JPH07333370A - ジルカロイ燃料被覆管ならびにその腐食抑制方法および装置 - Google Patents

ジルカロイ燃料被覆管ならびにその腐食抑制方法および装置

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JPH07333370A
JPH07333370A JP6151456A JP15145694A JPH07333370A JP H07333370 A JPH07333370 A JP H07333370A JP 6151456 A JP6151456 A JP 6151456A JP 15145694 A JP15145694 A JP 15145694A JP H07333370 A JPH07333370 A JP H07333370A
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zircaloy
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corrosion
fuel
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Yutaka Uruma
裕 閏間
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ジルカロイ燃料被覆管の腐食を抑制し、燃料被
覆管の健全性を確保し、長期間に亘り維持できるジルカ
ロイ燃料被覆管ならびにその腐食抑制方法および装置を
提供する。 【構成】ジルカロイ燃料被覆管48は、原子炉の燃料4
1を被覆する燃料被覆管40をジルコニウム合金で構成
し、上記燃料被覆管40の外表面に酸化皮膜を予め設
け、上記燃料被覆管40の腐食を抑制したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原子力発電プラントに用
いられるジルカロイ燃料被覆管ならびにその腐食抑制方
法および装置に係り、特にジルカロイ燃料被覆管の腐食
を抑制し、健全性を確保したジルカロイ燃料被覆管なら
びにその腐食抑制方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子炉(以下、BWRとい
う。)や加圧水型原子炉(以下、PWRという。)など
の軽水炉に用いられる燃料を被覆する燃料被覆管には通
常ジルコニウム合金であるジルカロイが用いられる。ジ
ルカロイ燃料被覆管は耐食性に優れているが、長期間使
用により冷却水である軽水との間に腐食反応が生じる。
【0003】ジルカロイ燃料被覆管と軽水との腐食反応
は、BWRでは従来レンズ状の酸化物を生成させるノジ
ュラ腐食が主であったが、近年は熱履歴の変更等により
腐食形態が全面に一様な酸化皮膜を形成する均一腐食に
変わりつつあり、この均一腐食が問題視されている。
【0004】一方、PWRでは腐食反応は従来から変わ
らず、均一腐食が重要な腐食現象である。
【0005】現在の原子力プラントにおける燃料使用条
件では、ジルカロイ燃料被覆管の腐食は、燃料被覆管の
健全性確保の視点からは、燃料の寿命を左右するほどの
深刻な問題になっていない。
【0006】一方、現在の原子力発電プラントにおいて
は、使用済燃料発生量の低減,燃料経済性の改善のた
め、燃料の高燃焼度化,長寿命化が進められている。よ
り長期間の燃料使用下では、ジルカロイ燃料被覆管の耐
食性が燃料寿命を左右する可能性もあり、耐食性改善が
重要な研究課題の1つになりつつある。
【0007】ところで、軽水炉の燃料被覆管を構成する
ジルカロイの腐食反応は、ノジュラ腐食にしろ、均一腐
食にしろ、酸化ジルコニウム(ZrO2 )の酸化物層を
形成させる酸化反応に異ならない。このことは、原子力
プラント内の放射能の発生と移行という観点から考慮す
ると、放射能発生量を増大させることを意味している。
【0008】原子力発電プラントの軽水炉環境でジルカ
ロイ燃料被覆管に生成される酸化ジルコニウム(ZrO
2 )層はポーラス(多孔質)であり、クラックなどの微
細な割れを有する。腐食が進むとフレーク状に剥離現象
が生じる。
【0009】ジルカロイ燃料被覆管の腐食が進行する
と、クラックの先端部やフレークの底部に過度の濃縮反
応が生じ、通常の運転条件では溶解度が高くて析出しな
いような酸化物、例えばCoOやNiOなどまでが燃料
被覆管表面に析出することが予想される。特に、燃料被
覆管表面で沸騰を伴うBWRでは、この沸騰濃縮現象は
顕著であることが知られている。
【0010】ジルカロイ燃料被覆管の腐食の進行に伴う
濃縮反応で析出される酸化物は、中性子の照射を受けて
以下のように放射化し、炉水中に再溶出して炉水中の放
射能濃度を高めることになる。
【0011】
【外1】 これらの核種は、現在軽水炉における放射性腐食生成物
の主要核種である。
【0012】従来の放射性腐食生成物の発生メカニズム
で説明すると、BWRにおいては、原子炉給水系から原
子炉圧力容器内に持ち込まれた粒子状の金属酸化物(一
般にはクラッドという。)やイオン性不純物が沸騰濃縮
現象によって燃料被覆管表面に付着し、固定される。P
WRにおいては、燃料被覆管表面で沸騰現象が存在しな
いためクラッドの付着量はBWRに較べ少ないものの付
着現象が存在する。
【0013】燃料被覆管表面に付着したクラッドは、中
性子の照射を受けて放射化され、放射性腐食生成物とな
る。生成された放射能は燃料被覆管表面に全量そのまま
固定されるのではなく、一部は粒子状で剥離したり、イ
オン状で溶出したりして、一次冷却材中の放射能濃度を
高めることになる。
【0014】また、放射能の発生プロセスとしては、原
子炉の炉内構造材から剥離,溶出された金属が燃料被覆
管表面に同様に付着して放射化する過程や、炉心構造材
が直接放射化され、放射能として溶出する過程なども考
えられる。各プロセスを経て発生した放射能は、一次冷
却材を媒体として原子炉プラントの一次系全領域に達
し、原子炉プラントの一次系の各系統を汚染させる。
【0015】この一連の放射性腐食生成物の発生とその
汚染進行メカニズムにおいて、ジルカロイ燃料被覆管の
腐食層は新たな放射能の発生源を意味しており、ジルカ
ロイ燃料被覆管の腐食が進み、ポーラスな酸化ジルコニ
ウム層が成長することによって、燃料被覆管表面で生成
する放射能の量が飛躍的に増大するおそれがある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】原子力発電プラントに
用いられるジルカロイ燃料被覆管において、ジルコニウ
ム合金であるジルカロイの腐食対策は、燃料被覆管の健
全性確保の観点から重要であるばかりでなく、放射能の
発生を抑制し、被曝低減技術を確立する上でも重要な問
題である。
【0017】ジルカロイの耐食性に影響を与える因子と
しては、ジルカロイの製造履歴や熱処理,合成成分(Z
r,Sn,Fe,Cr,Ni)などの材料因子と、冷却
材の溶存酸素,中性子照射,冷却材中の不純物といった
環境因子とがあり、各因子が及ぼす影響についてはジル
カロイの耐食性向上を図るため、精力的な研究が進めら
