JPH07324609A - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents

内燃機関の動弁装置

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JPH07324609A
JPH07324609A JP6117233A JP11723394A JPH07324609A JP H07324609 A JPH07324609 A JP H07324609A JP 6117233 A JP6117233 A JP 6117233A JP 11723394 A JP11723394 A JP 11723394A JP H07324609 A JPH07324609 A JP H07324609A
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JP
Japan
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plunger
valve
core
shape
combustion engine
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JP6117233A
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English (en)
Inventor
Takashi Deo
隆志 出尾
Iwao Maeda
岩夫 前田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は内燃機関の吸排気弁を電磁力により
駆動する内燃機関の動弁装置に関し、プランジャ形状を
適正化して、軽量化と高耐久性とを両立し、かつ優れた
搭載性を実現することを目的とする。 【構成】 内燃機関の吸排気弁を構成する弁体12を、
弁軸20を介してプランジャ24に固定する。プランジ
ャ24の上下に対向して、第1又は第2の電磁コイル2
6,30を把持する第1及び第2のコア28,32を設
ける。プランジャ24に弁軸20に対して所定の傾斜を
有する傾斜面24b,24dを形成し、更に第1及び第
2の電磁コイル26,30に対向する部位に、弁軸20
と垂直な平面24cを形成する。第1及び第2のコア2
8,32の、プランジャ24に対向する面に、プランジ
ャ24と対応する傾斜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の動弁装置に
係り、特に弁軸と一体に設けたプランジャの両面に電磁
コイル及びコアを備える電磁駆動式弁装置を有し、内燃
機関の吸排気弁を電磁力により駆動する内燃機関の動弁
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の吸排気弁等の弁体
を、電磁コイルの発する電磁力により駆動する内燃機関
の動弁装置が知られている。この装置によれば、内燃機
関において一般に必要とされていた弁体駆動用のカム機
構等が不要となることに加え、弁体の開閉弁時期が任意
に変更でき、内燃機関の運転状態に応じて理想的な開閉
弁時期を実現することが可能である。
【0003】ところで、かかる動弁装置として、特開平
4−502191号公報は、弁軸と一体に設けた円板状
のプランジャの両面にそれぞれ電磁コイル及びコアを対
向せしめ、かつプランジャを、その肉厚が中心から外周
に向かうほど薄くなるように形成した装置を開示してい
る。
【0004】この場合、弁体の駆動に際して応力が集中
し易いプランジャの中央付近の肉厚を十分に確保しつ
つ、その外周部における軽量化が実現され、耐久性等の
観点よりその中央部に要求される肉厚でプランジャ全面
を均一化した場合に比べて動作部分が軽量化されること
になる。
【0005】そして、このように動作部分の軽量化が実
現される場合、その駆動に要する電力の省電力化が実現
され、更に弁体の駆動に対して優れた応答性を実現する
ことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の動
弁装置は、内燃機関の吸排気弁に固定される弁軸を駆動
する際の応力が、一般にプランジャの中心付近に集中し
易いことに着目し、さほど強度が要求されないプランジ
ャの外周部の肉厚を薄くして軽量化を図ったに過ぎない
ものである。
【0007】これに対して、電磁力を利用して弁体を駆
