JPH07325390A - 被膜形成用組成物および被膜形成方法 - Google Patents

被膜形成用組成物および被膜形成方法

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JPH07325390A
JPH07325390A JP14233994A JP14233994A JPH07325390A JP H07325390 A JPH07325390 A JP H07325390A JP 14233994 A JP14233994 A JP 14233994A JP 14233994 A JP14233994 A JP 14233994A JP H07325390 A JPH07325390 A JP H07325390A
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卓 一宮
Masaki Ichinomiya
正喜 一宮
Yoshiro Sakamoto
啓郎 坂元
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エマルジョンを用いることにより有機溶剤使
用の場合のような環境問題を解消し、ガラス等の対象物
に対する密着性が良好で、透明性も良好であり、しかも
高硬度の被膜を与えることのできる被膜形成用組成物お
よび被膜形成方法を提供することを目的とする。 【構成】 合成樹脂エマルジョンに、そのエマルジョン
中の樹脂分1重量部に対し0.01〜3重量部の量の粒径1
00 mμ以下の無機質微粒子(殊にコロイド領域の無機
質微粒子)と、有効量(殊に樹脂分1重量部に対し 0.0
01〜1重量部の量)の紫外線吸収剤とを含有させた被膜
形成用組成物である。そしてこの被膜形成用組成物を、
ガラス、プラスチックスをはじめとする対象物にフロー
コーティング法やその他の方法により塗布し、被膜を形
成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紫外線の通過を有効に
カットすることのできる被膜形成用組成物に関するもの
である。またその組成物を用いて、主としてガラス、プ
ラスチックスをはじめとする対象物に被膜を形成させる
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建物、ショーウインドウ、自動車などの
窓ガラスの近くに置いた物品や内装品は、紫外線に曝さ
れるため、色が褪せたり、物性が低下したりしやすい。
室内に人がいるときには日焼けや肌荒れを生ずることに
なる。そこで窓ガラスには紫外線をカットする手段を講
じることが望ましい。採光用の透明プラスチックス建材
や農業用ハウスのフィルムの場合にも、紫外線カット手
段を講ずることが望ましいことが多い。
【0003】紫外線をカットする対策の一つとして、紫
外線吸収剤を内添して成形したフィルムを窓ガラスに貼
着することが行われている。
【0004】また紫外線をカットする対策の他の一つと
して、ガラス板やプラスチックス板の表面に紫外線吸収
剤を内添した樹脂溶液をコーティングした後、乾燥し
て、被膜を形成することが行われている。
【0005】後者の方法に関するものとして、特開平5
−113665号公報には、ジメチルアミノエチルメタ
クリレートとヒドロキシメチルメタクリレートとの重合
体に紫外線吸収剤等の光線吸収剤を混合した光線吸収膜
が示されており、その被膜を樹脂板やガラス板に適用し
たときには、従来のビニル樹脂等に光線吸収剤を混合し
た被膜に比し密着性や硬度が良好となることが述べられ
ている。この公報においては、溶剤としては、アルコー
ル系、エーテル系、ケトン系、エステル系、炭化水素系
などの溶剤を用いている。実施例の表2および表3に
は、硬質塩化ビニル板に適用したときの透明性、色調、
衝撃強度につき詳しいデータがあげられている。なおこ
の公報には、原液の塗布に際しては、樹脂板に対しては
直接塗布を行えばよいが、ガラス板に対してはケイ素系
の密着剤を介して塗布すると良好な密着性が得られるこ
とが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】紫外線吸収剤を内添し
