JPH0731989Y2 - ポジショナ従動部反転装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は工業用ロボットの技術分野で利用され、特にポ
ジショナ従動部の反転装置に関するものである。

（従来の技術） 工業用ロボットによるワークの加工は、通常ワークの両
端部を例えば一軸ポジショナで保持して行われている。
そして、ワークの側面もしくは下面にある部位を加工す
るときは、各加工部位が工業用ロボットで容易に加工で
きるように、加工部位の向きを一軸ポジショナの回動に
よって工業用ロボット先端部の作動範囲に適合させてい
る。

（考案が解決しようとする課題） しかし、上記従来の一軸ポジショナは、ワークの両端部
を保持するための駆動部取付治具と従動部取付治具にわ
かれるとともに、両者間の距離を伸縮可能に配置されて
いて、ワークは駆動部取付治具に設けた駆動手段によっ
て必要な回動角が与えられ、従動部取付治具はワークと
ともに回動するように構成されていた。

したがって、一軸ポジショナに搬入された未加工のワー
クが回動動作を繰り返して加工し、この加工済のワーク
が搬入時の姿勢から180°異なった状態で一軸ポジショ
ナから搬出された場合に、駆動部取付治具は駆動手段で
反転してワークの取付可能な姿勢に復帰できるが、従動
部取付治具を反転するためには駆動手段が代わって多く
の人力を必要とするだけでなく、安全管理上も好ましく
ないという不都合がある。

そこで、従動部取付治具にもクラッチ付駆動手段を設け
てワーク搬出後はクラッチを入れて従動部取付治具を反
転させ、ワーク加工時はクラッチを切って駆動部取付治
具の回動動作に追随させるようにしたものも知られてい
るが、クラッチ付駆動手段および制御装置の増設によっ
て設備コストが増大するという問題がある。

本考案はこのような従来の事情から見て、ポジショナの
従動部取付治具が駆動手段等を必要としない簡単な構造
で搬出時の姿勢から搬入時の姿勢に復帰できるようにし
たポジショナ従動部反転装置を提供するにある。

（課題を解決するための手段） 本考案のポジショナ従動部反転装置は、ポジショナが駆
動部と従動部とにわかれて配置されたこの従動部を、ワ
ーク搬出後の姿勢からワーク搬入時の姿勢に復帰させる
ポジショナ従動部反転装置であって、従動部におけるワ
ーク取付治具と一体的に回動し得るように設けられた巻
取ドラムと、この巻取ドラムに一端部が固定されてお
り、前記ワーク取付治具が駆動部に追従して回動するこ
とにより巻取ドラムに巻き取られる可撓条体と、この可
撓条体に接続されており、可撓条体が巻取ドラムに巻取
られた際に、可撓条体を巻取ドラムから引き出すように
反力が蓄積されるバランサと、を具備することを特徴と
する。

（作用） 上記の手段による作用は、ポジショナ従動部反転装置に
ワークを搬入して従動部がワークを介して駆動部の回動
動作に追随するとき、ワーク取付治具と一体的に回動す
る巻取ドラムは可撓条体を巻取るとともに、この可撓条
体は牽引されるバランサには、可撓条体を巻取ドラムか
ら引き出す反力が蓄積される。ポジショナからワークを
搬出して従動部が駆動部から切り離されると、従動部は
バランサの反力によってワーク搬出時の姿勢からワーク
搬入時の姿勢に復帰される。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。

第３図に示すポジショナ１は一軸方式のもので駆動部２
と従動部３とにわかれていて、駆動部２および従動部３
は基台４上に移動可能に乗架された駆動側架台５および
従動側架台６により支持されるとともに、対向間隔が調
節可能となされている。

前記駆動部２はワークＷを保持して回動させるもので、
ブレーキ付減速モータ等の駆動手段７と、この駆動手段
７の出力軸7aに連結された駆動側ワーク取付治具８とを
主要部として構成されている。

前記従動部３は第１図および第２図に示すように、前記
従動側架台６上に固設された軸台９に従動側ワーク取付
治具10が回動可能に支持されて駆動部２の回動動作にワ
ークＷを介して追随させるとともに、反転装置11を備え
ている。

