JPH07327530A - 液肥の供給方法及びそれに使用する装置 - Google Patents

液肥の供給方法及びそれに使用する装置

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JPH07327530A
JPH07327530A JP6148729A JP14872994A JPH07327530A JP H07327530 A JPH07327530 A JP H07327530A JP 6148729 A JP6148729 A JP 6148729A JP 14872994 A JP14872994 A JP 14872994A JP H07327530 A JPH07327530 A JP H07327530A
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JP
Japan
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liquid
liquid fertilizer
amount
fertilizer
supply
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Application number
JP6148729A
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English (en)
Inventor
Yoshihisa Suzuki
義久 鈴木
Isamu Harasawa
勇 原澤
Katsumasa Sugita
勝正 杉田
Toshikatsu Shiina
利勝 椎名
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Nippon Carbide Industries Co Inc
Original Assignee
Nippon Carbide Industries Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有用植物が生育場面に応じて要求する液肥
を、適切な時期に、適切な量だけ供給する、液肥の供給
方法が得られ、結果的には、有用作物の生育が促進され
耐病性も向上し、収穫量の増加、品質の向上効果が得る
ことを目的とする。 【構成】 有用植物の水耕栽培方法において、単位時間
内に供給した液肥の給液量(a)とそれによる排液量
(b)とからなる給液量(a/b)を1.6〜6.0とし
て栽培することを特徴とする液肥の供給方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有用植物の水耕栽培に
おける液肥の供給方法及びそれに使用する装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、有用植物の水耕栽培における
液肥の供給方法は、種々提案されている。
【0003】例えば、積算日射量に相応して液肥を供給
する方法がある。この方法では、日射量と有用植物の液
肥の摂取量とが完全に比例しておらないため、過日照時
には、供給過剰となり、逆に寡日照時では、養分欠乏状
態になる傾向がしばしば見られた。
【0004】上記の問題点を解決するため、タイマー制
御による液肥の供給方法が提案されている。この方法に
よると、有用植物の夜と昼の液肥摂取量が異なるため夜
及び昼いずれかにおいて、液肥の供給過剰もしくは不足
(乾燥)が生じる問題がある。
【0005】これら上述の問題点を解決するために、ス
ラブ内の水分量を直接測定しつつ液肥を供給する方法が
提案されている。この方法の一つとして、スラブの重量
を直接測定する方法があるが、有用植物を上方から吊さ
ないで栽培する方法には全く使用できないものであっ
た。
【0006】もう一つの方法としては、スラブ内の保水
量を水分センサーで測定する方法が提案されている。こ
の方法において、スラブとして、例えばロックウールを
