JPH07313852A - 半透性複合膜の製造方法 - Google Patents

半透性複合膜の製造方法

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JPH07313852A
JPH07313852A JP10975494A JP10975494A JPH07313852A JP H07313852 A JPH07313852 A JP H07313852A JP 10975494 A JP10975494 A JP 10975494A JP 10975494 A JP10975494 A JP 10975494A JP H07313852 A JPH07313852 A JP H07313852A
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membrane
film
composite membrane
performance
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JP10975494A
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Tomoko Shibuya
知湖 渋谷
Toshihiro Ikeda
敏裕 池田
Sadao Kojima
定雄 小嶋
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【効果】 従来の複合膜および複合膜の製造方法に比較
して、脱塩率および耐圧性が向上するとともに、膜性能
の均一性が向上した半透性複合膜を提供することができ
る。 【構成】 微多孔性支持膜表面に、一分子中に2個以上
の反応性基を有する水溶性化合物の水溶液を被覆、液切
りした後、該微多孔性支持膜を上記水溶性化合物と反応
しうる多官能性反応試薬の溶液で被覆して、超薄膜を形
成してなる半透性複合膜において、該水溶液の被覆・液
切り後に、該微多孔性支持膜が含有する水の一部を蒸発
させることを特徴とする半透性複合膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液状混合物の成分を選
択透過分離するための高性能な半透性複合膜およびその
製造方法に関するものである。本発明によって得られる
半透性複合膜は特にカン水の脱塩、海水の淡水化、また
半導体の製造に利用される超純水の製造に用いることが
できる。さらには、染色排水、電着塗料排水などから、
その中に含まれる汚染物質あるいは有用物質を選択的に
除去あるいは回収し、ひいては排水のクローズド化に寄
与することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、工業的に利用されている半透膜に
は非対称膜型の酢酸セルロース膜があった(例えば、米
国特許第3、133、132号明細書、同第3、13
3、137号明細書)。しかし、この膜は耐加水分解
性、耐微生物性、耐薬品性などに問題があり、塩排除
率、水透過性も十分ではなかった。このため、酢酸セル
ロース非対称膜は一部の用途には使用されているが広範
囲の用途に実用化されるには至っていない。
【0003】これらの欠点を補うべく非対称膜とは形態
を異にする半透膜として微多孔性支持膜上に異なる素材
で実質的に膜分離性能を司る超薄膜(活性層)を被覆し
た半透性複合膜が考案された。半透性複合膜では、活性
層と微多孔性支持膜の各々に最適な素材を選択する事が
可能であり、製膜技術も種々の方法を選択できる。
【0004】現在市販されている半透性複合膜の大部分
は微多孔性支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した活性
層を有するものと、微多孔性支持膜上でモノマーを界面
重縮合した活性層を有するものの2種類である。前者の
具体例としては、特開昭49−13282号公報、特公
昭55−38164号公報、PBレポート80−182
090、特公昭59−27202号公報、同61−27
102号公報などがある。後者の具体例としては米国特
許第3,744,942号明細書、同第3,926,7
98号明細書、同第4,277,344号明細書、特開
昭55−147106号公報、同58−24303号公
報、同62−121603号公報などがある。
【0005】これらの半透性複合膜では酢酸セルロース
非対称膜よりも高い脱塩性能が得られている。さらにこ
れらの膜は殺菌に用いられる塩素、過酸化水素に対する
