JPH0734352U - 金属板表面の被膜の密着強度試験装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属板表面の被膜の密着強度試験作業を大幅
に自動化し、安全で且つ試験結果のバラツキが少ない金
属板表面の被膜の密着強度試験装置を提供する。 【構成】 送り装置１から送られるサンプリング金属片
２から試験片製作装置３が所要の寸法個数の試験片Ｐを
取り出し、マーキング装置４で必要なマーキングを行
い、厚み測定装置６で試験片Ｐの厚みを計測し、治具ス
トッカー５から試験に必要な治具５０５と試験片Ｐを折
り曲げ試験機８へロボット受け渡し装置９によって移送
して設定し、折り曲げ試験機８で試験された試験片Ｐは
排出コンベヤ１０から排出される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、金属板の表面にメッキ・塗装等の被膜を施した金属板における表面 の被膜の密着度を試験する装置に係り、特に試験片の採取から試験までを自動的 に行う試験装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の塗装鋼板又はメッキ鋼板の被膜の密着強度の試験は、先ず人手によって 試験片をプレス機で打ち抜くか又は剪断機によって所定寸法に切断して準備し、 次にその試験片を折り曲げ試験機・衝撃試験機・スクラッチ試験機の試験機のあ る場所まで運び、各試験機に作業者が張りついて試験片１個毎試験機にセットし た後に目的の試験を行い、試験終了後に試験片を作業者が取り出していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の試験の作業方法では、試験片の製作作業・各試験機での試験作業及び試 験片の移送作業が人手でなされるため、試験作業の効率が悪いとともに人手作業 によるバラツキが大きいという問題点があった。又人手による作業のため安全面 でも不安があった。 本考案が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、試験作業 を大幅に自動化し安全で且つ試験結果のバラツキが少ない金属板表面の被膜の密 着強度試験装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

かかる課題を解決した本考案の要旨は、試験片を作製するサンプリング金属片 を供給する送り装置と、同送り装置から送られるサンプリング金属片から所定の 寸法の試験片を取り出す試験片製作装置と、同試験片製作装置で製作された試験 片を受け取り必要な試験片にマーキングを施すマーキング装置と、試験機に必要 な治具を格納する治具ストッカーと、試験片の厚みを測定する厚み測定装置と、 マーキング装置と厚み測定装置で必要なマーキングと厚みを測定した後の試験片 を一時貯える試験片ストック部と、試験片の試験を行う試験機と、同試験機に治 具ストッカーに格納された治具のうち試験に必要な治具を移送し試験機への取付 け取外しと：マーキングのための試験片の受渡しと：板厚測定のための試験片の 受渡しと：試験片ストック部から試験片を取り出して試験機への取付けと：を行 うためのロボット受け渡し装置と、試験機で試験された後の試験片を排出する排 出コンベヤ及び上記装置の動作を制御する制御装置とからなる金属板表面の被膜 の密着強度試験装置にある。

【０００５】

【作用】

この考案では、まず試験の為にサンプリングされたサンプリング金属片を送り 装置で取り込み、そのサンプリング金属片から試験片製作装置で試験片をプレス ・切り出し等の方法で製作し、次に製作された試験片のうち、一個又は必要個数 分に試験片識別番号をマーキング装置で付す。マーキングされた後試験片は、そ の一部又は全部、厚み測定装置で厚みが測定され、試験片ストック部に収納され る。ロボット受け渡し装置は、試験に必要な治具と治具ストッカーから取り出し 、試験機に装着する他、試験片へのマーキング或いは板厚測定のために試験の受 渡しを行う。又、必要な試験片を試験片ストック部から取り出して試験機の試験 片載置部へ置く。試験機は装着された治具によって置かれた試験片を試験して、 排出コンベヤへ排出し、排出コンベヤは試験片の検査工程の為に試験片を移送す る。 このように、試験片の製作から試験した後の試験片の排出まで制御装置の制御 のもとで自動的になされる。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１は本考案の実施例を示す斜視図、図２は実施例の折り曲げ試験機を示す正 面図、図３は実施例の試験片搬送コンベヤの終端を示す斜視図、図４は実施例の 折り曲げ試験機の折り曲げ試験を示す説明図、図５はマーキング装置を示す説明 図、図６は９０度曲げ試験機の正面図、図７は衝撃試験機の正面図、図８はスク ラッチ試験機の正面図である。

