JPH073101B2 - 剪断プレストレス入りコンクリート床版合成部材とその製法 - Google Patents

剪断プレストレス入りコンクリート床版合成部材とその製法

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JPH073101B2
JPH073101B2 JP2242612A JP24261290A JPH073101B2 JP H073101 B2 JPH073101 B2 JP H073101B2 JP 2242612 A JP2242612 A JP 2242612A JP 24261290 A JP24261290 A JP 24261290A JP H073101 B2 JPH073101 B2 JP H073101B2
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竹博 山崎
久 花田
卓 徳光
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富士ピー・エス・コンクリート株式会社
出光 隆
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は剪断プレストレス入りコンクリート床版合成
部材とその製法に関する。こゝに剪断プレストレスとは
剪断外力により滑り、破損を生ずるおそれのある接合面
位置に、予め発生させ保持させた逆向きの弾性剪断応力
を指す。
〈従来の技術〉 従来のコンクリート材、合成部材等に与えるプレストレ
スはすべて直応力、曲げ応力で、剪断応力はその補助手
段に過ぎず、これを主目的として残し利用する思想は無
かった。
合成部材に対するプレストレス付与方法として、この発
明に多少類似する従来技術にはプレビーム工法、PPCS工
法がある。
プレビーム工法は鋼桁(梁)を弾性的に湾曲させるか、
永久的に湾曲させたものを弾性的に伸ばした状態でコン
クリートに接合させ、その鋼桁の復元力によりコンクリ
ートに内応力を発生、保持させる。
またPPCS工法は、コンクリート床版に桁沿いの圧縮力を
加えた状態で鋼桁を接合した後上記圧縮力を除く。鋼桁
の抵抗により、床版側が復元できなかった分だけ、圧縮
応力が残り、鋼桁側の引張り応力と均衝する。
均衝するが、コンクリート床版と鋼桁の接合面の剪断力
は荷重により生ずる剪断力と同方向であり、接合面のず
れに対しては不利となる。
〈発明が解決しようとする課題〉 コンクリート床版は、その下面もしくは上面に他の異な
る部材を接合して合成部材とし、曲げ耐力を増大させる
ことが多い。その場合、曲げ荷重により湾曲しても、床
版と接合された他の部材が一体に曲り、両者の接合面で
「ずれ」を生じない事が重要である。「ずれ」を生ずる
と、床版と接合した他の部材が各個に曲げられ、一体化
による曲げ耐力増大効果が失われるからである。
第11図に代表的合成部材である合成桁の端部を鎖線で示
した。図では、桁1と床版2との接合面Xに「ずれ」の
可能性がなく、曲げ荷重を受けると、合成断面の中立軸
nの上部は縮み下部は伸びて、図の実線のように湾曲す
る。第12図は接合面Xに「ずれ」lを生じて湾曲する場
合で、桁1はその中立軸n1、床版2はその中立軸n2によ
り各個に湾曲するから、第11図の合成中立軸nにより湾
曲する場合に比べ、曲げ耐性が低い。従って「ずれ」l
を生じさせない必要がある。
このため床版と桁との接合部には多数のジベル筋やスタ
ッドジベル等のずれ止め装置が使われる。最近、多用さ
れているPCコンクリート床版と鋼桁の合成部材では、鋼
桁に多数のスタッドジベルを溶植するため、溶植技術者
の確保、溶植設備、技術管理が面倒なだけでなく、床版
側に予め設けておくスタッドジベル受入れ穴が多数の切
欠きとなり、後にモルタルで埋めても、構造的な問題を
残している。
この問題の抜本的解決手段として、本発明者等は合成部
材の湾曲時、床版、桁間に「ずれ」を起す剪断応力を減
殺する剪断プレストレスという新しい発想を得、これを
具体化した。
〈課題を解決するための手段〉 この発明の剪断プレストレス入りコンクリート床版合成
部材は、コンクリート床版と他の異なる部材とを接合し
一体化した合成部材であって、その合成部材はプレスト
レスとして、上記床版と接合されるべき他の部材と、床
