JPH07332219A - 感温応答アクチュエータと、該アクチュエータにて作動する感温応答弁、及び感温応答スイッチ - Google Patents

感温応答アクチュエータと、該アクチュエータにて作動する感温応答弁、及び感温応答スイッチ

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JPH07332219A
JPH07332219A JP14535394A JP14535394A JPH07332219A JP H07332219 A JPH07332219 A JP H07332219A JP 14535394 A JP14535394 A JP 14535394A JP 14535394 A JP14535394 A JP 14535394A JP H07332219 A JPH07332219 A JP H07332219A
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sensitive
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valve
piston
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Zenichi Ogita
善一 荻田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気エネルギーを用いずに、僅かな温度変化
に対応して作動する感温応答アクチュエータと、該アク
チュエータにて作動する感温応答弁、及び感温応答スイ
ッチを提供することにある。 【構成】 感温応答アクチュエータは、シリンダー2の
内部に水系媒体4を入れる一方、ピストン3の前面側に
水溶液がLCSTを有する高分子化合物を架橋して成る
感温応答ゲル5を入れ、水溶液が水系媒体4中で温度に
依存して体積変化を生じることを利用してピストン3を
往復動するものである。感温応答弁6は前記感温応答ア
クチュエータ1のピストンロッド13に、配管路に接続す
る弁座16の開閉弁26を設け、ロッド13と一体の開閉弁26
にて弁座16を開閉し、感温応答スイッチ7はアクチュエ
ータ1のピストンロッド13突出側に、電気回路に接続す
る通電部17を設け、通電部17の一部をロッド13にて断続
するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、温度変化に応答して
作動する感温応答アクチュエータと、該アクチュエータ
にて作動する感温応答弁、及び感温応答スイッチに関す
る。
【0002】
【従来の技術】温度変化に応答して作動する感温部品と
して、例えば膨張係数の違う2種類の金属薄板を圧着
し、温度によって湾曲するバイメタルや、該バイメタル
を利用した感温デバイスのサーモスタット、温度によっ
て抵抗値が変化する半導体素子のサーミスターや、温度
センサー等が知られている。温度変化に応答して作動す
る弁体として、例えばで前記感温部品によって温度を電
気信号に変換し、その電気信号に対応して電磁石やモー
ターを駆動し、可動弁を開閉するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】バイメタル式の感温部
品にあっては、変形量が小さく、しかも変形力も弱いの
で、温度センサーとして利用されるに過ぎないし、サー
モスタット式の感温部品にあっては、構造が複雑である
ので、小型化に限界があった。半導体素子のサーミスタ
ーにあっては、成形に高度の技術を要し、高価になる問
題点があった。何ずれにしても、これらの感温部品は、
電気回路に組込み、或いは電気を利用して温度変化を調
整するものであった。
【0004】温度センサーの電気信号によって電磁石や
モーターを作動し、可動弁を作動する弁体にあっては、
高価でしかも電気エネルギーを必要とする問題点があっ
た。そこでこの発明は、従来技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、電気エネルギーを用いずに、僅かな温度変化に対
応して作動する感温応答アクチュエータと、該アクチュ
エータにて作動する感温応答弁、及び感温応答スイッチ