【０００７】 図中、１は送り装置、２はサンプリング金属片、３は同サンプリング金属片を 打ち抜いて試験片を作製する試験片製作装置、４はマーキング装置、５は治具ス トッカー、６は厚み測定装置、７は試験片ストック部、８は折り曲げ試験機、９ はロボット受け渡し装置、１０は折り曲げ試験機８で試験した試験片を排出する 排出コンベヤ、１１は上記装置・機械を所要のタイミングで動作・制御する制御 装置、１２は別の試験を行うための試験片Ｐの排出コンベヤ、１３は図６の９０ 度曲げ試験機、１４は図７の衝撃試験機、１５は図８のスクラッチ試験機である 。Ｐは試験片である。 又、１０１〜１０４は送り装置１の構成部分で、この例では１０１はコンベヤ 、１０２はコンベヤ１０１を装置した台車、１０３は同台車の車輪、１０４は同 台車のレールである。３０１〜３０８は打抜プレスを使った試験片製作装置３の 構成部分であり、３０１は油圧ラム、３０２はプレスダイ、３０３は試験片Ｐを 打ち抜かれたスクラップのサンプリング金属片２の排出シュート、３０４は打ち 抜かれた試験片Ｐを搬送する試験片搬送コンベヤ、３０５は試験片搬送コンベヤ の始端側に設けた試験片Ｐの緊急用回収箱、３０６は試験片搬送コンベヤ３０４ の終端に設けた試験片受部、３０７は同試験片受部３０６のスライドできる位置 決めスライド枠、３０８は把持用開口部である。４０１〜４０２はマーキング装 置４の構成部分であり、４０１はインクジェットプリンター、４０２は同インク ジェットプリンター４０１を支持する支柱である。５０１〜５０５は治具ストッ カー５に関する構成部分であり、５０１は治具を多数格納したストッカー棚、５ ０２はストッカー棚をスライドさせるボール軸、５０３は同ボール軸を中間で軸 支しストッカー棚５０１に固着された軸承部、５０４はボール軸５０２を回動さ せる駆動部、５０５は治具である。６０１〜６０５は厚み測定装置６の構成部分 であり、６０１は中央に孔６０２を穿孔した試験片載置台、６０３，６０４は上 下動して試験片載置台６０１上の試験片Ｐを孔６０２を介して伸延した接触針で 感知する接触可動体、６０５は接触可動体６０３，６０４を上下動させる駆動機 構（図示せず）のある駆動部である。

【０００８】 ８０１〜８０７は折り曲げ試験機８に関する構成であり、８０１はプレス用ラ ムを内蔵した折り曲げ試験機本体、８０２はラムによって上下動する治具５０５ の取付台、８０３は左右動して間隔が調整できる可動プレスダイ、８０４は治具 ５０５のポンチ、８０５は折り曲げた試験片Ｐをポンチ８０４から引き離すため の分離枠、８０６は油圧を供給する油圧ユニット、８０７は折り曲げた試験片Ｐ を折り曲げ試験機８から排出コンベヤ１０へ排出するシュートである。 ９０１〜９０３はロボット受け渡し装置９の構成部分であり、９０１は旋回・ 起伏ができて三軸方向に自在にハンド部９０２を可動できるロボット装置本体、 ９０２は物体を把持でき且つ回転自在に取付けられたハンド部、９０３は装置台 である。 図６〜８中、１３０１は９０度曲げ用ポンチ、１３０２は９０度曲げ用ダイ、 １３０３はポンチ１３０１を昇降させる油圧ユニット、１４０１は衝撃試験用落 下錘、１４０２は落下錘１４０１の落下案内筒、１５０１はスクラッチ試験用チ ップ、１５０２は同チップ１５０１でもって試験片Ｐに引き傷を生起するように チップ１５０１を移動させるアームである。

