JPH07310498A - トンネル用型枠開閉装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トンネル用型枠のセットおよび脱型を自動化
して、省力化を図った上で、内空寸法の仕上がり精度を
高められるようにする。 【構成】 分割フォームにより構成されるトンネル用型
枠３のセットおよび脱型を行うためのトンネル用型枠開
閉装置１０であって、アーチフォーム４、サイドフォー
ム５，５およびインバートフォーム６の相互間に、ジャ
ッキストロークが設定表示できて、トンネル用型枠３を
自動的に開閉動作させてセットおよび脱型を自在とする
ジャッキ装置１２，１３をそれぞれ架設する。そして、
これらのジャッキ装置１２，１３を制御装置により集中
管理して自動制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば、トンネルのシ
ールド工事におけるセグメントによる一次覆工に続い
て、二次巻コンクリートによる二次覆工を行うためのス
チールフォーム等のトンネル用型枠のセットおよび脱型
を自動化したトンネル用型枠開閉装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】例えば、トンネルのシールド工事におい
て、スチール等のセグメントによる一次覆工の後に、そ
の内側に二次巻コンクリートによる二次覆工を行う際、
サイドフォーム、インバートフォーム、アーチフォーム
等の分割フォームからなるスチールフォームをセットす
る。このスチールフォームとスチールセグメントとの間
にコンクリートを打設して硬化させた後、スチールフォ
ームを分解して脱型する。

【０００３】このようなシールド二次覆工用のスチール
フォームのセットに関して従来は、棒ジャッキおよびレ
バーブロックを用いて分割フォームのセット作業を専ら
人力により行っていた。即ち、スチールフォーム内の狭
い場所において、作業員が棒ジャッキを分割フォームの
相互間に張る作業を行っていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来
は、分割フォームの相互間に張るジャッキの張り具合い
の調節・管理を、作業員の技量、即ち、経験と勘に頼っ
ていたため、内空寸法の仕上がりにバラツキがあるとい
う問題があった。

【０００５】そこで、本発明の目的は、シールド二次覆
工用のスチールフォーム等のトンネル用型枠のセットお
よび脱型を自動化して、省力化を図った上で、内空寸法
の仕上がり精度を高められるトンネル用型枠開閉装置を
提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決すべく
本発明は、例えば、トンネルのシールド二次覆工用で、
サイドフォームおよびインバートフォーム等の分割フォ
ームにより構成されるスチールフォーム等のトンネル用
型枠のセットおよび脱型を行うためのトンネル用型枠開
閉装置であって、前記サイドフォームおよびインバート
フォーム等の分割フォームの相互間にそれぞれ架設さ
れ、前記スチールフォーム等のトンネル用型枠を自動的
に開閉動作させて前記セットおよび脱型を自在とする、
例えば、油圧ジャッキ等のジャッキ装置を備えた構成を
特徴としている。

【０００７】なお、具体的には、前記油圧ジャッキ等の
ジャッキ装置を集中管理して自動制御する制御装置を備
えた構成としている。

【０００８】また、前記油圧ジャッキ等のジャッキ装置
は、例えば、ジャッキストロークを設定表示できるもの
である。

【０００９】

【作用】本発明によれば、サイドフォームおよびインバ
ートフォーム等の分割フォームの相互間にそれぞれ架設
した油圧ジャッキ等のジャッキ装置によって、スチール
フォーム等のトンネル用型枠を自動的に開閉動作させて
セットおよび脱型が自動化できる。このため、従来のよ
うな狭い場所での作業員の技量と寸法確認に頼ることな
く、内空断面のバラツキを小さくできる。

【００１０】そして、スチールフォーム等のトンネル用
型枠を自動的に開閉動作させるジャッキ装置を制御装置
により集中管理して自動制御することで、一人の作業員
によりスチールフォーム等のトンネル用型枠の自動開閉
をコントロールできる。

【００１１】また、ジャッキストロークを設定表示でき
る油圧ジャッキ等のジャッキ装置を用いることで、所定
の内空寸法にセットした時のジャッキストロークを設定
しておくことによって、内空寸法の管理が簡単かつ正確
に行える。