耐久性も向上されつつあり用途が広がってきている段階
にある。しかしながら、膜に対する要求特性は高まる一
方で、特に海水淡水化、カン水淡水化に代表される脱塩
分野においては高温、高圧、高濃度という厳しい条件下
でも、高い塩排除率、高造水量、耐圧性、耐熱性、耐薬
品性、耐久性、耐塩素性、耐過酸化水素性といった特性
を維持する膜の開発が切望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】半透性複合膜に対す
る要求特性は高まる一方で、特に海水淡水化、カン水淡
水化に代表される脱塩分野においては、高温、高圧、高
濃度という厳しい条件下でも、高い塩排除率、高造水
量、耐圧性、耐熱性、耐薬品性、耐久性、耐塩素性、耐
過酸化水素性といった特性を保持できる膜の開発が望ま
れているが、これらをすべて満足するものは得られてい
ない。
【0007】一方、製膜時、水溶性化合物の水溶液を液
切りした後に残る細かな水滴や、膜表面での水溶性化合
物の濃度分布、さらに多官能性反応試薬との反応性が膜
表面の各部で若干異なるなどの原因で、超薄膜に欠点が
生じ、膜性能のばらつきが大きいなどの問題点があっ
た。超薄膜の欠点はさらに膜性能の耐久性に影響する。
本発明はこれらの耐圧・耐熱性の面での問題点を解決
し、また同時に超薄膜の欠点を防止して膜性能の均一性
を向上するという従来の半透性複合膜においては達成が
困難であった課題を解決しようとするものである。
【0008】
【問題点を解決するための手段】上記課題を解決するた
め本発明は下記の構成から成る。
【0009】微多孔性支持膜表面に、一分子中に2個以
上の反応性基を有する水溶性化合物の水溶液を被覆、液
切りした後、該微多孔性支持膜を上記水溶性化合物と反
応しうる多官能性反応試薬の溶液で被覆して、超薄膜を
形成してなる半透性複合膜において、該水溶液の被覆・
液切り後に、該微多孔性支持膜が含有する水の一部を蒸
発させることを特徴とする半透性複合膜の製造方法。
【0010】本発明において、微多孔性支持膜とは実質
的には分離性能を有さない層であり、実質的に分離性能
を有する超薄膜層(活性層)に強度を与えるために用い
られるものである。微多孔性支持膜は均一な微細な孔あ
るいは片面に緻密で微細な孔を持ち、もう一方の面まで
徐々に大きな微細な孔をもつ非対称構造で、その微細孔
の大きさはその緻密な片面の表面で100nm以下であ
るような構造が好ましい。また、微多孔性支持膜の厚み
は1μm〜数mmであり、膜強度の面から10μm以
上、扱いやすさモジュール加工のしやすさの面で数10
0μm以下が好ましい。これら微多孔性支持膜は、布あ
るいは不織布で補強されていても良い。上記の微多孔性
支持膜は、例えばミリポア社製“ミリポアフィルターV
SWP”(商品名)や、東洋ろ紙社製“ウルトラフィル
ターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選
択することもできるが、通常は、“オフィス・オブ・セ
イリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロッ
プメント・プログレス・レポート”No.359(196
8)に記載された方法に従って製造できる。その微多孔
性支持膜の素材にはポリスルホン、酢酸セルロース、硝
酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリ
ル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフ
ィドスルホン等のホモポリマーまたはコポリマーを単独
であるいはこれらのポリマーをブレンドしたものを使用
することができる。これらの素材の中では化学的、機械
的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポ
リスルホンが一般的に使用される。例えば、ポリスルホ
ンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を密に織った
ポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型
し、それをドデシル硫酸ソーダ0.5重量%およびDM
F2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによっ
て、表面の大部分が直径数十nm以下の微細な孔を有し
た微多孔性支持膜が得られる。
【0011】本発明においては、上記の支持体に、一分
子中に2個以上の反応性基を有する水溶性化合物の水溶
