JPH0735536B2 - 高延性高強度複合組織鋼板の製造法 - Google Patents
高延性高強度複合組織鋼板の製造法Info
- Publication number
- JPH0735536B2 JPH0735536B2 JP606688A JP606688A JPH0735536B2 JP H0735536 B2 JPH0735536 B2 JP H0735536B2 JP 606688 A JP606688 A JP 606688A JP 606688 A JP606688 A JP 606688A JP H0735536 B2 JPH0735536 B2 JP H0735536B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- temperature
- strength
- austenite
- steel sheet
- ductility
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明に係る高延性高強度複合組織鋼板の製造法に関
し、さらに詳しくは、引張強さが90kgf/mm2以上の高強
度を有し、さらに、優れた延性と点溶接性を有する高延
性高強度複合組織鋼板の製造法に関するものである。
し、さらに詳しくは、引張強さが90kgf/mm2以上の高強
度を有し、さらに、優れた延性と点溶接性を有する高延
性高強度複合組織鋼板の製造法に関するものである。
[従来技術] 一般に、自動車用の薄鋼板に要求される特性としては、
加工性、溶接性、化成処理性を始め、多くの特性が挙げ
られるが、近年、省エネルギーや乗員の安全確保の観点
から、薄鋼板の高強度化が強く要求されている。このよ
うに加工性の高い高強度鋼板としては、フェライト+マ
ルテンサイトの2相、もしくは、ベーナイト+マルテン
サイトの2相からなる80〜140kgf/mm2の複合組織鋼板が
開発されている。
加工性、溶接性、化成処理性を始め、多くの特性が挙げ
られるが、近年、省エネルギーや乗員の安全確保の観点
から、薄鋼板の高強度化が強く要求されている。このよ
うに加工性の高い高強度鋼板としては、フェライト+マ
ルテンサイトの2相、もしくは、ベーナイト+マルテン
サイトの2相からなる80〜140kgf/mm2の複合組織鋼板が
開発されている。
しかし、これらの鋼板は現在の多様化する社会的な要
求、特に、高延性や高加工性等を必ずしも満足するもの
ではなかった。そのため、強度−延性バランス、加工
性、溶接性およびその他の諸性質を充分に考慮した自動
車用の鋼板の開発が期待されている。
求、特に、高延性や高加工性等を必ずしも満足するもの
ではなかった。そのため、強度−延性バランス、加工
性、溶接性およびその他の諸性質を充分に考慮した自動
車用の鋼板の開発が期待されている。
この観点から、最近になって、残留オーステナイトの加
工中の変態誘起塑性を利用した、フェライト+残留オー
ステナイト+マルテンサイト(一部ベーナイトを含む)
からなる高強度複合組織鋼板が開発されているが(特開
昭60−043430号公報、特開昭55−145121号公報)、強度
−延性バランスの向上に必要なオーステナイトの安定化
のために、多量のC(0.3〜0.4wt%)を含有している。
そのため、点溶接性が劣化し、自動車用鋼板として使用
するには問題がある。
工中の変態誘起塑性を利用した、フェライト+残留オー
ステナイト+マルテンサイト(一部ベーナイトを含む)
からなる高強度複合組織鋼板が開発されているが(特開
昭60−043430号公報、特開昭55−145121号公報)、強度
−延性バランスの向上に必要なオーステナイトの安定化
のために、多量のC(0.3〜0.4wt%)を含有している。
そのため、点溶接性が劣化し、自動車用鋼板として使用
するには問題がある。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は上記に説明したような、従来の自動車鋼板の種
々の問題点に鑑み、本発明者が鋭意研究を行い、検討を
重ねた結果、成分組成、熱間圧延条件および連続焼鈍条
件を特定して行なうことにより、引張強さが90kgf/mm2
以上の高強度を有し、さらに、優れた強度−延性バラン
スと優れた点溶接性を有する高延性高強度複合組織鋼板
の製造法を開発したのである。
々の問題点に鑑み、本発明者が鋭意研究を行い、検討を
重ねた結果、成分組成、熱間圧延条件および連続焼鈍条
件を特定して行なうことにより、引張強さが90kgf/mm2
以上の高強度を有し、さらに、優れた強度−延性バラン
スと優れた点溶接性を有する高延性高強度複合組織鋼板
の製造法を開発したのである。
[課題を解決するための手段] 本発明に係る高延性高強度複合組織鋼板の製造法は、 (1)C 0.12〜0.30wt%、Si 1.5〜3.0wt%、Mn 1.1〜