【００１２】

【実施例】以下に、本発明に係るトンネル用型枠開閉装
置の実施例を図１乃至図３に基づいて説明する。

【００１３】先ず、図１は本発明に係るトンネル用型枠
開閉装置を適用した一例としてのシールド二次覆工作業
を行う際のトンネル内部を示すもので、図中、１はスチ
ールセグメント、２は二次巻コンクリート、３はトンネ
ル用型枠（以下、スチールフォームと呼ぶ）、１０はト
ンネル用型枠開閉装置、１１はサイドビーム、１２はサ
イドフォーム開閉用油圧ジャッキ、１３はインバートフ
ォーム開閉用油圧ジャッキ、１４は打設孔用油圧シリン
ダー、１５は集中コントロールボックス、１６は油圧ユ
ニット、１７はサイドフォーム伸縮用棒ジャッキ、１８
はインバートフォーム脱枠用棒ジャッキ、１９は打設孔
用棒ジャッキ、２１は中間用浮力受けジャッキ、２２は
打設孔、２３はインバートゲージ金具、２４は妻板止め
金具、２５はラップアングル、２６，２７は牽引用ブラ
ケット、２８は浮力受けジャッキ、３１はソリ台車、３
２はジャーナルジャッキ、４１は牽引台車、４２はジャ
ーナルジャッキである。

【００１４】実施例において、トンネルは、図示のよう
に、スチールセグメント１によるシールド一次覆工が行
われた後、後述するようにして、本発明に係るトンネル
用型枠開閉装置１０によりスチールフォーム３をセット
してから、スチールフォーム３とスチールセグメント１
との間にコンクリートを打設して硬化させた後、スチー
ルフォーム３を分解して脱型することで、二次巻コンク
リート２を形成する。このようなスチールフォーム３の
自動セット、コンクリートの打設、スチールフォーム３
の自動脱型といった一連の工程を、スチールセグメント
１内において、順次繰り返して進ませることで、シール
ド二次覆工を施工する。

【００１５】スチールフォーム３は、図１の矢印Ａ−Ａ
線に沿った断面図である図２に示すように、アーチフォ
ーム４と、左右のサイドフォーム５，５と、インバート
フォーム６とからなるもので、セット状態で円形をな
す。ここで、インバートフォーム６は、ほぼ中央部の斜
めの割り面６ａで左右に２分割されたものであり、即
ち、この斜めの割り面６ａにより所謂観音開き動作が行
えるようになっている。また、この斜めの割り面６ａの
部分は、スチールフォーム３の後述するセット時にボル
トおよびピンにより緊結する。

【００１６】そして、アーチフォーム４の左右にサイド
フォーム５，５の上部がヒンジ結合部７，７により互い
に回動可能となるようにそれぞれ連結されており、イン
バートフォーム６の左右にサイドフォーム５，５の下部
がヒンジ結合部８，８により互いに回動可能となるよう
にそれぞれ連結されている。このようなアーチフォーム
４、サイドフォーム５，５、ほぼ中央部の斜めの割り面
６ａで観音開き動作が可能なインバートフォーム６から
なる分割フォームによるスチールフォーム３が、図１に
示した例では、前後方向に６個連結した状態となってい
る。その連結はボルトによる緊結によって行われてい
る。なお、トンネルカーブ部分には、そのカーブに合わ
せたスチールフォームを使用する。

【００１７】以上のような図示例では前後方向に６個連
結状態のスチールフォーム３，３，３，３，３，３の内
部において、実施例では、本発明のトンネル用型枠開閉
装置１０に用いるサイドビーム１１とジャッキ装置であ
る油圧シリンダーによるサイドフォーム開閉用油圧ジャ
ッキ１２およびインバートフォーム開閉用油圧ジャッキ
１３を使用している。具体的には、左右のサイドフォー
ム５，５の内側に沿って、そのサイドフォーム５，５を
それぞれ固定状態で支持する左右一対のサイドビーム１
１，１１を用い、この左右のサイドビーム１１，１１を
前後方向に長く連結している。そして、サイドフォーム
開閉用油圧ジャッキ１２を４本使用するとともに、イン
バートフォーム開閉用油圧ジャッキ１３も４本使用して
いる。

【００１８】詳細には、図２に示すように、図示右側の
サイドビーム１１の上部寄りとアーチフォーム４の図示
左側との間に、作動油の給排による伸縮動作を行うサイ
ドフォーム開閉用油圧ジャッキ１２を斜めに架設する。
また、図示左側のサイドビーム１１の上部とインバート
フォーム６の割り面６ａにより分割された図示左側半部
との間に、同じく作動油の給排による伸縮動作を行うイ
ンバートフォーム開閉用油圧ジャッキ１３を斜めに架設
している。なお、仮想線で示すように、図示左側のサイ
ドビーム１１の上部寄りとアーチフォーム４の図示右側
との間にも、前記サイドフォーム開閉用油圧ジャッキ１
２と左右対称的に交差して交互に対をなすようにして、
同様のサイドフォーム開閉用油圧ジャッキ１２を斜めに
架設している。