液を被覆する。
【0012】本発明において、一分子中に2個以上の反
応性基を有する水溶性化合物とは、2個以上の反応性基
を有する脂肪族、芳香族、あるいは複素環の化合物であ
り、実質的に水に可溶であり多官能試薬と反応し水不溶
性の架橋ポリマを形成するものであればいずれでもよ
く、反応基はアミノ基、水酸基などであり2個以上の反
応性基が同一でもまた異なっていてもよい。一般的には
例えばm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、1,3,5−トリアミノベンゼン、パラキシリレン
ジアミンなどの芳香族アミン類、エチレンジアミン、プ
ロピレンジアミン、ジメチルエチレンジアミン、ピペラ
ジン、アミノメチルピペリジンなどの脂肪族アミン類、
エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコー
ルなどの脂肪族アルコール類、ジヒドロキシベンゼン、
トリヒドロキシベンゼンなどの芳香族アルコール類が用
いられる。これらの中では反応性、得られた膜の性能の
面から多官能アミノ化合物、さらに芳香族アミン類、特
にm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、
1,3,5−トリアミノベンゼンが好ましい。これらの
一分子中に2個以上の反応性基を有する水溶性化合物は
単独であるいは混合して用いることが出来る。これら水
溶性化合物は重量濃度で0.1〜20%の水溶液として
使用する。水溶液には必要に応じてDMAc、DMS
O、DMF、NMPなどの極性溶媒など、他の水溶性化
合物を混合してもかまわない。
【0013】また、上記水溶性化合物と反応しうる多官
能性反応試薬としては多官能の酸ハロゲン化物、多官能
のイソシアネート化合物などを用いることが出来る。例
えば多官能酸ハライドの例としては、トリメシン酸ハラ
イド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ハライド、トリ
メット酸ハライド、ピロメット酸ハライド、イソフタル
酸ハライド、テレフタル酸ハライド、ナフタレンジカル
ボン酸ハライド、ジフェニルジカルボン酸ハライド、ピ
リジンジカルボン酸ハライド、ベンゼンジスルホン酸ハ
ライド、クロロスルホニルイソフタル酸ハライドなどの
芳香族系多官能酸ハロゲン化物、イソシアネート化合物
としてはトルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソ
シアネート化合物が用いられる。これらの化合物の中で
は反応のしやすさ、得られた膜の分離性能の面から芳香
族酸クロライド、特にイソフタル酸クロライド、テレフ
タル酸クロライド、トリメシン酸クロライド、及びこれ
らの混合物が好ましい。多官能性反応性試薬を溶解する
溶媒は水と非混和性であり、かつ多官能性反応試薬を溶
解し微多孔性支持膜を破壊しないことが必要であり、界
面重縮合により架橋ポリマを形成し得るものであればい
ずれであっても良い。好ましい例としては、炭化水素化
合物、シクロヘキサン、1,1,2-トリクロロ-1,2,2トリフ
ルオロエタンなどが挙げられるが、反応速度、溶媒の揮
発性からは好ましくはn−ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、1,1,2-ト
リクロロ-1,2,2トリフルオロエタンなどである。多官能
性反応試薬の溶液には必要に応じて該溶液に混和可能な
他の化合物を混合しても構わない。
【0014】得られた超薄膜の厚みは5nmから10μ
mであるが、半透性複合膜の水透過性の面から、1μm
以下が好ましい。これより厚くなると水透過性が低くな
る恐れがあり好ましくない。また、5nmより薄いと耐
久性、傷、欠点が入りやすいなどの問題点がある。
【0015】次に製膜方法について述べる。
【0016】最初に、微多孔性支持膜上に反応性基を2
個以上持つ水溶性化合物(以下水溶性化合物と略す)を
含む水溶液(以下組成物という)を被覆する。過剰な組
成物を除去した後、該微多孔性支持膜の表面および膜中
の水の一部を加熱あるいは熱風の吹き付けにより蒸発
し、次に多官能性反応試薬の有機溶媒溶液を塗布し、i
n situ界面重縮合反応によって超薄膜を被覆す
る。過剰な有機溶媒溶液を除去し、有機溶媒を揮発させ
た後、本発明の半透性複合膜を得る。得られた半透性複
合膜は必要に応じてこの後純水による洗浄など後処理を
行なっても良い。
【0017】組成物の被覆方法としてはコ−ティングす