れている。
【0018】このうち、冷却材中の不純物の影響として
は、過去に米国のBWRにおいて、CILC(Crud Ind
uced Localized Corrosion)と称する機構による燃料破
損が生じたことがあった。このBWRは、コンデンサチ
ューブに銅合金を使用した原子炉で、材料や出力履歴等
の要因が重なった時に低い確率であるが発生した。
【0019】このことから、溶解性銅の除去により効果
的な浄化システムを備えた原子力発電プラントや、コン
デンサチューブにステンレス鋼やチタンを用いた原子力
プラントが開発され、これらの原子力発電プラントで
は、給水中や炉水中の銅濃度はCILC破損を経験した
原子力プラントに較べ、1/100から1/10のレベ
ルで運転されており、これまで、CILC破損を起こし
ていない。また、他に冷却材中の不純物が影響して燃料
破損に至ったとの報告例は存在しない。
【0020】本発明者らは、原子力発電プラントに耐食
性の優れたジルカロイ燃料被覆管を採用するとき、ジル
カロイの耐食性に与える水質環境因子の影響に関する研
究を進める中で、冷却材中に溶解する溶解性クロムがジ
ルカロイの腐食を促進させる可能性の存在を従来の知見
に基づいて推定した。
【0021】溶解性クロムがジルカロイ腐食の促進に影
響を及ぼすことを確証するために、原子力発電プラント
における炉水環境を模擬した条件下で溶解性クロムを共
存させてジルカロイの腐食試験を実施したところ、ジル
カロイ腐食に溶解性クロムが寄与するとの推定が正しい
ことを本発明者は新しく知見した。
【0022】また、ジルカロイ燃料被覆管の試験片の分
析結果からジルカロイの腐食メカニズムの解明をするこ
とができ、さらにその防止対策を施すことも可能になっ
た。
【0023】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、ジルカロイ燃料被覆管の腐食を抑制し、燃料
被覆管の健全性を確保し、長期間に亘り維持できるジル
カロイ燃料被覆管ならびにその腐食抑制方法および装置
を提供することを目的とする。
【0024】本発明の他の目的は、ジルカロイ燃料被覆
管の腐食を抑制することにより、燃料被覆管表面に生成
される放射能量を低減させ得るジルカロイ燃料被覆管な
らびにその腐食抑制方法および装置を提供するにある。
【0025】本発明のさらに他の目的は、ジルカロイ燃
料被覆管の腐食を抑制し、定期検査時等における被曝を
大幅に低減させ得るジルカロイ燃料被覆管ならびにその
腐食抑制方法および装置を提供するにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明に係るジルカロイ
燃料被覆管は、上述した課題を解決するために、請求項
1に記載したように、原子炉の燃料を被覆する燃料被覆
管をジルコニウム合金で構成し、上記燃料被覆管の外表
面に酸化皮膜を予め設け、上記燃料被覆管の腐食を抑制
したものである。
【0027】また、本発明に係るジルカロイ燃料被覆管
の腐食抑制方法は、上述した課題を解決するために、請
求項2に記載したように、ジルカロイ燃料被覆管を圧力
が大気圧以上で温度が280〜410℃の高温蒸気中に
所要時間設置して酸化処理し、上記燃料被覆管の表面に
酸化皮膜を0.1μm以上の膜厚に形成し、原子力発電
プラントの運転環境下におけるジルカロイ燃料被覆管の
腐食を抑制する方法である。
【0028】さらに、本発明に係るジルカロイ燃料被覆
管の腐食抑制方法は、上述した課題を解決するために、
請求項3に記載したように、ジルカロイ燃料被覆管を陽
極とする陽極酸化処理技術を用いて所定電流で所要時間
酸化処理し、ジルカロイ燃料被覆管の表面に酸化皮膜を
形成し、原子力発電プラントの運転環境下におけるジル
カロイ燃料被覆管の腐食を抑制する方法である。
【0029】一方、本発明に係るジルカロイ燃料被覆管
は、上述した課題を解決するために、請求項4に記載し
たように、原子炉の燃料を被覆する燃料被覆管をジルコ
ニウム合金で構成し、上記燃料被覆管の外表面にコーテ
ィング処理により予め被覆層を設け、上記燃料被覆管の
腐食を抑制したものである。
【0030】上述した課題を解決するために、本発明に
係るジルカロイ燃料被覆管は、請求項5に記載したよう
に、ジルカロイ燃料被覆管の外表面に形成される被覆層
のコーティング材料は、ジルカロイよりも材料電位の低
い貴金属であったり、また、請求項6に記載したよう
に、ジルカロイ燃料被覆管の被覆層に用いられるコーテ
ィング材料の貴金属は、金・銀および白金族(Ru,R
h,Pd,Os,Ir,Pt)の一群から少なくとも一
種類以上選択して用いたものである。
【0031】また、本発明に係るジルカロイ燃料被覆管
の腐食抑制方法は、上述した課題を解決するために、請
求項7に記載したように、ジルカロイ燃料被覆管のコー
ティング処理に用いられる貴金属を同位体調整し、放射
化により二次的放射能を発生させない貴金属の同位体を
選択し、選択された貴金属の同位体をジルカロイ燃料被
覆管の表面にコーティング処理して被覆層を形成し、原
子力発電プラントの運転環境下における前記ジルカロイ
燃料被覆管の腐食を抑制する方法である。
【0032】他方、本発明に係るジルカロイ燃料被覆管
は、上述した課題を解決するために、請求項8に記載し
たように、原子炉の燃料を被覆する燃料被覆管をジルコ
ニウム合金で構成し、上記燃料被覆管の外表面に平滑化
処理を施したものである。
【0033】本発明に係るジルカロイ燃料被覆管の腐食
抑制方法は、上述した課題を解決するために、請求項9
に記載したように、ジルカロイ燃料被覆管を機械加工で
成形した後、上記燃料被覆管をエメリー紙による研磨と
ダイヤモンドペーストによるバフ研磨を加えて被覆管表
面を平滑化処理し、原子力発電プラントの運転環境下に
おけるジルカロイ燃料被覆管の腐食を抑制する方法であ
る。
【0034】また、本発明に係るジルカロイ燃料被覆管
の腐食抑制方法は、上述した課題を解決するために、請
求項10に記載したように、ジルカロイ燃料被覆管を機
械加工で成形した後、上記燃料被覆管をエメリー紙によ
る研磨と電解研磨加工とを加えて被覆管表面を平滑化処
理し、原子力発電プラントの運転環境下におけるジルカ
ロイ燃料被覆管の腐食を抑制する方法である。
【0035】さらに、本発明に係るジルカロイ燃料被覆
管の腐食抑制方法は、上述した課題を解決するために、
請求項11に記載したように、ジルカロイ燃料被覆管を
成形する機械加工中に電解研磨を同時に行なう複合電解
研磨により燃料被覆管表面を平滑化処理し、原子力発電
プラントの運転環境下におけるジルカロイ燃料被覆管の
腐食を抑制する方法である。
【0036】さらにまた、上述した課題を解決するため
に、本発明に係るジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制方法
は、請求項12に記載したように、複合電解研磨の電解
条件として1μA/cm2 程度の電流値を用いる方法であ
る。
【0037】また、本発明に係るジルカロイ燃料被覆管
の腐食抑制装置は、上述した課題を解決するために、請