版との接合面に沿う長手方向に、弾性限内の剪断応力を
生じており、その剪断応力は、上記合成部材が曲げ荷重
により湾曲させられた時、上記接合面沿いに生ずべき剪
断応力を減殺する向きであることを特徴とする。
この発明の剪断プレストレス入りコンクリート床版合成
部材の製法その1は、上記床版と接合する前に、上記被
接合部材の接合面寄りの位置を長手方向に、外力により
圧縮し続け、この状態で上記の被接合部材の接合面に既
製コンクリート床版を当て、高力ボルト、ナットにより
床版と被接合部材とを締付け接合させた後、上記外力を
除くことを特徴とする。
同じく製法その2は、上記床版と接合する前に、外力に
より予め接合面側に圧縮応力が生ずる様に曲げ続け、こ
の状態で上記の被接合部材の接合面に既製コンクリート
床版を当て、高力ボルト・ナットにより床版と被接合部
材とを締付け接合させた後、上記外力を除くことを特長
とする。
同じく製法その3は、上記床版と接合する前に、上記被
接合部材の接合面にスタッドベルを溶植し、またその被
接合部材の接合面寄りの位置を長手方向に、外力により
圧縮し続け、この状態で上記接合面に、上記スタッドジ
ベルを受入れる穴をもつ既製コンクリート床版を載せ
て、その穴にモルタルを充填し、硬化させた後、上記外
力を除くことを特徴とする。
同じく製法その4は、上記被接合部材の上面である接合
面にジベルを立て、その被接合部材の接合面寄りの位置
を長手方向に、外力により圧縮し続け、この状態で上記
接合面上に、床版用コンクリートを現場打ちし、硬化さ
せた後、上記外力を除くことを特徴とする。
同じく製法その5は、上記床版を上記被接合部材の上縁
に接合した後、その被接合部材の下縁沿いに配置したPC
線材を緊張させ、定着して、下縁沿い永久圧縮力源と
し、そのPC線材の定着位置と緊張力は、これによる曲げ
モーメントでもって上記被接合部材の上縁に伸びを生
じ、その伸びはその上縁に接合した上記床版により制限
されて、接合面沿いに剪断応力を残すものとする事を特
徴とする。
同じく製法その6は、上記床版と被接合部材とを接合し
た後、接合面の床版側を上記被接合部材沿いに圧縮する
よう、予め床版内に通したPC線材を緊張させ、定着して
永久圧縮力源とし、そのPC線材の圧縮力により上記接合
面の床版側に縮みを生じ、その縮みは接合した上記被接
合部材により制限されて、接合面沿いに剪断応力を残す
ようにする事を特徴とする。
〈作用〉 この発明の剪断プレストレス入りコンクリート床版合成
部材は剪断プレストレスを保有するため、設計内の曲げ
荷重により湾曲させられると、湾曲によって床版とその
床版に接合した他の部材との間に生ずべき剪断応力がプ
レストレスと相殺して、新たな剪断応力は生じないか、
生じても接合面に「ずれ」を生じ得ない程度にとゞま
り、荷重が去れば前どおりのプレストレスが戻る。
予め合成部材に与えておく剪断プレストレスの強さは、
設計計算の際とその床版に接合した他の部材との間にず
れ破壊を生じせしめる剪断応力の何分の一かの逆方向剪
断応力を生ぜしめるような値としておけばよい。
この発明の剪断プレストレス入りコンクリート床版合成
部材の製法その1(請求項2)は被接合部材の接合面寄
りの位置を長手方向に圧縮しつゝその接合面に既製コン
クリート床版をボルト締め接合し、その後、上記圧縮を
やめるもので、被接合部材側の圧縮歪みが床版側に生じ
た引張歪みと均衝するまで減って、剪断歪みすなわち剪
断プレストレスを残す。ボルト締めによる接合部は、ス
タッドジベル同様の「ずれ」止め作用のほかに、締付け
摩擦力による「ずれ」止め作用が加わる。
この発明の製法その2(請求項3)は被接合部材を外力
により予め接合面側に圧縮応力が生ずる様曲げつつ、そ
の接合面に既製コンクリート床版をボルト締め接合し、
その後、外力を取り除くもので、製法その1と圧縮応力
を生ぜしめる方法が異なる点を除き、作用は変りない。
この発明の製法その3(請求項4)は、接合手段として
スタッドジベルを使い、その受け入れ穴を列設した既製
コンクリート床版を被接合部材の接合面に載せ、モルタ
ルを穴に充填し硬化させる点が違うだけで、予め被接合
部材の接合面寄りを圧縮し、接合後圧縮をやめる点と作
用は製法その1と変りない。
この発明の製法その4(請求項5)は、接合手段として
通常のジベルを使い、床版コンクリートを現場打ちする
