れば十分であるから、歪が発生する部材に歪
の測定または制御のために必要なスペースは極めて小さ
い。例えば歪ゲージを貼る場合、直径10mmのスペース
は必要である。さらに信号線の引き回しのスペースも必
要になる。しかし、本発明では、測定部分のみに透明固
体2を固着するだけのスペースで十分である。
【0174】さらにこの発明に歪み測定装置を利用すれ
ば、前述した歪測定装置の特徴を有する歪制御装置が実
現できる。つまり測定分解能が高く、高感度なため、高
精度の制御ができ、測定の不具合が発生する危険性が極
めて低く、信頼性の高い制御ができる。
【0175】(実施例43)なお、ここではこの発明の
切削加工への利用例について説明したが、自動車や列車
などの動力輪の捻り歪またはトルクの制御,潜水艦や宇
宙船の内外壁の面圧や張力の制御および橋梁や高層建築
物の圧縮引張力の制御などにも非接触,高速および小ス
ペースという特徴を活かして本発明が利用できることは
言うまでもない。
【0176】なお、前述した実施例では、主に棒状部材
のトルクによるせん断歪を例として用いたが、圧縮歪な
どの測定も全く同様に可能である。
【0177】また、前述した実施例では、ビームスプリ
ッタとしてキューブ型のものを用いたが、プレート型の
ものを用いても何等発明の効果を損なうものではない。
【0178】また、透明固体は、約100%透明である
必要はなく、また有色であってもこの発明は基本的に適
応可能である。しかし、透明度が約100%に近いほど
測定精度が上がることは言うまでもない。
【0179】また、部材表面に透明固体を形成する方法
は、全面接着しても、応力が正確に伝わるように考慮
し、部分的に接着してもよく、また、接着剤によって
も、透明固体自体の接着力によっても、圧着によっても
よく、さらに反射面は部材表面そのままでも、反射膜を
成膜してもよく、制限する必要はない。
【0180】また、この発明では、透明固体反射光を用
いたが、部材に穴まどがある場合、または穴などを設け
ることができる場合、透明固体透過光を用いてもよい。
しかし、この場合、投光部と受光部とが分離し、装置構
成が複雑になる。
【0181】ところで、前述した実施例では、主に歪測
定に利用する場合について説明したが、歪を基にした算
出される応力または応力テンソル,圧縮力,引張力,面
圧,トルク,万有引力,電気磁気による引力斥力,加速
度,遠心力,温度,湿度などの測定も可能である。
【0182】(実施例44)図50は、この発明による
把握力測定装置の一実施例による構成を示す斜視図であ
る。同図において、151は旋盤の3爪のチャック把握
部材であり、このチャック把握部材151は図88のチ
ャックBに相当する。152はチャック把握部材151
によって把持された被工作部材、153は被工作部材1
52に接着などで固着された透明固体、154は透明固
体153に光155を照射する光源、156は光155
を直線偏光に変換する偏光子、157は直線偏光の半分
の光158を通過するキューブビームスプリッタ、15
9は光158の透明固体153での反射光、160はキ
ューブビームスプリッタ157で反射した反射光のうち
特定方向の偏光成分161のみを通過する検光子、16
2はこの検光子偏光成分161の強度分布を撮影する写
真機、163は光源154の点灯,消灯を制御する信号
発生器、164は信号発生器163からの出射光であ
り、チャック回転中に光164が印165に当たったと
きのみ信号発生器163から光源154の点灯信号が発
生する。
【0183】次に動作について説明する。把握部材15
1によって把持された被工作物152には、把握力によ
って歪が発生する。この歪によって被工作物152上に
固着された透明固体153も歪を受けることになる。こ
の歪は、均一であることも不均一であることもあり、そ
れは被工作部材152の固着位置に依存する。いずれの
場合にも、この歪のために透明固体153の屈折率楕円
体が変形する。これは一般に光弾性効果と呼ばれる現象
である。
【0184】一方、透明固体153に偏光子156によ
って直線偏光158を入射した場合、反射光159のう
ち、ある特定方向の偏光の強度分布は、光弾性効果によ
って例えば図51のようになる。この図51は、換言す
れば、偏光子156を通して光源154によって照明さ
れた透明固体153の反射光強度分布を、検光子160
を通して写真機162で撮影したものである。このよう
な撮影の構成は、光弾性皮膜法と呼ばれる応力分布解析
方法の一つである。
【0185】この図51のような縞模様、つまり反射光
に強度分布が発生するように透明固体153の状態およ
び撮影構成をなすことは可能であり、未把握時、つまり
無把握時にこの縞模様が得られたと仮定する。次に把握
した場合、透明固体153の屈折率楕円体が変形するた
めに縞模様も変形を受け、図52のようになる。この縞
模様の変化、つまり見かけ上の縞の移動距離は、弾性変
形内では把握力に比例する。したがって逆に縞模様の変
化、つまり縞の移動量から把握力が得られる。
【0186】なお、縞模様の形状および移動方向は、図
51および図52のようになるとは限らず、透明固体1
53の初期屈折率楕円体分布,把握力による被工作部材
152の歪分布の撮影構成に影響される。つまり把握力
算出手段としては、縞模様の変化を基に把握力を算出す
ることとなる。
【0187】また、回転中の把握力の測定は、撮影技術
の一つであるストロボ点滅撮影による。つまり回転中に
位置を示す印165を把握部材151などに取り付け、
信号発生器163の出射光164が印165に当たった
一瞬だけ光源154を点灯させる。回転中のある特定時
点でのみ透明固体153が照明されるため、常に同一位
置で透明固体153の撮影が可能となる。したがって回
転数に関係なく、正しい位置で透明固体153の光弾性
縞模様の撮影ができ、回転中、全く非接触で把握力が測
定できる。
【0188】つまり、この実施例によれば、回転中,静
止中に関わらず、被工作部材152そのものを把握した
把握力を測定できるため、信頼性高い確実な測定ができ
る。また、被工作部材152の一部に安価な透明固体1
53を貼り付けるだけで良いため、測定装置の小型化,
製造コストの低減ができる。
【0189】(実施例45)図50では、透明固体15
3を被工作部材152に固着したが、チャックの把握部
材151に固着しても全く同様の効果が得られる。
【0190】(実施例46)図53は、この発明の他の
実施例を示す斜視図であり、被工作部材152の付近の
みについて示している。ストロボ点滅撮影系は図50と
同様であるもので良いので、ここでは省略する。この図
53では、透明固体153をチャックの把握部材151
と被工作部材152との間に挿入したものである。把握
力が作用していないときの縞模様を図54に示す。これ
は全く縞がないように撮影構成を行ったものである。図
54の透明固体153のように台形形状の場合、把握部
材151によって把握すると、透明固体153には不均
一な歪が発生する。つまり、狭い把握部材側では歪が大
きく、広い被工作部材側では歪が小さい。このような場
合、透明固体153には屈折率楕円体の分布が発生し、
図55のように縞模様が現れる。この縞模様の移動距離
または縞間隔は透明固体153の歪、つまり把握力に比
