JPH07316716A - 窒素含有焼結硬質合金 - Google Patents

窒素含有焼結硬質合金

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JPH07316716A
JPH07316716A JP6105584A JP10558494A JPH07316716A JP H07316716 A JPH07316716 A JP H07316716A JP 6105584 A JP6105584 A JP 6105584A JP 10558494 A JP10558494 A JP 10558494A JP H07316716 A JPH07316716 A JP H07316716A
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和孝 磯部
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圭一 津田
Akihiko Ikegaya
明彦 池ヶ谷
Nobuyuki Kitagawa
信行 北川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 厳しい熱衝撃を受ける条件下での加工におい
ても、表面被覆を施すことなくかつ高い信頼性を有する
切削工具として使用可能な窒素含有焼結硬質合金を提供
する。 【構成】 Ti,6A族金属およびWCを所定組成含む
硬質相を75重量%以上95重量%以下、Ni,Coお
よび不可避不純物を含む結合相を5重量%以上25重量
%以下含み、Tiを炭化物などに換算して5重量%以上
60重量%以下、周期律表6A族金属を炭化物に換算し
て30重量%以上70重量%以下含有し、かつ、硬質相
の窒素/(炭素+窒素)が原子比で0.2以上0.5未
満であり、最表面に結合相金属とWCとを含む軟質層が
存在し、該軟質層の直下に3μm以上30μm以下の厚
みでWCを含む硬質相がほとんど存在しない層が存在す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒素含有焼結硬質合金
に関し、特に、切削加工用工具の材質としての耐熱衝撃
性、耐摩耗性および強度の向上を図り、かつ湿式切削へ
の適用を可能にする窒素含有焼結硬質合金に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】Tiを主成分とする炭窒化物などを硬質
相とし、これをNiおよびCoを含む金属で結合した窒
素を含有する焼結硬質合金が、切削工具として既に実用
化されている。この窒素含有焼結硬質合金は、従来の窒
素を含有しない焼結硬質合金に比べて硬質相が著しく微
粒になり、その結果耐高温クリープ特性が大幅に改善さ
れるため、WCを主成分としたいわゆる超硬合金と並ん
で、切削工具として広く使用されてきている。
【0003】しかしながら、この窒素含有焼結硬質合金
は、 主成分であるTiの炭窒化物の熱伝導度が超硬合金
の主成分であるWCの熱伝導度に比べて著しく小さいた
め、この窒素含有焼結硬質合金の熱伝導度は超硬合金の
熱伝導の約2分の1であること、 熱膨張係数も、熱伝導度と同様に主成分の特性値に
依存するため、窒素含有焼結硬質合金の熱膨張係数は超
硬合金の熱膨張係数の約1.3倍になること、などの理
由により、熱衝撃に対する抵抗が低くなる。そのため、
たとえばフライス切削や角材の旋盤による切削加工、あ
るいは切込みが大きく変動する湿式での倣い切削などの
ように特に熱衝撃が厳しくなる条件下での切削において
は、被覆超硬合金などに比べて、窒素含有焼結硬質合金
の信頼性が低いという問題があった。
【0004】このような窒素含有焼結硬質合金の従来の
問題点を解消するため、以下に示すようなさまざまな改
良が試みられている。たとえば、特開平2−15139
号公報には、Tiを炭化物などに換算して50重量%以
上、Wなどの6A族元素を炭化物換算で40重量%未
満、N/(C+N)の原子比が0.4〜0.6の窒素含
有量の高いものを、焼結雰囲気を制御して表面粗さを向
上させ、表層部に高い靱性と硬度とを有する改質部を形
成させることが提案されている。また、特開平5−96
46号公報には、Tiを主成分とし、W,Mo,Crを
炭化物換算で合計40重量%未満含有したものを焼結後
の冷却工程を制御して、表面部に内部よりも結合相の減
少した領域を形成し、表面に圧縮応力を残すサーメット
が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記いず
れの公報に開示されたサーメットにおいても、耐摩耗性
および靱性は向上しているが、被覆超硬合金に比べれて
耐欠損性は不十分である。また耐熱衝撃性に乏しく、特
に、熱亀裂の発生や、熱衝撃および機械的衝撃の両者に
起因する亀裂の進展による突発欠損が生じやすく、十分
な信頼性が得られない。すなわち、このような先行技術
では、コーティング工程を省略することによって製造コ
ストが下がるものの、性能的にはそれに見合っただけの
ものしか発揮できない。これは、ある程度以上のTiの
含有を前提としたいわゆるサーメットという範疇におい
ては、欠損に対する強度向上を図ることに自ずと限界が
あるということを示している。
【0006】そこで本発明者らは、種々の切削における
温度分布などの切削現象の解析と、工具内の材料成分の
配置との詳細な研究を行なった結果、以下の知見を得
た。
【0007】切削中において切削部は被削材と接触して
いる切れ刃表面部分やすくい面の切り屑の擦過していく
部分など、部分的に高温環境にさらされる。サーメット
と超硬合金とを比較すると、上述のようにサーメットは
熱伝導度が超硬合金の2分の1程度であるため、表面で
発生する熱が内部へ拡散しにくく、表面は高温であるに
もかかわらず内部では急激に温度が低下するという状態
が生じる。このような状態においては一度亀裂が入る
と、著しく欠損しやすくなるという問題がある。さら
に、高温のサーメットが水溶性切削油によって急冷却さ
れたり、切削空転して冷却されたりすると、その極表面
部分のみが急冷されることになる。
【0008】サーメットと超硬合金とを比較すると、上
述のようにサーメットは熱膨張係数が超硬合金の約1.
