JPH07325589A - 能動型騒音除去装置 - Google Patents

能動型騒音除去装置

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JPH07325589A
JPH07325589A JP6327847A JP32784794A JPH07325589A JP H07325589 A JPH07325589 A JP H07325589A JP 6327847 A JP6327847 A JP 6327847A JP 32784794 A JP32784794 A JP 32784794A JP H07325589 A JPH07325589 A JP H07325589A
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JP
Japan
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sound
signal
noise
sensor
microphone
Prior art date
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Application number
JP6327847A
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English (en)
Inventor
Katsuo Yafuji
勝男 弥藤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 環境音が減衰することがなく聴取すべき音を
効率よく提供する。 【構成】 アクティブヘッドフォン20は、各々耳道付
近に位置するセンサマイク34R,34Lを備えた乗員
右耳用のフォン22R及び乗員左耳用のフォン22Lを
備えている。センサマイク34R,34Lの出力信号
は、マイクアンプ24を介して環境音補正フィルタ26
へ入力されると共に、サイレン信号S1が入力されてい
るECU28へ入力される。ミキサー30では、環境音
補正フィルタ26で入力信号のフォン装着時に減衰する
周波数信号のみが通過された補正信号H2、及びECU
28で入力信号に基づき騒音除去のための騒音除去信号
S3を合成し、フォンアンプ32を介して各々のフォン
22R、22Lへ出力する。従って、乗員は騒音が除去
され環境音が補われた音を聴取することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、能動型騒音除去装置に
かかり、特に、ヘッドフォン装置等の放音するための装
置を用いて周囲の騒音等の不要な音を除去する能動型騒
音除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通信信号による音を聴取するためや、遠
隔地の相手からの話を聴取するために、人物の頭部に装
着され、入力される音響信号に応じた音を、ヘッドフォ
ンにより覆われた人物の耳道付近に形成された放音空間
に放音するヘッドフォン装置がある。このヘッドフォン
装置では、この放音空間に周囲の騒音等が同時に侵入す
ることによって、本来聴取すべき音を聞き逃してしまう
虞がある。このため、聴取すべき音を効率よく提供する
ために、周囲の騒音等を除去する能動型騒音除去装置と
しての能動型雑音制御用ヘッドフォン装置がある(実開
平5−36991号公報)。
【0003】この能動型騒音除去装置では、音響信号の
入力によってヘッドフォンから放音された音をマイクロ
フォンで収音し、マイクロフォンから出力される収音し
た音の収音信号から騒音成分を抽出する。この抽出した
騒音成分信号を逆位相でヘッドフォンの入力側に帰還さ
せる負帰還制御によって音響信号と逆位相の騒音成分信
号を合成し、この合成による干渉作用によって、ヘッド
フォン近傍で発生する音の騒音成分を除去している。こ
れにより、ヘッドフォン装置を装着した人物には、入力
された音響信号に応じた音だけが聴取される。
【0004】このような能動型騒音除去装置では、放音
空間に侵入する外部の騒音を低減させると共に、低音域
の音響信号を放音し易くするため、ヘッドフォンによっ
て形成される放音空間の密閉度を高めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように放音空間の密閉度が高められた能動型騒音除去装
置を装着することによって、人物が聴取可能な高い周波
数領域の音は減衰する。このため、高い周波数領域の音
成分を有する環境音として伝達される人物の周囲からの
音が減衰されることになる。このような能動型騒音除去
装置の装着による環境音の減衰によって、違和感を生じ
ることがある。また、能動型騒音除去装置の脱着の前後
において、環境音の減少または増加が顕著になるので、
違和感が増加することがある。
【0006】また、従来の能動型騒音除去装置では、マ
イクロフォンで収音した音の騒音成分の逆位相の音を供
給し騒音成分を除去しているが、特に高い周波数で、ヘ
ッドフォン装置の状態や位置あるいは環境条件(車両の
状態)によって、人が聴取する音とマイクロフォンで収
音する音の関係が変化するため、マイクロフォンの位置
が固定されていると、騒音低減効果が減少することがあ
る。
【0007】また、騒音成分を除去しようとするときに
は、適応フィルタや適応アルゴリズムを用い、騒音源か
らの騒音信号にフィルタ係数を乗じて騒音成分の逆位相
の信号を得ることが一般的であり、マイクロフォンで収
音した音の騒音成分が最小となるようにマイクロフォン
で収音した音に予め定めた所定の係数を乗じた補正値を
用いてフィルタ係数を求めている。ところが、予め定め
た所定の係数を用いて求めたフォルタ係数では、騒音の
種類や環境条件(車両の状態)によって、騒音低減効果
が悪化することがある。
【0008】本発明は、上記事実を考慮して、環境音が
減衰することがなく聴取すべき音を効率よく提供するこ
とができる能動型騒音除去装置を得ることが目的であ
る。
【0009】また、騒音低減効果を減少させることなく
聴取すべき音を効率よく提供することができる能動型騒
音除去装置を得ることが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載の発明の能動型騒音除去装置は、人物
の耳道入口付近に配設され収音すると共に、収音した音
に対応する収音信号を出力する収音手段と、前記収音信
号及び騒音源からの騒音信号に基づいて騒音を除去する
ための騒音除去信号を生成し出力する信号生成手段と、
前記収音信号のうち所定周波数の信号を抽出し抽出信号
として出力する信号抽出手段と、前記騒音除去信号に対
応する音と前記抽出信号に対応する音とが前記耳道入口
付近で合成されるように音を放音する放音手段と、を備
えている。
【0011】請求項2に記載の発明の能動型騒音除去装
置は、周囲の音を収音すると共に、収音した音に対応す
る収音信号を出力する収音手段と、前記収音信号及び騒
音源からの騒音信号に基づいて騒音を除去するための騒
音除去信号を生成する信号生成手段と、人物の耳道入口
付近に伝達されるように前記騒音除去信号に対応する音
を放音する放音手段と、前記収音手段の収音位置を変更
する収音位置変更手段と、を備えている。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の能動型騒音除去装置において、環境条件及び乗車位置
の少なくとも一方を表す前記収音手段の収音状態を検出
する収音状態検出手段と、前記収音状態検出手段の検出
信号に基づいて前記収音位置を変更するように前記収音
位置変更手段を制御する位置制御手段と、を更に備えた
ことを特徴としている。
【0013】請求項4に記載の発明の能動型騒音除去装
置は、周囲の音を収音すると共に、収音した音に対応す
る収音信号を出力する収音手段と、前記収音信号が最小
になるように騒音源からの騒音信号にフィルタ係数を乗
ずることにより人物の耳道入口付近における騒音を除去
するための騒音除去信号を生成するフィルタ手段と、前
記騒音源からの出力信号に基づいて前記フィルタ係数の
基準更新量を算出する基準更新量算出部、前記基準更新
量を前記収音手段の収音信号に応じて補正する補正係数
を算出する補正係数算出部、前回のフィルタ係数、前回
の騒音源からの出力信号、前記基準更新量及び前記補正
係数に基づいて今回のフィルタ係数を算出する係数算出
部を含み、前記フィルタ手段のフィルタ係数を算出され
た今回のフィルタ係数に更新する更新手段とを備え、更
新されたフィルタ係数により生成された騒音除去信号を
出力する信号生成手段と、前記騒音除去信号に対応する
音が前記耳道入口付近へ伝達されるように音を放音する
放音手段と、を備えている。
【0014】
【作用】請求項1に記載の能動型騒音除去装置では、人
物の耳道入口付近に配設された収音手段によって、耳道
入口付近の音を収音する。この収音と共に、収音手段は
収音した音に対応する収音信号を出力する。信号生成手
段は、この収音信号及び騒音源からの騒音信号に基づい
て騒音を除去するための騒音除去信号を生成し出力す
る。信号抽出手段は、この収音信号のうち環境音に対応
する所定周波数(または周波数域)の信号を抽出し抽出
信号として出力する。放音手段は、生成された騒音除去