例する。したがって、光弾性縞模様から把握力が算出で
きる。なお、屈折率楕円体に分布がなく、均一な場合、
透明固体153は全体が同一色(同一の明るさ)にな
り、把握力が増大すると、その明るさが周期的に変化す
る。
【0191】つまり、この実施例によれば、回転中,静
止中に関わらず、被工作部材152そのものを把握した
把握力を測定できるため、信頼性の高い確実な測定がで
きる。また、安価な透明固体153を用いるため、測定
装置の小型化、製造コストの低減ができる。
【0192】(実施例47)図56は、透明固体153
を台形とせず、その中央上部に溝153aを設けたもの
である。把握力ゼロの場合、縞がないとすると、把握力
が作用すると、図56のように溝コーナ部に歪が集中
し、縞模様が発生する。この縞模様からこれまでと同様
に光弾性皮膜法を応用して把握力が算出可能である。
【0193】(実施例48)図57は、透明固体153
ではなく、把握部材151に溝151aを設けたもので
ある。この場合は、把握力が作用すると、溝エッジ部が
透明固体153に当たっている箇所に歪は集中し、縞模
様が発生する。この縞模様からもこれまでと同様に把握
力が算出可能である。
【0194】(実施例49)図58は、透明固体153
に穴153bを設けたものである。この場合は、把握力
が作用すると、穴153bの周りに歪が集中し、縞模様
が発生する。この縞模様からもこれまでと同様に把握力
が算出可能である。
【0195】このように歪分布が発生する形態をとれ
ば、把握力によって光弾性縞模様が変化し、その変化か
ら把握力が算出可能である。この発明は、このような歪
分布発生方法を制限するものではない。勿論、均一歪と
して全体の明暗の変化から把握力を得ることも可能であ
る。
【0196】また、次に示す実施例50のようにチャッ
ク爪の間に挿入しても良い。
【0197】(実施例50)図59は、この発明の他の
実施例を示す斜視図であり、透明固体153をチャック
の把握部材1511 と把握部材1512 との間に挿入し
たものである。この透明固体153に光源154から光
を照射してその反射光のうち、透明固体153の発光波
長のうちの一つの波長λ0 を分光器166で検出する。
【0198】図60(a)に示すように把握力が作用し
ていないとき、分光器166で検出する反射光の波長
は、透明固体153の発光波長λ0 に等しい。しかし、
図60(b)に示すように把握力が作用すると、透明固
体153は歪が発生する。このため、透明固体153の
分子配列は摂動を受け、量子力学的計算の結果、発光波
長は変化する。特にこの波長変化の大きさは、把握力が
大きいほど大きい。つまり把握力を受けると、透明固体
153の反射光の波長は、図60(b)に示すようにΔ
λシフトする。このシフト量は、図61に示すように把
握力と比例関係にある。したがってこの波長の変化Δλ
から把握力が算出できる。つまり把握力算出手段として
は、波長変化を定数倍して把握力に変換することとな
る。
【0199】したがってこの実施例によれば、回転中,
静止中に関わらず、被工作部材152そのものを把握し
た把握力を測定できるため、信頼性の高い確実な測定が
できる。また、薄い透明固体153を用いるため、測定
装置の小型化,製造コストの低減ができる。さらに波長
による測定であるため、電磁波や光強度変動などのよう
なノイズに対して信頼性の高い測定が可能となる。
【0200】(実施例51)図62は、この発明の他の
実施例を説明する図であり、装置の構成は図59と全く
同様である。しかし、分光器166では反射光のうち、
透明固体153の近接した2個の発光波長を検出する場
合を考える。把握力が作用していないとき、分光器16
6で検出する反射光の波長λ1 ,波長λ2 は、図62
(a)に示すような強度である。しかし、把握力が作用
すると、透明固体153には歪が発生する。このため、
透明固体153の分子配列は摂動を受け、量子力学的計
算の結果、透明固体153の発光線の発光し易さが変化
する。特にこの変化の大きさは、把握力が大きいほど大
きい。つまり、把握力を受けると、透明固体153の反
射光の波長は図62(b)のように強度が変化する。こ
の強度変化量は図63に示すように把握力と比例関係に
ある。したがってこれらの波長の強度変化から、または
強度比の変化から、把握力が算出できる。つまり把握力
算出手段としては、強度変化の1次関数として把握力に
算出することとなる。
【0201】したがって、この実施例によれば、回転
中,静止中に関わらず、被工作部材152そのものを把
握した把握力を測定できるため、信頼性の高い確実な測
定ができる。また、薄い透明固体153を用いるため、
測定装置の小型化,製造コストの低減ができる。特に強
度比による測定においては、電磁波や光強度変動などの
ようなノイズに対して信頼性の高い測定が可能である。
【0202】(実施例52)図64は、この発明の他の
実施例を示す斜視図であり、図53または図59の透明
固体153の代わりに挿入する把握力検出素子の構成を
示す。図64において、167は把握力によって電圧を
発生する圧電素子、168はこの圧電素子167の電圧
を液晶電極169に伝える導電板、170は液晶電極1
69間にかかる電圧によって偏光特性が変化する液晶、
171は光源154の光を直線偏光に変換する偏光子、
172は液晶170によって偏光状態が変化した入射直
線偏光を反射する反射板、173はその反射光を検出す
る光強度検出器である。
【0203】図64に示すように光源154から出射し
た光は、この実施例の把握力検出素子に入射すると、偏
光板171で直線偏光となり、液晶170で振動方向が
傾くなどの偏光状態の変換を受ける。そして反射板17
2で反射し、さらに再び液晶170によって偏光状態を
変換され、偏光子171である振動方向の成分だけが出
射する。この出射光の強度を検出器173で測定する
と、例えば図65のような把握力との相関が得られる。
これは、把握力によって発生した圧電素子167の電圧
によって液晶170の偏光状態の変換作用の度合いが異
なるためである。したがって光強度を測定すれば、把握
力が算出できる。
【0204】つまり、この実施例によれば、回転中,静
止中に関わらず、被工作部材152そのものを把握した
把握力を測定できるため、信頼性の高い確実な測定がで
きる。また、測定装置の構成が簡単であるため、測定装
置の小型化,製造コストの低減ができる。さらに光源1
54および光強度検出器173の2個の装置のみで、し
かも非接触に把握力の測定が可能である。
【0205】(実施例53)図66は、この発明の他の
実施例を示す把握力検出素子の正面図であり、図64の
実施例と異なり、導電板168aからの電圧を抵抗器群
173を介して液晶電極169aに供給するものであ
る。抵抗器群173の各抵抗器173a〜173eの抵
抗値を変えることによって液晶170に印加する電圧を
違えることができる。このようにした場合の各液晶電極
169aからの反射光強度は、図67および図68のよ
うになる。図67は図68の場合に比較して把握力が小
さい場合である。このように適当な値の抵抗器群173
を挿入することによってデジタルレベルメータのような
把握力を表示できる。この場合、特に光源154および
光強度検出器173を用いなくても、目視によって把握
