JPH07315195A - 車両のアンチスキッドブレーキ装置 - Google Patents

車両のアンチスキッドブレーキ装置

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JPH07315195A
JPH07315195A JP21545594A JP21545594A JPH07315195A JP H07315195 A JPH07315195 A JP H07315195A JP 21545594 A JP21545594 A JP 21545594A JP 21545594 A JP21545594 A JP 21545594A JP H07315195 A JPH07315195 A JP H07315195A
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control
abs control
wheel
deceleration
acceleration
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JP21545594A
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Haruki Okazaki
晴樹 岡崎
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 的確に路面の突起物等の通過を検知し、AB
S制御の誤動作を確実に防止する。 【構成】 ABS制御中でない場合は、車輪加減速度の
正の変化が1Gより大きいかどうかを判断する(ステッ
プS2)。この判断において、車輪の加減速度の正の変
化が1Gより大きい場合には、コントロールユニット2
4は、ABS制御開始閾値D0を−3Gから─5Gに変
更する(ステップS3)。これによって、ABS制御が
開始されるためにはより大きな車輪減速度が検出される
必要があり、それだけABS制御の開始条件が制限され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、的確に車両のスキッ
ド状態を検出して適正な制動制御を行なうアンチスキッ
ドブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両のブレーキシステムとして、制動時
の車輪のロックないしスキッド状態の発生を防止するよ
うにしたアンチスキッドブレーキ装置が実用化されてい
る。この種のアンチスキッドブレーキ装置は、車輪の車
輪速を検出する車輪速センサと、ブレーキ油圧を調整す
る電磁制御弁と、車輪速センサで検出した車輪速に基い
て電磁制御弁を制御する制御装置とを有する。この制御
装置は、例えば検出車輪速に基いて車輪の加減速度を求
め、車輪減速度が所定値以下になったときには電磁制御
弁を減圧制御して制動圧を低下させると共に、制動圧の
低下によって車輪速が増大して、車輪加速度が所定値に
達したときには上記制御弁を増圧制御することにより制
動圧を増大させる。このような一連の制動圧制御(以
下、ABS制御という)を、例えば車両が停止するまで
継続することにより、急制動時における車輪のロックな
いしスキッド状態を防止して、車両の方向安定性を確保
しつつ短い制動距離で停止させることが可能となる。前
記ABS制御は、増圧と増圧保持と減圧と減圧保持の4
つのフェーズを1サイクルとする複数サイクルの制御、
又は、増圧と減圧の2つのフェーズを1サイクルとする
複数サイクルの制御で実行されるのが普通である。
【0003】制動操作においてブレーキ油圧を増圧する
と、車輪の速度が低下するとともに車両の速度が低下す
る。しかし、急激なブレーキ油圧を増圧して過度に車輪
の回転を拘束すると、車輪がスリップ状態を生じる一
方、車体速はそれほど低下しない状態が生じる。このよ
うな場合に、ブレーキ油圧を減圧することによって車輪
のスリップ状態を解消して、路面とのグリップ力を回復
することが必要となる。このように過大な増圧によって
車輪のスリップが大きくなったときにABS制御が開始
されて、ブレーキ油圧が減圧される。しかし、ブレーキ
油圧の減圧は本来的な制動操作に逆行する操作であり、
不必要に、あるいは過剰に減圧操作が行われると制動性
能を低下させることとなる。したがって、ABS制御の
開始は極力的確に、しかも迅速に行なう必要がある。A
BS制御の応答性が悪くなるとともに、制動性能を低下
させることになるからである。このような観点から、A
BS制御の開始条件として、ブレーキスイッチの操作信
号が入力されたか否かにに関わらず、車輪加減速度が予
め設定された閾値を越えたとき、ABS制御が自動的に
開始されるように構成されたアンチスキッドブレーキ装
置が提案されている。
【0004】このようなアンチスキッドブレーキ装置に
おいては、車輪加減速度の変化がABS制御開始条件を
満足したときには、ABS制御が開始され、ブレーキ油
圧の減圧動作が行われることとなる。たとえば、車輪が
路面上にある段差を乗り越える場合などには、大きな車
輪加減速度が発生し、これによって、意に反してABS
制御が開始され、ブレーキ油圧が減圧されてしまい制動
距離が長くなったり、不必要なアンチスキッドブレーキ
装置の動作により運転者に不快感を与えるおそれがあ
る。このような観点から、特開平5−50913号公報
には、段差を検出した場合には、ABS制御の開始条件
を鈍くするようにしたアンチスキッドブレーキ装置が開
示されている。この開示されたアンチスキッドブレーキ
装置では、車輪加速度の減少率が設定値より低く、かつ
ブレーキ操作開始から所定時間経過するかあるいは車体
Gが所定値以上である場合に段差があると判断して、A
BS制御の開始を鈍くするように構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に開示された
アンチスキッドブレーキ装置では、車輪加速度の減少率
及び車体Gまたはブレーキ信号からの経過時間に基づい
て段差を通過したかどうかを判断しているが、このよう
な判断基準では的確に段差を検出できないおそれがあ
り、上記のようなABS制御の誤動作の問題を解消する
ことは困難である。上記公報で判断基準の要素としてい
る加速度の減少傾向は、ABS制御においても生じるも
のであり、ABS制御開始の条件としての基準と明瞭に
区別するように設定する必要があるからである。本発明
はこのような観点から構成されたもので、的確に車両が
走行する路面の突起物あるいは段差の通過を検出するこ
とができ、したがって、ABS制御の誤動作を確実に防
止することができるアンチスキッドブレーキ装置を提供
することを目的とする。さらに、本発明は、誤動作によ
りABS制御が開始された場合でも、速やかにABS制
御を終了させることができるアンチスキッドブレーキ装
置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために以下のように構成される。すなわち、本発明
に係るアンチスキッドブレーキ装置は、少なくとも左右
の車輪の車輪速をそれぞれ検出する車輪速検出手段と、
前記車輪速に基づいて、車輪の加減速度を算出する加減
速度算出手段と、前記車輪の加減速度に応じてすくなく
ともブレーキ油圧を増加する増圧フェーズとブレーキ油
圧を減少する減圧フェーズとを有する制御サイクルでブ
レーキ油圧を制御するアンチスキッドブレーキ制御を開
始するためのABS制御閾値を設定する閾値設定手段
と、非ABS制御中において、所定値以上の車輪の加減
速度の正の変化が検出された場合には前記閾値設定手段
によって設定されたABS制御閾値をABS制御が開始
されにくい側に変更する閾値変更手段と備えたことを特
徴とする。この場合前記閾値変更手段の代わりに、非A
BS制御中において、所定値以上の車輪の加減速度の正
の変化が検出された場合には所定時間だけABS制御が
開始されるのを禁止するABS制御禁止手段とを設けて
もよい。さらに、ABS制御が開始された場合におい
て、ABS制御開始直後の減圧フェーズにおける減圧時
間が所定時間よりも短い場合には、ABS制御を中止す
るABS制御中止手段を備えることができる。
【0007】前記ABS制御禁止手段は車輪の加減速度
の正の変化のピーク値が検出されたのち所定時間ABS