2.4wt% を含有し、かつ、 3.7−Si≦Mn≦3.0−0.4Si であり、さらに、 S<0.005wt%、solAl 0.01〜0.06wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼スラブ
を、Ar1変態温度以上Ar3変態温度以下で熱間圧延を終了
し、600℃以下の温度で巻取り、次いで、その後の連続
焼鈍において、Ac1+30℃〜Ac3のオーステナイト+フェ
ライトの2相域に4分以下保持した後、5℃〜30℃/sec
の冷却速度で上記保持温度から500〜800℃の温度まで徐
冷し、次いで、70℃/sec以上の冷却速度で350〜450℃の
温度まで急冷し、この温度において1〜5分保持し、そ
の後、室温まで2℃/sec以上の冷却速度で冷却して、マ
ルテンサイト、ベーナイト、フェライトおよび残留オー
ステナイトからなる複合組織とすることを特徴とする高
延性高強度複合組織鋼板の製造法を第1の発明とし、 (2)C 0.12〜0.30wt%、Si 1.5〜3.0wt%、Mn 1.1〜
2.4wt% を含有し、かつ、 3.7−Si≦Mn≦3.0−0.4Si であり、さらに、 P 0.02〜0.20wt%、 S<0.005wt%、 solAl 0.01〜0.06wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼スラブ
を、Ar変態温度以上Ar3変態温度以下で熱間圧延を終了
し、600℃以下の温度で巻取り、次いで、その後の連続
焼鈍において、Ac1+30℃〜Ac3のオーステナイト+フェ
ライトの2相域に4分以下保持した後、5℃〜30℃/sec
の冷却速度で上記保持温度から500〜800℃の温度まで徐
冷し、次いで、70℃/sec以上の冷却速度で350〜450℃の
温度まで急冷し、この温度において1〜5分保持し、そ
の後、室温まで2℃/sec以上の冷却速度で冷却して、マ
ルテンサイト、ベーナイト、フェライトおよび残留オー
ステナイトからなる複合組織とすることを特徴とする高
延性高強度複合組織鋼板の製造法を第2の発明とする2
つの発明よりなるものである。
2.4wt% を含有し、かつ、 3.7−Si≦Mn≦3.0−0.4Si であり、さらに、 S<0.005wt%、solAl 0.01〜0.06wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼スラブ
を、Ar1変態温度以上Ar3変態温度以下で熱間圧延を終了
し、600℃以下の温度で巻取り、次いで、その後の連続
焼鈍において、Ac1+30℃〜Ac3のオーステナイト+フェ
ライトの2相域に4分以下保持した後、5℃〜30℃/sec
の冷却速度で上記保持温度から500〜800℃の温度まで徐
冷し、次いで、70℃/sec以上の冷却速度で350〜450℃の
温度まで急冷し、この温度において1〜5分保持し、そ
の後、室温まで2℃/sec以上の冷却速度で冷却して、マ
ルテンサイト、ベーナイト、フェライトおよび残留オー
ステナイトからなる複合組織とすることを特徴とする高
延性高強度複合組織鋼板の製造法を第1の発明とし、 (2)C 0.12〜0.30wt%、Si 1.5〜3.0wt%、Mn 1.1〜
2.4wt% を含有し、かつ、 3.7−Si≦Mn≦3.0−0.4Si であり、さらに、 P 0.02〜0.20wt%、 S<0.005wt%、 solAl 0.01〜0.06wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼スラブ
を、Ar変態温度以上Ar3変態温度以下で熱間圧延を終了
し、600℃以下の温度で巻取り、次いで、その後の連続
焼鈍において、Ac1+30℃〜Ac3のオーステナイト+フェ
ライトの2相域に4分以下保持した後、5℃〜30℃/sec
の冷却速度で上記保持温度から500〜800℃の温度まで徐
冷し、次いで、70℃/sec以上の冷却速度で350〜450℃の
温度まで急冷し、この温度において1〜5分保持し、そ
の後、室温まで2℃/sec以上の冷却速度で冷却して、マ
ルテンサイト、ベーナイト、フェライトおよび残留オー
ステナイトからなる複合組織とすることを特徴とする高
延性高強度複合組織鋼板の製造法を第2の発明とする2
つの発明よりなるものである。
本発明に係る高延性高強度複合組織鋼板の製造法につい
て、以下詳細に説明する。
て、以下詳細に説明する。
本発明にかかる高延性高強度複合組織鋼板の製造法は、
高強度で、かつ、従来鋼以上の高延性を有する複合組織
鋼板を製造するため、残留オーステナイトを10%以上含
有させ、変態誘起塑性に伴う高n値化を利用する方法で
ある。
高強度で、かつ、従来鋼以上の高延性を有する複合組織
鋼板を製造するため、残留オーステナイトを10%以上含
有させ、変態誘起塑性に伴う高n値化を利用する方法で
ある。
そして、オーステナイト安定化元素としては、C、Mn、
Ni等が知られているが、最も有効であると言われている
元素はCであり、このCの増加によって焼鈍後に適正な