求項13に記載したように、原子炉の燃料を被覆する燃
料被覆管をジルコニウム合金で構成する一方、原子炉一
次系に冷却材の水質を調整する水質調整装置を設けたも
のである。
【0038】さらに、本発明に係るジルカロイ燃料被覆
管の腐食抑制方法は、上述した課題を解決するために、
請求項14に記載したように、原子炉一次系に溶解性ク
ロムのイオン当量濃度に相当するアルカリ金属イオンあ
るいはアルカリ土類金属イオンを注入して原子炉一次系
冷却材の水質を調整し、原子炉炉水のpHを中性あるい
は弱アルカリ性に保ち、原子力発電プラントの運転環境
下におけるジルコニウム燃料被覆管の腐食を抑制する方
法である。
【0039】さらにまた、上述した課題を解決するため
に、本発明に係るジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制方法
は、請求項15に記載したように、アルカリ金属あるい
はアルカリ土類金属は、Li,Na,K,Rb,Cs,
Fr,Ca,Sr,Ba,Ra,Be,Mgの各金属の
塩で、かつこれらの各金属の水酸化物,水素化物,酸化
物,あるいは金属酸塩のように水素と酸素の少なくとも
一方を含む化合物から一群をそれぞれ構成し、各群の化
合物を、少なくとも一種以上を原子炉一次系へ注入する
方法であったり、請求項16に記載したように、原子炉
一次系に注入されるアルカリ金属あるいはアルカリ土類
金属は、その同位体比を調整し、放射化により二次的な
放射能を発生させない同位体の金属を選択し、選択され
たアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の同位体を原
子炉一次系に注入する方法であったり、請求項17に記
載したように、原子炉炉水中のpHを中性ないしは弱ア
ルカリ性に保つ範囲のアルカリ領域の上限は、25℃換
算の炉水のpHで8.6である方法である。
【0040】ところで、本発明に係るジルカロイ燃料被
覆管の腐食抑制方法は、上述した課題を解決するため
に、請求項18に記載したように、原子炉の燃料を被覆
する燃料被覆管をジルコニウム合金で構成する一方、上
記燃料被覆管の外表面に酸化皮膜,コーティング処理に
よる被覆層および平滑化処理の少なくとも1つを施すと
ともに原子炉一次系の冷却材の水質を選択的に調整する
方法である。
【0041】
【作用】本発明に係るジルカロイ燃料被覆管ならびにそ
の腐食抑制方法および装置においては、ジルカロイ燃料
被覆管の外表面へのクロムの付着を有効的に防止でき、
クロムによるジルカロイ燃料被覆管の腐食加速を抑制で
き、ジルカロイ燃料被覆管の健全性を長期間わたり確保
できるばかりでなく、ポーラスな酸化ジルコニウム層が
成長することによってジルカロイ燃料被覆管表面で生成
される二次的な放射能の量が増大するのを確実に防止
し、新たな放射能発生源を根絶できるので、定期検査時
等における被曝を大幅に低減させることができる。
【0042】請求項1ないし請求項3記載のジルカロイ
燃料被覆管およびその腐食抑制方法においては、ジルカ
ロイ燃料被覆管の表面に酸化皮膜を予め設けたので、ジ
ルカロイ燃料被覆管の外表面に溶解性のクロムが付着す
るのを有効的に防止でき、ジルカロイ燃料被覆管の腐食
加速を抑制し、その健全性を長期間にわたり確保するこ
とができる。
【0043】請求項4ないし請求項7記載のジルカロイ
燃料被覆管およびその腐食抑制方法においては、ジルカ
ロイ燃料被覆管の外表面をコーティングによる被覆層で
覆うことにより、燃料被覆管表面の金属光沢面を覆うこ
とができ、クロムの付着を阻止することができる。
【0044】クロムの付着を防止することにより、クロ
ムによるジルカロイ燃料被覆管の腐食加速を抑制し、放
射化により二次的放射能の発生を防止でき、定期検査時
等における大幅な被曝低減を図ることができる。
【0045】請求項8ないし請求項12記載のジルカロ
イ燃料被覆管およびその腐食抑制方法においては、ジル
カロイ燃料被覆管の外表面に平滑化処理を行い、金属光
沢を有するジルカロイ燃料被覆管の材料電圧を上昇さ
せ、電位の平衡値も高くすることができるから、クロム
の付着を低く抑制し、ジルカロイ燃料被覆管の腐食加速
を阻止できる。
【0046】請求項13ないし請求項17記載のジルカ
ロイ燃料被覆管の腐食抑制装置および腐食抑制方法にお
いては、原子炉一次系にアルカリ金属あるいはアルカリ
土類金属等を注入して炉水の水質をアルカリ側に調整す
ることにより、炉水中に存在するクロムを常にイオン状
態に維持し、ジルカロイ燃料被覆管上でクロムがCr2
3 として被覆管表面に付着するのを有効的に防止で
き、ジルカロイ燃料被覆管の腐食を抑制し、その健全性
を確保し、長期間に亘り維持できる。
【0047】また、請求項18記載のジルカロイ燃料被
覆管の腐食抑制方法においては、ジルカロイ燃料被覆管
の外表面に、酸化皮膜,コーティング処理による被覆
層、および平滑化処理の少なくとも1つを施す一方、原
子炉一次系の水質を選択的に調整されたものを組み合せ
たから、ジルカロイ燃料被覆管の外表面へのクロムの付
着をより有効的に防止でき、ジルカロイ燃料被覆管の腐
食を抑制し、その健全性を効果的に確保できる。したが
って、ジルカロイ燃料被覆管表面に生成する二次的放射
能を低減させ、定期検査時等における被曝量の大幅な低
減を図ることができる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の一実施例について添付図面を
参照して説明する。
【0049】図1は本発明を軽水炉としての沸騰水型原
子炉(BWR)に適用した模式図を示す。このBWR
は、原子力発電プラント10内に炉心11を収容してお
り、この炉心11で発生した蒸気を原子炉主蒸気系12
を通して蒸気タービン13に案内し、蒸気タービン13
を起動して仕事をしている。
【0050】蒸気タービン13で仕事をした蒸気は復水
器14に案内されて凝縮され、復水となった後、原子炉
復水・給水系15を経て原子力発電プラント10内に戻
される。原子炉復水・給水系15には復水ポンプ16,
脱塩器等の復水浄化系17および給水加熱器18等が順
次シリーズに接続される。復水ポンプ16によって復水
浄化系17に送られた復水は、ここで不純物が除去され
た後、給水加熱器18で予熱され、原子炉に戻される。
【0051】また、原子炉圧力容器10内の炉水は、原
子炉再循環系20により強制的に再循環せしめられる。
原子炉再循環系20は例えば外部ループ方式で再循環ポ
ンプ21とジェットポンプ22とを有する。原子炉再循
環系20はインターナルポンプ(図示せず)で構成して
もよい。
【0052】原子炉再循環系20を流れる炉水の一部は
原子炉水浄化系23に案内される。この炉水浄化系23
には炉水の一部が炉水浄化系ポンプ25によって再生熱
交換器26から非再生熱交換器27で降温されて炉水浄
化系28に案内され、この炉水浄化系28によって浄化
される。浄化された炉水は、再生熱交換器26を経て昇
温されて原子炉給水系15に送られ、この原子炉復水・
給水系15から原子炉に再び持ち込まれるようになって
いる。
【0053】BWRでは、原子炉圧力容器10,原子炉
