JPH0735486Y2 - 電話の割り込み防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、電話回線端末に接続さ
れた複数の電話機において、先取り優先で１台の電話機
のみ通話することができ、他の電話機の割り込みを防止
する電話の割り込み防止装置に関するものであり、特に
ベル信号発生時には割り込み防止動作が行われず各電話
機のベルを鳴動するものに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の装置としては、ＳＣＲを
電子スイッチとして使用し、電話回線の使用時と待機時
の電圧差を利用してその電子スイッチをオン・オフして
割り込みを防止する装置があった。

【０００３】この従来の割り込み防止装置は、例えば図
４に示すように、電話回線端末Ｌ２と電話機ＴＥＬ１と
の間にＳＣＲからなる電子スイッチＱ３を設け、この電
子スイッチＱ３が使用中の電話回線の電圧ではトリガー
できず、待機時の電圧でトリガーできる状態になるよう
に敷居値が設定されたツェナーダイオードＺＤ４、ＺＤ
５（又はトリガー用双方向性２端子サイリスタ）をゲー
トに接続したものであった。

【０００４】この他、図５に示すように、電話機ＴＥＬ
１と共に電話回線端末に接続されるダイオードブリッジ
ＤＢの出力側に回路ループを形成し、この回路ループの
開閉を行なうようにＳＣＲからなる電子スイッチＱ４を
設け、図４と同じく電話回線の使用中の電圧ではトリガ
ーせず待機時の電圧でトリガーするように敷居値が設定
されたツェナーダイオードＺＤ４、ＺＤ５（又はトリガ
ー用双方向性２端子サイリスタ）をゲートに接続したも
のもあった。

【０００５】図４、図５に示すいずれの回路において
も、同じ構成の割り込み防止回路網が各電話機ごとに接
続されている。また、図中に示す発光ダイオードＬＤ
１、ＬＤ２は通話中に点灯する表示用のものである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】上記従来例における電
子スイッチをトリガーする敷居値は、電話回線の一定の
電圧差に対して設定されていた。従って、通話料金選択
アダプター等、電話回線電圧とは異なる出力電圧の機器
を介して接続した場合、適切に動作しないという課題が
あった。

【０００７】また、従来例におけるツェナーダイオード
等の敷居値は、通常製造時に設定されていた。このた
め、宅内交換機により回線電圧が異なる場合等において
は、敷居値を変えなければならないが、即座に対処する
ことができないという課題があった。

【０００８】更に、従来例の場合、２台の電話機が瞬時
にオフフックされたときに、両電話機が同時に接続され
て割り込み防止ができなくなるという課題もあった。

【０００９】本考案は上記課題に鑑みなされたもので、
その目的は、通常電話回線に利用されている全ての電圧
に関して調整することなく正常に動作し、複数の電話機
を瞬時にオフフックしても必ず１台だけにつながり誤動
作がなく、更にベル信号発生時には確実に各電話機のベ
ルが鳴動される電話の割り込み防止装置を提供すること
にある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本考案の電話の割り込み
防止装置は、電話回線端末に極性をそろえるダイオード
ブリッジを接続し、該ダイオードブリッジの出力側にル
ープを構成している回路ループ内にフォトカプラと電子
スイッチを設けると共に該回路ループを迂回するバイパ
ス回路を設け、通話状態になっている電話機に対応する
前記フォトカプラの発光素子が点灯すると他の電話機に
対応する電子スイッチのバイアスが前記フォトカプラの
受光素子によりカットオフ状態になり、前記他の電話機
に対応する回路ループを開いて割り込みを防止し、ベル
信号発生時には前記バイパス回路がベル信号を通過させ
て前記フォトカプラの発光素子の点灯を阻止して各電話
機のベルを鳴動させることを特徴とするものである。

【００１１】

【作用】本考案の電話の割り込み防止装置においては、
電話機が通話状態になると、この電話機に対応するフォ
トカプラの発光素子が発光し、他の電話機に対応する回
路ループ内の受光素子がこれに応答して他の電話機の電
子スイッチをオフ状態にして割り込みを防止する。従っ
て、本考案においては、先取りの電話機が通電すると、
これにより他の電話機の割り込み防止回路網を非導通状
態に保つように計られている。また、ベル信号発生時に
は、バイパス回路がベル信号を通過させて上記割り込み
動作を阻止し、確実に各電話機のベルを鳴動させるもの
である。

【００１２】

【実施例】図１は本考案の一実施例に係る電話の割り込
み防止装置の回路構成を示す回路図である。Ｌ１、Ｌ２
は電話回線の端末であり、通常電話待機時には電話局線
電圧４８ボルトの直流電圧が供給されており、宅内交換
機がある場合には２４ボルトの直流電圧が供給されてい
る場合もある。

