JPH07323206A - 抗菌性エアフィルター - Google Patents

抗菌性エアフィルター

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JPH07323206A
JPH07323206A JP34922593A JP34922593A JPH07323206A JP H07323206 A JPH07323206 A JP H07323206A JP 34922593 A JP34922593 A JP 34922593A JP 34922593 A JP34922593 A JP 34922593A JP H07323206 A JPH07323206 A JP H07323206A
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邦夫 藤原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種浮遊微生物を迅速、確実に捕集し、捕集
した微生物に対して優れた抗菌作用を有する抗菌性エア
フィルターを提供する。 【構成】 クロロメチルスチレンのグラフト重合物を4
級アンモニウム化したイオン交換繊維1と、4−ビニル
ピリジンのグラフト重合物を4級アンモニウム化したイ
オン交換繊維2とを有する抗菌性エアフィルターであ
り、空調設備や家庭用エアコン等における空気清浄化シ
ステムに用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性エアフィルター
に係わり、特に、一般ビル、オフィスビル、病院、ホテ
ル等の空調設備や家庭用エアコン等における空気清浄化
システムに用いることのできる微生物の捕捉能と抗菌作
用に優れた抗菌性エアフィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、快適空間の要求や健康指向、環境
問題への関心の高まりに伴い、クリーンな環境空気(空
気の質の向上)に対する重要性も急増してきており、将
来的には空気清浄化システムの需要は非常に大きく発展
していくと予想される。空気中の浮遊微生物の除去・殺
菌に関しては、従来の空気清浄システムではエアフィル
ターによる空気ろ過法の他、静電的沈降(電気集塵)
法、薬剤殺菌法、紫外線照射法等が利用されているもの
の、微生物の捕集効率が優れている、装置や操作性が簡
便であること等から空気ろ過法が主流になっている。
【0003】しかしながら、空気中の浮遊物や浮遊微生
物が捕集されたエアフィルター上では微生物の繁殖が著
しく、また、堆積したほこりや微生物等の腐敗も伴って
フィルターの汚染や捕集効率の低下(フィルター寿命の
低下)、さらには微生物の漏出・飛散によるクリーン空
間の再汚染などが起こる。このような空調設備を経由し
た空気は、微生物によって呼吸器系をはじめとする健康
障害をも引き起こすとされている。
【0004】また、電子工業をはじめとして、生物、医
薬・薬学、食品加工分野等におけるクリーンルーム、原
子力分野での放射性物質の封じ込めや、遺伝子操作のた
めのバイオハザード施設などの高度な空気清浄化技術で
のエアフィルターには、HEPA(High Efficiency Pa
rticulate Air)フィルターやULPA(Ultra Low Pene
tration Air)フィルターが用いられている。これらは極
細のガラス繊維を材料にした高性能エアフィルターであ
るが、高価である上に、空調運転時には圧力損失が大き
くなること等の問題があり、また、このようなガラス繊
維に抗菌性の機能を付与することは抗菌機能の均一性等
で技術的にも困難な点が多い。このように、HEPAフ
ィルター・ULPAフィルターは高度な空気清浄性能を
有するものの、一般ビル等の汎用的なエアフィルターへ
の適用化には難しい面がある。
【0005】一方、近年では成形加工の簡便さや機能性
の多様化に合わせて、合成繊維による高性能なエアフィ