熱履歴を付与すれば、多量の残留オーステナイトを得ら
れ、極めて高延性で、強度−延性バランスの良好な高強
度鋼板が製造できる。
Ni等が知られているが、最も有効であると言われている
元素はCであり、このCの増加によって焼鈍後に適正な
熱履歴を付与すれば、多量の残留オーステナイトを得ら
れ、極めて高延性で、強度−延性バランスの良好な高強
度鋼板が製造できる。
しかし、高炭素化は上記のように自動車の鋼板として必
須な特性である、点溶接性を悪化させることになる。こ
の点溶接性を悪化を避けるためには、C含有量を0.30w
%以下に規制する必要があるが、このことは安定な残留
オーステナイトを充分に得ることを困難にし、良好な強
度−延性バランスが得られないということがある。
須な特性である、点溶接性を悪化させることになる。こ
の点溶接性を悪化を避けるためには、C含有量を0.30w
%以下に規制する必要があるが、このことは安定な残留
オーステナイトを充分に得ることを困難にし、良好な強
度−延性バランスが得られないということがある。
しかして、本発明はC含有量を0.30w%以下に規制する
ことを始めとし、鋼の含有成分および含有割合および製
造条件の検討を重ねた結果、Si、Mnの同時規制、熱間圧
延を低温で終了することによる組織の微細化および適正
な連続焼鈍条件の設定によって、問題を解決した。
ことを始めとし、鋼の含有成分および含有割合および製
造条件の検討を重ねた結果、Si、Mnの同時規制、熱間圧
延を低温で終了することによる組織の微細化および適正
な連続焼鈍条件の設定によって、問題を解決した。
即ち、含有成分および含有割合は、C含有量を0.30w%
以下とすると共に、Si 1.5〜3.0wt%、Mn 1.1〜2.4wt%
とし、3.7−Si≦Mn≦3.0−0.4Siの範囲とし、安定な残
留オーステナイトが充分に得られ、強度−延性バランス
が大幅に向上するのである。
以下とすると共に、Si 1.5〜3.0wt%、Mn 1.1〜2.4wt%
とし、3.7−Si≦Mn≦3.0−0.4Siの範囲とし、安定な残
留オーステナイトが充分に得られ、強度−延性バランス
が大幅に向上するのである。
本発明に係る高延性高強度複合組織鋼板の製造法におい
て、使用する鋼の含有成分および含有割合について説明
する。
て、使用する鋼の含有成分および含有割合について説明
する。
Cは焼鈍後多量のオーステナイトを残留させるために
は、不可欠な元素であり、熱処理条件および焼鈍条件を
制御することによりオーステナイトを安定化させ、熱処
理後、オーステナイトを体積率で10%以上残留させるた
めには、C含有量が0.12wt%以上必要であり、また、C
含有量が増加すると、残留オーステナイト体積率が増大
して強度−延性バランスを向上させるが、0.30wt%を越
えると点溶接性が劣化する。よって、C含有量は0.12〜
0.30wt%とする。
は、不可欠な元素であり、熱処理条件および焼鈍条件を
制御することによりオーステナイトを安定化させ、熱処
理後、オーステナイトを体積率で10%以上残留させるた
めには、C含有量が0.12wt%以上必要であり、また、C
含有量が増加すると、残留オーステナイト体積率が増大
して強度−延性バランスを向上させるが、0.30wt%を越
えると点溶接性が劣化する。よって、C含有量は0.12〜
0.30wt%とする。
Siはフェライト形成元素であり、それ自体にはオーステ
ナイトを安定化する作用はないが、フェライト+オース
テナイトの2相域保持中、もしくは、オーステナイト域
やフェライト+オーステナイトの2相域から冷却中に生
成するフェライトを鈍化するため、必然的に未変態オー
ステナイトへのCの濃縮を促進する効果を通してオース
テナイトの安定化に寄与するもので、このSiは強度およ
び延性の両特性の向上に対して非常に有効であり、Si含
有量は1.5wt%以上は必要であり、また、含有量が増加
すると溶製時のスラブ割れ、化成処理性の劣化等の問題
があるので、3.0wt%を越えては含有させる必要はな
い。よって、Si含有量は1.5〜3.0wt%とする。
ナイトを安定化する作用はないが、フェライト+オース
テナイトの2相域保持中、もしくは、オーステナイト域
やフェライト+オーステナイトの2相域から冷却中に生
成するフェライトを鈍化するため、必然的に未変態オー
ステナイトへのCの濃縮を促進する効果を通してオース
テナイトの安定化に寄与するもので、このSiは強度およ
び延性の両特性の向上に対して非常に有効であり、Si含
有量は1.5wt%以上は必要であり、また、含有量が増加
すると溶製時のスラブ割れ、化成処理性の劣化等の問題
があるので、3.0wt%を越えては含有させる必要はな
い。よって、Si含有量は1.5〜3.0wt%とする。
Mnはオーステナイト形成元素として重要であり、良好な
強度−延性バランスを得る観点から10%以上の体積率で
残留オーステナイトを含ませるためには、Mn含有量は1.