【００１３】この電話回線端末Ｌ１、Ｌ２には、電話機
ＴＥＬ１とダイオードブリッジＤＢを含む割り込み防止
回路網が直列に接続されている。

【００１４】このダイオードブリッジＤＢの出力正側と
負側の間には、抵抗Ｒ１、トランジスタＱ１のベース及
びフォトカプラの受光素子ＰＣ−２Ｂが接続されてお
り、トランジスタＱ１にベースバイアス変動を与えてい
る。このトランジスタＱ１にはトランジスタＱ２がダー
リントン接続されており、このトランジスタＱ２のコレ
クタ・エミッタがダイオードブリッジＤＢの出力端に接
続されて、その正側から負側への回路ループを構成して
いる。

【００１５】このトランジスタＱ２のコレクタとダイオ
ードブリッジＤＢの出力正側との間には、使用状態表示
用発光ダイオードランプＬＤ及び電流調整用抵抗Ｒ２
と、フォトカプラの発光素子ＰＣ−１Ａ及び電流調整用
抵抗Ｒ３と、過電流バイパス用ツェナーダイオードＺＤ
１が互いに並列になるように接続されている。

【００１６】また、上記回路ループに対して並列になる
ようにバイパス回路ＢＰがダイオードブリッジＤＢの出
力側に設けられている。このバイパス回路ＢＰは、ダイ
オードブリッジＤＢの出力にコレクタとエミッタが接続
されたトランジスタＱ４と、そのコレクタ側よりベル信
号を整流した後のリップル変動をトランジスタＱ４のベ
ースに与えるコンデンサＣ１と、ベースとエミッタとの
間に接続された高抵抗値を有する抵抗Ｒ７と、から構成
されている。

【００１７】また、上記電話機ＴＥＬ１に並列になるよ
うに電話回線端末Ｌ１、Ｌ２に接続された電話機ＴＥＬ
２にも同一構成の割り込み防止回路網が接続されてお
り、この電話機ＴＥＬ２に接続された割り込み防止回路
網内の発光素子ＰＣ−２Ａと受光素子ＰＣ−１Ｂがそれ
ぞれ電話機ＴＥＬ１に接続された割り込み防止回路網内
の受光素子ＰＣ−２Ｂと発光素子ＰＣ−１Ａにカップリ
ングされている。

【００１８】上記構成からなる割り込み防止装置におい
て、電話機ＴＥＬ２をオフフックし電話回線の閉結が完
了すると、電話機ＴＥＬ２とそのダイオードブリッジＤ
Ｂを含む割り込み防止回路網のループは閉じて、フォト
カプラの発光素子ＰＣ−２Ａに電流が流れる。これによ
り発光素子ＰＣ−２Ａは発光し、受光素子ＰＣ−２Ｂが
その光に応答してトランジスタＱ１のベースバイアスを
カットする。この結果、電話機ＴＥＬ１に接続された割
り込み防止回路網内のトランジスタＱ１、Ｑ２はその回
路ループを開く。従って、この状態のときに電話機ＴＥ
Ｌ１をオフフックしても通話することはできず、既に通
電している電話機ＴＥＬ２に割り込むことはできない。

【００１９】上記割り込み防止回路網を設けた場合に
は、電話回線端末Ｌ１、Ｌ２に電話待機時の直流電圧に
重畳される交流の呼び出しベル信号を着信したときに、
各電話機の負荷インピーダンスが同一であると、各割り
込み防止回路網は互いに割り込み防止をするように働
き、呼び出しベル信号は電話機に供給されなくなり、各
電話機のベルの鳴動ができなくなる。このため、重畳さ
れているベル信号だけを通過させるように敷居値を設定
したツェナーダイオードをダイオードブリッジＤＢの入
力側に設けてバイパスを形成することも考えられるが、
この場合には並列に接続されている各電話機に配分され
るベル信号が低下して十分なベルの鳴動が得られない場
合がある。そこで、本実施例においては、ダイオードブ
リッジＤＢの出力側にバイパス回路ＢＰを設けている。
即ち、ベル信号が到来すると、トランジスタＱ４はベル
信号に応じて内部抵抗を低下させ導通状態になる。この
ため、ダイオードブリッジＤＢの出力側の電圧は低下
し、割り込み防止回路網のフォトカプラＰＣの発光素子
の発光が阻止される。この結果、その発光素子にカップ
リングされた受光素子によりトランジスタＱ１、Ｑ２が
非導通状態になることは防止され、各電話機のベルが鳴
動されることになる。