制御の開始を禁止するように構成してもよい。また、本
発明の別の特徴によれば、少なくとも左右の車輪の車輪
速をそれぞれ検出する車輪速検出手段と、前記車輪速に
基づいて、車輪の加減速度を算出する加減速度算出手段
と、前記車輪の加減速度に応じてすくなくともブレーキ
油圧を増加する増圧フェーズとブレーキ油圧を減少する
減圧フェーズとを有する制御サイクルでブレーキ油圧を
制御するアンチスキッドブレーキ制御を開始するための
ABS制御閾値を設定する閾値設定手段と、非ABS制
御中に車輪の加減速度が前記ABS制御閾値を越えるこ
とによってABS制御が開始された場合において、AB
S制御開始直後の減圧フェーズにおける減圧時間が所定
時間よりも短い場合には、ABS制御を中止するABS
制御中止手段が設けられたことを特徴とする。さらに、
本発明の別の特徴によれば、少なくとも左右の車輪の車
輪速をそれぞれ検出する車輪速検出手段と、前記車輪速
に基づいて、車輪の加減速度を算出する加減速度算出手
段と、前記車輪の加減速度に応じてすくなくともブレー
キ油圧を増加する増圧フェーズとブレーキ油圧を減少す
る減圧フェーズとを有する制御サイクルでブレーキ油圧
を制御するアンチスキッドブレーキ制御を開始するため
のABS制御閾値を設定する閾値設定手段と、非ABS
制御中に車輪の加減速度が前記ABS制御閾値を越える
ことによってABS制御が開始された後このABS制御
を所定の条件で終了させるためのABS制御終了条件を
設定する終了条件設定手段と、ブレーキペダルの踏み込
みを検出する踏込検出手段と、ブレーキペダル非踏込時
には踏込時と比較して前記ABS制御終了条件を成立し
易くする終了条件変更手段と、を有することを特徴とす
る。
【0008】この場合、前記終了条件設定手段よるAB
S制御終了条件は、増圧フェーズが所定時間継続するこ
とであり、前記終了条件変更手段が、ブレーキペダル非
踏込時には踏込時と比較して増圧フェーズの所定継続時
間を短く設定することにより前記ABS制御終了条件を
成立し易くするようにしても良い。また、前記終了条件
設定手段よるABS制御終了条件は、車輪のスリップ率
が所定終了閾値以下となった場合であり、前記終了条件
変更手段が、ブレーキペダル非踏込時には踏込時と比較
して前記所定終了閾値をより小さい値とすることにより
前記ABS制御終了条件を成立し易くするようにしても
良い。
【0009】
【作用】本発明によれば、ABS制御を開始すべきでな
いようなたとえば、路面の突起を乗り越えるような場合
には、これを的確に検出して、ABS制御の開始を行わ
ないようにする。あるいは、ABS制御が開始された場
合であっても速やかになうようにしている。上記のよう
なABS制御を行なう必要のない路面上の突起を通過す
る場合、段差に乗り上げる場合、段差を下りる場合等に
は、当該車輪の通過する距離が、車体の軌跡と比較して
長くなることから、瞬間的に大きな加減速度の正の変化
が生じる。本発明はこの点に着目して、車輪の加減速度
を監視しており、非ABS制御中において大きな車輪の
加減速度の正の変化が検出された場合には、ABS制御
に入りにくくしあるいは、所定時間禁止する。またAB
S制御が開始された場合には、速やかに停止する。ある
いは、減圧を少なくする。このように、本発明では、車
輪の加減速度の正の変化の大きさによって判定するので
判定が極めて簡単である。そして、上記公報に記載され
たものは、段差の検出に当たって、車輪加速度の減少率
を検出するようにしているが、段差の越える場合におい
て車輪加速度の減少傾向が生じるのは、本発明が着目す
る加減速度の比較的大きな正の変化が生じた後である。
したがって、本発明の構成をとれば上記公報に記載され
た手法よりも、早期に段差を検出できる利点がある。
【0010】また、ABS制御が開始されても、誤動作
であるような場合には、別の基準によって判断し、速や
かに停止するように構成しているので、ABS制御の不
必要な動作を極力制限することができる。さらに、上記
の判定によって制限あるいは禁止されるのは、所定時間
あるいは所定のレベルであるので、この判定によってA
BS制御が本当に必要な場合までも制限するものではな
い。したがって、スリップ状態が大幅に生じる場合には
ABS制御は確実に動作する。さらに、ABS制御が開
始されても、誤動作であるような場合には、ブレーキペ
ダル非踏込時には踏込時と比較してABS制御終了条件
を成立し易くするようにしているので、速やかにABS
制御を終了させることができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて
説明する。第1図に示すように、この実施例に係る車両
は、左右の前輪1、2が従動輪、左右の後輪3、4が駆
動輪とされ、エンジン5の出力トルクが自動変速機6か
らプロペラシャフト7、差動装置8および左右の駆動軸
9、10を介して左右の後輪3、4に伝達されるように
構成してある。各車輪1〜4には、車輪と一体的に回転
するディスク11a〜14aと、制動圧の供給を受け
て、これらディスク11a〜14aの回転を制動するキ
ャリバ11b〜14bなどからなるブレーキ装置11〜
14が夫々設けられ、これらのブレーキ装置11〜14
を作動させるブレーキ制御システム15が設けられてい
る。このブレーキ制御システム15は、運転者によるブ
レーキペダル16の踏込力を増大させる倍力装置17
と、この倍力装置17によって増大された踏込力に応じ
た制動圧を発生させるマスターシリンダ18とを有す
る。このマスターシリンダ18からの前輪用制動圧供給
ライン19が2経路に分岐され、これら前輪用分岐制動
圧ライン19a、19bが左右の前輪1、2のブレーキ
装置11、12のキャリバ11a、12aに夫々接続さ
れ、左前輪1のブレーキ装置11に通じる一方の前輪用
分岐制動圧ライン19aには、電磁式の開閉弁20a
と、同じく電磁式のリリーフ弁20bとからなる第1バ
ルブユニット20が設けられ、右前輪2のブレーキ装置
12に通じる他方の前輪用分岐制動圧ライン19bに
も、第1バルブユニット20と同様に、電磁式の開閉弁
21aと、電磁式のリリーフ弁21bとからなる第2バ
ルブユニット21が設けられている。
【0012】一方、マスターシリンダ18からの後輪用
制動圧供給ライン22には、第1、第2バルブユニット
20、21と同様に、電磁式の開閉弁23aと、電磁式
のリリーフ弁23bとからなる第3バルブユニット23
が設けられている。この後輪用制動圧供給ライン22
は、第3バルブユニット23の下流側で2経路に分岐さ
れて、これら後輪用分岐制動圧ライン22a、22bが
左右の後輪3、4のブレーキ装置13、14のキャリバ
13b、14bに夫々接続されている。このブレーキ制
御システム15は、第1バルブユニット20を介して左
前輪1のブレーキ装置11の制動圧を可変制御する第1
チャンネルと、第2バルブユニット21を介して右前輪
2のブレーキ装置12の制動圧を可変制御する第2チャ
ンネルと、第3バルブユニット23を介して左右の後輪
3、4の両ブレーキ装置13、14の制動圧を可変制御
する第3チャンネルとが設けられ、これら第1〜第3チ
ャンネルが互いに独立して制御されるように構成してあ
る。前記ブレーキ制御システム15には、第1〜第3チ
ャンネルを制御するコントロールユニット24が設けら
れ、このコントロールユニット24は、ブレーキペダル
16のON/OFFを検出するブレーキスイッチ25か
らのブレーキ信号と、ハンドル舵角を検出する舵角セン
サ26からの舵角信号と、各車輪の回転速度を夫々検出
する車輪速センサ27〜30からの車輪速信号とを受け
て、これらの信号に応じた制動圧制御信号を第1〜第3
バルブユニット20、21、23に夫々出力することに
より、左右の前輪1、2および後輪3、4のスリップに
対する制動制御、つまりABS制御を第1〜第3チャン
ネルごとに並行して行うようになっている。
【0013】コントロールユニット24は、各車輪速セ
ンサ27〜30で検出される車輪速度に基いて第1〜第
3バルブユニット20、21、23における開閉弁20
a、21a、23aとリリーフ弁20b、21b、23
bとを夫々開閉制御することにより、ロック状態に応じ
た制動圧で前輪1、2および後輪3、4に制動力を付与
するようになっている。尚、第1〜第3バルブユニット