動するに際してプランジャが受ける応力は、プランジャ
の形状を適正化することでその中心部以外に分散させる
ことも可能である。そして、かかる分散化を図った場
合、プランジャ全面を薄肉化しつつその中心部における
十分な耐久性を確保することが可能であり、上記従来の
動弁装置に対して動作部分の更なる軽量化が実現でき
る。
【0008】この意味で上記従来の装置は、プランジャ
中心部の板厚が十分に薄肉化されておらず、動弁装置の
小型軽量化、及び弁体の応答性向上等の点で更なる改良
の余地を残したものであった。
【0009】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、全面を薄肉化したプランジャと、プランジャの
両面に対向して配設される第1及び第2のコアとに同一
方向の傾斜を設け、所望の電磁引力を確保し得る磁気回
路を実現しつつプランジャに作用する応力の分散化を図
ることにより、上記の課題を解決する内燃機関の動弁装
置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載するように、弁軸と固定されるプランジャの両面
に、第1の電磁コイルと第1のコア、及び第2の電磁コ
イルと第2のコアをそれぞれ対向して備える電磁駆動式
弁装置を有する内燃機関の動弁装置において、前記第1
のコアの前記プランジャ対向面と、前記第2のコアの前
記プランジャ対向面と、前記プランジャの前記第1のコ
ア対向面と、前記プランジャの前記第2のコア対向面と
を、同一の方向に傾斜させた内燃機関の動弁装置により
達成される。
【0011】また、上記の目的は、請求項2に記載する
ように、上記請求項1記載の内燃機関の動弁装置におい
て、前記プランジャが、前記第1の電磁コイルに対向す
る部位、及び前記第2の電磁コイルに対向する部位に、
前記弁軸に対して垂直な面を有する内燃機関の動弁装置
により達成される。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明に係る内燃機関の動弁装置
において、前記第1の電磁コイルの周囲には、前記第1
のコアと、前記プランジャと、これらの間に形成される
エアギャップとからなる磁気回路が、また前記第2の電
磁コイルの周囲には、前記第2のコアと、前記プランジ
ャと、これらの間に形成されるエアギャップとからなる
磁気回路が形成される。
【0013】このため、前記第1の電磁コイルが磁界を
発すると、前記プランジャは前記第1のコアに引き寄せ
られ、その結果前記弁軸が前記第1のコア側に変位す
る。また、前記第2の電磁コイルが磁界を発すると、前
記プランジャは前記第2のコアに引き寄せられ、その結
果前記弁軸が前記第2のコア側に変位する。
【0014】このようにして弁軸が変位する場合、前記
プランジャには、その外周付近に作用する電磁引力をそ
の中心付近に固定される前記弁軸に伝達することに伴う
応力が作用する。
【0015】この際、前記プランジャには、傾斜面が設
けられており、かかる応力がその中心部に集中するのを
防止している。また、前記プランジャの傾斜は、前記第
1のコアに対向する面、及び前記第2のコアに対向する
面において、同一方向の傾斜として形成されているた
め、かかる傾斜面を設けることによる前記プランジャの
肉厚が増加することがない。
【0016】更に、前記第1及び第2のコアの、前記プ
ランジャに対向する面にも、プランジャの傾斜面に対応
した傾斜が設けられており、それぞれプランジャに対し
て適切なエアギャップの確保を実現している。
【0017】このため、本発明においては、前記プラン
ジャに対して適切な電磁引力を作用させることができ、
かつ前記プランジャにおいて十分な耐久性を確保しつ
つ、その全面における薄肉化が実現される。
【0018】また、請求項2記載の発明によれば、前記
プランジャは、上記の如く応力の分散に寄与する傾斜面
に加え、前記第1の電磁コイル及び前記第2の電磁コイ
ルに対向する部分に、前記弁軸と垂直な面を備えてい
る。
【0019】この場合において、前記第1及び前記第2
の電磁コイルの、前記プランジャと対向する端面は、生
産性等の観点から前記弁軸に対して垂直な平面とされ
る。このため、前記プランジャの、前記第1及び第2の
電磁コイルに対向する面に傾斜が形成されている場合、
前記第1の電磁コイルと前記プランジャとの間、及び前
記第2の電磁コイルと前記プランジャとの間に、それぞ
れ無駄な空間が形成されることになる。