使用すると、ロックウールの密度のバラツキが大きいた
め、その保水性が大きく異なり、実質的には汎く使用さ
れていない。
【0007】本発明者等は、上述の問題点を解決すべ
く、永年に亘って、研究を重ねた結果、本発明に至った
ものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術が有していた前述の課題を解決しようとするもので
あり、従来より全く知られていなかった、液肥の供給方
法及びそれに使用する装置を新規に提供するものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、有用植物の水耕栽培方
法において、単位時間内に供給した液肥の給液量(a)
とそれによる排液量(b)とからなる給液率(a/b)
を1.6〜6.0として栽培することを特徴とする液肥の
供給方法を提供するものである。
【0010】しかして、本発明によれば、有用植物が生
産場面に応じて要求する液肥を、適切な時期に、適切な
量だけ供給する、液肥の供給方法が得られ、結果的に
は、有用植物の生育が促進され耐病性も向上し、収穫量
の増加、品質の向上効果が得られるのである。以下、本
発明の構成要因についてさらに詳細に説明する。
【0011】本発明において、「有用植物」とは、特に
制限するものではなく、いずれの有用植物でも良いが、
一般的には、農学大事典(養覧堂発行農学大事典編集委
員会著)461〜722頁記載の農作物等、および原色
日本林業樹木図鑑第1〜5巻(地球社発行倉田悟著)記
載の林業樹木等を意味する。
【0012】さらに具体的には、例えば、 (1)農作物 食用作物…イネ、コムギ、トウモロコシ、ダイズ、サ
ツマイモ、バレイショ
【0013】園芸作物…果樹 リンゴ、ナシ、カキ、
モモ、ウメ、ブドウ、ビワ、温州ミカン 野菜 キユウリ、スイカ、トマト、イチゴ 花類 一・二年草 アサガオ、コスモス、アイスランド
ポピーアスター、イエローサルタン、キンギョソ、キン
センカ、ストック、パンジー、ヒマワリ、ベニジュウ
ム、ディモルフォセカ、ベニバナ、ホワイトレースフラ
ワー、ヤグルマソウ、トルコギキョウ、ローダンセ 宿根草 シバ類、東洋ラン、カスミソウ、カーネーショ
ン、ガーベラ、キキョウ、キク、カキツバタ、スターチ
ス、シャクヤク、マーガレット、 球根草 ユリ類、グラジオラス、アイリス、アネモネ、
カラー、スイセン、フリージア、ラナンキュラス、ヒオ
ウギ 花木類 アカシア、ツツジ、バラ、ニューサイラン、サ
ツキ、サルスベリ、ジンチョウゲ、センリョウ、ソテ
ツ、ツバキ、サザンカ、ユーカリ 温室植物 洋ラン、シクラメン
【0014】工芸作物…油料作物 ナタネ、ゴマ 糖料作物 サトウキビ、テンサイ 繊維作物 ワタ、アサ デンプン作物 コンニャク 薬料作物 ハッカ、ケシ 嗜好作物 チヤ、タバコ、ホップ 紙原料作物 コウゾ、ミツマタ 染料作物 アイ 香料作物 ゼラニウム 樹液作物 ウルシ
【0015】飼料作物…飼料作物 オーチャードグラ
ス、アカクローバー、シロクローバー 飼肥料木 パンノキ、ネムノキ 緑肥作物 レンゲ、ウマゴヤシ
【0016】(2)林業樹木… 針葉樹 スギ、ヒノ
キ、マツ 常緑広葉樹 アオキ、ヤツデ 落葉広葉樹 ナラ、ブナ 等が挙げられ、好ましくは(1)農作物、特に好ましくは
園芸作物、さらに好ましくは野菜及び花類が挙げら
れ、中でも花類が好適で、特にバラ類が好適に使用され
る。
【0017】また、「水耕栽培方法」とは特に規定する
ものではなく、いずれの水耕栽培方法でも適用できる
が、一般的には、固形倍地方式および非固形倍地方式の
ものであり、固形倍地方式が好ましい。
【0018】ここで、固形培地方式としては、例えば
(A) 無機倍地によって根を支える水耕方式の(1) 砂耕
(2) れき耕(3) 人工骨材耕(4) くん炭耕(5) ウレタン耕
(6) ロックウール耕(7) パーライト耕(8) バーミキュラ
イト耕など、並びに(B) 有機倍地によって根を支える水
耕方式の(1) ピートモス耕(2) バーク耕などがあり、中