1wt%以上とする必要があり、また、Mn含有量が増加す
ると、連続焼鈍後の冷却過程においてマルテンサイト変
態が起こり易くなり、最終的にマルテンサイトの体積率
が増加して、強度の著しい増加と延性の著しい劣化をも
たらし、強度−延性バランスの向上に対して障害となる
ので、Mn含有量は2.4wt%を越えて含有させてはならな
い。よって、Mn含有量は1.1〜2.4wt%とする。
強度−延性バランスを得る観点から10%以上の体積率で
残留オーステナイトを含ませるためには、Mn含有量は1.
1wt%以上とする必要があり、また、Mn含有量が増加す
ると、連続焼鈍後の冷却過程においてマルテンサイト変
態が起こり易くなり、最終的にマルテンサイトの体積率
が増加して、強度の著しい増加と延性の著しい劣化をも
たらし、強度−延性バランスの向上に対して障害となる
ので、Mn含有量は2.4wt%を越えて含有させてはならな
い。よって、Mn含有量は1.1〜2.4wt%とする。
Si含有量とMn含有量のバランスは重要であり、このSiお
よびMnは上記の規制に、さらに、3.7−Si≦Mn≦3.0−0.
4Siの関係式を満たす必要があり、これは強度−延性バ
ランスの改善の改善から規制するものであり、即ち、Si
含有によるオーステナイト安定化と、Mn含有による強度
の上昇の効果を適正に制御するならば、良好な強度−延
性バランスが得られる。このSi、Mnの規制範囲を示すと
第1図の通りである。
よびMnは上記の規制に、さらに、3.7−Si≦Mn≦3.0−0.
4Siの関係式を満たす必要があり、これは強度−延性バ
ランスの改善の改善から規制するものであり、即ち、Si
含有によるオーステナイト安定化と、Mn含有による強度
の上昇の効果を適正に制御するならば、良好な強度−延
性バランスが得られる。このSi、Mnの規制範囲を示すと
第1図の通りである。
Sは加工性を劣化させるので、可及的に少ない方が望ま
しく、S含有量は0.005wt%以下とする。solAlは鋼の脱
酸剤として有効な元素であり、含有量が0.01wt%未満で
は脱酸剤の効果が期待できず、また、0.06wt%を越えて
含有されると脱酸の効果が飽和してしまい、それ以上の
効果は期待できない。よって、solAl含有量は0.01〜0.0
6wt%とする。
しく、S含有量は0.005wt%以下とする。solAlは鋼の脱
酸剤として有効な元素であり、含有量が0.01wt%未満で
は脱酸剤の効果が期待できず、また、0.06wt%を越えて
含有されると脱酸の効果が飽和してしまい、それ以上の
効果は期待できない。よって、solAl含有量は0.01〜0.0
6wt%とする。
PはSiと同様にフェライト形成元素であり、さらに、強
度−延性バランスを向上させるものであり、未変態オー
ステナイトへのCの濃縮を促進する効果を通してオース
テナイトをさらに安定化させることができ、P含有量は
通常の含有量であっても強度−延性バランスの特性上何
等問題はないが、含有量は0.02wt%以上の含有量とする
ことにより、さらに、良好な強度−延性バランスガ得ら
れ、また、0.20wt%を越えて含有されると効果は飽和
し、かつ、粒界偏析により脆化させる。よって、P含有
量は0.02〜0.20wt%とする。
度−延性バランスを向上させるものであり、未変態オー
ステナイトへのCの濃縮を促進する効果を通してオース
テナイトをさらに安定化させることができ、P含有量は
通常の含有量であっても強度−延性バランスの特性上何
等問題はないが、含有量は0.02wt%以上の含有量とする
ことにより、さらに、良好な強度−延性バランスガ得ら
れ、また、0.20wt%を越えて含有されると効果は飽和
し、かつ、粒界偏析により脆化させる。よって、P含有
量は0.02〜0.20wt%とする。
次に、本発明に高延性高強度複合組織鋼板の製造法につ
いて説明する。
いて説明する。
上記に説明した特定の含有成分および含有割合の鋼を使
用して、熱間圧延の終了温度を低温(Ar1変態温度以上A
c3変態温度以下)に設定することにより、結晶粒が微細
化し、組織が強靱化されてより一層、強度−延性バラン
スが向上し、さらに、熱間圧延後の条件としては、600
℃以下の温度で巻取り、その後の連続焼鈍に際して最高
加熱温度から5〜30℃/secの冷却速度で500〜800℃の温
度まで冷却し、次いで、70℃/sec以上の冷却速度で350
〜450℃の温度まで急冷し、その温度で1〜5分の保持
を行なうことにより諸機械的性質の向上効果が得られる
のである。
用して、熱間圧延の終了温度を低温(Ar1変態温度以上A
c3変態温度以下)に設定することにより、結晶粒が微細
化し、組織が強靱化されてより一層、強度−延性バラン
スが向上し、さらに、熱間圧延後の条件としては、600
℃以下の温度で巻取り、その後の連続焼鈍に際して最高
加熱温度から5〜30℃/secの冷却速度で500〜800℃の温