力が測定できる。
【0206】(実施例54)また、さらに抵抗器群17
3の各抵抗器173a〜173eの抵抗値を変えること
によってレベルメータではなく、図69および図70に
示すような2進数によって把握力を示すことも可能であ
る。例えば図69は把握力「2」であり、図70は把握
力「5」である。このようにすれば、抵抗器群173の
抵抗器数を同じくしてレベルメータに相当する図66の
場合よりも分解能が高く把握力が測定できる。
【0207】なお、液晶170には、各種構造のものが
あり、偏光状態の変換作用形態も各々異なる。したがっ
て液晶170の種類によって抵抗器群173の抵抗値を
決定する必要がある。さらに偏光板171の光学軸の方
向も使用する液晶に適したものとすると良い。また、偏
光子の他に波長板を挿入することによって測定特性が良
くなる場合もある。しかし、この実施例による圧電素子
と液晶との組み合わせによる把握力検出素子は、前述し
た液晶の種類による構成の違いを制限するものではな
い。
【0208】つまり、この実施例によれば、回転中,静
止中に関わらず、チャックの爪に把握力検出素子を設け
ているので、被工作部材そのものを把握した把握力を測
定でき、信頼性の高い確実な測定がきでる。また、測定
装置の構成が簡単であるために測定装置の小型化、製造
コストの低減ができる。さらに目視によって把握力の測
定が可能である。
【0209】(実施例55)図71は、この発明の他の
実施例を示す斜視図であり、図71において、174は
被工作部材152に接着などで固着された把握力検出素
子、175は把握力検出素子174の出力を保持する記
憶素子を含む把握力測定信号出力装置であり、この信号
出力装置175上には装置起動用の端子176および信
号出力用端子177が設けてある。
【0210】図72は、把握力測定信号出力装置175
の構成を示すブロック図である。図72において、17
8は把握力検出素子174の信号を増幅する増幅器、1
79は増幅器178の出力を保持する記憶素子、180
は起動用端子176からの信号によって把握力検出素子
174に電力を供給して動作させ、また、記憶素子17
9の保持動作を開始させるタイマスイッチである。
【0211】このような構成において、起動用端子17
6に信号が入力されると、タイマスイッチ180は把握
力検出素子174に電力を供給する。したがって把握力
検出素子174は把握力を検出し、その信号を増幅器1
78に入力する。記憶素子179の入力として適した電
圧に十分増幅された増幅器178の出力は記憶素子17
9を通して出力端子177から検出可能となる。この状
態でタイマスイッチ180が起動してから特定時間経過
したことを知らせるスイッチ信号が発生し、記憶素子1
79に入力されると、スイッチ信号入力時点での増幅器
178の出力が記憶素子179内で保持される。この保
持値は把握力信号として常時出力端子177から取り出
せる。また、スイッチ信号入力以降は、増幅器178の
出力がどのように変化しても保持値は変化しない。
【0212】このように構成された把握力測定装置で
は、チャック停止時に起動用端子176により測定を起
動させ、直ちに回転させる。そして、必要な時点での把
握力を保持するようにタイマスイッチ180の時間設定
をしておけば、保持後、チャックの回転を停止させて回
転中の把握力を出力端子177から測定できる。つま
り、従来、把握力の測定の信号伝達手段として必要であ
った高価なスリップリングなどが全く不必要になり、安
価に測定ができる。信号の検出は、テスターなどの安価
な電圧測定器によって手軽に行える。また、可動部がな
いため、回転数に制限がない。そして、被工作部材自身
を用いるため、実際に工作する回転数での把握力測定が
行える。
【0213】前述した実施例では、タイマスイッチ18
0によって検出素子174の起動をも行っている。この
説明を、一般によく用いられる図73のような検出素子
の回路構成によって行う。これは検出素子174として
歪ゲージを用い、電力をタイマスイッチ180によって
供給し、その出力を抵抗のブリッジ回路によって検出
し、増幅器178で差動増幅するものである。このブリ
ッジ回路の抵抗値は120〜350Ω程度であり、測定
をしていないときに電力を供給し続けていると、著しく
電力を消費してしまう。1回の測定に必要な信号は数m
秒もあれば十分である。検出素子174に電力を与え続
けることは大変な無駄である。したがって、タイマスイ
ッチ180によって測定に必要なときのみ検出素子17
4に電力を供給すれば、省エネルギーとなり、測定装置
の寿命も1桁以上向上することになる。
【0214】(実施例56)図74は、この発明の他の
実施例を示すブロック図であり、把握力の時間変化を測
定可能としたものである。図74において、181はタ
イマスイッチ180のスイッチ信号によって増幅器17
8の出力を記憶素子群182に順次振り分けて入力する
マルチプレクサである。
【0215】このような構成において、起動端子176
に信号が入力されると、まず、クリア信号が時間t0
マルチプレクサ181に出力され、記憶素子182aに
増幅信号を入力する。次に設定した時間t1 にマルチプ
レクサ181にスイッチ信号が出力され、記憶素子18
2にその時間の入力が保持される。同時に記憶素子18
2bに増幅信号を切り換え、入力する。さらに設定した
時間t2 にマルチプレクサ181にスイッチ信号が出力
され、記憶素子182bにその時間の入力が保持され
る。同時に記憶素子182cに増幅信号を切り換え、入
力する。以下、同じように順次各記憶素子182に把握
力測定値が保持される。
【0216】このように多数個の把握力測定値が任意の
時刻に保持できるので、停止状態から回転開始,回転安
定,回転停止までの間の把握力の測定が回転中の信号伝
達手段を必要とせず、可能となる。
【0217】(実施例57)図75は、この発明の他の
実施例を示すブロック図であり、実施例56と異なる方
法で把握力の時間変化を測定可能としたものである。図
75において、183は増幅器178の出力をデジタル
値に変換するA/D変換器、184はタイマスイッチ1
80のスイッチ信号によってファーストインファースト
アウト(FIFO)記憶素子185にデータ信号を出力
するレジスタである。
【0218】このような構成において、起動端子176
に信号が入力されると、設定した時間t1 にレジスタ1
84にスイッチ信号が出力され、その時間のA/D変換
されたデータ信号が記憶素子185に入力される。この
入力はFIFO記憶素子185内を出力端子177側の
方向に沿って転がって行き、順次格納される。次に設定
した時間t2 にレジスタ184にスイッチ信号が出力さ
れ、その時間のA/D変換されたデータ信号が記憶素子
185に入力される。この入力もFIFO記憶素子18
5内を出力端子177側の方向に沿って転がって行き、
先の時間t1 のデータの隣に格納される。以下、同じよ
うに順次各記憶素子184に把握力測定値が列をなして
保持される。次に出力については、出力端子177から
1番出力側の時間t1 のデータが入力されると、そのデ
ータは消失し、1番出力側に1データ分の空きができ
る。そうすると、2番目のデータが1番目の位置に移動
し、3番目が2番目、4番目が3番目と全データが1つ