る方法あるいは微多孔性支持膜を組成物中に浸漬する方
法がある。組成物を微多孔性支持膜に被覆した後、余分
な組成物を除去するために液切り工程を設けるのが一般
的であり、液切りの方法としては、例えば膜面を垂直方
向に保持して自然流下させる方法などがある。
【0018】液切りを行なった後、微多孔性支持膜の表
面および膜中の水の一部を蒸発させる。水の蒸発方法と
しては、膜の表面および/または裏面に熱板あるいは加
熱ロ−ルを接触させて膜を加熱する方法、加熱した容器
内に膜を置いて膜を加熱する方法、赤外線、ヒ−タ−な
どを用いて膜を加熱する方法、加熱気体を膜の表面およ
び/または裏面に吹き付けて膜を加熱する方法などがあ
る。
【0019】加熱の温度は30〜150℃、好ましくは
60〜100℃、さらに好ましくは60〜80℃であ
る。温度が30℃未満の場合、水の蒸発が少なく、効果
がない。また、150℃を越える場合は、膜中の水分が
大部分蒸発してしまい、膜性能が低下する。さらに10
0℃以上で長時間加熱すると、蒸発量が大きく、膜性能
が低下する可能性がある。
【0020】加熱時間は、加熱温度との関係で、低温で
あれば長時間でも構わないが、高温の場合は短時間の方
が良い。具体的には、10秒から2分の間が好ましい。
さらに好ましくは10秒から1分である。10秒未満で
は水分蒸発量が少なく、効果がない。また、2分以上、
あるいは高温で1分以上の場合は、蒸発し過ぎて性能が
低下する可能性がある。さらに、あまりに長時間、加熱
を行なうことは生産性も悪い。
【0021】熱風を吹き付ける場合、熱風の温度は25
℃〜150℃、好ましくは60〜100℃、さらに好ま
しくは60〜80℃である。加熱の温度と同じく、低温
では効果がなく、高すぎると性能が低下する。
【0022】吹き付けの時間は10秒〜2分、好ましく
は10秒〜1分である。これも加熱する場合と同じく、
短時間では効果がなく、長時間行なうと、膜性能が低下
する恐れがある。
【0023】熱風はファンなどを用いて、吹き出し口あ
るいはノズルから膜面に吹き付けるが、その風速は0.
5〜20m/sec、好ましくは5〜15m/secで
ある。風速が低いと蒸発効果が低く、高すぎると蒸発し
過ぎて膜性能の低下を引き起こす可能性がある。
【0024】熱風に用いる気体は、空気および窒素、ア
ルゴンなどの不活性ガスが使用できる。また、水分を蒸
発させるという目的から乾燥気体を用いるのが好まし
い。
【0025】これら加熱、熱風の吹き付けによる微多孔
性支持膜の表面および膜中の水分の蒸発は、膜面での化
合物濃度を上昇させて、超薄膜形成反応の反応速度を上
げる効果があり、その結果、詳細は不明であるが、膜性
能、耐久性を向上させると考えられる。また、この加熱
あるいは熱風の吹き付けにより、欠点の原因となる膜表
面上の微小な水滴が除去されて、膜性能および膜性能の
均一性が向上すると考えられる。
【0026】次に組成物と多官能性反応試薬のin s
itu界面重縮合反応によって超薄膜を被覆する。多官
能性反応試薬は上に示したように多官能酸ハライドが好
ましい。また、有機溶媒は、前述のとおり水と非混和性
であり、かつ試薬を溶解し微多孔性支持膜を破壊しない
ことが必要であり、界面重縮合により架橋ポリマを形成
し得るものであればいずれであっても良い。 試薬の濃
度は特に限定されるものではないが、少なすぎると活性
層である超薄膜の形成が不十分となり欠点になる可能性
があり、多いとコスト面から不利になるため、0.01
〜1.0重量%程度が好ましい。
【0027】過剰な多官能性反応試薬の有機溶媒溶液は
次の液切り工程により除去され、一般的にはこの間に有
機溶媒は蒸発する。場合によっては、さらに風などをあ
て積極的に有機溶媒を揮発させることにより、本発明の
半透性複合膜を得る。
【0028】上記のようにして得られた複合半透膜はこ
のままでも使用できるが、使用する前に水洗などによっ
て未反応残存物を取り除くことが好ましい。また、必要
に応じて、薬液と接触したり、熱処理を行っても良い。
【0029】さらに、本発明の複合膜の形態は平膜で
も、中空糸でも構わない。また、得られた複合膜は平膜
は、スパイラル、チューブラー、プレート・アンド・フ
レームのモジュールに組み込んで、また中空糸は束ねた
上でモジュールに組み込んで使用することができるが、
本発明はこれらの膜の使用形態に左右されるものではな
い。
【0030】また、本発明の複合膜の用途としては、精
密濾過、限外濾過、逆浸透、気体分離、浸透気化があ
る。この中でも特に、逆浸透に適しており、さらには高
脱塩率、耐久性が要求される海水淡水化の分野における