度まで冷却し、次いで、70℃/sec以上の冷却速度で350
〜450℃の温度まで急冷し、その温度で1〜5分の保持
を行なうことにより諸機械的性質の向上効果が得られる
のである。
さらに、本発明に係る高延性高強度複合組織鋼板の製造
法の特色は、 Si、Mnのバランスを、Si 1.5〜3.0wt%、Mn 1.1〜
2.4wt%とし、かつ、3.7−Si≦Mn≦3.0−0.4Siとしたこ
と。
法の特色は、 Si、Mnのバランスを、Si 1.5〜3.0wt%、Mn 1.1〜
2.4wt%とし、かつ、3.7−Si≦Mn≦3.0−0.4Siとしたこ
と。
熱間圧延を低温(Ar1変態温度以上Ac3変態温度以
下)で終了すること。
下)で終了すること。
熱間圧延後に600℃以下の温度で巻取ること。
連続焼鈍およびその後の冷却に際し、特定の条件に
より処理すること。にある。
より処理すること。にある。
そして、これらの条件の選定による強度−延性バランス
の向上する理由は、必ずしも明らかでないが、 は、適正な連続焼鈍の過程において、Cが優先的にオ
ーステナイト中に集中し、残留オーステナイトを安定に
していること。
の向上する理由は、必ずしも明らかでないが、 は、適正な連続焼鈍の過程において、Cが優先的にオ
ーステナイト中に集中し、残留オーステナイトを安定に
していること。
は、結晶粒の微細化により、組織の強靱化が行なわれ
ること。
ること。
は、炭化物のラメラー間隔が細かくなり、これをAc1
+30℃〜Ar3のオーステナイト+フェライトの2相域に
加熱した際に、パーライト全体としてオーステナイト化
し、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの形態に
変化をもたらしていること。
+30℃〜Ar3のオーステナイト+フェライトの2相域に
加熱した際に、パーライト全体としてオーステナイト化
し、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの形態に
変化をもたらしていること。
は、Ac1+30℃〜Ar3のオーステナイト+フェライトの
2相域に加熱後の一次冷却において、フェライト変態の
進行と共にオーステナイトにCが集中して、続く二次冷
却において、パーライト変態を避け、350〜450℃におけ
る保持において、ベーナイト変態が進行し、さらに、オ
ーステナイト中へのCの集中が進むこと。
2相域に加熱後の一次冷却において、フェライト変態の
進行と共にオーステナイトにCが集中して、続く二次冷
却において、パーライト変態を避け、350〜450℃におけ
る保持において、ベーナイト変態が進行し、さらに、オ
ーステナイト中へのCの集中が進むこと。
にあると考えられる。
[実施例] 本発明に係る高延性高強度複合組織鋼板の製造法の実施
例を説明する。
例を説明する。
実施例1 第1表に示す含有成分および含有割合の鋼の14種類を溶
製し、連続鋳造により鋳片を製作した。
製し、連続鋳造により鋳片を製作した。
供試鋼C、D、E、JおよびKは本発明に係る高延性高
強度複合組織鋼板の製造法に使用するものであり、他は
比較鋼であり、なお、通常の造塊法により鋼塊を製作し
てもよい。
強度複合組織鋼板の製造法に使用するものであり、他は
比較鋼であり、なお、通常の造塊法により鋼塊を製作し
てもよい。
次いで、これらの各鋼を仕上温度750℃の温度で熱間圧
延を行ない、巻取温度を450℃で巻取りを行ない、さら
に、冷間圧延により板厚0.85mmの供試鋼とした。
延を行ない、巻取温度を450℃で巻取りを行ない、さら
に、冷間圧延により板厚0.85mmの供試鋼とした。
次に、第2表に示すC6のプロセス条件(本発明に係る高
延性高強度複合組織鋼板の製造法の範囲内)で連続焼鈍
下後、ゲージ長さ50mmのJIS5号引張試験片を準備して引
張試験を行なった。
延性高強度複合組織鋼板の製造法の範囲内)で連続焼鈍
下後、ゲージ長さ50mmのJIS5号引張試験片を準備して引
張試験を行なった。
また、組織の適否を判定するため、組織観察およびオー
ステナイトの体積分率を測定した。
ステナイトの体積分率を測定した。
点溶接は、十字引張強度および剪断引張強度を測定する
ことにより評価した。
ことにより評価した。
この第1表より、本発明に係る高延性高強度複合組織鋼
板の製造法による鋼C、D、E、JおよびKは、95kgf/
mm2以上と高強度であり、さらに、TSペケE1も2500以上
で優れた強度−延性バランスを有している。その上、点
溶接後の十字引張強度および剪断引張強度が比較鋼に比
べて優れていることがわかる。
板の製造法による鋼C、D、E、JおよびKは、95kgf/
mm2以上と高強度であり、さらに、TSペケE1も2500以上
で優れた強度−延性バランスを有している。その上、点
溶接後の十字引張強度および剪断引張強度が比較鋼に比
べて優れていることがわかる。