信号に対応する音と抽出された抽出信号に対応する音が
耳道入口付近で合成されるように音を放音する。従っ
て、放音手段によって放音される音は、人物の耳道入口
付近において騒音が除去されるべき信号と、環境音等に
相当する信号とが重畳された信号に対応することにな
る。このような音の放音によって、騒音は低減すると共
に、環境音等として伝達される人物の周囲からの音が減
衰することはない。
【0015】請求項2に記載の能動型騒音除去装置で
は、収音手段は、周囲の音を収音すると共に、収音した
音に対応する収音信号を出力する。信号生成手段は、収
音信号及び及び騒音源からの騒音信号に基づいて騒音を
除去するための騒音除去信号を生成する。放音手段は、
人物の耳道入口付近に伝達されるように騒音除去信号に
対応する音を放音する。従って、人物の耳道入口付近で
は、放音手段から放音された音と、除去されるべき騒音
とが合成されることになる。これにより、騒音は低減す
る。この収音手段の収音位置は、収音位置変更手段によ
って、変更されるので、能動型騒音除去装置の状態や位
置、環境条件(車両の状態)によって異なる最も騒音低
減効果を生じ得る収音位置へ収音手段を位置させること
ができる。
【0016】また、請求項3に記載したように、環境条
件及び乗車位置の少なくとも一方を表す前記収音手段の
収音状態を検出する収音状態検出手段と、収音状態検出
手段の検出信号に基づいて収音位置を変更するように収
音位置変更手段を制御する位置制御手段とを更に備える
ことによって、自動的に最も騒音低減効果を生じ得る収
音位置へ収音手段を位置させることができる。
【0017】請求項4に記載の能動型騒音除去装置で
は、収音手段は、周囲の音を収音すると共に、収音した
音に対応する収音信号を出力する。信号生成手段のフィ
ルタ手段は、収音信号が最小になるように騒音源からの
騒音信号にフィルタ係数を乗ずることにより人物の耳道
入口付近における騒音を除去するための騒音除去信号を
生成する。このフィルタ係数は、基準更新量算出部、補
正係数算出部、係数算出部を含む信号生成手段の更新手
段により更新される。更新手段の基準更新量算出部は、
騒音源からの出力信号に基づいてフィルタ係数の基準更
新量を算出する。補正係数算出部は、この基準更新量を
収音手段の収音信号に応じて補正する補正係数を算出す
る。係数算出部は、前回のフィルタ係数、前回の騒音源
からの出力信号、基準更新量及び補正係数に基づいて今
回のフィルタ係数を算出する。更新手段は、この算出さ
れた今回のフィルタ係数にフィルタ手段のフィルタ係数
を更新する。従って、更新されたフィルタ係数は、収音
信号に応じて補正された補正係数によるものとなり、一
定の補正値によって生成されたフィルタ係数による騒音
低減効果の減少が生じることがない。信号生成手段は、
更新されたフィルタ係数により生成された騒音除去信号
を出力する。放音手段は、騒音除去信号に対応する音が
前記耳道入口付近へ伝達されるように音を放音する。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。本実施例は、救急車等の緊急車両に搭載
された能動型騒音除去装置に本発明を適用したものであ
る。
【0019】図1に示したように、第1実施例の能動型
騒音除去装置10は、図示しない緊急車両の乗員の頭部
に装着されるアクティブヘッドフォン20を備えてい
る。このアクティブヘッドフォン20は、乗員の右側の
耳用として装着されるフォン22R及び乗員の左側の耳
用として装着されるフォン22Lからなる左右1対のフ
ォンを備えている(詳細は後述、図5参照)。この各フ
ォン22R、22Lには、乗員の左右の耳道付近の位置
に収音手段としてのセンサマイク34R,34Lが配置
されている。
【0020】センサマイク34R,34Lの各々は、マ
イクアンプ24に接続されている。マイクアンプ24
は、センサマイク34R,34Lの各々において収音し
た音に対応する微弱な信号S7を増幅した増幅信号S8
を信号抽出手段としての環境音補正フィルタ26へ出力
すると共に、信号生成手段としてのエレクトリックコン
トロールユニット(以下、ECUという)28へ出力す
る。また、図示しない緊急車両に配設されたサイレン装
置12にはサイレンアンプ14が接続されており、サイ
レン駆動回路16から出力されるサイレン信号S1がサ
イレンアンプ14に入力される。このサイレン信号S1
は、ECU28に入力される。
【0021】環境音補正フィルタ26は、後述するよう
に入力された信号からフォンを装着したときに減衰する
ことが想定される環境音に対応する周波数(または周波
数域)の信号のみを通過させる(詳細は後述、図4参
照)ためのフィルタ回路で構成され、このフィルタ回路
には例えばバンドパスフィルタ回路がある。この環境音
補正フィルタ26の出力信号は、補正信号H2としてミ
キサー30へ出力される。ECU28は、センサマイク
34R,34Lの各々で収音した音に対応する収音信号
及び入力されたサイレン信号からアクティブヘッドフォ
ン20を装着した乗員が煩わしさを感じる騒音を除去す
るための騒音除去信号S3を生成し出力する。ミキサー
30は、補正信号H2及び騒音除去信号S3を合成し、
合成した合成信号S4をフォンアンプ32へ出力する。
【0022】フォンアンプ32は、入力された合成信号
S4に基づいて、各々のフォン22R、22Lをドライ
ブするための駆動信号S5を生成すると共に、この駆動
信号S5を各フォン22R、22Lへ出力する。
【0023】上記のフォン22R、22L、フォンアン
プ32及び合成手段としてのミキサー30により放音手
段を構成している。
【0024】図2に示すように、ECU28は、サイレ
ン音伝達回路44を含み、適応フィルタ40L,40R
からなる適応フィルタ40、適応アルゴリズム42L,
42Rからなる適応アルゴリズム42、及びアクチュエ
ータ・センサ間伝達回路46LL,46LR,46R
L,46RRからなるアクチュエータ・センサ間伝達回
路46から構成されている。これらの適応フィルタ40
L、適応アルゴリズム42L、及びアクチュエータ・セ
ンサ間伝達回路46LL,46LRは、乗員の左耳周辺
の処理を担当する構成とされると共に、適応フィルタ4
0R、適応アルゴリズム42R、及びアクチュエータ・
センサ間伝達回路46RL,46RRは、乗員の右耳周
辺の処理を担当する構成とされている。
【0025】なお、以下の説明を簡単にするため、乗員
の右側の耳用であるフォン22R周辺の構成を主に用い
てアクティブヘッドフォン20の信号授受を説明する。
【0026】サイレン信号S1は、ECU28のサイレ
ン音伝達回路44を介して適応フィルタ40に入力され
る。このサイレン音伝達回路44は、サイレン駆動回路
16から出力されるサイレン信号S1により放音される
サイレンがセンサマイク34Rに到達するまでの時間及
び信号の増減等に等価な伝達特性を有する回路である。
すなわち、サイレン信号S1は、サイレンアンプ14を
介してサイレン装置12に入力され、放音される。この
サイレンは、図示しない緊急車両のキャビン内を伝搬し
て車両内の乗員の耳道付近の位置のセンサマイク34R
に到達する。この図示しない緊急車両のキャビン内の伝
搬は、キャビン伝達回路48で近似可能であり、これら
サイレンアンプ14、サイレン装置12及びキャビン伝
達回路48の構成によるサイレン音の伝達特性を求める
ことができる。これにより、サイレン音伝達回路44と
してサイレン装置12から放音されるサイレンが図示し
ない緊急車両のキャビン内を伝搬してセンサマイク34
R,34Lに到達するまでの伝達特性を求めることがで
きる。このサイレン音伝達回路44から出力される信号
S2は、車両内の乗員の耳道付近におけるサイレン音の
特性に近似されることになる。この信号S2は、アクチ
ュエータ・センサ間伝達回路46RL,46RRを介し
て適応アルゴリズム42Rに入力される構成である。
【0027】ここで、フォン22Rとセンサマイク34
Rとは空間を有するので、フォン22Rで放音された音
がセンサマイク34Rに到達するまでには時間及び信号
の増減等の伝達特性を有することになる。このため、ア
クチュエータ・センサ間伝達回路46RRは、フォン2
2Rとセンサマイク34Rとの空間の伝達特性に等価な
回路になっている。また、フォン22Rで放音された音
は、センサマイク34Lに到達するものもあり、このフ
ォン22Rからセンサマイク34Lに到達する音までの
時間及び信号の増減等の伝達特性を有することになる。
このため、アクチュエータ・センサ間伝達回路46RL
は、フォン22Rとセンサマイク34Lとの空間の伝達
特性に等価な回路になっている。従って、アクチュエー
タ・センサ間伝達回路46RRから出力される信号S2
RRは、フォン22Rとセンサマイク34Rとの空間の伝
達特性が考慮され、フォン22Rで信号S2に応じたサ
イレン音を放音したときにセンサマイク34Rで収音さ
れる音に近似されることになる。また、アクチュエータ
・センサ間伝達回路46RLから出力される信号S2RL
は、フォン22Rとセンサマイク34Lとの空間の伝達
特性が考慮され、フォン22Rで信号S2に応じたサイ
レン音を放音したときに左側のセンサマイク34Lで収
音される音に近似されることになる。
【0028】適応アルゴリズム42Rには、アクチュエ
ータ・センサ間伝達回路46RL,46RRからの信号