用途に最適である。しかしながら、本発明はこれらの膜
の用途に限定されるものではない。
【0031】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが本発明は、これらに限定されるものではない。
【0032】なお、実施例において半透性複合膜の性能
については、選択分離性能として食塩の濃度を電気伝導
度の測定によって決定した後、次式から脱塩率と塩透過
率を求めた。
【0033】脱塩率 = (1−透過液の食塩濃度/供
給液の食塩濃度)×100[%] 塩透過率 = 100−脱塩率[%] また、透過性能としての造水量は、単位面積、単位時間
当たりの水の透過量で決定した。
【0034】耐圧性の評価は以下の方法で行なった。
【0035】半透性複合膜を濃度35000ppmの食
塩水を使用して、圧力56kg/cm2 、25℃の条件
下で逆浸透性能を評価した(1)。次に条件を食塩濃度
50000ppm、圧力70kg/cm2 、35℃に変
更し、同様に逆浸透性能を測定した(2)。再び(1)
と同条件に戻し、逆浸透性能を評価した(3)。(1)
と(3)における水透過係数(A値)と溶質透過係数
(B値)の比をそれぞれA値比、B値比として耐圧性の
指標とした。なお、A値、B値は次式により得られる。
【0036】A値=119.6×10-5(造水量)/
{ΔP−O(C原水−C透過水 )}[g/cm2 ・s
ec・atm] ここで ΔP:有効圧力[kg/cm2 ] O:浸透圧係数=0.0008[kg/cm2 /ppm] C:原水および透過水の塩濃度[ppm] B値=115.7×10-5(造水量){100−(脱塩
率)}/(脱塩率)[cm/sec] 参考例1 タテ30cm、ヨコ20cmの大きさのポリエステル繊維か
らなるタフタ(タテ糸、ヨコ糸共150デニ−ルのマル
チフィラメント糸、織密度タテ90本/インチ、ヨコ6
7本/インチ、厚さ160μ)をガラス板上に固定し、
その上にポリスルホン(アモコ社製のUdel P−3
500)の15重量%ジメチルホルムアミド(DMF)
溶液を200μの厚みで室温(20℃)でキャストし、
ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって
繊維補強ポリスルホン支持膜(以下FR−PS支持膜と
略す)を作製する。このようにして得られたFR−PS
支持膜(厚さ210〜215μ)の純水透過係数は圧力
1kg/cm2 、温度25℃で測定して0.005〜0.
01g/cm2 ・sec・atmであつた。
【0037】実施例1 参考例1によって得られたFR−PS支持膜をメタフェ
ニレンジアミン0.864重量%、トリアミノベンゼン
1.136重量%を含有する水溶液に1分間浸漬した。
FR−PS支持膜表面から余分な該水溶液を取り除いた
後、温度80℃、風速8m/secの熱風を30秒間吹
き付けることにより、水の一部を除去した。該膜に1,1,
2-トリクロロ -1,2,2-トリフルオロエタンにトリメシン
酸クロライド0.05重量%、テレフタル酸クロライド
0.075重量%を溶解した溶液を表面が完全に濡れる
ようにコ−ティングして1分間静置した後、膜を垂直に
して余分な該溶液を液切りして除去した。次に該膜を洗
浄した後、pH7の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に2分
間浸漬した。このようにして得られた複合膜10枚を浸
透圧が28kg/cm2 の3.5%食塩水を使用して圧
力56kg/cm2、温度25℃の条件下で逆浸透テス
トした結果、表1に示したような性能が得られた。
【0038】
【表1】 なお、各値の平均値は脱塩率99.68%、塩透過率
0.32%、造水量0.64m3 /m2 ・日であった。
また、塩透過率と造水量の分散はそれぞれ2.45×1
-4、5.60×10-5であった。
【0039】比較例1 実施例1において、熱風の吹き付けの温度を20℃、時
間を2分にすること以外は同様の条件で半透性複合膜を
10枚製造し、膜性能評価をしたところ、表2に示した
ような性能の膜が得られた。
【0040】
【表2】 なお、各値の平均値は脱塩率99.18%、塩透過率
0.82%、造水量0.73m3 /m2 ・日であった。
また、塩透過率と造水量の分散はそれぞれ9.58×1
-2、1.81×10-3であった。
【0041】実施例2 実施例1において、熱風の吹き付けの替わりに、80
℃、30秒の条件で加熱を行なうこと以外は同様の条件
で製膜し、膜性能評価を行なったところ、脱塩率99.
