JPH073503A - パンティストッキング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 股部におけるマチ布縫合部付近からの破損を
防止し、強度を高めることのできるパンティストッキン
グの提供を目的とする。 【構成】 パンティ部（１）の股間にマチ布Ｂ（１３）
を縫着し、そのマチ布Ｂの中心（１３ａ）を股部の中心
（５ａ）より臀部（９）側の後方に位置するように縫合
したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、パンティストッキン
グなどのパンティ部とストッキング部とが一体となった
タイツ類の構造に係り、詳しくはマチ布を特定位置に縫
合することにより強度を高めたパンティストッキングに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】パンティストッキングは女性の脚を美し
く装飾するものであって、近来では、脚を適度に締めつ
けるサポートタイプのものが若い女性の間で愛用されて
いる。そして、通常このようなサポートタイプのパンテ
ィストッキングはポリウレタン弾性糸にナイロン糸を巻
きつけたシングルカバードヤーン、もしくはダブルカバ
ードヤーン、更には、収縮性の異なる２成分のポリマー
を接合せしめたコンジュゲートヤーンを用いて編成され
ている。そして、このような太デニ−ル糸を用いて編成
されたストッキング生地は、優れた強度を有し、これが
主たる要因となってパンティストッキングの着用回数の
増加を実現している。パンティ部とストッキング部とが
一体となったパンティストッキングには、股部にマチ布
を縫合したものがあり、このようなパンティストッキン
グは一般につぎのようにして製造される。

【０００３】即ち、ストッキング編立機を用いて、図５
に示すように、パンティ部（１）とトウ部（２）に相当
する部分が厚地であり、且つベルト部（３）を備える２
本の筒状体（４）を編成する。つぎに、上記筒状体
（４）のトウ部（２）に相当する部分をトウ・クローザ
ー等の機械を用いてそれぞれ縫合し、その後、２本の筒
状体（４）の上部を図中破線で示すラインＰに沿って裁
断する。つづいて、ラインＰに沿って裁断した部分を縫
合することによりパンテイ部（１）が形成できるよう
に、２本の筒状体（４）の裁断部を重ね合わせ、２本の
筒状体（４）で形成されるパンテイ部（１）に相当する
部分の股部（５）に、例えば図６に示すような綿ナイロ
ン製のひし形のマチ布Ａ（６）を手作業によるミシンに
よって縫合する。そして、最後に、このマチ布Ａ（６）
の前後両端縁からベルト部（３）までの、上記重ね合わ
せた２本の筒状体（４）の裁断部を縫合してパンテイ部
（１）を形成し、図７に示すようなパンティストッキン
グを得ている。

【０００４】図８は、裁断部を縫合した縫目（８）が内
側になるようにストッキング部を重ね合わせた状態を示
す上記パンテイ スッキングの概略図であって、図９は、
このパンティストッキングを装着した状態を示す腰部
（７）の断面図であるが、通常、上記のようにして得ら
れるパンティストッキングは、裁断部を縫合した縫目
（８）の一端側から股部（５）にかけての距離と、この
縫目（８）の他端側から股部（５）にかけての距離とが
等しくなる点を股部の中心（５ａ）とし、これにマチ布
Ａの中心（６ａ）が合致するようにマチ布Ａ（６）を縫
合している。そして、このようなパンティストッキング
は、マチ布Ａ（６）を縫合することにより、股部（５）
のムレ等を防止している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したよ
うに優れた強度を有するストッキング生地から形成され
たパンティストッキングは、少々編目を引っかけても糸
が引きつれるだけで編地自体が破損するまでにいたら
ず、着用回数を著しく増加し得る。このため、破損の主
因はマチ布Ａ（６）周辺における編目からの破損である
ことが判明した。即ち、図９および図１０に示すダブル
斜線部は、人が立った状態から座わったときに起る高負
荷領域（１０）を示しているが、この領域（１０）に位
置するストッキング生地は、臀部（９）の幅の増大によ
り大きな負担を受ける部分であり、着用回数が増すと編
目をうすくする損傷を与えるところである。従って、こ
の領域（１０）の一部のみを覆うマチ布Ａ（６）をこの
領域（１０）に縫合糸（１１）によって縫合すると、臀
部（９）の幅の増大によって付与される縫合糸（１１）
にかかる張力がうすくなっている編目に決定的なダメ−
ジを与え、編目を破損させることとなる。つまり、上記
のようなパンティストッキングはマチ布Ａ（６）の縫合
部付近の破損率が高いという問題点を有している。