【００１９】また、図示しないが、図示右側のサイドビ
ーム１１の上部とインバートフォーム６の割り面６ａに
より分割された図示右側半部との間にも、前記インバー
トフォーム開閉用油圧ジャッキ１３と左右対称的に交互
に対をなすようにして、同様のインバートフォーム開閉
用油圧ジャッキ１３を斜めに架設している。このような
サイドフォーム開閉用油圧ジャッキ１２およびインバー
トフォーム開閉用油圧ジャッキ１３は、そのジャッキス
トロークを設定表示できるものであり、連結状態のスチ
ールフォーム３，３，３，３，３，３の内部の最適位置
に４本ずつ配置されている。

【００２０】また、図１に示したように、スチールフォ
ーム３の適所には、コンクリートを打設するための打設
孔用油圧シリンダー１４が設けられている。そして、こ
れら４本ずつのサイドフォーム開閉用油圧ジャッキ１
２，１２，１２，１２およびインバートフォーム開閉用
油圧ジャッキ１３，１３，１３，１３の動作を集中管理
により同期させて自動制御する制御装置である自動制御
回路を収容した集中コントロールボックス１５と、作動
油の給排を行う図示しない油圧ポンプと油圧回路および
油タンク等を含む油圧ユニット１６が設けられている。
なお、前記打設孔用油圧シリンダー１４の動作に関して
も、同様に、集中コントロールボックス１５により自動
制御が行われて、油圧ユニット１６による作動油の給排
が行われる。

【００２１】さらに、図２に示したように、スチールフ
ォーム３の後述するセット時においては、左右のサイド
フォーム５，５の下部間に、人為操作により長さを変え
て固定できるネジ式のサイドフォーム伸縮用棒ジャッキ
１７をほぼ水平に架設する。このようなサイドフォーム
伸縮用棒ジャッキ１７は、連結状態のスチールフォーム
３，３，３，３，３，３の内部の最適位置に３本配置さ
れる。

【００２２】そして、同じくスチールフォーム３の後述
するセット時においては、図示右側のサイドビーム１１
の上部とインバートフォーム６の割り面６ａにより分割
された図示右側半部との間に、同じくインバートフォー
ム脱枠用棒ジャッキ１８を斜めに架設する。また、図示
しないが、図示左側のサイドビーム１１の上部とインバ
ートフォーム６の割り面６ａにより分割された図示左側
半部との間にも、同じくインバートフォーム脱枠用棒ジ
ャッキ１８を斜めに架設する。このようなインバートフ
ォーム脱枠用棒ジャッキ１８は、連結状態のスチールフ
ォーム３，３，３，３，３，３の内部の最適位置に、左
右対称的に交互に対をなすようにして、８本配置され
る。

【００２３】また、図１に示したように、スチールフォ
ーム３の適所には、コンクリートを打設するための打設
孔用棒ジャッキ１９も設けられる。なお、連結状態のス
チールフォーム３，３，３，３，３，３のほぼ中央上部
に中間用浮力受けジャッキ２１が設けられている。ま
た、前記打設孔用油圧シリンダー１４および打設孔用棒
ジャッキ１９の近傍に打設孔２２，２２がそれぞれ設け
られている。さらに、前記インバートフォーム６の適所
にインバートゲージ金具２３が設けられている。

【００２４】そして、図１に示すように、連結状態のス
チールフォーム３，３，３，３，３，３の図示右端部に
は、スチールセグメント１内方との間のコンクリート打
設空間を閉じる妻板止め金具２４が全周にわたって取り
付けられる。また、連結状態のスチールフォーム３，
３，３，３，３，３の図示左端部には、既に施工された
二次巻コンクリート２の内周面にオーバーラップして前
記コンクリート打設空間をシールするラップアングル２
５が全周にわたって取り付けられる。さらに、左右一対
のサイドビーム１１，１１の前後端部には、連結状態の
スチールフォーム３，３，３，３，３，３の前後にそれ
ぞれ突出する牽引用ブラケット２６，２６，２７，２７
が連結してそれぞれ備えられている。なお、後方に突出
する左右一対の牽引用ブラケット２７，２７の上部に浮
力受けジャッキ２８が設けられている。

