JPH0734166A - 高クロムオーステナイト耐熱合金 - Google Patents
高クロムオーステナイト耐熱合金Info
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- JPH0734166A JPH0734166A JP17683793A JP17683793A JPH0734166A JP H0734166 A JPH0734166 A JP H0734166A JP 17683793 A JP17683793 A JP 17683793A JP 17683793 A JP17683793 A JP 17683793A JP H0734166 A JPH0734166 A JP H0734166A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】高クロムオーステナイト耐熱合金を提供する。
【構成】Ｃ：0.02％を超え0.10％以下、Si：1.0 ％以
下、Mn：0.5 ％以下、Cr：28〜38％、Ni：30〜50％、
Ｎ：0.05％を超え0.10％以下およびAl：0.05％未満を含
有し、さらにＢ： 0.001〜0.01％およびZr：0.01〜0.1
％の１種以上ならびにMo： 0.5〜3.0 ％およびＷ： 1.0
〜6.0 ％の１種以上を含有する高温強度と耐食性に優れ
た高クロムオーステナイト耐熱合金。上記の合金は加え
てさらに、Nb： 0.1〜1.0 ％または／およびMg： 0.001
〜0.05％とCa： 0.001〜0.05％のうちの１種以上を含有
することができる。 【効果】苛酷な高温、腐食環境下においても優れた高温
強度をもつ安価な合金である。
下、Mn：0.5 ％以下、Cr：28〜38％、Ni：30〜50％、
Ｎ：0.05％を超え0.10％以下およびAl：0.05％未満を含
有し、さらにＢ： 0.001〜0.01％およびZr：0.01〜0.1
％の１種以上ならびにMo： 0.5〜3.0 ％およびＷ： 1.0
〜6.0 ％の１種以上を含有する高温強度と耐食性に優れ
た高クロムオーステナイト耐熱合金。上記の合金は加え
てさらに、Nb： 0.1〜1.0 ％または／およびMg： 0.001
〜0.05％とCa： 0.001〜0.05％のうちの１種以上を含有
することができる。 【効果】苛酷な高温、腐食環境下においても優れた高温
強度をもつ安価な合金である。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、ボイラや化学プラント
等の苛酷な高温、腐食環境下で用いられるのに好適な高
クロムオーステナイト耐熱合金に関する。
等の苛酷な高温、腐食環境下で用いられるのに好適な高
クロムオーステナイト耐熱合金に関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、火力発電プラントにおいて熱効率
の改善を目的とする超高温高圧ボイラが注目されてい
る。このボイラでは、従来のボイラに比較して蒸気条件
が高温・高圧化されているため、過熱器管材料としては
高温強度や耐食性に対する一段と厳しい要求性能を満た
さなければならない。このため、従来多く使用されてい
る18−８系ステンレス鋼より高い高温強度を有し、かつ
耐水蒸気酸化特性や耐高温腐食特性にも優れる高強度高
耐食オーステナイト鋼が要求される。
の改善を目的とする超高温高圧ボイラが注目されてい
る。このボイラでは、従来のボイラに比較して蒸気条件
が高温・高圧化されているため、過熱器管材料としては
高温強度や耐食性に対する一段と厳しい要求性能を満た
さなければならない。このため、従来多く使用されてい
る18−８系ステンレス鋼より高い高温強度を有し、かつ
耐水蒸気酸化特性や耐高温腐食特性にも優れる高強度高
耐食オーステナイト鋼が要求される。
【０００３】一般に、耐食性を改善するためには鋼中の
Cr含有量を高めることが有効である。しかし、例えば、
25％程度のCrを含有するＳＵＳ310 ＳＴＢ鋼にみられる
ように、 600〜700 ℃での高温強度は18−８系ステンレ
ス鋼よりむしろ低めであり、かつσ相析出による靱性劣
化の問題がある。さらに25％程度のCr含有量では、厳し
い腐食環境下においては耐食性が十分ではない。
Cr含有量を高めることが有効である。しかし、例えば、
25％程度のCrを含有するＳＵＳ310 ＳＴＢ鋼にみられる
ように、 600〜700 ℃での高温強度は18−８系ステンレ
ス鋼よりむしろ低めであり、かつσ相析出による靱性劣
化の問題がある。さらに25％程度のCr含有量では、厳し