【０００９】 この実施例では、被膜のある金属板の一部を切り出したサンプリング金属片２ 又は金属板と同等のサンプリング金属片２を台車１０２のコンベヤ１０１上に載 せ、レール１０４に沿って本実施例の装置の位置まで移動し、コンベヤ１０１を 作動させると、コンベヤ１０１上のサンプリング金属片２は試験片製作装置３の プレスダイ３０２上に送り込まれ、油圧ラム３０１の働きでラムの下端に取付け た刃物（図示せず）が下降し、プレスダイ３０２上のサンプリング金属片２を所 定寸法に打ち抜いて試験片Ｐを下方の試験片搬送コンベヤ３０４上に落とす。一 個の試験片Ｐが打ち抜かれるとコンベヤ１０１が所定量送られ、次の試験片Ｐが 同様に打ち抜いて試験片搬送コンベヤ３０４上に落下させる。これを繰り返すこ とでサンプリング金属片２から必要個数の試験片Ｐを打ち抜き、打ち抜かれたサ ンプリング金属片２は排出シュート３０３から排出される。一方、落下した試験 片Ｐは試験片搬送コンベヤ３０４によって送られ、終端から傾斜した試験片受部 ３０６へ滑り落ち、スライド枠３０７によって所定位置に一時ストックされる。 ロボット受け渡し装置９はアームを伸ばしてハンド部９０２を試験片受部３０ ６の開口部３０８に挿入し、試験片受部３０６にある試験片Ｐを把持し、マーキ ング装置４へ持っていき、マーキング装置４のインクジェットプリンター４０１ の下方に移動させ、同インクジェットプリンター４０１によって試験片番号をマ ーキングし、又厚み測定装置６の試験片載置台６０１上に載せる。厚み測定装置 ６が作動すると、上下の接触可動体６０３，６０４が近接し、その針が孔６０２ を介して試験片Ｐに接触し、その接触可動体６０３，６０４の針先端間の距離が 電気的に計測され出力される。その後試験片Ｐは試験片ストック部７へ一時格納 される。同一の金属板の被膜の試験には、折り曲げ試験・９０度曲げ等の角曲げ 試験・衝撃試験・スクラッチ試験があり、一つの金属板の試験片Ｐは４〜５個必 要となっている。折り曲げ試験以外の試験片Ｐは排出コンベヤ１２によって他の 試験機の方へ移送できるようにしている。図６〜８にこれらの試験機を示してい る。

【００１０】 折り曲げ試験機８で折り曲げ試験をするときは、まずロボット受け渡し装置９ が試験に必要な先端Ｒと厚みを有する治具５０５を選択してストッカー棚５０１ から取り出して折り曲げ試験機８の取付台８０２に取付ける。その後、試験をす る試験片Ｐを試験片ストック部７から取り出して折り曲げ試験機８の可動プレス ダイ８０３上に置き、油圧ラムを作動させて治具５０５を下降させ治具５０５の 下方のポンチ８０４を試験片Ｐの中央に接触させ、更に所定距離だけ下降させる ことにより１次曲げを行う。次いでポンチ８０４をそのまま試験片Ｐに接触させ て停止した状態で可動プレスダイ８０３を左右から内側に向けて移動させて試験 片Ｐを両側から挟んで押圧することにより可動プレスダイ８０３と接触した部分 で折曲げが終了する。折曲げが終了した後、可動プレスダイ８０３を左右に拡げ 、治具５０５を上昇させると折曲げられた試験片Ｐもポンチ８０４と一緒に上昇 しようとするが、可動プレスダイ８０３と接触していなかった試験片Ｐの上端側 は折曲げを完全に受けていないため半開きの状態にあるので、分離枠８０５によ って試験片Ｐの上昇が抑えられて試験片Ｐは落下し、可動プレスダイ８０３の中 央の空間を通って下方のシュート８０７に落下し、排出コンベヤ１０によって排 出される。 これらの装置のタイミング・制御はコンピュータを使った制御装置１１によっ て管理されている。 以上の様に、本実施例装置によれば、サンプリング金属片２から折り曲げ試験 までを自動的に無人的に行え、試験作業が迅速且つバラツキなく行えるものとし た。