【0020】そして、かかる無駄な空間の存在は、前記
電磁駆動式弁装置を大型化させると共に、前記第1及び
第2の電磁コイルの周囲に無駄部分を含む磁気回路を形
成させる。
【0021】これに対して、本発明におけるプランジャ
は、上述の如く前記第1及び第2の電磁コイルに対向す
る部分に、前記弁軸に垂直な面、すなわち前記第1及び
第2の電磁コイルの端面に平行な面を備えている。
【0022】このため、本発明に係る内燃機関の動弁装
置においては、前記プランジャと前記第1の電磁コイル
との間、及び前記プランジャと前記第2の電磁コイルと
の間における無駄空間が排除され、前記第1及び第2の
電磁コイル周辺に形成される磁気回路の磁気抵抗低下に
よる電磁引力の向上、前記電磁駆動式弁装置の体格の小
型化等が実現される。
【0023】
【実施例】図1は、本発明の一実施例である内燃機関の
動弁装置10の全体構成図を示す。同図において弁体1
2は、図中下端部を内燃機関の燃焼室内に露出させた状
態でシリンダヘッド14に配設され、内燃機関の吸気
弁、又は排気弁を構成する。
【0024】すなわち、シリンダヘッド14には、弁体
12に対する弁座16を備えるポート18が設けられて
いる。このポート18は、図示しない吸気通路、又は排
気通路と連通して設けられており、弁体12が弁座16
から離座又は着座することで開閉状態が制御される。ま
た、シリンダヘッド14は、弁体12を支持する弁軸2
0を摺動可能に把持するバルブガイド22を備えてい
る。
【0025】弁軸20の上端は、磁性体からなるプラン
ジャ24に固定されている。このプランジャ24は、板
厚がほぼ均一な円板状の部材であり、弁軸20は、その
中心部に固定される。
【0026】また、プランジャ24は、その中心から所
定半径の領域に弁軸20に垂直な平面(以下、平面24
aと称す)を備え、その外周所定半径の領域に弁軸20
に対して所定の傾斜を有する傾斜面(以下、傾斜面24
bと称す)を備え、更にその外周に、弁軸20に垂直な
平面(以下、平面24cと称す)と、弁軸20に対して
所定の傾斜を有する傾斜面(以下、傾斜面24dと称
す)とを備える形状である。本実施例の動弁装置は、後
述の如く、プランジャ24をかかる形状に成形した点に
特徴を有している。
【0027】プランジャ24の上方には、所定距離離間
して第1の電磁コイル26及び第1のコア28が配設さ
れている。また、プランジャ24の下方には、同様に所
定距離離間して第2の電磁コイル30及び第2のコア3
2が配設されている。
【0028】第1及び第2のコア28,32は、磁性体
で構成された部材であり、それぞれ第1又は第2の電磁
コイル26,30を把持すると共に、外筒34により所
定の位置関係に保持されている。
【0029】更に、第1及び第2のコア28,32は、
その中心近傍に中空部を有し、それぞれプランジャ24
を上下方向より弾性支持する弾性部材としてのスプリン
グ36,38を収納している。また、第1のコア28の
上端には、スプリング36,38の変形量を調整するア
ジャスタ40が設けられている。
【0030】ここで、本実施例においては、アジャスタ
40を調整することにより、何らの電磁力も作用しない
中立状態において、プランジャ24が、第1のコア28
と第2のコア32の中央に位置すべくスプリング36,
38の付勢力の釣合いを図っている。
【0031】ところで、プランジャ24が平面24a,
24cと傾斜面24b,24dとを有していることは前
記した通りであるが、その中心近傍に形成される平面2
4aは、ほぼスプリング36,38の直径に対応して形
成され、また平面24cは、第1又は第2の電磁コイル
26,30に対向する部位に形成されている。
【0032】そして、傾斜面24dは、第1のコア28
の、スプリング36と第1の電磁コイル26との間の部
位、及び第2のコア32の、スプリング38と第2の電
磁コイル30との間の部位に対応して形成され、また、
傾斜面24dは、第1のコア28の、第1の電磁コイル
26外周側部位、及び第2のコア32の、第2の電磁コ
イル30外周側部位に、それぞれ対応して形成されてい
る。
【0033】また、傾斜面24b,24dの傾斜角と、
第1のコア28の対応する部位の傾斜角及び第2のコア
32の対応する部位の傾斜角は、同一の角度となるよう
に構成されている。このため、プランジャ24が第1又
は第2のコア28,32側に引き寄せられた場合、両者
の形状は良好に整合し、その結果優れた密着性が確保さ