ずつ出力側に移動する。次は出力端子177から1番出
力側の時間t2 のデータが出力され、そのデータは消失
し、全データが1つずつ出力側に移動する。以下、この
ような操作を行って全データを出力する。
【0219】この実施例においても、多数個の把握力測
定値が任意の時刻に保持できるので、停止状態から回転
開始,回転安定,回転停止までの間の把握力の測定が回
転中の信号伝達手段を必要とせず、可能となる。
【0220】(実施例58)図76は、この発明の他の
実施例を示す斜視図である。図76において、185は
把握力検出送信部であり、この把握力検出送信部185
はチャック把持部186を矢印の位置で把握すると、把
握力を音波,電波または光波に変換し、回転軸上に開け
られた出射孔187により出射する。189は受信表示
部190に開けられた受信孔であり、検出送信部185
からの信号を把握力に変換し、表示器であるメータ19
1に表示する。
【0221】図77は、図76の信号の流れを示すブロ
ック図である。同図において、把握力検出素子174は
チャック把握部186の内部に設置されており、把握力
を効果的に検出する。192は増幅器178で増幅され
た信号を音波,電波または光波に変換する変調器、19
3は変調された信号188を受信部に送出するスピー
カ,アンテナまたは光源などの送信部、194は送信部
193より送信された信号を受信するマイクロフォン,
アンテナまたは受光器などの受信部、195は受信部1
94で受信した信号を把握力に変換する復調器である。
【0222】次に具体的な動作について光波を用いて説
明する。この場合、送信部193は光源、受信部194
は受光器とする。変調器192および復調器195の把
握力と光強度との関係を図78のようにする。チャック
把持部186をチャックによって把握力Tで把持する
と、その力は検出素子174によって検出され、増幅さ
れる。この増幅信号、つまり把握力は、変調器192に
よって図78の関係に沿うように送信部193としての
光源を発光させる。この信号光188は出射孔187よ
り出射し、受信孔198に入射する。出射孔187と受
信孔189とはともに回転軸上に位置するため、回転中
においても回転による強度変動は発生しない。さて、受
信孔198よりの信号光は受信部194としての受光器
で受信され、復調器195で図78の関係を満足するよ
うに把握力に変換される。最後のこの把握力信号はメー
タ表示器191によって把握力として明示される。
【0223】例えば回転中はチャックなどの遠心力によ
って把握力は低下する。このときの送信部193として
の光源の信号出力、つまり信号光強度を示したものが図
79の時間波形である。停止中、一定であった光強度は
回転開始によって低下し始め、回転が安定すると、一定
値で落ち着く。そして、回転を止めると、光強度は再び
増加し始め、停止する前回の停止状態の把握力を示す値
に戻り、一定となる。この光強度の変化を復調器195
によって把握力に変換する。このように光などによって
非接触で信号を伝達するため、測定に回転数の制限がな
い。さらに図77からもわかるように構成が極めて簡単
であり、測定器の製造コストが低く抑えられ、結局、測
定コストが低下する。また、把持部186を被工作部材
とすれば、信頼性の高い測定が実現できる。
【0224】(実施例59)図80および図81は、こ
の発明の他の実施例を説明するグラフであり、この場
合、変調器192と復調器195との機能を、把握力と
光パルス幅とを図80のように関係付けるものとする。
実施例58と同様に回転中による把握力の変化を示す。
このときの送信部193としての光源の信号出力、つま
り信号光パルスを示したものが、図81の時間波形であ
る。停止中、一定であった光パルス幅は回転開始によっ
て狭化し始め、回転が安定すると、一定値で落ち着く。
そして、回転を止めると、光パルス幅は再び増加し始
め、停止すると、前回の停止状態の把握力を示す値戻
り、一定となる。このような光パルス幅の変化を復調器
195によって把握力に変換する。このように光パルス
幅によって非接触で信号を伝達するため、測定に回転数
の制限がない。さらに光強度変動などのノイズの影響を
受けにくい測定が実現できる。
【0225】(実施例60)図82および図83は、こ
の発明の他の実施例を説明するグラフであり、この場
合、変調器192と復調器195との機能を、把握力と
光の周波数とを図82のように関係付けるものとする。
実施例58および実施例59と同様に回転中による把握
力の変化を示す。このときの送信部193としての光源
の信号出力、つまり信号光周波数を示したものが、図8
3の時間波形である。停止中、一定であった光周波数は
回転開始によって低下し始め、回転が安定すると、一定
値で落ち着く。そして、回転を止めると、光周波数は再
び増加し始め、停止すると、前回の停止状態の把握力を
示す値に戻り、一定となる。このような光周波数の変化
を復調器195によって把握力に変換する。このように
光周波数によって非接触で信号を伝達するため、測定に
回転数の制限がない。さらに光強度変動などのノイズの
影響を受けにくい測定が実現できる。
【0226】(実施例61)図84は、この発明の他の
実施例を示すブロック図であり、実施例55の起動用端
子176を光スイッチ受光器196に置き換えたもので
ある。この光スイッチ受光器196は光スイッチ光源1
97の光によって起動信号を出力する。この場合、光に
よる非接触起動であるため、何時如何なる時でも測定の
起動が行える。つまり、回転中の任意の時間に測定を行
い、測定値を保持または出力できる。また、スイッチ1
80にはタイマ機能が不必要なので、製造費が安価にな
る。
【0227】(実施例62)実施例61では、実施例5
5への適用例を示したが、これに限る必要はなく、実施
例58などのような場合でも適用可能である。このよう
な場合は、光スイッチ光源197が点灯状態の場合だ
け、信号光188を出力するようにすれば良い。このよ
うにすれば、不要なときの測定が除去でき、電力消費の
抑制ができる。つまり、電池などの寿命が長くなり、必
要なときに電力が低下すというトラブルなどがなくな
る。これは信頼性の高い測定につながる。
【0228】(実施例63)図85は、この発明の他の
実施例による構成を示すブロック図である。図85にお
いて、198は被工作部材152を把握する旋盤の3爪
チャックであり、このチャック198には把握力検出素
子174および測定値送信部185が内蔵されている。
この測定値送信部185から出力された把握力信号は受
信部190で回転または停止を問わず、把握力信号を任
意の時間に受信し、把握力に変換される。199はデー
タベース200のデータを参考にしながら、加工状態を
判別する判断装置である。201は動力発生装置である
回転軸モータ202,切削工具203を搭載したY軸テ
ーブル204およびX軸テーブル105を判断装置19
9の出力によって制御する制御装置である。
【0229】このように構成される把握力検知加工制御
装置において、検出素子174によって把握力の低下が
検知されると、送信部185および受信部190を経て
把握力信号が判断装置199に入力される。ここで、加
工条件,被工作部材,データベース200のデータ,要