場合である。製法その1、その2、その3とも、床版と
接合される他の異なる部材の接合面寄りを圧縮し続ける
外力としては、被接合部材の端部を押す加圧設備か、被
接合部材の両端を引寄せるけん引設備による事になる。
上記製法その1〜4は床版と被接合部材の接合後に外力
を取り去り、圧縮されていた被接合部材の復元力により
剪断プレストレスを生じせしめ保持するものであるが、
以下に述べるものは合成部材とした後、その被接合部材
か床版に永久圧縮力源を付設して剪断プレストレスを生
ぜしめる。
すなわち、この発明の製法その5(請求項6)は、被接
合部材の上縁に床版を接合後、被接合部材の下縁沿いに
配置するか、予め配置しておいたPC線材を緊張させ定着
して、被接合部材の下縁沿い永久圧縮力源とする。
そのPC線材は緊張力による曲げモーメントでもって被接
合部材の上縁に伸びを生じる様な位置に定着し、剪断プ
レストレスは、その伸びが接合した床版により制限され
た分け剪断応力として接合面沿いに残る。また、その緊
張力はずれ破壊を生ぜしめる剪断応力の何分の一かの逆
方向剪断応力となる様、計算から求めればよい。この製
法は剪断プレストレスにより湾曲時の床版、被接合部材
間の剪断応力を減殺するほか、被接合部材の下縁沿いに
配置したPC線材によるプレストレスが合成部材の曲げ耐
力を増大させる作用もある。
この発明の製法その6(請求項7)は、その4とは逆
に、床版側をPC線材で圧縮して接合部に剪断プレストレ
スを生ぜしめる。すなわち床版製作時、ポストテンショ
ン式PCコンクリート版同様、予めシースを通しておき、
このシースにPC線材を通し、ポストテンション設備でこ
れを緊張し、床版に定着させて永久圧縮力源とする。
このPC線材により床版側を圧縮して、圧縮されない被接
合部材側との接合部に剪断プレストレスを生ぜしめ、保
持するのである。このプレストレスはずれ破壊を生ぜし
めるせん断応力に対応させる事を言うまでもない。
〈実施例〉 第1〜3図はこの発明を代表的合成部材である合成桁に
応用したときの製法その1の説明図で、第1A〜3A図はそ
の間の断面応力分布の変化を示す。第3図が出来あがっ
た剪断プレストレス入りコンクリート床版合成部材(以
下、合成部材と称す)、第3A図はその断面の応力分布、
それぞれの一例となる。
第1図は桁1の接合面寄り、この場合、上縁寄りの位置
を長手方向に外力Pにより圧縮し続け、その上に床版2
を載せた状態を示す。
この実施例は外力Pの作用位置を桁1の上縁よりやゝ下
がった所にしているので、第1A図に示す発生応力の分布
は、上縁から下縁への圧縮応力Cが漸減する状態であ
り、下縁に引張応力を生ずる程の曲げモーメントにはし
ていない。
この湾曲した桁1に、既製コンクリート床版2をボルト
締めした状態が第2図である。高力ボルトとナットは多
数配列するが、第2図では簡単に矢印BとNで代表させ
た。
ボルト締め接合により、第1図の桁1の湾曲が減って、
床版2が一体に湾曲しており、断面の応力分布は第2A図
のように、桁1の圧縮応力Cが全体に弱まり、床版2は
湾曲したため上側に圧縮応力C、下側に引張応力Tが発
生している。
次に、桁1の上側を圧縮していた外力Pを除くと、第3
図のように桁1、床版2はほゞ直線状に戻るが、圧縮さ
れた状態で床版2に接合された桁1は、寸詰まりの状態
であり、床版2の方はやゝ引伸ばされた状態で両者が合
体している。従って断面の応力も第3A図のように、桁1
に圧縮応力Cがある程度残り、これに見合った引張り応
力Tが床版2に発生しており、桁、床版接合面X沿いに
生じた図示しない剪断応力がこれらの圧縮応力C、引張
り応力Tを保持している。
一般に、合成部材に第4図のように荷重Lが加わって湾
曲すると、合成部材断面の中立軸より上の部分は縮めら
れ、下の部分は伸ばされる。そのため接合面X沿いにも
剪断応力を発生するが、この発明の合成部材は逆方向の
剪断プレストレスをもっているため、荷重によって新た
に発生する剪断応力をその分減殺する。断面の応力分布
は断面寸法により変わるが、例えば第4A図のようにな
り、接合面Xをはさむ引張り応力T、圧縮応力Cは剪断
プレストレスを生ぜしめない桁の応力から第3図の応力
を差し引いた値となる。(なお各図の応力分布は計算値
と実測値がほゞ一致した)。
この発明の合成部材は、湾曲時自然発生すべき接合面X