3倍であるため、表層部に引張り応力が発生し、熱亀裂
が非常に発生しやすくなる。いずれの特性も耐熱衝撃性
では、超硬合金よりもサーメットのほうが不利である。
【0009】さらに、同一粒度および同一結合相量で見
た場合、サーメットは超硬合金に比べて破壊靱性値も3
0ないし50%低下するため、合金内部での亀裂進展抵
抗も低くなる。
【0010】すなわち、窒素含有焼結硬質合金におい
て、切削仕上げ面を良好にできかつ資源的にも有利なT
iを多量に含有したまま、熱伝導度の向上、熱膨張係数
の低減、および亀裂進展抵抗の向上を図ることには、限
界があるという問題があった。
【0011】本発明は、従来は高価な被覆超硬合金でし
か使用できなかった、厳しい熱衝撃を受ける条件下での
加工領域においても、表面被覆を施すことなくかつ高い
信頼性を持って切削工具として使用可能な窒素含有焼結
硬質合金を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の窒素含有焼結硬
質合金は、組織的に従来の窒素含有焼結硬質合金に比べ
て内部にWCを多く存在させ、亀裂進展に対する抵抗を
向上させることを狙いとしている。WCを多く配合させ
ると、従来の窒素含有焼結硬質合金においては、合金表
面へのWC粒子が出現して、いわゆるP種と呼ばれてい
る工具材料となるが、この工具材料は切削仕上げ面の性
状が低い。そのため、耐アブレッシブ摩耗性も、いわゆ
るサーメットや被覆超硬合金に比べると格段に劣るもの
となっていた。
【0013】しかしながら、焼結を特定の高窒素雰囲気
で行なうと、切削仕上げ面の性状を決定する、工具の最
表面に存在する軟質層、すなわちいわゆる染み出し層直
下から特定の深さまでの表面部分の、WC粒子を消失さ
せ得ることが判明した。これにより、耐アブレッシブ摩
耗性や耐クレーター摩耗性が大幅に向上できること、そ
れに加えて冷却を真空などの脱炭雰囲気で行なうと、表
面層付近は結合相量が減少し、それと同時に硬質相粒子
にWなどの6A族金属が多く固溶する。また、結合相量
勾配により熱膨張係数差に起因する表面部への圧縮応力
が発生することなどの効果により合金表面が硬化し、か
つ靱性を向上させることができ、その結果、耐摩耗性や
靱性、耐熱衝撃性を顕著に向上させ得ることが可能にな
った。
【0014】そこで、本発明の請求項1に記載の窒素含
有焼結硬質合金は、(Ti・Wx y )(Cu 1-u
(ただし、MはWを除く周期律表6A族金属の少なくと
も1種、0<x<1,0≦y≦0.9,0≦u<0.