20、21、23における各リリーフ弁20b、21
b、23bから排出されたブレーキオイルは、図示外の
ドレンラインを介してマスターシリンダ18のリザーバ
タンク18aに戻される。ABS非制御状態において
は、コントロールユニット24からは制動圧制御信号が
出力されず、図示のように第1〜第3バルブユニット2
0、21、23におけるリリーフ弁20b、21b、2
3bが夫々閉保持され、かつ各ユニット20、21、2
3の開閉弁20a、21a、23aが夫々開保持される
ので、ブレーキペダル16の踏込力に応じてマスターシ
リンダ18で発生した制動圧が、前輪用制動圧供給ライ
ン19および後輪用制動圧供給ライン22を介して左右
の前輪1、2および後輪3、4のブレーキ装置11〜1
4に供給され、これらの制動圧に応じた制動力が前輪
1、2および後輪3、4に直接付与されることになる。
【0014】次に、コントロールユニット24が行うブ
レーキ制御の概略を説明する。コントロールユニット2
4は、車輪速センサ27〜30からの信号が示す車輪速
Vw1〜Vw4に基いて各車輪ごとの減速度DVw1〜DVw4
および加速度AVw1〜AVw4を夫々算出する。前記加速
度ないし減速度の算出方法について説明すると、コント
ロールユニット24は、車輪速の前回値に対する今回値
の差分をサンプリング周期△t(例えば7ms)で除算
した上で、その結果を重力加速度に換算した値を今回の
加速度ないし減速度として更新する。また、コントロー
ルユニット24は、所定の悪路判定処理を実行して、走
行路面が悪路か否かを判定する。この悪路判定処理の概
要について説明すると、各チャンネルに対応する車輪毎
に、車輪加速度又は車輪減速度が、所定期間の間に、所
定の悪路判定しきい値以上となる回数をカウントし、そ
の回数が所定値以下のときには悪路フラグFakを0に設
定し、また、その回数が所定値よりも大きいときには悪
路フラグFakを1に設定する。また、コントロールユニ
ット24は、第3チャンネル用の車輪速および加減速度
を代表させる後輪3、4を選択するが、スリップ時にお
ける後輪3、4の両車輪速センサ29、30の検出誤差
を考慮して両車輪速のうちの小さいほうの車輪速が後輪
車輪速として選択され、その車輪速から求めた加速度お
よび減速度が後輪加速度および後輪減速度として選択さ
れることになる。
【0015】更に、コントロールユニット24は、所定
微小時間おきに、3つのチャンネルの夫々に路面摩擦係
数を算出するとともに疑似車体速Vrを算出する。コン
トロールユニット24は、車輪速センサ29、30から
の信号から求めた後輪車輪速および車輪速センサ27、
28で検出される左右の各前輪1、2の車輪速と車体速
Vrとから第1〜第3チャンネルについての非スリップ
率を夫々算出するであるが、その場合、次の関係式によ
り非スリップ率が算出される。非スリップ率=(車輪速
/疑似車体速)×100それ故、車体速Vrに対する車
輪速の偏差が大きくなるほど非スリップ率が小さくなっ
て、車輪のスリップ傾向が大きくなる。次に、コントロ
ールユニット24は、第1〜第3チャンネルの制御に用
いる各種の制御しきい値を夫々設定し、これらの制御し
きい値を用いて各チャンネルごとのロック判定処理と、
第1〜第3バルブユニット20、21、23に対する制
御量を規定する為のフェーズ決定処理と、カスケード判
定処理とを行うようになっている。ここで、上記ロック
判定処理について説明すると、例えば、左前輪用の第1
チャンネルに対するロック判定処理においては、コント
ロールユニット24は、まず第1チャンネル用の継続フ
ラグFcnl の今回値を前回値としてセットした上で、次
に車体速Vrと車輪速Vwlとが所定の条件(例えば、V
r<5Km/H、Vwl<7.5Km/H)を満足するか否かを判
定し、これらの条件を満足するときに接続フラグFcal
とロックフラグFloklを夫々0にリセットし、また、満
足していなければロックフラグFloklが1にセットされ
ているか否かを判定する。
【0016】ロックフラグFloklが1にセットされてい
なければ、所定の条件のとき(例えば車輪減速度が−3
Gになったとき)にロックフラグFloklに1をセットす
る。一方、コントロールユニット24は、ロックフラグ
Floklが1にセットされている状態において、例えば第
1チャンネルのフェーズフラグP1がフェーズVを示す
5にセットされ、かつ非スリップ率Slが5−1非スリ
ップ率しきい値Bszより大きいときに継続フラグFcnl
に1をセットする。尚、第2、第3チャンネルに対して
も同様にしてロック判定処理が行われる。前記フェーズ
決定処理の概略について説明すると、コントロールユニ
ット24は、車両の走行状態に応じて設定した夫々の制
御しきい値と、車輪加減速度や非スリップ率との比較に
よって、ABS非制御状態を示すフェーズO、ABS制
御時における増圧状態であるフェーズI、増圧後の保持
状態であるフェーズII、減圧状態であるフェーズII
I、急減圧状態であるフェーズIV、減圧後の保持状態
であるフェーズVを選択するようになっている。前記カ
スケード判定処理は、特にアイスバーンのような低摩擦
路面においては、小さな制動圧でも車輪がロックしやす
いことから、車輪のロック状態が短時間に連続して発生
するカスケードロック状態を判定するものであり、カス
ケードロックの生じやすい所定の条件を満たしたときに
カスケードフラグFcsが1にセットされる。
【0017】こうして、コントロールユニット24は、
各チャンネル毎に各フェーズフラグP1で指示されたフ
ェーズに対応した制動圧制御信号を第1〜第3バルブユ
ニット20、21、23に対して夫々出力する。これに
より、第1〜第3バルブユニット20、21、23の下
流側における前輪用分岐制動圧ライン19a、19bお
よび後輪用分岐制動圧ライン22a、22bの制動圧
が、増圧又は減圧されたり、増圧又は減圧後の圧力レベ
ルに保持されたりする。前記路面摩擦係数(路面μ)の
演算方法について説明する。先ず、第1チャンネルの路
面摩擦係数Mulを算出する場合、前輪1の車輪速Vwlと
その加速度Vgとに基いて、路面摩擦係数Mulが演算さ
れるが、500msのタイマと100msのタイマとを
用い、加速開始後加速度Vgが十分に大きくならない5
00ms経過までは100ms毎に100ms間の車輪
速Vwlの変化から、次式により加速度Vgが演算され
る。 Vg=K1×〔Vwl(i)−Vwl(i−100)〕 前記加速度Vgが十分に大きくなった500ms経過後
は100ms毎に500msの間の車輪速の変化から、
次式により加速度Vgが演算される。
【0018】 Vg=K2×〔Vwl(i)−Vwl(i−500)〕 尚、前記の式中、Vwl(i)は現時点の車輪速、Vwl
(i−100)は100ms前の車輪速、Vwl(i−5
00)は500ms前の車輪速、K1、K2は夫々所定
の定数である。前記路面摩擦係数Mulは、前記のように
求めた車輪速Vwlとその加速度Vgとを用いて図2に示
したμテーブルから3次元補完により演算される。但
し、路面μ=1.0〜2.5が低摩擦に相当し、路面μ
=2.5〜3.5が中摩擦に相当し、路面μ=35〜
5.0が高摩擦に相当する。次に、第2チャンネルの路
面摩擦係数Mu2を算出する場合には、車輪速Vw2を用い
て前記同様に算出し、第3チャンネルの面摩擦係数Mu3
は、路面摩擦係数Mu1と路面摩擦計数Mu2のうちの小さ
い方の値に等しく設定する。但し、第1〜第3チャンネ
ルに対応する専用の3つの路面μセンサで検出した路面
μを適用してもよい。次に、車体速Vrの演算処理につ
いて図3のフローチャートにより説明する。先ず、コン
トロールユニット24は、各種データを読み込み(S2
0)、次にセンサ27〜30からの信号が示す車輪速V
w1〜Vw4の中から最高車輪速Vwmを演算し(S21)、
次に最高車輪速Vwmのサンプリング周期△tあたりの最
高車輪速変化量△Vwmを算出する(S22)。
【0019】次に、コントロールユニット24は、S2
3において図4に示すマップから摩擦状態値Mu(第1〜
第3チャンネルの路面摩擦の最小値)に対応する車体速
補正値CVrを読み出し、S24において最高車輪速変
化量△Vwmが車体速補正値CVr以下か否か判定する。
その判定の結果、車輪速変化量△Vwmが車体速補正値C