主蒸気系12,蒸気タービン13,原子炉復水・給水系
15,原子炉再循環系20,原子炉水浄化系23等によ
り原子力発電プラントの原子炉一次系30を構成してい
る。
【0054】一方、BWRの原子炉圧力容器10内に収
容される炉心11には多数の燃料集合体31が装荷され
る。この燃料集合体31は、図2に示すように、4体ず
つが組をなし、4体1組の燃料集合体31間に横断面十
字状の制御棒32が出し入れ可能に収容され、この制御
棒32でBWRの起動・停止や炉出力を調節し、運転制
御している。
【0055】各燃料集合体31は角筒状のチャンネルボ
ックス33内に多数の燃料棒34を収容して構成され
る。図2では8×8型燃料集合体31を例示している。
符号35はウォータロッドである。各燃料棒34は図3
に示すように、上部タイプレート37と下部タイプレー
ト38によりチャンネルボックス33内に支持され、固
定される。各燃料棒34の途中には複数のスペーサ39
が介装されて燃料棒34間の間隔が保持される。
【0056】燃料集合体31に装荷される燃料棒34は
燃料被覆管40内に原子炉の燃料であるUO2 等の燃料
ペレット41が充填される。充填された燃料ペレット4
1は下部端栓43により保持される一方、上部はゲッタ
44およびプレナムスプリング45を介して上部端栓4
6により固定される。燃料ペレット41により構成され
る燃料の有効長は例えば3.7mである。
【0057】各燃料棒34の外表面を構成する燃料被覆
管40および上部端栓46,下部端栓44はジルコニウ
ム合金であるジルカロイで構成され、このジルカロイ燃
料被覆管48に内に燃料ペレット41が収容される。ジ
ルカロイはZrを主体としてSn,Fe,Cr,Niの
合金であり、BWR用の燃料棒には例えばSn;1.5
wt%,Fe;0.15wt%,Cr;0.05wt
%,Ni;0.05wt%のジルカロイ−2が、PWR
用燃料棒にはジルカロイ−4が主に使用される。以下の
説明は上部端栓46および下部端栓44を含めてジルカ
ロイ燃料被覆管48という。
【0058】そして、原子力発電プラントに用いられる
ジルカロイ燃料被覆管48の腐食事例を調査したとこ
ろ、材料因子のみではジルカロイの耐食性に影響がある
か否かの説明が困難な事例が多い。全く同じロットで製
造されたジルカロイ燃料被覆管48を用いたにも拘ら
ず、BWRの同じ運転時間当りの酸化皮膜の厚さが原子
力発電プラントによって全く異なる事例が多く報告され
ている。この点から、本発明者は、ジルカロイ燃料被覆
管48の腐食速度の相違が原子力発電プラントの水質条
件の違いにより左右されていると推定し、原子力発電プ
ラントの水質条件とジルカロイ燃料被覆管の酸化膜厚さ
との因果関係について調査した。
【0059】冷却材の水質条件とジルカロイ燃料被覆管
48の酸化膜厚さとの関係から、ジルカロイの腐食の促
進を溶解性クロムが行なっていることをつきとめた。
【0060】溶解性クロムがジルカロイの腐食を促進し
ていることの推定は次の根拠に基づいている。
【0061】例えば、BWRの冷却材中ではクロムはク
ロム酸イオン(CrO4 2-)や重クロム酸イオン(Cr
7 2-)などの陰イオンとして存在する。一方、ジルカ
ロイ燃料被覆管48上で観察されるクロムは、クロム単
体(Cr2 3 )もしくはクロムを含む複合酸化物(C
rCo2 4 ,CrNi2 4 ,CrFe2 4 など)
として存在する。
【0062】BWRの冷却材中でクロムの原子価は六価
であり、ジルカロイ燃料被覆管48の燃料表面における
付着形態は三価であるため、クロムの析出反応は還元反
応にあたる。この還元反応に対応する酸化反応がジルカ
ロイ腐食反応(酸化皮膜の生成反応)であり、以下の式
で表わされる。
【0063】
【数1】 一方、ジルカロイの腐食の推定を確認するために、原子
力発電プラントにおいてジルカロイ燃料被覆管48の環
境を模擬した条件下で溶解性クロムと共存させてジルカ
ロイの腐食試験を実施した。
【0064】この腐食試験の結果、溶解性のクロムを水
中で100ppbに調整し、1000時間浸漬させ条件
で、ジルカロイ模擬燃料被覆管の外表面に確かな腐食加
速が生じているのを発見した。
【0065】ジルカロイの腐食試験において、溶解性ク
ロムがない条件では均一酸化皮膜の厚さが約1ミクロン
(μm)であったものが、溶解性クロムの共存下では約
3ミクロン(μm)になっていた。また、ジルカロイの
腐食加速は沸騰を伴なう場合に顕著であり、沸騰が開始
する燃料被覆管の付近で最も激しいことが観察された。
酸化皮膜が厚い部位には、CrO3 の析出が確認され
た。
【0066】ジルカロイの腐食の推定および腐食認証試
験によって、ジルカロイ燃料被覆管48の腐食は、溶解
性クロムが共存することによって加速されることが明ら
かになった。また、ジルカロイの腐食のメカニズムは、
クロムの析出に関連しており、溶解性クロムのジルカロ
イ燃料被覆管48表面への付着防止が燃料被覆管の腐食
を抑制できるものであることがわかった。
【0067】図5は、290℃におけるクロム−水(H
2 O)系の電位−pHの関係図を示す計算例である。2
90℃としたのは、BWRにおける炉水温度を考慮した
ものである。図5に示す電子−pHの関係図は、pHと
電位で規定されるある環境下において、クロムが存在す
る場合、クロムのどの形態が安定であるかを熱力学的な
手法によって表わしたものである。例えばpHが6で電
位が0ボルト付近では、クロムの酸化物であるCrO3
が安定形態であることを示している。
【0068】図5は、クロムの濃度が10-6(mol/l)の
条件で計算されており、横軸は290℃におけるpHを
示している。BWRの温度条件で不純物を含まないクロ
ムの系では、炉水のpHは約5.5となる。また、縦軸
は水素基準電極に対する材料の電位を示しており、材料
の電位は各材料毎に異なる、通常のBWRの炉水環境で
は、例えば、ステンレス鋼で0〜0.1Vなどの値が多
く報告されている。また、ジルカロイのステンレス鋼と
ほぼ同様な電位値を示すことが確認された。
【0069】290℃のBWRの炉水中におけるステン
レス鋼やジルカロイ表面ではクロムが単体の酸化物(C
2 3 )として存在するか、または、CrO4 2-やC
2 7 2-といった陰イオンとして存在するかの境界近
傍であることがわかる。
【0070】また、クロムに鉄(Fe),ニッケル(N
i),コバルト(Co)などの不純物イオンが共存する
場合、クロムは単体の酸化物ばかりでなく、複合酸化物
として析出する場合もある。一方、炉水のpHは共存す
る不純物の種類と濃度によって左右されるが、ジルカロ
イの腐食皮膜のように濃縮が起こる可能性がある部位に
は、水中の濃度は一様であっても、極度に濃縮されるこ
とによりpHが局所的に変化することもあり得る。
【0071】材料の電位は、材料の種類によって変化す
るが、材料の表面状態によっても変化し得ることが初め
てわかった。材料の電位は、材料因子だけでなく、過酸
化水系酸化剤といった酸化剤の種類や濃度によっても変
動することが知られている。図5に示す材料の電位−p