沿い剪断応力の逆向きの剪断プレストレスを保有するた
め、合成部材の湾曲を助長する面がある。このマイナス
面を低く抑えるよう設計すべきで、例えば第3A図の残留
圧縮応力Cは必要最低限にする。
第2図の説明で、桁1と既製コンクリート床版2との接
合を、矢印BとNで代表させて高力ボルト、ナットによ
るとしたが、その高力ボルトB、ナットNを使用した実
施例を第5図に示す。コンクリート床版2の製作時、桁
1とのボルト締め位置に、ジベル筋11付き座板12を埋設
し、床版2の上下に貫通するボルト穴も明けておく。
現場では、そのボルト穴に合わせて桁1のフランジに穴
明けし、ボルトBを通し、二重ナットNを無収縮モルタ
ルMが漏れ出ない程度に締付ける。その後、無収縮モル
タルMを充填するが、山形鋼13やゴム板14を使って型枠
にしている。モルタルが硬化した後桁1と床版2とを二
重ナットNで締付ける接合にボルト、ナットを使用する
のは本発明者等が開発した方法であるが、この方法は締
付け摩擦力を利用して、従来のジベル類に比べて格段に
優れた「ずれ」止め効果を挙げる。
しかし桁1と床版2との接合は、従来のスタッドジベル
や、現場打ちコンクリート床版向けのジベル筋等のずれ
止めを使ってもよい。
第6図は橋の鋼桁1にPCコンクリート床版2を接合する
前の状態で、桁1の上面にはすでにスタッドジベル3を
多数溶植している。床版2にはスタッドジベル受入穴4
を列設しており、モルタル充填により穴を埋めれば、ジ
ベル3を介して桁1と床版2が接合される。
なお桁1は鋼桁と限らず、床版2は既製コンクリート床
版と限らない。コンクリート桁からジベル筋を立て、床
版2を現場打ちコンクリートで成形し一体化してもよ
い。その床版2に接合面に沿う長手方向の圧縮外力Pを
加えつゝ、コンクリートを打設、養生し、その後、外力
を除けばよい。第6図左上の桁1にはその外力を加える
手段として、桁1の端部両側に定着具5を仮固定し、こ
れにPC線材6を通し、緊張させて定着し、桁1と床版2
との接合後、PC線材6、定着具5をはずせるようにした
例を簡単に示す。なお7は床版2に通したポストテンシ
ョン用PC線材で、8はそのシースである。
この発明の製法その5、つまり桁1、床版2の接合後
に、桁1の下縁沿いに配置したPC線材6を緊張させ定着
して、下縁沿い永久圧縮力源とする実施例を第7,8図に
示す。その圧縮力源となったPC線材6はこの場合、コン
クリート桁1の下フランジ内の左右に入れ、両端を定着
具5によって桁端に定着している。このPC線材6が桁1
の下側を圧縮するため桁1が湾曲して、桁上面が引伸ば
される。
この桁1の上面が伸びるのを床版2が制約するため、両
者の接合面沿いに剪断応力が生じ、これが剪断プレスト
レスとして残留する。
この合成部材の断面の応力分布は理論的には第8A図のよ
うに、下側に圧縮応力C、上側に引張り応力Tを残す
が、実際の橋梁の床版は先にPC線材によりポストテンシ
ョン式に締付けているので、その分の圧縮応力が床版2
側に加わるため、第8B図のような応力分布になる。
次にこの発明の製法その6、すなわち桁、床版接合後に
床版に圧縮を加える実施例を第9図以下に示す。床版2
の永久圧縮力源となるPC線材6は、第6図のポストテン
ション用PC線材7を兼用している。
従来から使われているポストテンション用PC線材7を緊
張させて床版2に定着するのは、桁1との接合の前であ
る。このPC線7を桁1、床版2の接合後に増し締め定着
すると、この発明の製法その5となる。第9,10図ではそ
のPC線材7をこの発明のPC線材6に兼用している。
桁、床版接合後、床版2を圧縮すると、床版2は縮もう
とするが、桁1により制約されるため、両者の接合面沿
いに剪断応力を生じ、これが剪断プレストレスとして残
る。断面の応力分布は、床版2に従来のポストテンショ
ン用PC線材7が使われていない場合、第10A図のように
上部に圧縮応力C、下部に引張り応力Tを生ずるが、予
め床版2がポストテンションにより圧縮応力を生じてい
た場合、第10B図のように上部の圧縮応力Cがその分だ
け大きくなる。
なお第8A図,第10A図の圧縮応力Cと引張り応力Tの変
換点が合成部材の中立軸で、通常このように接合面Xよ
りやゝ低い位置に合成中立軸を生ずる。第11図の合成中
立軸Nがそれである。
次に第3図の実施例を供試体として、剪断プレストレス