ルターへのアプローチも数多く行われるようになり、優
れた性能を有するエアフィルターが開発されてきてい
る。現在では、HEPA・ULPAフィルターのプレフ
ィルターや、一般ビル等での空調用フィルターに適用さ
れる中性能・粗塵用フィルターを対象に、不織布を材料
とした合成繊維のエアフィルターが多く用いられるよう
になり、その高機能化に対する要求も高くなってきてい
る。
【0006】従来、不織布等の合成繊維からなるエアフ
ィルターにおいては、空気中の微生物やほこり等を単に
捕集するだけの機能しかなく、このような用途の不織布
等に対して優れた抗菌性能を有する抗菌性エアフィルタ
ーとしての応用は少なかった。抗菌性を有するエアフィ
ルターの研究開発に関しては、様々な抗菌剤の応用によ
って進められており、現在多用されている抗菌剤として
は金属あるいは金属含有無機系粒子、第4級アンモニウ
ム塩系、有機シリコン第4級アンモニウム塩系であり、
その他にはアミン系、アルコール系、動物系高分子化合
物(キチン・キトサン)、フェニルアミド系、ジグアニ
ド系、脂肪酸エステル系、フェノール系等がある。
【0007】しかしこれらの抗菌剤の中では、抗菌性エ
アフィルターとして微生物を捕捉する機能が十分でなか
ったり、安全性が不十分であったり、抗菌性の耐久性に
欠けたり、抗菌活性が十分でない、といった諸々の問題
点がある。特に最近では、微生物細胞膜の破壊や細胞の
代謝機能阻害を引き起こすとされている銀イオン等の金
属イオンを利用した抗菌性機能の研究開発も行われてい
るが、エアフィルターとしては微生物の捕捉率が低いこ
と等で実用上の欠点を有している。
【0008】このような問題の中で、第4級アンモニウ
ム塩系化合物は優れた抗菌性を有すると共に、第4級ア
ンモニウム塩基を導入したイオン交換体では微生物を効
果的に捕捉することができる。最近では、例えば、ビニ
ルピリジン類を水不溶性ポリマーにグラフト共重合し、
このポリビニルピリジングラフト鎖の一部が4級化され
た水不溶性グラフト共重合体(特開平4−164035
号)や、クロロメチルスチレンとセチルジメチルアミン
から合成したセチルジメチル(ビニルベンジル)アンモ
ニウムクロリドとアクリロニトリルとのラジカル共重合
によって第4アンモニウム塩基を側鎖に持った高分子
〔アクリロニトリル−CO−セチルジメチル(ビニルベ
ンジル)アンモニウムクロリド〕〔ジャーナル オブ
アプライドポリマー サイエンス(J.Appl. Polym. S
ci.)、第37巻、第2837−2843頁(198
9)〕、さらには、4−ビニルピリジンとモノビニルモ
ノマーもしくは架橋性ジビニルモノマーとのビニル系共
重合体をハロゲン化物によって4級化し、このピリジニ
ウム基を有するビニル系共重合体をセルロースアセテー
トやニトロセルロース等の親水性樹脂の多孔質膜表面に
付着させると共に第4アンモニウムを付与した微生物吸
着膜(特開平4−252186号)等が開発されてきた
が、これらを実際にエアフィルター等として各種の微生
物を捕捉・除菌していくには、様々な微生物の存在する
空気環境に対しては十分に満足できる性能を有し得なか
った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の諸問題点を解決し、空気の清浄化において空気中
の塵、ほこり等の浮遊物や細菌類、真菌類等の各種の浮
遊微生物を簡便、迅速且つ確実にエアフィルター上に捕
集し、加えてエアフィルター上に捕集された微生物に対
して優れた抗菌作用をもたらし、微生物を殺菌させる機
能を有する抗菌性エアフィルターを提供することを課題
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明では、クロロメチルスチレンのグラフト重
合物を4級アンモニウム化したイオン交換繊維と、4−
ビニルピリジンのグラフト重合物を4級アンモニウム化
したイオン交換繊維とを有する抗菌性エアフィルターと
したものである。
【0011】本発明は、放射線照射済みの不織布にク
ロロメチルスチレン(以下、CMSと略す)をグラフト
重合し、このCMSグラフト不織布をトリメチルアミン
によって4級アンモニウム化したイオン交換繊維、放
射線照射済みの不織布に4−ビニルピリジン(以下、4
VPと略す)をグラフト重合し、この4VPグラフト不
織布をヨウ化メチルによって4級アンモニウム化したイ
オン交換繊維、の2種類のイオン交換繊維を組み合わせ
たフィルターが空気中の塵、ほこり等の浮遊物や細菌
類、真菌類等の浮遊微生物を非常に効率よく捕捉すると
共に、捕捉されたそれらの細菌類、真菌類に対して優れ
た抗菌性を示すことを見出したことによりなされた。
【0012】空気ろ過法による空気浄化においては、流
速が大きく接触時間が短いという条件にあるが、イオン
交換繊維を用いたエアフィルターでは、表面積が大き
い、反応速度が大きい、成形加工が容易である、と
いった特徴を持っていることから、空気浄化用エアフィ
ルターに本発明のようなイオン交換繊維を適用していく
ことは有効な手段である。
【0013】次に、本発明を詳細に説明する。本発明に
おけるグラフト重合は放射線グラフト重合法、化学的グ
ラフト重合法のいずれでも可能であるが、放射線グラフ
ト重合法では反応時に触媒や高温が不要であり、また、
放射線を照射して生成させたラジカルは低温下で長期保
存ができるので、放射線照射工程とグラフト重合工程と
を分離して行える等の製造上の長所を有する。グラフト
重合によるイオン交換繊維のエアフィルターでは、吸着
速度と吸着容量が大きいために、空気中に極低濃度で存
在する各種の浮遊微生物に対してイオン交換反応により
高精度に化学的に吸着・除去することが可能である。ま
た、イオン交換繊維によるエアフィルターは、物理的に
吸着・除去するエアフィルターとは異なって、吸着した
微生物は容易にはエアフィルターから剥離・離脱するこ
とはなく繊維上に強固に固定されるため、エアフィルタ
ーからの微生物の二次汚染の問題がない点も利点であ
る。
【0014】本発明において、CMSグラフト不織布を
トリメチルアミンを用いた4級アンモニウム化したイオ
ン交換繊維、及び、4VPグラフト不織布をヨウ化メチ
ルを用いて4級アンモニウム化したイオン交換繊維によ
って強い抗菌活性が発揮され、これらの第4級アンモニ
ウム塩が抗菌作用に働くものである。ここで、CMSグ
ラフト不織布を4級アンモニウム化したイオン交換繊
維、及び、4VPグラフト不織布を4級アンモニウム化
したイオン交換繊維は、空気中の浮遊微生物に対する抗
菌作用において微生物選択性がある。
【0015】すなわち、CMSグラフト不織布を4級ア
ンモニウム化したイオン交換繊維では主として空気中の
細菌類の生細胞を選択的に捕捉する傾向をもつと共にこ
れらの微生物に抗菌作用が働き、一方、4VPグラフト
不織布を4級アンモニウム化したイオン交換繊維では空
気中の細菌類と真菌類の生細胞に対して同様の捕捉・抗
菌作用をもたらす傾向を有する。したがって、これらの
両者のイオン交換繊維を組み合わせたフィルターによっ
て細菌類及び真菌類のいずれをも高度に清浄化した空気
を得ることができる。
【0016】本発明における2種類のイオン交換繊維を
組み合わせたエアフィルターにおいて、それらの組み合
わせ方法は、いずれのイオン交換繊維を気流方向の上流
側に置いても、空気中の浮遊物や浮遊微生物の捕捉性能
や抗菌効果は変わりはないが、好ましくはそれぞれのイ
オン交換繊維を交互に組み合わせてなるフィルターが空
気清浄化システムには効果的である。また、各イオン交
換繊維の設置間隔は特に設ける必要はなく、各々のイオ
ン交換繊維を交互に重ね合わせてなるフィルターによっ
て捕捉性能や抗菌効果は十分に示されるため、コンパク
トなフィルターシステムの供給が可能である。
【0017】放射線グラフト重合法によるこれらのイオ
ン交換繊維の合成の場合では、まず、放射線照射済みの
不織布にCMS、4VPを液相もしくは気相グラフト重
合する前照射法によるグラフト重合を行う。その後、3
級アミンにて4級アンモニウム化を行うが、4級アンモ
ニウム化に際しては、CMSグラフト不織布はトリメチ
ルアミンによって、また、4VPグラフト不織布はヨウ
化メチルによって4級アンモニウム化する方法が最適な
抗菌性効果を有するイオン交換繊維の製造法である。こ
れらのイオン交換繊維におけるイオン交換容量について
はグラフト率を変えることによってコントロールが可能
であり、さらには、グラフト率によってイオン交換繊維
表面の疎水性、親水性の強さも変えられることから、微
生物の捕捉作用において重要な要素である繊維表面と微
生物細胞との疎水性、親水性相互作用をコントロールす
ることにもつながる。
【0018】続いて、本発明のエアフィルターを用いた
空気清浄化フィルターシステムを図によって説明する。
図1では、CMSグラフト不織布を4級アンモニウム化
したイオン交換繊維1を最上流側に、4VPグラフト不
織布を4級アンモニウム化したイオン交換繊維2をその
下流側に組み、これを交互に組み合わせた場合のフィル
ターを示す。このようなフィルターの性能を十分に発揮
させ、且つクリーンな環境空気を常に居住空間に供給す
るための本発明のエアフィルターを用いた空気清浄化フ
ィルターシステムは、図2のごとく設置することが非常
に効果的である。
【0019】図2は非整流方式の空調設備への設置例を
示す。すなわち、空調設備を有する居住空間に対して、
外気の導入部にプレフィルター4を置いて簡単な空気ろ
過を施した後に抗菌性を有するフィルター5によって空
気を清浄化する。清浄化された空気は空調設備によって
温度、湿度等が適宜コントロールされ、これを再度空気
清浄化フィルター5をもって清浄化処理した空気を居住
空間に供給する。一方、居住空間から排出される空気に
対してもフィルター5によって空気清浄化を行い外部へ
排出すると共に、省エネルギー化を考慮して必要に応じ
てその一部を空調設備に戻して再循環させる。なお、空
気清浄化においては室内の気流も重要であるが、本発明
の空気清浄化フィルターシステムは図2に示す非整流方
式以外にも水平整流方式、垂直整流方式の空調設備に対
しても何ら変わらない空気清浄化性能を発揮することが
できる。
【0020】抗菌性エアフィルターとしての作用機構は
次のとおりである。微生物細胞の表面は通常負に帯電し
ていることが電気泳動法及びコロイド滴定法によって明
らかにされている。このことを利用して、放射線グラフ
ト重合により作成したイオン交換フィルターにて微生物
を捕捉する。CMSや4VPを放射線グラフト重合して
これを4級アンモニウム化したエアフィルターでは、第
4級アンモニウム塩基の作用により捕捉された微生物に
対して抗菌性が発現する。すなわち、細胞膜に存在する
酵素の代謝機能が阻害され、特に呼吸機能が破壊され
る。そして細胞膜の構造が変化し、次いで細胞膜、細胞
壁に孔が生じて破壊され、細胞質が漏出して死に至る。
本発明での第4級アンモニウム塩は非溶出タイプである
ので、抗菌剤成分の細胞内には侵入せず、細胞の核や遺
伝子に影響を及ぼさないので耐性菌はできない。
【0021】
【実施例】以下に、本発明の実施例を記載して本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。 実施例1 本発明の抗菌性エアフィルターを次のようにして製造し
た。 ポリプロピレンとポリエチレンよりなる複合繊維(繊
維径平均20μm)の不織布(目付:50g/m2 、厚
さ:0.2mm)を未処理素材とした。
【0022】上記不織布を窒素雰囲気下でγ線を20
0kGy 照射し、予め窒素バブリングしてある精製済みの
クロロメチルスチレン(CMS)に浸漬し、45℃、8
時間反応させて、グラフト率163%のCMSグラフト
不織布を得た。次に、このCMSグラフト不織布を10
%トリメチルアミン水溶液に浸漬し、50℃、3時間反
応させて4級アンモニウム化し、イオン交換密度2.4
3 meq/gの性能を有する強塩基性アニオン交換繊維を
得た。さらに、このイオン交換繊維はNaOHの5%水
溶液で再生した。このようにして500mm×2000mm
の大きさのイオン交換繊維が製造され、厚さは1.2〜
1.3mmで一定化しており、折り曲げ等のエアフィルタ
ーとしての成形加工も容易であった。このようにして得
たフィルターを以後、単にCMSフィルターと略す。
【0023】同不織布を同条件下で放射線照射した
後、4−ビニルピリジン(4VP)液に浸漬し、50
℃、7時間反応後、グラフト率180%の4VPグラフ
ト不織布を得た。次いで、これをヨウ化メチル20%ア
セトン溶液に浸漬して室温で5時間反応させて4級アン
モニウム化し、強塩基性アニオン交換繊維を得た。この
ようにして製造されたイオン交換繊維(大きさ:500
mm×2000mm)は、厚さが2.0〜2.2mmで一定し
ており、エアフィルターとしての成形加工も容易であっ
た。このようにして得たフィルターを以後、単に4VP
フィルターと略す。
【0024】上記において製造されたCMSフィル
ターとにおいて製造された4VPフィルターの各々
を、縦2000mm×横250mmの大きさ1枚ずつそろえ
て重ね合わせ、これを図3及び図4の如く縦230mm×
横250mm×幅50mmのステンレス製の枠に20段に均
一に織り重ねて成形加工し、抗菌性エアフィルターとし
た。また、上記とにて製造されたCMSフィルター
及び4VPフィルターを縦230mm×横250mmの大き
さにそれぞれ3枚ずつ調整し、それらを平形のまま交互
に重ね併せて成形加工して、図5及び図6の如く抗菌性
フィルター(フィルターの実幅:9.5mm)を作成し
た。
【0025】ここで製造されたCMSフィルターと4V
Pフィルターは各々異なったグラフト率を有する強塩基
性のイオン交換繊維であり、これら2種類を組み合わせ
た抗菌性エアフィルターでは互いに異なった親水性を有
すると共に、異なったイオン交換官能基を用いることに
よって微生物に対してより効率的な吸着特性を有するも
のである。この抗菌性エアフィルターでは、細胞表面
(蛋白質や多糖類等の構成成分や表面荷電、膜構造等)
が多種多様である様々な微生物を非常に効率よく捕捉・
除菌することが可能である。
【0026】実施例2 実施例1で製造したフィルターを用いた場合の抗菌性を
試験した。なお、評価試験に際しては、予め試験フィル
ターを紫外線照射により殺菌処理したものを用いた。空
気清浄度を高度に管理した生物・化学研究施設内の実験
室の空気を対象に、各試験フィルターにて通気してこれ
を通過した微生物を捕集液中に捕らえ、そこでの微生物
の生菌数と全菌数を計数し、さらに、試験フィルター上
に捕集された微生物の状態を培養、観察してフィルター
の微生物除去能及び抗菌性能を評価した。
【0027】本試験では直径47mmの試験フィルターに
0.2m/sec の面風速で43.75時間通気した。生
菌数の計数にはメンブランフィルター法を用い、一定量
の捕集液をメンブランフィルター(孔径0.22μm)
でろ過した後、標準寒天培地及びPDA寒天培地上にこ
のフィルターを置いて28℃で2日間培養して表面に現
れたコロニーを計数した。計数したコロニーはコロニー
形成単位(Colony-Forming-Unit, CFU) として表現し、
通気容積1m3 当りに換算して生菌数を求めた。全菌数
はアクリジンオレンジ染色法を用い、通気容積1m3
りに換算して全菌数(cells)を求めた。また、試験フィ
ルターの抗菌性の判定には、通気後の試験フィルターを
寒天培地を薄く重層した寒天平板重層法により培養する
ことによってフィルター上に捕集された微生物の状態や
生育度合を観察して評価を行った。抗菌性の評価は5段
階で表現した。
【0028】試験結果を表1に示す。表1より、CMS
及び4VPのイオン交換フィルターを組み合わせた試験
区は空気清浄度の高い空気環境条件下において優れた微