Hの関係図は、高温における各種の熱力学的データが不
充分であり、絶対的なものではないが、クロムの安定形
態を知る上で重要である。
【0072】すなわち、BWRの炉水中で陰イオン状態
にあるクロムがジルカロイ燃料被覆管48上でCr2
3 として付着することを防ぐためには、2つのアプロー
チが存在する。1つは、ジルカロイの電位を上昇させる
こと、他の1つは、炉水(原子炉一次系30の冷却材)
のpHを中性領域の5.5によりアルカリ側に調整し、
クロムを常にイオン状態にすればよいことがわかる。
【0073】次に、ジルカロイ燃料被覆管48の外表面
へのクロムの付着を抑制する実施例を説明する。
【0074】図6は、ジルカロイの電位を上昇させてク
ロムの付着を抑制する実施例を示す。この実施例は、B
WRを模擬した炉水環境下において、表面状態を変化さ
せた試験片を用いて、ジルカロイの電位(水素基準電極
に対する電位差)を測定した測定結果を示す。
【0075】各試験片の表面状態は、試験片Aは、バフ
研磨後、390℃の高温蒸気中で14時間熱処理による
酸化処理をし、表面に黒色の酸化皮膜を生成したもの、
試験片Bは、バフ研磨したもの、試験片C,Dは各々エ
メリー紙の#600,#120で研磨した試験片であ
る。表面粗さとしては、試験片AとBが最も滑かであ
り、試験片C,Dの順で粗くなっている。
【0076】また、測定したジルカロイの各試験片A,
B,C,Dの電位を、水素基準電極に換算するために、
高温高圧水溶液用参照電極(特公昭58−29869号
公報参照)を同じ環境で浸漬し、それとの電位差を測定
して評価した。
【0077】図6では、横軸に経過時間を示し、各試験
片A,B,C,Dの電位を測定した結果を示している。
試験片Aの電位は、経過時間の影響を受けず一定値を示
した。同じ表面粗さの試験片Bでは、初期的に低い電位
を示したが、時間の経過と共に急上昇し、ほぼ100時
間程度で試験片Aの電位値と同じになった。試験片C,
Dも試験開始直後に低い電位を示し、その後は次第に電
位が増加したものの、電位上昇の程度は、試験片Bより
緩慢であった。
【0078】さらに、電位上昇緩慢の程度は、試験片の
表面が粗いほど一層顕著であった。また、電位の最終的
な平衡値は、試験片の表面が粗いほど低いことが推定さ
れた。試験開始の初期に電位が低い時期は、金属光沢を
有していた表面に黒色の緻密な酸化皮膜が形成される時
期と一致する。つり初期的に電位が低くて、クロムが付
着することを防止するには、(1)表面に予め酸化皮膜
を付与するか、(2)被覆層で金属光沢面を覆えばよい
ことが分かる。一方、試験片の電位が平衡となった時点
において電位をより高く維持するには、表面を平滑にす
ればよいことが推定される。
【0079】次に、ジルカロイ燃料被覆管48表面への
クロムの付着を防止し、腐食を抑制する手段を説明す
る。
【0080】BWRに用いられるジルカロイ燃料被覆管
48の表面に酸化皮膜を付与することにより、ジルカロ
イ燃料被覆管48の腐食を抑制することができる。酸化
皮膜の厚さは0.1μm以上、好適には1μm〜2μm
程度で充分である。
【0081】具体的には、ジルカロイ燃料被覆管48の
使用前に酸化処理し、被覆管表面に予め酸化皮膜0.1
μm以上、好適には1μm程度形成する。1μm程度の
酸化皮膜の付与条件は、例えば、圧力がゲージ圧で1.
2±0.4kg/cm2 で、温度が363〜410℃の高温
蒸気中で所要時間(例えば14時間)行なえば充分であ
り、この酸化処理により、1μm程度の膜厚の酸化皮膜
が付与される。圧力は大気圧以上で150気圧程度以下
であればよく、好適には1.2±0.4kg/cm2 がよく、ま
た温度は280〜410℃程度でよい。酸化皮膜が0.
1μm以上形成されれば、ジルカロイ燃料被覆管48の
表面にクロムが付着するのを有効的に防止できる。した
がって、ジルカロイ燃料被覆管48の外表面の腐食を抑
制し、その健全性を長期間に亘り確保できる。
【0082】この酸化皮膜処理によって、金属光沢を有
していたジルカロイ燃料被覆管48表面に黒色の緻密な
酸化皮膜が形成される。この酸化皮膜処理によって生成
される酸化皮膜は、酸化ジルコニウム(ZrO2 )では
なく、酸素が化学量論比より低い(ZrO2-x )であ
り、クラックなどを有しない強固な皮膜構造をしてお
り、イオン種の濃縮部位にはなり得ないと考えられる。
【0083】この酸化皮膜の付与によって、ジルカロイ
の電位を燃料被覆管の共用初期から高く維持することが
できる。ジルカロイを高電位に維持できる結果、炉水中
のクロムが酸化物としてジルカロイ燃料被覆管48に付
着することを防止でき、最終的にはクロムによるジルカ
ロイの腐食加速を抑制できる。
【0084】また、酸化皮膜の形成方法としては、陽極
酸化処理技術も適用可能である。これはジルカロイ燃料
被覆管48の外表面を陽極とし、電場がなるべく均一に
加工された形状を有する陰極とを電解液中にセットし、
直流電流を流してジルカロイ外表面に酸化皮膜を付与す
る方法である。
【0085】図7はジルカロイ燃料被覆管48に陽極酸
化処理を施し、表面に酸化皮膜を形成する方法の概念図
である。図7で、48はジルカロイ燃料被覆管を示して
おり、この燃料被覆管48は電解液槽50に浸漬されて
いる。この実施例では電解液槽50は電極の機能を併せ
て有している。電解液槽50には支持脚51が取り付け
られているが、各支持脚51は絶縁材料で製作されてい
る。このような構成で、ジルカロイ燃料被覆管48と電
解液槽50からはリード線52が取り出されて直流電源
53に接続されており、この直流電源53によって直流
電圧が印加される。印加される電流値には、例えば1μ
A/cm2 程度の微弱な値が用いられ、時間は10分程度
の所要時間で充分である。
【0086】この陽極酸化処理によってジルカロイの表
面には非常に薄い酸化皮膜(数100オングストローム
程度)が生成される。また、この酸化皮膜が生成された
ジルカロイ燃料被覆管48の外観は、干渉色が観察され
るような状況である。この酸化皮膜の付与によって、炉
水中のクロムが酸化物としてジルカロイ燃料被覆管48
に付着することを防止でき、結果的にクロムによるジル
カロイの腐食加速を抑制できる。
【0087】一方、酸化皮膜ではないが、表面処理とい
った考え方からすると、ジルカロイ燃料被覆管48のコ
ーティング処理も適用が可能である。これは、例えば、
ジルカロイ燃料被覆管48の外表面をコーティングによ
る被覆層で覆うことによって、ジルカロイの金属光沢面
を覆ってしまえば、クロムの付着を阻止することができ
る。コーティング処理には、ジルカロイ燃料被覆管48
を金属でメッキする方法が有効であるが、ジルカロイよ
り電位の低い貴金属を用いれば一層効果的である。用い
る貴金属には、金,銀,および白金族(Ru,Rh,P
d,Os,Ir,Pt)などが可能であるが、放射化に
よって二次的な放射能を発生させないように同位体比を
調整したものがさらに望ましい。
【0088】ここで、「同位体比を調整する」ことの意
味について銀(Ag)を例に説明する。銀は自然界に
は、 107Agと 109Agが各々、51.35wt%と4