これに対して、比較鋼Bは強度−延性バランスが良好で
あるが、点溶接性が悪く、他の比較鋼も強度−延性バラ
ンスと点溶接性を同時に満足するものはない。
あるが、点溶接性が悪く、他の比較鋼も強度−延性バラ
ンスと点溶接性を同時に満足するものはない。
実施例2 第1表に示す供試鋼Cを使用し、第2表に示すような13
種類の条件のもとで、熱間圧延および連続焼鈍を行なっ
た。なお、供試鋼C2、C4〜C6、C9は本発明に係る高延性
高強度複合組織鋼板の製造法の範囲内のプロセス条件で
処理し、他は本発明製造法の範囲外のプロセス条件で処
理したのである。
種類の条件のもとで、熱間圧延および連続焼鈍を行なっ
た。なお、供試鋼C2、C4〜C6、C9は本発明に係る高延性
高強度複合組織鋼板の製造法の範囲内のプロセス条件で
処理し、他は本発明製造法の範囲外のプロセス条件で処
理したのである。
なお、第2表において、T1、C1、Tq、C2、T2、tおよび
C3はそれぞれ第1図に示す連続焼鈍サイクルの条件を示
しており、T1は焼鈍温度、TqはC2の冷却開始温度、T2は
中間保持温度、tは中間保持時間、C1はT1→Tqの冷却速
度、C2はTq→T2の冷却速度(但し、T1>Tq>T2)、C3は
T2から常温までの冷却速度である。
C3はそれぞれ第1図に示す連続焼鈍サイクルの条件を示
しており、T1は焼鈍温度、TqはC2の冷却開始温度、T2は
中間保持温度、tは中間保持時間、C1はT1→Tqの冷却速
度、C2はTq→T2の冷却速度(但し、T1>Tq>T2)、C3は
T2から常温までの冷却速度である。
各供試鋼につて、実施例1と同様に引張強試験、組織観
察を実施すると共にオーステナイトの体積分率を測定し
た。
察を実施すると共にオーステナイトの体積分率を測定し
た。
第2表にこれらの結果を示す。
この第2表から、本発明に係る高延性高強度複合組織鋼
板の製造法のC2、C4〜C6、C9は、何れも、組織に体積分
率で15%以上のオーステナイトを含有し、TSが100kgf/m
m2以上と高強度で、TS×E1も2500以上と優れた強度−延
性バランスを有していることがわかる。
板の製造法のC2、C4〜C6、C9は、何れも、組織に体積分
率で15%以上のオーステナイトを含有し、TSが100kgf/m
m2以上と高強度で、TS×E1も2500以上と優れた強度−延
性バランスを有していることがわかる。
これに対して、比較例の供試鋼C1、C3、C7、C8、C10〜C
13のように、本発明製造法の範囲外の条件で処理したも
のは、残留オーステナイト量が少なく、良好な機械的性
質は得られていない。
13のように、本発明製造法の範囲外の条件で処理したも
のは、残留オーステナイト量が少なく、良好な機械的性
質は得られていない。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明に係る高延性高強度複合組
織鋼板の製造法は上記の構成であるから、優れた点溶接
性を有し、90kgf/mm2以上の高強度および高延性を有
し、さらに、優れた強度−延性バランスを有する複合組
織の優れた鋼板が製造できるという効果を有するもので
あり、特に、自動車用鋼板として好適な鋼板である。
織鋼板の製造法は上記の構成であるから、優れた点溶接
性を有し、90kgf/mm2以上の高強度および高延性を有
し、さらに、優れた強度−延性バランスを有する複合組
織の優れた鋼板が製造できるという効果を有するもので
あり、特に、自動車用鋼板として好適な鋼板である。
第1図は本発明に係る高延性高強度複合組織鋼板の製造
法において使用する鋼のSi含有量とMn含有量の範囲を示
す図、第2図は本発明の高延性高強度複合組織鋼板の製
造法における実施例の連続焼鈍のヒートサイクルを示す
図である。
法において使用する鋼のSi含有量とMn含有量の範囲を示
す図、第2図は本発明の高延性高強度複合組織鋼板の製
造法における実施例の連続焼鈍のヒートサイクルを示す
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】C 0.12〜0.30wt%、Si 1.5〜3.0wt%、Mn
1.1〜2.4wt% を含有し、かつ、 3.7−Si≦Mn≦3.0−0.4Si であり、さらに、 S<0.005wt%、 solAl 0.01〜0.06wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼スラブ
を、Ar1変態温度以上Ar3変態温度以下で熱間圧延を終了
し、600℃以下の温度で巻取り、次いで、その後の連続
焼鈍において、Ac1+30℃〜Ac3のオーステナイト+フェ
ライトの2相域に4分以下保持した後、5℃〜30℃/sec
の冷却速度で上記保持温度から500〜800℃の温度まで徐
冷し、次いで、70℃/sec以上の冷却速度で350〜450℃の
温度まで急冷し、この温度において1〜5分保持し、そ