求精度などを基に現状の加工が進と、びびりなどが発生
して面粗度が悪化しないか、被工作部材152が脱離す
る危険性がないか、被加工部材152が変形し要求精度
を満足できなくなるか否かなどを判断する。そしてこの
判断に基づいて前述した不具合を回避するにはどのよう
に加工条件を変更すれば良いかを計算し、制御装置20
1に命令を出力する。制御装置201はこの命令を実行
し、動力発生装置の回転軸モータ202の回転数,可動
部であるX軸テーブル205およびY軸テーブル204
の送り速度,切り込み量が補正される。今日まで作業者
の勘によってまたは失敗の積み重ね、つまり経験によっ
て行ってきた判断を、このようにチャック把握力を測定
することによって誰でも簡単に必要とする仕様の部材が
加工できる。
【0230】また、判断装置199に学習機能を付け、
そのデータをデータベース200に蓄えるようにすれ
ば、より信頼性の高い制御装置となり、必要な部材が能
率的に生産でき、生産コストの低減,歩留まりの向上な
どの効果は大きい。
【0231】また、判断装置199は、異常発生の警報
を発するのみの機能としても良い。この場合、判断装置
199はより簡単に構成し、製作できるが、自動運転
時、不良品などをいつまでも製作することがない。つま
り本実施例の無人運転への初歩的な活用ではあるが、歩
留まりの向上が実現できる。
【0232】さらに制御装置201の信頼性,適用範囲
の向上を図るには、判断装置199への入力を把握力だ
けでなく、被工作部材152の温度,工具204の主分
力および背分力などの多くのパラメータを用いれば良
い。
【0233】なお、ここでは旋盤の把握力について説明
したが、フライス盤などの工具の把握力測定にも利用で
きる。
【0234】なお、この実施例による把握力測定装置
は、把握力測定に最も適しているが、他の力測定に利用
できることは言うまでもない。
【0235】
【発明の効果】この発明は、以上に説明したように構成
されているので、以下に記載されるような効果を奏す
る。
【0236】光学式歪測定装置の光路上に波長板を設置
することにより、歪と信号光強度との関係が疑似的に線
形になるため、安価な変換器が利用でき、測定精度や測
定感度が安定し、歪方向が判断可能となる効果がある。
【0237】また、安価な偏光子とビームスプリッタと
の組み合わせ光学系を偏光ビームスプリッタと置き換え
たため、安価に測定精度が約2桁向上する効果がある。
【0238】さらに斜入射光学系を採用することによ
り、ビームスプリッタが不要な光学系構成とし、光強度
損失を抑えたため、高分解能で高感度,高精度な測定が
可能になる効果がある。
【0239】また、反射光の一部を参照光として検出
し、信号光との比を求め、この比の値をもとに歪を算出
することにより、測定結果に対する反射光の影響を抑え
られるため、可動物や反射率分布が著しいものでも安定
した信頼性の高い高測定精度が得られる効果がある。
【0240】また、光の強度ではなく、周波数を検出し
て歪を求めることにより、反射光強度に全く影響され
ず、高信頼性を持つ高分解能高精度測定が実現できると
いう効果がある。
【0241】また、光学式歪測定装置を用いて歪または
応力制御装置を構成したので、非接触で応答時間が速
く、また、占有スペースが小さい制御装置が得られるた
め、これまで適用できなかった各種動力発生装置にも制
御装置が適用可能になるという効果がある。
【0242】また、把握部材または被工作部材自身に把
握力検出素子である透明固体を固着したので、測定にお
いては被工作部材自身を把握したときの把握力そのもの
を測定することになり、実用のために信頼性の高い測定
結果が得られる効果がある。また、光を用いるため、非
接触であり、したがって回転数に制限がないという効果
もある。また、把握力だけではなく、把握力による被工
作部材の歪分布が得られるという効果もある。
【0243】また、把握部材の間または被工作部材と把
握部材との間に把握力検出素子である透明固体を挿入し
たので、測定においては被工作部材を把握する把握力の
測定が可能となり、実用のために信頼性の高い測定が得
られる効果がある。また、光を用いるため、非接触であ
り、したがって、回転数に制限がないという効果もあ
る。
【0244】また、把握力検出素子を圧電素子と電圧と
によって偏光特性が変化する光学材料によって構成した
ので、非接触に測定でき、装置の構成も光源と光強度検
出器のみという簡単なものであるので、製造コストが低
く抑えられる。さらにこの光源と検出器は無くても測定
は可能となっている。
【0245】また、把握力を保持する記憶素子を回転す
る部分に設けたので、信号伝達手段を必要としない。こ
のため、回転数に制限がない。製造コストが抑えられ
る。また、回転停止後に回転中の把握力を測定できる。
【0246】また、信号伝達を音波または光波の強度ま
たは周波数またはパルス幅によって行うため、非接触で
測定ができる。このため、回転数に制限がない。スリッ
プリングなどの高価な信号伝達手段を必要としないた
め、製造コストが低く、抑えられる。
【0247】把握力を測定することによって加工を制御
するためにびびりによる面の荒れ,把握力による歪,被
工作部材の脱離などの不具合の発生が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示す構成図である。
【図2】この発明の歪対信号光強度の関係を示すグラフ
である。
【図3】この発明の実施例2を示す波長板周辺の構成図
である。
【図4】この発明の実施例3を示す波長板周辺の構成図
である。
【図5】この発明の実施例5を示す構成図である。
【図6】この発明の実施例6を示す構成図である。
【図7】この発明の実施例8を示す構成図である。
【図8】この発明の実施例9を示す構成図である。
【図9】この発明の実施例10を示す構成図である。
【図10】この発明の実施例12を示す構成図である。
【図11】この発明の実施例13を示す反射光路付近の
構成図である。
【図12】この発明の実施例14を示す斜視構成図であ
る。
【図13】この発明の実施例14の説明のための時間に
対する歪,周波数差変化,周波数差変化の時間積和を表
すグラフである。
【図14】この発明の実施例16を示す構成図である。
【図15】この発明の実施例17の説明のための歪に対
する信号光強度を表すグラフである。
【図16】この発明の実施例18を示す断面図である。
【図17】この発明の実施例19を示す断面図である。
【図18】この発明の実施例20を示す断面図である。
【図19】この発明の実施例21を示す斜視図である。
【図20】この発明の実施例23を示す斜視構成図であ
る。
【図21】この発明の実施例24を示す斜視図である。
【図22】この発明の実施例24を説明するための電磁
波経路を示す斜視図である。
【図23】この発明の実施例24を説明するための電磁
波経路を示す斜視図である。
【図24】この発明の実施例25を示す構成図である。
【図25】この発明の実施例26を示す型の斜視図であ
る。
【図26】従来の切断面を持つ型を示す斜視図である。
【図27】この発明の実施例27を示すゲート部分付近
断面図である。
【図28】従来の型のゲート部分付近を示す断面図であ
る。
【図29】この発明の実施例28を示すレンズ付近の断