て成形したフィルムをガラスに貼着する方法は、 ・ ガラス面への貼着操作時に気泡を噛み込みやすく、
その気泡が長期間抜けないこと、 ・ ガラス面にフィルムを貼着してあることが容易にわ
かるので、外観的に問題点があること、 ・ フィルムの大きさに制限があるので、ガラスの大き
さによっては1枚のガラス面であっても張り継ぎをしな
ければならないこと、 などの問題点がある。
【0007】ガラス板やプラスチックス板の表面に紫外
線吸収剤を内添した樹脂溶液をコーティングして被膜を
形成する方法は、 ・ 溶液の調製に有機溶剤を用いるため、現場における
環境の悪化を招くこと、 ・ 現場ではガラス板にアンカー処理することができな
い場合が多いので、被膜のガラス板に対する密着性が不
足すること、 ・ 被膜の形成によりガラス板やプラスチックス板の透
明性が低下すること、 などの問題点がある。
【0008】特開平5−113665号公報に開示の発
明は、被膜形成性樹脂としてジメチルアミノエチルメタ
クリレート−ヒドロキシメチルメタクリレート共重合体
という特定の樹脂を用いることにより、主として密着性
および硬度の改善を図っている。
【0009】しかしながら、この方法にあっても、(a)
有機溶剤を用いることによる不利は依然として残るこ
と、(b) 密着性の向上には限界があり、殊にガラス板に
適用するときには前もって密着剤を塗布しておくことが
必要となるので、建物の窓ガラス、ショウーウインド
ウ、自動車の窓ガラスなどに現場施工する際に著しく手
間を要し、施工コストも高くなること、(c) ガラス板等
に適用したときにその透明性を低下させる傾向があるこ
と、などの問題点がある。
【0010】本発明は、このような背景下において、エ
マルジョンを用いることにより有機溶剤使用の場合のよ
うな環境問題を解消し、ガラス等の対象物に対する密着
性が良好で、透明性も良好であり、しかも高硬度の被膜
を与えることのできる被膜形成用組成物および被膜形成
方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の被膜形成用組成
物は、合成樹脂エマルジョンに、該合成樹脂エマルジョ
ン中の樹脂分1重量部に対し0.01〜3重量部の量の粒径
100 mμ以下の無機質微粒子と、有効量の紫外線吸収
剤とを含有させてなるものである。
【0012】本発明の被膜形成方法は、合成樹脂エマル
ジョンに該合成樹脂エマルジョン中の樹脂分1重量部に
対し0.01〜3重量部の量の粒径100 mμ以下の無機質
微粒子と有効量の紫外線吸収剤とを含有させてなる被膜
形成用組成物を対象物に塗布し、被膜を形成させること
を特徴とするものである。
【0013】以下本発明を詳細に説明する。
【0014】合成樹脂エマルジョンとしては、たとえ
ば、アクリル−スチレン共重合体エマルジョン、アクリ
ル酸エステル共重合体エマルジョン、エチレン−酸酸ビ
ニル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−飽和分岐脂肪
酸ビニル共重合体エマルジョン、合成ゴム系ラテックス
などの乾燥型エマルジョンや、エポキシ樹脂エマルジョ
ン、シリコーンアクリル樹脂エマルジョン、アクリル複
合ウレタン樹脂エマルジョンなどの反応硬化型エマルジ
ョンをはじめとする種々のエマルジョンが用いられ、使
用目的に応じてこれらの中から耐侯性、被膜強度、コス
トなどを加味して適当なものを選択使用する。
【0015】合成樹脂エマルジョンの固形分濃度に特に
限定はないが、通常は10〜75重量%の範囲から選ぶ
ことが多い。ただし、特に薄膜化を図るときは、さらに
水で稀釈して用いることもできる。
【0016】無機質微粒子としては、粒径100 mμ
(100ミリミクロン、つまり 0.1マイクロメーター)
以下、好ましくは50 mμ以下、さらに好ましくは30
mμ以下の無機質微粒子が用いられ、殊にコロイド領域
の無機質微粒子を用いることが好ましい。無機質微粒子
の例は、各種無機酸化物または無機複合酸化物(Si、A
l、Ti、Zr、Ce、Mg、Ca、Fe、Sn、Zn、W 、Sb、K 、N
a、P 、B 等の単独酸化物または複合酸化物)、各種無