9)およびWCを含む硬質相を75重量%以上95重量
%以下、Ni,Coおよび不可避不純物を含む結合相を
5重量%以上25重量%以下含み、Tiを炭化物、窒化
物あるいは炭窒化物に換算して5重量%以上60重量%
以下、周期律表6A族金属を炭化物に換算して30重量
%以上70重量%以下含有し、かつ、前記硬質相の窒素
/(炭素+窒素)が原子比で0.2以上0.5未満であ
り、最表面に結合相金属とWCとを含む軟質層が存在
し、該軟質層の直下に3μm以上30μm以下の厚みで
WCを含む硬質相がほとんど存在しない層を有すること
を特徴とする。
【0015】また、請求項2に記載の窒素含有焼結硬質
合金は、上記請求項1に記載の組成において、WCを含
む硬質相がほとんど存在しない層から、最表面からの最
大深さ1mmまで、内部に向かってWCを含む硬質相の
存在量が漸次増加することを特徴とする。
【0016】さらに、請求項3に記載の窒素含有焼結硬
質合金は、上記請求項1または2に記載の組成におい
て、WCを含む硬質相の存在量が、最表面から1mm以
上の深さの内部において5体積%以上50体積%未満で
あることを特徴とする。
【0017】本発明の請求項4に記載の窒素含有焼結硬
質合金は、(Ti・Wx y )(Cu 1-u )(ただ
し、MはTi,Wを除く周期律表4A,5A,6A族金
属の少なくとも1種、0<x<1,0<y≦0.9,0
≦u<0.9)およびWCを含む硬質相を75重量%以
上95重量%以下、Ni,Coおよび不可避不純物を含
む結合相を5重量%以上25重量%以下含み、Tiを炭
化物、窒化物あるいは炭窒化物に換算して5重量%以上
60重量%以下、周期律表6A族金属を炭化物に換算し
て30重量%以上70重量%以下、Ta,Nbの合計含
有量を炭化物、窒化物あるいは炭窒化物に換算して2重
量%以上15重量%以下、V,Zr,およびHfの合計
含有量を炭化物、窒化物あるいは炭窒化物に換算して5
重量%以下含有し、かつ、硬質相の窒素/(炭素+窒
素)が原子比で0.2以上0.5未満であり、最表面に
結合相金属およびWCを含む軟質層が存在し、該軟質層
の直下に3μm以上30μm以下の厚みでWCを含む硬
質相がほとんど存在しない層を有することを特徴とす
る。
【0018】また請求項5に記載の窒素含有焼結硬質合
金は、上記請求項4に記載の組成において、前記WCを
含む硬質相がほとんど存在しない層から、最表面からの
最大深さ1mmまで、内部に向かってWCを含む硬質相
が漸次増加することを特徴とする。
【0019】さらに、請求項6記載の窒素含有焼結硬質
合金は、上記請求項4または5に記載の組成において、
前記WCを含む硬質相の存在量が、最表面から深さ1m
m以上の内部において5体積%以上50体積%未満であ
ることを特徴とする。
【0020】
【作用】請求項1に記載の本発明の窒素含有焼結硬質合
金によれば、まず、硬質相の含有量が75重量%以上9
5重量%以下としている。これは、硬質相が75重量%
未満では耐摩耗性、耐塑性変形性の低下が著しく、95
重量%を超えると強度および靱性が不足するためであ
る。またTiの含有量を炭化物などに換算して5重量%
以上60重量%以下としたのは、5重量%未満では耐摩
耗性が所望のレベルに達せず、60重量%を超えると靱
性が劣化するためである。このTiの含有量は、5重量
%以上50重量%以下であることが望ましく、20重量
%以上50重量%以下であることが特に望まれる。
【0021】周期律表6A族金属を炭化物に換算して3
0重量%以上70重量%以下としたのは、30重量%未
満では所望の靱性が得られず、70重量%を超えるとW
C粒子が表面にも多く残存するようになり、耐摩耗性が
不十分となって好ましくないからである。この周期律表
6A族金属を炭化物に換算した含有量は、40重量%以
上70重量%以下であることが望ましく、40重量%以
上60重量%以下であることが特に望ましい。
【0022】また、硬質相の窒素/(炭素+窒素)の原
子比を0.2以上0.5未満としたのは、この原子比が
0.2未満であると靱性および耐摩耗性ともに所望のレ
ベルに達せず、0.5を超えると焼結性が低下し、靱性
が劣化するためである。この原子比は、0.2以上0.