れることになる。
【0034】この場合において、第1の電磁コイル26
に電流を流通させ、その内外を還流する磁界を生ぜしめ
ると、磁性体で構成されるプランジャ24は電磁力に吸
引されて図1中上方へ向けて変位する。一方、第2の電
磁コイル30に電流を流通させてその内外を還流する磁
界を生ぜしめた場合、その結果生ずる電磁力に吸引され
てプランジャ24は図中下方に変位する。
【0035】従って、第1及び第2の電磁コイル26及
び30に、交互に適当な電流を流通させることとすれ
ば、プランジャ24を上下方向に往復運動させることが
可能であり、これにより弁体12の開閉状態を切り換え
ることが可能である。
【0036】ところで、本実施例におけるプランジャ2
4の形状、すなわち上記の如く平面24a,24cと傾
斜面24b,24dとからなる形状は、プランジャ24
としての耐久性を十分に確保しつつ、可能な限り軽量化
を図り、かつ小さな電磁力に対して十分なストロークと
十分な吸引力とを確保し、更に動弁装置としての小型化
を実現する観点より採用した形状である。
【0037】図2は、上記観点からプランジャ形状の最
適化を図るべく行った検討の結果を示す図表である。以
下、同図を参照して本実施例におけるプランジャ24の
優位性について説明する。
【0038】図2中、A〜Dは、それぞれ検討に際して
用いたプランジャの形状を示す記号である。ここで、同
図中Aは、全面が平面40であるプランジャの形状を、
同図中Bは、本実施例におけるプランジャ24と同様
に、中央部から外周へ向かって平面42・傾斜面44・
平面46・傾斜面48が連続するプランジャの形状を、
同図Cは、中央部が平面50であり、その外周が傾斜面
52であるプランジャの形状を、更に同図中Dは、中央
部に平面54を備え、その外周に中空筒状部56を備え
るプランジャ形状を示す。
【0039】この場合において、Dの中空筒状部56を
除き、プランジャの板厚はtに統一されており、また中
空筒状部56は、その板圧がt/2とされている。ま
た、中空筒状部56及び、傾斜面44、48、52が水
平面となす角θは、全て20°に統一されている。
【0040】本実施例におけるプランジャ24の形状
は、上記A〜Dに示すプランジャ形状について、一定の
起磁力に対して得られる吸引力の大きさ、プランジャを
形成した場合の重量、プランジャとして作動させた際に
最も応力が集中する部位に発生する応力の大きさの3点
につき検討を行い、その結果として採用された形状であ
る。
【0041】すなわち、プランジャの軽量化と高耐久性
化を両立するためには、プランジャの形状は、軽い重量
を実現でき、かつ弁体12を駆動する際に生ずる応力を
分散して局部的な疲労劣化を抑制できる形状であること
が望ましい。図2中A〜Dに示す各形状は、板厚tを均
一とすることで、何れも適切な重量を実現しており、上
記の観点からすれば、応力集中部における応力が小さい
ことが、要請に沿う形状であることになる。
【0042】ここで、図2に示す応力結果は、A〜Dの
各形状のプランジャについて、スプリング36,38に
支持される部位を固定し(図2中、プランジャ形状欄に
示す形状をハッチング部に固定した状態)、かかる状況
下で各形状のプランジャの最外周部に上向き、又は下向
きに600Nの外力を印加した際に生じた最大応力値を
示している。
【0043】ここで、各形状のプランジャを、スプリン
グ36,38に支持される部位で固定したのは、動弁装
置10に組み込んで弁体12を駆動すべく作動させる際
の機械的構成を想定したものであり、また600Nの外
力を印加したのは、本実施例の動弁装置10は、プラン
ジャ24が第1又は第2のコア26,32と密着した際
にほぼ600Nの吸引力を発生することを考慮したもの
である。
【0044】すなわち、図2に示す応力試験結果は、A
〜Dに示す形状のプランジャを用いて動弁装置10を構
成した場合にプランジャに作用する応力をシミュレート
した結果を示していることになり、本結果は、全面が平
面40である形状Aは、他の形状B〜Dに比して明らか
に最大応力値が大きく、応力の分散が図れていないこと
を示している。
【0045】つまり、図3〜図6は、上記図2に示す結
果の基礎であり、それぞれ各形状A〜Dについて行った
応力解析のシミュレート結果を示す応力分布図である。
尚、各図において矢線と共に表示した数値は、各部位に
おける曲げ応力[kgf/mm2 ]を示している。また、図
4,5中(A)図は下向きの外力に対する応力分布を、