8.65wt%の割合で存在する。Agの同位体をその
ままジルカロイ燃料被覆管48へのメッキ材料とする
と、燃料表面における放射化反応によって 109Agから
110mAgの放射性同位体元素が生成する。この放射性同
位体元素は、多くのエネルギの高いガンマ線を発する有
害なものである。そこで、メッキ材である銀を予め遠心
分離法やレーザ法などによって同位体分離を行ない、
109Agを除外して107Agのみの同位体にしてしまえ
ば、二次的な放射能の発生を阻止することができる。こ
のような考え方を「同位体比の調整」、とここでは定義
している。
【0089】つぎに、ジルカロイ燃料被覆管の表面を平
滑化し、ジルカロイの電位を上昇させる実施例について
述べる。
【0090】現行のジルカロイ燃料被覆管の製造工程に
おける最終工程は、被覆管としての必要とされる寸法を
出すための機械研磨工程である。実機のBWRに装荷さ
れている燃料被覆管の使用をミルシート上で確認すると
表面粗さはRa値で、0.2〜0.3μmなどと記載さ
れている。Ra値とは中心線平均粗さを意味しており、
粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さlの部分を切
り取り、この切取部分の中心線をX軸、縦倍率の方向を
Y軸とし、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次の
式によって求められる値をマイクロメータ(μm)で表
したものをいう。
【0091】
【数2】 但し、これらの値は、触針式の表面粗さ計によって測定
されたものである。
【0092】しかしながら、肉眼では尖っているように
観察される触針であっても、その先端部は曲率構造とな
っている。また、商品化されている最も小さな曲率をも
つ触針でも1ミクロン程度の曲率を有している。このこ
とは、触針式の表面粗さ計では、原理上、触針先端が2
ミクロン以下の小さな凹凸に対しては殆ど追従できない
ことを意味している。
【0093】表面粗さがRa値で、0.2〜0.3μm
などと記載されているジルカロイ燃料被覆管48の外表
面を走査型電子顕微鏡で観察した結果が図8に示す金属
組織写真である。この写真から分かるように、パイプ材
の円周方向(図8では縦方向)に加工後の溝が観察され
る。この溝の幅は1〜2μmと観察されることから、測
定されている値は、ジルカロイ燃料被覆管48の表面の
溝の凹凸を測定しているのではなく、全体的なうねりを
測定している可能性が高い。いずれにしろ、実際のジル
カロイ燃料被覆管48の外表面は、加工後の溝を有して
おり、表面加工によって、これらの溝をなくしたり、表
面をさらに平滑化する余地は充分にあることが分かる。
【0094】一般的に、機械加工による材料表面の平滑
化の第1段階では、バイトなどを用いた旋盤加工であ
り、第2段階がエメリー紙による研磨である。また、最
終段階は、ダイアモンドペーストを用いたバフ研磨であ
る。バフ研磨後は、材料表面は鏡面状態となる。
【0095】ところで、現行のジルカロイ燃料被覆管4
8の最終工程の機械加工は、このうち第1段階に相当す
る。そこで、ジルカロイ燃料被覆管48は機械加工後に
エメリー紙による研磨、および、ダイアモンドペースト
を用いたバフ研磨を追加して施し、意図的に燃料被覆管
を平滑化する。この平滑化処理によって、初期的に金属
光沢を有するジルカロイ燃料被覆管48でも、電位を急
速に上昇させることができ、さらに電位の平衡値も現状
のジルカロイ燃料被覆管48より高く維持することがで
きる。その結果、クロムの付着を低く抑制することがで
き、最終的にはクロムによるジルカロイの腐食加速を阻
止することができる。
【0096】また、材料表面を鏡面状態に平滑化加工す
るには、電解研磨処理の適用が可能である。この場合
も、その前段階でエメリー紙による研磨が有効である。
図9はジルカロイ燃料被覆管48のようなパイプ材54
の外表面に電解研磨処理を施す概念図を示している。
【0097】図9ではパイプ材が、電解研磨処理装置5
5の電解槽56の中央に配置されて陽極を構成してお
り、パイプ材54を囲むように対極を構成する陰極57
がある。さらに、陽極54と陰極57は、電解槽56に
浸漬されている。電解槽56には、電解液58が満たさ
れており、この浸漬状態でパイプ材54と対極の陰極5
7からリード線59が取り出されて、直流電流60に接
続されている。ジルカロイ燃料被覆管48を陽極54,
対極を陰極57とした電解研磨処理系において直流電流
を流せば、燃料被覆管48の外表面が電解研磨される。
【0098】対極57には、図9では、白金などの細線
を編み込んで網状にした陰極をイメージしている。対極
57に白金などの貴金属を用いるのは、電解研磨によっ
て、対極表面に研磨で溶解したジルカロイが析出する。
このため、析出したジルカロイを除去する目的で、ダミ
ーのパイプ材をセットし、極性を逆転させて直流電流を
流す操作が必要となるが、この際に、貴金属だと溶解量
が少なく、電極として再使用が可能なためである。
【0099】対極57を消耗品として扱い、析出によっ
て電解研磨の効率が低下したら、対極を交換すると考え
れば、貴金属にこだわらず、全ての金属が対極用の材料
として適用できる。また、対極57は、パイプ材を囲む
ように作られているが、パイプ材54本体または、対極
57を回転するような構造にして添加研磨を行なえば、
貴金属の物量を著しく低減させることができることは言
うまでもない。
【0100】ジルカロイ燃料被覆管48を平滑化する方
法としては、現行で行なわれている燃料被覆管に対する
機械加工に代えて、機械加工中に電解研磨を同時に行な
う複合電解研磨によっても目的を達成することができ
る。複合電解研磨は、文字通り電解研磨を行ないながら
機械加工を行なう研磨方式であり、工程の短縮が図られ
るためジルカロイ燃料被覆管48の大幅なコストダウン
も併せて期待される。
【0101】複合電解研磨の電解条件は電流値で1μA
/cm2 程度で有効なため、大掛りな電源を必要としな
い。
【0102】次に、原子炉一次系30の水質を調整して
ジルカロイ燃料被覆管48にクロムが付着するのを抑制
する技術の実施例について述べるが、ここでは原子炉一
次系冷却材のpHを調整する実施例について述べる。
【0103】BWRの炉水条件におけるpHは、不純物
が存在しない場合には、pH5.5である。但し、実際
のBWRにおいては、最も高濃度で存在する溶解性クロ
ム(数10ppbレベル)によって僅かながら酸性側へ
シフトしている。
【0104】そこで、原子炉一次系30の冷却材の中性
から酸性側へのズレを、アルカリ性を示す試薬を添加し
て修正させようとするものである。用いる試薬として
は、溶解性クロムのイオン当量濃度に相当するアルカリ
金属(Li,Na,K,Rb,Cs,Fr)とアルカリ
土類金属(Ca,Sr,Ba,Ra,Be,Mg)の各
種金属の塩のうち水酸化物,水素化物,酸化物,金属酸
塩のように、水素と酸素の少なくとも一方を含む化合物
からなる一群を構成し、各群の化合物を少なくとも一種
以上適用することが可能である。
【0105】また、ここで、注入するアルカリ金属やア