【００２５】そして、前方（図１では右方）に突出する
左右一対の牽引用ブラケット２６，２６間には、図１の
矢印Ｂ−Ｂ線と矢印Ｃ−Ｃ線に沿った合成断面図である
図３にも示すように、ソリ台車３１が備えられている。
このソリ台車３１は、ウインチ台として用いられるもの
で、その上には、左右一対のジャーナルジャッキ３２，
３２が横送り台３３を介して設置されており、この左右
のジャーナルジャッキ３２，３２は上部間に架設した連
結部材３４を介して左右一対の牽引用ブラケット２６，
２６間に固定されている。なお、ソリ台車３１の下部両
側には、スチールセグメント１の内周面底部を転動する
ローラー３５，３５，…が備えられている。さらに、左
右のジャーナルジャッキ３２，３２の上端部間には、ス
チールセグメント１の内周面天井部に当接するアーチ側
押え部材３６が架設して備えられている。また、左右の
牽引用ブラケット２６，２６には、スチールセグメント
１の内周面側部に当接するサイド側押え部材３７，３７
がそれぞれ備えられている。なお、図１において、３８
は牽引用ターンバックル、３９は振れ止めジャッキであ
る。

【００２６】また、後方（図１では左方）に突出する左
右一対の牽引用ブラケット２７，２７間には、図３にも
示すように、牽引台車４１が備えられている。この牽引
台車４１は、前記油圧ユニット２２の牽引等のために用
いられるもので、その上には、左右一対のジャーナルジ
ャッキ４２，４２が横送り台４３を介して設置されてお
り、この左右のジャーナルジャッキ４２，４２は上部間
に架設した連結部材４４を介して左右一対の牽引用ブラ
ケット２７，２７間に固定されている。なお、牽引台車
４１の下部両側には、二次巻コンクリート２の内周面底
部を転動するゴム巻ローラー４５，４５，…が備えられ
ている。さらに、左右の牽引用ブラケット２７，２７に
は、二次巻コンクリート２の内周面側部に当接するサイ
ド側押え部材４７，４７がそれぞれ備えられている。な
お、図１において、４８は牽引用ターンバックル、４９
は振れ止めジャッキである。

【００２７】以上のようにして構成したトンネル用型枠
開閉装置１０によれば、先ず、集中コントロールボック
ス１５内の自動制御回路において、予め所定の内空寸法
にセットした時の前記サイドフォーム開閉用油圧ジャッ
キ１２およびインバートフォーム開閉用油圧ジャッキ１
３のそれぞれのジャッキストロークをメモリに設定して
おく。そして、シールド二次覆工に際しては、図示しな
いウインチの駆動によって、連結状態のスチールフォー
ム３，３，３，３，３，３を、例えば、図１の位置に移
動する。この状態において、連結状態のスチールフォー
ム３，３，３，３，３，３の図示右端部とスチールセグ
メント１との間には、その全周にわたって取り付けた妻
板止め金具２４によって、内方のコンクリート打設空間
が閉じられている。また、連結状態のスチールフォーム
３，３，３，３，３，３の図示左端部と二次巻コンクリ
ート２との間には、その全周にわたって取り付けたラッ
プアングル２５が二次巻コンクリート２の内周面にオー
バーラップして、前記コンクリート打設空間がシールさ
れている。

【００２８】続いて、集中コントロールボックス１５に
設けたボタンスイッチの操作により、サイドフォーム開
閉用油圧ジャッキ１２およびインバートフォーム開閉用
油圧ジャッキ１３に作動油をそれぞれ供給する。この作
動油の供給によって、図２に示したように、サイドフォ
ーム５，５をそれぞれ支持する左右一対のサイドビーム
１１，１１とアーチフォーム４，４，４，…との間に、
左右対称的に交差して交互に対をなすように架設した４
本のサイドフォーム開閉用油圧ジャッキ１２，１２，１
２，１２が伸び動作するとともに、サイドビーム１１，
１１とインバートフォーム６，６，６，…の左右各半部
との間に、左右対称的に交互に対をなすように架設した
４本のインバートフォーム開閉用油圧ジャッキ１３，１
３，１３，…も同期して伸び動作する。従って、上方の
アーチフォーム４、左右のサイドフォーム５，５および
下方のインバートフォーム６が開いた状態となって、図
示のような所定の内空寸法による断面円形のスチールフ
ォーム３のセット状態となる。