機塩(ケイ酸塩、リン酸塩、アルミン酸塩、炭酸塩等)
などである。これらの中では、コロイド状のシリカが特
に好適である。
【0017】無機質微粒子を含有する合成樹脂エマルジ
ョンは、合成樹脂エマルジョンに無機質粒子を添加、混
合することによって調製することも可能であるが、無機
質微粒子(殊にコロイド領域の無機質微粒子)の共存下
にモノマー成分をエマルジョン重合して得たものである
ことが特に好ましく、そのようにして得た無機質微粒子
含有合成樹脂エマルジョンを用いると、ガラス等の対象
物に対する密着性確保、透明性維持の点で、本発明のメ
リットが最大限に発揮される。
【0018】合成樹脂エマルジョン中の樹脂分1重量部
に対する無機質微粒子の量は、0.01〜3重量部、好まし
くは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.05〜1.5 重量
部、なかんずく 0.1〜1重量部の範囲から選ばれる。無
機質微粒子の割合が余りに少ないときは対象物に対する
密着性、透明性、硬度などの点で所期の効果が得られ
ず、余りに多いときは密着性、透明性などの点でかえっ
て不利となる。
【0019】そして無機質微粒子含有合成樹脂エマルジ
ョンには、紫外線吸収剤、殊に中波長ないし長波長(す
なわち280〜400nm)の紫外線を吸収しうる紫外線
吸収剤を含有させる。このような紫外線吸収剤の例とし
ては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリ
アゾール系、アクリロニトリル系、シアノアクリレート
系、金属錯塩系などあるいはこれらの複合形などがあげ
られる。
【0020】紫外線吸収剤の含有量はその機能を発揮で
きる有効量とし、通常は合成樹脂エマルジョン中の樹脂
分1重量部に対し 0.001〜1重量部、好ましくは 0.005
〜0.8 重量部、さらに好ましくは0.01〜0.5 重量部の範
囲から選ばれる。その量が余りに少ないときには所期の
紫外線カット効果が得られず、一方その量を余りに多く
しても紫外線カット効果は一定以上には上がらない上、
被膜が着色するおそれがあり、またコスト的に不利とな
る。
【0021】上記各成分を有する被膜形成用組成物に
は、必要に応じ、増粘剤、低温安定剤、造膜助剤、垂れ
防止剤、界面活性剤、消泡剤、着色剤、溶剤などの添加
剤を含有させることができる。着色剤を含有させるとき
は、透明性を低下させないように有機系の着色剤(染料
や有機顔料)を選択することが望ましい。
【0022】上記の被膜形成用組成物は、主として透視
性を有する対象物に適用される。透視性を有する対象物
の代表例は、建物の窓ガラス、ショウーウインドウ、自
動車の窓ガラス等のガラスであり、そのほか、ランプの
ガラス、ランプからの光を拡散させる乳白プラスチック
ス板、採光用の透明プラスチックス建材、農業用ハウス
のフィルムなどにも適用可能である。また透視性を有す
る対象物に限らず、すりガラス面に適用したり、塗装
面、壁紙をはじめ、変褪色や老化の抑制ないし防止が要
求される各種の対象物に対しても適用できる。
【0023】被膜形成用組成物の被膜を対象物表面に形
成するに際しては、フローコーティング法が好適に採用
され、そのほか、スプレー法、ハケ塗り法、ロール塗り
法なども採用される。このうちフローコーティング法と
は、対象物の表面の上部のところに被膜形成用組成物か
らなる塗布液を供給し、その液を対象物表面に沿って流
下させ、対象物の下側で過剰の液を回収して、必要に応
じ再度対象物上部に供給する方法である。
【0024】
【作用】本発明の被膜形成用組成物は合成樹脂エマルジ
ョンをベースとするものであるので、従来の有機溶剤溶
液を用いる方法における環境問題が解消する。
【0025】被膜形成用組成物に含有させてある無機質
微粒子は、対象物に対する被膜の密着性を向上させる作
用を示すと共に、高硬度の被膜を形成する作用を示す。
被膜の透明性も良好である。殊に無機質粒子がコロイド
領域の粒径の微粒子であるときあるいは無機質微粒子の
共存下にモノマー成分を重合して合成樹脂エマルジョン
を得たときは、それらの作用効果が特に顕著なものとな
