JPH07328101A - オートクレーブ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オートクレーブ装置のチャンバを密閉する蓋
に設けられたパッキン溝と該チャンバ内に装着されたパ
ッキンとの間に生じる空気留りをなくし、該空気留内の
圧縮空気によって、蓋の開動作がスムーズに行なわれな
くなるのを防止し、該蓋の開閉を操作性よいものにす
る。 【構成】 チャンバ２内に注入された水液を加熱し、発
生した高圧蒸気によりインスツルメントを滅菌する。チ
ャンバ２の開口端面に圧接されて該チャンバ２内を気密
に閉止可能にするパッキン５が配設された蓋４を有す
る。蓋４にはパッキン５を装着するための環状のパッキ
ン溝４ａを有し、かつ、このパッキン溝４ａに達する貫
通孔４ｂを少くとも一つ有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、オートクレーブ装置に
関し、より詳細には、高圧蒸気滅菌が完了し、滅菌室内
の空気を排出した後において、オートクレーブ装置の蓋
を簡単に開けることができるオートクレーブ装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】歯科治療においては、各種インスツルメ
ント、例えば、タービンハンドピース、コントラシャン
クハンドピース、マルチシリンジ、超音波スケーラ等が
使用され、これらは、衛生上の観点から、各患者毎に滅
菌したものを使用するのが好ましい。そのため、従来よ
り、各医院にはオートクレーブ装置（高圧蒸気滅菌装
置）を準備しておき、一般的には、これらインスツルメ
ントを診療開始前に滅菌処理しておき、各患者に滅菌処
理したインスツルメントを使用するようにしている。

【０００３】図５は、出願人が先に提案したオートクレ
ーブ装置の一例を説明するための図で、図５（ａ）は側
面図、図５（ｂ）は平面図で、図中、１はケーシング、
２はチャンバ、３はフタカバー、４は蓋、５はパッキ
ン、６はロック機構、７はスノコ、８はサーモスタッ
ト、９はヒータ、１０は篭、１１は受水口、１２はバル
ブツマミ、１３はバルブ、１４は圧力計、１５は電源ス
イッチ、１６はタイマ表示、１７は蓋開閉表示である。

【０００４】図５に示したオートクレーブ装置は、円筒
状の篭１０に収納されたインスツルメント（図示せず）
を挿入してオートクレーブするためのチャンバ２と、チ
ャンバ２の開口２ａを密閉する蓋４と、ロック釦６ａの
操作により蓋４を開閉するロック機構６を有している。

【０００５】チャンバ２は、耐蝕性のある有底筒状の耐
圧容器で、開口部２ａ近傍の外周面でケーシング１の上
面１ａに懸架固着されている。チャンバ２内の底部２ｂ
近傍はスノコ７で上下に仕切られ、この間に完全シール
された偏平な耐蝕金属容器内に絶縁されたヒータ９が配
設されている。ヒータ９はサーモスタット８により設定
された１２０〜１３０℃の間の一定温度となるように制
御される。

【０００６】ケーシング１内には、上述の要素の他に、
オートクレーブの圧力を導入して圧力を一定に制御し、
設定圧力を越えたとき蒸気を排出する圧力制御安定弁
（図示せず）、安全弁１５およびバルブツマミ１２の回
動によりチャンバ２内の蒸気を大気に放出するバルブ１
３等の弁類等が配設され、排出された蒸気の復元水はケ
ーシング１から出し入れ可能に配設された受水口１１内
に収容される。また、ケーシング１の外部パネルには、
電源スイッチ１５、オートクレーブの圧力を表示する圧
力計１４、設定されたオートクレーブ時間を表示するタ
イマ表示１６、蓋４の開閉状態を表示するフタ開閉表示
１６が配設されている。

【０００７】図６は、ロック機構を説明するための図
で、図６（ａ）は平面図、図６（ｂ）は側面図で、同図
は、ロックされた状態を示し、図中、２１はアーム、２
２はヒンジ、２３は受座、２４はフック、２５はロック
バー、２６はフック戻しばね、２７はヒンジピン、２８
はフックピン、２９はロックバーピン、３０はガイドピ
ンであり、その他、図５と同様の作用をする部分には図
５と同一の参照番号を付しある。

【０００８】図６において、アーム２１は断面が四角の
柱状体で中央下部面に蓋４がボルト等で固着され、一端
側２１ａは、ケーシング１の上面１ａに下面が固着され
たヒンジ２２にヒンジピン２７で軸支されている。ヒン
ジ２２の固着位置とヒンジピン２７の高さ位置は、アー
ム２１をヒンジピン２７まわりに回動したとき、蓋４と
チャンバ開口２ａとが蓋パッキン５を介して接触面で接
触できるように選ばれている。