【０００６】本発明は、このような問題点に鑑みなされ
たものであって、股部におけるマチ布縫合部付近からの
破損を防止し、強度を高めることのできるパンティスト
ッキングの提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のパンティストッキングは腹部，臀部，お
よび股部を被覆するパンティ部と、左右の脚部を被覆す
るストッキング部とを備えたパンティストッキングにお
いて、上記パンティ部の股間にマチ布Ｂを縫着し、その
中心を股部の中心より臀部側の後方に位置するように縫
合したことを特徴とする構成をとる。

【０００８】

【作用】本発明のパンティストッキングは、パンティ部
にマチ布Ｂを縫着し、このマチ布Ｂの中心を股部の中心
より臀部側の後方に位置させている。このため、このパ
ンティストッキングは、必要以上にマチ布Ｂの表面積を
増大しなくても人が立た状態から座ったときに、臀部の
幅が増大することに起因する高負荷領域全体をこれによ
り被覆し、股部からの破損を防止する。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例のパンティストッキ
ングを図面に基づいて説明する。

【００１０】図１は、この実施例のパンティストッキン
グの平面図であって、図２は、この実施例のパンティス
トッキングを着用した状態を示す腰部（７）の断面図で
ある。両図に示すように、この実施例のパンティストッ
キング（１２）は、股部（５）からの破損を防止するも
ので、前後の形状が異なる変形ひし形のマチ布Ｂ（１
３）を、このマチ布Ｂの中心（１３ａ）が股部の中心
（５ａ）より臀部（９）側の後方に位置するように縫着
したものである。

【００１１】マチ布Ｂ（１３）は、図３に示すように、
変形ひし形であって、伸縮性を有する綿ナイロンから構
成している。このマチ布Ｂ（１３）は、縦方向の対角線
lが２０ｃｍであって、横方向の対角線ｍが１０ｃｍで
ある。そして、この縦，横の対角線はマチ布Ｂの中心
（１３ａ）で交わっており、縦方向の対角線 lが横方向
の対角線ｍと図３上上方から８ｃｍの位置で交わるよう
に設定されている。また、このマチ布Ｂ（１３）は横方
向の対角線ｍと図３上におけるマチ布Ｂ（１３）の上方
二辺とで高さが８ｃｍ，低辺が１０ｃｍの二等辺三角形
を形成し、この二等辺三角形に重心（１４）を備えさせ
ている。そして、このマチ布Ｂ（１３）は、この重心
（１４）が上記股部の中心（５ａ）に合致するようにパ
ンティ部（１）に縫着されている。即ち、上述したよう
に、このパンティストッキング（１２）はマチ布Ｂの中
心（１３ａ）が股部の中心（５ａ）よりも臀部（９）側
の後方側に位置するようになっている。従って、図２お
よび図４に示すように、このパンティストッキング（１
２）は、人が立った状態から座ったときに、臀部（９）
の幅が増大することに起因する高負荷領域（１０）全体
をマチ布Ｂ（１３）で覆い、マチ布Ｂ（１３）の端縁が
上記領域（１０）よりも外側に位置するように構成して
いる。

【００１２】上記マチ布Ｂ（１３）を備えるパンティス
トッキング（１２）は、例えば次のようにしてつくるこ
とができる。まず、上述したように、２本の筒状体
（４）を編成し、それぞれのトウ部（２）を縫合したの
ち、２本の筒状体（４）をてラインＰ（図５参照）に沿
って裁断する。次に、ラインＰに沿って裁断した部分を
縫合いすることにより、パンティ部（１）が形成できる
ように２本の筒状体（４）の裁断部を重ね合せ、重ね合
せた筒状体（４）のパンティ部（１）に相当する部分の
股部（５）に、マチ布Ｂ（１３）を重ね合わせる。この
とき、マチ布Ｂ（１３）の上方で形成される二等辺三角
形の重心（１４）が股部の中心（５ａ）に合致するよう
に重ね合わせる。そして、マチ布Ｂ（１３）の内側縁を
縫合糸によって縫合することにより、ある程度のたるみ
を持たせた状態で、マチ布Ｂ（１３）を上記位置に縫合
し、その後、マチ布Ｂ（１３）の前後両端縁からベルト
部（３）までの、重ね合わせた筒状体（４）の裁断部を
縫合する。

【００１３】この実施例のパンティストッキングは、伸
縮性に優れた、変形ひし形のマチ布Ｂ（１３）を股部
（５）に設け、座ったときに臀部（９）の幅が増大する
ことに起因する高負荷領域（１０）全体をこのマチ布Ｂ
（１３）によって被覆できるようにし、臀部（９）の幅
の増大により受ける負担をマチ布Ｂ（１３）によって充
分に吸収するように構成しているため、マチ布Ｂ（１
３）周辺の編目に無理な負担を与えない。