を与えたものと与えないものを作り、曲げ試験を行った
結果の要点だけを述べる。供試体の断面を第13図に示
す。桁1は高さ294mm、幅200mm、ウエブ厚み8mm、長さ3
600mmの鋼桁、床版2は厚み100mm、幅600mm、長さ3600m
mのコンクリート床版で、桁1のウエブの左右に第1,2図
の外力Pとなる圧縮用PC線材6を通して緊張した。なお
桁1と床版2との間に仲介モルタルMを介入させている
(第5図参照)。
上記外力Pとして、桁1の下縁から207mmの位置に30tf
の圧縮力をかけた。この値による剪断プレストレス力は
設計剪断力の33%に相当する。高力ボルトBはM20-F10T
を並列に50cm間隔で12本用い、1本当り13tfを目標に締
付けた。
曲げ試験はスパンを300cmとし、2点載荷によって実施
した。測定項目は鋼、コンクリートの歪み、鋼、コンク
リート接合面のずれ量、桁のたわみ及び高力ボルトの緊
張力、ひゞ割れ状態等に及んだ。
こゝでは剪断プレストレスを与えたものと与えないもの
との違いだけを記すが、合成部材の接合面Xに永久的な
「ずれ」を生ずる最大荷重は、前者の48tfに対し後者は
32tfで、剪断プレストレス導入により接合面の剪断耐力
が50%増大した事を示した。
〈発明の効果〉 この発明は合成部材にはじめて剪断プレストレスという
新しいプレストレスを導入する思想を提供した。
従来、プレストレスといえば、引張りに弱いコンクリー
トを予め圧縮しておく事であった。この発明は合成部材
の弱点である床版とその床版に接合される他の部材の接
合面の「ずれ」、分離を防ぐため、湾曲により接合面沿
いに生ずる剪断力とは逆向きの剪断力を予め与えてお
く。荷重により合成部材が湾曲した時は、まず与えられ
た剪断応力が解消した後、新たな剪断応力が増大するこ
とになる。従って従来なら接合面が剪断破損して、曲げ
耐力を急減させるほど合成部材が湾曲しても、この発明
の合成部材は耐えられる事になる。
あるいは、この発明の合成部材に従来と同程度の剪断耐
力を与えるには、従来より少ないジベルスタッド、ジベ
ル筋または高力ボルト、ナットで足りる。特に現在最も
多く採用されているジベルスタッドの所要数を減ずる事
により、既製コンクリート床版に明ける多数のスタッド
受入穴を減じ、これによる構造上の問題点を軽減できる
品質面の効果は大きい。
この発明の合成部材の製法その1〜4は、床版と接合さ
れる他の部材に圧縮外力をかけつゝ床版と接合し、接合
完了後、外力を除く事により、圧縮された被接合部材の
復元力と、一体化した床版の引張応力とを均衝させる形
で、剪断ピレストレスを残すから、従来のプレストレス
コンクリートのようにPC線材を必要とせず、PC線材関係
の工程も不要である。
これに対し、この発明の合成部材の製法その5,6は、被
接合部材に長時間、圧縮外力をかけ続ける必要がなく、
従来通りに合成部材を作った後、PC線材を緊張して桁か
床版に定着すればよい、という利点がある。
いずれの製法も、ジベルスタッド、ジベル筋等の「ず
れ」止め手段を増さずに、合成部材の、床版と、その床
版と接合された他の部材との接続面の「ずれ」防止効果
を高めるものであり、しかもその実施は容易である。
この発明により、土木、建築に多用されている合成部材
の「ずれ」防止技術が大きく前進する効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1,2,3図はこの発明の製法の一実施例の工程順説明
図、第1A,2A,3A図は上記第1,2,3図それぞれの断面応力
分布図、第4図は第3図の合成部材に曲げ荷重が加わっ
た状態の説明図、第4A図はその断面応力分布図、第5図
は桁、床版接合部の実施例の断面詳細図、第6図は他の
実施例斜視図、第7図はこの発明の製法その4の実施例
説明図、第8図はその横断面図、第8A図,8B図はその断
面応力分布図、第9図はこの発明の製法その5の実施例
説明図、第10図はその横断面図、第10A図、10B図はその
断面応力分布図、第11,12図は合成部材の一端で、接合
面に「ずれ」の無いものと有るものとの説明図、第13図
は合成部材の曲げ試験用供試体の断面図で、図中、Pは
外力、Xは接合面、Bはボルト、Nはナット、1は桁、