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の感温応答アクチュエータは、ピストンを往
復動可能に嵌挿したシリンダーの内部に水系媒体を入れ
る一方、ピストンの前面側に水溶液がLCST(Lower
Critical Solution Temperature )を有する高分子化合
物を架橋して成る感温応答ゲルを入れ、該ゲルが水系媒
体中で温度に依存して体積変化を生じることを利用して
ピストンを往復動するものである。また、本発明の感温
応答弁は、感温応答アクチュエータのピストンロッド
に、配管路に接続する弁座の開閉弁を設け、弁座を開閉
し、感温応答スイッチは、感温応答アクチュエータのピ
ストンロッド突出側に、電気回路に接続する通電部を設
け、通電部を断続するものである。
【0006】
【作用】感温応答アクチュエータのシリンダー内に水系
媒体を入れる一方、ピストンの前面側に水溶液がLCS
Tを有する高分子化合物を架橋して成る感温応答ゲルを
入れたものであるから、感温応答ゲルが水系媒体の温度
に依存して体積変化し、その体積変化によってピストン
が往復動する。感温応答アクチュエータのピストンロッ
ドに、配管路に接続する弁座の開閉弁を設けた感温応答
弁と、感温応答アクチュエータのピストンロッド突出側
に通電部を設けた感温応答スイッチにあっては、温度に
依存して体積変化する感温応答ゲルによってピストンが
往復動し、そのピストンロッドの往復動にて弁座が開閉
され、或いは通電部が断続される。
【0007】
【実施例】先ず本発明による感温応答アクチュエータの
構造を図1に基づき説明すれば、感温応答アクチュエー
タ1はピストン3を往復動可能に嵌挿したシリンダー2
の内部に水系媒体4を入れる一方、ピストン3の前面側
に、更に水溶液がLCST(Lower Critical Solution
Temperature )を有する高分子化合物を架橋して成る感
温応答ゲル5を入れ、ピストンロッド13を外部に突出
し、感温応答ゲル5が水系媒体4中で温度に依存して体
積変化を生じることを利用してピストン3を往復動する
ものである。
【0008】LCSTを有する高分子化合物とは、水に
対する溶解度温度係数が負を示す高分子化合物であり、
低温にて生成する高分子化合物と水分子との水素結合に
依存する水和物(オキソニウムヒドロキシド)が高温で
分解し、脱水和により高分子化合物同士が凝集し沈殿す
る特徴を有する。即ち、LCST以下の温度では親水性
で水に溶解するが、LCST以上の温度では疎水性と成
って沈殿するもので、その変化は可逆的である。LCS
Tとは高分子化合物の水和と脱水和の転移温度をいう。
(例えばヘスキンズ(M.Heskins) らの J. Macromol. Sc
i.-Chem., A2 (8), 1441(1968)参照) 本発明に用いる高分子化合物のLCSTとしては、0〜
90℃、更には10〜70℃であることが好ましい。
【0009】本発明に用いる高分子化合物としては、例
えばポリN置換アクリルアミド誘導体、ポリN置換メタ
アクリルアミド誘導体、これらの共重合体、ポリビニル
メチルエーテル、ポリビニルアルコール部分酢化物、ポ
リアルキレンオキサイド等が挙げられる。好ましい温度
感応性高分子化合物を、LCSTが低い順に列挙する。
ポリ−N−アクリロイルピペリジン;ポリ−N−n−プ
ロピルメタアクリルアミド;ポリ−N−イソプロピルア
クリルアミド;ポリ−N、N−ジエチルアクリルアミ
ド;ポリ−N−イソプロピルメタアクリルアミド;ポリ
−N−シクロプロピルアクリルアミド;ポリ−N−アク
リロイルピロリジン;ポリ−N、N−エチルメチルアク
リルアミド;ポリ−N−シクロプロピルメタアクリルア
ミド;ポリ−N−エチルアクリルアミド;
【0010】高分子化合物は単独でも、他の単量体と共
重合させて得たものでも良い。また共重合する単量体と
しては、親水性単量体、疎水性単量体の何ずれも用いる
ことができる。一般的には、親水性単量体と共重合する
と生成物のLCSTは上昇し、疎水性単量体と共重合す
ると生成物のLCSTは下降する。従って、これらを選
択することによっても所望のLCSTを有する高分子化
合物を得ることができる。
【0011】親水性単量体として、N−ビニルピロリド