【００１４】また、この実施例では、ある程度のたるみ
を持たせた状態で、高負荷領域（１０）より外側に、マ
チ布Ｂ（１３）の端縁を縫合しているため、臀部（９）
の幅の増大によって付与される縫合糸にかかる張力を最
小限におさえることができ、充分に股部（５）からの破
損を防止する。

【００１５】更に、この実施例パンティストッキング
は、後方より前方が大きいマチ布Ｂ（１３）を、このマ
チ布Ｂの中心（１３ａ）が股部の中心（５ａ）より臀部
（９）側の後方にマチ布Ｂの中心（１３ａ）が合致する
ように縫合しているため、腹部側に位置するマチ布Ｂ
（１３）の面積を小さく、且つ、臀部（９）側に位置す
るマチ布Ｂ（１３）の面積を大きくしている。そして、
従来では腹部側と臀部（９）側とのマチ布Ｂ（１３）の
形状が略同形であったために脚の開脚などに無理な負担
がかかっていたところを、このような無理な負担を生じ
ることなく動きやすくする。

【００１６】尚、この実施例では、マチ布Ｂ（１３）の
重心（１４）と股部の中心（５ａ）とが合致するように
マチ布Ｂ（１３）を股部（５）に縫着したが、特に限定
されず、上記高負荷領域（１０）全体を被覆できるよう
にマチ布Ｂの中心（１３ａ）を股部の中心（５ａ）より
も臀部（９）側の後方に位置せしめるのであれば、マチ
布Ｂ（１３）はどの位置に縫合されてもよい。

【００１７】また、この実施例では、高負荷領域からの
負荷を効果的に吸収できるように、マチ布Ｂ（１３）を
伸縮性を有する綿ナイロンで形成し、変形略ひし形のも
のとしたが特にこれに限定されない。そして、マチ布Ｂ
（１３）は伸縮性、通気性および吸水性を有するもので
あれば、どのような素材のものでも使用することがで
き、抗菌性を有するものであってもよい。また、形状も
前後対称のものであってもよい。

【００１８】更に、上記実施例では、パンティ部（１）
とストッキング部とを有する筒状体（４）を２本編成し
て、これらから形成される股部の中心（５ａ）より臀部
（９）側の後方にマチ布Ｂの中心（１３ａ）が位置する
ようにマチ布Ｂ（１３ａ）を縫合したが、特にこのよう
にして形成されるパンティストッキングに限定されず、
パンティ部（１）全体を環状に編み立て、ストッキング
部に相当する左右２本の筒体を股ぐり部で縫合するよう
にして形成される半製品に、上記位置にマチ布Ｂ（１
３）を縫合したものであってもよい。

【００１９】

【発明の効果】本発明のパンティストッキングは、パン
ティ部にマチ布Ｂを縫合し、このマチ布Ｂの中心を股部
の中心より臀部側の後方に位置するようにしている。こ
のため、このパンティストッキングは、人が立った状態
から座わったときに、臀部の幅が増大することに起因す
る高負荷領域全体をマチ布Ｂによって被覆し、股部から
臀部にかけての編目の破損を大幅に減少する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例のパンティストッキングの
平面図である。

【図２】上記実施例のパンティストッキングを着用した
状態を示す腰部の断面図である。

【図３】上記実施例のパンティストッキングのパンティ
部に用いるマチ布Ｂの説明図である。

【図４】上記実施例のパンティストッキングを装着した
状態を示す臀部の説明図である。

【図５】パンティストッキングの製法の説明図である。

【図６】従来のパンティストッキングのパンティ部に用
いられているマチ布Ａの説明図である。

【図７】従来のパンティストッキングの平面図である。

【図８】股部の中心を説明するための説明図。

【図９】従来のパンティストッキングを装着した状態を
示す腰部の断面図である。

【図１０】従来のパンティストッキングを装着した状態
を示す臀部の説明図である。

【符号の説明】

１ パンティ部 ５ 股部 ５ａ 股部の中心 ９ 臀部 １０ （高負荷）領域 １３ マチ布Ｂ １３ａ マチ布Ｂの中心

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 腹部，臀部，および股部を被覆するパン
   ティ部と、左右の脚を被覆するストッキング部とを備え
   たパンティストッキングにおいて、上記パンティ部の股
   間にマチ布Ｂを縫着し、その中心を股部の中心より臀部
   側の後方に位置するように縫合したことを特徴とするパ
   ンティストッキング。