JPH0732395Y2 - ヘリコプターのアンテナ昇降装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はヘリコプターに搭載した放送機器による空中か
らの電波を送受信するためのアンテナ移動の装置に関す
る。更に詳しくは電波とヘリコプター機体との干渉を防
止し、しかも安全に着陸できるようにしたヘリコプター
のアンテナ昇降装置に関する。

［従来の技術］ 従来、ヘリコプターでの電波の送受信のために、通常は
機体本体にアンテナが取り付けられているが、機体との
間で起こる電波の干渉を防止するため単一のアンテナで
は不十分であり、通常複数のアンテナにより行なわれて
いる。

［考案が解決しようとする課題］ 電波の機体との干渉を防止するために、アンテナを可動
式にし、使用時には機体と電波が干渉しない位置までア
ンテナを降下させるようにした場合は、アンテナが降下
した位置で万一昇降装置に故障が生じたときには、着陸
不能となり、大事故の原因となる。本考案者はアンテナ
の上下への移動手段に加えて、上記のような緊急時に、
アンテナを着陸に支障のない位置に簡単に移動させるこ
とができる手段を組合わせることによって安全性の高い
アンテナ昇降装置が得られることを見出し本考案に到達
した。

すなわち本考案は、機体と電波が干渉しない位置にアン
テナを降下させることができ、しかも降下した位置で昇
降位置に故障が生じた場合でも、安全に着陸することが
できるアンテナ昇降装置を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本考案はヘリコプターに装着し、アンテナを昇降させる
装置であって、使用時にアンテナの送受信電波が機体と
干渉しない位置に下げるアンテナポールの上下作動手段
と、アンテナ昇降装置本体を着陸装置の下端よりも上部
位置に上昇させるアンテナ昇降装置本体の緊急上昇手段
とを設けたことを特徴とするヘリコプターのアンテナ昇
降装置である。

すなわち本考案においては、ヘリコプターと地上局との
電波の送受信を行なうため、アンテナの使用時にはアン
テナポールの上下作動手段により、アンテナを降下させ
て機体との電波干渉を無くし、不要時にはアンテナを着
陸に障害のない位置に上げるが、もし、アンテナが降下
した位置で、アンテナポールの上下作動装置が故障し、
上記の位置にアンテナを上げることができなくなった緊
急時でも、アンテナ昇降装置の本体を着陸に障害のない
位置に上昇させる手段を設けているので、ヘリコプター
を安全に着陸させることができる。

本考案においてはアンテナ昇降装置は任意の位置に装着
することができるが、機体の改造を必要としないという
点では着陸装置に取り付けるのが好適である。

また緊急時にアンテナ昇降装置の本体を着陸に障害のな
い位置に上昇させる手段としては、アンテナ昇降装置本
体の最下部を着陸装置の下端よりも上部位置に上げる方
法であればいかなる手段でもよく、アンテナ昇降装置本
体を水平方向に向かって回転によりハネ上げる方法や、
スライドにより上方に急速に引き上げる方法などを用い
ることができるが、回転によりハネ上げる方法が最も好
適に操作できる。

［作用］ 本考案のアンテナ昇降装置はアンテナポールの上下作動
装置と、昇降装置本体の緊急上昇装置とを包含している
が、両者は全く独立の操作系統により行なわれるので、
アンテナポールの上下作動が故障した場合でも昇降装置
の上昇は支障なく行なわれる。上記昇降位置の本体の緊
急時の上昇は通常、操縦士が単にレバーを握るだけでワ
イヤーが引かれて作動するので、例えば電気系統の故障
による緊急時においても、安全状態の移行は確実、かつ
迅速に行なうことができる。

［実施例］ 以下、図面を参照して、本考案のアンテナ昇降装置の１
例を説明する。

第１図はヘリコプターの着陸装置に装備したアンテナ昇
降装置の正面図であり、第２図は側面図である。ヘリコ
プターの着陸装置１にアンテナ昇降装置２をクランプ３
で取り付け、ロック装置４で垂直位置に保持している。
アンテナ昇降装置２に内蔵された上下に作動するアンテ
ナ・ポール６の先端にアンテナ５が固定されている。使
用時にはアンテナの先端は機体との間で起こる電波の干
渉を防止するため、通常は着陸装置の下端部よりも低い
５′の位置にまで降下させる。もしアンテナポール６が
降下した位置６′において上下作動装置が故障し、上昇
が不可能となった場合、操縦士がワイヤー７を引くこと
により、ロック装置４内のＵロック13がアンテナ昇降装
置２から外れ、アンテナ昇降装置２、アンテナポール６
およびアンテナ５はそれぞれ２″、６″および５″で示
すエマージェンシー時位置まではね上がり、着陸時の障
害にならないようにしたものである。

第３図および第４図は、アンテナ昇降装置の本体の正面
図および側面図を示す。

モーター８の回転をギャー９により減速し、ポール・ネ
ジ10を回転させる。ポール・ネジは回転により、上下方
向に動く。ポール・ネジ10の下端はアンテナ・ポール６
と接続されており、モーター８の正逆の回転方向によ
り、任意にアンテナ・ポール６を上下に作動させること
ができ、アンテナ・ポール６先端に取り付けられたアン
テナ５が上下する。