ン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリルア
ミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメ
タアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒド
ロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシメチルアク
リレート、酸性基を有するアクリル酸、メタアクリル
酸、及びそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチレンスル
ホン酸等、並びに塩基性基を有するN,N−ジメチルア
ミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエ
チルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル
アクリルアミド、及びそれらの塩等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0012】一方、疎水性単量体として、エチルアクリ
レート、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレ
ート等のアクリレート誘導体、及びメタクリレート誘導
体、N−n−ブチルメタアクリルアミド等のN置換アル
キルメタアクリルアミド誘導体、塩化ビニル、アクリロ
ニトリル、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0013】これらのLCSTを有する高分子化合物を
架橋して成る感温応答ゲル(ハイドロゲルとも称する)
5は、水系媒体4中でLCST以下の温度では温度低下
に伴い膨潤し、LCST以上の温度では収縮した状態と
なることが知られている。(例えば、シルド (H. G. Sc
hild) のProg.Polym. Sci., 17, 163 (1992)参照) 感温応答ゲル5を得る方法としては、LCSTを有する
高分子化合物を重合する際に架橋構造を導入する方法
と、単量体の重合終了後に架橋構造を導入する方法とが
あるが、何ずれの方法で得た感温応答ゲル5でも採用す
ることができる。感温応答ゲル5の温度に依存した体積
変化の割合は、通常、その架橋構造、特に架橋密度に依
存し、一般に架橋密度が低い方が体積変化が大きくなる
傾向があり、その体積変化は数10倍〜数100 倍に達す
る。
【0014】前者の方法は、一般的に、二官能性単量体
(或いは3以上の官能基を有する単量体)を共重合する
ことによって行うことができる。例えば、N,N' −メ
チレンビスアクリルアミド、ヒドロキシエチルジメタク
リレート、ジビニルベンゼン等の二官能性単量体を用
い、その共重合比を変えることで架橋密度を制御する。
後者の方法は、一般的に、光、電子線、γ線照射等によ
り分子間に架橋を形成し、その照射量を変えることで任
意に架橋密度を制御することが可能である。また、LC
STを有する高分子化合物中の官能基(例えば、アミノ
基)と結合し得る官能基(例えば、イソシアネート基)
を分子内に複数個有する多官能性分子を架橋剤として用
いて、LCSTを有する高分子化合物を架橋させること
により行うこともできる。
【0015】本発明に用いる感温応答ゲル5の水中に置
ける体積変化の割合は、LCSTより高い温度における
平衡膨潤体積を1とした時、LCSTより低い温度にお
ける平衡膨潤体積が1.1 〜1000、更には5〜100 となる
ことが好ましい。平衡膨潤体積とは、感温応答ゲル5を
過剰量の水中に所定温度(一定温度)で少なくとも3日
以上浸し、膨潤が平衡に達した後の体積をいう。(例え
ば、文献T. Tanaka, et al., Phys. Rev. Lett., 55, 2
455(1985) を参照)
【0016】本発明において望ましい架橋密度の範囲
は、全単量体に対する分岐点のモル比で、約0.2〜約
10モル%、更には約0.5〜約4モル%である。前者
の方法で架橋構造を導入する場合、二官能性単量体の全
単量体(該二官能性単量体自体をも含む)に対する共重