面図である。
【図30】この発明の実施例29を説明するための歪に
対する信号光強度を示すグラフである。
【図31】この発明の実施例30を示す斜視図である。
【図32】この発明の実施例31を示す構成図である。
【図33】この発明の実施例32を示す斜視図である。
【図34】この発明の実施例32を示す断面図である。
【図35】この発明の実施例33を示す断面図である。
【図36】この発明の実施例34を示す断面図である。
【図37】この発明の実施例35を示す透明固体パイプ
の斜視図である。
【図38】この発明の実施例35を示す側面図である。
【図39】この発明の実施例36を示す側面図である。
【図40】この発明の実施例37を示す部材の斜視図で
ある。
【図41】この発明の実施例38を示す部材の斜視図で
ある。
【図42】この発明の実施例39を示す部材の斜視図で
ある。
【図43】この発明の実施例39を示す部材の断面図で
ある。
【図44】この発明の実施例40を示す部材の斜視図で
ある。
【図45】この発明の実施例41を示す透明固体の斜視
図である。
【図46】この発明の実施例41を示す側面図である。
【図47】従来の透明固体を示す側面図である。
【図48】この発明の実施例41を説明するための部材
側面図である。
【図49】この発明の実施例42を示す斜視構成図であ
る。
【図50】この発明の実施例44を示す斜視図である。
【図51】透明固体の光弾性縞模様を示す図である。
【図52】透明固体の光弾性縞模様を示す図である。
【図53】この発明の実施例46を示す斜視図である。
【図54】透明固体の光弾性縞模様を示す図である。
【図55】透明固体の光弾性縞模様を示す図である。
【図56】この発明の実施例47の光弾性縞模様を示す
図である。
【図57】この発明の実施例48の光弾性縞模様を示す
図である。
【図58】この発明の実施例49の光弾性縞模様を示す
図である。
【図59】この発明の実施例50を示す斜視図である。
【図60】反射光の波長変化をしめすグラフである。
【図61】把握力と波長変化の関係を示すグラフであ
る。
【図62】この発明の実施例51による反射光の強度分
布変化を示すグラフである。
【図63】把握力と強度変化の関係を示すグラフであ
る。
【図64】この発明の実施例52を示す斜視図である。
【図65】把握力と反射光強度の関係を示すグラフであ
る。
【図66】この発明の実施例53を示す斜視図である。
【図67】把握力が小さいときの反射光強度分布を示す
グラフである。
【図68】把握力が大きいときの反射光強度分布を示す
グラフである。
【図69】この発明の実施例53の把握力測定素子での
把握力が「2」のときの反射光強度分布を示すグラフで
ある。
【図70】この発明の実施例53の把握力測定素子での
把握力が「5」のときの反射光強度分布を示すグラフで
ある。
【図71】この発明の実施例55の把握力測定装置を示
す斜視図である。
【図72】実施例55の把握力測定装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図73】実施例55の把握力測定装置の回路構成の一
部を示す図である。
【図74】この発明の実施例56の把握力測定装置の構
成を示すブロック図である。
【図75】この発明の実施例57の把握力測定装置の構
成を示すブロック図である。
【図76】この発明の実施例58の把握力測定装置の構
成を示す斜視図である。
【図77】実施例58の把握力測定装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図78】変調器および復調器の把握力と光強度との関
係を示すグラフである。
【図79】停止,回転,停止に至る場合の光強度の時間
変化を示す波形図である。
【図80】この発明の実施例59による変調器および復
調器の把握力と光パルス幅の関係を示すグラフである。
【図81】停止,回転,停止に至る場合の光強度の時間
変化を示す波形図である。
【図82】この発明の実施例60による変調器および復
調器の把握力と光周波数の関係を示すグラフである。
【図83】停止,回転,停止に至る場合の光周波数の時
間変化を示す波形図である。
【図84】この発明に実施例61による把握力測定装置
の構成を示すブロック図である。
【図85】この発明に実施例63による制御装置の構成
を示す模式図である。
【図86】従来の光学式歪測定装置であるトルク測定装
置を示す構成図である。
【図87】従来の光学式歪測定装置の歪対信号光強度の
関係を示すグラフである。
【図88】従来の把握力測定装置の構成を示す断面図で
ある。
【図89】従来の把握力測定装置をZ軸方向から見た平
面図である。
【図90】チャック把握力の遠心力による変化を示す模
式図である。
【符号の説明】
1 歪が発生する部材 2 透明固体 3 光源 4 出射光 5 偏光ビームスプリッタ 6 直線偏光 7 反射面 8 信号光強度検出器 9 反射光または通過光 10 信号光 11 検出器出力を歪に変換する変換器 12 検出器出力(信号光強度) 13 波長板 14 入射光 15 偏向プリズム 16 プリズム移動装置 17 偏光子 18 ビームスプリッタ 19 偏光子 20 光学式応力測定装置の投受光部 21 参照光を取り出すビームスプリッタ 22 参照光強度検出器 23 参照光 24 比の値を求める演算器 25 演算器出力(比の値) 26 比の値を歪に変換する変換器 27 警報器 28 引き算器 29 位置検出器 30 和算器 31 差算器 32 座標系 33 光学式応力測定装置の投光部 34 周波数差を求める周波数検出器 35 周波数差変化を求める演算器 36 積和演算器 37 周波数差変化の積和より歪を求める変換器 38 歪を求める演算変換器 39 光混合分離器 40 測定点 41 2個以上の信号光より歪を求める変換器 42 偏向装置の光走査器 43 偏向装置の変向器 44 偏向装置 45 散乱面 46 光学式歪測定装置の受光部 47 散乱光 48 導体の箱 49 穴 50 光強度検出器の受光素子(フォトダイオード) 51 光強度検出器の電流電圧変換回路素子 52 電磁波ノイズ 53 不導体の箱 54 反射防止処理を施した箱 55 迷光 56 透明固体製作用型 57 空洞(キャビティ) 58 切断面 59 流入路 60 液体状材料 61 ランナ 62 ゲート 63 勾配角度 64 濡れ角 65 気泡 66 光学部品(レンズ) 67 光学部品固定架体 68 応力付与治具(止めネジ) 69 偏波面保存ファイバ 70 ファイバコネクタ 71 気体路 72 気体 80 丸棒状部材の外径 81 丸棒状部材 82 透明固体パイプ 83 透明固体パイプの内径 84 面形状が異なる部分 85 面とり部 86 面とりを施した透明固体 87 透明固体外周側端部 88 接触面端 89 動力発生機 90 光学式歪測定装置 91 判断装置 92 データベース 93 ドライバ 151 把握部材 152 被工作部材 153 透明固体 154 光源 155 光 156 偏光子 157 キューブビームスプリッタ 158 光 159 反射光 160 検光子 161 特定方向の偏光成分 162 写真機 163 信号発生器 164 出射光 165 印 166 分光器 167 圧電素子 168 導電板 169 液晶電極 170 液晶 171 偏光子 172 反射板 173 光強度検出器 174 把握力検出素子 175 把握力測定信号出力装置 176 起動用端子 177 信号出力用端子 178 増幅器 179 記憶素子 180 タイマスイッチ 181 マルチプレクサ 182 記憶素子群 183 A/D変換器 184 FIFO記憶素子 185 把握力検出送信部 186 チャック把持部 187 出射孔 188 信号 189 受信孔 190 受信表示部 191 メータ 192 変調器 193 送信部 194 受信部 195 復調器 196 光スイッチ受光器 197 光スイッチ光源 198 チャック 199 判断装置 200 データベース 201 制御装置 202 回転軸モータ 203 切削工具 204 Y軸テーブル 205 X軸テーブル