る。
【0026】被膜形成用組成物に含有させてある紫外線
吸収剤は、外部からの太陽光線を有効に遮断するので、
ガラスを通して室内や車内に紫外線が届き、色褪せ、日
焼け、物性低下などの好ましくない現象が生ずるのを有
効に防止することができる。対象物が農業用ハウスのフ
ィルムであるときは、作物の成育を促進させることがで
きる。対象物がランプや乳白プラスチックス光拡散板で
あるときは、紫外線がカットされるので、夜間や夕方に
そのランプに向けて趨光性昆虫が飛来する現象を防止す
ることができる。
【0027】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。以下「部」とあるのは重量部である。
【0028】実施例1 アクリル共重合体エマルジョン製造のためのエマルジョ
ン重合時に粒径10〜20 mμのコロイダルシリカ(無
機質微粒子の一例)を共存させることにより、無機質微
粒子を含有する合成樹脂エマルジョン88部を得た。こ
の合成樹脂エマルジョン中の樹脂分(アクリル共重合
体)は23.7部、無機質微粒子(コロイダルシリカ)は1
4.2部であった。樹脂分と無機質微粒子との比率は重量
比で1:0.60、無機質微粒子含有合成樹脂エマルジョン
の固形分(樹脂分と無機質微粒子との合計量)は43重
量%であった。
【0029】次にこの無機質微粒子含有合成樹脂エマル
ジョン中に、添加剤(溶剤、水、活性剤および造膜助剤
からなる組成物)8部にベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤3部を添加したものを加えて混合した。紫外線吸収
剤の添加量は、無機質微粒子含有合成樹脂エマルジョン
中の樹脂分1部に対し0.13部であった。
【0030】これにより目的とする被膜形成用組成物が
調製されたので、この組成物からなる塗布液を建物の西
日のあたる室の窓ガラスの内側上部のところに供給し
て、窓ガラスの表面に沿って流下させると共に、窓ガラ
スの下側で過剰の液を回収して再び上部に供給する操作
を繰り返し、窓ガラスに均一に塗布液の膜を形成させ
た。このフローコーティング操作後、自然乾燥させたと
ころ、厚み約20μm の均一な透明被膜が形成された。
【0031】形成した被膜のガラス面に対する密着性
は、アンカーコーティングを行っていないにもかかわら
ずすぐれたものであった(クロスカット試験で確認)。
この被膜付きのガラス面を濁度計(JIS K0101
に準拠した積分球方式の測定機器(日本電色工業株式会
社製のNDH−300A))で測定した結果、可視光線
透過率は 92.24%、ヘイズは 0.5%であった。またJI
S K5400に規定する鉛筆引っかき試験機法で硬度
を測定した結果、硬度は3Hであった。なお被膜を設け
ないときのガラス面の可視光線透過率は 91.99%、ヘイ
ズは0.82%であった。
【0032】被膜形成後のガラス面に対する紫外線透過
量をミノルタ紫外線強度計「UM−36」を用いて測定
したところ、外気では4000mW/cm2のものが、ガラス
面から1cm離れた室内側の個所では35mW/cm2となり、
衣服の変褪色に影響する波長360nmまでの紫外線を9
9%カットすることができることがわかった。また大塚
電子株式会社製のMCPD−1000を用いて紫外線の
分光曲線を測定したが、380nm付近までの99%紫外
線を吸収していることがわかった。
【0033】さらに、窓ガラスから50cmの所の温度を
測定したところ、被膜を形成しない場合には38℃であ
ったものが、被膜を形成した場合には室温が4〜5℃低
下していることがわかった。昭和電工株式会社製風速熱
伝導率計SHOTHERMTM−DIIを用いて熱伝導率
を測定したところ0.12648W/m・hr・℃であり、JISガ
ラスの熱伝導率が0.704W/m・hr・℃であることと比較す
ると、熱伝導率がかなり低くなっていることがわかっ
た。これは、形成した被膜がガラスの熱伝導性を低下さ
せるためである。
【0034】また上記の塗布液を庭園の水銀灯に塗布し
て厚み約10μm の被膜を形成させたところ、昆虫の群
がる季節にあっても昆虫の群がりはほとんど観察されな
かった。