反転装置11は加工済のワークＷ搬出後の従動部３の姿
勢、すなわち従動側ワーク取付治具10の姿勢（取付座10
aが第２図の鎖線に位置したときの姿勢）から未加工の
ワークＷ搬入時の姿勢（取付座10aが第２図の実線に位
置したときの姿勢）に復帰させるためのもので、従動側
ワーク取付治具10に、この従動側ワーク取付治具10と一
体的に回動可能な両鍔付の巻取ドラム12が設けられてい
る。そして、この巻取ドラム12にフレキシブルホース等
の可撓条体13の一端部13aが固定される一方、この可撓
条体13の他端部13bには、巻取ドラム12に巻取られた可
撓条体13を引き出すためのバランサ14が、前記他端部13
bを移動させながら回転する動滑車15を介して設けられ
るとともに、可撓条体13の固定端部13cは、従動側架台
６に固定されている。

前記軸台９にピンケース16が設けられ、このピンケース
16に挿通した位置決めピン17は先端テーパ部17aが、シ
リンダ18により巻取ドラム12のワークＷ搬入時のテーパ
穴19とワークＷ搬出時のテーパ穴20とに対して係脱可能
とされている。

前記可撓条体13の内腔には、巻取ドラム12と従動側架台
６との間に設けたリミットスイッチ（図示省略）に接続
するための配線等が収容されている。

21はスタンドで前記バランサ14を吊り下げ支持するハン
ガ22が高さ調節可能に嵌挿されている。

次に、上記実施例の作用について説明する。

ポジショナ１に未加工のワークＷが搬入されてその両端
部が駆動側ワーク取付治具８および従動側ワーク取付治
具10に固定された搬入時の姿勢（第３図）の状態で巻取
ドラム12のテーパ穴19から位置決めピン17を離脱させ
る。そして、駆動手段７が起動されると、この回動動作
は駆動側ワーク取付治具８、ワークＷおよび従動側ワー
ク取付治具10を経て巻取ドラム12に伝達される。このと
き、可動条件13は巻取ドラム12に巻取られるとともに、
動滑車15を介してバランサ14を下方に引き寄せることに
より、バランサ14には動滑車15を上方に付勢する反力が
蓄積される。

その後、ワークＷが搬入時の姿勢から180°回動して加
工が完了すると駆動手段７を停止するとともに、巻取ド
ラム12のテーパ穴20に位置決めピン17を係合してワーク
Ｗがポジショナ１から搬出される。

ここで、駆動側ワーク取付治具８は駆動手段７によりワ
ーク搬入時の姿勢に復帰される。従動側ワーク取付治具
10は位置決めピン17が巻取ドラム12のテーパ穴20から離
脱されると、バランサ14に蓄積された反力により動滑車
15が上方に引き上げられる。したがって、可撓条体13は
動滑車15の上昇移動とともに巻取ドラム12から引き出さ
れ、従動側ワーク取付治具10は搬出時の姿勢から搬入時
の姿勢に復帰される。

なお、前記可撓条体13は他端部13bを直接バランサ14に
接続した構成に代えてもよく、また、バランサ14は垂錘
式のものを適用して可撓条体13の他端部13bに連結する
とともに、可撓条体13の中間部を定滑車等に巻き掛けた
構成としてもよい。

（考案の効果） 本考案は、ポジショナの従動部をワーク搬出後の姿勢か
らワーク搬入時の姿勢に復帰させるための反転手段が、
ワーク取付治具と一体的に回動可能な巻取ドラムと、こ
の巻取ドラムに一端部が固定された可撓条体と、この可
撓条体に接続されたバランサとで構成されたものである
から、従動部を反転させる駆動手段が不要であり、また
駆動手段に連係させる制御装置も不要となって設備費が
著しく低減されるだけでなく、構造が簡単で取扱いや保
守管理がきわめて容易であるなどの実用上の利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図はポジシ
ョナ従動部の正面図、第２図は第１図のII−II矢視の側
面図、第３図はポジショナの全体を示す正面図である。 １…ポジショナ、２…駆動部 ３…従動部 10…従動側ワーク取付治具 11…反転装置、12…巻取ドラム 13…可撓条体、14…バランサ Ｗ…ワーク

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ポジショナが駆動部と従動部とにわかれて
   配置されたこの従動部を、ワーク搬出後の姿勢からワー
   ク搬入時の姿勢に復帰させるポジショナ従動部反転装置
   であって、 従動部におけるワーク取付治具と一体的に回動し得るよ
   うに設けられた巻取ドラムと、 この巻取ドラムに一端部が固定されており、前記ワーク
   取付治具が駆動部に追従して回動することにより巻取ド
   ラムに巻き取られる可撓条体と、 この可撓条体に接続されており、可撓条体が巻取ドラム
   に巻取られた際に、可撓条体を巻取ドラムから引き出す
   ように反力が蓄積されるバランサと、 を具備することを特徴とするポジショナ従動部反転装
   置。