JPH07316039A - 脂質小胞体形成材料および脂質小胞体 - Google Patents

脂質小胞体形成材料および脂質小胞体

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JPH07316039A
JPH07316039A JP13142794A JP13142794A JPH07316039A JP H07316039 A JPH07316039 A JP H07316039A JP 13142794 A JP13142794 A JP 13142794A JP 13142794 A JP13142794 A JP 13142794A JP H07316039 A JPH07316039 A JP H07316039A
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lipid
acid
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リン脂質からなる脂質小胞体として、保存安
定性や生体内分解性にすぐれ、しかもリポソ―ム用の脂
質小胞体として内水相に含ませた物質、たとえば薬物の
徐放性にすぐれるものを提供する。 【構成】 脂質小胞体の形成材料として、非重合性リン
脂質と、グリセロ―ル基に結合する2個のアシル基のう
ちの一方が重合性のアシル基、他方が非重合性のアシル
基であるホスフアチジルエステルからなる重合性リン脂
質とを、前者の非重合性リン脂質1モルに対して、後者
の重合性リン脂質が0.1〜10モルとなる割合で混合
使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脂質小胞体形成材料
と、これを用いた脂質小胞体、主にリポソ―ム用の脂質
小胞体、とくに内水相に含ませた薬物を徐々に放出する
ことができる徐放性製剤としての脂質小胞体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】徐放性製剤は、強烈な副作用を有する薬
物の副作用を低減したり、血中滞留時間の短い薬物の効
果を長期にわたつて持続させることを目的としたもので
ある。従来、薬物をカプセル化してその有効性を高める
ため、マイクロカプセル〔新版「マイクロカプセル−そ
の製法・性質・応用−」、三共出版(株)、第42〜6
3頁〕に代表される合成高分子を膜材料としたカプセル
化が行われてきたが、カプセルの粒径制御の難しさや、
生体内分解性、徐放性の制御などの問題があり、医療用
として適当ではなかつた。
【0003】また、特開昭60−215622号、同6
3−22516号などの公報に開示されているように、
分散時間や徐放性の制御にすぐれた薬物担体として、ポ
リ乳酸などのポリマ―に薬剤を含ませた徐放性製剤が知
られているが、これらは、微粒子化の困難さや、変成さ
せずに水溶性薬物を保持させたりすることなどに問題が
あり、やはり医療用として適当ではなかつた。
【0004】最近になり、天然リン脂質からなる脂質小
胞体が薬物などのカプセル化に有効であることがわか
り、たとえば、特開昭64−9931号公報、日本油脂
(株)&日油リポソ―ム(株)発行の「NEW LIP
IDS」vol.1(1990年)、特開平2−300
120号公報、特開平3−163031号公報などにお
いて、数多くの報告がなされてきている。
【0005】これらの脂質小胞体は、W/O/W型エマ
ルジヨンからなる、いわゆる、リポソ―ムを構成する小
胞体として、内水相との界面に親水性基(リン脂質極性
基)が位置するリン脂質配列分子と、外水相との界面に
親水性基(リン脂質極性基)が位置するリン脂質配列分
子との2分子層膜を形成して、この膜の内側に取り込ま
れる内水相中の水溶性薬物をこの膜を介して徐々に外側
に放出させることにより、薬効を持続的に発揮させるよ
うにしたものである。
【0006】しかし、天然リン脂質からなる脂質小胞体
では、凍結操作や長期にわたる保管などでの保存安定性
や、体内での安定性が悪く、粒径変化などの性状変化が
起こつて、安定した性能を発揮させにくい問題があり、
また、薬効が短時間のうちに消失するなど徐放性の面で
も十分に満足できなかつた。
【0007】一方、特開昭60−67489号、同62
−205092号、同63−54384号、同63−5
4385号などの公報では、重合性基を導入したリン脂
