JPH0731417Y2 - ディスク型記録媒体再生装置のピックアップ送り機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ピックアップユニットを移動自在に支持する
直線状のガイド杆に対するピックアップ送りねじの取付
け精度や加工精度を高める必要がなく、しかもピックア
ップ送りねじとナットとの間のギャップ、及びピックア
ップユニットの本体より延出する連結部とナットとの間
の回転方向ギャップの存在に起因するピックアップユニ
ットの振動を、弾性体を設けることにより減少させて、
ピックアップユニットの位置探索を容易にしたディスク
型記録媒体再生装置のピックアップ送り機構に関する。

（従来の技術） 一般に、CD（コンパクトディスク）等の、いわゆるディ
スク型記録媒体に記録された情報の再生を行なうディス
ク型記録媒体再生装置は、記録媒体を回転させながら、
ピックアップユニットより記録媒体の記録面にレーザ光
を照射して、その反射光をもとに情報の読み取りを行な
うようになっている。

この種の再生装置における従来のピックアップ送り機構
は、第７図及び第８図に示す如くピックアップ送りねじ
ａに、ピックアップユニットｂの一部に取り付けたナッ
トｃを螺合させ、ピックアップ送りねじａをモータｄに
て回転駆動することにより、ピックアップユニットｂを
直線状のガイド杆ｅに沿って移動させるようになってい
る。ナットｃは、ピックアップユニットｂの本体ｆより
延出する連結部ｇに係合しているが、ガイド杆ｅとピッ
クアップ送りねじａとの平行精度を出すことが、組立技
術上、困難なため、たとえ平行精度が悪くても、ピック
アップユニットｂの位置決め精度に悪影響が及ばないよ
う、連結部ｇとナットｃとの間には、ナットｃの回転方
向に僅かなギャップｈを設けている。

（考案が解決しようとする課題） 連結部ｇとナットｃとの間には僅かなギャップｈが存在
しているので、ピックアップユニットｂの位置探索のた
めにモータｄが激しく、かつ、小刻みに正逆回転を繰返
すと、ナットｃも回転方向に激しく振動し、この振動
と、その際にナットｃと連結部ｇとの衝突によって発生
する衝撃とがピックアップユニットｂの本体ｆに伝達さ
れる。

そこで、ピックアップユニットｂ内に取り付けられた対
物レンズｉが敏感に反応して激しく振動し、その結果、
記録面上の情報を読み取るのに長時間を要したり、読み
取りが不能になるなどの問題点があった。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、ピックアッ
プ送りねじの取付け精度や加工精度を高めることなく、
対物レンズの振動を防止して記録面上の情報を確実かつ
迅速に読み取ることができるようにしたディスク形記録
媒体再生装置のピックアップ送り機構を提供することを
目的としている。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案のディスク形記録
媒体再生装置のピックアップ送り機構は、ピックアップ
ユニット本体より延出する連結部に弾性体を設け、この
弾性体をピックアップ送りねじに螺合するナットに係合
させて、該送りねじの半径方向に向かって弾性押圧力を
与えると同時に該ナットの回転動作に弾性抵抗を与える
ようにした。

（作用） 連結部に設けられた弾性体により、ナットにピックアッ
プ送りねじの半径方向に向かう弾性押圧力が常に与えら
れると同時に、ナットの回転動作に弾性抵抗が与えられ
るので、ピックアップ送りねじに撓みや傾きがある等、
その取り付け精度が悪い場合でも、ナットと送りねじと
の間に存在するギャップが実質的に０となり、かつ、ナ
ットの回転方向の振動が抑制される。

（実施例） 以下、本考案の実施例を第１図乃至第６図に基づき説明
する。第１図は本考案を適用したディスク形記録媒体再
生装置の一部を切欠した斜視図、第２図は本考案のピッ
クアップ送り機構の下面図、第３図は第２図のIII-III
線に沿う断面図、第４図は第１図のIV-IV線に沿う断面
図であり、第１図中１はディスク形記録媒体再生装置
で、その略中央部には再生部２が取り付けられている。
この再生部２は、従来と同様に、モータ３にて回転駆動
されるターンテーブル４と、クランパ５と、ピックアッ
プユニット６とを備えている。

モータ３は、基板７の下面に一対の取付ねじ８で固定さ
れている。このモータ３の回転軸９は基板７の上面側に
突出され、この回転軸９にターンテーブル４が固定され
ている。