4未満であることが望ましい。
【0023】さらに、WCを含む硬質相がほとんど存在
しない層、具体的には1体積%以下である層の厚みを、
最表面の結合相金属とWCとからなる軟質層の直下にお
いて3μm以上30μm以下としたのは、3μm未満で
は所望の耐アブレッシブ摩耗性および耐クレータ摩耗性
を得ることができず、30μmを超えると亀裂進展抵抗
を促進する効果が発揮されず、その結果靱性が低下する
ためである。
【0024】本発明の請求項2に記載の窒素含有焼結硬
質合金によれば、WCを含む硬質相が1体積%以下の層
から、最表面から最大深さ1mmまで、内部に向かって
WCを含む硬質相の存在量が漸次増加することにより、
WCが存在する領域と存在しない領域との境界における
WC含有分布の急激な変化が防止され、その境界での残
留応力の発生が緩和される。
【0025】本発明の請求項3に記載の窒素含有焼結硬
質合金において、WCを含む硬質相が、最表面から最大
深さ1mm以上の内部において、5体積%以上50体積
%未満であるとしたのは、5体積%未満では所望の靱性
向上効果が得られず、50体積%では表層部分の熱衝撃
に対する靱性と合金の耐塑性変形性が低下するためであ
る。
【0026】さらに、上記請求項1に記載の窒素含有焼
結硬質合金の硬質相の組成に代えて、請求項4に記載の
組成のように、Wを除く周期律表6A族金属に加えて、
Tiを除く周期律表4A族金属および/または5A族金
属を含有し、Ta,Nbの合計含有量を炭化物、窒化物
あるいは炭窒化物に換算して2重量%以上15重量%以
下とし、V,Zr,Hfの合計含有量を炭化物、窒化物
あるいは炭窒化物に換算して5重量%以下含むことによ
っても、請求項1に記載の組成と同様の作用効果を有す
る。Ta,Nbの炭化物等に換算した合計含有量が2重
量%未満では耐クレーター摩耗性が向上せず、15重量
%を超えると耐欠損性が低下する。V,Zr,Hfは高
温における強度や硬度を向上させるために含有すること
が好ましいが、炭化物等に換算した合計含有量が5重量
%を超えると、焼結性が低下し、その結果耐欠損性も低
下する。
【0027】請求項5および6に記載の窒素含有焼結硬
質合金の作用効果は、請求項2および3に記載の構造の
作用効果と同様である。
【0028】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0029】実施例1 平均粒径が2μmで、有芯構造の外郭部分が、反射電子
顕微鏡像で純白に見え、芯部分が真っ黒に見える(Ti
0.85Ta0.04Nb0.040.07)(C0.560.44)粉末
と、平均粒径が0.7μmのWC粉末と、平均粒径1.
5μmのNi粉末とCo粉末とを、それぞれ45重量
%、40重量%、7重量%、8重量%の割合で、湿式混
合後、型押し成形し、10-2Torrの真空中で120
0℃で脱ガスした。その後、窒素ガス分圧30Torr
で、1450℃で1時間焼結後、真空中で5℃/分で冷
却し、試料1を形成した。この試料1のTi含有量はT
iCN換算で34重量%、W含有量はWC換算で45重
量%、TaおよびNbの含有量はTaC+Nb換算で6
重量%であった。またN/(C+N)は、原子比で0.