質を用いて、脂質小胞体の形成後に重合処理することを
提案している。この場合は、重合処理で膜の強度が大き
くなるため、保存安定性の向上は望めるが、薬効が逆に
発現されにくく、徐放性の面でやはり満足できない。ま
た、生体内分解性が悪くなり、生体内に小胞体が蓄積す
る問題もある。
【0008】また、特開昭62−104844号公報で
は、徐放性などの改善を期待して、重合性基を導入した
リン脂質と非重合性リン脂質との混合物より脂質小胞体
を形成したのち、非重合性リン脂質を除去し、小孔のあ
る脂質小胞体を形成することを提案しているが、小孔形
成のための除去操作などが面倒で、実用性に欠ける。特
開平4−202123号公報では、分解性のペプチド脂
質小胞体を用いることを提案しているが、煩雑な重合操
作が必要なうえに、生体内異種ペプチドを用いるための
毒性の問題や抗原性などの問題を避けられない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、現在のと
ころ、実用性のある徐放性製剤として、保存安定性など
の安定性にすぐれ、かつ生体内分解性にすぐれて生体内
に蓄積することがなく、しかも薬効の徐放性にもすぐれ
たものは、ほとんどみられない。
【0010】本発明は、このような事情にてらし、リン
脂質からなる脂質小胞体として、保存安定性などの安定
性および生体内分解性にすぐれ、しかもリポソ―ム用の
脂質小胞体として、内水相に含ませた物質の徐放性にす
ぐれるもの、とくに上記物質が薬物である場合に薬効が
長期にわたつて持続する徐放性製剤として適した脂質小
胞体を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に対し、鋭意研究した結果、脂質小胞体形成材料とし
て、非重合性リン脂質と特定の重合性リン脂質とを特定
割合で混合したものを用いることにより、安定性や生体
内分解性にすぐれ、しかもリポソ―ム用の脂質小胞体と
して、内水相に含ませた物質の徐放性にすぐれるもの、
とくに上記物質が薬物である場合に薬効の持続性にすぐ
れる徐放性製剤として適した脂質小胞体が得られること
を知り、本発明を完成するに至つた。
【0012】すなわち、本発明は、A)非重合性リン脂
質と、B)つぎの式(1); (ただし、式中、R1 ,R2 はそのいずれか一方が重合
性のアシル基、他方が非重合性のアシル基であり、Xは
リン脂質極性基である)で表される重合性リン脂質とを
含有し、上記A成分の非重合性リン脂質1モルに対する
上記B成分の重合性リン脂質の割合が0.1〜10モル
であることを特徴とする脂質小胞体形成材料と、この材
料より常法により形成したリポソ―ム用などの脂質小胞
体、とくに膜形成後に上記B成分の重合性リン脂質を重
合させてなる脂質小胞体に係るものである。
【0013】
【発明の構成・作用】本発明におけるA成分の非重合性
リン脂質としては、天然または合成のリン脂質を広く使
用できる。具体的には、一般的なリン脂質である卵黄レ
シチン、大豆レシチン、水添卵黄レシチン、水添大豆レ
シチンなどや、天然または合成のホスフアチジルコリ
ン、ホスフアチジルエタノ―ルアミン、ホスフアチジル
セリン、ホスフアチジルイノシト―ル、ホスフアチジル
グリセロ―ルなどが挙げられ、これらの中からその1種
または2種以上が用いられる。
【0014】本発明におけるB成分の重合性リン脂質
は、式(1)で表されるホスフアチジルエステルであつ
て、式中のXはホスホリルコリン基、ホスホリルジエタ
ノ―ルアミン基、ホスホリルセリン基、ホスホリルイノ
シト―ル基、ホスホリルグリセロ―ル基などのリン脂質
極性基、R1 ,R2 はそのいずれか一方が重合性のアシ
ル基、他方が非重合性のアシル基である。
【0015】R1 ,R2 がともに非重合性のアシル基と
なるものは、A成分の非重合性リン脂質に包含される。
また、R1 ,R2 がともに重合性のアシル基となるもの
は、これとA成分との併用系としても本発明の効果は奏
されない。つまり、本発明では、上記特定構成の重合性
リン脂質とA成分の非重合性リン脂質とを混合使用する
ことに、大きな特徴が存するものである。
【0016】R1 ,R2 を構成する重合性のアシル基
は、共役二重結合を有する脂肪酸、三重結合を有する脂
肪酸、末端二重結合を有する脂肪酸などの重合性脂肪酸
の残基であり、たとえば、2,4−オクタデカジエン
酸、8,10,12−オクタデカトリエン酸、9−(p
