JPH0732734B2 - 可撓性の支持体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は人が座ったり、横になったりするためのクッ
ションとして作用する可撓性の支持体に関する。

（従来の技術） 米国特許第4005236号公報において、それぞれ独立して
膨らますことが可能な中空体が開示されている。膨らま
せていない状態では、これらの中空体は折り曲げられて
おり、互いに一定の距離にある。膨らませると中空体は
広がり、その結果、膨らんだ状態では中空体は互いにも
たれかかり支持し合う。これらの中空体はベース上に互
いに直交する２方向の列に配置されており、膨らませた
状態でベース平行な方向に矩形断面を有する。したがっ
て、これらの中空体により一つの座る面あるいは横にな
る面が形づけられる。それ故、中空体はすべて同じ圧力
で膨らまされなければならず、もしたとえ１つの中空体
の支持力がなくなっても全体の座面あるいは横になる面
は不安定になるであろう。従って、たった１つの中空体
が漏れるために、必要な圧力を維持できなくても、支持
能力は非常に損われる。病院では外傷のある患者は、し
ばしば傷の部分を支持体に押しつけて横になることが許
されない。従って、そのような部分は横たわる面より取
除かれているのが望ましい。長い入院で体の傷ついた箇
所に床ずれができることも、横たわる面をそのような場
所の周辺で周期的に変え患者の体に圧力が作用しないよ
うにすれば避けることができる。これは、米国特許第40
05236号公報に見られる支持体では不可能である。これ
によれば、すべての中空体は同じ圧力でなければなら
ず、従って場所によって異なる弾性を有する横たわる面
は作ることができない。

（発明の概要） 従って、この発明の目的は人が座ったり、横になったり
するためのクッションとして作用する可撓性の支持体を
提供することである。

本発明の支持体は可撓性の外包および剛性の支持部を有
する複数の中空体を有し、これらの中空体は共通のベー
ス上の一つの面内に配置され、内部より流動性媒体によ
り個々に圧力をかけられている。流動性媒体により満た
されている中空体は、互いに直交する２方向に同じ寸法
を有して、前記の面に平行な面内に広がり、かつほぼ一
定の方向に相互に接するように列をなして配置されてい
る。このような支持構造により、たとえ個々の中空体あ
るいは或る領域を形成している一群の中空体の内部の圧
力が他の中空体の圧力に比べ無視できる程小さくても安
定した座る面や横たわる面を確保できる。

本発明の顕著な特徴は、中空体に接するベースの表面が
膨らまされた中空体の下部に適合するように形どられて
おり、これによって中空体の周囲が支持されることであ
る。ベースはそれ故、中空体をしっかりと着座させ、中
空体に力が加わった時に変形するのを防ぐ。従って、膨
らまされた中空体が互いに支え合う必要はない。この理
由でどんな中空体を選んでも大きく異なる内部圧力をか
けることができる。

中空体は膨らました状態で球形であることが望ましく、
中空体に接するベースの表面は部分球状であることが望
ましい。ベースの表面のこの形状により非常に単純な方
法で中空体を完全に適合させることができる。中空体は
人体の重みにより少し変形し、その結果、ほぼ点接触し
ていた表面が広がる。さらに、中空体は特定の人が充足
しうるような、座るあるいは横になる面の感触を与える
よう十分小さく選ばれる。例えば、中空体の内径が5cm
から10cmの範囲にあるとよい。

中空体は、ベースに対し個々に着脱自在に据えつけられ
ており、これによって、いたんだ中空体を問題なく交換
することができる。このような交換は、膨らませた状態
であっても中空体同志互いに圧力がかかっていないので
容易である。

望ましい支持体は中空体の外包が例えばネオプレンのよ
うな密閉された空所を有する含泡材料からなり空所の体
積は流動性媒体の圧力により可変に構成されているもの
である。空所は大きな断熱効果を有する空気を含む。空
所は中空体内部の圧力に応じてさまざまな程度に圧縮さ
れその形状を変える。その結果、中空体の内部の圧力が
上がれば外包の熱抵抗も小さくなる。座っている人ある
いは横になっている人は、中空体の内部圧力の適当な調
節により快い温度を感じることができる。

含泡材料は中空体の外になる側を他の材料により被覆さ
れ、これによりさらに所望の特性が付加される。この被
覆の材料としては例えば皮膚に快い材料でしかもそれ自
身は弾力のないものがよい。このため膨らませた中空体
の形が内部の圧力に関係なく変わらない。中空体はでき
れば流動性媒体の出し入れを制御するバルブを有するこ
とが望ましい。もっとも実際的にこの支持体が横になる
クッションとして用いられる場合、ベースは水平な連結
軸のまわりに互いに回動可能な少なくとも２つの相互に
連結した部品より構成することができる。これにより、
垂直方向に調整可能な頭および／もしくは足をのせる部
分が得られる。

（実施例） 次にこの発明の実施例を添付の図面を参照して説明す
る。

第１図は相隣り合って配置され、ベース２により支持さ
れている２つの中空体１を示す。中空体１はガスあるい
は液体により内側より圧力をかけられており、その結果
球形となっている。ベース２は中空体１をささえる場所
に部分球状の凹部を有しており、これが中空体１の球形
に適合する。中空体１はそれ故、ベース２の表面にある
部分球状の凹部にしっかりと支持され、横方向の変形に
対してもしっかりと保持される。中空体１の外包は被覆
されたネオプレンよりなることが望ましい。

中空体１は例えば２枚の平らな含泡材料あるいはそのよ
うな材料を環状に接着することにより作ることができ
る。このような接着はもし必要ならば、さらに縫合や締
め金により確実にすることができる。中空体１の外包は
チューブ４の端を取付用差し口３により取付けるための
穴を有している。バルブ（図示されていない）により、
チューブ４を介して中空体１への流体（できれば空気が
望ましい）の出し入れを制御することが可能である。圧
縮空気源はチューブ４のもう一方の端につながれる。こ
の圧縮空気源は、また適切な方法により制御される。こ
の支持体は多数の中空体１を有するので、人がこの支持
体に横になった時に不快に感じることなしに圧力を周期
的に加えることができる。このようにすれば長い期間動
かずに横になっている患者に床ずれが発生することを避
けることができる。中空体１を膨らませることによって
約5cm揚げるためには球の内径が5cmから10cmの範囲内で
あることが必要である。この揚げ代は十分なものと考え
られる。

隣接した列における中空体１の配置は、相隣り合う中空
体１間距離の半分だけ一方向に（例えば第２図では水平
方向に）ずれている。このため与えられた面積内に可能
な限り多くの中空体が配置できる。支持体の端ではベー
ス２が盛り上がった端部５を有し、この端部はずれた中
空体１の列の端に沿って設けられている。

（発明の効果） この発明の、クッションとして作用する可撓性支持体
は、可撓性外包を有する多数の中空体を剛性ベースの上
面に互いに一部で係合して位置ずれすることなく、ほぼ
水平な面内で相互に接して並列させており、各中空体は
個別に付設されたチューブを介して内部に流動性媒体
（弱い圧縮空気）をそれぞれ適度に流入されている。中
空体は例えばネオプレン製の外包を弾力（伸縮性）のな
い被覆材で被われており、それぞれの内圧に関係なく、
膨らんだ時にはほぼ同じ大きさを保っている。従ってこ
の発明によるクッションは、このような多数の中空体の
分担によって横になった患者の各部位を無理なく適切な
受圧力で支えることができ、特に予め知られた特定の患
部に対して無理な押圧を生じないようにし、従って床ず
れを起こすおそれがない。一例として述べたように、膨
らんだ球形の中空体はその内径が5cmから10cmの範囲に
あり、この場合、ベッド型の支持体には200個以上の中
空体が水平な面内に配列されることになり、身体の部
分、部分に十分に細かく対応することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は支持体の一部の第２図中線Ｉ−Ｉに沿う垂直断
面図、第２図は支持体の一部の平面図である。 １……中空体 ２……ベース

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】人が座ったり、横になったりするクッショ
   ンとして作用する可撓性の支持体であって、可撓性の外
   包を有する多数の中空体とこれを支える剛性のベースと
   よりなり、これらの中空体はベースのほぼ一平面上に配
   置され、個々に内側から流動性媒体により圧力をかける
   ことができ、媒体を満たされた状態において互いに直交
   する２方向に同じ寸法を有して前記平面と平行な面内に
   広がり、かつ隣接の中空体は互いに接するよう列をなし
   て配置されており、また前記中空体を支えるベースの表
   面が媒体を満たされた状態の前記中空体の各々の下部と
   凹凸状をなして適合するように形どられ、かつ中空体各
   々の下部中央に媒体用のチューブ差し口が設けられ、各
   中空体がそれぞれの位置に安定して支持され、クッショ
   ンの各部位に適切な受圧力を生ずることを特徴とする可
   撓性の支持体。
2. 【請求項２】前記中空体が媒体を満たされた状態で球形
   であり、前記中空体に接する前記ベースの各表面が球の
   １部分の形状である特許請求の範囲第１項記載の可撓性
   の支持体。
3. 【請求項３】前記中空体が個別に前記ベースに対し着脱
   自在に取付けられている特許請求の範囲第１項もしくは
   第２項のいずれかに記載の可撓性の支持体。
4. 【請求項４】前記中空体の外包は、密閉された空所を有
   する含泡材料よりなり、前記空所の体積が前記流動性媒
   体の圧力により可変に構成されている特許請求の範囲第
   １項もしくは第２項のいずれかに記載の可撓性の支持
   体。
5. 【請求項５】前記含泡材料がネオプレンである特許請求
   の範囲第４項記載の可撓性の支持体。
6. 【請求項６】中空体の外包がその外面を他の材料により
   被覆されている特許請求の範囲第４項もしくは第５項の
   いずれかに記載の可撓性の支持体。
7. 【請求項７】前記外包に対する被覆が弾力のない編組成
   である特許請求の範囲第６項記載の可撓性の支持体。
8. 【請求項８】前記流動性媒体の出入りを制御するための
   バルブを前記中空体の各々がその媒体用チューブに有す
   る特許請求の範囲第１項もしくは第２項のいずれかに記
   載の可撓性の支持体。
9. 【請求項９】前記ベースが水平連結軸まわりに互いに回
   動可能な少なくとも２つの連結された部品よりなる特許
   請求の範囲第１項もしくは第２項のいずれかに記載の可
   撓性の支持体。