合比は、約0.3wt%〜約3wt%(更には約0.5
wt%〜約1.5wt%)の範囲であることが好まし
い。
【0017】本発明において、架橋密度が上記した約
0.2モル%〜約10モル%の範囲を上回る場合には、
温度に依存した感温応答ゲル5の体積変化が小さくな
り、反対に下回る場合には、感温応答ゲル5の機械的強
度が弱くなる。上述したような架橋密度(全単量体に対
する分岐点のモル比)は、例えば核磁気共鳴吸収測定(
13C−NMR)、又は赤外吸収スペクトル測定(I
R)、或いは元素分析によって定量することができる。
【0018】次に本発明による感温応答弁の構造を図2
と図3に基づき説明すれば、感温応答弁6は配管路に接
続する弁座16の開閉弁26を、前記感温応答アクチュエー
タ1を構成するピストンロッド13の先部に設け、感温応
答ゲル5の体積変化に連動するピストン3の往復動、即
ち、ピストンロッド13と一体を成す開閉弁26の往復動に
より弁座16を開閉するもので、図2は感温応答ゲル5を
構成する高分子化合物のLCSTより低温側で、開閉弁
26の開度が温度低下に伴い小さくなる構造を示し、感温
応答ゲル5がLCST以上の温度で図2(A)の如く水
系媒体4中で収縮状態と成る。
【0019】感温応答ゲル5はピストン3より後面側の
水系媒体4中へは移動できないが、水系媒体4はピスト
ン3の前後面側に自由に流通できる構造、例えばピスト
ン3とシリンダー2の間に、感温応答ゲル5の大きさよ
り小さな間隙を設けるか、或いはピストン3を網状にす
る等されている。感温応答アクチュエータ1を上向きに
設けた時、シリンダー2に挿入するピストン3は自重で
下がり、ロッド13に設けた開閉弁26も降下し、開閉弁26
と弁座16の間隔が最大となり、通気量も最大となる。
【0020】通気量が最大となる温度は必ずしもLCS
T以上、即ち感温応答ゲル5が最小体積の時に限定され
ず、ロッド13の長さを短くすれば、LCST以下の任意
の温度に設定することができる。外界の温度が低下し、
水系媒体4の温度がLCSTを下回ると、感温応答ゲル
5が温度低下に伴い、徐々に膨潤してピストン3を押し
上げる。従って、温度低下に伴って開閉弁26と弁座16の
間隔が徐々に縮小し、通気量も徐々に減少する。そして
所定の温度以下では、開閉弁26と弁座16が図2(B)の
如く完全に密着し通気を遮断する。この所定温度は、感
温応答ゲル5の大きさやロッド13の長さを変えることに
よって、感温応答ゲル5を構成する高分子化合物のLC
STより低い温度領域で任意に設定できる。
【0021】図3の感温応答弁6は、例えば感温応答ゲ
ル5を構成する高分子化合物のLCSTより低温側で、
開閉弁26の開度が温度低下に伴い大きくなるようにし、
LCSTより低温側で温度低下により感温応答ゲル5が
膨潤すると、開閉弁26が弁座16より離反し、弁座16の開
口が図3(B)の如く大きくなり、通気量が増大するも
のである。反対に、所定温度以上で開閉弁26は弁座16に
図3(A)の如く密着するので、LCST以下の所定温
度以上で通気が遮断される。
【0022】更に本発明による感温応答スイッチの構造
を図4に基づき説明すれば、感温応答スイッチ7は感温
応答アクチュエータ1を構成するピストンロッド13の突
出側に、電気回路に接続する通電部17を設け、通電部17
の一部を感温応答ゲル5の体積変化に連動するピストン
3の往復動、即ちピストンロッド13にて断続するもので
ある。通電部17としては、例えば2接点7a,7bを離して
配置し、該接点7a,7bに跨がって接触する接片7cをピス
トンロッド13に設け、ピストン3による接片7cの往復動
にて接点7a,7bを断続する。
【0023】本発明に用いる感温応答ゲル5の形状、大
きさは、感温応答アクチュエータ1と感温応答弁6、感
温応答スイッチ7の種類、形状、大きさによって適宜選
択する事ができる。例えば球形、直方体、微粒子状、マ
イクロビーズ、繊維状、フレーク状、スポンジ状、膜
状、板状等にすることが可能である。感温応答ゲル5の
体積変化速度は、ゲルの大きさに依存し、ゲルを代表す
る長さが短いほど速くなることが知られている。(例え
ば、文献 T.Tanaka, et al.,Phys. Rev. Lett., 55, 24
55(1985)を参照することができる)