でも砂耕、れき耕及びロックウール耕が好ましく、特に
ロックウール耕が好ましい。
【0019】また、非固形培地としては、例えば(C) 液
肥をミストの形で根に直接噴霧する噴霧耕(空気耕)、
(D) 根が常時もしくは間欠的に液肥に浸される狭い意味
での水耕、並びに(C) と(D) の中間方式の水気耕などが
ある。
【0020】本発明において「液肥」とは、有用植物を
水耕栽培する際、必要とする要素の一部または全てを水
に溶かした液状肥料であれば、特に制限するものではな
く、いずれのものでも使用できる。
【0021】栄養素として、例えばチッソ、リン酸、カ
リ、石灰、苦土、硫黄、鉄、ホウソ、マンガン、亜鉛、
モリブデン、銅、塩素、ケイ素、コバルト、バナジウ
ム、アルミニウム、セレンなどの各要素が作物の生育に
必要な量だけバランス良く混合されたものである。
【0022】具体的には、武川満夫編、「水耕栽培の教
科書」〔平成2年3月30日(財)富民協会発行〕の第
40〜41頁に記載されている、園芸試験場標準処方、
山崎処方、神奈川園試処方、千葉農試処方、大阪農技セ
ンター処方、愛知農総試処方、志村処方などがあり、さ
らに民間企業から市販されている水耕専用肥料として、
例えば大塚化学A処方およびB処方、片倉チッカリン、
多木化学、グローダンなど各メーカーの処方など、栽培
作物、生育段階、栽培時期等に応じて適宜選択使用する
ことができる。
【0023】さらに、「根圏部」とは、特に規定するも
のではなく、一般的には、有用植物の根が伸張している
周辺部であれば、特に制限するものではなく、具体的に
は、植物根自身およびその表面、さらに植物根に近接す
る水溶液部、すなわち最初に現れた根(以後、「一次
根」と記すことがある。)と、その根から、次々と派生
し、生長し続けた根(以後、「分枝根」と記すことがあ
る。)から形成される根系において、一次根と一次根、
一次根と分枝根、さらに分枝根と分枝根の空間を埋める
連続した水溶液部である。
【0024】また、本発明において、単位時間内におけ
る上記液肥の給液量(a)と、それによる排液量(b)
とからなる給液率(a/b)を特定の数値内に保持しつ
つ有用植物を栽培することが肝要である。
【0025】ここで、「単位時間」とは、液肥の供給間
隔を示すものであり、栽培する有用植物の種類、栽培時
期、水耕栽培方法、天候などにより適宜決定し得るが、
例えば、有用植物がバラ類である場合では、単位時間は
0.5〜4時間、好ましくは0.5〜3時間、更に好まし
くは0.8〜2時間である。
【0026】また、液肥給液の回数は特別に規定するも
のではなく、栽培する有用植物の種類、栽培時期、水耕
栽培方法、天候などにより適宜決定し得るが、例えば、
有用植物がバラ類である場合では、3〜20回、好まし
くは4〜15回、更に好ましくは5〜10回である。
【0027】更に「給液量(a)及び排液量(b)と
は、特に限定するものではなく、栽培する有用植物の種
類、栽培時期、水耕栽培方法、天候などにより適宜決定
し得るが、例えば、有用植物がバラ類であり、使用する
ロックウールマットのサイズが幅300mm、長さ91
0mm、厚さ75mmで、株間が100mmである場合
の1株当りの給液量(a)は30〜220m1/回・
株、好ましくは50〜170m1/回・株、更に好まし
くは60〜100m1/回・株の範囲である。
【0028】一方、同上マットにおける排液量(b)
は、(a)が30〜220ml/回・株のとき、5〜1
38m1/回・株、好ましくは6〜110m1/回・
株、更に好ましくは9〜88m1/回・株の範囲であ
り、また、(a)が50〜170m1/回・株とのき、
8〜106m1/回・株、好ましくは10〜85m1/
回・株、更に好ましくは15〜68m1/回・株の範囲
であり、さらに、(a)が60〜100m1/回・株と
のき、10〜63m1/回・株、好ましくは12〜50
m1/回・株、更に好ましくは18〜40m1/回・株
の範囲である。
【0029】この結果、「給液率(a/b)」は、1.
6〜6、好ましくは2〜5、更に好ましくは2.5〜3.