生物除去能と抗菌性能を示すことが明らかである。
【0029】
【表1】
【0030】抗菌性の評価基準 5:フィルターを重層した寒天平板上の全面に微生物が
計数できないほどに著しく生育。 4:フィルターを重層した寒天平板上に微生物数として
100〜300個生育。 3:フィルターを重層した寒天平板上に微生物数として
30〜100個生育。 2:フィルターを重層した寒天平板上に微生物数として
1〜30個生育。 1:フィルターを重層した寒天平板上に微生物の生育が
全く認められず。
【0031】実施例3 機械工作作業場の空気を対象に、上記の実施例2と同様
の試験を行った。試験では、直径47mmの試験フィルタ
ーに0.2m/sec の面風速で45.5時間通気した。
試験結果を表2に示す。
【0032】
【表2】 抗菌性評価の基準は表1と同じ。
【0033】実施例4 下水処理場の活性汚泥の曝気気相を対象に、上記の実施
例2と同様の試験を行った。試験では、直径47mmの試
験フィルターに活性汚泥の曝気気相を0.2m/sec の
面風速で44.1時間通気した。試験結果を表3に示
す。表3より、CMS及び4VPのイオン交換フィルタ
ーを組み合わせた試験区では活性汚泥の曝気気相中の微
生物に対しても優れた微生物除去能と抗菌性能を有して
おり、非常に微生物汚染の激しい空気環境に対しても本
フィルターシステムは効果的に働くことがわかる。
【0034】
【表3】 抗菌性評価の基準は表1と同じ。
【0035】
【発明の効果】クロロメチルスチレンのグラフト不織
布、及び、4−ビニルピリジンのグラフト不織布のそれ
ぞれを4級アンモニウム化して得られるイオン交換繊維
を組み合わせて抗菌性エアフィルターに用いれば、空気
中の塵、ほこり等の浮遊物や細菌類、真菌類等の各種浮
遊微生物を非常に効率よく捕捉することが可能であり、
且つ、捕捉された微生物に対して強い抗菌作用を持ち、
また、その抗菌活性は耐久性を有する。この抗菌性エア
フィルターを用いる空調用フィルターシステムは、各種
産業分野での空調設備や家庭用エアコン、さらには、特
殊化した分野として病院での感染微生物の殺菌を対象と
した空気浄化等、幅広い用途に使用することが可能であ
り、産業上極めて有意義な技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる抗菌性を有するエアフィルター
の一例を示す概要図。
【図2】本発明のエアフィルターを用いた空気清浄化フ
ィルターシステムの効果的な設置例を示す概要図。
【図3】本発明の抗菌性エアフィルターの一例を示す斜
視図。
【図4】図3の部分拡大図。
【図5】本発明の抗菌性エアフィルターの他の例を示す
斜視図。
【図6】図5の縦断面図。
【符号の説明】
1:CMSグラフト不織布を4級アンモニウム化したイ
オン交換繊維、2:4VPグラフト不織布を4級アンモ
ニウム化したイオン交換繊維、3:枠、4:プレフィル
ター、5:抗菌性を有する空気清浄化フィルターシステ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北川 政美 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 遠矢 泰典 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 藤原 邦夫 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 河津 秀雄 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロロメチルスチレンのグラフト重合物
    を4級アンモニウム化したイオン交換繊維と、4−ビニ
    ルピリジンのグラフト重合物を4級アンモニウム化した
    イオン交換繊維とを有する抗菌性エアフィルター。
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