【００２９】このようなスチールフォーム３の自動セッ
ト後は、作業員の簡単な手操作によって、前記インバー
トフォーム６をほぼ中央部で左右に２分割する斜めの割
り面６ａ部分を、図示しないボルトおよびピンにより緊
結する。そして、同じく作業員の簡単な手操作によっ
て、前記サイドフォーム伸縮用棒ジャッキ１７および前
記インバートフォーム脱枠用棒ジャッキ１８を装着する
ことで、前記サイドフォーム開閉用油圧ジャッキ１２お
よび前記インバートフォーム開閉用油圧ジャッキ１３か
らの経時的な作動油のリーク対策として、スチールフォ
ーム３のセット状態を確実に維持する。

【００３０】即ち、左右のサイドフォーム５，５の下部
間に、予め所定寸法に長さを調節済みの３本のサイドフ
ォーム伸縮用棒ジャッキ１７，１７，１７を、その両端
部での図示しないピン結合によりほぼ水平にそれぞれ架
設する。そして、サイドビーム１１，１１とインバート
フォーム６の斜めの割り面６ａにより２分割された左右
各半部との間に、左右対称的に交互に対をなすようにし
て、８本のインバートフォーム脱枠用棒ジャッキ１８，
１８，１８，１８，…を、同じくその両端部での図示し
ないピン結合により斜めにそれぞれ架設する。

【００３１】このように、スチールフォーム３を自動で
セットしてから、インバートフォーム６の割り面６ａを
緊結し、サイドフォーム伸縮用棒ジャッキ１７およびイ
ンバートフォーム脱枠用棒ジャッキ１８を装着して、ス
チールフォーム３のセット状態を確実に維持した後、打
設孔２２，２２からコンクリートを打設する。

【００３２】そして、そのコンクリートが硬化してか
ら、スチールフォーム３を脱型する。スチールフォーム
３を脱型する場合は、先ず、作業員の簡単な手操作によ
って、前記３本のサイドフォーム伸縮用棒ジャッキ１
７，１７，１７を、その両端部での前記ピンを抜いて取
り外すとともに、前記８本のインバートフォーム脱枠用
棒ジャッキ１８，１８，１８，１８，…を、同じくその
両端部での前記ピンを抜いて取り外す。また、前記イン
バートフォーム６の割り面６ａ部分の前記ボルトを外し
て前記ピンも抜いておく。

【００３３】そして、集中コントロールボックス１５に
設けたボタンスイッチの操作により、セットの場合とは
逆に、サイドフォーム開閉用油圧ジャッキ１２およびイ
ンバートフォーム開閉用油圧ジャッキ１３から作動油を
それぞれ排出する。この作動油の排出によって、サイド
フォーム５，５をそれぞれ支持する左右一対のサイドビ
ーム１１，１１とアーチフォーム４，４，４，…との間
に、左右対称的に交差して交互に対をなすように架設し
た４本のサイドフォーム開閉用油圧ジャッキ１２，１
２，１２，１２が縮み動作するとともに、サイドビーム
１１，１１とインバートフォーム６，６，６，…の斜め
の割り面６ａ，６ａ，６ａ，６ａ，…により２分割され
た左右各半部との間に、左右対称的に交互に対をなすよ
うに架設した４本のインバートフォーム開閉用油圧ジャ
ッキ１３，１３，１３，１３も同期して縮み動作する。

【００３４】このサイドフォーム開閉用油圧ジャッキ１
２およびインバートフォーム開閉用油圧ジャッキ１３の
縮み動作に伴って、インバートフォーム６がほぼ中央部
の斜めの割り面６ａで観音開きをするように中央部が上
方へ折れ曲がって開くとともに、アーチフォーム４とサ
イドフォーム５，５との間のヒンジ結合部７，７、イン
バートフォーム６とサイドフォーム５，５との間のヒン
ジ結合部８，８によって、アーチフォーム４、サイドフ
ォーム５，５、インバートフォーム６がそれぞれ内方に
移動して、脱型が行われる。以降は、次のシールド二次
覆工を行う場所に、前述と同様にして、連結状態のスチ
ールフォーム３，３，３，３，３，３を移動して、同様
の自動開閉を繰り返す。

【００３５】以上の通り、本発明のトンネル用型枠開閉
装置１０を用いることによって、以下の作用が得られ
る。 （１）スチールフォーム３のセットに関して、作業員の
技量と寸法確認に頼らなくて良い。 （２）狭い場所での開閉作業がなくなり、一人の作業員
による所謂ワンマンコントロールでスチールフォーム３
を自動開閉できる。