ルカリ土類金属は、その同位体比を調整し、炉心の照射
場においても、放射化による二次的な放射能を生じさせ
ないことがさらに望ましい。
【0106】図10は図1に示すBWRにおいて、炉水
中の溶解性のクロム濃度を低くするために、原子炉再循
環系20に、水質測定装置としてのクロム濃度測定装置
62を取り付けたものである。クロム濃度測定装置62
の取付場所は、原子炉再循環系20に限るものではな
く、原子炉水浄化系23でもよいが、要は原子炉水の取
出しが可能な部位であればよい。他の構成は図1に示し
たものと異ならないので同一符号を付して説明を省略す
る。
【0107】クロム濃度測定装置62としては、現状の
機器では連続測定が可能なイオンクロマトグラフィが最
適である。また、精度は落ちるものの、通常原子炉水の
pHを測定するために取り付けられているpHメータで
もよい。但し、pHメータを用いる場合には、炉水中の
主要不純物が溶解性のクロムである原子力発電プラント
であることが条件となる。
【0108】クロム濃度測定装置62によって測定され
た溶解性のクロム濃度、もしくは、pHメータ値から推
定されるクロム濃度のイオン当量に見合うように、アル
カリ注入装置63から、所定濃度のアルカリ金属ないし
はアルカリ土類金属が注入され、炉水中のpHを中性、
もしくは弱アルカリ性に維持する。ここで極端にアルカ
リ性にしないのは、BWRにおいては、原子炉一次系中
の不純物濃度を極力、低レベルに維持することが望まし
いからである。アルカリ性の上限としては、BWRの水
質基準を参考にして、25℃換算の炉水のpH値で8.
6が目安となる。
【0109】また、クロム濃度測定装置62およびアル
カリ注入装置63から原子炉一次系30の水質調整装置
65が構成される。
【0110】なお、本発明の一実施例では、BWRの炉
心部に装荷される燃料棒の燃料被覆管について説明した
が、PWR用のジルカロイ燃料被覆管にも同様にして適
用することができる。
【0111】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係るジル
カロイ燃料被覆管ならびにその腐食抑制方法および装置
においては、ジルカロイ燃料被覆管の外表面へのクロム
の付着を有効的に防止でき、クロムによるジルカロイ燃
料被覆管の腐食加速を抑制し、ジルカロイ燃料被覆管の
健全性を長期間わたり確保できるばかりでなく、ポーラ
スな酸化ジルコニウム層が成長することによってジルカ
ロイ燃料被覆管表面で生成される二次的な放射能の量が
増大するのを確実かつ効果的に防止し、新たな放射能発
生源を根絶できるので、定期検査時等における被曝を大
幅に低減させることができる。
【0112】請求項1ないし請求項3記載のジルカロイ
燃料被覆管およびその腐食抑制方法においては、ジルカ
ロイ燃料被覆管の表面に酸化皮膜を予め設けたので、ジ
ルカロイ燃料被覆管の外表面に溶解性のクロムが付着す
るのを有効的に防止でき、ジルカロイ燃料被覆管の腐食
加速を抑制し、その健全性を長期間にわたり確保するこ
とができる。
【0113】請求項4ないし請求項7記載のジルカロイ
燃料被覆管およびその腐食抑制方法においては、ジルカ
ロイ燃料被覆管の外表面をコーティングによる被覆層で
覆うことにより、燃料被覆管表面の金属光沢面を覆うこ
とができ、クロムの付着を阻止することができる。
【0114】クロムの付着を防止することにより、クロ
ムによるジルカロイ燃料被覆管の腐食加速を抑制し、放
射化により二次的放射能の発生を防止でき、定期検査時
等における大幅な被曝低減を図ることができる。
【0115】請求項8ないし請求項12記載のジルカロ
イ燃料被覆管およびその腐食抑制方法においては、ジル
カロイ燃料被覆管の外表面に平滑化処理を行い、金属光
沢を有するジルカロイ燃料被覆管の材料電圧を上昇さ
せ、電位の平衡値も高くすることができるから、クロム
の付着を低く抑制し、ジルカロイ燃料被覆管の腐食加速
を阻止できる。
【0116】請求項13ないし請求項17記載のジルカ
ロイ燃料被覆管の腐食抑制装置および腐食抑制方法にお
いては、原子炉一次系にアルカリ金属あるいはアルカリ
土類金属等を注入して炉水の水質をアルカリ側に調整す
ることにより、炉水中に存在するクロムを常にイオン状
態に維持し、ジルカロイ燃料被覆管上でクロムがCr2
3 として被覆管表面に付着するのを有効的に防止で
き、ジルカロイ燃料被覆管の腐食を抑制し、その健全性
を確保し、長期間に亘り維持できる。
【0117】また、請求項18記載のジルカロイ燃料被
覆管の腐食抑制方法においては、ジルカロイ燃料被覆管
の外表面に、酸化皮膜,コーティング処理による被覆
層、および平滑化処理の少なくとも1つを施す一方、原
子炉一次系の水質を選択的に調整したものを組み合せた
から、ジルカロイ燃料被覆管の外表面へのクロムの付着
をより有効的に防止でき、ジルカロイ燃料被覆管の腐食
を抑制し、その健全性を効果的に確保できる。したがっ
て、ジルカロイ燃料被覆管表面に生成する二次的放射能
を低減させ、定期検査時等における被曝量の大幅な低減
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を沸騰水型原子炉(BWR)の原子力発
電プラントに適用した状態を示す系統図。
【図2】BWRの炉心に組み込まれる4体1組の燃料集
合体を例示する平断面図。
【図3】BWRの炉心に装荷される燃料集合体を示す縦
断面図。
【図4】図3の燃料集合体に収容される燃料棒を示す
図。
【図5】290℃におけるクロム−水(H2 O)系の材
料電位とpHの関係を示す図。
【図6】BWRを模擬した環境下において、表面状態を
変化させた試験片を用い、ジルカロイの電位(水素基準
電極に対する電位差)を測定した結果を示す図。
【図7】ジルカロイ燃料被覆管に陽極酸化処理を施し、
表面に酸化皮膜を付与する方法の概念図。
【図8】現行のジルカロイ燃料被覆管の外表面を走査型
電子顕微鏡で観察した金属組織を表わす写真。
【図9】燃料被覆管のようなパイプ材の外表面に電解研
磨処理を施す概念図。
【図10】溶解性のクロムのイオン当量濃度に相当する
アルカリ金属イオン、あるいはアルカリ土類金属イオン
を原子炉一次系へ注入し、炉水中のpHを中性ないしは
弱アルカリ性に保つ水質の調整方法を現行のBWRに適
用した実施例を示す図。
【符号の説明】
10 原子炉圧力容器 11 炉心 12 原子炉主蒸気系 13 蒸気タービン 15 原子炉復水・給水系 18 給水加熱器 20 原子炉再循環系 21 再循環ポンプ 23 原子炉水浄化系 28 炉水浄化系 30 原子炉一次系 31 燃料集合体 32 燃料棒 33 チャンネルボックス 34 燃料棒 40 燃料被覆管 41 燃料ペレット 44 下部端栓 46 上部端栓 48 ジルカロイ燃料被覆管 50 電解液槽 51 支持脚 52 リード線 53 直流電源 54 パイプ材(陽極) 55 電解研磨装置 56 電解槽 57 陰極(対極) 58 電解液 60 直流電源 62 クロム濃度測定装置 63 アルカリ注入装置 65 水質調整装置