【００２０】尚、電話機ＴＥＬ１の割り込み防止回路網
内の抵抗Ｒ１の抵抗値と電話機ＴＥＬ１の通話状態にお
けるインピーダンスとの比は、漏話の条件を満たすよう
充分大きな値に設定する必要がある。このため、本考案
においては、大きな電流増幅率を持つトランジスタＱ
１、Ｑ２を用いている。

【００２１】また、上記実施例においては２台の電話機
ＴＥＬ１、ＴＥＬ２を接続する割り込み防止装置を示し
たが、この他、３台以上の電話機を接続することも可能
である。例えば３台の電話機を接続する場合には、各電
話機に対してそれぞれ２個のフォトカプラを設け、それ
らを他の各電話機におけるフォトカプラとそれぞれカッ
プリングすれば良い。尚、必要な電話機の台数をｎとす
ると、割り込み防止回路網に使用されるフォトカプラの
数は（ｎ−１）ｎ個となり、フォトカプラの数を増やす
だけで更に多くの電話機を接続可能にすることができ
る。

【００２２】更に、上記実施例におけるバイパス回路Ｂ
Ｐは、少なくとも１台の電話機の割り込み防止回路網に
設ければ良いものであるが、各電話機の割り込み防止回
路網毎に設けても良い。

【００２３】図２は図１に示すバイパス回路を変更した
割り込み防止装置を示す回路図である。図２に示すバイ
パス回路は、ベル信号を検出する第１バイパス回路ＢＰ
１と、各電話機のダイオードブリッジの出力側に設けら
れた第２バイパス回路ＢＰ２とから構成されている。第
１バイパス回路ＢＰ１は、電話回線端末Ｌ１、Ｌ２に接
続されたダイオードブリッジＤＢ１と、その出力間に接
続された抵抗Ｒ４、Ｒ５、フォトカプラの発光素子ＰＣ
−Ａ、及びトランジスタＱ５と、ベル信号時のインピー
ダンスを考慮した電流制限用抵抗Ｒ４を介し出力負側と
の間に設けられたコンデンサＣ２と、ダイオードブリッ
ジＤＢ１の出力正側とトランジスタＱ５のベースとの間
に設けられたツェナーダイオードＺＤ２と抵抗Ｒ６と、
トランジスタＱ５のベースとエミッタとの間に設けられ
た抵抗Ｒ７とから構成されている。また、第２バイパス
回路ＢＰ２は、割り込み防止回路網の回路ループに並列
になるように電話機に接続されているダイオードブリッ
ジＤＢの出力間に設けられ発光素子ＰＣ−Ａとカップリ
ングされている受光素子ＰＣ−Ｂから構成されている。

【００２４】このバイパス回路においては、ベル信号が
発生すると、ベル信号に応じてトランジスタＱ５が導通
状態になる。これにより、発光素子ＰＣ−Ａにはダイオ
ードブリッジＤＢのベル信号時の出力及び待機時の電話
回線電圧により充電されているコンデンサＣ２から電流
が供給されて発光する。この発光素子ＰＣ−Ａが発光す
ると、これにカップリングされている受光素子ＰＣ−Ｂ
が導通し、前述した図１に示すバイパス回路と同様に、
割り込み防止回路網のフォトカプラの発光素子の発光が
阻止され、割り込み防止動作は行われなくなる。

【００２５】図３は図２に示す第１バイパス回路ＢＰ１
を更に一部変更した例を示す回路図である。図２に示す
第１バイパス回路ＢＰ１におけるコンデンサＣ２は、電
話回線電圧及びベル信号の余剰電圧により充電されるよ
うに構成されている。図３に示す本変更例は、複数の電
話機を接続した場合に、各電話機に分配されるベル信号
の電圧をより多くして、より多くの電話機のベルを鳴動
させることができるように、通常の電話回線電圧のみで
コンデンサＣ２が充電され、ベル信号発生時にはコンデ
ンサＣ２が負荷とならないように構成したものである。

【００２６】即ち、抵抗Ｒ４とコンデンサＣ２との間に
ベル信号発生時に非導通状態になるトランジスタＱ６を
設け、ベル信号に応答してこのトランジスタＱ６のベー
ス電圧を制御するトランジスタＱ７をトランジスタＱ６
のベースとダイオードブリッジＤＢ１との間に設けてい
る。尚、トランジスタＱ６のベースは抵抗Ｒ８を介して
エミッタに接続されると共にダイオードＤ１を介してト
ランジスタＱ７のコレクタに接続されている。また、ト
ランジスタＱ７のコレクタは抵抗Ｒ９を介してダイオー
ドブリッジＤＢ１に接続され、そのベースと抵抗Ｒ９と
の間にはコンデンサＣ３が接続されている。また、この
トランジスタＱ７のベースには、抵抗Ｒ１０及びツェナ
ーダイオードＺＤ２を介してダイオードブリッジＤＢ１
の出力が接続され、また抵抗Ｒ１１を介してエミッタも
接続されている。