3である。
【0030】「供給率(a/b)」の値が1.6より小
さくなると、根圏部に過剰の水分が保持されるため、給
液チューブなどを経由して与えられる液にたとえ多量の
酸素が含んでいても、酸素移動速度や炭酸ガスや硫化物
性ガスなどの悪性ガスの置換速度が低下する。反対に、
「給液率(a/b)の値が6より大きくなると、根圏部
は乾燥状態が進み、酸素移動速度や悪性ガス置換速度が
高くなり、植物体内への水分供給量が低下する。このこ
とがストレスとなって養分吸収に悪影響をもたらすこと
になる。
【0031】次に装置について説明するが、特に限定す
るものではなく、栽培する有用植物の種類、栽培時期、
水耕栽培方法などにより適宜決定し得る。給液量や排液
量を測定する装置として送液ポンプや液面センサーが利
用できる。
【0032】前者の例をあげると、液送ポンプとしてチ
ューブ式ポンプ、ガラスプランジャーポンプ、ローラー
式ポンプ、ガラスシリンダー式ポンプ、シールレスガラ
スポンプ、ダイヤフラム式ポンプ、ベローズ式ポンプや
プランジャーポンプ、非定量ポンプとして、一般的には
ターボ型ポンプ(渦巻きポンプ、軸流ポンプ、斜流ポン
プ)や容積型ポンプ(往復ポンプ、回転ポンプ)をあげ
ることが出来るが、具体的な例としてマグネットポンプ
や水中ポンプなどがある。
【0033】また、後者の例をあげると、電極式、フロ
ート式(抵抗式)、超音波式、静電容量式液面センサー
やマイクロウエーブ式液面センサーなどがある。これら
のうち、送液ポンプの中では、定量ポンプのダイヤフラ
ム式とベローズ式ポンプが精度と共に実用性が高く好適
であり、また、液面センサーの中では、フロート式(抵
抗式)と超音波式が精度と共に実用性が高く好適であ
る。
【0034】これらの測定装置で給液量や排液量を制御
するには、タイマーや流量計を組合せることだけでも実
施出来るが、より高精度に制御するには、パーソナルコ
ンピューターやマイコンを利用し、これらの装置にリレ
ーと/あるいはシーケンサーを組合せることで容易に、
かつ効率的に目的を達成することが出来る。
【0035】本発明において、上記栽培方法を実施せし
めるため、水耕栽培装置の中でも後述する液肥の供給装
置とすることが望ましい。
【0036】本発明における液肥の供給装置は、液肥を
一旦加圧し、次いでこれを噴射供給することが望まし
く、さらに好適には、液肥を直接根圏に供給することな
く、例えば液肥供給ポンプなどで、所定の水圧に保持し
た液肥を液肥噴射ノズル12から糸状、スリット状ない
し棒状等の水柱状13に噴出せしめ、これを噴射ノズル
12から一定の距離(A)を有して存在する障害物1に
衝突せしめて得られた液肥を根圏部に浸透せしめる液肥
の供給装置である。以下その構成について、説明する。
【0037】液肥は上記ポンプや、屋上タンクの使用等
により、パイプ又はチューブ内の液肥の水圧は一定に保
持され、大略0.5〜2.0kg/cm2 好ましくは0.5〜
1.0kg/cm2、さらに好ましくは0.5〜0.7kg/cm2
保持されることが望ましい。
【0038】次いで液肥は、液肥噴射ノズル12から噴
出される。ここで「噴射ノズル12」とは、液肥が糸
状、スリット状もしくは棒状等の水柱状13に噴出され
るノズルであれば、その長径もしくは直径は特に制限す
るものではなく、いずれのものでも良いが、一般的に
は、噴射ノズルの長径もしくは直径は、0.1〜3.0m/
m、好ましくは0.2〜2.5m/m であり、このノズルか
ら噴出する水柱13の長径もしくは直径は、0.1〜3.
0m/m好ましくは0.3〜0.6m/m になるように調節さ
れることが望ましい。
【0039】さらに噴射ノズルの間隔は、特に制限する
ものではなく、いずれの間隔でも良いが、好ましくは5
〜20cm、さらに好ましくは7〜10cmになるように調
節されていることが望ましい。これら噴射ノズルは液肥
噴射用灌水チューブ5または液肥を供給するチューブに
設置されていても良いものである。
【0040】さらに本発明でいう「障害物」とは、噴射
ノズル12から噴出した液肥が衝突して、これを反射す
る物質であり、その素材及び形状は特に規定するもので
はなく、いずれの素材及び形状のものでも使用できる
が、一般的には、素材は、無機物及び有機物である。
【0041】無機物としては、例えば石、砂、ガラス及
び金属等であり、中でも石、砂が好ましい。
【0042】有機物としては、例えばプラスチックス及
びゴム等があり、プラスチックスが有効である。
【0043】プラスチックスとしては、例えば塩化ビニ
ル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン
(PP)、ポリエステル(PET)、含フッ素樹脂等が
あるが、中でもPVC、PE、PP及び含フッ素樹脂が
好ましく、特にPVC、PEが好ましい。
【0044】また、障害物の形状は、例えば板及びフイ
ルム状物(以後これを「液肥反射板」ということがあ
る)、塊状物及び海綿状物等があり、中でも液肥反射板
が好ましい。
【0045】さらに本発明でいう「液肥反射板1」(以
後「反射板」ということがある)とは、噴出された液肥
が衝突反射される機能を有するもの、具体的には、板及
びフイルム状物もしくは塊状物であれば、特に制限する
ものではないが、その素材はプラスチックス、ガラス、
金属、木、砂及び石塊等があるが、中でも、プラスチッ
クス及び金属が好適に使用される。またこれら板状物及
びフイルム表面上に塊状物を設置したものも有効に使用
される。
【0046】プラスチックスとしては、例えば塩化ビニ
ル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン
(PP)、ポリエステル(PET)、含フッ素樹脂等が
あるが、中でもPVC、PE、PP及び含フッ素樹脂が
好ましく、特にPVC、PEが好ましい。
【0047】これら反射板は、液肥が衝突した後、微細
な液滴粒子になる様にその表面形状、設置角度を考慮し
て設置されることが好ましい。
【0048】反射板1の表面は平滑でも良いが、例えば
深さが0.01〜5mm、好ましくは0.1〜1mmからなる
溝もしくは凹凸状に加工することにより、液肥をさらに
微細化粒子にすることができる。
【0049】また、噴射ノズル12と反射板1との距離
(A)は、特に規定すべきものではなく、液肥が反射板
に衝突し、これができるだけ微細な液滴粒子になるよう
に調整されていれば、特に制限されるものではないが、
一般的には0.5〜50cm、好ましくは1〜30cm、さ
らに好ましくは5〜20cm、特に好ましくは7〜10cm
である。
【0050】また反射板1から根圏部までの距離(B)
は、特に制限するものではないが、反射板に衝突した液
肥がその組成分を濃縮することなく、根圏部まで落下す
るまでの滯空時間ができるだけ長いことが望ましいが、
装置のスペース、栽培の作業性、装置の保守管理等を考
慮すると、3〜100cm、好ましくは5〜50cm、さら
に好ましくは7〜30cm、特に好ましくは10〜15cm
である。
【0051】さらに噴射ノズル12から糸状ないし棒状
の水柱状13に噴出せしめられた液肥の反射板に対する
角度は、特に制限するものではなく、いずれの角度でも
良いが、中でも1〜90度、好ましくは30〜90度、
特に好ましくは60〜90度である。
【0052】上述のようにして得られた水耕栽培装置に
よれば、有用植物が生産場面に応じて要求する液肥を、
適切な時期に、適切な量だけ供給する、液肥の供給方法
が得られ、結果的には有用植物の生育が促進され、耐病
性も向上し、収穫量の増加、品質の向上効果が得られる
のである。以下、実施例により、更に説明するが、本発
明は実施例のみに限定されるべきではないことは言うま
でもない。
【0053】実施例1〜6、比較例1〜2 図1、2と3に示すベット構造を有する栽培装置を準備
した。まず、ベットの主要部分を簡単に説明する。番号
「1」は液肥反射板(単に「反射板」と記す)であり、
ロックウールマット(単にRWマットと記す)「3」と
噴射チューブ「5」の真上に設置してあり、反射板
「1」と噴射チューブ「5」の距離が10cmにとってあ
る。噴射チューブ(チューブ内圧、約0.6kg/cm2
「5」からいきよい良く真上に真っすぐ延びた水柱(直
径0.3mm)は反射板「1」に激しくぶつかり、その
後、この空間に微細な霧を発生する。
【0054】番号「4」はRWマットの架台であり、R
Wマットを通過した液の排出と外の空気の出入りが出来
るように、畦方向に沿って2つの溝状構造を持ってい
る。不織布「10」は図3に示すようにRWマットのサ
イドと底部を包み、空気と水を自由に通過差せ、RWマ
ット「3」に酸素の供給を可能にしている。RWマット
「3」の極度の乾燥を防ぐために比較的厚手のポリエス
テル製の不織布を使用している(厚さ:約0.3mm)。
【0055】番号「11」は水と光を通さない厚手のカ
バーフイルム(厚さ:約0.3mm)であり、RWマット
「3」の遮光と温度を保つだけでなく、図3に示すよう
に、架台「4」が有する畦方向の2つの溝状構造に沿っ
てこのフイルムを敷くことにより、排液がスムーズに流
れるように役目を果たしている。更にRWマット「3」
の上面の両端には直径約0.3mmの水柱を形成する噴射
チューブ「5」が2本設置されている。
【0056】一方、液肥の供給方法の違いがもたらす効
果を比較するために、実施例と同様の支持体の架台を採
用し、ロックウール栽培の従来方式であり、かつ最も代
表的な点滴灌水方式によって液肥を供給した。栽培装置
の概要を図4と5に示した。図5から明らかなように、
実施例の図1、2と3に示された噴射チューブ「5」の
代わりに給液管「8」と点滴灌水チューブ「9」を使用
した。液肥は株当り10ml/分、8時から16時まで連
続して供給した。また、16時から翌日8時までは液肥
の供給を中断した。
【0057】実施例1〜6の給液単位時間、給液回数、
給液量及び給液率(給液量a/排液量b)は表1に示し
た通りであり、ここに示した給液率は、以下のようにし
て求めた給液率の平均値である。1日間の総給液量(株
当たりの給液量として換算)a値と1日間の総排液量
(株当たりの排液量として換算)b値を水位センサーで
測定し、給液率としてa/b値を算出した。これらの値
を合計し、採花期間の100日で割り、日・平均値を求
めた。使用した水位センサーはノーケン製フロート式
(抵抗式)液面計LE100Sであり、ノーケン製コン
バーターユニットLU1000形と横河電機(株)製記録
計モデル436002を組合せて液量を測定した。
【0058】
【表1】
【0059】バラの栽培は、従来から行なわれている方
法に従がって行なった。
【0060】それぞれの装置に、ポット育苗のバラ苗
(品種:ロイヤルダッチ)を200株づつ定植し、常法
に従って栽培管理を行なった。定植後、各種試験区と
も、発生してきたシュートに対して収穫開始までソフト
ピンチとハードピンチを組合せて計3回のピンチを行な
った。その後、採花を行ない、100日間の採花本数を
株当りの本数に集計した。また、栽培開始300日後の
根の生産量を調査するために、ロックウールマットの底
面に伸張した根を採集した。採集した根は、60℃で一
週間乾燥し重量を測定した。
【0061】定植後の1カ月間の液肥のEC濃度は0.
8で、以後2カ月間は生育に応じて徐々にEC濃度を高
め、約1.5で管理した。以後は、ロックウールベット
(以下、RWベットと記す)中のEC濃度を約2.0前
後に、pHを約6.5に維持するように管理した。
【0062】使用した液肥の組成は以下の通りであり、
所定の濃度(EC 0.8〜1.5)になるように水道水
で希釈した。100リッター当りの含量は硝酸カルシウ
ム:90.0g;硝酸アンモニウム:8.4g;硝酸カリ
ウム:33.0g;リン酸二水素カリウム:23.0g;
硫酸カリウム:8.7g;硫酸マグネシウム:24.0
g;硫酸マンガン:0.08g;硫酸亜鉛:0.1g;ほ
う酸:0.2g;硫酸銅:0.2g;モリブデン酸ナトリ
ウム:0.01g;キレート鉄:1.0gとなるように調
整した。
【0063】このようにして、上記水耕栽培装置により
バラを栽培し、4月28日から8月6日までの切り花の
収穫を行ない、その結果を表2にまとめた。
【0064】
【表2】
【0065】表2から明らかなように、給液率(a/
b)を1.7〜5.0の範囲に管理した実施例1、2、
3、4、5および6において、収量、品質および根の生
産量に増大が認められた。特に、給液率(a/b)を約
3前後で管理した実施例1と6において、収量、品質お
よび根の生産量が著しく増大した。
【0066】実施例7〜10、比較例3〜4 実施例7〜10には図1〜3、、比較例3〜4には図4
と5の水耕栽培装置を準備した。液肥の供給方法を除い
て、品種、栽培本数、栽培管理、生育調査方法などは実
施例1〜6及び比較例1〜2と全く同じであった。液肥
の供給方法を表3に示した。
【0067】
【表3】
【0068】実施例7と9は矢印の時刻に液肥供給を行
なった。これらに対して、実施例8と10は給液時刻と
給液時刻の間で、追加供給を行なうかどうか判断しなが
ら行なった。追加供給の判断の基準は任意に定め、液肥
供給30分後に排液量を毎回測定し、給液量/排液量の
比が10以上の時にはRWマットが乾燥していると判断
し、所定の給液を行ない、1.5以下の時には過剰給液
と判断し、給液を行なわなかった。更に単位時間を変え
て、比較例3についても同様に矢印の時刻に液肥供給を
行なった。
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】表4と5から明らかなように、給液率(a
/b)が大き過ぎても小さ過ぎても収量が減少した。給
液率(a/b)が6より大きくなると収量が減少し、
2.4より小さく、1に近付くにつれ収量が減少した。
2.4〜4の範囲で収量が増大した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による水耕栽培装置の全体を示した概略
説明図。
【図2】図1におけるベット構造を示した概略説明図。
【図3】図1におけるベット構造を示した概略説明図。
【図4】従来実施されている水耕栽培装置の全体を示し
た概略説明図。
【図5】図4におけるベット構造を示した概略説明図。
【図6】AとBとを概略的に示した説明図。
【符号の説明】 1 液肥反射板 2 ポット 3 ロックウールマット 4 ロックウールベッド台 5 噴射チューブ 6 換気窓 7 排液管 8 給液管 9 点滴潅水チューブ 10 不織布 11 カバーフイルム 12 噴射ノズル 13 水柱 14 排水槽

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有用植物の水耕栽培方法において、単位
    時間内に供給した液肥の給液量(a)とそれによる排液
    量(b)とからなる給液率(a/b)を1.6〜6.0と
    して栽培することを特徴とする液肥の供給方法。
  2. 【請求項2】 該液肥を一旦加圧し、噴射供給する請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 該液肥を直接根圏部に給液することな
    く、一旦、加圧後、障害物に噴射、衝突せしめて得られ
    た液肥を根圏部に給液する請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 該水耕栽培装置が、ロックウール栽培装
    置である請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 該有用植物がバラ類に属する植物である
    請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 有用植物の水耕栽培装置において、少な
    くとも、単位時間内に供給した液肥の給液量(a)感知
    する装置と、その排液量(b)を感知する装置を具備
    し、さらに給液率(a/b)が1.6〜6.0となるべく
    制御する装置とからなることを特徴とする液肥の供給装
    置。
  7. 【請求項7】 該排液量を感知する装置が、主に液送ポ
    ンプ及び液面センサーからなるものである請求項6記載
    の供給装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6110984B1 (ja) * 2016-07-26 2017-04-05 イノチオアグリ株式会社 潅水モニタリングシステム
WO2023032131A1 (ja) * 2021-09-02 2023-03-09 株式会社星光技研 ミスト生成装置及び植物栽培装置

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