【0024】本発明の感温応答アクチュエータ1と感温
応答弁6、及び感温応答スイッチ7の作動を温度に依存
して速やかに行うためには、微粒子、或いはマイクロビ
ーズ状の感温応答ゲル5が好ましい。個々の微粒子ゲル
の体積変化は僅かで、開閉弁26や通電路17の開閉を行う
には不十分であるので、例えば少なくとも透水性と伸縮
性を有する袋体8に多数の微粒子ゲルを封入すれば、大
きな体積変化を速やかに行わせることができる。またス
ポンジ状や繊維状のゲルも、微粒子ゲルの集合体と同様
に機能するので好適に用いられる。
【0025】本発明に用いる感温応答ゲル5の成形にお
いては、通常の高分子化合物の成形法を用いることが可
能である。特に、単体の形状が微粒子状、或いはマイク
ロビーズ状の場合には、乳化重合法、懸濁重合法、沈殿
重合法等の手段が好ましく用いられる。架橋構造を付与
する方法としては、上記したように、単量体を重合する
際に二官能性単量体を用いて架橋する方法、或いは重合
が終了し、形状が付与された後に光、電子線、γ線照射
名度により架橋する方法等を用いることができる。
【0026】本発明に用いる感温応答ゲル5を繊維状、
或いはスポンジ状等に成形する場合は、例えばLCST
より低い温度に冷却された、LCSTを有する高分子化
合物の水溶液を、口金を用いてLCSTより高い温度の
水中、或いは水を混合しない有機溶媒中に押し出すこと
によって実施できる。このような成形方法を用いる場
合、架橋構造の付与は、成形終了時に光、電子線、γ線
照射等を用いることにより実施できる。
【0027】実験例1(感温応答ゲル5の合成) N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)15
g、N,N' −メチレンビスアクリルアミド0.102 g、
過硫酸アンモニウム0.1 gを蒸留水100 mlに溶解、窒
素ガスにより脱酸素化した。この水溶液を窒素気流下、
N,N,N' ,N' −テトラメチルエチレンジアミン1
mlを溶解したヘキサン400 mlに加え、緩やかに攪拌
しながら約35℃に加温し、約1時間重合反応させた後、
静置して球形スポンジ状の感温応答ゲル5を沈降させ
た。
【0028】ヘキサン相を廃棄し、新たにヘキサンでゲ
ルを洗浄した。ゲルを過剰量の蒸留水に懸濁させ、約50
℃に加熱してゲルを収縮させた。吐き出された水を廃棄
し、新たに蒸留水を加えて室温でゲルを膨脹させた。こ
の膨潤−収縮による洗浄を3回繰り返した。50℃での収
縮時直径が約5mmの球状ゲルを選び、蒸留水中、種々の
温度における平衡膨潤時の直径を測定して図5に示し
た。
【0029】実験例2 実験例1で合成した感温応答ゲル5を使用して、図2に
示す本発明の感温応答弁6を作製した。実験例1に示し
た50℃での収縮時直径が約5mmの球形感温応答ゲル5
を、水系媒体4には蒸留水を使用した。それ以外の部分
はすべてガラス製とした。外気温25℃以下で弁座16と開
閉弁26が密着し、外気温25℃以上で温度上昇に伴い感温
応答ゲル5が収縮し、徐々に弁座16と開閉弁26の間隔が
大きくなり、外気温35℃以上では最大の間隔4mmとなっ
た。
【0030】実験例3 実験例1で合成した感温応答ゲル5を使用して、図3に
示す本発明の感温応答弁6を作製した。実験例1に示し
た50℃での収縮時直径が約5mmの球形感温応答ゲル5
を、水系媒体4には蒸留水を使用した。それ以外の部分
はすべてガラス製とした。外気温33℃以上で弁座16と開
閉弁26が密着し、外気温33℃以下で温度降下に伴い感温
応答ゲル5が膨潤し、徐々に弁座16と開閉弁26の間隔が
大きくなり、外気温15℃での間隔は4mmとなった。
【0031】尚、本発明による感温応答アクチュエータ
は上記実施例に限定されるものではなく、例えばピスト
ン3の前面側に入れるLCSTを有する高分子化合物を
架橋して成る感温応答ゲル5を、ドーナツ状の袋体8に
封入して使用すれば、ピストンロッド13をシリンダー2
の前後に突出することも可能である。また本発明の感温
応答アクチュエータ1、感温応答弁6を構成する弁座16
と開閉弁26、及び感温応答スイッチ7を構成する通電部
17の形状構造は、本発明の要旨に反しない限り適宜変更
可能である。
【0032】