【００２７】この第１バイパス回路ＢＰ１においては、
ベル信号が到来するとトランジスタＱ７が導通状態にな
り、これによりトランジスタＱ６のベースが接地されて
非導通状態になる。このため、ベル信号が発生して回線
電圧値が変動すると、トランジスタＱ６が非導通状態に
なってコンデンサＣ２への充電は一時的に停止される。
このため、ベル信号は第１バイパス回路ＢＰ１により低
減されることなく各電話機に供給される。その他の動作
は図２に示すものと同様であり、ベル信号の到来により
トランジスタＱ５が導通状態になり、コンデンサＣ２の
放電により発光素子ＰＣ−Ａが点灯して割り込み防止動
作を阻止するものである。

【００２８】尚、図２及び図３に示すバイパス回路にお
いても、少なくとも電話機１台について１つのバイパス
回路を設ければ良いものであるが、各電話機毎に設けて
も良い。

【００２９】また、図１乃至図３に示すバイパス回路
は、いずれもベル信号発生時以外はダイオードブリッジ
ＤＢの出力側の回路に対して抵抗負荷として作用しない
ので、通話時における漏話等の悪影響がないものであ
る。

【００３０】

【考案の効果】本考案によれば、使用電話機側の負荷電
流を利用して未使用電話機側の割り込み防止回路を開状
態にして通電しないように構成しているので、電話回線
に利用されている全ての電圧に関して何等調整すること
なく使用することができる。

【００３１】また、オフフックした電話機側の割り込み
防止回路網が他の電話機の割り込み防止回路網を開状態
にするので、複数の電話機が同時に通話状態になること
がなく、必ず１台だけがつながり、誤動作を防止するこ
とができる。

【００３２】更に、ベル信号発生時における電圧変動を
検出してベル信号発生時における割り込み防止動作を阻
止することができるので、抵抗値や作動電圧値等を設定
する必要がなく、広い使用電圧範囲において確実に各電
話機のベルを鳴動させることができる。

【００３３】また、電話局から遠く離れた所のように線
路抵抗が多い状態であっても、本考案の装置は動作範囲
が広いので、確実な動作を行うことができる。

【００３４】更にまた、電子スイッチとしてＳＣＲを用
いた回路に比べて、本考案のようにトランジスタを用い
た回路の方が内部抵抗をより低くすることができ、割り
込み防止回路網による損失を小さくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る電話の割り込み防止装
置の回路構成を示す回路図である。

【図２】図１に示すバイパス回路を変更した割り込み防
止装置を示す回路図である。

【図３】図２に示す第１バイパス回路を変更した例を示
す回路図である。

【図４】従来の割り込み防止装置の回路図である。

【図５】従来の割り込み防止装置の回路図である。

【符号の説明】

Ｌ１、Ｌ２ 電話回線端末 ＴＥＬ１、ＴＥＬ２ 電話機 ＤＢ ダイオードブリッジ ＺＤ１、ＺＤ２ ツェナーダイオード Ｒ１〜Ｒ１１ 抵抗 Ｑ１〜Ｑ７ トランジスタ ＰＣ−１Ａ、ＰＣ−２Ａ フォトカプラの発光素
子 ＰＣ−１Ｂ、ＰＣ−２Ｂ フォトカプラの受光素
子 ＰＣ−Ａ フォトカプラの発光素
子 ＰＣ−Ｂ フォトカプラの受光素
子 Ｃ１、Ｃ２ コンデンサ ＢＰ バイパス回路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電話回線端末に極性をそろえるダイオー
   ドブリッジを接続し、該ダイオードブリッジの出力側に
   ループを構成している回路ループ内にフォトカプラと電
   子スイッチを設けると共に該回路ループを迂回するバイ
   パス回路を設け、通話状態になっている電話機に対応す
   る前記フォトカプラの発光素子が点灯すると他の電話機
   に対応する電子スイッチのバイアスが前記フォトカプラ
   の受光素子によりカットオフ状態になり、前記他の電話
   機に対応する回路ループを開いて割り込みを防止し、ベ
   ル信号発生時には前記バイパス回路がベル信号を通過さ
   せて前記フォトカプラの発光素子の点灯を阻止して各電
   話機のベルを鳴動させることを特徴とする電話の割り込
   み防止装置。