【００３６】従って、次の効果を発揮できる。 （１）二次巻コンクリート２の内空断面のバラツキを小
さくできる。 （２）スチールフォーム３の開閉がボタンスイッチ（集
中コントロールボックス１５に設けられる）で作動可能
なため、作業員の経験不足を補うことができる他、省力
化につながる。

【００３７】なお、以上の実施例においては、シールド
二次覆工用スチールフォームの自動開閉装置としたが、
シールドや二次覆工に限られるものではなく、また、型
枠の材質も鋼材に限られるものではなく、本発明はトン
ネル用型枠の全般に適用されるものである。また、実施
例では、制御するジャッキを油圧ジャッキとしたが、本
発明はこれに限定されるものではなく、エアジャッキで
あってもよい。さらに、トンネル用型枠の分割形式も任
意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜
に変更可能であることは勿論である。

【００３８】

【発明の効果】以上のように、本発明に係るトンネル用
型枠開閉装置によれば、分割フォームの相互間にそれぞ
れ架設したジャッキ装置によって、トンネル用型枠を自
動的に開閉動作させてセットおよび脱型が自動化できる
ため、従来のような狭い場所での作業員の技量と寸法確
認に頼ることなく、省力化を達成でき、しかも、内空断
面のバラツキを小さくして、内空寸法の精度も向上する
ことができる。

【００３９】そして、請求項２記載のように、トンネル
用型枠を自動的に開閉動作させるジャッキ装置を制御装
置により集中管理して自動制御することによって、一人
の作業員によりトンネル用型枠の自動開閉をコントロー
ルすることができる。

【００４０】また、請求項３記載のように、ジャッキス
トロークを設定表示できるジャッキ装置を用いることに
よって、所定の内空寸法にセットした時のジャッキスト
ロークを設定しておくことで、内空寸法を簡単かつ正確
に管理することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るトンネル用型枠開閉装置を適用し
た一例としてのシールド二次覆工作業を行う際のトンネ
ル内部を示す一部破断の概略側面図である。

【図２】本発明に係るトンネル用型枠開閉装置の要部を
示すもので、図１の矢印Ａ−Ａ線に沿った断面図であ
る。

【図３】本発明に係るトンネル用型枠開閉装置の前部お
よび後部を示すもので、図１の矢印Ｂ−Ｂ線と矢印Ｃ−
Ｃ線に沿った合成断面図である。

【符号の説明】 １ スチールセグメント ２ 二次巻コンクリート ３ スチールフォーム ４ アーチフォーム ５ サイドフォーム ６ インバートフォーム ６ａ 斜めの割り面 ７，８ ヒンジ結合部 １０ トンネル用型枠開閉装置 １１ サイドビーム １２ サイドフォーム開閉用油圧ジャッキ １３ インバートフォーム開閉用油圧ジャッキ １４ 打設孔用油圧シリンダー １５ 集中コントロールボックス １６ 油圧ユニット １７ サイドフォーム伸縮用棒ジャッキ １８ インバートフォーム脱枠用棒ジャッキ １９ 打設孔用棒ジャッキ ２１ 中間用浮力受けジャッキ ２２ 打設孔 ２３ インバートゲージ金具 ２４ 妻板止め金具 ２５ ラップアングル ２６，２７ 牽引用ブラケット ２８ 浮力受けジャッキ ３１ ソリ台車 ３２ ジャーナルジャッキ ４１ 牽引台車 ４２ ジャーナルジャッキ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 正明 岐阜県本巣郡真正町十四条144番地 岐阜 工業株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 分割フォームにより構成されるトンネル
   用型枠のセットおよび脱型を行うトンネル用型枠開閉装
   置であって、 前記分割フォームの相互間にそれぞれ架設され、前記ト
   ンネル用型枠を自動的に開閉動作させて前記セットおよ
   び脱型を自在とするジャッキ装置を備えたことを特徴と
   するトンネル用型枠開閉装置。
2. 【請求項２】 前記ジャッキ装置を集中管理して自動制
   御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項１記載
   のトンネル用型枠開閉装置。
3. 【請求項３】 前記ジャッキ装置は、ジャッキストロー
   クを設定表示できるものであることを特徴とする請求項
   １または２記載のトンネル用型枠開閉装置。