【発明の効果】本発明による感温応答アクチュエータは
上記のとおりであるから、次に記載する効果を奏する。
シリンダー内に水系媒体を入れ、ピストンの前面側に水
溶液がLCSTを有する高分子化合物を架橋して成る感
温応答ゲル(ハイドロゲル)を入れられているので、感
温応答ゲルは水系媒体中で温度に依存して体積変化を生
じ、その体積変化によってピストンが往復動する。
【0033】本発明による感温応答弁の内、所定温度以
下での通気を遮断し、所定温度以上では温度上昇に伴い
通気量を増大する感温応答弁にあっては、例えば温室に
設置すれば、室温の過度な温度上昇を防止することがで
きる。また、所定温度以上での通気を遮断、該温度以下
では温度低下に伴い通気量を増大させる感温応答弁にあ
っては、例えば香料瓶に付することによって、室温上昇
に伴う香料の揮散促進が香料の無駄な消費や過度の香り
による不快感を招くことを防止できる。即ち、香料の揮
散量制御や室温の温度調節等に利用される。何ずれにし
ても、感温応答ゲルを構成する高分子化合物のLCST
を選択することによって、開閉弁の開度調節に関連する
温度領域を任意に設定できるし、僅かな温度変化に対応
して開閉弁の大きな開度調節を、電気エネルギーを用い
ず自動的に行うことができる。
【0034】本発明による感温応答スイッチは上記のと
おりであるから、次に記載する効果を奏する。温度に依
存して体積変化する感温応答ゲルによってピストンが往
復動し、そのピストンロッドの往復動にて通電部を断続
し得る。しかも感温応答ゲルを構成する高分子化合物の
LCSTを選択することによって、スイッチ通電部の断
続調節温度を任意に設定できる。本発明の感温応答アク
チュエータと、該アクチュエータにて作動する感温応答
弁、及び感温応答スイッチは、その構造、機構が単純で
あるので、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)(B)本発明による感温応答アクチュエ
ータの基本構造を示す断面図である。
【図2】(A)(B)本発明による感温応答弁の基本構
造を示す断面図である。
【図3】(A)(B)感温応答弁の構造例を示す断面図
である。
【図4】(A)(B)本発明による感温応答スイッチの
基本構造を示す断面図である。
【図5】球形感温応答ゲルの蒸留水中における直径と温
度の関係を示す。
【符号の説明】
1 感温応答アクチュエータ 2 シリンダー 3 ピストン、13 ロッド 4 水系媒体 5 感温応答ゲル 6 感温応答弁、16 弁座、26 開閉弁 7 感温応答スイッチ、17 通電部 8 袋体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストン(3)を往復動可能に嵌挿した
    シリンダー(2)内に水系媒体(4)を入れる一方、ピ
    ストン(3)の前面側に、更に水溶液がLCST(Lowe
    r Critical Solution Temperature )を有する高分子化
    合物を架橋して成る感温応答ゲル(5)を入れ、該感温
    応答ゲル(5)が水系媒体(4)中で温度に依存して体
    積変化を生じることを利用してピストン(3)を往復動
    する感温応答アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 LCSTを有する高分子化合物を架橋し
    て成る感温応答ゲル(5)を、少なくとも透水性と伸縮
    性を有する袋体(8)に収納し、これをピストン(3)
    の前面側に入れた請求項1記載の感温応答アクチュエー
    タ。
  3. 【請求項3】感温応答アクチュエータ(1)を構成する
    ピストンロッド(13)に、配管路に接続する弁座(16)
    の開閉弁(26)を設け、ロッド(13)の往復動にて弁座
    (16)を開閉する感温応答弁。
  4. 【請求項4】 感温応答アクチュエータ(1)を構成す
    るピストンロッド(13)の突出側に、電気回路に接続す
    る通電部(17)を設け、通電部(17)の一部をピストン
    (3)の往復動にて断続する感温応答スイッチ。
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