の後、室温まで2℃/sec以上の冷却速度で冷却して、マ
ルテンサイト、ベーナイト、フェライトおよび残留オー
ステナイトからなる複合組織とすることを特徴とする高
延性高強度複合組織鋼板の製造法。 - 【請求項2】C 0.12〜0.30wt%、Si 1.5〜3.0wt%、Mn
1.1〜2.4wt% を含有し、かつ、 3.7−Si≦Mn≦3.0−0.4Si であり、さらに、 P 0.02〜0.20wt%、 S<0.005wt%、 solAl 0.01〜0.06wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼スラブ
を、Ar1変態温度以上Ar3変態温度以下で熱間圧延を終了
し、600℃以下の温度で巻取り、次いで、その後の連続
焼鈍において、Ac1+30℃〜Ac3のオーステナイト+フェ
ライトの2相域に4分以下保持した後、5℃〜30℃/sec
の冷却速度で上記保持温度から500〜800℃の温度まで徐
冷し、次いで、70℃/sec以上の冷却速度で350〜450℃の
温度まで急冷し、この温度において1〜5分保持し、そ
の後、室温まで2℃/sec以上の冷却速度で冷却して、マ
ルテンサイト、ベーナイト、フェライトおよび残留オー
ステナイトからなる複合組織とすることを特徴とする高
延性高強度複合組織鋼板の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP606688A JPH0735536B2 (ja) | 1988-01-14 | 1988-01-14 | 高延性高強度複合組織鋼板の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP606688A JPH0735536B2 (ja) | 1988-01-14 | 1988-01-14 | 高延性高強度複合組織鋼板の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01184226A JPH01184226A (ja) | 1989-07-21 |
JPH0735536B2 true JPH0735536B2 (ja) | 1995-04-19 |
Family
ID=11628208
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP606688A Expired - Fee Related JPH0735536B2 (ja) | 1988-01-14 | 1988-01-14 | 高延性高強度複合組織鋼板の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0735536B2 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2952624B2 (ja) * | 1991-05-30 | 1999-09-27 | 新日本製鐵株式会社 | 成形性とスポット溶接性に優れた高降伏比型熱延高強度鋼板とその製造方法および成形性に優れた高降伏比型熱延高強度鋼板とその製造方法 |
JP3530353B2 (ja) * | 1997-09-24 | 2004-05-24 | 新日本製鐵株式会社 | 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用高強度冷延鋼板とその製造方法 |
JP3530355B2 (ja) * | 1997-09-24 | 2004-05-24 | 新日本製鐵株式会社 | 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用高強度熱延鋼板とその製造方法 |
JP3530354B2 (ja) * | 1997-09-24 | 2004-05-24 | 新日本製鐵株式会社 | 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用良加工性高強度熱延鋼板とその製造方法 |
JP3530356B2 (ja) * | 1997-09-24 | 2004-05-24 | 新日本製鐵株式会社 | 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用良加工性高強度冷延鋼板とその製造方法 |
EP0974677B2 (en) * | 1997-01-29 | 2015-09-23 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | A method for producing high strength steels having excellent formability and high impact energy absorption properties |