(B)図は上向きの外力に対する応力分布をそれぞれ示
している。
【0046】この場合において、形状Aのプランジャに
ついては、図3に示す如くその端部に印加した600N
の外力が中間で分散されることなく直接的に固定部(図
3中、斜線で示す部分との固定部)に伝達され、その固
定部近傍には大きな応力が発生している。
【0047】これに対して、図4に示す形状B、図5に
示す形状C、図6に示す形状Dに示すプランジャについ
ては、それぞれ端部に印加された外力が固定部(図4〜
図6中、斜線で示す部分との固定部)に伝達される過程
中、屈曲した部付近傍で比較的大きな応力を受け、固定
部近傍の応力が比較的小さく抑制されている。
【0048】上記の結果は、形状Aについては、その端
部に加えられた外力が分散されることなくその中央部に
集中するのに対して、形状B〜Dについては、その端部
に加えられた外力が固定部に伝達される過程で各屈曲部
に分散され、応力の局部的集中を緩和していることに起
因するものである。
【0049】そして、このようにして応力の分散化が図
られる構成によれば、弁体12を駆動することに伴う疲
労劣化をプランジャ全面に均等に分散することが可能に
なり、形状Aの如く応力が局部に集中するものに比べて
優れた耐久性が得られることになる。
【0050】次に、一定の起磁力に対して得られる吸引
力に着目した場合の検討結果について説明する。
【0051】図7は、横軸にプランジャ24の変位x
を、縦軸にスプリング36,38がプランジャ24に与
える付勢力、及び第1又は第2のコア28,32とプラ
ンジャ24との間に作用する吸引力の大きさを示した特
性図である。
【0052】すなわち、図7中に破線で示す直線Iは、
スプリング36,38がプランジャ24に与える付勢力
の特性を表したものであり、周知のとおり中立位置から
の変位が増加するにつれて(すなわち上限又は下限位置
に向けて変位するにつれて)両スプリング36,38の
ばね定数に比例してその付勢力は増加する。
【0053】また、図7中、実線II,III ,IVは、第1
又は第2の電磁コイル26,30に、それぞれ大電流、
中電流、小電流を流通させた際に生ずる吸引力−ストロ
ーク特性を示したものである。これら各特性線図に示す
ように、プランジャ24に作用する吸引力は、流通させ
る電流が大きいほど、また中立位置からのストローク量
が大きいほど大きな値を示す。
【0054】ところで、プランジャ24を静止状態から
起動して上限(又は下限)位置まで移動させるために
は、プランジャ24に作用する吸引力が常に破線Iに示
す付勢力に勝っている必要があり、本実施例において
は、図7中実線IIに示す吸引力特性を実現する必要があ
る。
【0055】一方、プランジャ24と第1又は第2のコ
ア28,32との間に作用する吸引力は、プランジャ2
4内を流通する磁束の大きさによって決まる値であり、
具体的には、第1又は第2の電磁コイル26,30が発
生する電磁力が大きいほど、また第1又は第2の電磁コ
イル26,30周辺に形成される磁気回路の磁気抵抗が
小さいほど、大きな吸引力を得ることができる。
【0056】従って、同一の条件下で大きな吸引力を得
ることができれば、所望の吸引力を比較的小さな電磁力
で得ることが可能となり、第1及び第2の電磁コイル2
6,30の小型化、弁体12の駆動に要する電力の省電
力化等、動弁装置として好ましい特性が実現できる。
【0057】上記図2中に示す吸引力特性は、かかる点
に着目して検討事項とした項目であり、同図に示す結果
に基づいた場合、形状B,Cが優れた吸引力特性を有し
ていることが判る。
【0058】ここで、上記の結果は、2600ATの起
磁力を有する電磁コイルを用い、かつA〜Dのプランジ
ャ形状にそれぞれ対応する形状のコアを用い、更にコア
とプランジャとの間に2.5mmの間隔を空けて行った吸
引力試験の結果である。
【0059】この場合において、形状Aのプランジャに
よる吸引力が形状B,Cのプランジャに比して小さいの
は、形状Aのプランジャについては2.5mmの間隔がそ
のまま磁気回路中のエアギャップとなるのに対して、形
状B,Cのプランジャについては、傾斜面44、48、
52部において、磁気回路中のエアギャップが2.5×
cosθと短くなり、その結果磁気抵抗が減少するからで
ある。
【0060】また、形状Dのプランジャによる吸引力
が、形状B,Cのプランジャに比して小さいのは、形状
Dのプランジャは、中空筒状部56において板厚がt/