3となった。軟質層直下から厚さ10μmの領域におい
ては、WC粒子が全く存在せず、最表面から1mmの深
さにおける内部のWCを含む硬質相の存在量は15体積
%となっていた。
【0030】比較のために、従来の製法によって形成し
たサンプルとして、試料2ないし4を形成した。試料2
は、試料1と同一の型押し成形体を窒素分圧5Tor
r、1400℃で焼結したものである。また、試料3
は、試料2と同一の焼結体を、焼結後にCO分圧200
Torrで冷却したものである。また試料4は、試料2
と同一の焼結体を、焼結後に窒素分圧180Torrで
冷却したものである。
【0031】試料2ないし4の構造は、軟質層直下のW
Cを含む硬質相の存在量が、それぞれ10体積%、15
体積%、5体積%であった。さらに、試料1と同一原料
に加えて、平均粒径1〜3μmのTaC、NbC、Zr
C、VCを使用し、下記の表1に示す重量比率で配合
し、試料1と同様の工程で焼結合金を形成し、表1に示
す換算含有量を有する試料5ないし10とした。Ni,
Co,ZrC,VCは、換算含有量が配合組成とほぼ同
じ量であるため、記載を省略した。また、このときのN
/(C+N)の原子比と、合金表面部の軟質層直下のW
Cを含む硬質相が1体積%以下の層の厚みと、最表面か
ら1mmにおけるWCを含む硬質相の存在量を、下記の
表2に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】上記各試料1ないし10の窒素含有焼結硬
質合金について、下記の表3の切削条件1ないし3を用
いて切削加工を実施し、その結果下記の表4に示す判定
結果を得た。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】表4に示した判定結果からわかるように、
請求項1または4に記載された本発明の条件を満たす組
成などを有する試料1,5および6を用いた場合には、
本発明の条件から外れる組成等を有する試料2ないし4
および7ないし10を用いた場合と比べて、いずれも優
れた耐摩耗性、靱性および耐熱衝撃性を示している。
【0038】実施例2 下記の表5に示す原料粉末を用いて、それぞれの換算含
有重量になるように配合および混合粉砕して、試料11
ないし23を成形した。ここで、TiCN粉末は平均粒
径2μmでC/N原子比5/5のものを用い、その他の
粉末は平均粒径1〜3μmのものを用いた。試料12
は、Ta、Nb源として平均粒径1.5μmの(TaN
b)C粉末(TaC:NbC=2:1(重量比))を用
い、試料17は、Ti、W源として平均粒径2μmの
(Ti0.80.2 )(C0.70.3 )粉末を使用した。
これらの固溶体原料粉末の配合量については、表5にお
いては単体の化合物に換算して示した。各試料の配合組
成については、換算含有量が配合組成とほぼ同量である
ため、その記載を省略した。
【0039】
【表5】
【0040】試料11ないし23を、10-2Torrの
真空中で3℃/分で昇温し、1200℃で15分間脱ガ
ス後、窒素ガス分圧15〜40Torr、1450℃で
1時間焼結後、真空中で3℃/分で1200℃まで制御
冷却した後、窒素急冷した。試料11,12について
は、同一条件での焼結後に、冷却条件を変えて、試料1
1Aないし11Cおよび12Aないし12Cを形成し
た。そのうち11A,12Aは、試料11,12とそれ
ぞれ同一条件での焼結後、CO分圧150Torrで冷
却し、試料11B,12Bについては、窒素分圧200
Torrで冷却し、試料11C,12Cについては15
30℃まで昇温後1.5時間焼結した後に制御冷却した
ものである。
【0041】試料11ないし23および試料11Aない
し11C,12Aないし12CのN/(C+N)原子比
と、合金表面部の軟質層直下のWCを含む硬質相が1体
積%以下の領域の厚みと、最表面から1mmの深さにお
けるWCを含む硬質相の存在量とを、下記の表6に示し
た。
【0042】
【表6】
【0043】表6に示した各試料について、下記の表7
に示す切削条件4ないし6で切削加工を実施し、下記の
表8に示す判定結果を得た。比較のため、市販の被覆超
硬合金P10グレードについても切削テストを行なっ
た。
【0044】
【表7】
【0045】
【表8】
【0046】表8に示した判定結果からわかるように、
請求項1または4に記載された本発明の条件を満たす組
成等を有する試料11,12および13ないし17を用
いた場合には、本発明の条件から外れる組成等を有する
試料11Aないし11C,12Aないし12Cおよび1
8ないし23を用いた場合と比べて、いずれも優れた耐
摩耗性、靱性および耐熱衝撃性を示している。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1あるいは
4に記載の本発明の窒素含有焼結硬質合金によれば、硬
質相の含有量を70重量%以上とすることにより耐摩耗
性、耐塑性変形性の低下を抑え、90重量%以下とする
ことにより強度および靱性の不足を来すことがない。ま
た、Tiの含有量を炭化物などに換算して5重量%以上
とすることにより耐摩耗性を所望のレベルに維持すると
とにもに、60重量%以下とすることにより靱性の劣化