緊急時のハネ上げ機構を第３図および第４図により説明
する。

アンテナ昇降装置２はヘリコプターの着陸装置１にクラ
ンプで固定されたメイン・シャフト11が貫通するベース
12で取り付けられている。本体はメイン・シャフト11回
りに自由に回転することが可能であり、平常時はこの回
転をロック装置４で固定している。操縦士がワイヤー７
を引くことにより、ロック装置４において、保持されて
いたＵロック13が外され、本体はメイン・シャフト軸11
を中心に自由となり、スプリング14により本体は水平方
向に向かい回転するが、一定の位置まで回転するとベー
ス12にあるピン15にロック装置16が噛み合い、噛み合い
後は回転することなく固定される。固定される位置はア
ンテナの最下部が着陸装置の最下部よりも上であればよ
いが、通常はアンテナポールが水平となる位置で固定さ
れる。

第５図にアンテナ昇降装置の緊急時の手段について示
す。

操縦士が操作する操縦装置17にレバー18を取り付け、こ
のレバー18を引くことによりケーブル７が引かれアンテ
ナ昇降装置のロック装置４内のＵロック13が外れ略水平
位置に固定される。

このアンテナ昇降装置のハネ上げ手段を設けたことによ
り、アンテナポールの上下作動装置の故障により、着陸
装置１より下側にアンテナが突出した状態で停止しても
安全に着陸することが可能となる。

第６図にはアンテナ昇降装置を制御する電気系統を示
す。

プラグ19から取られた機体電源はフューズ20を通り、パ
ワー・スイッチ21により接断を可能としている。アップ
・ダウン・コントロール・スイッチ22により、モーター
23を正逆いずれか任意の回転方向で回転させることがで
きる。

ポール・ネジ（第２図10）の上限、下限を制御するダウ
ン・ロック装置・リミット・スイッチ24及びアップ・ロ
ック装置・リミット・スイッチ25を装備することによ
り、アップ・ダウン・コントロール・スイッチ22を操作
しても限界位置以上にはポール・ネジは移動しないよう
になっている。アップ・ダウン・コントロール・スイッ
チ22、ダウン・ロック装置、リミット・スイッチ24及び
アップ・ロック装置・リミット・スイッチ25の接断と連
動してインジケーション・ランプ26のうちいずれかが点
灯するので、操縦士はアンテナ昇降装置のアンテナ・ポ
ール（第２図６）が上昇位置（26a）、下降位置（26b）
または作動中（26c）にあることを知ることができる。
また、緊急時アンテナ昇降装置をハネ上げた場合にも、
エマージェンシー・ロック装置・リミット・スイッチ27
によりインジケーション・ランプは26aが点灯するので
着陸可能状態であることを表示をする。着陸可能である
ことを表示するインジケーション・ランプは26aのみを2
6b、26cとは異なる色、例えば緑色で表示することによ
り、ヘリコプターが着陸可能状態にあるかどうかを容易
に知ることができる。またインジケーション・ランプ26
の確認をするためテストスイッチ28およびインジケーシ
ョン・ランプ回路を保護するためのフューズ29を設けて
いる。

これらのインジケーション・ランプ26a〜ｃはパワー・
スイッチ17、アップ・ダウン・コントロール・スイッチ
21、テストスイッチ28、フューズ29などとともに、アン
テナ昇降装置の操作盤としてヘリコプターの計器盤にと
りつけ、操縦士が操作することができるようにしてあ
る。

［考案の効果］ 本考案によれば、アンテナポールの上下作動により、機
体と電波が干渉しない位置にアンテナを降すことができ
るので、全方向に対し送受信が可能である。アンテナは
不使用時には着陸に障害のない位置に上げられるが、ア
ンテナポールの作動が故障した場合でも、アンテナ昇降
装置本体を着陸に障害のない位置に上げる緊急上昇手段
を設けたことにより、ヘリコプターが安全に着陸するこ
とができるので、安全性に優れており、実用的価値が極
めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のヘリコプターの着陸装置に装備したア
ンテナ昇降装置の一例の正面図、第２図はその側面図で
ある。 第３図はアンテナ昇降装置本体の拡大正面図、第４図は
その側面図である。 第５図はヘリコプターに装備したアンテナ昇降装置の装
備図及び緊急時のハネ上げ位置について示す。 第６図は本考案の一例の電気制御系のアンテナ・コント
ロール部とアンテナ昇降装置部の配線図である。 １……ヘリコプター着陸装置 ２……アンテナ昇降装置 ３……クランプ ４……ロック装置 ５……アンテナ ６……アンテナ・ポール ７……ワイヤー ８……モーター ９……ギャー 10……ポール・ネジ 11……メイン・シャフト 12……ベース 13……Ｕロック 14……スプリング 15……ピン 16……ロック装置 17……操縦装置 18……レバー 19……電源プラグ 20……フューズ 21……パワースイッチ 22……アップ・ダウン・コントロール・スイッチ 23……モーター 24……ダウン・ロック装置・リミット・スイッチ 25……アップ・ロック装置・リミット・スイッチ 26……インジケーション・ランプ 27……エマージェンシー・ロック装置・リミット・スイ
ッチ 28……テストスイッチ 29……フューズ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘリコプターに装着し、アンテナを昇降さ
   せる装置であって、使用時にアンテナの送受信電波が機
   体と干渉しない位置に下げるアンテナポールの上下作動
   手段と、アンテナ昇降装置本体を着陸装置の下端よりも
   上部位置に上昇させるアンテナ昇降装置本体の緊急上昇
   手段とを設けたことを特徴とするヘリコプターのアンテ
   ナ昇降装置。