クランパ５は、基板７の上方に位置して回転軸９の軸方
向に移動自在に設けられた保持板10に板ばねより成るホ
ルダ11を介して保持されて、ターンテーブル４と対向し
ている。

ピックアップユニット６は、第２図及び第３図に示すよ
うに上部に対物レンズ12を設けた本体13を有し、この本
体13にはその一側方に延出する枠状の連結部14が止めね
じ22により取り付けられ、該連結部14にはナット15が回
転不可能に、かつ、若干の移動を許容するように係合さ
れている。

基板７の下面には、第２図に示すように、合成樹脂製の
一対のピックアップ支持台16a,16bがそれぞれねじ止め
され、両支持台16a,16b間に一対のガイド杆17a,17bが、
互いに平行に取り付けられている。そして、これら一対
のガイド杆17a,17bに、ピックアップユニット６の本体1
3の両側の嵌挿孔18a,18bが摺動自在に嵌挿され、これに
より、ピックアップユニット６が基板７の下面と平行に
移動自在となっている。なお、基準側である一方のガイ
ド杆17aの嵌挿孔18aは真円で、補助側である他方のガイ
ド杆17bの嵌挿孔18bは楕円となっている。ピックアップ
支持台16a,16b間には前記ガイド杆17a,17bと平行なピッ
クアップ送りねじ19が支持されており、前記連結部14に
若干の隙間をあけて係合されたナット15が、この送りね
じ19に螺合されている。連結部14の下面には第１図に示
す如く弾性体20が設けられている。この弾性体20は板ば
ねよりなるもので、一側片20aの略中間部に他側片20bを
連設した平面略Ｔ字形をなし、その他側片20bの先端に
は折曲部（突出部）21が折曲形成されている。そして、
一側片20a,20aの両端が連結部14と共に本体13の下面に
止めねじ22により固定され、他側片20bの先端側は、ナ
ット15の下側に延出している。このナット15の周側面下
部には、その軸方向に沿うＶ形凹部23が設けられ、この
凹部23の谷部に他側片20b先端の折曲部21が押付けられ
ている。従って、弾性体20は、ナット15にピックアップ
送りねじ19の半径方向に向かって弾性押圧力を与えると
同時に該ナット15の回転動作に弾性抵抗を与えることに
なる。ピックアップユニット６の本体13の上部は、基板
７に設けられた開口部7aを通して基板７の上面側に延出
し、移動可能となっている。そして、ピックアップ送り
ねじ19が正逆回転するのに伴うねじ送り作用で、ピック
アップユニット６が第２図及び第３図中矢印A,B方向に
移動するようになっている。

ピックアップ送りねじ19は、その両端部が、各ピックア
ップ支持台16a,16bに一体形成された軸受24,25に、回転
自在に支持されている。ピックアップ送りねじ19の他端
側にはプーリ26が固定され、このプーリ26は、送り用モ
ータ27にて無端ベルト28を介して回転駆動され、ピック
アップ送りねじ19が一定量ずつ回転してピックアップユ
ニット６のピッチ送りがなされるようになっている。ま
た、第１図中29は多数のディスク型記録媒体（図示省
略）を収納する収納部、30は収納部29から所望のディス
ク型記録媒体を引き出してターンテーブル４上へ移送す
る引出機構である。

しかして、ディスク型記録媒体再生装置１の作動は従来
と同様に、ディスク型記録媒体31（第４図参照）がター
ンテーブル４上にセットされ、クランパ５が下降して、
このクランパ５とターンテーブル４とで挟持され、モー
タ３により回転駆動される。これと同時に、送り用モー
タ27によりピックアップ送りねじ19が回転駆動されて、
ピックアップユニット６がガイド杆17a,17bの軸線に沿
って一定量ずつピッチ送りされる。

このようなピックアップユニット６の送り動作時におい
ては、常に弾性体20により、ナット15に、ピックアップ
送りねじ19の半径方向に向かって弾性押圧力が与えられ
ていると同時に該ナット15の回転動作に弾性抵抗が与え
られているので、ピックアップユニット６の位置探索の
ために、送り用モータ27が激しく且つ小刻みに正逆回転
を繰返してもナット15の回転方向振動が抑制される。