い腐食環境下においては耐食性が十分ではない。
【０００４】このような課題を解決するために、Cr含有
量を30％程度に高めた耐熱合金が、例えば特開昭59−15
3858号公報、同60−100640号公報、同61−174350号公
報、同61−276948号公報および同64−55352 号公報など
に示されている。
量を30％程度に高めた耐熱合金が、例えば特開昭59−15
3858号公報、同60−100640号公報、同61−174350号公
報、同61−276948号公報および同64−55352 号公報など
に示されている。
【０００５】しかし、特開昭59−153858号公報に示され
る合金では、Mo、Ｗを含有しないのに加えて低Ｎの高Al
含有合金であるため、耐食性の確保はできるが高温強度
が大幅に不足する。特開昭60−100640号公報に示される
合金では、Mo、Ｗを含有するものの、低Ｎの高Al含有合
金であるため、高温強度が不十分である。特開昭61−17
4350号公報、同61−276948号公報および同64−55352 号
公報に示される合金にあっては、使用温度域でα相が析
出して長時間使用後の靱性低下を招きやすく、強度と靱
性がともに良好となる適量のα相を確保するためには、
高価なNiを50％以上含有させざるを得ず、経済的に非常
に不利である。
る合金では、Mo、Ｗを含有しないのに加えて低Ｎの高Al
含有合金であるため、耐食性の確保はできるが高温強度
が大幅に不足する。特開昭60−100640号公報に示される
合金では、Mo、Ｗを含有するものの、低Ｎの高Al含有合
金であるため、高温強度が不十分である。特開昭61−17
4350号公報、同61−276948号公報および同64−55352 号
公報に示される合金にあっては、使用温度域でα相が析
出して長時間使用後の靱性低下を招きやすく、強度と靱
性がともに良好となる適量のα相を確保するためには、
高価なNiを50％以上含有させざるを得ず、経済的に非常
に不利である。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、苛酷な高
温、腐食環境下においても十分な耐食性と優れた高温強
度を有し、しかも安価な高クロムオーステナイト耐熱合
金を提供することを目的とする。
温、腐食環境下においても十分な耐食性と優れた高温強
度を有し、しかも安価な高クロムオーステナイト耐熱合
金を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の (1)
〜(4) の耐熱合金にある。
〜(4) の耐熱合金にある。
【０００８】(1)重量％で、Ｃ：0.02％を超え0.10％以
下、Si：1.0 ％以下、Mn：0.5 ％以下、Cr：28〜38％、
Ni：30〜50％、Ｎ：0.05％を超え0.10％以下およびAl：
0.05％未満を含有し、さらにＢ： 0.001〜0.01％および
Zr：0.01〜0.1 ％の１種以上ならびにMo： 0.5〜3.0 ％
およびＷ： 1.0〜6.0 ％の１種以上を含有し、残部はFe
および不可避的不純物からなる高温強度と耐食性に優れ
た高クロムオーステナイト耐熱合金。
下、Si：1.0 ％以下、Mn：0.5 ％以下、Cr：28〜38％、
Ni：30〜50％、Ｎ：0.05％を超え0.10％以下およびAl：
0.05％未満を含有し、さらにＢ： 0.001〜0.01％および
Zr：0.01〜0.1 ％の１種以上ならびにMo： 0.5〜3.0 ％
およびＷ： 1.0〜6.0 ％の１種以上を含有し、残部はFe
および不可避的不純物からなる高温強度と耐食性に優れ
た高クロムオーステナイト耐熱合金。
【０００９】(2)上記(1) の成分に加えてさらに重量％
で、Nb： 0.1〜1.0 ％を含有し、残部はFeおよび不可避
的不純物からなる高温強度と耐食性に優れた高クロムオ
ーステナイト耐熱合金。 (3)上記(1) の成分に加えてさらに重量％で、Mg： 0.00
1〜0.05％およびCa： 0.001〜0.05％の１種以上を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる高温強度と
耐食性に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金。
で、Nb： 0.1〜1.0 ％を含有し、残部はFeおよび不可避
的不純物からなる高温強度と耐食性に優れた高クロムオ
ーステナイト耐熱合金。 (3)上記(1) の成分に加えてさらに重量％で、Mg： 0.00
1〜0.05％およびCa： 0.001〜0.05％の１種以上を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる高温強度と