56%、造水量0.62m3 /m2 ・日であった。ま
た、A値比とB値比はそれぞれ1.03、0.96であ
った。
【0042】比較例2 実施例2において、加熱条件を25℃、2分に変更する
こと以外は、同様の条件で製膜し、膜性能評価を行なっ
たところ、脱塩率99.21%,造水量0.77m3
2 ・日であった。また、A値比とB値比はそれぞれ
0.80、1.47であった。
【0043】実施例3 実施例1において、熱風の吹き付けの温度を25℃、時
間を2分にすること以外は同様の条件で製膜し、膜性能
評価を行なったところ、脱塩率99.51%、造水量
0.69m3 /m2 ・日であった。また、A値比とB値
比はそれぞれ1.01、1.06であった。
【0044】実施例4 実施例1において、熱風の吹き付けの温度を60℃、時
間を40秒にすること以外は同様の条件で製膜し、膜性
能評価を行なったところ、脱塩率99.60%、造水量
0.66m3 /m2 ・日であった。また、A値比とB値
比はそれぞれ0.98、0.97であった。
【0045】実施例5 実施例1において、熱風の吹き付けの温度を100℃、
時間を30秒にすること以外は同様の条件で製膜し、膜
の性能評価を行なったところ、脱塩率99.55%、造
水量0.60m3 /m2 ・日であった。また、A値比と
B値比はそれぞれ0.99、0.97であった。
【0046】実施例6 実施例1において、熱風の吹き付けの温度を150℃、
時間を10秒にすること以外は同様の条件で製膜し、膜
の性能評価を行なったところ、脱塩率99.34%、造
水量0.61m3 /m2 ・日であった。また、A値比と
B値比はそれぞれ0.94、0.95であった。
【0047】比較例3 実施例1において、熱風の吹き付けの温度を150℃、
時間を3分にすること以外は同様の条件で製膜し、膜性
能評価を行なったところ、脱塩率90.32%、造水量
0.14m3 /m2 ・日であった。
【0048】比較例4 実施例1において、熱風の吹き付けの温度を160℃、
時間を1分にすること以外は同様の条件で製膜し、膜性
能評価を行なったところ、脱塩率95.18%、造水量
0.22m3 /m2 ・日であった。
【0049】比較例5 実施例1において、熱風の吹き付けの温度を100℃、
時間を5秒にすること以外は同様の条件で製膜し、膜性
能評価を行なったところ、脱塩率99.13%、造水量
0.79m3 /m2 ・日であった。また、A値比とB値
比はそれぞれ0.64、1.56であった。
【0050】
【発明の効果】本発明により、従来の複合膜および複合
膜の製造方法に比較して、脱塩率および耐圧性が向上す
るとともに、膜性能の均一性が向上した半透性複合膜を
提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微多孔性支持膜表面に、一分子中に2個
    以上の反応性基を有する水溶性化合物の水溶液を被覆、
    液切りした後、該微多孔性支持膜を上記水溶性化合物と
    反応しうる多官能性反応試薬の溶液で被覆して、超薄膜
    を形成してなる半透性複合膜において、該水溶液の被覆
    ・液切り後に、該微多孔性支持膜が含有する水の一部を
    蒸発させることを特徴とする半透性複合膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 多官能性反応試薬の溶液が水と非混和性
    の溶媒からなることを特徴とする請求項1記載の半透性
    複合膜。
  3. 【請求項3】 水溶性化合物の2個以上の反応性基がア
    ミノ基であることを特徴とする請求項1記載の半透性複
    合膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 多官能性反応試薬が酸ハロゲン化物であ
    ることを特徴とする請求項1記載の半透性複合膜の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 水の一部を蒸発する方法として、加熱ま
    たは熱風の吹きつけを行なうことを特徴とする請求項1
    記載の半透性複合膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 加熱温度が30〜150℃、加熱時間が
    10秒〜2分であることを特徴とする請求項5記載の半
    透性複合膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱風の温度が25〜150℃、吹き付け
    時間が10秒〜2分であることを特徴とする請求項5記
    載の半透性複合膜の製造方法。
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