−ビニルベンゾイル)ノナニル酸、12−メタクリロイ
ルオキシドデカン酸、10−ウンデシン酸、16−ヘプ
タデシン酸、22−トリコシン酸、トリコサ−10,1
2−ジイン酸、トリコサ−2,4−ジイン酸、ノナデカ
−2,4−ジイン酸、11,13−テトラデカジエン
酸、11−(2,4−ヘキサジエニルオキシ)ウンデカ
ノン酸などの各種の脂肪酸の残基を挙げることができ
る。
【0017】R1 ,R2 を構成する非重合性のアシル基
は、天然または合成の飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸などの
非重合性脂肪酸の残基であり、たとえば、カプリン酸、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン
酸、リノ―ル酸、リノレン酸、エレオステアリン酸など
の各種の脂肪酸の残基が挙げられる。
【0018】このようなB成分の重合性リン脂質は、た
とえば、レシチンなどの天然または合成のホスフアチジ
ルエステルをホスホリパ―セAにより加水分解して、リ
ゾレシチンなどのリゾホスフアチジルエステルとし、こ
れに重合性脂肪酸をエステル化反応させるなどの方法に
より、合成することができる。
【0019】本発明においては、上記B成分の重合性リ
ン脂質の中から、その1種または2種以上を使用する
が、使用量は、A成分1モルに対し、0.1〜10モル
とすべきであり、好ましくは0.12〜8モルである。
0.1モルより少ないと、保存安定性や体内での安定性
に劣り、またリポソ―ム用などの脂質小胞体では内水相
に含ませた物質、たとえば薬物が速やかに放出されるた
め、良好な徐放性が得られない。10モルより多くなる
と、膜中に形成される重合性リン脂質の緻密な高分子量
ポリマ―ドメインにより、生体内分解性が損なわれて生
体内に蓄積しやすく、またリポソ―ム用などの脂質小胞
体では内水相に含ませた物質、たとえば薬物の放出が損
なわれ、やはり良好な徐放性が得られない。
【0020】本発明の脂質小胞体形成材料は、A成分の
非重合性リン脂質とB成分の重合性リン脂質とを上記割
合で含むほか、リン脂質以外の構成成分として、公知の
膜安定化剤であるコレステロ―ルや脂肪酸などを必要に
より含ませることができる。コレステロ―ルの使用量
は、A,B両成分のリン脂質1モルに対し、通常1.5
モルまでとするのがよく、また脂肪酸の使用量は、A,
B両成分のリン脂質1モルに対し、通常0.5モルまで
とするのがよい。また、その他の成分として、界面活性
剤をはじめとする公知の膜親和性の両親媒性物質など
も、本発明の効果を損なわない限り、必要により使用す
ることができる。
【0021】本発明においては、上記の脂質小胞体形成
材料を用いて、W/O/W型エマルジヨンからなるリポ
ソ―ムや、O/W型エマルジヨンなどの使用形態に応じ
た、所望の脂質小胞体を形成する。その形成法は任意で
あり、公知のいかなる方法によつてもよい。たとえば、
リポソ―ム用の脂質小胞体では、「リポソ―ム」南江堂
出版(1988年)に詳しく記載されているように、薄
膜法、超音波処理法、エタノ―ル注入法、フレンチプレ
ス法、押し出し法、透析法、凍結融解法、逆相蒸発法な
どにより形成することができ、とくに好ましくは押し出
し法によつて粒径0.2μm前後に形成するのがよい。
【0022】このように脂質小胞体としての膜形成を行
つたのち、B成分の重合性リン脂質を重合させることに
より、またその際重合度や重合率を調整することによ
り、保存安定性などの安定性や薬物などの徐放性の面
で、設計どおりの特性を得ることができる。重合法はと
くに限定されず、開始剤重合、紫外線重合、γ線重合、
X線重合、電子線重合などの公知の方法を自由に選択で
き、これらを適宜組み合わせてもよい。重合後に精製の
必要がないという点からは、紫外線重合、γ線重合、X
線重合、電子線重合などが好ましい。
【0023】リポソ―ム用の脂質小胞体を形成する際に
は、内水相中に水溶性の徐放性物質を含ませることがで
きる。とくに徐放性製剤を得る場合は、上記物質として
薬物を含ませることができるが、この薬物としては、小
胞体製剤に適当なものであれば、幅広く使用できる。た
とえば、アスピリン、アセトアミノフエノンなどの解熱
剤、リンデロン、セレスタミンなどの抗炎症剤、塩酸ド
キソルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、ブレオ