2は床版、6はPC線材である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−82147(JP,A) 特開 昭63−205208(JP,A)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンクリート床版と他の異なる部材とを接
    合し一体化した合成部材であって、 その合成部材はプレストレスとして、上記床版と接合さ
    れる他の部材の床版との接合面に沿う長手方向に、弾性
    限内の剪断応力を生じており、その剪断応力は、上記合
    成部材が曲げ荷重により湾曲させられた時、上記接合面
    沿いに生ずべき剪断応力を減殺する向きであることを特
    徴とする剪断プレストレス入りコンクリート床版合成部
    材。
  2. 【請求項2】コンクリート床版と他の異なる部材とを接
    合し一体化した合成部材の製法において、 上記床版と接合する前に、上記床版と接合される他の部
    材の接合面寄りの位置を長手方向に、外力により圧縮し
    続け、 この状態で上記床版と接合される他の部材の接合面に既
    製コンクリート床版を当て、高力ボルト、ナットにより
    床版と被接合部材とを締付け接合させた後、 上記外力を除くことを特徴とする剪断プレストレス入り
    コンクリート床版合成部材の製法。
  3. 【請求項3】コンクリート床版と他の異なる部材とを接
    合し一体化した合成部材の製法において、 上記床版と接合する前に、上記床版と接合される他の部
    材を与め上からの外力により湾曲させ、この状態で床版
    と被接合部材の接合面に既製コンクリート床版を当て、
    高力ボルト、ナットにより床版と被接合部材とを締付け
    接合させた後、上記外力を除くことを特徴とする剪断プ
    レストレス入りコンクリート床版合成部材の製法。
  4. 【請求項4】コンクリート床版と他の異なる部材とを接
    合して一体化した合成部材の製法において、 上記床版と接合する前に、上記被接合部材の接合面にス
    タッドジベルを溶植し、またその被接合部材の接合面寄
    りの位置を長手方向に、外力により圧縮し続け、 この状態で上記接合面に、上記スタッドジベルを受入れ
    る穴をもつ既製コンクリート床版を載せて、その穴にモ
    ルタルを充填し、硬化させた後、 上記外力を除くことを特徴とする剪断プレストレス入り
    コンクリート床版合成部材の製法。
  5. 【請求項5】コンクリート床版の他の異なる部材とを接
    合し一体化した合成部材の製法において、 上記被接合部材の上面である接合面にジベルを立て、そ
    の被接合部材の接合面寄りの位置を長手方向に、外力に
    より圧縮し続け、 この状態で上記接合面上に、床版用コンクリートを現場
    打ちし、硬化させた後、 上記外力を除くことを特徴とする剪断プレストレス入り
    コンクリート床版合成部材の製法。
  6. 【請求項6】コンクリート床版と他の異なる部材とを接
    合し一体化した合成部材の製法において、 上記床版を上記被接合部材の上縁に接合した後、その被
    接合部材の下縁沿いに配置したPC線材を緊張させ、定着
    して、下縁沿い永久圧縮力源とし、 そのPC線材の定着位置と緊張力は、これによる曲げモー
    メントでもって上記の被接合部材の上縁に伸びを生じ、
    その伸びはその上縁に接合した上記床版により制限され
    て、接合面沿いに剪断応力を残すものとする事を特徴と
    する剪断プレストレス入りコンクリート床版合成部材の
    製法。
  7. 【請求項7】コンクリート床版と他の異なる部材を接合
    し一体化した合成部材の製法において、 上記床版と被接合部材とを接合した後、接合面の床版側
    を上記被接合部材沿いに圧縮するよう、予め床版内に通
    したPC線材を緊張させ、定着して永久圧縮力源とし、 そのPC線材の圧縮力により上記接合面の床版側に縮みを
    生じ、その縮みは接合した上記の被接合部材により制限
    されて、接合面沿いに剪断応力を残すようにする事を特
    徴とする剪断プレストレス入りコンクリート床版合成部
    材の製法。
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