【０００９】アーム２１の他端側２１ｂは、水平方向断
面がコの字形になっており、コの字部分に挟まれるよう
にフック２４が上端部２４ｃでフックピン２８により軸
支され、該フック２４がアーム２１に懸架された状態と
なっている。フック２４は矩形板状体から作られたもの
で、蓋４と反対側（外側）の面に長辺と直角な方向に所
定長さをもった係止面２４ａが穿設されている。

【００１０】係止面２４ａの高さ位置は、係止面２４ａ
が受座２３の下部面２３ａと係合したとき、蓋４とチャ
ンバ開口２ａとの周方向の接触面が同じ接触圧であるよ
うに選ばれている。なお、受座２３はケーシング１の上
面１ａに取り付けられ、フック２４が挿通できる程度の
面積を有する透孔２３ｂを有している。フックピン２８
にはフック戻しばね２６が挿通されており、このフック
戻しばね２６は、フック２４をアーム２１に対しフック
ピン２８の軸まわりに回動させるばね力を与えるもの
で、このばね力は、図６（ｂ）に示したフック２４と受
座２３とが係合している状態では極僅かで、ガイドピン
３０が上方Ｂ側に移動したときフック２４が矢印−Ｒ方
向に回動して係合が解かれ、係止面２４ａと受座２３の
下部面２３ａとが接触することがないように作用する。

【００１１】ロックバー２５は、アーム２１のヒンジピ
ン２７とフックピン２８との中間部分において、ロック
バーピン２９により軸支され、アーム２１の外側部分に
沿って延び、その先端部にはロック釦６ａが配設されて
いる。また、ロックバー２５にはフックピン２８と軸平
行なガイドピン３０が固着されおり、ロックバー２５を
押下した時（矢印＋Ｆ方向に押し下げた時）、該ガイド
ピン３０がフック２４に接触し、該フック２４を＋Ｒ方
向に回動し、図６（ｂ）に示した係止状態となる。この
ようにガイドピン３０は、ロックバー２５の上下移動に
従って移動するので、この移動を妨げないようにアーム
２１には長手方向と直角の方向に長いガイド穴２１ｃが
穿孔されている。

【００１２】図６（ｂ）の状態では、ロック釦６ａを矢
印＋Ｆ方向に押圧したとき、ガイドピン３０はガイド穴
２１ｃの下部Ａに向って移動し、ガイドピン３０がフッ
ク２４の内側面と接触し、フック２４は＋Ｒ方向に押さ
れて係止面２４ａと受座２３の下部面２３ａとが係止さ
れる。この状態で、チャンバ２内の圧力が作用している
と、蓋４がチャンバ２内の圧力によって上方に押されて
いるので、係止面２４ａと下部面２３ａとの間には大き
な接触圧が作用しており、ロック釦６ａを−Ｆ方向に押
し上げたとしてもフック戻しばね２６のばね力ではフッ
ク２４の係止は解かれることはない。

【００１３】しかし、チャンバ２内の圧力を下げた状態
では、蓋４に上方への力が作用していないのでロック釦
６ａを−Ｆ方向に押上げると、フック２４がフックピン
２８まわりに回動できるようになり、フック戻しばね２
６のばね力により、−Ｒ方向に廻され、フック２４は受
座２３の透孔２３ｂを通ってロック釦６ａの移動方向に
移動し、上蓋４を開けることができるようになる。

【００１４】図４は、チャンバ２と、蓋４と、パッキン
５との関係を説明するための部分的断面図で、図示のよ
うに、蓋４のチャンバ２に対向した面とは、チャンバ２
の開口端面に対向して環状のパッキン溝４ａが設けられ
ており、この溝４ａ内にパッキン５が装着されている。
このパッキン５は、通常、弾性体で形成されており、パ
ッキン溝４ａ内に装着された時に、該溝４ａに内パッキ
ン５によって閉塞された空隙Ｖが生じ、この空隙Ｖ内に
空気が留っている。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】上記オートクレーブ装
置においては、使用時、パッキン５にてチャンバ２内を
密閉し、該チャンバ内に高圧蒸気を発生させ、該チャン
バ内のインスツルメント等を滅菌するが、上述のごとく
して、蓋４を閉め、パッキン５を押圧した時に、前記空
隙Ｖ内の空気が圧縮され、該空隙Ｖ内に圧縮空気が封鎖
されている。滅菌作業が終了すると、前述のように、ロ
ック解除バー６ａを矢印−Ｆ方向に上げ、フック２４の
係止面２４ａを受座２３の下部面２３ａから離してロッ
クを解除するが、その際、前述のように、空隙Ｖ内に圧
縮空気が留っていると、該圧縮空気によって蓋４が上方
向に押され（従って、フック２４が上方に押されている
ので）、フック２４の係合面２４ａが受座２３の下部面
２３ａから離れず、ロック解除バー６ａを操作しても、
１回のバー操作で蓋を開けることができるとは限らず、
必ずしも、操作性が良いものではなかった。