耐食性に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金。
【００１０】(4)上記(1) の成分に加えてさらに重量％
で、Nb： 0.1〜1.0 ％ならびにMg： 0.001〜0.05％およ
びCa： 0.001〜0.05％の１種以上を含有し、残部はFeお
よび不可避的不純物からなる高温強度と耐食性に優れた
高クロムオーステナイト耐熱合金。
で、Nb： 0.1〜1.0 ％ならびにMg： 0.001〜0.05％およ
びCa： 0.001〜0.05％の１種以上を含有し、残部はFeお
よび不可避的不純物からなる高温強度と耐食性に優れた
高クロムオーステナイト耐熱合金。
【００１１】前記のような苛酷な高温腐食環境下で十分
な耐食性を得るには、28％以上のCrを含有させることが
必要である。このような高Cr含有のCr−Ni−Fe系合金に
おいては、所定のNi含有領域でα相が析出し、高温強度
と長時間使用後の靱性に影響を及ぼす。しかし、Ni含有
量を適切にすることにより適量のα相を析出させて、前
記の高温強度と長時間使用後の靱性をともに向上させる
ことができる。
な耐食性を得るには、28％以上のCrを含有させることが
必要である。このような高Cr含有のCr−Ni−Fe系合金に
おいては、所定のNi含有領域でα相が析出し、高温強度
と長時間使用後の靱性に影響を及ぼす。しかし、Ni含有
量を適切にすることにより適量のα相を析出させて、前
記の高温強度と長時間使用後の靱性をともに向上させる
ことができる。
【００１２】本発明者らは、前記の従来の高Ni合金の経
済性に係わる問題点を解決するためにさらに研究を重ね
た結果、次の〜の知見を得た。
済性に係わる問題点を解決するためにさらに研究を重ね
た結果、次の〜の知見を得た。
【００１３】高温強度と長時間使用後の靱性をともに
良好にするには、 600〜750 ℃の使用温度域において、
合金中にα相を重量％で５〜15％程度析出させることが
重要である。
良好にするには、 600〜750 ℃の使用温度域において、
合金中にα相を重量％で５〜15％程度析出させることが
重要である。
【００１４】TiおよびNiはα相析出に大きく影響を及
ぼす。この種の合金に高温強度向上を目的として添加さ
れるTiはα相の析出促進作用を有するが、Niはα相の析
出抑制作用を有する。したがって、Tiを添加する場合に
はα相が多量に析出して、長時間使用後の靱性の低下を
もたらす恐れがあり、このためα相の析出抑制作用を有
するNiを多量に添加することが必要となる。
ぼす。この種の合金に高温強度向上を目的として添加さ
れるTiはα相の析出促進作用を有するが、Niはα相の析
出抑制作用を有する。したがって、Tiを添加する場合に
はα相が多量に析出して、長時間使用後の靱性の低下を
もたらす恐れがあり、このためα相の析出抑制作用を有
するNiを多量に添加することが必要となる。
【００１５】これに対し、Niは前記のようにα相の析
出抑制作用を有するので、Tiを全く添加しない場合には
Ni含有量を低減することにより、前記の高温強度と長時
間使用後の靱性がともに良好となる所望のα相析出量を
得ることができる。
出抑制作用を有するので、Tiを全く添加しない場合には
Ni含有量を低減することにより、前記の高温強度と長時
間使用後の靱性がともに良好となる所望のα相析出量を
得ることができる。
【００１６】上記の手段により、前記特開昭61−1743
50号公報などに示されているような、Tiを含有する合金
と同等以上の高温強度と耐食性を有し、さらに高価なNi
の含有量を低減した、経済性にも非常に優れる高クロム
オーステナイト耐熱合金を得ることができる。
50号公報などに示されているような、Tiを含有する合金
と同等以上の高温強度と耐食性を有し、さらに高価なNi
の含有量を低減した、経済性にも非常に優れる高クロム
オーステナイト耐熱合金を得ることができる。
【００１７】
【作用】以下、本発明の合金を構成する成分の作用効果
と、その適正含有量を前記のように定めた理由について
説明する。％は重量％を意味する。
と、その適正含有量を前記のように定めた理由について
説明する。％は重量％を意味する。
【００１８】Ｃ：0.02％を超え0.10％以下 Ｃは、炭化物を形成して耐熱鋼として必要な引張強さや
クリープ破断強度を向上させるために有効な元素であ
る。Ｃ含有量が0.02％以下では前記作用に所望の効果が
得られない。一方、0.10％を超えると合金の延性および
靱性の低下が大きくなる。よって、Ｃ含有量の範囲は0.