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】この把握力測定装置の回転中は、ボタン1
01,ストレンシャフト102,ボタン103,歪ゲー
ジ104,リード線107,コネクタ110,リード線
112,スリップリング113および軸受け115まで
の部分がチャックとともに回転する。したがって信号伝
達のためには、リード線のみでは対応できない。そこで
スリップリング113とブラシ118とによって回転摺
動しつつ信号を伝達する。また、回転数が上昇すると、
片持ちであるため、回転ぶれなどが大きくなる。そこで
テールストックのセンタを心支え軸124のセンタ穴1
29に押し当てることによって両持ちとし、回転ぶれな
どを著しく低下させている。したがって高速回転域にお
いてもこの把握力測定装置が使用可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】したがって各遠心力が実際の工作状態と異
なると、得られた把握力の測定値は不確実なものとな
る。つまり、チャック爪Bの形状や中心からの距離,測
定器135の形状や材質が実際と異なると、測定値の信
頼性がない。これは、つまり測定器135を用いた測定
では、測定器の性能がいくら良くても、その測定値の
頼性が低いことがわかる。したがって信頼性のある測定
を行うためには測定器を把握するのではなく、被工作部
材を把握する必要がある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】また、第6の発明に係わる歪制御装置は、
動力発生機と、この動力発生機に連結されかつ回転駆動
する部材と、この部材の表面に形成された透明固体と、
この透明固体の反射光から部材の歪を測定する歪測定装
置と、この歪測定装置の測定結果と既に行った作動結果
とから部材の歪状態および作動状態を判断する判断装置
と、この判断装置の判断結果に基づいて動力発生機の回
転駆動を制御する駆動装置とを有して構成されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】また、第6の発明に係わる歪制御装置にお
いては、非接触制御,高速制御を可能にし、制御対象装
置への制御装置組み込みスペースを小さくできる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】また、第9の発明に係わる把握力測定装置
においては、圧電素子によって発生する電圧は把握力と
相関があり、したがってポッケルスセルや液晶などのよ
うな電圧によって偏光特性が変化する光学素子を通過す
る光の偏光状態は把握力によって変化する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正内容】
【0061】また、第11の発明に係わる把握力測定装
置においては、把握力検出素子の出力信号の伝達を音
波,電波または光波の強度,周波数またはパルス幅によ
って非接触で行う。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正内容】
【0063】
【実施例】 (実施例1)図1は、この発明による歪測定装置の一実
施例による構成を示すブロック図であり、符号1から1
1は前述した従来例(図86の構成)と全く同一のもの
である。図1において、13は偏光ビームスプリッタ5
と歪が発生する部材1上の透明固体2との間の光路中に
配置されかつ直線偏光6の位相を変換し楕円偏光14に
する波長板であり、この波長板13はさらに反射光9の
位相も変換する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0174
【補正方法】変更
【補正内容】
【0174】さらにこの発明の歪測定装置を利用すれ
ば、前述した歪測定装置の特徴を有する歪制御装置が実
現できる。つまり測定分解能が高く、高感度なため、高
精度の制御ができ、測定の不具合が発生する危険性が極
めて低く、信頼性の高い制御ができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0185
【補正方法】変更
【補正内容】
【0185】この図51のような縞模様、つまり反射光
に強度分布が発生するように透明固体153の状態およ
び撮影構成をなすことは可能であり、未把握時、つまり
無把握力時にこの縞模様が得られたと仮定する。次に把
握した場合、透明固体153の屈折率楕円体が変形する
ために縞模様も変形を受け、図52のようになる。この
縞模様の変化、つまり見かけ上の縞の移動距離は、弾性
変形内では把握力に比例する。したがって逆に縞模様の
変化、つまり縞の移動量から把握力が得られる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0200
【補正方法】変更
【補正内容】
【0200】(実施例51)図62は、この発明の他の
実施例を説明する図であり、装置の構成は図59と全く
同様である。しかし、分光器166では反射光のうち、
透明固体153の近接した2個の発光波長を検出する場
合を考える。把握力が作用していないとき、分光器16
6で検出する反射光の波長λ1 ,波長λ2 は、図62
(a)に示すような強度である。しかし、把握力が作用
すると、透明固体153には歪が発生する。このため、
透明固体153の分子配列は摂動を受け、量子力学的計
算の結果、透明固体153の発光線の発光し易さが変化
する。特にこの変化の大きさは、把握力が大きいほど大
きい。つまり、把握力を受けると、透明固体153の反
射光の波長は図62(b)のように強度が変化する。こ
の強度変化量は図63に示すように把握力と比例関係に
ある。したがってこれらの波長の強度変化から、または
強度比の変化から、把握力が算出できる。つまり把握力
算出手段としては、強度変化の1次関数として把握力を
算出することとなる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0229
【補正方法】変更
【補正内容】
【0229】このように構成される把握力検知加工制御
装置において、検出素子174によって把握力の低下が
検知されると、送信部185および受信部190を経て
把握力信号が判断装置199に入力される。ここで、加
工条件,被工作部材,データベース200のデータ,要