S2RR、S2RL及びマイクアンプ24を介して出力され
たセンサマイクの増幅信号S8が入力される。マイクア
ンプ24は、右側用のセンサマイク34Rと左側用のセ
ンサマイク34Lとの各々に対応する右側用のマイクア
ンプ24Rと左側用のマイクアンプ24Lとから構成さ
れる。各々のマイクアンプ24R、24Lには、センサ
マイク34R、34Lからの微弱な信号S7R、S7L
が入力される。これら各マイクアンプ24R、24Lの
増幅信号S8R、S8L が適応アルゴリズム42Rに入
力される。適応アルゴリズム42Rでは、入力された信
号S2RR、S2RL及び各センサマイクに対応する増幅信
号S8R、S8L に基づいて、センサマイク34Rの位
置で、図示しない緊急車両のキャビン内を伝搬してセン
サマイク34Rに到達するサイレンの位相と逆位相とな
る成分を含む騒音除去信号S3R を適応フィルタ40R
から出力するための補正信号H1R を生成し出力する。
また、この補正信号H1R には、フォン22Rからの放
音により左側のセンサマイク34Lの位置で影響を受け
る音と逆位相となる成分も含まれている。適応アルゴリ
ズム42Rは、適応フィルタ40Rに接続されている。
【0029】適応フィルタ40Rでは、入力された信号
S2及び補正信号H1R に基づいて、センサマイク34
Rの位置でサイレンの位相と逆位相となる成分を含む騒
音除去信号S3R を生成しミキサー30へ出力する構成
である。ミキサー30は、右側用のミキサー30R
び左側用のミキサー30L から構成されている。ミキ
サー30R では環境音補正フィルタ26から入力され
る補正信号H2R と騒音除去信号S3R とを合成した合
成信号S4R を出力する。この合成信号S4R はフォン
アンプ32を介してフォン22Rへ入力される。フォン
アンプ32は、右側用のフォンアンプ32R及び左側用
のフォンアンプ32Lから構成されている。フォン22
Rでは駆動信号S5として入力された右側用の駆動信号
S5R に応じた音が放音され、このフォン22Rにおい
て放音される音がセンサマイク34Rにおいて収音され
る。また、フォン22Rにおいて放音される音の一部は
センサマイク34Lでも収音される。
【0030】フォン22L側の構成も同様であるため、
フォン22Lでは駆動信号S5として入力された左側用
の駆動信号S5L に応じた音が放音され、このフォン2
2Lにおいて放音される音がセンサマイク34Lにおい
て収音される。また、フォン22Lにおいて放音される
音の一部はセンサマイク34Rでも収音される。従っ
て、センサマイク34Rで収音される音は、主にフォン
22Rから放音される音、フォン22Lから放音される
一部の音、及びサイレンである。同様に、センサマイク
34Lで収音される音は、主にフォン22Lから放音さ
れる音、フォン22Rから放音される一部の音、及びサ
イレンである。
【0031】従って、センサマイク周辺の空間では、フ
ォンから放音される音及びサイレンが合成されて、騒音
となるサイレンが減衰される。
【0032】なお、上記では、センサマイク34Rで収
音する音としてフォン22Rから放音される音、及びフ
ォン22Lから放音される一部の音を想定すると共に、
センサマイク34Lで収音される音としてフォン22L
から放音される音、及びフォン22Rから放音される一
部の音を想定して、アクチュエータ・センサ間伝達回路
46LL,46LR,46RL,46RRからなるアク
チュエータ・センサ間伝達回路46を構成した。このよ
うに1チャンネルの参照信号としてのサイレン信号、2
チャンネルのセンサマイクからの信号、及び2チャンネ
ルのフォンから構成してサイレン音を低減させる適応ア
ルゴリズム(制御アルゴリズム)を構成すると、演算量
が膨大になり、演算負荷が増大する。
【0033】そこで、1つのアクチュエータ・センサ間
伝達回路46を用い、適応アルゴリズム42R,42L
へ出力するように構成してもよい。この場合、センサマ
イクが受ける影響度が高く特性が近似的なアクチュエー
タ・センサ間伝達回路46LL,46RRの一方の回路
で近似すればよい。また、例えばアクチュエータ・セン
サ間伝達回路46RRを用いた場合には、適応アルゴリ
ズム42R,42Lへの入力信号は、一致し各々信号S
RRのみとなる。これは、フォンとセンサマイクとの組
み合わせの空間における伝達特性の内、アクチュエータ
・センサ間伝達回路46LR,46RLに対応する伝達
特性が微小であり、センサマイクが受ける影響度は最も
近いフォンが多くなり、他のフォンから受ける影響が少
ないためである。このように構成することによって、演
算量を軽減させることができ演算負荷を低減できる。ま
た、ECU28に含まれる図示しない演算のためのメモ
リの使用容量を低減でき、比較的安価なECUで能動型
騒音除去装置を構成することができる。
【0034】図3に示したように、図示しない緊急車両
のキャビン内の乗員がアクティブヘッドフォン20を未
装着の場合には、概ね同程度の音圧レベルで周囲の音を
聴取する(実線参照)。一方、密閉型のヘッドフォンを
装着した場合には、略1000Hz,1600Hz,1
800Hzの音圧レベルが減衰する(1点鎖線参照)。
この図から、特に、環境音として乗員に聴取される高周
波の音の減衰が顕著であることが理解される。
【0035】そこで、本実施例の環境音補正フィルタ2
6では、環境音の減衰が予想される周波数域の音を補正
するため、センサマイクで収音する音について、環境音
に相当する周波数域の音に対応する信号を通過させるフ
ィルタを形成している(図4参照)。このように、環境
音補正フィルタ26を通過した信号に応じて放音するこ
とによって、環境音の減衰部分を増強すべくフォンで音
が放音され、環境音として乗員に聴取される高周波の音
の減衰が補完される。
【0036】なお、上記の環境音補正フィルタ26は、
イコライザ等のハードウエアで構成してもよく、指定さ
れた周波数を指定された利得で通過させる少なくとも1
つのデジタルフィルタを用い、プログラム処理によって
環境音補正フィルタを更新するようなソフトウエアで構
成してもよい。
【0037】図5及び図6に示したように、本実施例の
アクティブヘッドフォン20は、環境音の減衰を抑制す
るため、密閉型ではなく、外部と通気可能な空間部54
を有して構成している。すなわち、アクティブヘッドフ
ォン20の乗員の左側の耳用として装着されるフォン2
2Lは、右側の耳用として装着されるフォン22Rとア
ーム部60によって連結されている。このアーム部60
の端部には、フォン22Lのスピーカー部56が位置し
ている。このスピーカー部56の乗員の耳道付近には、
センサマイク34Lが配設されている。また、スピーカ
ー部56の放音側の外周に沿う4つの領域は所定長さの
突出された支柱部58とされている。この支柱部58の
先端部分には、乗員の頭部に接触するリング状の耳パッ
ド52が取付けられている。従って、このフォン22L
が乗員の耳道付近に装着されると、支柱部58の長さに
よる間隔で耳パッド52とスピーカ部56とが離間され
ることになる。このため、フォン22Lの装着時には外
部と通気可能な空間部54を有することとなる。上記の
空間部54には、スポンジ等の多孔性材質を配設しても
よい。
【0038】このような、フォンを構成することによっ
て、密閉型のフォンより高周波の音圧レベルが改善され
たアクティブヘッドフォン20を得ることができる(図
3点線参照)。
【0039】なお、図示は省略したが、右側のフォン2
2Rも同様の構成である。また、アクティブヘッドフォ
ン20の構成として、実験的に得た最適な形状として、
可能な限り空間部54を大きくする構成が好適であり、
本実施例では図5及び図6に示した4か所に支柱58を
有するアクティブヘッドフォン20を用いている。
【0040】このように、本実施例では、環境音補正フ
ィルタ26を通過した信号に応じて放音することによっ
て、環境音の減衰部分を増強すべくフォンで放音され、
環境音として乗員に聴取される高周波の音の減衰を補完
することができ、アクティブヘッドフォンを装着した場
合であっても、環境音の減衰が抑制されるので、乗員は
アクティブヘッドフォンを装着する前後において、違和
感が生じることがない。
【0041】また、アクティブヘッドフォンからの放音
により、騒音となるサイレンが減衰されるので、乗員は
サイレンによる煩わしさを感じることがなくアクティブ
ヘッドフォンの装着を継続することができる。
【0042】次に、第2実施例を説明する。第2実施例
は、密閉型のフォンを有するアクティブヘッドフォンに
本発明を適用したものである。なお、本実施例は、上記
の実施例と略同様の構成のため、同一部分には同一符号
を付して詳細な説明を省略する。
【0043】図7に示したように、本実施例のアクティ
ブヘッドフォン21は、密閉型のフォン23R,23L
を有している。各フォン23R,23Lは、密閉型であ
るため、センサマイク34L,34Rの各々は、スピー
カー部56(図5参照)に相当する各フォン23R,2
3Lの外部に配設されている。各センサマイク34L,
34Rは、ECU28の適応アルゴリズム42に接続さ
れると共に、上記の環境音補正フィルタ26と同様の構
成の環境音補正フィルタ27R,27Lに接続されてい
る。この環境音補正フィルタ27R,27Lは、フォン
23R,23Lの各々に接続されている。