また、弾性体20により、ナット15にピックアップ送りね
じ19の半径方向に向かう弾性押圧力が与えられているの
で、ナット15と送りねじ19との間の隙間が実質的に０と
なり、ナット15がピックアップ送りねじ19の回転に確実
に追随する。

第５図は本考案の第２実施例を示し、この実施例はナッ
ト15aを半割ナットにしたもので、このようにナットａ
を半割ナットにすれば、組立が容易となる。

また、第６図は本考案の第３実施例を示し、この実施例
は、ナット15aを半割ナットにすると共に、弾性体20′
を、弾性合成樹脂製の連結部14aと一体形成したもので
ある。このように、弾性体20aを弾性合成樹脂として、
連結部14aと一体形成したことにより、部品点数を削減
できる。

なお、これら第２及び第３実施例におけるその他の構成
及び作用は、上述した第１実施例と同様であるから、図
面の同一部分に同一符号を付して、その説明を省略す
る。

（考案の効果） 以上の如く本考案のディスク型記録媒体再生装置のピッ
クアップ送り機構は、連結部に設けられた弾性体によ
り、ナットにピックアップ送りねじの半径方向に向かう
弾性押圧力を与えると同時に、該ナットの回転動作に弾
性抵抗を与えるようにしているので、ピックアップ送り
ねじの取り付け精度が悪い場合でも送りねじに対するナ
ットの追従性を十分に高め得る。しかもピックアップユ
ニットの位置探索のために送り用モータが激しく、且
つ、小刻みに正逆回転を繰返しても、ナットが回転方向
に振動するのを抑えることができ、連結部とナットとの
小刻みな衝突を防止できる。従って、ピックアップ送り
ねじとナットとの間、及び連結部とナットとの間にギャ
ップが存在しているにも拘らず、ナット周辺部における
振動や衝撃の発生を抑えることができ、対物レンズの振
動を防止して、記録面上の情報を確実、且つ、迅速に読
み取ることができる。

更に、ナットにピックアップ送りねじの半径方向に向か
う弾性押圧力を与えているので、ナットと送りねじとの
間のギャップが実質的に０となり、これによってナット
を送りねじの回転に確実に追随させることができ、送り
用モータの回転動作に対するピックアップユニットの動
作遅れをなくして、情報の読み取り精度を一層高めるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本考案の一実施例を示し、第１図は
本考案を適用したディスク型記録媒体再生装置の一部を
切欠した斜視図、第２図は本考案のピックアップ送り機
構の下面図、第３図は第２図のIII-III線に沿う断面
図、第４図は第１図のIV-IV線に沿う断面図、第５図は
本考案の第２実施例を示す第４図と同状図、第６図は本
考案の第３実施例を示す第４図と同状図、第７図は従来
のピックアップ送り機構の下面図、第８図は第７図のナ
ット部分の平面図である。 １……ディスク型記録媒体再生装置、６……ピックアッ
プユニット、13……本体、14,14a……連結部、15,15a…
…ナット、17a,17b……ガイド杆、20,20′……弾性体、
21……折曲部（突出部）、23……凹部、27……送り用モ
ータ（モータ）。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】モータ（27）により回転駆動される送りね
   じ（19）と、この送りねじに螺合するナット（15）とを
   用いてピックアップユニット（６）を直線状のガイド杆
   （17a,17b）に沿って移動させるディスク型記録媒体再
   生装置のピックアップ送り機構において、 前記ナットを、前記ピックアップユニットの本体より延
   出する連結部（14）に対して係合可能に、且つ前記送り
   ねじの回転方向および前記ピックアップユニットの移動
   方向にそれぞれ若干の移動を許容させて設けると共に、 前記連結部には前記ナットに前記送りねじの半径方向に
   向けて弾性押圧力を与えると同時に該ナットの回転動作
   に抵抗を与える弾性体（20）を設け、 前記送りねじの取付け・加工精度を緩和することを特徴
   とするディスク型記録媒体再生装置のピックアップ送り
   機構。
2. 【請求項２】前記ナットの外面に凹部（23）を設け、前
   記弾性体には該凹部に係合する突出部（21）を設けたこ
   とを特徴とする請求項１に記載のディスク型記録媒体再
   生装置のピックアップ送り機構。
3. 【請求項３】前記弾性体を板ばねとし、該板ばねの先端
   を折曲してその折曲部を前記突出部としたことを特徴と
   する請求項第２項に記載のディスク型記録媒体再生装置
   のピックアップ送り機構。