【００１１】 尚、本考案の試験機、本実施例の折り曲げ試験機に限定されるものでなく、他 の試験機、例えば図６に示す様な所定の角度を有するポンチ１３０１とダイ１３ ０２を用いる９０度曲げ試験機１３、及び図７に示す様な重量の異なる落下錘１ ４０１を所定の距離から自然落下させる衝撃試験機１４、更には図８に示す様な 試験片Ｐの表面に一定の荷重をかけたチップ１５０１を接触させた状態でアーム １５０２を水平方向に所定の速度で移動させるスクラッチ試験機１５等を配置し た試験装置としても良い。 又、本考案ではこれらの試験機を１種だけ配置した単機能試験装置として、或 いはこれらの試験機を複数並列に配置した多機能試験装置として複数の試験を同 時に並行して行えるようにしても良い。

【００１２】

【考案の効果】

以上の様に、本考案によれば、試験片の採取から試験片の試験までを自動的に 行うことができ、試験作業の作業能率が大巾に高まり且つ試験バラツキが少なく できた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す斜視図である。

【図２】実施例の折り曲げ試験機を示す正面図である。

【図３】実施例の試験片搬送コンベヤの終端を示す斜視
図である。

【図４】実施例の折り曲げ試験機の折り曲げ試験を示す
説明図である。

【図５】実施例のマーキング装置を示す説明図である。

【図６】９０度曲げ試験機の正面図である。

【図７】衝撃試験機の正面図である。

【図８】スクラッチ試験機の正面図である。

【符号の説明】

１ 送り装置 ２ サンプリング金属片 ３ 試験片製作装置 ４ マーキング装置 ５ 治具ストッカー ６ 厚み測定装置 ７ 試験片ストック部 ８ 折り曲げ試験機 ９ ロボット受け渡し装置 １０ 排出コンベヤ １１ 制御装置 １２ 排出コンベヤ １３ ９０度曲げ試験機 １４ 衝撃試験機 １５ スクラッチ試験機 Ｐ 試験片 ５０５ 治具

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 試験片を作製するサンプリング金属片を
   供給する送り装置と、同送り装置から送られるサンプリ
   ング金属片から所定の寸法の試験片を取り出す試験片製
   作装置と、同試験片製作装置で製作された試験片を受け
   取り必要な試験片にマーキングを施すマーキング装置
   と、試験機に必要な治具を格納する治具ストッカーと、
   試験片の厚みを測定する厚み測定装置と、マーキング装
   置と厚み測定装置で必要なマーキングと厚みを測定した
   後の試験片を一時貯える試験片ストック部と、試験片の
   試験を行う試験機と、同試験機に治具ストッカーに格納
   された治具のうち試験に必要な治具を移送し試験機への
   取付け取外しと：マーキングのための試験片の受渡し
   と：板厚測定のための試験片の受渡しと：試験片ストッ
   ク部から試験片を取り出して試験機への取付けと：を行
   うためのロボット受け渡し装置と、試験機で試験された
   後の試験片を排出する排出コンベヤ及び上記装置の動作
   を制御する制御装置とからなる金属板表面の被膜の密着
   強度試験装置。