マイシンなどの制癌剤、ミゾリビンなどの免疫抑制剤、
5−フルオロウラシルなどの代謝拮抗剤、プロプラノロ
―ルなどのベ―タ遮断剤、トリフルオペラジン、メシル
酸チオプロペラジンなどの中枢神経薬剤、天然型または
遺伝子組み替え型インタ―ロイキン2などのリンホカイ
ン、天然型または遺伝子組み替え型インタ―フエロン
(α,β,γ)、増血因子であるエリスロポエチンな
ど、その他、ニコチン酸、コカルボキシラ―ゼなどの各
種ビタミンや、各種生理作用を持つ酵素、抗体、ヘモグ
ロビンなどのタンパクを含め多様な薬剤が挙げられる。
これらの中でも、塩酸ドキソルビシンのような制癌剤
が、本発明においてとくに好ましく用いられる。
【0024】このようにして得られる薬物含有の脂質小
胞体は、良好な安定性および生体内分解性に加えて、薬
物の徐放性に格段にすぐれていることから、徐放性製剤
として薬物を体内に送り込むキヤリア―として利用さ
れ、DDS(ドラツクデリバリ―システム)や人工血
液、人工ワクチンなどの幅広い用途に利用できるほか、
工業的用途しても、分散液としてバイオ素子やマイクロ
セルリアクタ―などの各種の用途に利用することもでき
る。
【0025】
【発明の効果】以上のように、本発明では、脂質小胞体
形成材料として、非重合性リン脂質と特定の重合性リン
脂質とを特定割合で混合使用したことにより、保存安定
性や生体内安定性にすぐれ、かつ生体内分解性にもすぐ
れた脂質小胞体を形成できる。また、重合性リン脂質の
使用量、膜形成後の重合度や重合率の調整により、リポ
ソ―ム用の脂質小胞体として内水相に含ませた水溶性物
質の徐放性を自由に制御でき、とくに上記物質が薬物で
ある場合この薬効を望む徐放能で自由に徐放させること
ができる実用的な徐放性製剤を得ることができる。
【0026】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例にのみ
限定されるものではない。
【0027】実施例1 市販の水添卵黄レシチンを、ナジヤ・ナジヤの毒から得
たホスホリパ―ゼA2を用いた既知の方法により処理し
て、1−アシル−L−3−グリセロホスホリルコリンを
得た。つぎに、これに2E,4E−オクタデカジエン酸
をN,N´−カルボジイミダゾ―ルを使つた既知の方法
で反応させることにより、1−アシル−2−(2E,4
E−オクタデカジエノイル)−L−3−グリセロホスホ
リルコリン(以下、AODPCという)を合成した。
【0028】このように合成したAODPCからなる重
合性リン脂質と、市販のL−α−ジパルミトイルホスフ
アチジルコリン(以下、DPPCという)からなる非重
合性リン脂質とを、前者:後者のモル比が8:1となる
割合で、かつ全量が2.4gとなるように秤量し、ナス
型フラスコに加え、ベンゼン15mlを加えて溶解させ
た。これを液体窒素により凍結させ、二晩凍結乾燥させ
て、乾燥粉末からなる脂質小胞体形成材料X1 を調製し
た。
【0029】実施例2 AODPCからなる重合性リン脂質と、DPPCからな
る非重合性リン脂質との割合を、前者:後者のモル比が
1:1となるように変更した以外は、実施例1と同様に
して、乾燥粉末からなる脂質小胞体形成材料X2 を調製
した。
【0030】実施例3 AODPCからなる重合性リン脂質と、DPPCからな
る非重合性リン脂質との割合を、前者:後者のモル比が
0.12:1となるように変更した以外は、実施例1と
同様にして、乾燥粉末からなる脂質小胞体形成材料X3
を調製した。
【0031】比較例1 AODPCからなる重合性リン脂質だけを用いて、実施
例1と同様の凍結乾燥操作により、乾燥粉末からなる脂
質小胞体形成材料Y1 を調製した。
【0032】比較例2 重合性リン脂質として、AODPCに代えて、既知の方
法で合成した1,2−ジ(2E,4E−オクタデカジエ
ノイル)−L−3−グリセロホスホリルコリン(以下、
DODPCという)を使用し、これとDPPCからなる
非重合性リン脂質とを、前者:後者のモル比が1:1と
なるように混合した以外は、実施例1と同様にして、乾
燥粉末からなる脂質小胞体形成材料Y2 を調製した。
【0033】比較例3 DPPCからなる非重合性リン脂質だけを用いて、実施
例1と同様の凍結乾燥操作により、乾燥粉末からなる脂
質小胞体形成材料Y3 を調製した。
【0034】実施例4〜6 10ミリモルのHEPES緩衝液(pH9.0)100
mlに、5(6)−カルボキシフルオロレセイン(以