Vr以下であると判定したときには、S25において車
体速Vrの前回値から車体速補正値CVr減算した値を
今回値に置き換える。それ故、車体速Vrが車体速補正
値CVrに応じた所定の勾配で減少することになる。一
方、コントロールユニット24は、S24において車輪
速変化量△Vwmが車体速補正値CVrより大きいと判定
したとき、つまり最高車輪速Vwmが過大な変化を示した
ときには、S26において疑似車体速Vrから最高車輪
速Vwmを減算した値が所定値VO 以上か否かを判定す
る。つまり、最高車輪速Vwmと車体速Vr との間に大き
な開きがあるか否かを判定する。大きな開きがあるとき
には、S25において車体速Vr の前回値から車体速補
正値CVr を減算した値を今回値に置き換える。
【0020】更に、コントロールユニット24は、最高
車輪速Vwmと車体速Vr との間に大きな開きがないとき
には、S27において最高車輪速Vwmを車体速Vr に置
き換える。こうして、車両の車体速Vr が各車輪速Vw1
〜Vw4に応じてサンプリグ周期△tごとに更新されてい
く。次に、各種制御しきい値の設定処理について、図5
のフローチャートと図6〜図8に基いて説明する。尚、
この制御しきい値の設定処理は、各チャンネル毎に独立
して実行されるが、ここでは、左前輪用の第1チャンネ
ルの為の制御しきい値設定処理について説明する。コン
トロールユニット24は、S30で各種データを読み込
み、次にS31において、図6に示すように車速域と路
面μとをパラメータとして予め設定したテーブルから、
摩擦状態値Muと車体速Vr とに応じた走行状態パラメ
ータを選択する。例えば、摩擦状態値Muが低摩擦路面
を示す1のときに、車体速Vr が中速域にあるときに
は、走行状態パラメータとして中速低摩擦路面用のLM
2が選択される。尚、摩擦状態値Muは、摩擦係数Mu1
〜Mu3のうちの最小のものから決定されるが、図6にお
いて、Mu=1は低摩擦状態、Mu=2は中摩擦状態、
Mu=3は高摩擦状態に相当する。
【0021】一方、悪路フラグFakが悪路状態を示す1
にセットされているときには、図6に示すように、車体
速Vr に応じた走行状態パラメータを選択する。この場
合、例えば、車体速Vr が中速域に属するときには、走
行状態パラメータとして中速低摩擦路面用のHM2が強
制的に選択される。即ち、悪路走行時に車輪速の変動が
大きいために、路面μが小さく推定される傾向があるか
らである。走行状態パラメータの選択後、コントロール
ユニット24は、S32において、図7に示す制御しき
い値設定テーブルから、走行状態パラメータに対応する
各種制御しきい値で夫々読み出す。ここで、各種制御し
きい値としては、図7に示すように、フェーズIからフ
ェーズIIへの切換判定用の1−2中間減速度しきい値B
12、フェーズIIからフェーズIII への切換判定用の2
−3中間非スリップ率しきい値Bsg、フェーズIIIから
フェーズVへの切換判定用の3−5中間減速度しきい値
B35、フェーズVからフェーズIへの切換判定用の5
−1非スリップ率しきい値Bszなどが、走行状態パラメ
ータ毎に夫々設定されいてる。この場合、制御力に大き
く影響する減速度しきい値は、路面μが大きいときのブ
レーキ性能と、路面μが小さいときの制御の応答性とを
高水準で両立するために、摩擦状態値Muのレベルが小
さくなるほど、つまり路面μが小さくなるほど0Gに近
づくように設定されている。ここで、コントロールユニ
ット24は、走行状態パラメータとして中速低摩擦路面
用のLM2を選択しているときには、図7の制御しきい
値設定テーブルにおけるLM2の欄に示すように、1−
2中間減速度しきい値B12、2−3中間非スリップ率
しきい値Bsg、3−5中間減速度しきい値B35、5−
1非スリップ率しきい値Bszとして、−0.5G、90
%、0G、90%の各値を夫々読み出すことになる。
【0022】次に、コントロールユニット24は、S3
3において、摩擦状態値Muが高摩擦路面を示す3にセ
ットされているか否かを判定し、Yesと判定したとき
にはS34において悪路フラグFakが0に設定されてい
るか否かを判定する。その判定の結果、悪路ブラグFak
が0のときは、S35に移行して蛇角センサ26で検出
された蛇角θの絶対値が90°より小さいか否かを判定
し、蛇角θの絶対値が90°よりも小さくないときに
は、S36において、蛇角θに応じた制御しきい値の補
正処理を行う。この制御しきい値の補正処理は、図8に
例示した制御しきい値補正テーブルに基いて行われる。
即ち、図8の制御しきい値補正テーブルにおいては、低
摩擦と、中摩擦と、高摩擦の悪路でないとき、ハンドル
操作量の大きいときの操舵性を確保する為に、2−3中
間非スリップ率しきい値Bsgおよび5−1中間非スリッ
プ率しきい値Bszに夫々5%を加算した値が、最終の2
−3非スリップ率しきい値Bsgおよび最終の5−1非ス
リップ率しきい値Bszとして設定されると共に、その他
の中間しきい値がそのまま最終しきい値として設定され
ている。高摩擦の悪路(フラグFak=1)のとき、ハン
ドル操作量が小さい時の走破性を確保する為に、2−3
中間非スリップ率しきい値Bsgおよび5−1中間非スリ
ップ率しきい値Bszから夫々5%を減算した値が、最終
2−3非スリップ率しきい値Bsgおよび最終の5−1非
スリップ率しきい値Bszとして設定されている。次に、
S35の判定結果がNoのときには、前記各中間しきい
値がそのまま最終しきい値として夫々セットされること
になる。
【0023】一方、コントロールユニット24は、S3
4において悪路フラグFakが1に設定されていると判定
してときには、S37に移行して図8の制御しきい値補
正テーブルに基いて、悪路フラグFakと蛇角θとの関連
において、2−3中間非スリップ率しきい値Bsgおよび
5−1非スリップ率しきい値Bszを夫々補正した値を、
最終の2−3中間非スリップ率しきい値Bsgおよび最終
の5−1非スリップ率しきい値Bszとしてセットする補
正処理が実行され、次に、S38において図8の制御し
きい値補正テーブルに基いて、1−2中間減速度しきい
値B12から1.0Gを減算した値を最終の1−2減速
度しきい値B12としてセットする補正処理を行う。こ
れは、悪路判定時においては、車輪速センサ27〜30
が誤検出を生じやすいため、制御の応答性を遅らせて良
好な制動力を確保するためである。尚、その他の中間し
きい値はそのまま最終しきい値としてセットされる。更
に、コントロールユニット24は、S33において摩擦
状態値Muが3でないと判定したときには、S35へ移
行する。尚、第2、第3チャンネルについても、前記第
1チャンネルの場合と同様にして制御しきい値が設定さ
れるようになっている。
【0024】次に、前記フェーズを決定して各フェーズ
の制動制御信号をバルブユニットに出力する制御信号出
力処理について、第1チャンネルを例として、図9〜図
13のフローチャートと、図14〜図16参照しつつ説
明する。尚、この処理は、例えば4ms毎に繰り返えされ
る処理である。最初に、各種データが読み込まれ(S4
0)、次にS41においてブレーキスイッチ25がON
か否か判定され、その判定がNoのときはS42を経て
リターンし、前記判定がYesのときはS43において
車体速Vrが所定値C1(例えば、5.0Km/H )以下
で、かつ車輪速Vwlが所定値(例えば、7.5Km/H )以
下か否か判定する。その判定がYesのときは、十分に
減速された状態で、ABS制御の必要がないためS42
を経てリターンするが、S43の判定がNoのときはS
44へ移行する。S42では、フェーズフラグP1、ロ
ックフラグFlokl、継続フラグFcnl 、フラグFが0に
夫々リセットされ、その後S40へリターンする。次
に、S44では、ロックフラグFloklが0か否か判定さ
れ、ABS制御開始前で、フラグFloklが0のときはS
45へ移行して,車輪速Vwlの減速度DVwl(但し、D
Vwl≦0とする)が所定値DO(例えば、−3G)以下
か否か判定され、その判定がYesのときはS46へ移
行する。一方、S44の判定がNoのときはS49へ移
行する。
【0025】次に、S45の判定がYesのときは、S4
6においてロックフラグFloklが1にセットされ、次に
S47においてフラグP1が2にセットされてフェーズ
II(増圧後の保持のフェーズ)に移行し、次にS48に
てフェーズII用に予め設定された制動制御信号が第1バ
ルブユニット20へ出力されその後リターンする。AB
S制御開始後は、フラグFloklが1にセットしてあるた
め、S44からS49へ移行してフラグP1が2か否か
判定し、フラグP1が2のときはS50へ移行し、フラ
グP1が2でないときはS54へ移行する。S50で
は、スリップ率S1が2−3スリップ率しきい値Bsg以
下か否か判定し、最初のうちはNoと判定されるため、
S50からS48へ移行するが、それを繰り返して、ス
リップ率S1がしきい値Bsg以下になると、S50から
S51へ移行する。S51においては、フラグP1が3
にセットされてフェーズIII (減圧のフェーズ)に移行
する。次に、S52においてフェーズIII の開始後の経
過時間をカウントするためのタイマTがリセット後スタ
ートされ、次にS53では、フェーズIII の為の制動制
御信号が第1バルブユニット20へ出力され、その後リ
ターンする。但し、このS53のサブルーチンについて
は、図11〜図13に基いて後述する。
【0026】S49の判定の結果、フラグP1が2でな
いときは、S49からS54へ移行してフラグP1が3
か否か判定され、その判定がYesのときはS55へ移
行し、前記判定がNoのときはS59へ移行する。次
に、S55では、減速度DVwlが3−5中間減速度しき
い値B35に等しいか否か判定され、最初のうちはNo
と判定されるため、S55からS53へ移行するが、そ
れを繰り返して、減速度DVwlがしきい値B35に等し
くなると、S56へ移行し、S56においてフラグP1
が5にセットされてフェーズV(減圧後の保持のフェー
ズ)に移行する。次に、S57において、S53のサブ
ルーチンで使用されるフラグFが0にリセットされる。
次に、S58において、フェーズV用に予め設定された
制動制御信号が第1バルブユニット20へ出力され、そ
の後リターンする。次に、S54の判定でNoのとき
は、S59においてフラグP1が5か否か判定し、その
判定がYesのときはS60へ移行し、またNoのとき
はS67へ移行する。フラグP1が5のときは、S60
において、スリップ率S1が5−1スリップ率しきい値
Bsz以上か否か判定される。
【0027】最初のうちはNoと判定されるため、S6
0からS58へ移行するのを繰り返えす。そして、フェ
ーズVにおいて、スリップ率S1が増大して、S60の
判定がYesとなるとS61へ移行し、S61におい
て、フラグP1が1にセットされてフェーズI(増圧の
フェーズ)に移行し、かつ継続フラグFcnl が1にセッ
トされる。次に、S62において、フェーズI(増圧の
フェーズ)の初期に実行される初期急増圧の急増圧時間
Tpzが演算される。この急増圧時間Tpzは、S70にお
いて演算され記憶された前回サイクルの増圧時間Tiに
比例する値として設定される。次に、S63において、
フェーズIの開始後の経過時間をカウントするタイマT
1がリセット後スタートされ、次にS64においてタイ
マT1のカウント時間T1がS62で設定された急増圧
時間Tpz以下か否か判定され、最初のうち急増圧時間T
pz以下のときは、S64からS65へ移行し、S65に
おいてフェーズIの初期急増圧の為に予め設定された制
動制御信号が、第1バルブユニット20へ出力され、そ
の後リターンする。
【0028】次に、フェーズIに移行後には、S59の
判定がNoとなるため、S59からS67へ移行し、S
67においてフラグP1が1か否か判定され、フラグP
1が1のときは、S68において減速度DVwlが、1−
2中間減速度しきい値B12以下か否か判定し、最初の
うちは、その判定がNoとなるため、S68からS64
へ移行し、急増圧時間Tpzの経過前にはS64からS6
5へ移行するのを繰り返す。これを繰り返えすうちに、
フェーズIに移行後、急増圧時間Tpzが経過すると、S
64の判定がNoとなるため、S64からS65へ移行
してフェーズIの緩増圧の為に予め設定された制動制御
信号が、第1バルブユニット20へ出力され、その後リ
ターンするのを繰り返す。次に、S68の判定がYes
となると、S69においてフラグP1が2にセットさ
れ、次にS70においてタイマT1の計時時間に基い
て、増圧時間Ti(フェーズIの期間)が演算されて記
憶され、その後S48へ移行する。こうして、ABS制
御の開始後、フェーズII、フェーズIII 、フェーズV、
フェーズI、フェーズII、フェーズIII 、・・・の順に
複数サイクルに亙って実行され、S43の判定でYes
となったり、ブレーキスイッチ25がOFFになったり
すると、ABS制御が終了する(図15参照)。
【0029】次に、S53のサブルーチンについて、図
11〜図13、図14〜図16に基いて説明する。第1
サイクルのフェーズIII の減圧は、図16に示すよう
に、初回〜5回目の5回に分けて間欠的に、リリーフバ
ルブ20bを開くことで実行されるが、各回の減圧にお
ける減圧量は、バルブ20bの開時間で設定される。図
14に図示した減圧レベル・減圧量のテーブルには、各
減圧の減圧開始時間と、減圧レベルと、各減圧の減圧量
とが記載してある。減圧レベルDL,DM,DS,DV
Sは、次式で演算される減圧変数DVから設定される。 DV=スリップ量Sm+kc×車輪速減速度の絶対値 尚、上式において、スリップ量Smは(車体速Vr−車
輪速Vw)、kcは所定の定数である。 k3≦DV のとき、減圧レベル=DL、(減圧レベル大) k2≦DV<k3のとき、減圧レベル=DM、(減圧レベル中) k1≦DV<k2のとき、減圧レベル=DS、(減圧レベル小) DV<k1のとき、減圧レベル=DVS(減圧レベル微小) 尚、例えば、k3=0.25Vr、k2=0.10Vr、k1=
0.05Vrである。
【0030】このように、スリップ量Smと車輪速減速
度とから減圧変数DVが演算され、この減圧変数DVと
車体速Vrとから減圧レベルDL,DM,DS,DVS
が決定され、この減圧レベルから図14のマップに基い
て減圧量が決定され、各減圧においては減圧量の時間だ
けリリーフバルブ20bを開く制動制御信号を出力する
ことで、減圧が実行される。図11のフローチャートに
おいて、最初に、S80において減圧変数DVと減圧レ
ベルとが演算されると、次にS81では継続フラグFcn
l が0か否か判定し、フラグFcnl が0であって、第1
サイクルのフェーズIII では、S82に移行し、S82
〜S84においてフラグFについての判定を実行し、最
初フラグFが0のときはS86へ移行し、初回減圧の制
御信号が出力される。この初回減圧は、減圧レベルに依
らず、所定量(例えば、減圧時間8ms、路面μが高いと
きには減圧時間16ms)の減圧であり、リリーフバルブ
20bを8ms又は16msの間開く制御信号が出力され、
次にS87においてフラグFを1にセット後リターンす
る。前記フラグFが1のときには、S82からS88へ
移行して、2回目減圧の減圧量が、減圧レベルと図14
のマップに基いて演算され、次にS89において、S5
2でスタートしたタイマTの計時時間Tが8msになった
か否か判定し、T=8msになると、S90において前記
の減圧量の時間だけリリーフバルブ20bを開く制御信
号が出力され、次にS91においてフラグFを2にセッ
ト後リターンする。即ち、2回目の減圧は、初回の所定
量の減圧に引き続いて実行される。
【0031】尚、路面μが高いときは、図14の〔注〕
に記載のように、2回目減圧の減圧量が+3msだけ増加
補正される。次に、フラグF=2のときには、S83か
らS92へ移行してタイマTの計時時間Tが40msか否
か判定し、T<40msの間はリターンするのを繰り返
し、T=40msになると、S93において3回目減圧の
減圧量が、減圧レベルと図14のマップに基いて演算さ
れ、次にS94において前記の減圧量の時間だけリリー
フバルブ20bを開く制御信号が出力され、次にS95
においてフラグFを3にセット後リターンする。つま
り、3回目の減圧は、タイマTのスタート開始後40ms
経過した時点から実行される。尚、図14の〔注〕に記
載のように、路面μが低いときには、3回目以降の減圧
の減圧量が+2msだけ増加補正される。次に、フラグF
=3のときには、S84からS96へ移行しタイマTの
計時時間Tが80msか否か判定し、T<80msの間はリ
ターンするのを繰り返し、T=80msになると、S97
において4回目減圧の減圧量が、減圧レベルと図14の
マップに基いて演算され、次にS98において前記の減
圧量の時間だけリリーフバルブ20bを開く制御信号が
出力され、次にS99においてフラグFを4にセット後
リターンする。つまり、4回目の減圧は、タイマTのス
タート開始後80ms経過した時点から実行される。
【0032】次に、フラグF=4のときには、S85か
らS100へ移行してタイマTの計時時間Tが120ms
か否か判定し、T<120msの間はリターンするのを繰
り返し、T=120msになると、S101において5回
目減圧の減圧量が、減圧レベルと図14のマップに基い
て演算され、次にS102において前記の減圧量の時間
だけリリーフバルブ20bを開く制御信号が出力され、
次にS103においてフラグFを0にリセット後リター
ンする。つまり、5回目の減圧は、タイマTのスタート
開始後120ms経過した時点から実行される。S81の
判定の結果、継続フラグFcnl が1のとき、つまり、第
2サイクル以降のフェーズIII のときは、図12のS1
04へ移行する。S104〜S106において、フラグ
Fについて判定し、最初フラグFが0のときは、S10
7へ移行して初回減圧の減圧量が演算される。但し、こ
の第2サイクル以降においては、図14に示すように、
初回減圧の減圧量も減圧レベルと図14のマップに基い
て演算される。次に、S108において、その減圧量の
時間だけリリーフバルブ20bを開く制御信号が出力さ
れ、次にS109においてフラグFを1にセット後リタ
ーンする。尚、路面μが高いときは、初回減圧の減圧量
が+3msだけ増加補正される。
【0033】次に、フラグFが1のときは、S104か
らS110へ移行してタイマTの計時時間Tが40msか
否か判定し、T<40msの間はリターンするのを繰り返
し、T=40msになると、S111において2回目減圧
の減圧量が、減圧レベルと図14のマップに基いて演算
され、次にS112においてその減圧量の時間だけリリ
ーフバルブ20bを開く制御信号が出力され、次にS1
13においてフラグFを2にセット後リターンする。つ
まり、2回目の減圧は、タイマTのスタート開始後40
ms経過した時点から実行される。尚、路面μが低いとき
は、2回目以降の減圧の減圧量が+2msだけ増加補正さ
れる。次に、フラグF=2のときには、S105からS
114へ移行してタイマTの計時時間Tが80msか否か
判定し、T<80msの間はリターンするのを繰り返し、
T=80msになると、S115において3回目減圧の減
圧量が、減圧レベルと図14のマップに基いて演算さ
れ、次にS116においてその減圧量の時間だけリリー
フバルブ20bを開く制御信号が出力され、次にS11
7においてフラグFを3にセット後リターンする。つま
り、3回目の減圧は、タイマTのスタート開始後80ms
経過した時点から実行される。
【0034】次に、フラグF=3のときには、S106
からS118へ移行してタイマTの計時時間Tが120
msか否か判定し、T<120msの間はリターンするのを
繰り返し、T=120msになると、S119において4
回目減圧の減圧量が、減圧レベルと図14のマップに基
いて演算され、次にS120においてその減圧量の時間
だけリリーフバルブ20bを開く制御信号が出力され、
次にS121においてフラグFを0にリセット後リター
ンする。つまり、4回目の減圧は、タイマTのスタート
開始後120ms経過した時点から実行される。ここで、
路面μが高μから低μに急変したような場合の対策とし
て、図11と図12のサブルーチンと並行して、図13
のサブルーチンが実行される。S130の判定により、
タイマTの計時時間Tが40ms経過前には、リターンす
るのを繰り返し、次にS131において、40ms≦T<
80msか否か判定し、その判定がYesのときはS13
2へ移行する。S132では、減圧レベルがDLか否か
判定し、減圧レベルがDLで減圧の要求度が大きいとき
には、S133において連続的に減圧する為に連続的に
リリーフバルブ20bを開く制御信号が出力され、その
後リターンする。その連続的減圧により減圧レベルが低
下して、S132の判定がNoになると、S134にお
いてその連続減圧を停止させる制御信号が出力され、そ
の後リターンする。
【0035】次に、T≧80msになると、S131から
S135へ移行し、S135において、減圧レベルがD
Lか否か判定し、減圧レベルがDLで減圧の要求度が大
きいときには、S136において連続的に減圧する為に
連続的にリリーフバルブ20bを開く制御信号が出力さ
れ、その後リターンする。その連続的減圧により減圧レ
ベルが低下して、S135の判定がNoになると、S1
37へ移行する。S137では、減圧レベルがDMか否
か判定し、減圧レベルがDMで減圧の要求度が未だ大き
いときには、S138において連続的に減圧する為に連
続的にリリーフバルブ20bを開く制御信号が出力され、
その後リターンする。その連続的減圧により減圧レベル
が低下して、S137の判定がNoになると、S139
においてその連続減圧を停止させる制御信号が出力さ
れ、その後リターンする。次に、以上説明したABS制
御の作用について、第1チャンネルに対するABS制御
を例にして、図15のタイムチャートを参照しつつ説明
する。減速時のABS非制御状態において、ブレーキペ
ダル16の踏込操作によって発生した制動圧が徐々に増
圧し、左前輪1の車輪速Vwlの変化率(減速度DVwl)
が−3Gに達したときには、第1チャンネルのロックフ
ラグFloklが1にセットされ、その時刻taからABS
制御が開始される。
【0036】この制御開始直後の第1サイクルにおいて
は、摩擦状態値Muは路面摩擦状態に対応した値にセッ
トされ、走行状態パラメータに応じた各種の制御しきい
値が設定される。次に車輪速Vwlから求めたスリップ率
S1、車輪減速度DVwl、車輪加速度AVwlと各種の制
御しきい値とが比較され、フェーズ0からフェーズIIに
変更され、制動圧は増圧直後のレベルで維持されること
になる。スリップ率S1が、2−3中間スリップ率しき
い値Bsgより低下するとフェーズIIからIII に移行し、
リリーフ弁20bが前述のように本願特有の減圧特性で
ON/OFFされ、その時刻tbから制動圧が所定の勾
配で減少して制動力が徐々に低下し、前輪1の回転力が
回復し始める。更に、制動圧の減圧が続いて車輪減速度
DVwlがしきい値B35(0G)まで低下したときに
は、フェーズIII からVに移行し、その時刻tcから制
動圧が減圧後のレベルで維持される。このフェーズVに
おいてスリップ率S1が5−1スリップ率しきい値Bsz
以上になると、継続フラグFcnl が1にセットされ、A
BS制御は、時刻tdから第2サイクルに移行する。こ
のとき、強制的にフェーズIに移行し、このフェーズI
への移行直後には、開閉弁20aが、前記のように、前
回サイクルの増圧時間Tiをパラメータとして設定され
た急増圧時間Tpzの間、リリーフ弁20b閉状態で開閉
弁20aが100%のデューティ率で開かれて、制動圧
が急勾配で増圧され、この急増圧時間Tpzの経過後は、
開閉弁20aが所定のデューティ率でON/OFFされ
て、制動圧がより緩やか勾配で徐々に上昇していく。こ
うして、第2サイクルへの移行直後においては、制動圧
が確実に増圧され、良好な制動圧が確保される。
【0037】一方、第2サイクル以降においても、適切
な摩擦状態値Muが決定され、これらの摩擦状態値Mu
と車体速Vrとに応じた走行状態パラメータに対応する
各種制御しきい値が図7の制御しきい値設定テーブルか
ら選択されるので、走行状態に応じた緻密な制動圧の制
御が行われることになる。その後、第2サイクルにおけ
るフェーズVにおいて、例えばスリップ率S1がしきい
値Bszより大きいと判定すると第3サイクルのフェーズ
Iに移行する。本実施例のABS制御においては、図1
1に示すように、継続フラグFcnl が0、つまり、第1
サイクルの減圧フェーズのとき、S86において、初回
減圧の減圧量を所定量(リリーフバルブ20bの開時間
8ms、但し、高μのときは16ms)に設定してその減圧
を実行するので、ABS制御開始時の不安定なスリップ
率や車輪速減速度の影響を受けずに、必要最小限の所定
量の初回減圧を実行できる。つぎに、図17のフローチ
ャートを参照して段差あるいは突起物の通過制御につい
て説明する。まず、コントロールユニット24は、AB
S制御中であるかどうかを判断し(ステップS1)、A
BS制御中でない場合には、車輪加減速度の正の変化が
1G(Gは重力加速度)より大きいかどうかを判断する
(ステップS2)。この判断において、車輪の加減速度
の正の変化が1Gより大きい場合(たとえば、−3Gか
ら−1.5Gまで変化した場合、あるいは、0Gから
1.5Gまで変化したような場合には、加減速度の正の
変化はそれぞれ1.5Gである)には、コントロールユ
ニット24は、ABS制御開始閾値D0を−3Gから−
5Gに変更する(ステップS3)。これによって、AB
S制御が開始されるためにはよりおおきな車輪減速度が
検出される必要があり、それだけABS制御の開始条件
が制限されることとなる。
【0038】そして、コントロールユニット24は、車
輪加減速値が変更された閾値D0を越えて、ABS制御
が開始された場合には、コントロールユニット24は、
フラグFの値を1に設定して(ステップS5)、2回目
の減圧動作を許可する。また、上記ステップS1におけ
る判断においてすでにABS制御中である場合には、コ
ントロールユニット24はさらにフラグFが1であるか
どうかを判断する(ステップS6)。そして、フラグF
の値が1である場合には、コントロールユニット24
は、初回の減圧時間が所定値(たとえば8ms)より短い
かどうかを判断する(ステップS7)。この減圧時間は
本例では、減圧変数DVの値の大きさに対応する。そし
て、計算された初回の減圧時間が所定値より短い場合に
は、ABS制御を停止する(ステップS8)とともに、
フラグFを0にしてリセットする(ステップS9)。こ
のように、ABS制御が開始された場合における減圧時
間が短いということはABS制御における減圧要請が低
いことを意味するものであって、本例では、このような
場合には、ABS制御を中止するように構成している。
このようにして減圧動作をキャンセルしてももともとそ
の要請が低いのであるから支障は生じない。
【0039】図18及び図19を参照して、本発明の他
の実施例について説明する。上記の例では、非ABS制
御中に所定以上の車輪加減速度の正の変化があったとき
には、閾値D0を変更するようにしてABS制御の開始
を制限しているが、別の態様では、タイマーによって所
定時間だけABS制御を制限するように構成することが
できる。図18を参照すると、車両が路面の突起物を通
過する際には、車輪の加減速度は図において実線のよう
に変化する。すなわち、車両は略水平の路面上を車輪が
ん一定の制動力を受けつつ走行する場合には、車輪はほ
ぼ一定の減速度(負の加速度)をもって減速される(図
のA部参照)。そして、車輪が路面上にある突起物にあ
たったとき、図のB部で示すように僅かにその減速度は
大きくなる。つぎに、車輪が突起を回り込んで走行する
分、車体の軌跡よりも長い経路を進むことになるため
に、車輪加減速度は正の変化を生じる(図のC部参
照)。車輪の突起の回り込みが終了すると、車輪の減速
度はピーク値Pをとる。その後、車輪は急激にその回転
が制限されるので、減速度は増大する(図のD部参
照)。そして、完全に突起に通過した場合には、突起に
乗り上げる前と同様のほぼ一定の減速度の状態に戻る
(図のE部参照)。
【0040】本例では、図のA部の加減速レベルからC
部の終端すなわちピーク値Pとの差が加減速度の正の変
化として1Gを越える差が検出された場合において、車
輪の加減速度(本例では減速度)のピーク値P(加減速
度の変化がゼロ)が検出されたときから所定時間(本例
では100ms)を経過するまでは、ABS制御の開始
を制限する。すなわち、図19のフローチャートにおい
て、ステップS11及びS12は、上記図17の手順と
同じであるが、ステップS13において、コントロール
ユニット24は、上記のピーク値Pが検出されてから1
00msが経過したかどうかを判断し、経過していない
場合にはABS制御の開始を禁止する(ステップS1
4)ようにしている。そして、100ms経過したのち
ABS制御の開始条件を満足した場合には、ABS制御
が開始されることになる。その他のステップS1は、図
17のフローチャートと同様に行なう。また、段差の検
出手法として、上記以外に以下のようにして検出するこ
ともできる。上記車輪が路面の突起を乗り越える場合に
は、当該突起を通過する車輪の速度と疑似車体速との格
差が一時的に大きくなることが知られている。したがっ
て、車輪の速度と疑似車体速との偏差を監視しておき、
該偏差が一時的に大きくなっても、疑似車体速に復帰す
る時間が速い場合には、ABS制御を開始しないように
構成してもよい。たとえば、車輪速度と疑似車体速の偏
差を所定値を越えも50ms以内に所定の偏差内に入っ
た場合には、車輪は突起物などの路面上の小さな障害物
を乗り越えた可能性が高いので、ABS制御を開始を抑
制する。しかし50msを経過した後においても偏差が
所定範囲内にならない場合には、ABS制御開始条件を
満足することを条件として制御を開始する。
【0041】次に図20のフローチャートを参照して、
誤動作によりABS制御が開始された場合でも速やかに
ABS制御を終了させるための制御を説明する。図20
において、Tは各ステップを示す。先ず、T1におい
て、ABS制御に入ったか否かを判定する。ABS制御
に入っていれば、T2に進み、ブレーキペダル16が踏
み込まれているか否かを判定する。ここで、このような
判定を行うのは、ABS制御開始条件にブレーキペダル
の踏込は、含まれていないからである。ブレーキペダル
16が踏み込まれていれば、T3に進み、通常のABS
制御終了条件を設定する。即ち、ABS制御終了条件
を、増圧フェーズが所定時間T1 (例えば1秒)継続し
た場合にABS制御を終了するように設定する。一方、
T2において、ブレーキペダル16が踏み込まれていな
いと判定された場合には、T4に進み、踏込時と比較し
てABS制御終了条件が成立し易くなるよなABS制御
終了条件を設定する。即ち、ABS制御終了条件を、増
圧フェーズが所定時間T1 より短い時間T2 (例えば
0.3秒)継続した場合にABS制御を終了するように
設定する。
【0042】この実施例によれば、ブレーキペダル16
が踏み込まれていないのにABS制御に入った場合は、
誤動作によりABS制御が開始されたと判定し、このよ
うな場合には、ABS制御終了条件を、通常よりABS
制御終了条件が成立し易くなるように設定している。こ
のため、誤動作によりABS制御が開始されたとして
も、速やかにABS制御を終了させることができる。次
に図21のフローチャートを参照して、誤動作によりA
BS制御が開始された場合でも速やかにABS制御を終
了させるための他の制御を説明する。図21において、
Tは各ステップを示す。先ず、T11において、ABS
制御に入ったか否かを判定する。ABS制御に入ってい
れば、T12に進み、ブレーキペダル16が踏み込まれ
ているか否かを判定する。ブレーキペダル16が踏み込
まれていれば、T13に進み、通常のABS制御終了条
件を設定する。即ち、ABS制御終了条件を、スリップ
率閾値を通常の所定値(図15において、“A1 ”で示
す。)に設定し、スリップ率がこの閾値以下となった場
合にABS制御を終了させるようにする。一方、T12
において、ブレーキペダル16が踏み込まれていないと
判定された場合には、T14に進み、踏込時と比較して
ABS制御終了条件が成立し易くなるよなABS制御終
了条件を設定する。即ち、スリップ率閾値を通常の所定
値より小さな値(図15において、“A2 ”で示す。)
に設定し、スリップ率がこの閾値以下となった場合にA
BS制御を終了させるようにする。
【0043】この実施例においても同様に、ブレーキペ
ダル16が踏み込まれていないのにABS制御に入った
場合は、誤動作によりABS制御が開始されたと判定
し、このような場合には、ABS制御終了条件を、通常
よりABS制御終了条件が成立し易くなるように設定し
ている。このため、誤動作によりABS制御が開始され
たとしても、速やかにABS制御を終了させることがで
きる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
簡単にかつ迅速、的確に路面の小さな障害物、突起物、
段差などを車輪が通過したことを検出できるので、不必
要にABS制御が開始されることを解消することができ
る。また、ABS制御の必要な場合には、応答性よく確
実にABS制御を行なうことができ、したがって、良好
の制動性能を確保することができる。さらに、誤動作に
よりABS制御が開始された場合でも、速やかにABS
制御を終了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る車両のアンチスキッド
ブレーキ装置の概略構成図
【図2】 μテーブルの図表
【図3】 擬似車体速の演算処理のフローチャート
【図4】 車体速補正値のマップの線図
【図5】 制御しきい値設定処理のフローチャート
【図6】 走行状態パラメータを設定したテーブルの図
【図7】 各種制御しきい値を設定したテーブルの図表
【図8】 各種制御しきい値の補正値を設定したテーブ
ルの図表
【図9】 制御信号出力処理のフローチャートの一部
【図10】 制御信号出力処理のフローチャートの残部
【図11】 図9のS53の制御信号出力サブルーチン
のフローチャートの一部
【図12】 図9のS53の制御信号出力サブルーチン
のフローチャートの残部
【図13】 図11、図12と並行的に実行される制御
信号出力サブルーチンのフローチャート
【図14】 減圧レベル・減圧量テーブルの図表
【図15】 アンチスキッドブレーキ装置の動作タイム
チャート
【図16】 図15の第1サイクルのフェーズIII の動
作タイムチャート
【図17】 本発明の実施例による突起物等を車輪が通
過する場合の制御内容を示すフローチャート
【図18】 本発明の他の実施例による突起物を通過す
る際の制御の説明図
【図19】 本発明の他の実施例による図17と同様の
フローチャート
【図20】 本発明の他の実施例による誤動作によりA
BS制御開始された場合に速やかにABS制御を終了さ
せるための制御内容を示すフローチャート
【図21】 本発明の他の実施例による図20と同様の
フローチャート
【符号の説明】
1,2 前輪 3,4 後輪 11〜14 ブレーキ装置 15 ブレーキ制御システム 27〜30 車輪速センサ 20,21,23 第1〜第3バルブユニット 20a,21a,23a 開閉弁 20b,21b,23b リリーフ弁 24 コントロールユニット

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも左右の車輪の車輪速をそれぞ
    れ検出する車輪速検出手段と、 前記車輪速に基づいて、車輪の加減速度を算出する加減
    速度算出手段と、 前記車輪の加減速度に応じてすくなくともブレーキ油圧
    を増加する増圧フェーズとブレーキ油圧を減少する減圧
    フェーズとを有する制御サイクルでブレーキ油圧を制御
    するアンチスキッドブレーキ制御を開始するためのAB
    S制御閾値を設定する閾値設定手段と、 非ABS制御中において、所定値以上の車輪の加減速度
    の正の変化が検出された場合には前記閾値設定手段によ
    って設定されたABS制御閾値をABS制御が開始され
    にくい側に変更する閾値変更手段と備えたことを特徴と
    する車両のアンチスキッドブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 前記閾値変更手段の代わりに、非ABS
    制御中において、所定値以上の車輪の加減速度の正の変
    化が検出された場合には所定時間だけABS制御が開始
    されるのを禁止するABS制御禁止手段とを設けたこと
    を特徴とする請求項1記載の車両のアンチスキッドブレ
    ーキ装置。
  3. 【請求項3】 ABS制御が開始された場合において、
    ABS制御開始直後の減圧フェーズにおける減圧時間が
    所定時間よりも短い場合には、ABS制御を中止するA
    BS制御中止手段を備えたことを特徴とする請求項1記
    載の車両のアンチスキッドブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 前記ABS制御禁止手段は車輪の加減速
    度の正の変化のピーク値が検出されたのち所定時間AB
    S制御の開始を禁止することを特徴とする請求項2記載
    の車両のアンチスキッドブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 少なくとも左右の車輪の車輪速をそれぞ
    れ検出する車輪速検出手段と、 前記車輪速に基づいて、車輪の加減速度を算出する加減
    速度算出手段と、 前記車輪の加減速度に応じてすくなくともブレーキ油圧
    を増加する増圧フェーズとブレーキ油圧を減少する減圧
    フェーズとを有する制御サイクルでブレーキ油圧を制御
    するアンチスキッドブレーキ制御を開始するためのAB
    S制御閾値を設定する閾値設定手段と、 非ABS制御中に車輪の加減速度が前記ABS制御閾値
    を越えることによってABS制御が開始された場合にお
    いて、ABS制御開始直後の減圧フェーズにおける減圧
    時間が所定時間よりも短い場合には、ABS制御を中止
    するABS制御中止手段が設けられたことを特徴とする
    車両のアンチスキッドブレーキ装置。
  6. 【請求項6】 少なくとも左右の車輪の車輪速をそれぞ
    れ検出する車輪速検出手段と、 前記車輪速に基づいて、車輪の加減速度を算出する加減
    速度算出手段と、 前記車輪の加減速度に応じてすくなくともブレーキ油圧
    を増加する増圧フェーズとブレーキ油圧を減少する減圧
    フェーズとを有する制御サイクルでブレーキ油圧を制御
    するアンチスキッドブレーキ制御を開始するためのAB
    S制御閾値を設定する閾値設定手段と、 非ABS制御中に車輪の加減速度が前記ABS制御閾値
    を越えることによってABS制御が開始された後このA
    BS制御を所定の条件で終了させるためのABS制御終
    了条件を設定する終了条件設定手段と、 ブレーキペダルの踏み込みを検出する踏込検出手段と、 ブレーキペダル非踏込時には踏込時と比較して前記AB
    S制御終了条件を成立し易くする終了条件変更手段と、 を有することを特徴とする車両のアンチスキッドブレー
    キ装置。
  7. 【請求項7】 前記終了条件設定手段よるABS制御終
    了条件は、増圧フェーズが所定時間継続することであ
    り、前記終了条件変更手段が、ブレーキペダル非踏込時
    には踏込時と比較して増圧フェーズの所定継続時間を短
    く設定することにより前記ABS制御終了条件を成立し
    易くすることを特徴とする請求項6記載の車両のアンチ
    スキッドブレーキ装置。
  8. 【請求項8】 前記終了条件設定手段よるABS制御終
    了条件は、車輪のスリップ率が所定終了閾値以下となっ
    た場合であり、前記終了条件変更手段が、ブレーキペダ
    ル非踏込時には踏込時と比較して前記所定終了閾値をよ
    り小さい値とすることにより前記ABS制御終了条件を
    成立し易くすることを特徴とする請求項6記載の車両の
    アンチスキッドブレーキ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004026617A1 (ja) * 2002-09-20 2004-04-01 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 車両のスリップ制御装置、それを搭載した自動車及びその制御方法
US10737672B2 (en) 2017-11-30 2020-08-11 Hyundai Motor Company Method of changing ABS control mode by using analysis of driving pattern

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