を抑える。
【0048】また、周期律表6A族金属を炭化物に換算
して30重量%以上含有することにより所望の靱性が維
持され、70重量%以下とすることにより表面でのWC
粒子の残存量が減少して十分な耐摩耗性を得ることがで
きる。
【0049】また、硬質相の窒素/(炭素+窒素)の原
子比を0.2以上とすることにより靱性および耐摩耗性
が所望のレベルに維持され、0.5以下とすることによ
り焼結性の低下および靱性の劣化が抑制される。
【0050】さらに、WCを含む硬質相が1体積%以下
である層の厚みを、最表面の結合相金属とWCとからな
る軟質層の直下において3μm以上とすることにより所
望の耐アブレッシブ摩耗性および耐クレータ摩耗性が得
られ、30μm以下とすることにより亀裂進展抵抗が維
持されて靱性の劣化が抑えられる。
【0051】すなわち、請求項1あるいは4に記載の組
成と構造を有することにより、表面被覆を施すことな
く、切削工具用材料として優れた耐摩耗性、耐熱衝撃性
および靱性を備えた窒素含有焼結硬質合金を得ることが
できる。
【0052】また、請求項2あるいは5に記載の窒素含
有焼結硬質合金によれば、WCが存在する領域と存在し
ない領域との境界で発生する残留応力は緩和され、その
結果合金の強度を維持あるいは向上させることができ
る。
【0053】さらに、請求項3あるいは6に記載の窒素
含有焼結硬質合金によれば、WCを含む硬質相の存在量
を、最表面から最大深さ1mm以上の内部において5体
積%以上とすることにより所望の靱性向上効果が得ら
れ、50体積%以下とすることにより表層部分での熱衝
撃に対する靱性と合金の耐塑性変形性が保持され、高温
での過酷な切削条件下で使用される工具用材料としても
優れた特性が発揮される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北川 信行 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (Ti・Wx y )(Cu 1-u )(た
    だし、MはWを除く周期律表6A族金属の少なくとも1
    種、0<x<1,0≦y≦0.9,0≦u<0.9)お
    よびWCを含む硬質相を75重量%以上95重量%以
    下、Ni,Coおよび不可避不純物を含む結合相を5重
    量%以上25重量%以下含み、 Tiを炭化物、窒化物あるいは炭窒化物に換算して5重
    量%以上60重量%以下、周期律表6A族金属を炭化物
    に換算して30重量%以上70重量%以下含有し、か
    つ、 前記硬質相の窒素/(炭素+窒素)が原子比で0.2以
    上0.5未満であり、最表面に結合相金属とWCとを含
    む軟質層が存在し、該軟質層の直下に3μm以上30μ
    m以下の厚みでWCを含む硬質相がほとんど存在しない
    層を有する、窒素含有焼結硬質合金。
  2. 【請求項2】 前記WCを含む硬質相がほとんど存在し
    ない層から、最表面からの最大深さ1mmまで、内部に
    向かってWCを含む硬質相の存在量が漸次増加する、請
    求項1記載の窒素含有焼結硬質合金。
  3. 【請求項3】 前記WCを含む硬質相の存在量が、最表
    面から1mm以上の深さの内部において5体積%以上5
    0体積%未満である、請求項1または2記載の窒素含有
    焼結硬質合金。
  4. 【請求項4】 (Ti・Wx y )(Cu 1-u )(た
    だし、MはTi,Wを除く周期律表4A,5A,6A族
    金属の少なくとも1種、0<x<1,0<y≦0.9,
    0≦u<0.9)およびWCを含む硬質相を75重量%
    以上95重量%以下、Ni,Coおよび不可避不純物を
    含む結合相を5重量%以上25重量%以下含み、 Tiを炭化物、窒化物あるいは炭窒化物に換算して5重
    量%以上60重量%以下、周期律表6A族金属を炭化物
    に換算して30重量%以上70重量%以下、Ta,Nb
    の合計含有量を炭化物、窒化物あるいは炭窒化物に換算
    して2重量%以上15重量%以下、V,Zr,およびH
    fの合計含有量を炭化物、窒化物あるいは炭窒化物に換
    算して5重量%以下含有し、かつ、 前記硬質相の窒素/(炭素+窒素)が原子比で0.2以
    上0.5未満であり、最表面に結合相金属およびWCを
    含む軟質層が存在し、該軟質層の直下に3μm以上30
    μm以下の厚みでWCを含む硬質相がほとんど存在しな
    い層を有する、窒素含有焼結硬質合金。
  5. 【請求項5】 前記WCを含む硬質相がほとんど存在し
    ない層から、最表面からの最大深さ1mmまで、内部に
    向かってWCを含む硬質相の存在量が漸次増加する、請
    求項4記載の窒素含有焼結硬質合金。
  6. 【請求項6】 前記WCを含む硬質相の存在量が、最表
    面から深さ1mm以上の内部において5体積%以上50
    体積%未満である、請求項4または5記載の窒素含有焼
    結硬質合金。
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