【００１６】本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなさ
れたもので、特に、滅菌完了後におけるオートクレーブ
装置の蓋を開ける作業を操作性よく行うことができるよ
うにすることを目的としてなされたものである。

【００１７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、インスツルメントを収納するチャンバを
有するケーシングと、前記チャンバ内に注入された水液
を加熱し、発生した高圧蒸気により前記インスツルメン
トを滅菌するための加熱手段と、前記チャンバの開口端
面に圧接されて該チャンバを気密に閉止可能にするパッ
キンが配設された蓋を有するオートクレーブ装置におい
て、前記蓋に前記パッキンを装着するための環状のパッ
キン溝を有するとともに、該パッキン溝に達する貫通孔
を少くとも一つ有することを特徴としたものである。

【００１８】

【作用】オートクレーブ装置のチャンバを密閉する蓋に
設けられたパッキン溝と該チャンバ内に装着されたパッ
キンとの間に生じる空気留りをなくし、該空気留内の圧
縮空気によって、蓋の開動作がスムーズに行なわれなく
なるのを防止し、該蓋の開閉を操作性よいものにする。

【００１９】

【実施例】図１乃至図３は、本発明によるオートクレー
ブ装置の一実施例を説明するための図で、図１は図５
に、図２は図６に、図３は図４にそれぞれ対応して示し
てある。図１乃至図３において、４ｂは本発明によって
設けられた貫通孔であり、その他、図４乃至図６に示し
た先行技術と同様の作用をする部分には、図４乃至図６
の場合と同一の参照番号を付し、それらについての説明
は省略する。

【００２０】前述のように、図４乃至図６に示したオー
トクレーブ装置においては、蓋４が閉じられている時
に、空気留りＶ内における空気が圧縮されており、この
圧縮空気が、チャンバ２内の空気を大気圧に戻した時
に、蓋４を上方に押しており（すなわち、フック２４を
上方に押しており）、これにより、滅菌作業が終了して
ロック解除バー６ａを上方に押してもフック２４の係合
面２４ａと受座２３の下部面２３ａとの係合が解けず、
オートクレーブ完了後、蓋４を開けようとしても、開け
ることができない状態がしばしば発生し、操作性があま
り良いものではなかった。

【００２１】本発明は、上述のごとき不都合を解消する
ためになされたもので、図１乃至図３に示したように、
パッキン５が収納されている蓋４の溝４ａの上部に、少
なくとも一つの透孔４ｂを設けたもので、この貫通孔４
ｂを設けることにより、パッキン溝４ａ内にパッキンを
装着した時に、該パッキン溝４ａ内に空気留りができ
ず、従って、前述のような、蓋４を上方に押すような力
が発生せず、蓋４を常にスムーズに開けることができ
る。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によると、オートクレーブ完了後、フック２４が受座２
３にひっかかるようなことはなく、常に、蓋をスムーズ
に開けることができ、非常に操作性のよいオートクレー
ブ装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるオートクレーブ装置の一実施例
を説明するための側面図及び平面図である。

【図２】 本発明によるオートクレーブ装置のロック機
構部を示す平面図及び側面図である。

【図３】 本発明によるオートクレーブ装置のチャンバ
と、蓋と、パッキンとの関係を示す部分的断面図であ
る。

【図４】 本出願人が先に提案したオートクレーブ装置
のチャンバと、蓋と、パッキンとの関係を示す部分的断
面図である。

【図５】 本出願人が先に提案したオートクレーブ装置
の側面図及び平面図である。

【図６】 本出願人が先に提案したオートクレーブ装置
のロック機構部を示す平面図及び側面図である。

【符号の説明】

１…ケーシング、２…チャンバ、３…フタカバー、４…
蓋、４ａ…パッキン溝、４ｂ…貫通孔、５…パッキン、
６…ロック機構、７…スノコ、８…サーモスタット、９
…ヒータ、１０…篭、１１…受水口、１２…バルブツマ
ミ、１３…バルブ、１４…圧力計、１５…電源スイッ
チ、１６…タイマ表示、１７…蓋開閉表示、２１…アー
ム、２２…ヒンジ、２３…受座、２４…フック、２５…
ロックバー、２６…フック戻しばね、２７…ヒンジピ
ン、２８…フックピン、２９…ロックバーピン、３０…
ガイドピン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インスツルメントを収納するチャンバを
   有するケーシングと、前記チャンバ内に注入された水液
   を加熱し、発生した高圧蒸気により前記インスツルメン
   トを滅菌するための加熱手段と、前記チャンバの開口端
   面に圧接されて該チャンバを気密に閉止可能にするパッ
   キンが配設された蓋を有するオートクレーブ装置におい
   て、前記蓋に、前記パッキンを装着するための環状のパ
   ッキン溝を有するとともに、該パッキン溝に達する貫通
   孔を少くとも一つ有することを特徴とするオートクレー
   ブ装置。