02％を超え0.10％以下とした。
クリープ破断強度を向上させるために有効な元素であ
る。Ｃ含有量が0.02％以下では前記作用に所望の効果が
得られない。一方、0.10％を超えると合金の延性および
靱性の低下が大きくなる。よって、Ｃ含有量の範囲は0.
02％を超え0.10％以下とした。
【００１９】Si：1.0 ％以下 Siは、脱酸のために必要な元素であるとともに、耐酸化
性改善にも寄与する元素である。しかし、Siが1.0 ％を
超えて過剰に存在すると、溶接性や組織安定性が悪化す
る。これらの作用を考慮してSi含有量は1.0 ％以下とし
た。
性改善にも寄与する元素である。しかし、Siが1.0 ％を
超えて過剰に存在すると、溶接性や組織安定性が悪化す
る。これらの作用を考慮してSi含有量は1.0 ％以下とし
た。
【００２０】Mn：0.5 ％以下 Mnは脱酸のために有効な元素である。しかし、Mn含有量
が0.5 ％を超えると耐熱特性が劣化する。よって、Mn含
有量は0.5 ％以下とした。
が0.5 ％を超えると耐熱特性が劣化する。よって、Mn含
有量は0.5 ％以下とした。
【００２１】Cr：28〜38％ Crは耐酸化性、耐水蒸気酸化性および耐高温腐食性など
の耐食性改善に優れた作用を発揮し、さらに本発明にお
いては高温強度を担うα相を形成する重要な元素であ
る。しかし、その含有量が28％未満では上記の効果が得
られない。一方、38％を超えると加工性の劣化や組織の
不安定化を招く。よって、Cr含有量の範囲は28〜38％と
した。
の耐食性改善に優れた作用を発揮し、さらに本発明にお
いては高温強度を担うα相を形成する重要な元素であ
る。しかし、その含有量が28％未満では上記の効果が得
られない。一方、38％を超えると加工性の劣化や組織の
不安定化を招く。よって、Cr含有量の範囲は28〜38％と
した。
【００２２】Ni：30〜50％ Niは安定なオーステナイト組織を得るために必要不可欠
な元素である反面、使用温度域におけるα相の析出を抑
制する作用を有する元素である。すなわち、Ti無添加合
金においては、その含有量の増加はα相の析出を抑制
し、その含有量の低減はα相の析出を促進することにな
る。しかし、Ni含有量が30％未満であると、オーステナ
イト組織の確保が不安定になる。一方、50％を超えると
α相の析出が抑制されて適量のα相量が得られなくなる
結果、高温強度が不足する上に経済的にも多大な不利を
招く。よって、Ni含有量の範囲は30〜50％とした。
な元素である反面、使用温度域におけるα相の析出を抑
制する作用を有する元素である。すなわち、Ti無添加合
金においては、その含有量の増加はα相の析出を抑制
し、その含有量の低減はα相の析出を促進することにな
る。しかし、Ni含有量が30％未満であると、オーステナ
イト組織の確保が不安定になる。一方、50％を超えると
α相の析出が抑制されて適量のα相量が得られなくなる
結果、高温強度が不足する上に経済的にも多大な不利を
招く。よって、Ni含有量の範囲は30〜50％とした。
【００２３】Ｎ：0.05％を超え0.10％以下 Ｎは高温強度を改善するために重要な元素である。ま
た、オーステナイト組織を安定化する作用を有する元素
でもある。このため、高価な元素であるNiの一部として
代替するのに有効である。しかし、Ｎ含有量が0.05％以
下では前記の効果が得られない。一方、0.10％を超える
と高温長時間使用時に窒化物が析出して靱性が劣化す
る。よって、Ｎ含有量の範囲は0.05％を超え0.10％以下
とした。
た、オーステナイト組織を安定化する作用を有する元素
でもある。このため、高価な元素であるNiの一部として
代替するのに有効である。しかし、Ｎ含有量が0.05％以
下では前記の効果が得られない。一方、0.10％を超える
と高温長時間使用時に窒化物が析出して靱性が劣化す
る。よって、Ｎ含有量の範囲は0.05％を超え0.10％以下
とした。
【００２４】Al: 0.05％未満 Alは脱酸剤として有効な元素であるが、本発明合金では
上記のとおりＮを0.05％を超え0.10％以下の範囲で含有
させているので、Al含有量が0.05％を超えるとAlN とな
って析出し、強度、靱性を低下させる。よって、Al含有
量は0.05％未満とした。
上記のとおりＮを0.05％を超え0.10％以下の範囲で含有
させているので、Al含有量が0.05％を超えるとAlN とな
って析出し、強度、靱性を低下させる。よって、Al含有
量は0.05％未満とした。
【００２５】ＢおよびZr: Ｂは 0.001〜0.01％、Zrは0.
01〜0.1 ％ これらの元素は主として合金の粒界強化に有効な元素で
ある。しかし、Ｂではその含有量が0.001 ％未満、Zrで
はその含有量が0.01％未満であると、前記作用の効果が
得られない。一方、Ｂ含有量が0.01％、Zr含有量が0.1
％をそれぞれ超えるとクリープ破断強度が低下し、溶接
性も劣化する。よって、Ｂではその含有量の範囲を 0.0
01〜0.01％、Zrではその含有量の範囲を0.01〜0.1 ％と
した。これらの元素は１種だけ含有させてもよいし、２
種複合して含有させてもよい。
01〜0.1 ％ これらの元素は主として合金の粒界強化に有効な元素で
ある。しかし、Ｂではその含有量が0.001 ％未満、Zrで
はその含有量が0.01％未満であると、前記作用の効果が
得られない。一方、Ｂ含有量が0.01％、Zr含有量が0.1
％をそれぞれ超えるとクリープ破断強度が低下し、溶接
性も劣化する。よって、Ｂではその含有量の範囲を 0.0
01〜0.01％、Zrではその含有量の範囲を0.01〜0.1 ％と
した。これらの元素は１種だけ含有させてもよいし、２
種複合して含有させてもよい。
【００２６】MoおよびＷ：Moは 0.5〜3.0 ％、Ｗは 1.0
〜6.0 ％ MoおよびＷは主として固溶強化元素として有効であり、
クリープ破断強度を向上させる。しかし、Moではその含
有量が0.5 ％未満、Ｗではその含有量が1.0 ％未満であ
ると前記の効果が得られない。一方、Mo含有量が3.0
％、Ｗ含有量が6.0 ％をそれぞれ超えると、耐食性、加
工性を劣化させる。よって、Moではその含有量の範囲を
0.5〜3.0 ％、Ｗではその含有量の範囲を 1.0〜6.0 ％
とした。これらの元素は１種だけ含有させてもよいし、
２種複合して含有させてもよい。ただし、これらを２種
併用する場合には、合計含有量をMo＋ (1/2)Ｗで3.0 ％
以下に抑えるのが望ましい。
〜6.0 ％ MoおよびＷは主として固溶強化元素として有効であり、
クリープ破断強度を向上させる。しかし、Moではその含
有量が0.5 ％未満、Ｗではその含有量が1.0 ％未満であ
ると前記の効果が得られない。一方、Mo含有量が3.0
％、Ｗ含有量が6.0 ％をそれぞれ超えると、耐食性、加
工性を劣化させる。よって、Moではその含有量の範囲を
0.5〜3.0 ％、Ｗではその含有量の範囲を 1.0〜6.0 ％
とした。これらの元素は１種だけ含有させてもよいし、
２種複合して含有させてもよい。ただし、これらを２種
併用する場合には、合計含有量をMo＋ (1/2)Ｗで3.0 ％
以下に抑えるのが望ましい。
【００２７】本発明合金は上記の各成分の他に、さらに
次に述べる成分を含有することができる。
次に述べる成分を含有することができる。
【００２８】Nb： 0.1〜1.0 ％ Nbは結晶粒を微細化し、延性を向上させる。さらにオー
ステナイト相中やCr炭化物中に固溶してクリープ破断強
度の向上に寄与する。しかし、Nb含有量が 0.1％未満で
は上記の効果が得られない。一方、1.0 ％を超えると靱
性の劣化を招く。よって、Nb含有量の範囲は 0.1〜1.0
％とした。
ステナイト相中やCr炭化物中に固溶してクリープ破断強
度の向上に寄与する。しかし、Nb含有量が 0.1％未満で
は上記の効果が得られない。一方、1.0 ％を超えると靱
性の劣化を招く。よって、Nb含有量の範囲は 0.1〜1.0
％とした。
【００２９】MgおよびCa：それぞれ 0.001〜0.05％ MgおよびCaは加工性改善に有効な元素である。しかし、
それぞれの含有量が0.001 ％未満では前記の効果が得ら
れない。一方、0.05％を超えると逆に加工性を劣化させ
る。よって、MgおよびCaの含有量の範囲は、ともに 0.0
01〜0.05％とした。これらの元素は１種だけ含有させて
もよいし、２種複合して含有させてもよい。ただし、２
種併用の場合にはMgとCaの含有量の合計においても 0.0
01〜０．０５％とするのが望ましい。
それぞれの含有量が0.001 ％未満では前記の効果が得ら
れない。一方、0.05％を超えると逆に加工性を劣化させ
る。よって、MgおよびCaの含有量の範囲は、ともに 0.0
01〜0.05％とした。これらの元素は１種だけ含有させて
もよいし、２種複合して含有させてもよい。ただし、２
種併用の場合にはMgとCaの含有量の合計においても 0.0
01〜０．０５％とするのが望ましい。
【００３０】なお、Ｐ、Ｓは合金中に不可避的に混入す
る元素であるが、高温強度、溶接性さらには熱間加工性
を確保する観点から、Ｐは０．０３％以下、Ｓは0.02％
以下とすることが望ましい。
る元素であるが、高温強度、溶接性さらには熱間加工性
を確保する観点から、Ｐは０．０３％以下、Ｓは0.02％
以下とすることが望ましい。
【００３１】
【実施例】表１(1) および表１(2) に示す化学組成の合
金を高周波真空溶解炉で溶製して得た17kgインゴットを
鍛造、冷間圧延し、さらに1200℃で固溶化熱処理を施し
た供試材から、各試験片を作製し、クリープ破断試験と
時効後のシャルピー衝撃試験を行った。
金を高周波真空溶解炉で溶製して得た17kgインゴットを
鍛造、冷間圧延し、さらに1200℃で固溶化熱処理を施し
た供試材から、各試験片を作製し、クリープ破断試験と
時効後のシャルピー衝撃試験を行った。
【００３２】クリープ破断試験は、外径６mm、標点間距
離30mmの試験片を用いて750 ℃で行い、103 時間と104
時間の破断強度を求めた。時効後のシャルピー衝撃試験
は、750 ℃、300 時間の条件で時効処理した供試材から
作製した５mm×10mm×55mmの２mmＶノッチ形成試験片を
用いて０℃で行った。
離30mmの試験片を用いて750 ℃で行い、103 時間と104
時間の破断強度を求めた。時効後のシャルピー衝撃試験
は、750 ℃、300 時間の条件で時効処理した供試材から
作製した５mm×10mm×55mmの２mmＶノッチ形成試験片を
用いて０℃で行った。
【００３３】表２(1) および表２(2) に、103 時間と10
4 時間の破断強度と時効後のシャルピー衝撃値を示す。
No.1〜26は本発明例、Ａ〜Ｐは比較例である。なお、比
較例Ａ〜Ｄは特開昭61−174350号公報に開示される合
金、比較例Ｅは特開昭61−276948号公報に開示される合
金、比較例ＦおよびＧは特開昭59−153858号公報に開示
される合金である。
4 時間の破断強度と時効後のシャルピー衝撃値を示す。
No.1〜26は本発明例、Ａ〜Ｐは比較例である。なお、比
較例Ａ〜Ｄは特開昭61−174350号公報に開示される合
金、比較例Ｅは特開昭61−276948号公報に開示される合
金、比較例ＦおよびＧは特開昭59−153858号公報に開示
される合金である。
【００３４】
【表１（１）】
【００３５】
【表１（２）】
【００３６】
【表２（１）】
【００３７】
【表２（２）】
【００３８】また、一部の合金について、700 ℃、3000
h 時効後の合金中のα相量を抽出残渣定量により求め
た。表３に、本発明例６と比較例Ｂ（特開昭61−174350
号公報に開示される合金）の合金について、Cr、Niおよ
びTiの含有量とα相量を示す。
h 時効後の合金中のα相量を抽出残渣定量により求め
た。表３に、本発明例６と比較例Ｂ（特開昭61−174350
号公報に開示される合金）の合金について、Cr、Niおよ
びTiの含有量とα相量を示す。
【００３９】
【表３】
【００４０】図１は、クリープ破断強度および時効後衝
撃値に及ぼすAl含有量の影響の例を示す図である。図２
は、クリープ破断強度および時効後衝撃値に及ぼすＮ含
有量の影響の例を示す図である。図３は、表２の結果か
ら本発明例と比較例の合金についてクリープ破断強度を
比較した例を示す図である。
撃値に及ぼすAl含有量の影響の例を示す図である。図２
は、クリープ破断強度および時効後衝撃値に及ぼすＮ含
有量の影響の例を示す図である。図３は、表２の結果か
ら本発明例と比較例の合金についてクリープ破断強度を
比較した例を示す図である。
【００４１】図１から、Al含有量が本発明で定める範囲
を超えると、クリープ破断強度と時効後靱性が大きく低
下することがわかる。図２から、Ｎ含有量が本発明で定
める範囲内である場合には、クリープ破断強度と時効後
靱性がともに良好であることがわかる。
を超えると、クリープ破断強度と時効後靱性が大きく低
下することがわかる。図２から、Ｎ含有量が本発明で定
める範囲内である場合には、クリープ破断強度と時効後
靱性がともに良好であることがわかる。
【００４２】さらに表２と図３から明らかなように、本
発明例の合金は、Mo、Ｗを含有していない比較例ＦとＧ
や、Ｂ、Zrを含有せず、かつＮ含有量も低い比較例Ｈと
Ｉに比べて、著しく高いクリープ破断強度を示すのみな
らず、時効後靱性も良好である。
発明例の合金は、Mo、Ｗを含有していない比較例ＦとＧ
や、Ｂ、Zrを含有せず、かつＮ含有量も低い比較例Ｈと
Ｉに比べて、著しく高いクリープ破断強度を示すのみな
らず、時効後靱性も良好である。
【００４３】表３から明らかなように、本発明例の合金
は、Tiを含有させないことによって、特開昭61−174350
号公報に開示される合金より低Ni含有量で、ほぼ同量の
α相を得ることが可能であり、また、Ｎ含有量も多いこ
とから比較例Ａ〜Ｅ（特開昭61−174350号公報、同61−
276948号公報に開示される合金）と同等以上のクリープ
破断強度と時効後靱性を示し、経済性においても非常に
有利なものである。
は、Tiを含有させないことによって、特開昭61−174350
号公報に開示される合金より低Ni含有量で、ほぼ同量の
α相を得ることが可能であり、また、Ｎ含有量も多いこ
とから比較例Ａ〜Ｅ（特開昭61−174350号公報、同61−
276948号公報に開示される合金）と同等以上のクリープ
破断強度と時効後靱性を示し、経済性においても非常に
有利なものである。
【００４４】
【発明の効果】本発明の高クロムオーステナイト耐熱合
金は、苛酷な高温、腐食環境下においても優れた高温強
度をもつ安価な合金である。
金は、苛酷な高温、腐食環境下においても優れた高温強
度をもつ安価な合金である。
【図面の簡単な説明】
【図１】クリープ破断強度と時効後衝撃値に及ぼすAl含
有量の影響の例を示す図である。
有量の影響の例を示す図である。
【図２】クリープ破断強度と時効後衝撃値に及ぼすＮ含
有量の影響の例を示す図である。
有量の影響の例を示す図である。
【図３】 本発明例と比較例の合金について、クリープ
破断強度を比較した例を示す図である。
破断強度を比較した例を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項１】重量％で、Ｃ：0.02％を超え0.10％以下、
Si：1.0 ％以下、Mn：0.5 ％以下、Cr：28〜38％、Ni：
30〜50％、Ｎ：0.05％を超え0.10％以下およびAl：0.05
％未満を含有し、さらにＢ： 0.001〜0.01％およびZr：
0.01〜0.1 ％の１種以上ならびにMo： 0.5〜3.0 ％およ
びＷ： 1.0〜6.0 ％の１種以上を含有し、残部はFeおよ
び不可避的不純物からなる高温強度と耐食性に優れた高
クロムオーステナイト耐熱合金。 - 【請求項２】重量％で、Ｃ：0.02％を超え0.10％以下、
Si：1.0 ％以下、Mn：0.5 ％以下、Cr：28〜38％、Ni：
30〜50％、Ｎ：0.05％を超え0.10％以下、Al：0.05％未
満およびNb： 0.1〜1.0 ％を含有し、さらにＢ： 0.001
〜0.01％およびZr：0.01〜0.1 ％の１種以上ならびにM
o： 0.5〜3.0 ％およびＷ： 1.0〜6.0 ％の１種以上を
含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる高温強
度と耐食性に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金。 - 【請求項３】重量％で、Ｃ：0.02％を超え0.10％以下、
Si：1.0 ％以下、Mn：0.5 ％以下、Cr：28〜38％、Ni：
30〜50％、Ｎ：0.05％を超え0.10％以下およびAl：0.05
％未満を含有し、さらにＢ： 0.001〜0.01％およびZr：
0.01〜0.1 ％の１種以上ならびにMo： 0.5〜3.0 ％およ
びＷ： 1.0〜6.0 ％の１種以上ならびにMg： 0.001〜0.
05％およびCa： 0.001〜0.05％の１種以上を含有し、残
部はFeおよび不可避的不純物からなる高温強度と耐食性
に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金。 - 【請求項４】重量％で、Ｃ：0.02％を超え0.10％以下、
Si：1.0 ％以下、Mn：0.5 ％以下、Cr：28〜38％、Ni：
30〜50％、Ｎ：0.05％を超え0.10％以下、Al：0.05％未
満およびNb： 0.1〜1.0 ％を含有し、さらにＢ： 0.001
〜0.01％およびZr：0.01〜0.1 ％の１種以上ならびにM
o： 0.5〜3.0 ％およびＷ： 1.0〜6.0 ％の１種以上な
らびにMg： 0.001〜0.05％およびCa： 0.001〜0.05％の
１種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物から
なる高温強度と耐食性に優れた高クロムオーステナイト
耐熱合金。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17683793A JPH0734166A (ja) | 1993-07-16 | 1993-07-16 | 高クロムオーステナイト耐熱合金 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17683793A JPH0734166A (ja) | 1993-07-16 | 1993-07-16 | 高クロムオーステナイト耐熱合金 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0734166A true JPH0734166A (ja) | 1995-02-03 |
Family
ID=16020705
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP17683793A Pending JPH0734166A (ja) | 1993-07-16 | 1993-07-16 | 高クロムオーステナイト耐熱合金 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0734166A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2009154161A1 (ja) | 2008-06-16 | 2009-12-23 | 住友金属工業株式会社 | オーステナイト系耐熱合金ならびにこの合金からなる耐熱耐圧部材とその製造方法 |
| EP3533889A4 (en) * | 2016-10-28 | 2020-05-20 | Kubota Corporation | HEAT-RESISTANT ALLOY FOR A METAL FOCUS ELEMENT |
-
1993
- 1993-07-16 JP JP17683793A patent/JPH0734166A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2009154161A1 (ja) | 2008-06-16 | 2009-12-23 | 住友金属工業株式会社 | オーステナイト系耐熱合金ならびにこの合金からなる耐熱耐圧部材とその製造方法 |
| US8801877B2 (en) | 2008-06-16 | 2014-08-12 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Austenitic heat resistant alloy, heat resistant pressure member comprising the alloy, and method for manufacturing the same member |
| EP3533889A4 (en) * | 2016-10-28 | 2020-05-20 | Kubota Corporation | HEAT-RESISTANT ALLOY FOR A METAL FOCUS ELEMENT |
| US10982304B2 (en) | 2016-10-28 | 2021-04-20 | Kubota Corporation | Heat-resistant alloy for hearth metal member |
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