下、CFという)を100ミリモル溶かし、CFの溶解
を確認したのち、1NのNaOH水溶液を用いて、pH
7.4に調整し、CF溶解HEPES緩衝液を調製し
た。
【0035】このCF溶解HEPES緩衝液12ml
と、ビ―カ―に秤量した実施例1〜3の各脂質小胞体形
成材料X1 〜X3 の0.6gとを混ぜ、12時間スタ―
ラ―を用いて撹拌混合することにより、3種の脂質分散
液を得た。つづいて、この各脂質分散液を、エクストル
―ダ―〔日油リホソ―ム(株)製の商品名〕を用いて、
ポリカ―ボネ―ト製のフイルタ―を通過させることによ
り、0.2μmの大きさとなるようにサイジングした。
【0036】つぎに、封入されなかつたCFを取り除く
ために、サイジングした分散液をセフアデツクスG−5
0(Pharmacia社製の商品名)のゲルカラムで
ゲルろ過した。その際、ゲルろ過の溶媒として、150
ミリモルのNaClを添加した10ミリモルのHEPE
S緩衝液(pH7.4)を用いた。このようにして、3
種のCF内包脂質小胞体分散液を得た。
【0037】比較例4〜6 実施例1〜3の各脂質小胞体形成材料X1 〜X3 に代え
て、比較例1〜3の各脂質小胞体形成材料Y1 〜Y3
用いた以外は、実施例4〜6と同様にして、3種のCF
内包脂質小胞体分散液を得た。
【0038】上記の実施例4〜6および比較例4〜6で
得た各CF内包脂質小胞体分散液について、γ線により
照射条件5KGy/時間で1時間重合処理したのち、下
記の要領で保存安定性試験および徐放性試験を行つた。
これらの試験結果を、後記の表1に示す。なお、同表に
は、参考のため、用いた脂質小胞体形成材料の種類およ
び重合性リン脂質と非重合性リン脂質の混合モル比を併
記した。
【0039】<保存安定性試験>CF内包脂質小胞体分
散液を液体窒素を用いて瞬間的に凍結させ、さらに室温
で融解させることによつて、凍結融解前後の粒径安定性
を調べた。粒径は、凍結融解前後の脂質小胞体を、15
0ミリモルのNaClを添加した10ミリモルのHEP
ES緩衝液(pH7.4)を満たしたセル中に一定量は
かつて分散させ、NICOMP モデル370〔日油リ
ポソ―ム(株)製の商品名〕を使つて測定した。凍結融
解前後の粒径安定性は、粒径変化率として凍結融解後粒
径/凍結前粒径の比で示した。したがつて、凍結融解に
よる粒径変化は1に近いものほど粒径変化が少なく、膜
が安定であることを意味している。
【0040】<徐放性試験>分散液より取り出したCF
内包脂質小胞体を、150ミリモルのNaClを添加し
た10ミリモルのHEPES緩衝液(pH7.4)を満
たした温度25℃の蛍光セル中に一定量はかつて分散さ
せ、蛍光光度計を用いてλem=490nm、λem=52
0nmを一定時間後に測定することにより、CFの時間
放出性を調べた。封入CFの全量は、界面活性剤Tri
ton−X−100を加え、超音波照射することで小胞
体を破壊して測定した。徐放性の評価は、120分後の
CF放出率を比較することにより行つた。好ましい徐放
性は、120分後のCF放出率が約10〜90%の範囲
にあるときである。
【0041】
【表1】
【0042】実施例7〜9 超純水を用いて、10ミリモルのHEPES緩衝液(p
H7.4)100mlを調製した。このHEPES緩衝
液12mlと、実施例1〜3の各脂質小胞体形成材料X
1 〜X3 の0.6gとをビ―カ―内で混合し、12時間
スタ―ラ―を用いて撹拌混合することにより、3種の脂
質分散液を得た。
【0043】ついで、この各脂質分散液を、エクストル
―ダ―〔日油リホソ―ム(株)製の商品名〕を用いて、
ポリカ―ボネ―ト製のフイルタ―を通過させることによ
り、0.2μmの大きさとなるようにサイジングした。
これらの操作をすべてクリ―ンル―ム内に設置したクリ
―ンベンチ上で行い、減菌された器具を用いて行うこと
により、3種の脂質小胞体分散液を無菌的に得た。
【0044】比較例7〜9 実施例1〜3の各脂質小胞体形成材料X1 〜X3 に代え
て、比較例1〜3の各脂質小胞体形成材料Y1 〜Y3
用いた以外は、実施例7〜9と同様にして、3種の脂質
小胞体分散液を無菌的に得た。
【0045】上記の実施例7〜9および比較例7〜9で
得た各脂質小胞体分散液について、γ線により照射条件
5KGy/時間で1時間重合処理したのち、下記の要領
で生体内蓄積性試験を行つた。この試験結果を、後記の
表2に示す。なお、同表には、参考のために、用いた脂