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子炉の燃料を被覆する燃料被覆管をジ
    ルコニウム合金で構成し、上記燃料被覆管の外表面に酸
    化皮膜を予め設け、上記燃料被覆管の腐食を抑制したこ
    とを特徴とするジルカロイ燃料被覆管。
  2. 【請求項2】 ジルカロイ燃料被覆管を圧力が大気圧以
    上で温度が280〜410℃の高温蒸気中に所要時間設
    置して酸化処理し、上記燃料被覆管の表面に酸化皮膜を
    0.1μm以上の膜厚に形成し、原子力発電プラントの
    運転環境下におけるジルカロイ燃料被覆管の腐食を抑制
    するジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制方法。
  3. 【請求項3】 ジルカロイ燃料被覆管を陽極とする陽極
    酸化処理技術を用いて所定電流で所要時間酸化処理し、
    ジルカロイ燃料被覆管の表面に酸化皮膜を形成し、原子
    力発電プラントの運転環境下におけるジルカロイ燃料被
    覆管の腐食を抑制するジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制
    方法。
  4. 【請求項4】 原子炉の燃料を被覆する燃料被覆管をジ
    ルコニウム合金で構成し、上記燃料被覆管の外表面にコ
    ーティング処理により予め被覆層を設け、上記燃料被覆
    管の腐食を抑制したことを特徴とするジルカロイ燃料被
    覆管。
  5. 【請求項5】 ジルカロイ燃料被覆管の外表面に形成さ
    れる被覆層のコーティング材料は、ジルカロイよりも材
    料電位の低い貴金属である請求項4記載のジルカロイ燃
    料被覆管。
  6. 【請求項6】 ジルカロイ燃料被覆管の被覆層に用いら
    れるコーティング材料の貴金属は、金・銀および白金族
    (Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt)の一群から少
    なくとも一種類以上選択して用いた請求項5記載のジル
    カロイ燃料被覆管。
  7. 【請求項7】 ジルカロイ燃料被覆管のコーティング処
    理に用いられる貴金属を同位体調整し、放射化により二
    次的放射能を発生させない貴金属の同位体を選択し、選
    択された貴金属の同位体をジルカロイ燃料被覆管の表面
    にコーティング処理して被覆層を形成し、原子力発電プ
    ラントの運転環境下における前記ジルカロイ燃料被覆管
    の腐食を抑制するジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制方
    法。
  8. 【請求項8】 原子炉の燃料を被覆する燃料被覆管をジ
    ルコニウム合金で構成し、上記燃料被覆管の外表面に平
    滑化処理を施したことを特徴とするジルカロイ燃料被覆
    管。
  9. 【請求項9】 ジルカロイ燃料被覆管を機械加工で成形
    した後、上記燃料被覆管をエメリー紙による研磨とダイ
    ヤモンドペーストによるバフ研磨を加えて被覆管表面を
    平滑化処理し、原子力発電プラントの運転環境下におけ
    るジルカロイ燃料被覆管の腐食を抑制するジルカロイ燃
    料被覆管の腐食抑制方法。
  10. 【請求項10】 ジルカロイ燃料被覆管を機械加工で成
    形した後、上記燃料被覆管をエメリー紙による研磨と電
    解研磨加工とを加えて被覆管表面を平滑化処理し、原子
    力発電プラントの運転環境下におけるジルカロイ燃料被
    覆管の腐食を抑制するジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制
    方法。
  11. 【請求項11】 ジルカロイ燃料被覆管を成形する機械
    加工中に電解研磨を同時に行なう複合電解研磨により燃
    料被覆管表面を平滑化処理し、原子力発電プラントの運
    転環境下におけるジルカロイ燃料被覆管の腐食を抑制す
    るジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制方法。
  12. 【請求項12】 複合電解研磨の電解条件として1μA
    /cm2 程度の電流値を用いる請求項11記載のジルカロ
    イ燃料被覆管の腐食抑制方法。
  13. 【請求項13】 原子炉の燃料を被覆する燃料被覆管を
    ジルコニウム合金で構成する一方、原子炉一次系に冷却
    材の水質を調整する水質調整装置を設けたことを特徴と
    するジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制装置。
  14. 【請求項14】 原子炉一次系に溶解性クロムのイオン
    当量濃度に相当するアルカリ金属イオンあるいはアルカ
    リ土類金属イオンを注入して原子炉一次系冷却材の水質
    を調整し、原子炉炉水のpHを中性あるいは弱アルカリ
    性に保ち、原子力発電プラントの運転環境下におけるジ
    ルコニウム燃料被覆管の腐食を抑制するジルカロイ燃料
    被覆管の腐食抑制方法。
  15. 【請求項15】 アルカリ金属あるいはアルカリ土類金
    属は、Li,Na,K,Rb,Cs,Fr,Ca,S
    r,Ba,Ra,Be,Mgの各金属の塩で、かつこれ
    らの各金属の水酸化物,水素化物,酸化物,あるいは金
    属酸塩のように水素と酸素の少なくとも一方を含む化合
    物から一群をそれぞれ構成し、各群の化合物を少なくと
    も一種以上を原子炉一次系へ注入する請求項14記載の
    ジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制方法。
  16. 【請求項16】 原子炉一次系に注入されるアルカリ金
    属あるいはアルカリ土類金属は、その同位体比を調整
    し、放射化により二次的な放射能を発生させない同位体
    を選択し、選択されたアルカリ金属あるいはアルカリ土
    類金属の同位体の金属を原子炉一次系に注入する請求項
    14記載のジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制方法。
  17. 【請求項17】 原子炉炉水中のpHを中性ないしは弱
    アルカリ性に保つ範囲のアルカリ領域の上限は、25℃
    換算の炉水のpHで8.6である請求項14記載のジル
    カロイ燃料被覆管の腐食抑制方法。
  18. 【請求項18】 原子炉の燃料を被覆する燃料被覆管を
    ジルコニウム合金で構成する一方、上記燃料被覆管の外
    表面に酸化皮膜,コーティング処理による被覆層および
    平滑化処理の少なくとも1つを施すとともに原子炉一次
    系の冷却材の水質を選択的に調整することを特徴とする
    ジルカロイ燃料被覆管の腐食抑制方法。
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