【0035】比較例1 コロイダルシリカを共存させないで重合して得たアクリ
ル共重合体エマルジョンに、そのエマルジョン中の樹脂
分1部に対し0.13部となるようにベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤を添加した。以下実施例1と同様にしてフ
ローコーティング操作により窓ガラスに塗布液の膜を形
成させ、ついで自然乾燥した。
【0036】この被膜付きのガラス面の可視光線透過率
は 84.47%、ヘイズは2.10%、硬度はFであった。
【0037】実施例2 アクリル共重合体エマルジョン製造のためのエマルジョ
ン重合時に粒径10〜20 mμのコロイダルシリカ(無
機質微粒子の一例)を共存させることにより、無機質微
粒子を含有する合成樹脂エマルジョン88部を得た。こ
の合成樹脂エマルジョン中の樹脂分(アクリル共重合
体)は23.7部、無機質微粒子(コロイダルシリカ)は1
4.2部であった。樹脂分と無機質微粒子との比率は重量
比で1:0.60、無機質微粒子含有合成樹脂エマルジョン
の固形分(樹脂分と無機質微粒子との合計量)は43重
量%であった。
【0038】次にこの無機質微粒子含有合成樹脂エマル
ジョン中に、添加剤(溶剤、水、活性剤および造膜助剤
からなる組成物)8部にベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤3部とフタロシアニンブルー(有機系着色剤) 0.3
部とを添加したものを加えて混合した。紫外線吸収剤お
よびフタロシアニンブルーの添加量は、無機質微粒子含
有合成樹脂エマルジョン中の樹脂分1部に対し、それぞ
れ0.13部、 0.013部であった。
【0039】これにより目的とする被膜形成用組成物が
調製されたので、この組成物からなる塗布液を自動車の
窓ガラスの上部のところに供給して、窓ガラスの表面に
沿って流下させると共に、窓ガラスの下側で過剰の液を
回収して再び上部に供給する操作を繰り返し、窓ガラス
に均一に塗布液の有色膜を形成させた。このフローコー
ティング操作後、自然乾燥させたところ、厚み30μm
の均一な透明被膜が形成された。
【0040】形成した被膜のガラス面に対する密着性
は、アンカーコーティングを行っていないにもかかわら
ず良好であった。また、この有色被膜付きのガラス面の
可視光線透過率は 75.34%、ヘイズは5.63%、硬度は2
Hであった。なお有色被膜を設けないときのガラス面の
可視光線透過率は 90.95%、ヘイズは0.22%である。
【0041】比較例2 コロイダルシリカを共存させないで重合して得たアクリ
ル共重合体エマルジョンに、そのエマルジョン中の樹脂
分1部に対し0.13部のベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤と、同じく樹脂分1部に対し 0.013部のフタロシアニ
ンブルー(有機系着色剤)とを添加して混合した。
【0042】以下実施例2と同様にして、フローコーテ
ィング操作により自動車の窓ガラスに有色膜を形成させ
た。得られた被膜付きのガラス面の可視光線透過率およ
びヘイズは実施例2の場合とほとんど変らなかったが、
硬度はFであり、実施例2に比し小さかった。
【0043】実施例3 コロイダルシリカを共存させないで重合して得たアクリ
ル共重合体エマルジョン73.8部に、粒径10〜20 mμ
のコロイダルシリカ(無機質微粒子の一例)14.2部を添
加、混合した。樹脂分と無機質微粒子との比率は重量比
で1:0.60、無機質微粒子含有合成樹脂エマルジョンの
固形分(樹脂分と無機質微粒子との合計量)は43重量
%であった。
【0044】次にこの無機質微粒子含有合成樹脂エマル
ジョン中に、実施例1と同様にして添加剤8部にベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤3部を添加したものを加え
て混合した。紫外線吸収剤の添加量は、無機質微粒子含
有合成樹脂エマルジョン中の樹脂分1部に対し0.13部で
あった。
【0045】これにより目的とする被膜形成用組成物が
調製されたので、この組成物からなる塗布液をハウス栽