求精度などを基に現状の加工が進むと、びびりなどが発
生して面粗度が悪化しないか、被工作部材152が脱離
する危険性がないか、被加工部材152が変形し要求精
度を満足できなくなるか否かなどを判断する。そしてこ
の判断に基づいて前述した不具合を回避するにはどのよ
うに加工条件を変更すれば良いかを計算し、制御装置2
01に命令を出力する。制御装置201はこの命令を実
行し、動力発生装置の回転軸モータ202の回転数,可
動部であるX軸テーブル205およびY軸テーブル20
4の送り速度,切り込み量が補正される。今日まで作業
者の勘によってまたは失敗の積み重ね、つまり経験によ
って行ってきた判断を、このようにチャック把握力を測
定することによって誰でも簡単に必要とする仕様の部材
が加工できる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図66
【補正方法】変更
【補正内容】
【図66】この発明の実施例53を示す平面図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源と、 前記光源からの光を直線偏光に変換する偏光ビームスプ
    リッタと、 前記偏光ビームスプリッタの光路上に配置されかつ歪が
    発生する部材の表面に形成された透明固体と、 前記光路中に配置された波長板と、 前記透明固体を通過し偏光ビームスプリッタを経由した
    信号光を検出する光強度検出器と、 前記検出器出力を歪に変換する変換器と、を備えたこと
    を特徴とする歪測定装置。
  2. 【請求項2】 光源と、 前記光源からの光を直線偏光に変換する第1の偏光子
    と、 前記直線偏光を2分するビームスプリッタと、 前記ビームスプリッタの光路上に配置されかつ歪が発生
    する部材の表面に形成された透明固体と、 前記光路中に配置された波長板と、 前記透明固体を通過しビームスプリッタを経由した光を
    直線偏光に変換する第2の偏光子と、 前記第2の偏光子の透過光を検出する光強度検出器と、 前記検出器出力を歪に変換する変換器と、を備えたこと
    を特徴とする歪測定装置。
  3. 【請求項3】 光源と、 前記光源からの光を直線偏光に変換する第1の偏光子
    と、 前記直線偏光を楕円偏光に変換する第1の波長板と、 前記第1の波長板の光路上に配置されかつ歪が発生する
    部材の表面に形成された透明固体と、 前記透明固体の通過光の位相を変換する第2の波長板
    と、 前記第2の波長板の通過光を直線偏光に変換する第2の
    偏光子と、 前記第2の偏光子の透過光を検出する光強度検出器と、 前記検出器出力を歪に変換する変換器と、を備えたこと
    を特徴とする歪測定装置。
  4. 【請求項4】 光源とこの光源からの光を直線偏光に変
    換する第1の偏光ビームスプリッタとこの第1の偏光ビ
    ームスプリッタを経由した信号光を検出する第1の光強
    度検出器とからなる投受光部と、 前記投受光部の光路上に配置されかつ歪が発生する部材
    の表面に形成された透明固体と、 前記透明固体の反射光の一部を参照光として取り出す第
    2のビームスプリッタと、 前記参照光を検出する光強度検出器と、 前記参照光の強度に対する前記投受光部からの信号光強
    度の比の値を求める演算器と、 前記比の値を歪に変換する変換器と、を備えたことを特
    徴とする歪測定装置。
  5. 【請求項5】 歪が発生する部材の表面に形成された透
    明固体と、 前記透明固体に周波数の異なる2光波を出射するととも
    に前記2光波の周波数差を出力する投光部と、 前記2光波の透明固体反射光の周波数差を求める周波数
    検出器と、 前記両周波数差の変化により歪を求める演算変換器と、
    を備えたことを特徴とする歪測定装置。
  6. 【請求項6】 動力発生機と、 前記動力発生機に連結されかつ回転駆動する部材と、 前記部材の表面に形成された透明固体と、 前記透明固体の反射光から前記部材の歪を測定する歪測
    定装置と、 前記歪測定装置の測定結果と既に行った加工結果とから
    前記部材の歪状態を判断する判断装置と、 前記判断装置の判断結果に基づいて前記動力発生機の回
    転駆動を制御する駆動装置と、を備えたことを特徴とす
    る歪制御装置。
  7. 【請求項7】 把握部材または被工作部材に固着されか
    つ把握力による歪を検知する透明固体と、 前記透明固体に光を照射する光源と、 前記透明固体を反射した光を受光する受光手段と、 前記受光手段の出力信号に基づいて前記透明固体が検知
    した歪を用いて把握力を算出する把握力算出手段と、を
    備えたことを特徴とする把握力測定装置。
  8. 【請求項8】 把握部材または把握部材と被工作部材と
    の間に挿入されかつ把握力による歪を検知する透明固体
    と、 前記透明固体に光を照射する光源と、 前記透明固体を反射した光を受光する受光手段と、 前記受光手段の出力信号に基づいて前記透明固体が検知
    した応力を用いて把握力を算出する把握力算出手段と、
    を備えたことを特徴とする把握力測定装置。
  9. 【請求項9】 把握部材または把握部材と被工作部材と
    の間に挿入されかつ把握力による応力を検知する圧電素
    子と前記圧電素子が発生する電圧によって偏光特性が変
    化する光学素子とを有する光学式応力検知素子と、 前記光学式応力検知素子に光を照射する光源と、 前記光学式応力検知素子を反射した光を受光する受光手
    段と、 前記受光手段の出力信号に基づいて前記光学式応力検知
    素子が検知した応力を用いて把握力を算出する把握力算
    出手段と、を備えたことを特徴とする把握力測定装置。
  10. 【請求項10】 把握部材の把握力を検知する把握力検
    知素子と、 前記把握力検知素子の出力信号を記憶保持する記憶素子
    と、 前記記憶素子を起動させるスイッチと、 前記記憶素子の出力信号を取り出す出力端子と、とを備
    え、前記把握力検知素子,記憶素子,スイッチおよび出
    力端子が前記把握部材の回転部に設けられていることを
    特徴とする把握力測定装置。
  11. 【請求項11】 把握部材の把握力を検知する把握力検
    知素子と、 前記把握力検知素子の出力信号を音波,電波または光波
    に変換し、強度,周波数またはパルス幅に変調する変調
    器と、 前記変調器の出力信号を把握力に変換する復調器と、を
    備えたことを特徴とする把握力測定装置。
  12. 【請求項12】 把握部材に把握された被工作部材の把
    握力を測定する把握力測定装置と、 前記被工作部材に動力を付与させながら前記被工作部材
    の加工を行う可動部を有する動力発生装置と、 前記把握力測定装置の出力信号に基づいて前記被工作部
    材の工作状態を判別する判断装置と、 前記判断装置の判別結果に基づいて前記動力発生装置の
    作動を制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする
    加工制御装置。
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