【0044】また、本実施例では、乗員が煩わしさを感
じる騒音を除去するための外部スピーカー36R,36
Lが図示しない緊急車両に配設されている。従って、本
実施例では、フォン23R,23L、外部スピーカー3
6R,36Lにより放音手段を構成している。
【0045】ECU28では、上記で説明したように、
サイレン信号S1がサイレン音伝達回路44において車
両内の乗員の耳道付近におけるサイレン音の特性に近似
された信号S2として適応フィルタ40に入力される。
また、信号S2は、アクチュエータ・センサ間伝達回路
46においてセンサマイク34Rにおいて収音されるサ
イレン音の特性に近似された信号S2aとして適応アル
ゴリズム42に入力される。この信号S2aは、上記実
施例で説明したように、アクチュエータ・センサ間伝達
回路46LL,46LR,46RL,46RRからアク
チュエータ・センサ間伝達回路46を構成した場合に
は、信号S2LL,S2LR,S2RL,S2RRからなり、ア
クチュエータ・センサ間伝達回路46RRのみを用いて
アクチュエータ・センサ間伝達回路46を構成した場合
には、信号S2RRになる。なお、図示は省略したが、適
応フィルタ40は、適応フィルタ40L,40Rからな
り、適応アルゴリズム42は、適応アルゴリズム42
R,42Lからなる。
【0046】適応アルゴリズム42では、入力される信
号S2a及びセンサマイクの出力信号に基づいて、サイ
レンの位相と逆位相となる騒音除去信号S3を適応フィ
ルタ40から出力するための補正信号H1を出力する。
この補正信号H1は、上記実施例の補正信号H1R ,H
L に相当する。適応フィルタ40は、センサマイク3
4R,34Lの位置でサイレンの位相と逆位相となる騒
音除去信号S3を外部スピーカー36R,36Lへ出力
する。
【0047】従って、本実施例のセンサマイク34R,
34Lでは、図示しない緊急車両のキャビン内を伝搬し
てセンサマイクに到達するサイレン及び外部スピーカー
36R,36Lから放音されるサイレンの位相と逆位相
となる騒音除去信号S3に対応する音が収音されること
になる。従って、センサマイク34R,34Lから出力
される収音信号は、環境音として収音された信号のうち
干渉によってサイレンのみが減衰された信号になる。
【0048】このため、環境音補正フィルタ27R,2
7Lから入力される補正信号H2は、サイレンが減衰さ
れると共に、環境音補正フィルタ27R,27Lを通過
した信号に応じた音がフォン23R,23Lにおいて放
音される。これにより、騒音となるサイレンが減衰さ
れ、密閉型のフォンで減衰される環境音の減衰成分が増
強されて放音されるので、乗員は密閉型のフォンである
アクティブヘッドフォンを装着する前後において、違和
感が生じることがない。
【0049】次に、第3実施例を説明する。なお、本実
施例は、上記の実施例と略同様の構成のため、同一部分
には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】図8に示したように、本実施例のアクティ
ブヘッドフォン20には、乗員の左右の耳道付近に配設
されたセンサマイク34R,34L以外に、フォンの外
部に外部マイク35R,35Lを配設している。従っ
て、本実施例では、センサマイク34R,34L及び外
部マイク35R,35Lによって収音手段を構成してい
る。
【0051】センサマイク34R,34Lで収音した音
は、マイクアンプ24を介してECU28へ出力され
る。このECU28では図示しないサイレン駆動回路1
6から出力されるサイレン信号S1を用いて、センサマ
イク34R,34Lの各々で収音した音に対応する収音
信号及び入力されたサイレン信号からアクティブヘッド
フォン20を装着した乗員が煩わしさを感じる騒音を除
去するための騒音除去信号S3を生成しミキサー30へ
出力する。
【0052】一方、外部マイク35R,35Lで収音し
た音は、環境音補正フィルタ26に入力される。この環
境音補正フィルタ25では、入力された信号からフォン
を装着したときに減衰することが想定される環境音に対
応する周波数(または周波数域)の信号のみを通過さ
せ、補正信号H2としてミキサー30へ出力される。
【0053】従って、ミキサー30において合成され
た、補正信号H2及び騒音除去信号S3の合成信号に応
じて各フォン22R、22Lが放音することによって、
騒音となるサイレンが減衰され、環境音の減衰成分が補
われた音が放音されるので、乗員は違和感が生じること
なく、アクティブヘッドフォンを装着することができ
る。
【0054】このように、本実施例では、乗員が聴取す
る音を収音するためのセンサマイク34R,34Lと、
乗員の周囲から伝搬される音(主に環境音)を収音する
ための外部マイク35R,35Lとを独立の構成として
いるため、抑制すべき音(サイレン)と補完するべき音
(環境音)とを分離して扱うことができる。すなわち、
アクティブヘッドフォンを未装着の状態における環境音
を収音するために外部マイク35R,35Lがフォンの
外部に配設されると共に、乗員が聴取する音を収音する
ためにセンサマイク34R,34Lが乗員の耳道付近に
配設されている。このため、同一のセンサマイクによっ
て、サイレンと環境音とを収音する場合よりも、より環
境音は実際的な音として収音することができ、乗員のア
クティブヘッドフォンの装着前後で違和感が軽減され
る。
【0055】次に、第4実施例を説明する。なお、本実
施例は、上記の実施例と略同様の構成のため、同一部分
には同一符号を付して詳細な説明を省略する。本実施例
の環境音補正フィルタ26は、通過させる信号の周波数
(域)を可変可能な回路構成にされている。
【0056】図9に示したように、本実施例の環境音補
正フィルタ26には、フィルタ駆動回路70が接続され
ている。このフィルタ駆動回路70には、室温センサ7
2、乗員数センサ74、及び湿度センサ76が接続され
ている。これら室温センサ72、乗員数センサ74、及
び湿度センサ76によって、現時点における図示しない
緊急車両内の以下の環境が計測される。室温は室温セン
サ72により検出され、乗員数は乗員数センサ74によ
り検出され、湿度は湿度センサ76により検出される。
【0057】ここで、室温、乗員数及び湿度に対応して
音の伝搬特性が変化すると共に、伝搬過程における音の
所定周波数成分が増減する。このため、本実施例では、
現在の環境を計測し、環境音補正フィルタ26におけ
る、通過させる信号の周波数(域)を、現在の環境に対
応するように可変させている。
【0058】従って、環境音補正フィルタ26において
通過された信号は、現在の環境に対応して最適な周波数
(域)の信号を環境音として供給することができる。
【0059】このように、本実施例では、現在の環境に
対応するように環境音補正フィルタ26を可変させてい
るため、周囲の物理的な環境が変動した場合であって
も、最適なフィルタを構成することができ、天候や乗員
数にかかわらず、乗員は違和感が生じることなく、アク
ティブヘッドフォンを装着することができる。
【0060】なお、上記の環境音補正フィルタ26は、
予め定めた複数のフィルタから構成され、検出した現在
の環境に対応するフィルタを選択するようにしてもよ
い。
【0061】次に、第5実施例を説明する。なお、本実
施例は、上記の実施例と略同様の構成のため、同一部分
には同一符号を付して詳細な説明を省略する。本実施例
の環境音補正フィルタ26は、通過させる信号の周波数
(域)を可変可能な回路構成にされている。
【0062】図10に示したように、本実施例の環境音
補正フィルタ26には、フィルタ駆動回路71が接続さ
れている。フィルタ駆動回路71には、センサマイク3
4R,34Lの出力信号がマイクアンプ24を介して入
力されると共に、外部マイク35R,35Lの出力信号
が入力される。このフィルタ駆動回路71は、センサマ
イク34R,34Lの出力信号と、フォンの外部に配設
された外部マイク35R,35Lの出力信号との応答が
一致するように環境音補正フィルタ26を同定させるた
めのものである。このセンサマイクの信号と、外部マイ
クの信号の応答が一致するように環境音補正フィルタ2
6を同定させる同定処理は、以下のようにしてなされ
る。
【0063】なお、この同定処理は、サイレンが放音さ
れていないときに処理される。また、サイレン装置の作
動によるサイレンの放音または収束後(所定時間を経過
した後)に、動作を停止する。また、以下の説明を簡単
にするため、アクティブヘッドフォンの一方の外部マイ
ク及びセンサマイクを用いて説明する。
【0064】図11に示したように、フィルタ駆動回路
71は、適応回路80及び重畳回路82から構成され、
適応回路80には重畳回路82の出力信号が入力され
る。重畳回路82には、外部マイク35Lから出力され
る信号とセンサマイク34Lから出力される信号の逆位
相の信号が入力される。この重畳回路82では、入力さ
れた信号を加算した信号S10を出力する。従って、外
部マイク35Lから出力される信号とセンサマイク34
Lから出力される信号の応答が一致したときに、信号S
10が略零となる。
【0065】適応回路80は、入力された信号S10に
基づいて、センサマイク34Lから出力される信号の応
答が外部マイク35Lから出力される信号と一致する音
がフォン22Lから放音されるように、環境音補正フィ
ルタ26を変動させる。
【0066】外部マイク35R,35Lとセンサマイク
34R,34Lから出力される信号の応答が一致するよ
うに環境音補正フィルタ71を適応的に変化させる。こ
の環境音補正フィルタ71を変化させたときに、外部マ
イク35Lから出力される信号とセンサマイク34Lか
ら出力される信号の応答が一致しない場合には、重畳回
路82からは、不一致成分に対応する信号S10が出力
される。この処理を繰り返し実行することにより、環境
音補正フィルタ26を同定する。
【0067】このように、本実施例では、外部マイク3
5Lから出力される信号とセンサマイク34Lから出力
される信号の応答が一致するように環境音補正フィルタ
26を同定することができるので、スピーカーやマイク
の機差や劣化等によって特性が変化した場合であって
も、環境音補正フィルタ26を最適に適応することがで
きる。
【0068】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明の実施例には特許請求の範囲に記載した技術
的事項以外に、次のような各種の技術事項の実施態様を
有するものである。請求項1に記載した信号抽出手段
は、抽出する信号を変更する信号抽出手段(前記のフィ
ルタ駆動回路70,71に相当)を備えたことを特徴と
する。なお、信号抽出変更手段は、車室内環境状態、ま
たは収音手段及び放音手段の出力信号の応答状態に応じ
て変更するものである。
【0069】また、前記放音手段は、前記騒音除去信号
と前記抽出信号を合成する合成手段を有し、該合成手段
が出力する合成信号に対応する音を放音するようにして
もよい。これにより、放音手段の合成手段から出力され
る合成信号は、人物の耳道入口付近における騒音が除去
されるべき信号を含んでいると共に、環境音等に対応す
る信号が重畳されることになる。このため、合成信号に
対応する音の放音によって、騒音は低減すると共に、環
境音等として伝達される人物の周囲からの音が減衰する
ことはない。
【0070】次に、第6実施例を説明する。上記第1実
施例では、乗員の左右の耳道付近の位置にセンサマイク
34R,34Lを配置した(図1及び図5参照)。第6
実施例は、センサマイクの位置を移動可能にすることに
より騒音低減効果が減少することを抑制するものであ
る。なお、本実施例は、上記の実施例と略同様の構成の
ため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略
する。
【0071】図12及び図13に示すように、本実施例
のアクティブヘッドフォン20は、環境音の減衰を抑制
するために外部と通気可能な空間部54を有すると共
に、センサマイクの位置を移動可能な構造とされてい
る。すなわち、乗員の左側の耳用として装着されるフォ
ン22Lは、耳パッド52、センサマイク34L(収音
手段)、センサマイク34Lの位置を設定するためのマ
イク取付プレート55(収音位置変更手段)、及びスピ
ーカ部56(放音手段)から構成されている。また、セ
ンサマイクはマイクアンプ24を介してECU28(信
号生成手段)に接続されている(図1)。フォン22L
のスピーカー部56は、ケース56A及びスピーカ56
Bから構成されており、ケース56Aの内部にスピーカ
56Bを収納するようになっている。スピーカ部56に
はマイク取付プレート55が取付けられている。
【0072】本実施例では、マイク取付プレート55は
略同一の円盤形状の3つのプレートT0,T1,T2か
ら構成されている。プレートT0は、内部に収納された
スピーカ56Bを覆うようにケース56Aへ固定され
る。このプレートT0の外周付近には、センサマイク3
4Lの出力信号を授受するための電極Dn1が設けられ
ている(図14(1)参照)。プレートT1はプレート
T0と隣合うと共に、プレートT0の中心と略一致する
位置にプレートT1の中心点Aが位置するように取り付
けられている。このプレートT1は中心点Aを中心とし
て回転可能になっている。プレートT1には、中心点A
の近傍から半径方向に向かってセンサマイク34Lの出
力信号を授受するための電極Dn2が設けられている
(図14(2)参照)。なお、図示は省略したが、プレ
ートT1には、この電極Dn2に沿って移動可能なよう
にセンサマイク34Lがフローティング保持されてい
る。プレートT2は、プレートT1と隣合うと共に、プ
レートT1の中心点Aと略一致する位置にプレートT2
の中心点Bが位置するように取り付けられている。この
プレートT2は中心点Bを中心として回転可能になって
いる。また、プレートT2は、センサマイク34Lの直
径に相当する幅の溝Mが中心点Bの位置から外周付近ま
で螺旋状に形成されている。(図14(3)参照)。
【0073】従って、プレートT1,T2を相対的に回
転させることによってセンサマイク34Lの位置は、溝
Mに沿って移動することとなり、センサマイク34Lの
プレート上の半径方向の位置を変更することができる。
また、プレートT1,T2を同時に回転することによっ
て、センサマイク34Lはその回転時点の位置を半径と
する円周上を移動することとなり、センサマイク34L
のプレート上の回転方向の位置を変更することができ
る。これによってセンサマイク34Lをプレート上の任
意の位置に移動することができる。
【0074】耳パッド52は、乗員の頭部に接触するリ
ング状のパッド部52A、支柱部52B及びプレート5
2Cから構成され、プレート52CがプレートT2に取
り付けられている。プレート52Cとパッド部52Aと
は、支柱部52Bにより固定されている。従って、この
フォン22Lが乗員の耳を覆うように装着されると、支
柱部52Bの長さだけの間隔でパッド部52Aとプレー
ト52Cとが離間されることになるため、フォン22L
の装着時には外部と通気可能な空間部54を有すること
となる。
【0075】なお、フォン22Rはフォン22Lと同様
の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0076】以上説明したように、本実施例では、セン
サマイク34Lをプレート上の任意の位置に移動するこ
とができるので、プレートT1,T2を回転させること
によって騒音低減効果が最も大きくなるようにセンサマ
イクの位置を調整させることができ、乗員の個人差、乗
車位置による変化、温湿度や気圧に関連する環境条件に
よって生じることが予想される騒音低減効果のばらつき
を抑制することができる。
【0077】上記実施例では、螺旋状の溝に沿うように
センサマイクを移動させて、騒音低減効果が最も大きく
なる位置を調整したが、本発明によるセンサマイクの位
置調整は螺旋状の溝に限定されるものではなく、センサ
マイクの位置と乗員の耳道付近の位置との距離及び方向
が相対的に調整できるものであればよい。次に、そのセ
ンサマイクの位置と乗員の耳道付近の位置との距離及び
方向が相対的に調整できる一例を説明する。なお、以下
に説明するフォンのマイク取付プレート55は上記と略
同様の構成のため、異なる部分のみを説明する。
【0078】図15(2)に示すように、プレートT1
に、中心点Aの近傍から半径方向に向かって外周付近ま
でを直径とする電極Dn2を設ける。プレートT2は、
プレートT1の半径の半分の長さを直径とする円盤形状
でかつプレートT2の外周がプレートT1の外周に接す
ると共に中心点Aを含む位置に取付けられる(図15
(3)参照)。このプレートT2は中心点Cを中心とし
て回転可能になっている。また、センサマイク34L
は、プレートT2の外周付近に取付けられる。従って、
プレートT2を回転することによって移動するセンサマ
イク34Lの移動軌跡が電極Dn2に一致する。従っ
て、プレートT1,T2を回転させることによってセン
サマイク34Lをプレート上の任意の位置に移動するこ
とができる。
【0079】図16(3)に示すように、プレートT2
は長方形状とされ、その先端部にセンサマイク34Lが
取付けられる。センサマイク34LをプレートT1の中
心点A付近に位置させたときプレートT2の長手方向の
中心軸とプレートT0の電極Dn1に相当する円との交
点をプレートT2の中心点Dとして設定する。プレート
T2はプレートT1に対し中心点Dのみが取り付けられ
る。これにより、センサマイク34Lは、中心点Dを中
心として所定方向(図16では左右方向)に移動する。
プレートT1にはこの移動軌跡に相当する位置に電極D
n2を設ける(図16(2)参照)。なお、図16のよ
うに構成することにより、センサマイクの移動は乗員に
対して前後方向へ移動することになる。本発明者は、乗
員に対して前後方向へのセンサマイクの移動が騒音低減
効果を引き出す上での調整に効果的であるという知見を
得ている。このため、図のようにセンサマイクの移動方
向を設定することが効果的である。
【0080】図17には、図15の変形例を示した。す
なわち、センサマイク34Lが取付けられたプレートT
2を直接回転せずに、中心点C’を中心にして回転する
伝達プレートT2’を設ける(図17(3)参照)。プ
レートT2と伝達プレートT2’とは外周が接してお
り、伝達プレートT2’を回転することによりプレート
T2が回転する。この伝達プレートT2’を設けること
により、センサマイク34Lが取付けられたプレートT
2を直接回転させることがないので、位置調整時の接触
音等の雑音を抑制することができる。
【0081】図18には、伝達プレートによるセンサマ
イク34Lの調整の変形例を示した。図18(3)に示
すように、プレートT2は長方形状とされ、その中腹部
にセンサマイク34Lが取付けられる。プレートT2の
外周には、中心点C’を中心にして回転する伝達プレー
トT2’が接している(図18(3)参照)。このた
め、伝達プレートT2’を回転することによりプレート
T2が所定方向(図18では左右方向)に移動する。プ
レートT1にはこの移動軌跡に相当する位置に電極Dn
2を設ける(図18(2)参照)。なお、図16と同様
に、乗員に対して前後方向へのセンサマイクの移動が騒
音低減効果を引き出す上での調整に効果的であるので、
図18のようにセンサマイクの移動方向を設定すること
は効果的である。
【0082】図19に示すように、センサマイク34L
をテーブルT0にフローティング保持すると共に、2つ
の長方形状の部材T3A,T3Bの平行移動や回転によ
りセンサマイク34Lの位置を調整する。この場合、部
材T3A,T3Bを直接調整してもよく、上記で説明し
たように、間接的に調整してもよい。
【0083】なお、上記実施例では、プレートによるセ
ンサマイクの平面的な移動の調整を可能にしたが、この
ような平面的な移動である2次元方向の調整に限定され
るものではなく、3次元方向の調整をしてもよい。例え
ば、センサマイクを乗員の頭部に接近する方向または離
間する方向を含む3次元方向に調整するようにしてもよ
い。
【0084】次に、第7実施例を説明する。本実施例は
乗員条件、環境条件及び車両条件に応じて騒音低減効果
が最も大きくなるようにセンサマイクの位置を自動的に
調整するものである。なお、本実施例は、上記の実施例
と略同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して
詳細な説明を省略する。
【0085】図20に示すように、本実施例のアクティ
ブヘッドフォン20におけるフォン22Lは、上記実施
例と同様にプレートT0,T1,T2から構成されるマ
イク取付けプレート55を備えている。プレートT2の
外周には、アクチュエータ62の回転子62Aの外周が
接している。このアクチュエータ62に駆動信号が入力
されると回転子62Aが回転し、プレートT2が回転す
る。また、プレートT1の外周には、アクチュエータ6
4の回転子64Aの外周が接している。上記と同様にア
クチュエータ64に駆動信号が入力されると回転子64
Aが回転し、プレートT1が回転する。アクチュエータ
62、64は、マイクロコンピュータで構成された位置
制御手段としてのマイク位置制御装置66に接続されて
いる。本実施例では、マイク取付けプレート55、アク
チュエータ62、64により収音位置変更手段を構成し
ている。マイク位置制御装置66は、マップ68(詳細
後述)を備えている。マイク位置制御装置66には、乗
員条件検出器84、環境条件検出器86、及び車両条件
検出器88が接続されている。この乗員条件検出器8
4、環境条件検出器86、及び車両条件検出器88によ
り収音状態検出手段を構成している。
【0086】乗員条件検出器84は、当該アクティブヘ
ッドフォン20を装着した乗員に関する条件を検出する
ものである。乗員に関する条件には、図示しない車両に
おける乗車位置や乗員の座高の大きさがある。乗車位置
や乗員の座高の大きさは、予め設定したり、キーボード
等の入力を読み取ることによって検出することができ
る。環境条件検出器86は、気温、湿度及び気圧等の環
境条件を検出するものである。この気温及び湿度は、上
記で説明した室温センサ72及び湿度センサ76で検出
することができる。車両条件検出器88は、図示しない
車両に関する条件を検出するものである。この車両に関
する条件には、車速及びサイレン音の種類がある。車速
は車速センサで検出することができ、サイレン音の種類
は、上記で説明したサイレン信号S1を用いて検出する
ことができる。なお、救急車のサイレン音の種類は、一
般的に約760及び960Hzの音が切り替わる所謂ピ
ーポー音と補助サイレン音として放音される約700〜
900Hzのスイープ音の所謂ウー音があり、また、そ
れぞれの音量の強弱も選択でき、合計4種類のサイレン
音を有しており、マイク位置制御装置66では、放音さ
れている音の種類が逐次入力される。
【0087】上記マップ68には、乗員条件、環境条
件、及び車両条件に対するセンサマイク34Lの座標の
関係が記憶されている。本実施例ではセンサマイク34
Lの座標値を、図21に示すように、プレートT0の中
心を座標系の原点Oとして、鉛直方向に平行なY軸(乗
員上方向を正符号)、水平方向に平行なX軸(乗員前方
向を正符号)を座標軸とした2次元座標系によって定め
ている。
【0088】また、予め定めた関数u,f,gによっ
て、実際に生じ得る条件について、乗員条件の乗員条件
値vs 、環境条件の環境条件値am 、及び車両条件の車
両条件値bn の各々を複数予め求める。
【0089】vs =u(乗員乗車位置、座高) am =f(気温,湿度,気圧) bn =g(車速,サイレン音種類)
【0090】このように求めた乗員条件値vs 、環境条
件値am 及び車両条件値bn の各々の組み合わせに対し
て、騒音低減効果が最も大きくなるようにセンサマイク
の位置(座標)を実験的に求めておく。この求めた乗員
条件値vs 、環境条件値am及び車両条件値bn の各々
の組み合わせに対するセンサマイクの位置(座標)をマ
ップとしてマップ68に記憶する。
【0091】以下の表1に例として、乗員条件値vs
おける、環境条件値am 及び車両条件値bn の対応関係
を示した。
【0092】
【表1】
【0093】なお、フォン22Rはフォン22Lと同様
の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0094】次に、本実施例の作用を、マイク位置制御
装置66において実行される図22のセンサマイク位置
調整ルーチンを参照して説明する。先ず図22のステッ
プ100で現在の乗員条件、環境条件、及び車両条件を
読み取り、乗員条件値vs 、環境条件値am 及び車両条
件値bn を求める。次のステップ102でマップ68に
記憶されたマップを読み取り、次のステップ104にお
いて求めた乗員条件値vs 、環境条件値am 及び車両条
件値bn に対応するセンサマイクの座標値をマップを参
照し決定する。次のステップ106ではステップ104
で決定された座標値にセンサマイクを移動するのに必要
なアクチュエータ62、64の制御量を演算し、ステッ
プ108で演算された制御量に対応する駆動信号を出力
することによってセンサマイクを移動する。
【0095】このように、本実施例では、乗員条件、環
境条件、及び車両条件に応じて騒音低減効果が最も大き
くなるようにセンサマイクの位置を自動的に調整してい
るので、乗員条件、環境条件、及び車両条件によりばら
つく騒音低減効果を抑制して、最適な状態でアクティブ
ヘッドフォンを作動することができる。
【0096】なお、左右のフォンのセンサマイク34
L,34Rの各々については、同一の制御量となるよう
にマップを設定してもよく、センサマイク34L,34
Rの各々で異なる制御量となるようにマップを設定して
もよい。
【0097】図23及び図24には、ダミーヘッドに装
着した左右のフォンの各々についてセンサマイク位置の
変更による騒音低減効果の実験結果を示した。図中、実
線はアクティブヘッドフォンの未作動状態を示し、点線
はアクティブヘッドフォンの作動状態を示している。図
23は、乗員の右側に装着したフォン22Rに関する実
験結果を示すものであり、(1)はフォン22Rの略中
心位置にセンサマイク34Rを設定したときを示し、
(2)はフォン22Rの略中心位置から乗員の前方に向
かい所定量ずらした位置にセンサマイク34Rを設定し
たときを示している。図23から理解されるように、ア
クティブヘッドフォンの作動状態においては、約700
〜1000Hzにおいてセンサマイク34Rを前方にず
らした位置の方が平均的なレベルとなりホワイトノイズ
に近くなる好ましい状態に近くなる。一方、図24は、
乗員の左側に装着したフォン22Lに関する実験結果を
示すものであり、上記と同様に(1)は略中心位置のセ
ンサマイク34L設定を示し、(2)は乗員の前方に所
定量ずらした位置のセンサマイク34L設定を示してい
る。図24から理解されるように、アクティブヘッドフ
ォンの作動状態においては、約700〜1000Hzに
おいてセンサマイク34Lを前方にずらした位置の方が
ノイズレベルが増加しており、好ましくない状態にな
る。このように、左右のフォンについて異なる状態の結
果を得た。このため、センサマイク34L,34Rの各
々に対応する制御量を設定することが望ましい。
【0098】次に、第8実施例を説明する。本実施例
は、適応フィルタの更新時に最適な補正係数を設定する
ものである。なお、本実施例は、上記の実施例と略同様
の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説
明を省略する。また、説明を簡単にするため、以下は左
側のフォン22Lを用いて説明する。
【0099】本実施例の能動型騒音除去装置10は、サ
イレン駆動回路16よりサイレン信号S1を事前情報と
して取り出し、サイレン音伝達回路44で補正処理を行
って、乗員の耳元位置でのサイレン音特性に近似した音
の信号S2を生成し、この信号S2をECU28(信号
生成手段)に含まれる適応フィルタ40L(フィルタ手
段)にて処理し、センサマイク34Lの付近に伝達され
た音に対応する信号が逆位相となるような信号S3を求
め、求めた信号S3に応じて放音手段としてのフォンが
放音する(図1及び図2参照)。乗員の耳元位置では、
この放音された音とサイレン音とが合成されて騒音低減
が図られるが、騒音低減しきれない残留音が生じる。こ
の残留音が収音手段としてのセンサマイク34Lで収音
され、更新手段としての適応アルゴリズム42Lは、残
留音に応じて適応フィルタ40Lのフィルタ係数を求
め、残留音が最小となるように適応フィルタ40Lのフ
ィルタ係数を更新する。適応フィルタ40Lから出力さ
れる信号S3は、以下の式(1)で表せる。すなわち、
サイレン信号S1にフィルタ係数Wを乗算することによ
りセンサマイク34L位置で逆位相となるような信号S
3が得られる。
【0100】
【数1】
【0101】但し、ωi :フィルタ係数(適応フィルタ
のi番目の係数) n :離散化時間 x :参照信号(サイレン信号)
【0102】この適応フィルタ40Lの更新アルゴリズ
ム、すなわち適応アルゴリズム42Lは、以下の式
(2)を基に処理される。すなわち、前回のフィルタ係
数(W(n))から、補正係数としてのステップサイズ
パラメータ(μ)、基準更新量(R(n))、及びエラ
ー信号(収音信号、e(n))の積の差を今回のフィル
タ係数(W(n+1))として求める。この今回のフィ
ルタ係数(W(n+1))は補正信号H1L に相当す
る。また、後述するステップサイズパラメータμを求め
る処理部が補正係数算出部に相当し、基準更新量R
(n)を求める処理部が基準更新量算出部に相当し、少
なくともこれらを用いてフィルタ係数Wを求める処理部
が係数算出部に相当する。
【0103】
【数2】
【0104】 但し、e(n) :エラー信号(収音信号) Ch :フォンからセンサマイクに至るアクチュエ
ータセンサ間伝達回路のインパルス応答のh番目の係数 L :Ch のタップ数 n :離散化時間 x :参照信号(サイレン信号)
【0105】なお、上記の記号では、W(n)及びR
(n)が行列式を示しており、ωI 及びr(n)が値を
示している。
【0106】ところで、緊急車両のサイレン音を本能動
型騒音除去装置10で制御した場合、センサマイク34
Lに入力されるサイレン音の波形は、制御前後では図2
5に示すように、ピー音及びポー音は良好に低減される
が、その切り替わり時に乱れた波形を生じている。この
切り替わり時の乱れた波形のレベルは、官能上の効果に
大きな影響を有するため、最小にすることが好ましい。
本発明者は、このような切り替わり時の乱れた波形のレ
ベルは、ステップサイズパラメータ(μ)を単に大きく
することまたは単に小さくすることでは、悪化する傾向
が増大するという知見を得た。従って、従来のように、
一定のステップサイズパラメータ(μ)による適応アル
ゴリズム42Lでは、個人差、乗車位置、環境条件(気
温、湿度、気圧、風向)、フォン特性のばらつきで、サ
イレン音低減効果(特に、官能上の効果)に差が生ず
る。
【0107】そこで、以下に説明するように、残留音が
最小となるように、センサマイク34Lの出力信号S7
のピーポー音の1周期(約1.3秒間)のピークレベル
値の予め定めたk周期の平均値または総和(d0)、セ
ンサマイク34Lの出力信号S7のピーポー音の1周期
(約1.3秒間)の2乗積分値のk周期の平均値または
総和(d1)を最小にするようにステップサイズパラメ
ータ(μ)を自動設定することによって、サイレン音低
減効果を向上させることができる。
【0108】次に、本実施例の作用を図26の適応アル
ゴリズムにおけるステップサイズパラメータ(μ)の自
動設定ルーチンを参照して説明する。
【0109】先ず、図示しないサイレンスイッチがオン
されると、図26のステップ200において、実験的に
求めた実験値μ0を初期値としてステップサイズパラメ
ータμに設定する。次のステップ202では、センサマ
イクからの信号及びサイレン信号を用い、上記の式
(2)に従ってフィルタ係数W(n)を求め、ピーポー
音の1周期(約1.3秒間)についてk回の計算が終了
するまで繰り返す(ステップ204)。このステップ2
02では、計算結果のフィルタ係数W(n)を補正信号
H1L として出力する。また、ピーポー音の1周期(約
1.3秒間)毎に収音信号のピークレベル値を記憶す
る。これによりk個のピークレベル値が記憶される。こ
の記憶されたk個のピークレベル値を用いて次のステッ
プ206では、k個のピークレベル値の平均値d0を求
める。
【0110】このフィルタ係数W(n)を求める処理
は、図27に示すフィルタ係数演算ルーチンにより実行
される。ステップ260において設定されているステッ
プサイズパラメータμ、前回演算したフィルタ係数W
(n)、及びエラー信号として収音信号e(n)を読み
取り、次のステップ262において基準更新量R(n)
を演算する。次のステップ264では、上記の式(2)
の右辺第2項のμ・R(n)・e(n)を演算し、次の
ステップ266において今回のフィルタ係数Wを求め
る。
【0111】次のステップ208では、ステップサイズ
パラメータμを所定量△増加した後に、次のステップ2
10で、上記式(2)に従いフィルタ係数W(n)を求
め、k回の計算が終了するまで繰り返す(ステップ21
2)。このステップ210でも、計算結果のフィルタ係
数W(n)を補正信号H1L として出力する。また、ス
テップ210ではピーポー音の1周期(約1.3秒間)
毎に収音信号のピークレベル値の2乗積分値を演算する
と共に記憶する。これによりk個のピークレベル値の2
乗積分値が記憶される。この記憶されたk個のピークレ
ベル値の2乗積分値を用いて次のステップ214では、
k個のピークレベル値の2乗積分値の平均値d1を求め
る。
【0112】次のステップ216では、d1−d0<0
か否かを判断し、肯定判断の場合にはステップ218に
おいてステップサイズパラメータμを更に所定量△増加
すると共に平均値d0に平均値d1を設定した後に、フ
ィルタ係数W(n)を求め(ステップ220、22
2)、k回演算を繰り返し、ステップ214へ戻る。こ
のステップ220でも、各計算結果のフィルタ係数W
(n)を補正信号H1L として出力すると共に、1周期
毎に収音信号のピークレベル値の2乗積分値を演算し記
憶する。このようにしてd1−d0が0より大きくなる
まで上記処理を繰り返し実行する。
【0113】ステップ216で否定判断され、d1−d
0が0より大きくなった場合にはステップ224におい
てステップサイズパラメータμを2△だけ減少させると
共に平均値d0に平均値d1を設定した後に、フィルタ
係数W(n)を求め(ステップ226、228)、k回
演算を繰り返す。このステップ226では各計算結果の
フィルタ係数W(n)を補正信号H1L として出力する
と共に、1周期毎に収音信号のピークレベル値の2乗積
分値を演算し記憶する。ステップ226で記憶されたk
個のピークレベル値の2乗積分値を用いて次のステップ
230でk個のピークレベル値の2乗積分値の平均値d
1を求め、次のステップ232においてd1−d0<0
か否かを判断する。肯定判断の場合には、ステップ23
4においてステップサイズパラメータμを更に所定量△
減少すると共に平均値d0に求めた平均値d1を設定し
た後に、フィルタ係数W(n)を求め(ステップ23
6、238)、k回演算を繰り返し、ステップ230へ
戻る。このステップ236でも、各計算結果のフィルタ
係数W(n)を補正信号H1L として出力すると共に、
1周期毎に収音信号のピークレベル値の2乗積分値を演
算し記憶する。このようにしてd1−d0が0より大き
くなるまで上記処理を繰り返し実行する。
【0114】ステップ232で否定判断され、d1−d
0が0より大きくなった場合にはステップ240におい
てステップサイズパラメータμを△だけ増加させると共
に平均値d0に求めた平均値d1を設定した後に、次の
ステップ242で所定量△を1/2に設定する。次のス
テップ244では△<αを判断することにより所定量△
が予め定めたしきい値α未満になったか否かを判断し、
否定判断の場合には、ステップ206へ戻り、所定量△
がしきい値α未満になるまで繰り返し実行する。
【0115】一方、ステップ244で肯定判断の場合に
は、次にステップ246においてステップ240におい
て求めたステップサイズパラメータμを初期値μ0に設
定した後に、フィルタ係数W(n)を求め(ステップ2
48、250)、k回演算を繰り返し、本ルーチンを終
了する。このステップ248では各計算結果のフィルタ
係数W(n)を補正信号H1L として出力する。
【0116】このようにしてステップサイズパラメータ
μが最適値に設定される。この最適に設定されたステッ
プサイズパラメータμによる制御後の収音信号は、ピー
音及びポー音が良好に低減されると共に、その切り替わ
り時に乱れた波形を生じることが抑制され、官能上の騒
音低減効果の向上を図ることができる。
【0117】なお、本ルーチンは、所定時間を経過した
後、サイレン音の変更があった場合に再度実行する。
【0118】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明の実施例には特許請求の範囲に記載した要件
以外に、次のような各種の技術事項の実施態様を有する
ものである。
【0119】周囲の音を収音すると共に収音した音に対
応する収音信号を出力する収音手段と、前記収音手段か
らの収音信号が低減されるように騒音源からの出力信号
にフィルタ係数を乗じて騒音を除去するための騒音除去
信号を生成する信号生成手段と、前記騒音除去信号に対
応する音が前記耳道入口付近へ伝達されるように音を放
音する放音手段と、を備えた能動型騒音除去装置におい
て、前記信号生成手段は、前記騒音源からの出力信号に
基づいて前記フィルタ係数の基準更新量(Rn )を算出
する基準更新量算出部と、前記基準更新量を前記収音手
段の収音信号(エラー信号,e(n))に応じて補正す
る補正係数(μ)を算出する補正係数算出部と、前回の
フィルタ係数、前記収音信号、前記基準更新量及び前記
補正係数に基づいて、今回のフィルタ係数(W(n+1
))を算出する係数算出部と、を含んで構成されたこ
とを特徴とする能動型騒音除去装置。
【0120】なお、上記実施例では、フォンから放音さ
れた音によって騒音低減を図ったが、本発明の放音手段
は、フォン(ヘッドフォン装置)に限定されるものでは
なく、外部スピーカによって放音された音によって騒音
低減を図ってもよい。
【0121】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発
明によれば、騒音を除去する際に、減衰される所定周波
数の環境音を同時に補完するため、信号抽出手段により
収音手段から所定周波数を抽出し、この抽出信号に対応
する音を放音することによって、環境音として伝達され
る人物の周囲からの音が減衰されることがないので、違
和感を生じることがない能動型騒音除去装置を提供する
とができる、という効果がある。
【0122】請求項2に記載の発明によれば、収音位置
変更手段によって収音手段の収音位置を変更することが
できるので、最適な騒音低減効果が得られる位置に収音
手段を設定できる、という効果がある。
【0123】請求項3に記載の発明によれば、収音位置
変更手段によって環境条件や乗車位置に基づいて収音位
置を自動的に変更することができるので、環境条件や乗
車位置により定まる最適な騒音低減効果が得られる位置
に収音手段を設定できる、という効果がある。
【0124】請求項4に記載の発明によれば、フィルタ
係数は、収音信号に応じて補正されるので、騒音低減効
果の減少が生じることなく、最適な騒音低減効果が得ら
れる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる第1実施例の能動型騒音除去装
置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】能動型騒音除去装置のECUの概略構成を含む
信号の流れを示すブロック図である。
【図3】フォンを装着または未装着のときに乗員が聴取
する音を示す周波数特性図である。
【図4】環境音補正フィルタで通過する音を示す周波数
特性図である。
【図5】第1実施例の能動型騒音除去装置におけるアク
ティブヘッドフォンが備えるフォンの概略構成を示す外
観斜視図である。
【図6】図5のI−I方向の矢視図である。
【図7】第2実施例の能動型騒音除去装置の概略構成を
示すブロック図である。
【図8】第3実施例の能動型騒音除去装置の概略構成を
示すブロック図である。
【図9】第4実施例の能動型騒音除去装置の概略構成を
示すブロック図である。
【図10】第5実施例の能動型騒音除去装置の概略構成
を示すブロック図である。
【図11】第5実施例の能動型騒音除去装置における、
環境音補正フィルタの同定処理を説明するための説明図
である。
【図12】第6実施例の能動型騒音除去装置におけるア
クティブヘッドフォンが備えるフォンの概略構成を示す
外観図である。
【図13】図12のフォンを説明するための分解図であ
る。
【図14】図12のフォンのマイク取付プレートの一構
成を示すイメージ図である。
【図15】マイク取付プレートの他の構成を示すイメー
ジ図である。
【図16】マイク取付プレートの他の構成を示すイメー
ジ図である。
【図17】マイク取付プレートの他の構成を示すイメー
ジ図である。
【図18】マイク取付プレートの他の構成を示すイメー
ジ図である。
【図19】マイク取付プレートの他の構成を示すイメー
ジ図である。
【図20】第7実施例の能動型騒音除去装置におけるア
クティブヘッドフォンが備えるフォンの周辺概略構成を
示すブロック図である。
【図21】センサマイクの位置座標を決定する座標系を
示す線図である。
【図22】第7実施例のセンサマイク位置調整ルーチン
の流れを示すフローチャートである。
【図23】ダミーヘッドの右側に装着したフォンのセン
サマイク位置の変更による騒音低減効果の実験結果を示
す線図である。
【図24】ダミーヘッドの左側に装着したフォンのセン
サマイク位置の変更による騒音低減効果の実験結果を示
す線図である。
【図25】ステップサイズパラメータが一定の能動型騒
音除去装置における制御前後のセンサマイクで収音した
音の波形を示す特性図である。
【図26】第8実施例の能動型騒音除去装置の適応アル
ゴリズムにおけるステップサイズパラメータ(μ)の自
動設定ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図27】第8実施例の能動型騒音除去装置の適応アル
ゴリズムにおけるフィルタ係数演算ルーチンの流れを示
すフローチャートである。
【符号の説明】
10 能動型騒音除去装置 26 環境音補正フィルタ(信号抽出手段) 28 ECU(信号生成手段) 30 ミキサー 22R,22L フォン 34R,34L センサマイク(収音手段)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人物の耳道入口付近に配設され収音する
    と共に、収音した音に対応する収音信号を出力する収音
    手段と、 前記収音信号及び騒音源からの騒音信号に基づいて騒音
    を除去するための騒音除去信号を生成し出力する信号生
    成手段と、 前記収音信号のうち所定周波数の信号を抽出し抽出信号
    として出力する信号抽出手段と、 前記騒音除去信号に対応する音と前記抽出信号に対応す
    る音とが前記耳道入口付近で合成されるように音を放音
    する放音手段と、 を備えた能動型騒音除去装置。
  2. 【請求項2】 周囲の音を収音すると共に、収音した音
    に対応する収音信号を出力する収音手段と、 前記収音信号及び騒音源からの騒音信号に基づいて騒音
    を除去するための騒音除去信号を生成する信号生成手段
    と、 人物の耳道入口付近に伝達されるように前記騒音除去信
    号に対応する音を放音する放音手段と、 前記収音手段の収音位置を変更する収音位置変更手段
    と、 を備えた能動型騒音除去装置。
  3. 【請求項3】 環境条件及び乗車位置の少なくとも一方
    を表す前記収音手段の収音状態を検出する収音状態検出
    手段と、前記収音状態検出手段の検出信号に基づいて前
    記収音位置を変更するように前記収音位置変更手段を制
    御する位置制御手段と、を更に備えたことを特徴とする
    請求項2に記載の能動型騒音除去装置。
  4. 【請求項4】 周囲の音を収音すると共に、収音した音
    に対応する収音信号を出力する収音手段と、 前記収音信号が最小になるように騒音源からの騒音信号
    にフィルタ係数を乗ずることにより人物の耳道入口付近
    における騒音を除去するための騒音除去信号を生成する
    フィルタ手段と、前記騒音源からの出力信号に基づいて
    前記フィルタ係数の基準更新量を算出する基準更新量算
    出部、前記基準更新量を前記収音手段の収音信号に応じ
    て補正する補正係数を算出する補正係数算出部、前回の
    フィルタ係数、前回の騒音源からの出力信号、前記基準
    更新量及び前記補正係数に基づいて今回のフィルタ係数
    を算出する係数算出部を含み、前記フィルタ手段のフィ
    ルタ係数を算出された今回のフィルタ係数に更新する更
    新手段とを備え、更新されたフィルタ係数により生成さ
    れた騒音除去信号を出力する信号生成手段と、 前記騒音除去信号に対応する音が前記耳道入口付近へ伝
    達されるように音を放音する放音手段と、 を備えた能動型騒音除去装置。
JP6327847A 1994-04-04 1994-12-28 能動型騒音除去装置 Pending JPH07325589A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015139084A (ja) * 2014-01-22 2015-07-30 日東電工株式会社 聴覚補完システム、聴覚補完装置及び聴覚補完方法
JP2017539106A (ja) * 2015-11-24 2017-12-28 ボーズ・コーポレーションBose Corporation 周囲音量の制御

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