JP4188582B2 (ja) * | 2001-02-09 | 2008-11-26 | 株式会社神戸製鋼所 | 加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 |
JP4188609B2 (ja) * | 2001-02-28 | 2008-11-26 | 株式会社神戸製鋼所 | 加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 |
PL2530180T3 (pl) | 2010-01-29 | 2019-05-31 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | Blacha stalowa cienka i sposób wytwarzania blachy stalowej cienkiej |
CN103805840B (zh) | 2012-11-15 | 2016-12-21 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种高成形性热镀锌超高强度钢板及其制造方法 |
CN103805838B (zh) * | 2012-11-15 | 2017-02-08 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种高成形性超高强度冷轧钢板及其制造方法 |
-
1988
- 1988-01-14 JP JP606688A patent/JPH0735536B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01184226A (ja) | 1989-07-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2008208454A (ja) | 耐遅れ破壊特性に優れた高張力鋼材並びにその製造方法 | |
JP5277672B2 (ja) | 耐遅れ破壊特性に優れた高張力鋼板ならびにその製造方法 | |
JP2003253331A (ja) | 高靱性・高延性高張力鋼の製造方法 | |
JPH0635619B2 (ja) | 延性の良い高強度鋼板の製造方法 | |
JPH0735536B2 (ja) | 高延性高強度複合組織鋼板の製造法 | |
JP2004027249A (ja) | 高張力熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP4320198B2 (ja) | 衝撃特性と形状凍結性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JPH0941088A (ja) | 高靱性低温用鋼板の製造方法 | |
JP2652539B2 (ja) | 張出し成形性及び疲労特性にすぐれる複合組織高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JP2004018912A (ja) | 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP2004018911A (ja) | 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法 | |
JPH01272720A (ja) | 高延性高強度複合組織鋼板の製造法 | |
JPH0920922A (ja) | 高靱性低温用鋼板の製造方法 | |
JP3422864B2 (ja) | 加工性の優れたステンレス鋼およびその製造方法 | |
JPH0213013B2 (ja) | ||
JP3168665B2 (ja) | 加工性に優れた熱延高張力鋼板とその製造法 | |
JPS63241120A (ja) | 高延性高強度複合組織鋼板の製造法 | |
JPH06264183A (ja) | 高加工性熱延高張力鋼板とその製造方法 | |
JPH0570836A (ja) | 深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JPH0665645A (ja) | 高延性熱延高張力鋼板の製造方法 | |
JP3749615B2 (ja) | 疲労特性に優れた加工用高強度冷延鋼板およびその製造方法 | |
JPH0135052B2 (ja) | ||
JPH04228517A (ja) | 加工性に優れた熱延高強度鋼板の製造方法 | |
JPH09263838A (ja) | 伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JPH06264181A (ja) | 高加工性熱延高張力鋼板とその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |