JPH073406B2 - 硬度測定方法 - Google Patents

硬度測定方法

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JPH073406B2
JPH073406B2 JP60139379A JP13937985A JPH073406B2 JP H073406 B2 JPH073406 B2 JP H073406B2 JP 60139379 A JP60139379 A JP 60139379A JP 13937985 A JP13937985 A JP 13937985A JP H073406 B2 JPH073406 B2 JP H073406B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の技術分野] 本発明は金属の表面および内部の硬さを非破壊的にて測
定することができる及び硬度測定方法に関する。
[発明の技術的背景とその問題点] 一般に、金属の硬さの測定は金属の機械的性質を利用し
てビッカース硬度計(HV)、ロックウェル硬度計(H
B)、ブリネル硬度計(HB)等の硬度測定器によって測
定するのが最も正確と言われている。しかし、これらの
測定器は被測定物を切断しない場合には被測定物の表面
部の測定しかできないため、内部の硬度を正確に測定す
る場合には被測定物を切断して測定箇所を上記したよう
な硬度測定器にて測定する方法が最も多いとされてい
る。このように、被測定物を切断してその内部の硬度を
測定する場合において、高周波焼入れ、ガス浸炭焼入れ
等のように表面焼入れされた金属の表面から内部までの
連続した硬さの分布を測定するために被測定物を切断す
るために、被測定物の切断から測定までに長時間を要す
るという欠点もあった。また、切断してはならない被測
定物については測定をすることができないという問題が
あった。
[発明の目的] 本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的
は、金属の表面及び内部の硬さを非破壊的に測定でき、
しかも金属の表面から内部までの連続した硬度分布の測
定、金属の任意の深さの硬度の測定を極く短時間に測定
することができる及び硬度測定方法を提供することにあ
る。
[発明の概要] 筒状に回巻きされた一次コイルと二次コイルを同心状に
構成した計測用コイルを使用し、被測定物と同一材料で
なり肉厚の異なる複数の中空円筒の各々へ上記一次コイ
ルにより周波数を順次可変させた交番磁界を印加させ
て、上記肉厚に対応した周波数で上記二次コイルの二次
電圧が急変する現象から、周波数に対する渦電流浸透深
さの関係を求める周波数−渦電流浸透深さ測定工程と、
表面から中心まで一定の硬度の試験片円柱を上記測定コ
イルにセットし、上記一次コイルに周波数を順次変えた
交番磁界を印加し上記二次コイルにより上記試験片円柱
に発生する渦電流を計測し、その計測データに基づき渦
電流浸透深さの変化による電流損失を補正し一定の渦電
流値とする補正率を求める渦電流値補正工程と、焼き入
れを行った焼き入れ試験片円柱を上記計測用コイルにセ
ットし、上記一次コイルに周波数を順次可変させた交番
磁界を印加し深さ−渦電流の関係を求めた後上記補正率
を用いて渦電流値を補正した深さ−補正渦電流の関係を
求める焼き入れ試験片円柱の事前測定工程と、上記事前
測定工程の焼き入れ試験片円柱を切断し、機械的硬度計
を使用して同試験片円柱の深さ位置による硬度を計測
し、深さ−硬さの関係を求める機械的硬度計による硬度
測定工程と、上記事前工程と上記硬度測定工程の測定結
果に基づいて硬さ−補正渦電流の相関関係を設定する硬
さ−補正渦電流相関関係の設定工程と、上記周波数−渦
電流浸透深さ測定工程から硬さ−補正渦電流相関関係の
設定工程までの5つの工程を予め実施した後、硬さを測
定する被測定物を上記測定用コイルにセットし、上記周
波数−渦電流浸透深さ測定工程に基づいて一次コイルに
流す交流電流の周波数を連続的または段階的に変化させ
ることで、二次コイルにより得られる渦電流の値を上記
事前測定工程により補正した後、上記硬さ−補正渦電流
相関関係の設定工程で設定された硬度−渦電流相関関係
に基づき被測定物の表面から深さ方向の硬度分布を測定
する被測定物の硬度測定工程とからなる硬度測定方法で
ある。
[発明の実施例] 以下図面を参照して本発明の一実施例に係わる硬度測定
装置について説明する。第1図乃至第3図において11は
装置本体で、12は交流電流値を表示するメーター、13は
深さ信号発生器21、深さ−周波数変換器22、可変周波数
交流発振器23、増幅・調整器24、うず電流検出器25、う
ず電流演算及び補正器26、うず電流−硬さ変換器27を含
む回路装置である。また、14aは検出された硬度をデジ
タル的に表示する表示部、14bは交流発振器の周波数を
表示するメーターである。そして、上記深さ−周波数変
換器22から出力される周波数を有する交流電流は計測用
コイル16に供給される。また、この計測用コイル16は筒
状に回券された一次コイル161と二次コイル162とを同心
円状に配置した構成を有する。一次コイル161は被測定
物15を通る磁束を変化させるためのコイルで、二次コイ
ル162は上記被測定物15に生じる磁化変化及び渦電流を
検出するためのコイルである。そして、上記二次コイル
162に誘起された誘導電圧から磁化変化により生じた電
圧成分及び一次コイル161よりの直接の誘導電圧が減じ
られてうず電流相当値がうず電流検出器25により検出さ
れる。このうず電流相当値の電圧は、被測定物の表面と
内部とでうず電流が異なることを考慮して実験的に求め
た補正値を乗じるアナログ又はデジタル演算器よりなる
うず電流補正器26に送られる。そして、このうず電流補
正器26で補正されたうず電流相当値を変換器27で硬さ値
に変換される。そして、指定した深さと上記により実測
した硬さとの関係を硬さ分布グラフ作成器18に出力す
る。17は上記硬さ分布グラフ作成器18に接続されるプリ
ンタである。
次に、第3図を参照して第1図に示した装置本体11内の
構成を詳細に説明する。第3図において、21は被測定物
15の深さを指定する深さ信号を出力する深さ信号発生器
である。この深さ信号発生器21から出力される深さ信号
は深さ−周波数変換器22に入力される。この深さ−周波
数変換器22は第4図に示すように上記深さ信号で指定さ
れた上記被測定物15の深さにうず電流を発生する周波数
を出力する。この深さ−周波数変換器22から出力される
周波数は、可変周波数交流発振器23に入力される。この
交流発振器23から出力される交流電流信号は増幅・調整
器24を介して増幅されて上記一次コイル161に供給され
る。そして、上記二次コイル162には一次コイル161から
の直接誘導電圧の他に、上記被測定物15に発生する磁化
変化とうず電流に対応した電圧が発生する。このため、
二次コイルに発生した誘導電圧から一次コイルの直接誘
導による電圧成分と磁化変化速度に比例した電圧成分と
がうず電流検出器25により減じられ、うず電流による誘
導電圧、つまりうず電流相当値が得られる。
次に被測定物に流れるうず電流は表面と内部とで異なる
ことから第5図に示すように表面からの深さの関数であ
る補正率がうず電流補正器26において上記うず電流相当
値に乗算される。このようにして得た測定値はうず電流
−硬さ変換器27において硬さの値に変換され出力され
る。
次に、上記のように構成された本発明の一実施例の動作
について説明する。まず、第1図に示すように被測定物
15を計測用コイル16内に載置し、一次コイル161に流す
交流電流の周波数を深さ信号発生器21により予じめ設定
した測定深さに対応して高い周波数から低い周波数に連
続的に又は段階的に変化させる。これにより、第2図に
示すように被測定物15に発生するうず電流の深さが変化
する。このようにして、一次コイル161に交流電流が流
れると被測定物15内に磁化変化が生じると共にうず電流
が流れる。この磁化変化とうず電流により二次コイル16
2に誘導電圧が誘起される。この誘導電圧は被測定物15
に流れるうず電流の値に相当した成分を含む。うず電流
検出器25は上記二次コイル162に誘起される誘起電圧か
ら一次コイル161からの直接誘導の成分と磁化変化によ
る成分を除去して、うず電流に相当する誘起電圧、つま
りうず電流相当値を計測する。実測においては一次コイ
ル161の電流が弱いとき、焼入れ材は磁化変化が小さい
ので、二次コイル162に現れる電圧はほとんど一次コイ
ル161からの直接誘導によるものと、被測定物15に流れ
るうず電流によるものである。そこで被測定物をコイル
内に挿入していない時の二次コイルに生じる電圧を上記
方法により測定した値より減じればうず電流相当値が得
られることになる。このうず電流相当値は、実際に被測
定物内でのうず電流の強さが深さによって異なるので、
第5図に示すような補正率を乗じて、指定された深さま
で一様なうず電流が流れているとした値に補正する必要
がある。うず電流補正器26において、実験的に求めた補
正率と上記うず電流相当値との乗算がアナログ又はデジ
タル演算で行なわれる。そして、うず電流−硬さ変換器
27により被測定物15の硬さが算出される。
基本的動作原理は上記の如くであるが、ここで目的とし
ているのは被測定物の深さ方向の硬さ分布を非破壊で測
定することにあるから、うず電流の深さを順次変える必
要がある。そのために本体11は深さ信号発生器21により
深さを指定し、その信号により深さ−周波数変換器22よ
り周波数が指定され、交流発振器23から該周波数を有す
る交流電圧が発生される。これら一連の構成は深さ信号
として電圧を生じ、その電圧に対応した周波数の交流電
圧を生じる電圧−周波数変換器に置き換えることもでき
る。上記交流電圧は増幅・調整器24を介して交流電流に
変換され一次コイル161に供給される。上記方法でうず
電流相当値を硬さに変換した値は、指定した深さの硬さ
として、コンピュータを含む硬さ分布グラフ作成器18及
びプロッター17からなるグラフ表示器に出力される。実
測においては深さ信号を硬さ分布グラフ作成器18に記憶
させておき、硬さ分布グラフ作成器18より深さ信号を順
次送り出し、それぞれの深さに対応した実測硬さを硬さ
分布グラフ作成器18に取り込むことにより、硬さ分布グ
ラフ作成器18のディスプレー上及びプロッター17の上に
「深さ−硬さ」の分布グラフを描かせる。
次に、本発明に係わる硬度測定におけるうず電流相当値
−硬度変換の方法について説明する。
まず、周波数−渦電流浸透深さ測定工程(第1工程)に
ついて説明する。この工程は、第8図に示すように、厚
さdの被測定物15と同じ材質の中空円筒31に各種の周波
数の交番磁界を印加して中空円筒31内部に発生するうず
電流に相当するうず電流相当値を各周波数毎に計測す
る。このようにして、第9図に示すような交番磁界−う
ず電流相当値の関係が求められる。第9図を見ても明ら
かなように、うず電流相当値は厚さdと関係する周波数
(d)においてその値が大きく変化する。以下、厚さ
dが異なっている筒31を用いて同様な計測を行なう。こ
のようにして、筒31の各種の厚さdに対応した周波数
(d)を計測することができる。このようにして、第4
図に示すような被測定物15の渦電流浸透深さに対応する
周波数がプロットされる。この第4図の関係に基づい
て、第3図の深さ−周波数変換器22により深さが周波数
に交換される。
次に、渦電流値補正工程(第2工程)について説明す
る。この工程は、表面から中心部まで一定した硬さの試
験片円柱状の鉄心を用い、この鉄心に交番磁界を印加し
て内部に生じるうず電流を計測する。つまり、円柱状の
鉄心を測定コイル16にセットし、一次コイル161に周波
数を順次変えた交番磁界を印加し二次コイル162により
試験片円柱に発生する渦電流を計測する。ところで、鉄
心の硬度は均一であるので内部に流れるうず電流は深さ
が変化しても同一であるはずである。ところが、第10図
に示すように表面からの深さが大きくなるに従ってうず
電流は上昇していく。これは表面に近いほど電流損失が
大きいためである。従って、うず電流相当値を補正する
必要がある。これは第5図に示すような渦電流浸透深さ
の変化による電流損失を補正し一定の渦電流値とする補
正率を掛けることにより行われる。
次に、焼き入れ試験片円柱の事前測定工程(第3工程)
について説明する。この工程は被測定物15の表面に焼入
れを行なった後、第4図に示した深さ−周波数の関係を
用いて印加する交番磁界の周波数を変化させていった場
合のうず電流を測定し、第11図の実線で示すようなグラ
フが得られる。そして、第5図に示す補正率を用いて破
線で示すようにうず電流が補正され、深さ−補正渦電流
の関係が求められる。
次に、機械的硬度計による硬度測定工程(第4工程)に
ついて説明する。この工程は被測定物15を切断して各深
さ毎の硬さをビッカース硬度計等の測定器にて測定す
る。このようにして測定された被測定物15の深さ−硬さ
の関係は第12図に示すようになる。
次に、硬さ−補正渦電流相関関係の設定工程(第5工
程)について説明する。この工程は、第11図及び第12図
により補正されたうず電流相当値と硬さとの相関関係を
求める。このようにして求められた補正されたうず電流
相当値−硬さの関係は第6図に示しておく。つまり、う
ず電流が増加すると硬さが増す。第6図に示すように、
うず電流相当値と硬さとの関係を求めることにより被測
定物を非破壊にて任意の深さの硬度測定を行なうことが
できる。つまり、被測定物の硬度測定工程が行われる。
この工程は前述した周波数−渦電流浸透深さ測定工程
(第1工程)から硬さ−補正渦電流相関関係の設定工程
(第5工程)までの5つの工程を予め実施した後、硬さ
を測定する被測定物15を測定用コイル16にセットし、周
波数−渦電流浸透深さ測定工程(第1工程)に基づいて
一次コイル161に流す交流電流の周波数を連続的または
段階的に変化させることで、二次コイル162により得ら
れる渦電流の値を事前測定工程(第3工程)により補正
した後、硬さ−補正渦電流相関関係の設定工程(第5工
程)で設定された硬度−渦電流相関関係に基づき被測定
物の表面から深さ方向の硬度分布を測定している。
ここで、第7図に示す曲線Aは上記非破壊試験で計測さ
れた硬度曲線で、切断試験により得られた被測定物の硬
度曲線Bとほぼ等しくすることができる。
なお、上記実施例においては計測用コイル16が一次コイ
ル161と二次コイル162とにより構成させるようにしたが
一つのコイルで行なうようにしても良い。
このように非破壊的に被測定物内の硬度を計測できるの
で、被測定物の内部硬度の合否判別が正確に出来るた
め、装置を生産ライン内に設置することが可能である。
例えば、自動車部品の熱処理された部品(ナックル、ト
ランスミッション等)の硬度測定が非破壊で短時間でで
きるため非常に有効である。
[発明の効果] 以上詳述したように本発明によれば、被測定物の内部の
硬さを非破壊的に測定することができる及び硬度測定方
法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係わる硬度測定装置を示す
図、第2図は計測用コイル示す図、第3図は同実施例の
硬度測定装置を示す図ブロック図、第4図は深さ−周波
数の関係を示す図、第5図は深さ−補正率の関係を示す
図、第6図はうず電流相当値−硬さとの関係を示す図、
第7図は深さ−硬さの関係を示す図、第8図は金属円筒
を示す斜視図、第9図は周波数−うず電流相当値の関係
を示す図、第10図は深さ−うず電流の関係を示す図、第
11図は深さ−うず電流の関係を示す図、第12図は深さ−
硬さの関係を示す図である。 11……装置本体、12……回路装置、14a……表示部、14b
……メータ、15……被測定物、16……計測用コイル。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】筒状に回巻された一次コイルと二次コイル
    を同心状に構成した計測用コイルを使用し、被測定物と
    同一材料でなり肉厚の異なる複数の中空円筒の各々へ上
    記一次コイルにより周波数を順次可変させた交番磁界を
    印加させて、上記肉厚に対応した周波数で上記二次コイ
    ルの二次電圧が急変する現象から、周波数に対する渦電
    流浸透深さの関係を求める周波数−渦電流浸透深さ測定
    工程と、 表面から中心まで一定の硬度の試験片円柱を上記測定コ
    イルにセットし、上記一次コイルに周波数を順次変えた
    交番磁界を印加し上記二次コイルにより上記試験片円柱
    に発生する渦電流を計測し、その計測データに基づき渦
    電流浸透深さの変化による電流損失を補正し一定の渦電
    流値とする補正率を求める渦電流値補正工程と、 焼き入れを行った焼き入れ試験片円柱を上記計測用コイ
    ルにセットし、上記一次コイルに周波数を順次可変させ
    た交番磁界を印加し深さ−渦電流の関係を求めた後上記
    補正率を用いて渦電流値を補正した深さ−補正渦電流の
    関係を求める焼き入れ試験片円柱の事前測定工程と、 上記事前測定工程の焼き入れ試験片円柱を切断し、機械
    的硬度計を使用して同試験片円柱の深さ位置による硬度
    を計測し、深さ−硬さの関係を求める機械的硬度計によ
    る硬度測定工程と、 上記事前工程と上記硬度測定工程の測定結果に基づいて
    硬さ−補正渦電流の相関関係を設定する硬さ−補正渦電
    流相関関係の設定工程と、 上記周波数−渦電流浸透深さ測定工程から硬さ−補正渦
    電流相関関係の設定工程までの5つの工程を予め実施し
    た後、硬さを測定する被測定物を上記測定用コイルにセ
    ットし、上記周波数−渦電流浸透深さ測定工程に基づい
    て一次コイルに流す交流電流の周波数を連続的または段
    階的に変化させることで、二次コイルにより得られる渦
    電流の値を上記事前測定工程により補正した後、上記硬
    さ−補正渦電流相関関係の設定工程で設定された硬度−
    渦電流相関関係に基づき被測定物の表面から深さ方向の
    硬度分布を測定する被測定物の硬度測定工程とからなる
    硬度測定方法。
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