質小胞体形成材料の種類および重合性リン脂質と非重合
性リン脂質の混合モル比を併記した。
【0046】<生体内蓄積性試験>実験動物には、Cr
j:CD(SD)系ラツト雄(日本チヤ―ルズ・リバ
―)を用いた。脂質小胞体分散液を、ラツト体重に対し
て8.0ml/Kgに相当する量シリンジに取り、尾静脈
内に1回投与した。対照としては生理食塩水(局方)を
用い、上記と同じ量を同じ方法で投与した。
【0047】これらのラツトを飼育し、投与3日後およ
び120日後に、ネンブタ―ル(商品名)麻酔下で、腹
大動脈より脱血させて屠殺した。脂質小胞体が蓄積した
肝臓を摘出し、組織学的検査を行つた。肝臓は10%中
性緩衝ホルマリン液に固定後、常法によりパラフイン切
片を作成し、H.E染色およびNile blue染色
標本を作成後、顕微鏡によつて観察した。
【0048】この観察によると、投与3日後のH.E染
色標本で、生理食塩水投与のものを除いて、泡沫状の物
質を貧食し膨脹したマクロフア―ジ(Kupffer細
胞)が認められた。いずれも、Nile blue染色
で紫色を呈し、脂質陽性であつた。脂質小胞体自身はN
ile blue染色で紫色を呈するので、貧食物質は
脂質小胞体であると判断した。
【0049】一方、投与120日後の標本については、
AODPCのみからなる脂質小胞体や、DODPCをリ
ン脂質の一部成分として用いた脂質小胞体を投与した固
体についてだけ、染色性は薄かつたものの小滴化した弱
好塩基物質を貧食したマクロフア―ジを認めた。これら
のものは、Nile blue染色でも薄い桃紫色を呈
し、脂質陽性であつた。以上の試験により、AODPC
のみからなる脂質小胞体や、DODPCをリン脂質の一
部成分として用いた脂質小胞体では、生体内蓄積性が高
いと判断した。
【0050】上記の試験結果として、投与120日後の
標本について、Nile blue染色で陽性反応が認
められたものを+、Nile blue染色で陽性反応
がみられなかつたもの、すなわち脂質小胞体様物質の蓄
積が認められなかつたものを−として、その結果を表2
に示した。
【0051】
【表2】
【0052】以上の試験結果から明らかなように、本発
明の脂質小胞体形成材料を用いて、膜形成後に重合処理
してなる脂質小胞体は、保存安定性および内包物質の徐
放性にすぐれ、しかも生体内蓄積性が低いという特徴が
あり、実用性の高い徐放性製剤などとして幅広く利用で
きるものであることがわかる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年6月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】これらの脂質小胞体はいわゆる、リポソ
ームを構成する小胞体として、内水相との界面に親水性
基(リン脂質極性基)が位置するリン脂質配列分子と、
外水相との界面に親水性基(リン脂質極性基)が位置す
るリン脂質配列分子との2分子層膜を形成して、この膜
の内側に取り込まれる内水相中の水溶性薬物をこの膜を
介して徐々に外側に放出させることにより、薬効を持続
的に発揮させるようにしたものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A)非重合性リン脂質と、B)つぎの式
    (1); (ただし、式中、R1 ,R2 はそのいずれか一方が重合
    性のアシル基、他方が非重合性のアシル基であり、Xは
    リン脂質極性基である)で表される重合性リン脂質とを
    含有し、上記A成分の非重合性リン脂質1モルに対する
    上記B成分の重合性リン脂質の割合が0.1〜10モル
    であることを特徴とする脂質小胞体形成材料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の形成材料よりなる脂質
    小胞体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の形成材料からなり、か
    つ膜形成後にB成分の重合性リン脂質を重合させてなる
    脂質小胞体。
  4. 【請求項4】 リポソ―ム用の脂質小胞体であつて、内
    水相に薬物が含まれてなる請求項2または請求項3に記
    載の脂質小胞体。
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