2となっており、そのため磁気抵抗が増大しているから
である。
【0061】尚、上記吸引力試験において、コアとプラ
ンジャとの間隔を2.5mmとしたのは、本実施例の動弁
装置においては、図7に示す如く、プランジャ24が上
下変位端から2.5mmストロークした位置で付勢力(図
7中、破線I)と吸引力(図7中、実線II)とが最も近
接し、動弁装置としての動作特性を検討する場合、この
位置で得られる吸引力が最も重要であることを考慮した
ものである。
【0062】以上の検討結果より、プランジャ24に要
求される特性のうち、軽量化と高耐久性とを両立し、か
つ少ない消費電力で大きな吸引力を確保するという基本
特性を満たす点で、形状B,Cが、動弁装置10のプラ
ンジャ24として好適であると評価することができる。
【0063】ここで、これら形状B及びCをプランジャ
24とした場合、これらのプランジャは、第1のコア2
8に対向する面、及び第2のコア32に対向する面を共
に同一の方向に傾斜させている点で前記請求項1記載の
動弁装置におけるプランジャに相当することになる。
【0064】尚、上記したプランジャ24の形状B,C
は、その板厚を均一としているが、これに限るものでは
なく、対応する第1のコア28及び第2のコア32の表
面傾斜が、プランジャ24の表面傾斜と一致する限り、
第1のコア28に対向する面と第2のコア32に対向す
る面とが、同一の方向に傾斜しているものであれば、そ
の板厚は変化してもよい。
【0065】ところで、本実施例の動弁装置10を構成
する第1及び第2の電磁コイル26,30の端部は、生
産性等を確保する観点より、弁軸20に対して垂直な平
面として形成される。これに対して上記形状Bのプラン
ジャは、第1及び第2の電磁コイル26に対向する部位
に、弁軸20と垂直な平面46を有している。以下、こ
の平面46を備えることによる効果について説明する。
【0066】図8は、上記形状Bと形状Cとを比較すべ
く両者を重ねて表したものである。同図に示すように、
形状B(図8中、実線で示す形状)と形状C(図8中、
破線で示す形状)とを比較した場合、平面46の有無に
起因して、形状Cのプランジャによって形成される磁路
長が、形状Cのプランジャによって形成される磁路長に
比してΔC−ΔBだけ長くなる。
【0067】従って、両者の磁気抵抗を比較した場合、
厳密には形状Bのプランジャの磁気抵抗が形状Cのプラ
ンジャの磁気抵抗より小さく、同一条件下における吸引
力特性も、上記図2に示す如く、僅かながら形状Bのプ
ランジャの方が形状Cのプランジャに比べて優れてい
る。
【0068】更に、動弁装置10へのプランジャの搭載
スペースを考慮した場合、図8に示す如く、形状Cのプ
ランジャを搭載するためには、形状Bのプランジャを搭
載する場合に比べてΔLだけ上下方向に余分にスペース
を必要とする。この意味で、形状Cのプランジャは、形
状Bのプランジャに比べて搭載性に劣り、従って動弁装
置10の小型化の要請に反することになる。
【0069】すなわち、動弁装置10を構成するプラン
ジャ24が、弁軸20に対して傾斜した面を有すること
が効果的であるのは、かかる傾斜面を設けることにより
プランジャ24に屈曲部が生じ、そのためにプランジャ
24に作用する応力が分散できるからであり、また傾斜
を設けることにより第1のコア28又は第2のコア32
とプランジャ24との間に形成される磁気回路中のエア
ギャップが実質的に減少するからである。
【0070】これに対して、形状Bのプランジャは、形
状Cのプランジャと同様に応力の分散に有効な屈曲部を
備えている。更に、形状Bのプランジャは、磁束の入射
を受けることがなく、かつ磁束を出射することもない電
磁コイルとの対向面(平面46)を除き、すなわち第1
のコア28又は第2のコア32とプランジャ24とが実
質的に対向する全ての部位(傾斜面44、48)に傾斜
を有している。
【0071】この意味で、形状Bは、弁軸20に対して
傾斜を与えることが真に有効な部位にのみ傾斜を有し、
かつ搭載性の観点から平面であることが望ましい部位は
その要請に応えて平面とした、プランジャ24として理
想的な形状であると評価することができる。図1に示す
本実施例の動弁装置10において、形状Bと同様形状の
プランジャ24を採用しているのは、かかる評価に基づ
くものである。
【0072】この結果、本実施例の動弁装置10によれ
ば、適当な耐久性の確保と応答性の向上とを両立するこ