培のビニールシート上にスプレー塗布して被膜を形成さ
せた。
【0046】このハウスでホウレン草の播種を行い、3
7日後に収穫した。上記被膜形成を行わなかった場合と
対比すると、播種1週間後にはすでに差が出はじめ、2
週間後には約12cmの差となり、播種後収穫可能な期間
は10〜14日も短縮できることがわかった。またハウ
ス内の温度が低下して作業がしやすくなる上、紫外線に
よる作業者の日焼けも抑制された。
【0047】
【発明の効果】本発明の被膜形成用組成物は合成樹脂エ
マルジョンをベースとするものであるので、従来の有機
溶剤溶液を用いる方法における環境問題が解消する。
【0048】加えて、被膜形成用組成物に含有させてあ
る無機質微粒子により、対象物に対する被膜の密着性が
向上する上、高硬度の被膜が形成される。被膜の透明性
も良好である。殊に無機質粒子がコロイド領域の粒径の
微粒子であるときあるいは無機質微粒子の共存下にモノ
マー成分を重合して合成樹脂エマルジョンを得たとき
は、それらの作用効果が特に顕著なものとなる。
【0049】また被膜形成用組成物に含有させてある紫
外線吸収剤により、所期の紫外線カット効果が奏され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 101/00 (72)発明者 坂元 啓郎 兵庫県明石市藤江中谷町888番地 明研化 学工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂エマルジョンに、該合成樹脂エマ
    ルジョン中の樹脂分1重量部に対し0.01〜3重量部の量
    の粒径100 mμ以下の無機質微粒子と、有効量の紫外
    線吸収剤とを含有させてなる被膜形成用組成物。
  2. 【請求項2】無機質微粒子を含有する合成樹脂エマルジ
    ョンが、無機質微粒子の共存下にモノマー成分をエマル
    ジョン重合することにより得たものである請求項1記載
    の被膜形成用組成物。
  3. 【請求項3】無機質微粒子を含有する合成樹脂エマルジ
    ョンが、合成樹脂エマルジョンに無機質粒子を添加、混
    合することにより得たものである請求項1記載の被膜形
    成用組成物。
  4. 【請求項4】無機質微粒子がコロイド領域の粒径の無機
    質微粒子である請求項1記載の被膜形成用組成物。
  5. 【請求項5】コロイド領域の粒径の無機質微粒子が、コ
    ロイド状シリカである請求項4記載の被膜形成用組成
    物。
  6. 【請求項6】紫外線吸収剤が、中波長ないし長波長の紫
    外線を吸収しうる紫外線吸収剤である請求項1記載の被
    膜形成用組成物。
  7. 【請求項7】紫外線吸収剤の含有量が、合成樹脂エマル
    ジョン中の樹脂分1重量部に対し 0.001〜1重量部であ
    る請求項1記載の被膜形成用組成物。
  8. 【請求項8】合成樹脂エマルジョンに該合成樹脂エマル
    ジョン中の樹脂分1重量部に対し0.01〜3重量部の量の
    粒径100 mμ以下の無機質微粒子と有効量の紫外線吸
    収剤とを含有させてなる被膜形成用組成物を対象物に塗
    布し、被膜を形成させることを特徴とする被膜形成方
    法。
JP14233994A 1994-05-31 1994-05-31 被膜形成用組成物および被膜形成方法 Expired - Lifetime JP3274568B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001149845A (ja) * 1999-12-01 2001-06-05 Nippon Technical System Kk 紫外線カット用コーティング液材及びそのコーティング装置並びにコーティング方法
JP2021512508A (ja) * 2018-02-08 2021-05-13 フォトン テクノロジー (クンシャン) カンパニー リミテッドPhoton Technology (Kunshan) Co., Ltd 発電建材及びその製造方法

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