とができ、更に、体格の小型化により優れた搭載性を確
保することが可能となる。
【0073】尚、上記形状Bと同一の形状であるプラン
ジャ24は、第1の電磁コイル26に対向する部位、及
び第2の電磁コイル30に対向する部位に、弁軸20に
対して垂直な面を有する点で、前記請求項2記載の動弁
装置におけるプランジャに相当している。
【0074】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、弁軸に駆動力を伝達するプランジャに対して作用す
る電磁引力を適当な強度に維持し、かつ十分な耐久性を
確保しつつ、プランジャを全面において薄肉化すること
ができる。
【0075】このため、本発明に係る内燃機関の動弁装
置によれば、プランジャの外周付近においてのみ薄肉化
が図られる従来の装置に比べて動作部分の更なる軽量化
を図ることができ、適切な耐久性を維持しつつ優れた応
答性を確保することが可能となる。
【0076】また、請求項2記載の発明によれば、前記
プランジャが前記弁軸に垂直な平面を備えることによ
り、前記プランジャと前記第1の電磁コイルとの間、及
び前記プランジャと前記第2の電磁コイルとの間に無駄
な空間が形成されるのを防止している。
【0077】このため、本発明に係る内燃機関の動弁装
置によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を享受し
つつ、更に前記第1及び第2の電磁コイル周辺における
磁気抵抗を低下し、また前記電磁駆動式弁装置を小型化
することができ、その結果、当該弁駆動装置の更なる小
型化を図ることができるという特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の動弁装置の全体構成図
である。
【図2】プランジャ形状についての検討結果を示す図表
である。
【図3】形状Aのプランジャについての応力シミュレー
ションの結果である。
【図4】形状Bのプランジャについての応力シミュレー
ションの結果である。
【図5】形状Cのプランジャについての応力シミュレー
ションの結果である。
【図6】形状Dのプランジャについての応力シミュレー
ションの結果である。
【図7】本実施例の動弁装置の動作特性図である。
【図8】プランジャ形状Bのプランジャ形状Cに対する
優位性を説明するための図である。
【符号の説明】 10 動弁装置 12 弁体 20 弁軸 26 第1の電磁コイル 28 第1のコア 30 第2の電磁コイル 32 第2のコア 36,38 スプリング

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁軸と固定されるプランジャの両面に、
    それぞれ第1の電磁コイルと第1のコア、及び第2の電
    磁コイルと第2のコアを対向して備える電磁駆動式弁装
    置を有する内燃機関の動弁装置において、 前記第1のコアの前記プランジャ対向面と、前記第2の
    コアの前記プランジャ対向面と、前記プランジャの前記
    第1のコア対向面と、前記プランジャの前記第2のコア
    対向面とを、同一の方向に傾斜させたことを特徴とする
    内燃機関の動弁装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の内燃機関の動弁装置にお
    いて、 前記プランジャは、前記第1の電磁コイルに対向する部
    位、及び前記第2の電磁コイルに対向する部位に、前記
    弁軸に対して垂直な面を有することを特徴とする内燃機
    関の動弁装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0967368A2 (en) 1998-06-25 1999-12-29 Nissan Motor Company, Limited Electromagnetically-powered valve operating apparatus of automative internal combustion engine
US6539785B1 (en) 1998-04-24 2003-04-01 Nissan Motor Co., Ltd. Diagnosis system for valve system of internal combustion engine

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